特許第6148628号(P6148628)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6148628現像剤収容器、画像形成ユニットおよび画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148628
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】現像剤収容器、画像形成ユニットおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
   G03G15/08 340
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-22488(P2014-22488)
(22)【出願日】2014年2月7日
(65)【公開番号】特開2015-148764(P2015-148764A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044164
【氏名又は名称】株式会社沖データ
(74)【代理人】
【識別番号】100083840
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】藤井 正志
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−089666(JP,A)
【文献】 特開2011−227168(JP,A)
【文献】 特開2003−202742(JP,A)
【文献】 特開2008−090105(JP,A)
【文献】 特開平09−244368(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0003844(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0305485(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する現像剤収容部と、
弾性変形可能な撹拌部を有し、前記現像剤収容部の内部に回転可能に設けられた撹拌部材と
を備え、
前記現像剤収容部は、前記撹拌部材の回転軸の方向における一端に側壁部を有し、
前記側壁部に、前記現像剤収容部の内部に向かって突出する凸部が形成され
前記凸部は、前記回転軸から離れるにつれて前記現像剤収容部の内側への突出量が大きくなる傾斜部を有し、
前記撹拌部は、前記回転軸の方向に複数のスリットを有し、各スリットは前記回転軸に略直交する方向に延在し、
前記撹拌部の前記側壁部に対向する端縁と、当該端縁に最も近いスリットとの間には、前記凸部に当接する短冊状の当接部が形成され、
前記当接部の前記回転軸の方向の幅は、前記複数のスリットのうち隣り合うスリットの間の部分の幅よりも狭いこと
を特徴とする現像剤収容器。
【請求項2】
前記回転軸の方向において、前記撹拌部の前記端から前記スリットまでの距離D1と、前記側壁部の壁面から前記凸部の先端までの距離D2とが、D1>D2の関係を満足することを特徴とする請求項に記載の現像剤収容器。
【請求項3】
さらに、前記距離D1と前記距離D2とが、D2D1≦1.5×D2の関係を満足することを特徴とする請求項に記載の現像剤収容器。
【請求項4】
前記回転軸に直交する方向において、前記回転軸から前記撹拌部の前記スリットまでの距離L1と、前記回転軸から前記側壁部の前記凸部までの距離L2とが、L1<L2の関係を満足することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の現像剤収容器。
【請求項5】
さらに、前記距離L1および前記距離L2は、1.3×L1≦L2≦1.8×L1の関係を満足することを特徴とする請求項に記載の現像剤収容器。
【請求項6】
前記現像剤収容部は、その内部に収容した現像剤を外部に供給するための供給口を有し、
前記凸部は、前記回転軸に直交する断面において、前記供給口と対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の現像剤収容器。
【請求項7】
前記側壁部には、前記撹拌部材の回転方向に沿って複数の前記凸部が配置されていることを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の現像剤収容器。
【請求項8】
前記凸部は、前記回転軸から離れるにつれて、前記現像剤収容部の内側への突出量が大きくなる傾斜部を有していることを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の現像剤収容器。
【請求項9】
前記撹拌部材は、前記撹拌部を支持する支持部を有し、
前記撹拌部は、前記回転軸の方向における両端が、前記回転軸の方向における中央部よりも、前記撹拌部材の回転方向に先行するように、前記支持部に取り付けられていることを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の現像剤収容器。
【請求項10】
前記撹拌部材の回転により、前記撹拌部の先端が、前記現像剤収容器の内周面、または前記現像剤収容器内に設けられたシャッタの内周面に対して摺動することを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の現像剤収容器。
【請求項11】
前記現像剤収容部は、前記回転軸の方向における両端に側壁部をそれぞれ有し、各側壁部に、前記現像剤収容部の内部に向かって突出する凸部を有していることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の現像剤収容器。
【請求項12】
前記撹拌部は、前記回転軸の方向の両端に、前記当接部をそれぞれ有することを特徴とする請求項1から11までの何れか1項に記載の現像剤収容器。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の現像剤収容器を備えたことを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項14】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の現像剤収容器を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項13に記載の画像形成ユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、現像剤を収容する現像剤収容器、並びに、現像剤収容器を備えた画像形成ユニットおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置は、画像形成ユニットに現像剤を供給するための現像剤収容器を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−175772号公報(図2および図11参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現像剤収容器の容量が大きくなるにつれて、現像剤収容器の内部に残留する現像剤が多くなり、現像剤を効率良く画像形成ユニットに供給することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、現像剤収容器から現像剤を効率良く供給できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る現像剤収容器は、現像剤を収容する現像剤収容部と、弾性変形可能な撹拌部を有し、現像剤収容部の内部に回転可能に設けられた撹拌部材とを備える。現像剤収容部は、撹拌部材の回転軸の方向における一端に側壁部を有する。側壁部に、現像剤収容部の内部に向かって突出する凸部が形成されている。凸部は、回転軸から離れるにつれて現像剤収容部の内側への突出量が大きくなる傾斜部を有する。撹拌部は、回転軸の方向に複数のスリットを有し、各スリットは回転軸に略直交する方向に延在する。撹拌部の側壁部に対向する端縁と、当該端縁に最も近いスリットとの間には、凸部に当接する短冊状の当接部が形成されている。当接部の回転軸の方向の幅は、複数のスリットのうち隣り合うスリットの間の部分の幅よりも狭い。
【0007】
本発明に係る画像形成ユニットは、上記の現像剤収容器を備える。本発明に係る画像形成装置は、上記の現像剤収容器を備える。本発明に係る画像形成装置は、また、上記の画像形成ユニットを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撹拌部と凸部との当接により、現像剤収容器の側壁部に振動を与え、側壁部に付着した現像剤を振り落すことができる。そのため、現像剤収容部内に残留する現像剤を減少させ、現像剤を効率よく供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の基本構成を示す図である。
図2】第1の実施の形態における画像形成ユニットの基本構成を、LEDヘッドおよび転写ローラと共に示す図である。
図3】第1の実施の形態における現像剤収容器の外観形状を示す斜視図である。
図4図3に示す線分IV−IVにおける矢視方向の断面図である。
図5】第1の実施の形態における撹拌部材の形状を示す斜視図である。
図6】第1の実施の形態における撹拌部材の概略形状を示す模式図である。
図7】第1の実施の形態における現像剤収容器の側壁部の形状を示す斜視図である。
図8】第1の実施の形態における撹拌部材と側壁部との位置関係を示す図である。
図9】第1の実施の形態における画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
図10】第1の実施の形態の変形例における撹拌部材と側壁部との位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の実施の形態.
