【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、独立請求項において、分析システム、分析システムを検証する方法、および分析システムを作動させる方法を提供する。実施形態は、従属請求項において与えられる。
【0006】
本発明の実施形態によれば、同一ハードウェア上で試料テストとソフトウェア検証とを切換えることができる分析システムを提供することができる。これによって、コストを著しく低減することができる。例えば、試料テストが一時的に制限される場合、例えば通常、血液銀行が夕方に試料を入手し、夜間に試料テストを行う場合、残りの時間を新規なソフトウェアを検証するために用いることができる。この場合には、ソフトウェア検証のための余分な機器は不要であり、分析システムの費用のかかる待機時間が短縮される。
【0007】
当業者には明らかなように、本発明の態様は、装置、方法またはコンピュータプログラム製品として実施することができる。したがって、本発明の態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェア態様とハードウェア態様とを組み合わせる実施形態をとることができる。これらは、全て一般的に、本明細書では、「回路」、「モジュール」または「システム」と呼ぶ。さらに、本発明の態様は、コンピュータプログラム製品という形をとることができる。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ実行可能コードを含む1つまたは複数のコンピュータ可読媒体で実現される。
【0008】
1つまたは複数のコンピュータ可読媒体のいかなる組合せも、利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体でもよい。本明細書で用いられる「コンピュータ可読記憶媒体」は、計算デバイスのプロセッサによって実行可能である命令を格納することができるいかなる有形の記憶媒体も含む。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ可読固定記憶媒体とも呼ばれ得る。また、コンピュータ可読記憶媒体は、有形コンピュータ可読媒体とも呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、計算デバイスのプロセッサによってアクセス可能なデータを格納できてもよい。コンピュータ可読記憶媒体の例として、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ハードディスクドライブ、半導体ハードディスク、フラッシュメモリ、USBサムドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、光ディスク、光磁気ディスク、およびプロセッサのレジスタファイルなどである。光ディスクの例としては、コンパクトディスク(CD)およびデジタル多用途ディスク(DVD)、例えばCD−ROM、CD−RW、CD−R、DVD−ROM、DVD−RWまたはDVD−Rディスクなどがある。また、用語「コンピュータ可読記憶媒体」は、ネットワークまたは通信リンクを介して計算デバイスによってアクセス可能な様々な形式の記録媒体をも意味する。例えば、データは、モデムを通じて、インターネットを通じて、または、ローカルエリアネットワークを通じて取り出すことができる。コンピュータ可読媒体上に実現されるコンピュータ実行可能コードは、任意の適切な媒体を使用して送信され得る。この媒体は、無線、有線、光ファイバーケーブル、RFなど、またはこれらの任意の好適な組合せを含むが、これらに限定されるものではない。
【0009】
コンピュータ可読信号媒体は、例えばベースバンドまたは搬送波の一部で実現される、コンピュータ実行可能コードを有する伝播されたデータ信号を含むことができる。このような伝搬された信号は、これらに限定されないが、電磁気的、光学的、またはこれらの好適な組合せを含む様々な形態のいずれかをとることができる。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではないが、命令実行システム、装置、もしくはデバイスにより、または、それらに関連して用いられるプログラムを通信し、伝搬し、移送することができる、いかなるコンピュータ可読媒体であってもよい。
【0010】
