特許第6148605号(P6148605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カヤバ システム マシナリー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6148605-制振装置 図000002
  • 特許6148605-制振装置 図000003
  • 特許6148605-制振装置 図000004
  • 特許6148605-制振装置 図000005
  • 特許6148605-制振装置 図000006
  • 特許6148605-制振装置 図000007
  • 特許6148605-制振装置 図000008
  • 特許6148605-制振装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148605
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】制振装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20170607BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   F16F15/02 C
   E04H9/02 341D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-231710(P2013-231710)
(22)【出願日】2013年11月8日
(65)【公開番号】特開2015-92092(P2015-92092A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】304039065
【氏名又は名称】カヤバ システム マシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和廣
【審査官】 鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−172398(JP,A)
【文献】 特開昭59−110938(JP,A)
【文献】 特開平09−317818(JP,A)
【文献】 米国特許第8342489(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/02
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、上記フレームにアームを介して吊り下げされて上記フレームに対して揺動可能な可動マスとを備えた制振装置であって、
上記アームは、一端が上記フレームに剛結合された一対の板ばねと、上記各板ばねの他端に連結されるとともに上記可動マスにヒンジ結合されるブラケットと、可動マスの揺動周期を調節する調節機構とを備え、
上記調整機構は、上記各板ばねに対して移動可能であって上記各板ばねを連結する連結ブロックを備えた
ことを特徴とする制振装置。
【請求項2】
上記連結ブロックは、上記各板ばね間に介装されて、ボルトおよびナットによって各板ばねに一体化されることを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
【請求項3】
上記各板ばねは、長手方向に等ピッチで並べられて三つの列をなす取付孔を備え、中央の列の取付孔は、他の列の取付孔に対して半ピッチだけ長手方向へずらして配置され、
上記連結ブロックは、上記取付孔のうち、中央の列の一つの取付孔とこの取付孔にもっとも近い位置に配置される他の列の同一高さにある二つの取付孔に符合する位置にボルト挿通孔を備えた
ことを特徴とする請求項2に記載の制振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、制振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の制振装置としては、たとえば、高層建築物の上部に設けたフレームに揺動可能に吊り下げられた可動マスを備えたチューンド・マス・ダンパと称されるものがある。この制振装置は、強風によって高層建築物が振動する際に、可動マスが振り子のように同調して搖動することで、高層建築物に可動マスの慣性力を反力として与えて、高層建築物の振動を低減するようになっている。