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の基本構成を示す図である。画像形成装置1は、ここでは、電子写真法を用いて画像を形成する電子写真プリンタとして構成されている。但し、画像形成装置1は、プリンタに限らず、複写機、ファクシミリ装置、複合機等であってもよい。
【0011】
なお、画像形成装置1は、複数の画像形成ユニットを配列してカラー画像を形成するものであってもよいが、ここでは、説明の便宜上、単一の画像形成ユニット2を用いて単色(例えば黒色)の画像を形成するものとする。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置1は、記録媒体P(例えば印刷用紙)を収納する媒体収納部としての媒体カセット11と、媒体カセット11に収容された記録媒体Pを一枚ずつ給紙する媒体供給部としての給紙ローラ12と、給紙ローラ12によって給紙された記録媒体Pをさらに搬送する媒体搬送部としての搬送ローラ対13a,13bとを備えている。
【0013】
画像形成装置1は、画像情報に基づいて現像剤像(トナー像)を形成する画像形成ユニット2(プロセスユニットとも称する)と、画像形成ユニット2に形成された現像剤像を記録媒体Pの表面に転写する転写部材としての転写ローラ14とを備えている。画像形成ユニット2および転写ローラ14の構成については、後述する。
【0014】
画像形成装置1は、さらに、画像形成ユニット2によって記録媒体Pに転写された現像剤像を記録媒体Pに定着する定着部としての定着ユニット15を備えている。定着ユニット15は、例えば定着ローラ15aと加圧ローラ15bとを有し、熱および圧力により現像剤像を記録媒体Pに定着する。
【0015】
画像形成装置1は、さらに、定着ユニット15によって現像剤像が定着した記録媒体Pを排出口18に向けて搬送する排出ローラ対16a,16bと、記録媒体を排出口18から排出する排出ローラ対17a,17bと、排出口18から排出された記録媒体を載置するスタッカ部19とを備えている。
【0016】
上記の媒体カセット11、給紙ローラ12、搬送ローラ対13a,13b、排出ローラ対16a,16bおよび排出ローラ対17a,17bに沿って、記録媒体の搬送経路である媒体搬送路40が規定される。
【0017】
<画像形成ユニットの構成>
図2は、画像形成ユニット2の基本構成を、LEDヘッド23および転写ローラ14と共に示す図である。図2に示すように、画像形成ユニット2は、画像形成部20(画像形成ユニット本体)と、この画像形成部20の上部に着脱可能に取り付けられた現像剤収容器3とを有している。
【0018】
画像形成部20は、像担持体としての感光体ドラム21を有している。感光体ドラム21は、例えば金属性のシャフトの表面に感光層を形成したものである。感光体ドラム21は、駆動モータ96(図9)の駆動力により図中時計回りに回転する。感光体ドラム21の感光層は、電荷発生層および電荷輸送層を積層したものであり、電荷を蓄えることができ、露光によって当該電荷が減衰するものである。
【0019】
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21の回転方向に沿って、帯電部材としての帯電ローラ22と、露光部としてのLED(Light Emitting Diode)ヘッド23と、現像体担持体としての現像ローラ24と、転写部材としての転写ローラ14と、クリーニング部材としてのクリーニングブレード28とが配置されている。
【0020】
帯電ローラ22は、例えば金属性のシャフトの表面に導電性の弾性層を形成したものである。帯電ローラ22は、一定の圧力で感光体ドラム21の表面に接触し、感光体ドラム21に追従して回転する。帯電ローラ22は、帯電ローラ用電源86(図9)により帯電電圧が付与され、感光体ドラム21の表面を一様に帯電する。
【0021】
LEDヘッド23は、感光体ドラム21の上方に対向配置されている。LEDヘッド23は、ヘッド制御部91(図9)の制御により感光体ドラム21の表面にイメージデータに応じた光を照射し、感光体ドラム21の表面に静電潜像を形成する。なお、LEDヘッド23は、画像形成装置1の上部カバーに取り付けられている。
【0022】
現像ローラ24は、例えば金属性のシャフトの表面に導電性の弾性層を形成したものである。現像ローラ24は、一定の圧力で感光体ドラム21の表面に接触し、感光体ドラム21と反対方向に(すなわち、接触部における表面の移動方向が同方向となるように)回転する。現像ローラ24は、現像ローラ用電源87(図9)により現像電圧が付与され、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像を現像剤(トナー)により現像する。
【0023】
転写ローラ14は、例えば金属性のシャフトの表面に導電性の弾性層を形成したものである。転写ローラ14は、感光体ドラム21の下方に、感光体ドラム21との間で記録媒体Pを挟み込むように配置されている。転写ローラ14は、転写ローラ用電源90(図9)により転写電圧が付与され、感光体ドラム21の表面に形成された現像剤像を記録媒体Pに転写する。
【0024】