「コンピュータメモリ」または「メモリ」は、コンピュータ可読記憶媒体の一例である。コンピュータメモリは、プロセッサに直接アクセス可能な任意のメモリである。「コンピュータ記憶装置」または「記憶装置」は、コンピュータ可読記憶媒体の他の例である。コンピュータ記憶装置は、任意の不揮発性コンピュータ可読記憶媒体である。いくつかの実施形態において、コンピュータ記憶装置は、コンピュータメモリまたはその逆でもよい。
【0011】
本明細書で用いられる「プロセッサ」は、プログラムまたは計算機実行可能命令またはコンピュータ実行可能コードを実行することができる電子部品を含む。「プロセッサ」を備える計算デバイスの参照は、場合により複数のプロセッサまたは処理コアを含むように、解釈されるものとする。例えばプロセッサは、マルチコアプロセッサでもよい。また、プロセッサは、単一コンピュータシステム内の、あるいは、多重コンピュータシステム間に分散した、プロセッサの集合体を指してもよい。計算デバイスという用語も、場合により1つまたは複数のプロセッサを各々備える計算デバイスの集合体またはネットワークを指すように、解釈されるものとする。コンピュータ実行可能コードは、同一計算デバイス内のマルチプロセッサによって、あるいは、複数の計算デバイスに分散したマルチプロセッサによっても、実行され得る。本明細書で用いられる「計算デバイス」または「コンピュータ」は、プロセッサを備えるいかなるデバイスも含む。
【0012】
コンピュータ実行可能コードは、計算機実行可能命令またはプロセッサに本発明の態様を実行させるプログラムを含むことができる。本発明の態様に関する動作を実行するコンピュータ実行可能コードは、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書くことができる。プログラミング言語には、例えばJava(登録商標)、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および例えば「C」プログラミング言語や類似のプログラミング言語など従来の手続きプログラミング言語、および計算機にコンパイルされた実行可能命令が含まれる。いくつかの例では、コンピュータ実行可能コードは、高級言語の形式またはプレコンパイルド形式であってもよく、実行中に計算機実行可能命令を生成するインタプリタと共に用いることができる。
【0013】
コンピュータ実行可能コードは、完全にユーザーのコンピュータで、部分的にユーザーのコンピュータで、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザーのコンピュータでかつ部分的にリモートコンピュータで、または、完全にリモートコンピュータもしくはサーバーで、実行することができる。後のシナリオにおいて、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含む任意の型のネットワークを通して、ユーザーのコンピュータに接続することができる。あるいは、外部コンピュータ(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いたインターネットを通して)に接続することができる。
【0014】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品のフローチャート、説明図および/またはブロック図を参照しながら記載される。フローチャート、説明図および/またはブロック図の各ブロックまたは一部のブロックは、適用可能な場合に、コンピュータ実行可能コード形式のコンピュータプログラム命令によって実装できることが理解されよう。さらに、異なるフローチャート、説明図および/またはブロック図のブロックの組合せが、互いに排他的でない場合には、可能であることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに供給されて、計算機を生成することができる。そうすると、その命令が、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサにより実行されて、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックで特定される機能/動作を実装するための手段を生成する。
【0015】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置または他のデバイスを、特定の方法の機能に向けることができるコンピュータ可読媒体に記憶することもできる。このようにして、コンピュータ可読媒体に記憶された命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックで特定される機能/動作を実装する命令を含む製品を生成する。
【0016】