【0003】
制振装置は、具体的には、図7に示すように、フレーム30と可動マス31の双方にヒンジ結合されるアーム32で可動マス31を吊り下げていて、アーム32がフレーム30に対して揺動することで、可動マス31のフレーム30に対する揺動、つまり、振り子運動が可能とされている。
【0004】
このような可動マス31を吊り下げた制振装置にあっては、可動マス31の揺動周期は、フレーム30から可動マス31を吊り下げるアーム32の長さと可動マス31の質量によって決定づけられるが、高層建築物の振動を効果的に抑制するには、可動マス31の揺動周期を高層建築物の制振に適するようにチューニングする必要がある。
【0005】
そのため、従来の制振装置にあっては、アーム32の長さを変更できるようにしておき、アーム32の長さを変更することで制振装置を高層建築物の制振に適するようにチューニングすることが一般的に行われている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−317818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記制振装置では、可動マスの揺動周期をチューニングするには、ジャッキ等で可動マス31を下から支えてから、アーム32を可動マスから取り外した後、アーム32の長さを変更し、可動マス31とアーム32とを連結するブラケット33の長さもアーム32の変更長さだけ変更しなくてはならず、チューニング作業が非常に面倒で危険を伴う作業が強いられる。
【0008】
また、従来の制振装置では、アーム32とフレーム30およびアーム32と可動マス31を単にピン接合するので摩擦力が大きく、高層建築物が微振動した際にフレーム30に対して可動マス31がうまく揺動できなくなる可能性があることから、アーム32とフレーム30およびアーム32と可動マス31をそれぞれ自動調芯コロ軸受で連結するようにしている。そのため、制振装置の構造が複雑となって、コストが嵩む短所がある。
【0009】
これに対して、図8に示すように、軸受とピンを廃止してアーム42を板ばねとしてフレーム40と可動マス41に溶接し、アーム42と可動マス41とでラーメン構造を構成すると、アーム42が撓むので微振動に対して可動マス41が揺動することができ、自動調芯コロ軸受を使用しないためコスト面も有利で、高層建築物の微振動に対しても充分な制振効果を得ることができる。しなしながら、図8の制振装置では、図7に示した制振装置と同等の可動マスの揺動周期を確保しようとすると、アーム42の長さを長くしなければならず、制振装置の高さが非常に高くなってしまい高層建築物に設置スペースを確保しなくてはならず、設置性の点で問題がある。
【0010】
そこで、本発明は上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、微振動に対しても制振効果を発揮できるとともに可動マスの揺動周期のチューニング作業が容易で、かつ、高層建築物への設置性についても良好な制振装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するために、本発明の課題解決手段は、フレームと、上記フレームにアームを介して吊り下げされて上記フレームに対して揺動可能な可動マスとを備えた制振装置であって、上記アームは、一端が上記フレームに剛結合された一対の板ばねと、上記各板ばねの他端に連結されるとともに上記可動マスにヒンジ結合されるブラケットと、可動マスの揺動周期を調節する調節機構とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の制振装置によれば、微振動に対しても制振効果を発揮できるとともに可動マスの揺動周期のチューニング作業が容易で、かつ、高層建築物への設置性についても向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施の形態における制振装置の正面図である。
図2】一実施の形態における制振装置の平面図である。
図3】アームの側面図である。
図4】連結ブロックの斜視図である。
図5】アームの部分正面図である。
図6】アームの一変形例の部分側面図である。
図7】従来の制振装置の側面図である。