クリーニングブレード28は、例えばゴム製のローラまたはブレードであり、一定の圧力で感光体ドラム21の表面に接触している。クリーニングブレード28は、記録媒体に転写されずに感光体ドラム21の表面に残った現像剤を掻き落とす。クリーニングブレード28の下側には、クリーニングブレード28によって掻き落とされた現像剤(廃現像剤)を、画像形成ユニット2のサイドフレーム(図示せず)に搬送する搬送スパイラル29が設けられている。
【0025】
また、現像ローラ24の周囲には、供給部材としての供給ローラ26と、層規制部材としての現像ブレード27とが配置されている。供給ローラ26は、例えば金属製のシャフトの表面に発泡性の弾性層を形成したものである。供給ローラ26は、一定の圧力で現像ローラ24の表面に接触し、現像ローラ24と同方向に(すなわち、接触部における表面の移動方向が互いに反対方向となるように)回転する。供給ローラ26は、供給ローラ用電源88により供給電圧が付与され、現像ローラ24の表面に現像剤を付着させる。
【0026】
現像ブレード27は、例えば金属製の板部材を屈曲させたものであり、その屈曲部が一定の圧力で現像ローラ24の表面に接触している。現像ブレード27は、現像ブレード用電源89(図9)により電圧が印可される。現像ブレード27は、現像ローラ24の表面に付着した現像剤の層の厚さを規制することにより、一定の厚さの現像剤薄層(トナー薄層)を形成する。
【0027】
画像形成部20において現像ローラ24および供給ローラ26の上側の空間は、現像剤を保持する現像剤保持部25(トナーホッパ)を構成している。この現像剤保持部25に、現像剤収容器3から現像剤(図2に、符号4で示す)が供給される。現像剤収容器3の構成について、以下で説明する。
【0028】
<現像剤収容器の構成>
図3は、現像剤収容器3の外観形状を示す斜視図である。現像剤収容器3は、現像剤カートリッジ(トナーカートリッジ)とも称する。現像剤収容器3は、未使用の現像剤を収容する現像剤収容部30と、廃現像剤を収容する廃現像剤収容部31とを有している。ここでは、廃現像剤収容部31は、現像剤収容部30の下方に設けられている。
【0029】
現像剤収容器3は、現像剤収容部30に収容した現像剤を画像形成部20に供給するための供給口32(排出口)を有している。現像剤収容器3は、また、ユーザが現像剤収容器3を使用する際に操作するレバー部33と、レバー部33の操作と連動して供給口32を開閉する開閉部材としてのシャッタ34とを有している。
【0030】
図4は、図3に示す線分IV−IVにおける矢視方向の断面図である。図4に示した状態は、現像剤収容器3が画像形成部20に取り付けられており、画像形成動作が可能な状態である。現像剤収容部30は、例えば、第1円筒部301と第2円筒部302とを組み合わせた形状を有している。第1円筒部301および第2円筒部302は、いずれも略円筒形状を有している。
【0031】
第1円筒部301および第2円筒部302は、軸方向(長手方向)が互いに平行であり、第2円筒部302の大きさ(内径)は第1円筒部301よりも大きい。第1円筒部301の内側の空間と第2円筒部302の内側の空間とは、互いに連通している。
【0032】
第2円筒部302は、第1円筒部301の斜め上方に形成されている。すなわち、第2円筒部302に収容された現像剤が、重力によって第1円筒部301に移動するように構成されている。上記の供給口32は、第1円筒部301の底部で、且つ第1円筒部の軸方向中央に形成されている。また、上記の廃現像剤収容部31は、第2円筒部302の下方で、且つ第1円筒部301の斜め下方に形成されている。
【0033】
シャッタ34は、略円筒形状を有しており、第1円筒部301の内周面に沿って回転可能に設けられている。シャッタ34は、所定の回転位置において供給口32と重なり合うシャッタ開口34aを有している。また、シャッタ34は、第2円筒部302側に大きく開口する開口部34bを有しており、第2円筒部302内の現像剤が、開口部34bを経て第1円筒部301内のシャッタ34の内側領域に移動するようになっている。
【0034】
また、シャッタ34は、図3に示すように、軸方向の一端部が現像剤収容器3の外部に突出している。シャッタ34の突出端部には、レバー部33に設けられたギア部33aと噛み合うギア部34cが形成されている。また、レバー部33は、現像剤収容器の3の外側(より具体的には、第2円筒部302の外側)に回転可能に設けられている。ユーザは、レバー部33を把持して回転させることにより、シャッタ34を回転させることができる。
【0035】
ユーザがシャッタ34を回転させ、図4に示すようにシャッタ開口34aと供給口32とが重なり合うと、供給口32から画像形成部20に現像剤が供給される。一方、シャッタ34を図4に示す回転位置から回転させ、シャッタ開口34aと供給口32とが重なり合わない状態になると、供給口32がシャッタ34により閉鎖される。
【0036】
第1円筒部301の内部には、現像剤を撹拌する撹拌部材5が設けられている。撹拌部材5は、第1円筒部301の軸方向(現像剤収容器3の長手方向)に平行な回転軸5A(図5参照)を中心として回転可能である。撹拌部材5は、撹拌部としての撹拌フィルム51と、これを支持する支持部(回転部)としての撹拌バー52とを有している。