また、コンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置または他のデバイスにロードされて、コンピュータ、他のプログラム可能な装置または他のデバイスで実行される一連の動作ステップを生成し、コンピュータ実行処理を行う。このようにして、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックで特定される機能/動作を実装するための処理を行う。
【0017】
本明細書で用いられる「ユーザーインターフェース」は、ユーザーまたは操作者がコンピュータまたはコンピュータシステムと対話することができるインターフェースである。「ユーザーインターフェース」は、「ヒューマンインターフェースデバイス」とも呼ばれ得る。ユーザーインターフェースは、情報またはデータを操作者へ提供し、および/または、情報またはデータを操作者から受け取ることができる。ユーザーインターフェースは、コンピュータが操作者からの入力を受け取ることを可能にし、コンピュータからユーザーに出力を提供することができる。換言すれば、ユーザーインターフェースによって、操作者がコンピュータを制御または操作することができる。そして、インターフェースによって、コンピュータが操作者の制御または操作の効果を示すことができる。ディスプレイまたはグラフィックユーザーインターフェースに表示されるデータまたは情報は、操作者に対する情報提供の一例である。キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、ポインティングスティック、グラフィックタブレット、ジョイスティック、ゲームパッド、ウェブカメラ、ヘッドセット、ギアスティック、ステアリングホイール、ペダル、ワイヤードグローブ、ダンスパッド、リモートコントロール、1つまたは複数のスイッチ、1つまたは複数のボタン、および加速度計によるデータの受信は、全て、操作者からの情報またはデータの受信を可能にするユーザーインターフェースの構成要素の例である。
【0018】
本明細書で用いられる「ハードウェアインターフェース」は、コンピュータシステムのプロセッサが、外部の計算デバイスおよび/または装置と対話し、および/またはそれを制御することを可能にするインターフェースを含む。ハードウェアインターフェースによって、プロセッサが、外部の計算デバイスおよび/または装置に、制御信号または命令を送信することができる。また、ハードウェアインターフェースによって、プロセッサが、外部の計算デバイスおよび/または装置と、データを交換することができる。ハードウェアインターフェースの例として、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、汎用シリアルバス、IEEE1394ポート、パラレルポート、IEEE1284ポート、シリアルポート、RS−232ポート、IEEE−488ポート、ブルートゥース接続、無線ローカルエリアネットワーク接続、TCP/IP接続、イーサネット(登録商標)接続、制御電圧インターフェース、MIDIインターフェース、アナログ入力インターフェースおよびデジタル入力インターフェースなどである。
【0019】
本明細書で用いられる「ディスプレイ」または「表示装置」は、画像またはデータを表示するのに適する出力装置またはユーザーインターフェースを含む。ディスプレイは、映像、音声、および/または触覚のデータを出力することができる。ディスプレイの例として、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、コンピュータモニター、テレビジョンスクリーン、タッチスクリーン、触覚電子ディスプレイ、点字スクリーン、陰極線管(CRT)、蓄積管、双安定ディスプレイ、電子ペーパー、ベクトルディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ(VF)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、エレクトロルミネセントディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プロジェクター、およびヘッドマウントディスプレイなどである。
【0020】
