【実施例】
【0017】
図1は、本発明の一実施例である屋内用植物栽培装置10を示す正面図であり、
図2は、その屋内用植物栽培装置10の支持ケーブル20を除去して示す斜視図であり、
図3はその
図2の屋内用植物栽培装置10の平面を示す図である。なお、
図1では、左右対象であるため、左半分が省略されて示されている。
【0018】
図1、
図2、および
図3において、屋内用植物栽培装置10は、光源12を支持する支柱14が中心から立設された円盤状の基台16を備えている。光源12は、たとえば蛍光灯或いはLEDを含む円板状であって、光合成に有効な波長帯の光、たとえば可視光領域を含む400〜700nm程度の波長域を有する光を、光合成に有効な光量で、連続光またはパルス光で出力する。
【0019】
屋内用植物栽培装置10は、支柱14の軸心Cを中心軸とする逆円錐面CSの複数本の母線Mに沿って長手方向に移動可能に配設され、複数の植栽容器Bが所定間隔で着脱可能に装着された無端環状の複数本の支持ケーブル20を備え、複数の植栽容器Bにそれぞれ植えられた複数の植物Pを、支柱14の軸心Cを中心とする逆円錐面CSに沿って配置して光源12からの光を受けて、その逆円錐面CSの母線Mに沿って移動させつつ育成する。逆円錐面CSは、支柱14の軸心Cを中心とする小径の下部円DCと、支柱14の軸心Cを中心とするそれより大径の上部円UCとの間に形成されている。
えている。
【0020】
屋内用植物栽培装置10は、無端環状の支持ケーブル20を支持するために支柱14の上部から水平方向外向きに且つ周方向等間隔で突設された複数本の支持アーム22と、その支持アーム22の先端部に配設されて、上部円UCに沿って周方向に等間隔で配置された複数個の上部滑車24aおよび24bと、支柱14または基台16に設けられ下部円DCに沿って周方向に等間隔で配置された複数個の下部滑車26と、送りローラ28を出力軸に有して基台16に設けられた、送り装置として機能する複数の減速機30とを、備えている。支持ケーブル20は、送りローラ28、下部滑車26、上部滑車24aおよび24bに順次巻き掛けられて所定の張力が付与されている。
【0021】
減速機30は、送りローラ28が装着された出力軸とともに回転する図示しないウオームホイールと、図示しない電動機或いは操作ハンドルとともに回転してそのウオームホイールに噛み合うウオームとを備えるウオーム型減速機であり、図示しない電動機或いは操作ハンドルから入力される操作力によって出力軸が回転するが、たとえば支持ケーブル20からトルクが加えられて力軸が回転しないという制動機能を有する特徴がある。
【0022】
以上のように構成された本実施例の屋内用植物栽培装置10は、
図1或いは
図2に示すように、植物Pがそれぞれ植えられた複数の植栽容器Bが支持ケーブル20に装着された状態で、光源12からの光を受けて育成する。このとき、逆円錐面CSの内部の大径側に位置する光源12から光線が放射されるので、複数の植物Pはその位置に拘わらず光線を直接的に略均等に受けることができ、しかも複数の植物Pが光源12を覆っているので、単一の光源12の照射効率すなわち利用効率が大幅に高くされている。
【0023】
また、植物Pに対する水やりは、光源12の下側に支持アーム22に設けたスプレイノズル32を用いて行なわれる。この場合、光源12の場合と同様に、逆円錐面CSの内部の大径側に位置するスプレイノズル32から水が噴射されるので、複数の植物Pはその位置に拘わらず上記の水の噴射を直接的に略均等に受けることができ、しかも複数の植物Pがスプレイノズル32を覆っているので、単一のスプレイノズル32の噴射効率すなわち利用効率が大幅に高くされている。
【0024】
植物Pのうち、生育にしたがって大きくなった植物Pの植栽容器Bは支持ケーブル20から取り外されて、1ピッチ分支持ケーブル20が送られた後、新たな小さな植物Pが植栽された植栽容器Bが下側位置に追加される。このとき、植物Pの大きさに合わせて、支持ケーブル20は任意の位置で固定される。たとえば、上側に位置する植物Pが最も光源12に接近する位置に固定し、その植物Pの成長に応じてその植物Pが植栽されている植栽容器Bの位置を逐次下降させることもできる。また、支持ケーブル20毎に、成長速度が異なる異種の植物Pを植栽した植栽容器Bを装着することで、その異種の植物Pの成長或いは必要照射量に適合した送りを行なうことができるので、同時に複数種類の植物を生育させることもできる。