【0037】
撹拌部材5の回転軸5Aは、第1円筒部301の軸方向に直交する断面において、第1円筒部301の略中心に位置している。撹拌部材5は、駆動源である駆動モータ96(図9)の駆動力によって、図4に矢印R1で示す方向に回転する。
【0038】
撹拌フィルム51は、先端がシャッタ34の内周面に接触するように設けられている。撹拌部材5が回転すると、撹拌フィルム51の先端がシャッタ34の内周面に対して摺動する。
【0039】
第2円筒部302の内部には、現像剤を撹拌する撹拌部材6が設けられている。撹拌部材6は、第2円筒部302の軸方向(現像剤収容器3の長手方向)に平行な回転軸を中心として回転可能である。撹拌部材6は、撹拌フィルム61と、これを支持する撹拌バー62とを有している。
【0040】
撹拌部材6の回転軸は、第2円筒部302の軸方向に直交する断面において、第2円筒部302の略中心に位置している。撹拌部材6は、駆動源である駆動モータ96(図9)の駆動力によって、図4に矢印R1で示す方向に回転する。
【0041】
撹拌フィルム61は、先端が第2円筒部302の内周面に接触するように設けられている。撹拌部材6が回転すると、撹拌フィルム61の先端が第2円筒部302の内周面に対して摺動する。
【0042】
ここでは、撹拌フィルム51,61は、それぞれ熱カシメによって撹拌バー52,62に固定されている。但し、撹拌フィルム51,61の固定は熱カシメに限定されるものではなく、例えば、爪を用いた引っ掛けによる固定や、挟み込み部材を用いた挟み込み固定などを用いてもよい。
【0043】
第1円筒部301の軸方向の一端部には、側壁部35が形成されている。側壁部35には、第1円筒部301の内部に向けて突出する複数の凸部35aが形成されている。ここでは、側壁部35に3つの凸部35aが形成されているが、凸部35aの数は3つ未満でもよいし、4つ以上であってもよい。
【0044】
凸部35aは、後述するように撹拌フィルム51に当接することにより側壁部35に振動を付与するものである。凸部35aの少なくとも1つは、撹拌部材5の回転軸5Aに直交する断面(図4)において、供給口32と対向する位置に配置されていることが望ましい。撹拌フィルム51と凸部35aとの当接によって側壁部35から振るい落とされた現像剤が、効率よく供給口32に導かれるためである。
【0045】
また、第2円筒部302の軸方向の一端部には、側壁部37が形成されている。ここでは、側壁部37には凸部を設けていないが、凸部35aと同様の凸部を設けてもよい。
【0046】
図5は、第1の実施の形態における撹拌部材5の形状を示す斜視図である。図6は、撹拌部材5を、図5に矢印IVで示した方向から見た概略形状を示す模式図である。撹拌部材5は、上述した撹拌フィルム51と、撹拌バー52と、軸部53,54とを有している。
【0047】
撹拌バー52は一方向に長い長尺状の部材であり、撹拌バー52の中心軸は、上記の回転軸5Aと一致している。撹拌バー52の長手方向両端には、回転軸5Aを規定する軸部53,54が互いに同軸に形成されている。
【0048】
撹拌バー52の長手方向に沿って、撹拌フィルム51を取り付ける取付部52aが形成されている。取付部52aは、撹拌バー52の長手方向の中央部が回転軸5Aに最も接近し、長手方向の両端部に近づくほど回転軸5Aから離間するような傾斜を有している。言い換えると、取付部52aは、撹拌バー52の長手方向の中央部における回転軸5Aとの距離d1が、長手方向の両端部における回転軸5Aとの距離d2よりも短くなるように形成されている。
【0049】
撹拌フィルム51は、撹拌バー52の取付部52aの表面(取付面)に取り付けられている。撹拌フィルム51は、弾性変形可能な部材であり、例えばポリエステルやポリエチレンテレフタレートのように可撓性を有するものが望ましい。また、撹拌フィルム51の厚さは、例えば0.05〜0.20mmの範囲が望ましい。
【0050】
回転軸5Aから撹拌フィルム51の先端部51cまでの距離は、回転軸5Aからシャッタ34の内周面までの距離よりも大きい。従って、撹拌フィルム51の先端部51cは、シャッタ34の内周面に接触する。また、撹拌バー52が回転すると、撹拌フィルム51が撓んだ状態で(図4参照)、先端部51cがシャッタ34の内周面に対して摺動する。
【0051】
また、撹拌バー52の取付部52aが上記の傾斜(長手方向の中央部が回転軸5Aに最も接近し、両端部に近づくほど回転軸5Aから離間するような傾斜)を有しているため、撹拌フィルム51は、長手方向の両端が中央部よりも回転方向(矢印R1)に先行するように回転する。このような回転により、撹拌フィルム51が現像剤を長手方向中央(すなわちシャッタ開口34aおよび供給口32)に向けて搬送しやすくなる。
【0052】
また、撹拌フィルム51の長手方向中央部の所定の領域Kでは、撹拌フィルム51の先端部51cが他の領域よりも突出している。従って、撹拌フィルム51はこの領域Kにおいて最も撓んだ状態で、シャッタ34の内周面に対して摺動する。
【0053】