本明細書で用いられる「データベース」は、プロセッサによってアクセスできるデータを含むデータファイルまたはリポジトリを含む。データベースの例として、データファイル、リレーショナルデータベース、データファイルを含むファイルシステムフォルダ、およびスプレッドシートファイルがあるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本明細書で用いられる「ネットワーク接続」は、2台の異なるコンピュータまたは計算デバイスの間のデータ交換のための手段を含む。計算デバイスは、ネットワークインターフェースを用いたネットワーク接続を確立する。ネットワークの例として、ブルートゥースネットワーク、WIFIネットワーク、LAN、およびインターネットプロトコルがあるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
一態様では、本発明は、生体試料を分析するための分析システムを提供する。分析システムは、少なくとも1つの分析器を備える。分析器は、生体試料を分析して分析結果を得るための分析部を備える。
【0023】
「分析部」という用語は、生体試料(例えば血液、尿、唾液または他の試料タイプ)について、1つまたは複数の分析を実行するように動作可能な装置を指す。分析部は、様々な化学的、生物学的、物理的、光学的、または他の技術的な方法により、試料のパラメータまたはその構成要素を決定するように動作することができる。以下のパラメータが「測定値」と呼ばれる。分析部は、試料の、または、少なくとも1つの分析物の、上記パラメータを測定して、得られた測定値を返すように動作可能である。分析器によって返される可能性がある分析結果のリストは以下のものを含むが、これらに限定されるものではない。試料中の分析物の濃度、試料中の分析物の存在(検出レベルを超える濃度に対応する)を示すデジタル結果(イエスまたはノー)、光学パラメータ、DNAまたはRNA配列、タンパク質または代謝物質の質量分析から得られるデータ、および、様々なタイプの物理的もしくは化学的パラメータである。分析結果は、定性的、および/または定量的であり得る。
【0024】
分析器は、複数の分析部を有することができる。「1つの」分析部への言及は、1つに限定するものではなく、複数の分析部も表すことができると理解される。分析結果を取得するための生体試料を分析することによって、「取得する」が分析結果を測定することを意味することができると理解される。分析結果は、測定データであってもよいし、あるいは測定データを含んでもよい。いくつかの実施形態において、分析結果は、生体試料および/または測定条件を記述したメタデータを加えた測定データを含む。各分析器は、分析器コントローラ(AC)を備える。ACはプロセッサを備える計算デバイスであり得る。そして、ACは1つまたは複数の分析部を制御するように動作可能であり得る。ACは、頭文字ACを使用して略記することができる。
【0025】
分析システムは、分析器データ管理システムをさらに備える。分析器データ管理システムは、本明細書において、頭文字ADMSにより略記することができる。ADMSは、少なくとも2つの動作環境から選択される、選択された動作環境の選択情報を受信するように動作可能である。2つの動作環境は、各々独立している。ADMSは、選択情報を受信すると、分析システムを選択された動作環境に切換えるように動作可能である。少なくとも2つの動作環境の各々は、ACオペレーティングシステムが分析器制御システム(ACS)を実装するように動作可能にし、またADMSオペレーティングシステムが検査データ管理システム(LDMS)を実装するように動作可能にする。ACSは、頭文字ACSによって略記することができる。LDMSは、頭文字LDMSによって略記することができる。ACSは、分析部を制御して分析結果を取得するように動作可能である。ACSは、LDMSに分析結果をもたらすように動作可能である。
【0026】
ADMSは、検査室で使用され、1つまたは複数の分析器を制御するために用いられる。極めて典型的には、それは複数の分析器を制御するために用いられる。検査室で使用される場合には、ソフトウェアのアップグレードが問題となり得る。これは、ADMSで、さらにまた分析器で使用されるソフトウェアの全てを完全にテストすることが必要になるかもしれないからである。これは、ACで使用されるソフトウェア、および/または、分析部で使用される任意のファームウェアもしくはソフトウェアを含むことができる。各動作環境は、分析器およびデータ管理システムの全てに対して、ソフトウェアおよび/またはオペレーティングシステムの別々の1組を提供する。分析システムは、分析システムの全ての構成要素上にある全てのソフトウェアを、素早く変更するための機構を提供する。これは、異なる動作環境間の切換えを容易にする。例えば、検査室において生体試料の通常処理を行う間に、限定されたソフトウェアを含む動作環境を用いることができる。ADMSが異なる動作環境の選択情報を受信すると、全システムは自動的にそのソフトウェアを変更する。例えば、これは、様々なソフトウェアコンポーネントの動作をチェックし、その次に、分析中の生体試料の最初の動作環境に戻すために用いることができる。分析システムは、適切なソフトウェアが分析システムの各構成要素で確実に使用されるようにする手段を提供することができる。