【0025】
上述のように、本実施例の屋内用植物栽培装置10よれば、複数の植栽容器Bが、支柱14の軸心Cを中心軸とする逆円錐面CSの複数本の母線Mに沿って配設された支持ケーブル20に、所定間隔で着脱可能に装着されている結果、支柱14の軸心Cを中心軸とする逆円錐面CSに沿って位置するので、単一の光源12により各植栽容器Bに植えられた植物Pに対する照射が、高い効率で行なわれる。また、ウオーム型減速機30(送り装置)によって支持ケーブル20をそれぞれ送ることができるので、その植物Pの育成状況や必要照射量のばらつきに対応した照射量の調整が可能となる。特に、異種植物を育成する場合にはその効果が重要となる。
【0026】
また、本実施例の屋内用植物栽培装置10によれば、支柱14の上部には、支持ケーブル20を支持するための複数本の支持アーム22が突設され、支持ケーブル20の上部は、その支持アーム22に直接または間接的に支持される。このため、支持ケーブル20は、支柱14の軸心Cを中心軸とする逆円錐面CSの複数本の母線Mに沿って配設される。
【0027】
また、本実施例の屋内用植物栽培装置10によれば、支柱14の軸心Cを中心とする上部円UCに沿って周方向に等間隔で配置された複数個の上部滑車24a、24bが、支持アーム22に直接または間接的に設けられ、支柱14の軸心Cを中心とする下部円DCに沿って周方向に等間隔で配置された複数個の下部滑車26が、支柱14または基台16に設けられ、複数本の支持ケーブル20は、上部滑車24a、24bおよび下部滑車26にそれぞれ巻き掛けられた無端環状ケーブルである。このため、複数本の支持ケーブル20は、上部滑車および下部滑車にそれぞれ巻き掛けられた無端環状ケーブルから構成されるので、ケーブルを巻くためのロールが不要となる。
【0028】
また、本実施例の屋内用植物栽培装置10によれば、支持ケーブル20の送り装置は、無端環状の支持ケーブル20のうち、母線Mに沿った部分を除いた部分を巻き掛ける送りローラ28と、送りローラ28に操作力を伝達するウオーム型減速機30と、そのウオーム型減速機30に操作力を入力する電動機または操作ハンドルとを有するものである。このため、電動機または操作ハンドルから減速機に操作力が入力されると、無端環状の支持ケーブル20が容易に長手方向に移動させられ、複数の植栽容器Bの位置が変更される利点がある。
【0029】
また、本実施例の屋内用植物栽培装置10によれば、減速機として、基台16に設けられたウオーム型減速機30が用いられる。このウオーム型減速機30は入力軸のトルクが零でも出力軸に制動トルクが作用するので、非操作時に無端環状ケーブルが複数の植栽容器の荷重によって動くことを止めるための制動装置が不要となる。
【0030】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0031】
たとえば、前述の実施例においては、支柱14は、ケーブルの内側において基台16から立設された比較的小径のものであったが、基台16の外周縁から立設された軸心Cを中心軸とする比較的大径の円筒状或いは角筒状の支柱であってもよい。この場合の支持アーム22は、内向きに突設される。また、支柱14は、その円筒状或いは角筒状の支柱が周方向において分割されたような複数本の支柱群から構成されたものであってもよい。
【0032】
また、前述の実施例においては、光源12の下にアームが突設されていたが、アームの下に光源12が支持されていてもよい。
【0033】
また、前述の実施例においては、上部滑車24a、24bが支持アーム22に直接設けられて支持ケーブル20は支持アーム22に直接的に支持されたものであったが、上部滑車24a、24bが支持アーム22間に架け渡された環状の部材に設けられたものでもよい。この場合、支持ケーブル20は、支持アーム22にまたは間接的に支持される。
【0034】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。