図6に示すように、回転軸5Aの方向における撹拌フィルム51の長さをH1とし、同方向における撹拌バー52の取付部52aの長さをH2とすると、H1>H2が成立する。すなわち、回転軸5Aの方向において、撹拌フィルム51は撹拌バー52の取付部52aから突出しており、その突出した部分が側壁部35の凸部35aに当接するようになっている。また、撹拌フィルム51は、回転軸5Aに直交する方向においても、撹拌バー52の取付部52aから突出している。
【0054】
撹拌フィルム51には、複数のスリット51b(切込み)が設けられている。各スリット51bは、回転軸5Aに直交する方向に延在している。図5に示した例では、撹拌フィルム51に8つのスリット51bが形成されているが、スリット51bの数は8つに限定されるものではない。
【0055】
撹拌フィルム51の長手方向の一端縁51e(以下、端縁51eと称する)と、この端縁51eに最も近いスリット51bとの間の部分は、短冊部51aを構成している。撹拌フィルム51の短冊部51aは、回転軸5Aの方向において、撹拌バー52の取付部52aよりも突出した位置にある。
【0056】
図7は、第1円筒部301の軸方向の一端部に形成された側壁部35を示す斜視図である。側壁部35は、第1円筒部301の内部に向けて突出する複数の凸部35aが形成されている。側壁部35には、ここでは、回転軸5Aを中心とする回転方向に3つの凸部35aが形成されているが、凸部35aの数は3つ未満でもよいし、4つ以上であってもよい。側壁部35は、略円形状を有しており、上述した凸部35aは側壁部35の外周に沿って配置されている。
【0057】
側壁部35の中央には、第1円筒部301の内部に向けて突出する軸受部35bが形成されている。軸受部35bは、撹拌部材5の軸部53に係合して回転可能に支持するものである。軸受部35bの中心軸35dは、撹拌部材5の回転軸5Aと一致する。
【0058】
符号35cは、側壁部35の壁面、すなわち、第1円筒部301の内側(現像剤収容部30の内側)を向く面である。側壁部35の壁面35cから凸部35aの先端までの長さD2は、各凸部35aとも略同じである。
【0059】
各凸部35aは、その回転軸5A側に、傾斜面35eを有している。傾斜面35eは、中心軸35d(回転軸5A)からの距離が増加するにつれて、第1円筒部301の内側(現像剤収容部30の内側)への突出量が大きくなる傾斜を有している。凸部35aと撹拌フィルム51とが当接した際の、撹拌フィルム51に加わる負荷を軽減するためである。
【0060】
図8は、撹拌部材5と側壁部35との位置関係を示す図を示す。説明の便宜上、現像剤収容器3の他の部材は省略している。側壁部35の軸受部35bには、撹拌部材5の軸部53が係合している。第1円筒部301の側壁部35と対向する側壁部36(図10参照)にも、軸受部35bと同様の軸受部36bが設けられており、撹拌部材5の軸部53,54を回転可能に支持している。
【0061】
図8において、撹拌フィルム51の短冊部51aは、側壁部35に当接している。回転軸5Aの方向における撹拌フィルム51の短冊部51aの長さ(端縁51eからスリット51bまでの距離)D1と、同方向における側壁部35の凸部35aの長さ(壁面35cから凸部35aの先端までの距離)D2は、D1>D2の関係を満足することが望ましい。撹拌フィルム51と凸部35aとの当接による側壁部35からの現像剤の振るい落とし効果を達成しつつ、撹拌部材5の回転負荷の増加を抑制するためである。
【0062】
より具体的には、D2<D1≦1.5×D2を満足することが望ましい。ここでは、D1=1.2×D2としている。
【0063】
また、撹拌部材5の回転軸5Aからスリット51bまでの距離L1(図5)と、側壁部35の中心軸35dから凸部35aの根元までの距離L2(図7)は、L1<L2の関係を満足することが望ましい。撹拌フィルム51と凸部35aとの当接による側壁部35からの現像剤の振るい落とし効果を達成しつつ、撹拌部材5の回転負荷の増加を抑制するためである。
【0064】
より具体的には、1.3×L1≦L2≦1.8×L1を満足することが望ましい。ここでは、L2=1.5×L1としている。
【0065】
<画像形成装置の制御系>
次に、画像形成装置1の制御系について説明する。図9は、画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。画像形成装置1は、制御部80と、I/F(インタフェース)制御部81と、受信メモリ82と、画像データ編集メモリ83と、操作部84と、センサ群85と、帯電ローラ用電源86と、現像ローラ用電源87と、供給ローラ用電源88と、現像ブレード用電源89と、転写ローラ用電源90と、ヘッド制御部91と、定着制御部92と、ドラム駆動制御部93と、定着駆動制御部94と、搬送制御部95と、駆動モータ96と、定着モータ97と、搬送モータ98とを備えている。
【0066】
制御部80は、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポート、タイマ等を有している。制御部80は、パーソナルコンピュータ等の上位装置からI/F制御部81を介して印刷データおよび制御コマンドを受信し、画像形成装置1の画像形成動作を実行する。
【0067】
受信メモリ82は、上位装置からI/F制御部81を介して入力された印刷データを一時的に記憶する。画像データ編集メモリ83は、受信メモリ82に記憶した印刷データを受け取ると共に、その印刷データを編集処理することによって形成された画像データ、すなわちイメージデータを記録する。