【0027】
別の実施形態では、ADMSおよび分析器は、ネットワーク接続を介して通信する。
別の実施形態では、少なくとも1つの分析器は、ACからのコマンドを受け取るように動作可能な1つまたは複数の組込みシステムをさらに備える。例えば、分析部は、分析部を制御して生体試料を分析するために用いられる組込みシステムを備えることができる。ACSは、コマンドを組込みシステムに送信し、分析部を制御して分析結果を得るように動作可能である。少なくとも1つの組込みシステムは、ファームウェアをさらに備える。選択された動作環境へ切換える場合に、ACSはファームウェアを変更するように動作可能である。この実施形態は、特に有益であり得る。なぜなら、異なる動作環境間を行き来する際に、ファームウェアを変更することが必要であるならば、操作者側が手動でファームウェアを変更するという時間のかかる操作が要求され得るからである。ファームウェアを自動的に変更するためのいかなる機能も、2つの動作環境を切換える時間を短縮する。
【0028】
別の実施形態では、ADMSオペレーティングシステムは、分析結果を検査情報システムへ転送するように動作可能である。検査情報システムは、本明細書において、頭文字LISを使用して略記することができる。本明細書で用いられるLISは、データベースシステムを含み、このデータベースシステムは、管理を低減し、最終報告の作成を加速するために、研究および試料情報を検査機器からの取得データと組み合わせるように設計される(Mc−Dowall、Chemom. Intell. Lab. Syste.、Lab. Inf. Management 17(1992)265)。
【0029】
LDMSは、テスト状態と検証済状態とを示す検証フラグを備える。例えば、これは、動作環境と関連したメモリまたはファイルシステムのいくつかの場所に記憶される変数でもよい。検証フラグは、ソフトウェアが現在テストされているか、それとも検証される必要があるかについてのインジケータである。検証フラグは、テスト状態にあるLISに対する分析結果の転送を無効にするように動作可能である。例えば、特定の動作環境が検証されない場合には、分析結果をLISへ転送することは、望ましくないことがある。LDMSは、ユーザーインターフェースを備える。LDMSは、ユーザーインターフェースからフラグ選択命令を受け取るように動作可能である。例えば、ユーザーインターフェースは、キーボードまたはグラフィックユーザーインターフェースを含むことができ、そして、操作者は所望の動作環境を単純に選択する。フラグ選択命令は、テスト状態または検証済状態を記述する。LDMSは、フラグ選択命令に従って、検証フラグをセットするように動作可能である。
【0030】
別の実施形態では、LISおよびLDMSは、ネットワーク接続を介して通信する。
別の実施形態では、LDMSは、選択された動作環境のADMSオペレーティングシステムに実装される。それは、さらに、選択された動作環境のソフトウェアの変更を検出するように動作可能である。LDMSは、ソフトウェアの変更が検出された場合に、検証フラグをテスト状態にセットするように動作可能である。例えば、何らかの新しいソフトウェアが、ADMSの分析器、ファームウェア、またはどこか他の場所にインストールされた場合には、LDMSは、検証フラグを検証済状態からテスト状態に自動的に変更するように動作可能である。それによって、ソフトウェアが無許可で分析システムにインストールされることを防止できるので、これは有益であり得る。これは、分析システムに対するより高いセキュリティと、分析結果に対するより良い完全性を提供することができる。例えば、もし無許可のソフトウェアインストールが実行されたとすると、それはデータの完全性を損なうおそれがあり、また分析結果の妥当性に疑問が生じるおそれがある。例えば、これは、ADMSまたは分析器のオペレーティングシステムのソフトウェアの変更を検出することができる。
【0031】