図8】従来の他の制振装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図示した実施の形態に基づいて、この発明を説明する。一実施の形態における制振装置Dは、図1および図2に示すように、基本的には、フレーム1と、フレーム1にアーム2を介して吊り下げされてフレーム1に対して揺動可能な可動マスMとを備えて構成されている。
【0015】
制振装置Dは、図示しない高層建築物の屋上や上層階等に設置されており、高層建築物が振動するとアーム2が撓んでフレーム1に吊り下げられた可動マスMが同調して振動し、慣性力を作用させて高層建築物の振動を抑制するようになっている。
【0016】
フレーム1は、図1および図2に示すように、上方から見て四角形の四つの頂点からそれぞれ立設される四つの柱1aと、柱1aの上端と柱1aの上端をそれぞれ連結する四つの梁1bとで構成される門型フレームとされている。
【0017】
このフレーム1の梁1bのうち、対向する一対の下方には、それぞれ二つのアーム2が取り付けられおり、このアーム2の先端に可動マスMが連結されている。したがって、可動マスMは、四つのアーム2によって支持されてフレーム1に吊り下げられている。
【0018】
各アーム2は、一端がフレーム1の梁1bの下端に剛結合された一対の板ばね3,3と、各板ばね3,3の他端に連結されるとともに可動マスMにヒンジ結合されるブラケット4と、可動マスMの揺動周期を調節する調節機構Fとを備えて構成されている。
【0019】
各板ばね3は、図1中上端である一端が梁1bに固定されるベース5に溶接されており、ベース5が梁1bの下端にボルト止め或いは溶接等によって強固に固定される。各板ばね3は、ベース5に溶接されて固定され、ベース5もフレーム1の梁1bに強固に固定されており、当該各板ばね3はフレーム1に対して剛結合されている。
【0020】
各板ばね3の図1中下端である他端には、板ばね3間で挟持されつつ溶接等によって強固に固定されるブラケット4が設けられている。このブラケット4は、図1および図3に示すように、この場合、直方体形であって、両端がそれぞれ板ばね3に固定され、中央には、孔4aが設けられている。
【0021】
他方、可動マスMの上端の四箇所には、それぞれ、ブラケット4の孔4a内に挿入されるピン7を備えたブラケット6が取り付けられている。なお、図示はしないが、ブラケット6には、ピン7を回転自在に保持するベアリングを設けている。そして、一つのアーム2に対して一つのブラケット5を対応させて、対応するブラケット6のピン7をアーム2のブラケット4の孔4aに挿入してあり、可動マスMは、各アーム2に対してピン7を中心として回転が許容されるヒンジ結合されて、各アーム2が撓むことで可動マスMはフレーム1に対して姿勢を変えずに図1中左右方向へ揺動することができるようになっている。なお、ブラケット4の孔4aにベアリングを設けておき、ブラケット4のベアリングでピン7を回転自在に保持させるようにし、ブラケット6に孔を設けてピン7をこの孔に挿入するようにしてもよい。なお、ベアリングとしては、たとえば、自動調芯コロ軸受等を用いればよい。
【0022】
よって、各板ばね3は、上端がフレーム1に剛結合され、下端が可動マスMにヒンジ結合されるので、アーム2の全体としては、片持ち梁のように振る舞って可動マスMを支持することになる。アーム2の断面二次モーメントをIとし、アーム2の長さをLとし、アーム2のヤング率をEとして、アーム2の撓み剛性を求めると、可動マスMがフレーム1に対して揺動する際にアーム2の先端に荷重が集中するので、アーム2の一本当たりの撓み剛性kは、k=3・E・I/Lとなる。他方、可動マスMの質量をmとすると、アーム2が四本であるので可動マスMの揺動周期Tは、T=2・π・(m/4k)1/2となる。
【0023】
ここで、アームをフレーム1と可動マスMの両方に溶接する等して剛結合してアームと可動マスMとでラーメン構造を構成する場合、アームの断面二次モーメントI、長さLおよびヤング率Eがアーム2と同じであると、アームの一本当たりの撓み剛性k’は、k’=12・E・I/Lとなる。よって、アームが四本でこのアームをフレーム1と可動マスMに剛結合する場合における可動マスMの揺動周期T’は、T’=(1/2)・Tとなる。
【0024】