【0068】
操作部84は、画像形成装置1の状態を表示するための表示部と、操作者が指示を入力するための操作部とを備える。センサ群85は、画像形成装置1の動作状態を監視するための各種センサ、例えば記録媒体Pの位置を検出する媒体位置センサや温湿度センサ等を含む。
【0069】
帯電ローラ用電源86は、帯電ローラ22に、感光体ドラム21の表面を一様に帯電させるための帯電電圧を印加する。現像ローラ用電源87は、現像ローラ24に、感光体ドラム21の表面の静電潜像を現像するための現像電圧を印加する。
【0070】
供給ローラ用電源88は、供給ローラ26に、現像剤を現像ローラ24に供給するための供給電圧を印加する。現像ブレード用電源89は、現像ブレード27に、現像ローラ24上に現像剤薄層を形成するための電圧を印加する。転写ローラ用電源90は、転写ローラ14に、感光体ドラム21の現像剤像を記録媒体Pに転写するための転写電圧を印加する。
【0071】
ヘッド制御部91は、画像データ編集メモリ83に記録されたイメージデータに基づき、LEDヘッド23の発光を制御する。
【0072】
定着制御部92は、温度調節回路を有し、定着ユニット15に設けた温度センサ(例えばサーミスタ)の出力信号に基づき、定着ローラ15aのヒータに所定の電流を供給する。
【0073】
ドラム駆動制御部93は、感光体ドラム21、現像ローラ24、供給ローラ26等を回転させるための駆動モータ96(ドラム駆動モータ、IDモータとも称する)の回転を制御する。現像剤収容器3の撹拌部材5,6は、駆動モータ96の回転伝達によって回転する。
【0074】
定着駆動制御部94は、定着ユニット15の定着ローラ15aを回転させるための定着モータ97の回転を制御する。なお、排出ローラ16aおよび排出ローラ17aも、定着モータ97からの回転伝達によって回転する。
【0075】
搬送制御部95は、記録媒体を搬送する給紙ローラ12および搬送ローラ13aを回転させるための搬送モータ98の回転を制御する。
【0076】
<画像形成装置の基本動作>
以上のように構成された画像形成装置1の基本動作は、以下のとおりである。まず、画像形成装置1の制御部80は、上位装置からI/F制御部81を介して印刷コマンドと印刷データを受信すると、画像形成動作を開始する。制御部80は、受信メモリ82に印刷データを一時的に記録し、記録した印刷データを編集処理してイメージデータを生成し、画像データ編集メモリ83に記録する。
【0077】
制御部80は、また、搬送制御部95により搬送モータ98を駆動させる。これにより、給紙ローラ12が回転し、媒体カセット11に収納された記録媒体Pを一枚ずつ媒体搬送路40に送り出す。また、搬送ローラ対13a,13bが回転し、記録媒体Pを媒体搬送路40に沿って画像形成ユニット2に向けて搬送する。
【0078】
制御部80は、また、画像形成ユニット2において現像剤像の形成を行う。すなわち、制御部80は、帯電ローラ22、現像ローラ24、供給ローラ26および現像ブレード27に対し、帯電ローラ用電源86、現像ローラ用電源87、供給ローラ用電源88および現像ブレード用電源89からそれぞれ電圧を印加する。
【0079】
制御部80は、また、ドラム駆動制御部93により駆動モータ96を回転させ、感光体ドラム21を回転させる。感光体ドラム21の回転に伴って、帯電ローラ22、現像ローラ24、供給ローラ26および撹拌部材5,6も回転する。帯電ローラ22は、感光体ドラム21の表面を一様に帯電させる。
【0080】
制御部80は、画像データ編集メモリ83に記録されているイメージデータをヘッド制御部91に送る。ヘッド制御部91は、イメージデータに応じてLEDヘッド23を発光させ、感光体ドラム21の表面を露光し、静電潜像を形成する。
【0081】
画像形成ユニット2の現像剤保持部25には、現像剤収容器3から補給された現像剤が保持されている。現像剤保持部25内の現像剤は、供給ローラ26によって現像ローラ24に供給され、現像ローラ24の表面に付着する。現像ローラ24の表面に付着した現像剤は、現像ブレード27によって一定の厚さに規制され、現像剤薄層(トナー薄層)となる。
【0082】
感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像は、現像ローラ24に付着した現像剤によって現像され、感光体ドラム21の表面に現像剤が形成される。感光体ドラム21の表面の現像剤像が感光体ドラム21と帯電ローラ22とのニップ部に到達するタイミングで、記録媒体の先端が当該ニップ部に到達する。制御部80は、転写ローラ用電源90から転写ローラ14に転写電圧を印加し、現像剤像が感光体ドラム21から記録媒体に転写される。
【0083】
現像剤像が転写された記録媒体Pは、感光体ドラム21と転写ローラ14の回転によってさらに搬送され、定着ユニット15に到達する。定着ユニット15では、定着ローラ15aおよび加圧ローラ15bが既に回転しており、定着ローラ15aの表面温度は定着制御部92によって所定の定着温度に達している。記録媒体Pは、定着ローラ15aと加圧ローラ15bによって加熱および加圧され、現像剤像が記録媒体Pに定着する。
【0084】