別の実施形態では、ADMSは、ADMSブートローダを備える。ADMSは、ADMS記憶装置を備える。ADMS記憶装置は、少なくとも2つの動作環境の各々について、ADMSシステム記憶装置パーティションを備える。ADMSブートローダは、選択情報を受信するように動作可能である。選択情報は、少なくとも2つの動作環境の各々に対して、ADMS記憶装置パーティションから選択される、選択されたADMS記憶装置パーティションを決定する。ADMSブートローダは、選択情報を受信すると、ADMSに対して、選択されたADMS記憶装置パーティションを起動させるように動作可能である。
【0032】
換言すれば、例えば、ADMSは、例えば複数のパーティションを有するハードドライブなどの大容量記憶装置を有することができる。動作環境の各々に対応するパーティションがある。適切なソフトウェアだけがインストールされて、動作環境を変更することを確実にするために、パーティションの各々は個別に起動される。こうすることで、適切なソフトウェアがロードされ、2つの動作環境間にソフトウェアの混用がないことを確実にする安全な方法が提供される。本質的には、パーティションの選択情報は、どの動作環境が使用されるかを選択する。
【0033】
別の実施形態では、ADMSは、少なくとも2つの動作環境の各々に対してADMS仮想マシンを提供するためのADMS仮想化システムを備える。ADMS仮想化システムは、選択情報を受信するように動作可能である。選択情報は、動作可能なADMS仮想マシンを決定する。動作可能なADMS仮想マシンは、少なくとも2つの動作環境の各々に対して、ADMS仮想マシンから選択される。ADMS仮想化システムは、動作可能なADMS仮想マシンだけが、ACSに対して分析結果を要求できるように動作可能である。ADMS仮想化システムは、動作可能なADMS仮想マシンだけがLDMSからのデータを受信できるように動作可能である。
【0034】
換言すれば、本実施形態では、ADMSは、仮想システムを有することによって実装される。どのソフトウェアが分析結果を要求することができるかを制御するために、動作中の仮想マシンは切換えられ、1台の仮想マシンだけが分析結果を要求することができる。この実施形態では、複数の仮想マシンを同時に使用できるという利点があり得る。例えば、様々な動作が、特定の動作環境のソフトウェア検証を実行するために必要であり得る。現在検査室で使用されている動作環境を使用することができて、またそれは少なくとも1つの分析器を制御することができる。しかし、バックグラウンドでは、テストバージョンのための動作環境を表す仮想マシンが、現在時刻に分析器にアクセスを必要としない動作を実行することができる。
【0035】
別の実施形態では、ADMS仮想化システムは、少なくとも1つの分析器をエミュレートするように動作可能なエミュレータに対して、非選択の仮想マシンを接続するように動作可能である。非選択の仮想マシンは、少なくとも2つの動作環境の各々に対して、ADMS仮想マシンから選択される。非選択の仮想マシンは、動作可能なADMS仮想マシンではない。
【0036】
別の実施形態では、分析器は、ACブートローダを備える。ACは、AC記憶装置を備える。AC記憶装置は、少なくとも2つの動作環境の各々について、AC記憶装置パーティションを備える。ACブートローダは、ADMSから選択情報を受信するように動作可能である。選択情報は、選択されたAC記憶装置パーティションを決定する。ACブートローダは、選択情報を受信すると、ACに対して、選択されたAC記憶装置パーティションを起動させるように動作可能である。本実施形態では、ACは、複数のパーティションを有する記憶装置を有する。ソフトウェアを分離するために、ACは、パーティションの1つを起動するように動作可能である。特定のパーティションを使用して完全なソフトウェア環境を実装することができて、異なる動作環境の様々なソフトウェアコンポーネントを各々確実に分離できるから、これは有益であり得る。本実施形態では、極めて本質的であるが、パーティションの選択情報は、どの動作環境が使用されるかを選択する。
【0037】
別の実施形態では、ACは、少なくとも2つの動作環境の各々に対して、分析器仮想マシンを提供するための分析器仮想システムを備える。分析器仮想化システムは、選択情報を受信するように動作可能である。選択情報は、動作可能な分析器仮想マシンを決定する。動作可能な分析器仮想マシンは、少なくとも2つの動作環境の各々に対して、分析器仮想マシンから選択される。分析器仮想化システムは、動作可能な分析器仮想マシンだけが、分析器を制御して生体試料を分析できるように動作可能である。仮想化システムは、動作可能な分析器仮想マシンだけが、分析結果を、選択された動作環境のLDMSに送信できるように動作可能である。本実施形態では、動作環境の各々に対応する仮想マシンがある。動作環境は、仮想マシンの1つを動作可能にすることによって選択される。
【0038】