つまり、本発明の制振装置Dは、アームをフレーム1と可動マスMの双方に剛結合する場合に比較して、断面二次モーメント、長さおよびヤング率が等しいアームを利用しても、可動マスMの揺動周期を2倍も長周期化することができる。その分、本発明の制振装置Dにおけるアーム2の長さをフレーム1と可動マスMの双方に剛結合する場合に比較して短くすることができるから、制振装置Dの高さを低くすることができ、高層建築物への設置性も向上する。
【0025】
また、本発明の制振装置Dでは、微振動入力時において軸受とピン7との間に生じる摩擦力が大きい場合、アーム2に対する可動マスMのピン7を中心とした回転が妨げられたとしても、アーム2が板ばね3,3で構成されていて、撓むことができるから、可動マスMがフレーム1に対して揺動運動することが可能となるので、微振動入力時においても充分な制振効果を得ることが可能である。
【0026】
無論、大振幅の振動が入力される場合には、可動マスMがフレーム1に対して大きく揺動するので、可動マスMにも大きな加速度が作用し、軸受とピン7との間の摩擦力に打ち勝ってアーム2に対して可動マスMがピン7を中心として回転することができ、上記した揺動周期Tで可動マスMが揺動することになって、制振装置Dは高層建築物の振動を抑制する制振効果を発揮することになる。
【0027】
ところで、板ばね3には、図3に示すように、長手方向に沿って複数が等間隔に等ピッチで並べられて三つの列A,B,Cをなす取付孔hを備え、中央の列Bにおける取付孔hは、他の列A,Cの取付孔hに対して当該列A,C内の取付孔h間のピッチ(図中で長さp)の半分の長さ(図中で長さp/2)分だけ長手方向へずらして配置されている。
【0028】
そして、この取付孔hを利用して、板ばね3,3間に介装されて板ばね3,3同士を連結する連結ブロック8が取り付けられる。より詳細には、連結ブロック8は、図4に示すように、直方体であって、板ばね3,3間に挿入した際に、列Aの取付孔hに対向する位置に設けたボルト挿通孔8aと、列Bの取付孔hに対向する位置に設けたボルト挿通孔8bと、列Cに対向する位置に設けたボルト挿通孔8cとを備えている。また、ボルト挿通孔8a,8cは、連結ブロック8に対して連結ブロック8の上下方向中央を水平に通る仮想線Vから取付孔h間のピッチの四分の一の長さを空けて同じ高さに設けられ、ボルト挿通孔8bは、連結ブロック8に対して上記仮想線Vからボルト挿通孔8a,8cとは反対側の下方へ上記ピッチの四分の一の長さ分だけ空けて設けられている。よって、ボルト挿通孔8bは列Bの取付孔hに対応すべく、取付孔h間のピッチの半分の長さだけボルト挿通孔8a,8cよりも下方に設けられている。つまり、連結ブロック8は、取付孔hのうち、中央の列Bの一つの取付孔hとこの取付孔hにもっとも近い位置に配置される他の列A,Cの同一高さにある二つの取付孔hに符合する位置にボルト挿通孔8a,8b,8cを備えている。
【0029】
この連結ブロック8を、図3および図5に示すように、板ばね3,3間に挿入して、ボルト挿通孔8a,8cを列A,Cの同じ高さに設けられた任意の選択した取付孔hに対向させると、ボルト挿通孔8a,8cが対向する列A,Bの取付孔hよりも半ピッチ低い位置に設けられた列Bの取付孔hにボルト挿通孔8bが対向する。この状態で、板ばね3,3における取付孔hとこれに対向するボルト挿通孔8a,8b,8cのそれぞれにボルト10を挿入し、ボルト10の先端にナット11を螺着すると、連結ブロック8を挟みこんだ板ばね3,3が両側から締め付けられて、連結ブロック8と板ばね3,3とが連結されて一体化される。
【0030】
また、連結ブロック8を図3中の破線で示した状態から一点鎖線で示すように(図5中では実線で示した状態から一点鎖線で示すように)天地逆にして板ばね3,3間に挿入して、ボルト挿通孔8a,8cを列A,Cの同じ高さに設けられた任意の選択した取付孔hに対向させると、ボルト挿通孔8a,8cが対向する列A,Bの取付孔hよりも半ピッチ高い位置に設けられた列Bの取付孔hにボルト挿通孔8bが対向する。この状態で、板ばね3,3における取付孔hとこれに対向するボルト挿通孔8a,8b,8cのそれぞれにボルト10を挿入し、ボルト10の先端にナット11を螺着すると、連結ブロック8を挟みこんだ板ばね3,3が両側から締め付けられて、連結ブロック8と板ばね3,3とが連結されて一体化される。
【0031】