現像剤像が定着した記録媒体Pは、排出ローラ対16a,16bにより排出口18に向けて搬送され、排出ローラ対17a,17bにより排出口18から外部に排出される。排出された記録媒体Pは、スタッカ部19上に積載される。これにより画像形成が完了する。
【0085】
また、記録媒体Pに転写されなかった現像剤(廃現像剤)は、クリーニングブレード28によって掻き取られ、搬送スパイラル29によって画像形成ユニット2のサイドフレームに搬送され、現像剤収容器3の廃現像剤収容部31(図4)に貯蔵される。
【0086】
<現像剤収容器の作用>
現像剤収容器3の作用について、図4を参照して説明する。現像剤収容器3の現像剤収容部30では、駆動モータ96の駆動力によって、第1円筒部301内の撹拌部材5と、第2円筒部302内の撹拌部材6とが、それぞれ矢印R1,R2で示す方向に回転する。
【0087】
撹拌部材5がR1方向に回転すると、撹拌フィルム51はシャッタ34の内周面に接触しながら回転し、シャッタ34の内周面に付着した現像剤を掻き落とす。また、撹拌部材6がR12方向に回転すると、撹拌フィルム61は第2円筒部302の内周面に接触しながら回転し、第2円筒部302の内周面に付着した現像剤を掻き落とす。
【0088】
撹拌フィルム51によってシャッタ34の内周面から掻き落とされた現像剤は、撹拌フィルム51の上述した傾斜(長手方向両端部が中央部よりも回転方向に先行する傾斜)のため、シャッタ34の中央に配置されたシャッタ開口34aに向かって搬送される。
【0089】
シャッタ34のシャッタ開口34aに到達した現像剤は、シャッタ開口34aおよび供給口32を介して、画像形成部20の現像剤保持部25に供給され、上述した静電潜像の現像に使用される。
【0090】
<撹拌部材の作用>
次に、撹拌部材5の作用について、図8を参照して説明する。撹拌部材5がR1方向に回転すると、撹拌フィルム51と側壁部35の複数の凸部35aとが繰り返し当接(衝突)する。撹拌フィルム51と凸部35aとの当接により、側壁部35に振動が付与される。側壁部35の振動によって、側壁部35の壁面35cに付着している現像剤(すなわち、撹拌フィルム51の接触だけでは掻き落とすことができなかった現像剤)を振るい落とすことができる。
【0091】
振るい落とされた現像剤は、撹拌フィルム51によってシャッタ開口34aに向けて搬送され、供給口32を介して画像形成部20に供給される。これにより、現像剤収容部30内に残留する現像剤を減少させ、現像剤を効率よく画像形成部20に供給することができる。
【0092】
本実施の形態では、撹拌フィルム51において側壁部35の凸部35aと当接する側の端部が、短冊部51aとなっている。短冊部51aは、スリット51bによって撹拌フィルム51の他の部分から分けられており、独立して撓むことができる。そのため、凸部35aとの当接によって撹拌フィルム51の全体が撓む構成と比較して、撹拌部材5の駆動源である駆動モータ96の負荷の増加抑制することができる。
【0093】
ここで、回転軸5Aの方向における撹拌フィルム51の短冊部51aの長さD1が、同方向における側壁部35の凸部35aの長さ(壁面35cからの突出量)D2未満である場合(すなわちD1<D2が成立する場合)、凸部35aと撹拌フィルム51との当接の影響が撹拌フィルム51の全体に及ぶため、駆動モータ96の負荷が大きくなる。
【0094】
一方、回転軸5Aの方向における撹拌フィルム51の短冊部51aの長さD1が、同方向における側壁部35の凸部35aの長さD2の1.5倍よりも大きい場合(すなわちD1>1.5×D2が成立する場合)、撹拌フィルム51と凸部35aとの当接によって側壁部35に付与される振動が小さくなり、側壁部35に付着している現像剤を振るい落とす効果が小さくなる。
【0095】
そのため、回転軸5Aの方向における撹拌フィルム51の短冊部51aの長さD1と、同方向における側壁部35の凸部35aの長さD2とは、D2≦D1≦1.5×D2を満足することが望ましい。なお、1.5という数値は、実験的に得られたものである。
【0096】
また、撹拌部材5の回転軸5Aから撹拌フィルム51のスリット51bまでの距離L1(図5)が、側壁部35の中心軸35dから凸部35aの根元までの距離L2(図7)の1.3倍よりも小さい場合(すなわちL2<1.3×L1)、凸部35aと撹拌フィルム51との当接の影響が撹拌フィルム51の全体に及ぶため、駆動モータ96への負荷が大きくなる。
【0097】
一方、撹拌部材5の回転軸5Aから撹拌フィルム51のスリット51bまでの距離L1が、側壁部35の中心軸35dから凸部35aの根元までの距離L2の1.8倍よりも大きい場合(すなわちL2>1.8×L1)、撹拌フィルム51と凸部35aとの当接によって側壁部35に付与される振動が小さくなり、側壁部35に付着している現像剤を振るい落とす効果が小さくなる。
【0098】
そのため、撹拌部材5の回転軸5Aから撹拌フィルム51のスリット51bまでの距離L1と、側壁部35の中心軸35dから凸部35aの根元までの距離L2とは、1.3×L1≦L2≦1.8×L1を満足することが望ましい。なお、1.3および1.8という数値は、いずれも実験的に得られたものである。
【0099】