別の実施形態では、少なくとも2つのオペレーティングシステムの各々は、一意的な識別子を有する。ADMSは、少なくとも1つの分析器の各ACに対して、一意的な識別子を送信するように動作可能である。ACは、一意的な識別子を受けると、選択されたオペレーティングシステムを切換えるように動作可能である。
【0039】
別の実施形態では、少なくとも2つのオペレーティングシステムの各々は、一意的な識別子を有する。ACがオンされた場合に、ACは、ADMSに対して一意的な識別子を要求するように動作可能である。選択情報が受信された場合に、ACをオフすることができるので、この実施形態は有益であり得る。この実施形態では、ACが適切な動作環境を作動させることが確実になる。
【0040】
別の実施形態では、少なくとも2つの動作環境は、少なくとも3つの動作環境である。少なくとも3つのオペレーティングシステムのうちの少なくとも1つは、トレーニング環境を含む。本明細書で用いられるトレーニング環境は、操作者に対して分析システムの使用方法を訓練するために用いられる環境である。トレーニング環境は、少なくとも1つの分析器を操作するためのアクセスを有しても有しなくてもよい。いくつかの実施形態では、エミュレータが、分析器の代わりに用いられることができる。
【0041】
別の実施形態では、LDMSは、ACSに対して、分析結果を要求するように動作可能である。ACSは、分析部を制御して測定データを得るように動作可能である。ACは、LDMSに分析結果を提供するように動作可能である。ADMSは、選択情報を受信すると、選択された動作環境に切換えるように動作可能である。ACまたはACSは、選択情報を受信すると、選択された動作環境に切換えるように動作可能でもよい。トレーニング環境がある場合には、トレーニング環境はLISに接続しなくてよい。
【0042】
別の態様では、本発明は、本発明の一実施形態による分析システムを検証する方法を提供する。少なくとも2つの動作環境のうちの1つは、未検証動作環境である。これは、テスト状態にセットされた検証フラグと等価であり得る。本方法は、未検証動作環境を選択された動作環境として選択するステップを含む。本方法は、未検証動作環境が選択された動作環境である場合に、未検証動作環境を用いる検証プロトコルを少なくとも部分的に実行するステップをさらに含む。本方法は、検証プロトコルが完全に実行される場合、および検証プロトコルが成功する場合に、未検証動作環境を検証するステップをさらに含む。
【0043】
別の態様では、本発明は、一実施形態による分析システムを作動させる方法を提供する。少なくとも2つの動作環境のうちの1つは、検証済動作環境である。少なくとも2つの動作環境のうちの1つは、未検証動作環境である。検証済動作環境は、検証済状態にセットされた検証フラグを有することができる。そして、未検証動作環境は、テスト状態にセットされた検証フラグを有することができる。本方法は、検証済動作環境を、選択された動作環境として繰り返し選択するステップを含む。本方法は、検証済動作環境が選択された動作環境である場合に、検証済動作環境を用いた分析結果を繰り返し取得するステップをさらに含む。本方法は、未検証動作環境を、選択された動作環境として繰り返し選択するステップをさらに含む。本方法は、未検証動作環境が選択された動作環境である場合に、未検証動作環境を用いる検証プロトコルを、繰り返し少なくとも部分的に実行するステップをさらに含む。本方法は、検証プロトコルが完全に実行される場合、および検証プロトコルが成功する場合に、未検証動作環境を検証するステップをさらに含む。本明細書で用いられる検証プロトコルは、ADMSおよび少なくとも1つの分析器が適切な分析結果を得ていることを検証するために、分析システムを用いて実行される試験手順の一組を含む。
【0044】
別の態様では、本発明は、本発明の一実施形態による分析システムを作動させる方法を提供する。少なくとも2つの動作環境のうちの1つは、検証済動作環境である。これは、検証フラグが検証済状態にセットされることを意味することができる。本方法は、検証済動作環境を、選択された動作環境として選択するステップを含む。本方法は、検証済動作環境が選択された動作環境である場合に、検証済動作環境を用いて、分析結果を取得するステップをさらに含む。本方法は、分析結果を検査情報システムに送信するステップをさらに含む。
【0045】
組み合わされた実施形態が相互に排他的でない限り、上述した本発明の実施形態の1つまたは複数を組み合わせることができるものと理解される。
以下では、本発明の実施形態について、例としてのみ下記の図面を参照しながら、より詳細に説明する。