連結ブロック8をこのように取り付けることで、連結ブロック8のボルト挿通孔8a,8b,8cを対向させる取付孔hを選択することで、連結ブロック8を板ばね3,3に対して取付孔h間のピッチの半分のピッチ毎に位置を変えて取り付けることが可能となる。なお、図6に示すように、板ばね3,3に取付孔hを二列に長手方向に並べて配置し、連結ブロック8にも二つのボルト挿通孔8a,8bのみを設ける場合、連結ブロック8を板ばね3,3に設置する位置について最小で図6中実線の位置から破線で示す位置へ変更することができ、取付孔h間のピッチ毎にその取付位置を変更することができるのでそのようにしてもよい。しかしながら、上記したように、三列A,B,Cに取付孔hを設けて中央の列Bの取付孔hを半ピッチずらして設け、連結ブロック8についても各列A,B,Cの取付孔hに対応する位置にボルト挿通孔8a,8b,8cを設けることで、板ばね3,3に対する連結ブロック8の取付位置を半ピッチ毎に変更することができるのである。
【0032】
そして、連結ブロック8を板ばね3,3に装着すると、アーム2内では、板ばね3,3の上端から連結ブロック8が装着される位置までの部位と連結ブロック8とでラーメン構造が構成され、板ばね3,3の連結ブロック8よりも下方の可動マスM側は片持ち梁として振る舞うので、連結ブロック8を板ばね3,3へ取り付ける位置によってアーム2の全体としての撓み剛性を調節することができる。なお、アーム2内でラーメン構造が構成されるが、可動マスMを吊り下げるアーム2の先端がヒンジ結合されているので、アーム2と可動マスMとの関係では、アーム2の全体としては片持ち梁として機能する。
【0033】
アーム2の撓み剛性は、連結ブロック8を板ばね3,3の中央に設ける場合、最も高くなり、可動マスMの揺動周期Tが最も短くなり、板ばね3,3の中央から上端側へ或いは下端側へ連結ブロック8をずらせばずらすほど、アーム2の撓み剛性が小さくなり、可動マスMの揺動周期Tが最も長くなる。
【0034】
このように、可動マスMの揺動周期Tの調節は、連結ブロック8の板ばね3,3へ取り付ける取付位置によって行うことができ、調整機構Fは、各板ばね3,3間に移動可能であって各板ばね3,3を連結する連結ブロック8によって構成されている。
【0035】
なお、連結ブロック8の板ばね3,3への取付位置の変更については、板ばね3,3に設けた取付孔hと連結ブロック8に設けたボルト挿通孔8a,8b,8cを利用しボルト10とナット11とで行うようにしているので、連結ブロック8の板ばね3,3への取付位置の移動が容易で、可動マスMの揺動時に大きな力が作用する板ばね3,3と連結ブロック8を強固に一体化することができる点で優れているが、他の方法を採用してもよい。
【0036】
上記したように、可動マスMの揺動周期Tの調整は、連結ブロック8の板ばね3,3への取付位置の変更する作業を行うだけでよいので、アーム2から可動マスMを取り外す必要が無く、可動マスMをジャッキ等で支えてアーム2に可動マスMを着脱しアーム2の長さを変更するといった煩雑且つ危険な作業を強いられることがなく、制振装置Dにおける可動マスMの揺動周期Tを高層建築物の制振に適するようにチューニングする作業が安全かつ非常に容易となる。
【0037】
そして、上述したように、本発明の制振装置Dにあっては、アームをフレーム1と可動マスMの双方に剛結合する制振装置に比較して、断面二次モーメント、長さおよびヤング率が等しいアーム2を利用しても、可動マスMの揺動周期を2倍も長周期化することができ、その分、制振装置Dの高さを低くすることができ、制振装置Dの高層建築物への設置性も向上する。さらに、本発明の制振装置Dでは、微振動入力時においても板ばね3,3が撓むことで可動マスMの揺動運動が可能となって充分な制振効果を得ることが可能である。
【0038】
よって、本発明の制振装置Dによれば、微振動に対しても制振効果を発揮できるとともに可動マスMの揺動周期Tのチューニング作業が容易で、かつ、高層建築物への設置性についても向上する。
【0039】
また、アーム2をフレーム1と可動マスMの両者に自動調芯コロ軸受を介して連結する必要がなくなるので、制振装置Dのコストも安価となる。
【0040】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
1 フレーム
2 アーム
3 板ばね
4 ブラケット
8 連結ブロック
10 ボルト
11 ナット
A,B,C 取付孔の列
D 制振装置。
h 取付孔
M 可動マス
T 調節機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8