また、本実施の形態では、回転軸5Aの方向において撹拌フィルム51が撹拌バー52よりも突出しており、その突出部分(短冊部51a)が凸部35aに当接するため、撹拌フィルム51のみを撓ませることができ、駆動モータ96の負荷の増加を抑制することができる。
【0100】
また、撹拌フィルム51が、回転軸5Aの方向において撹拌バー52よりも突出し、その突出部分が凸部35aに当接するよう構成することで、撹拌フィルム51のみを撓ませることができ、駆動モータ96の負荷の増加を抑制することができる。
【0101】
また、凸部35aが傾斜面35e(図7)を有することにより、撹拌フィルム51が凸部35aに当接した際に傾斜面35eに沿ってスムースに変形することができる。そのため、撹拌フィルム51に加わる負荷を軽減し、損傷を防止することができる。
【0102】
側壁部35の複数の凸部35aの少なくとも1つを、撹拌部材5の回転軸5Aに直交する断面(図4)において供給口32と対向する位置に配置することにより、撹拌フィルム51と凸部35aとの当接によって側壁部35から振るい落とされた現像剤を、撹拌フィルム51によって効率よくシャッタ開口34a(供給口32)に搬送することができる。
【0103】
<実施の形態の効果>
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態では、撹拌部材5の撹拌フィルム51を側壁部35の凸部35aと当接せることにより、側壁部35に振動を付与し、その振動によって、側壁部35の壁面35cに付着している現像剤を振るい落とすことができる。そのため、現像剤収容器3内に残留する現像剤を少なくすることができ、現像剤を効率よく供給することができる。
【0104】
また、撹拌フィルム51が側壁部35の凸部35aに当接した際に、撹拌フィルム51の端部の短冊部51aが撓むように構成することで、撹拌部材5の駆動源である駆動モータ96の負荷の増加を抑制することができる。
【0105】
<変形例>
なお、上記の実施の形態では、現像剤収容器3の長手方向一端の側壁部35に凸部35aを設けたが、現像剤収容器3の長手方向両端の側壁部35,36に凸部35a,36aを設けてもよい。図10は、現像剤収容器3の側壁部35,36に凸部35a,36aを設けた変形例を示す図である。
【0106】
図10において、側壁部36は、現像剤収容器3の長手方向中央に対して側壁部35と対称な形状を有している。すなわち、側壁部36は、撹拌部材5の軸部54を支持する軸受部36bと、現像剤収容部30の内側に面する壁面36cと、現像剤収容部30の内側に向かって突出する凸部36aとを有している。
【0107】
両側壁部35,36に凸部35a,36aが設けられているため、撹拌フィルム51が凸部35a,36aに当接し、両側壁部35,36を振動させ、現像剤の振るい落とし効果をさらに高めることができる。
【0108】
この場合、撹拌フィルム51の長手方向の両側に、短冊部51aを設けることが望ましい。このようにすれば、撹拌フィルム51に凸部35a,36aが当接した際に、撹拌フィルム51の両端部の短冊部51aのみが撓むため、撹拌部材5の駆動源である駆動モータ96の負荷の増加を抑制することができる。
【0109】
また、上記の実施の形態では、現像剤収容器3の2つの円筒部301,302のうち、円筒部301の側壁部35に凸部35aを設けたが、さらに円筒部302の側壁部37(図4)に凸部を設けてもよい。このように構成すれば、撹拌部材6の撹拌フィルム61(図4)と円筒部302の側壁部37の凸部との当接により、側壁部37に付着した現像剤を振るい落とすことができる。
【0110】
また、上記の実施の形態では、現像剤収容器3が2つの円筒部301,302を有する構成について説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。
【0111】
また、上記の実施の形態では、撹拌部材5の撹拌フィルム51が略円筒状のシャッタ34の内周面に対して摺動するように構成したが、シャッタの形状によっては、撹拌部材5の撹拌フィルム51が現像剤収容部の内周面に対して摺動する構成も可能である。
【0112】
上記の実施の形態では、現像剤収容器を備えたプリンタについて説明したが、本発明は、ファクシミリ装置、複写機、およびそれらの機能を複合的に有する複合装置等の画像形成装置および画像形成ユニットにも適用することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 画像形成装置、 2 画像形成ユニット、 3 現像剤収容器、 30 現像剤収容部、 31 廃現像剤収容部、 32 供給口、 34 シャッタ(開閉部材)、 34a シャッタ開口、 35,36 側壁部、 35a,36a 凸部、 35b,36b 軸受部、 35c,36c 壁面、 5 撹拌部材、 5A 回転軸、 51 撹拌フィルム(撹拌部)、 51a 短冊部(当接部)、 51b スリット、 52 撹拌バー(支持部)、 53,54 軸部、 6 撹拌部材、 61 撹拌フィルム(撹拌部)、 80 制御部、 96 駆動モータ(駆動源)、 301 第1円筒部、 302 第2円筒部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10