(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148685
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】2つの光学部品のための個別調節可能マウントアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G02B 7/00 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
G02B7/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-553616(P2014-553616)
(86)(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公表番号】特表2015-505077(P2015-505077A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】DE2013100017
(87)【国際公開番号】WO2013113309
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2016年1月12日
(31)【優先権主張番号】102012100784.5
(32)【優先日】2012年1月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513155138
【氏名又は名称】イェノプティック オプティカル システムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100074538
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 徹
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ ライヒマン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン フランツ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ボルンシャイン
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ベニング
【審査官】
殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−536466(JP,A)
【文献】
特表2013−501249(JP,A)
【文献】
特開2004−146792(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0145821(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00 − 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの光学部品を相互に対して調節するための、個別調節可能なマウントアセンブリであって、回転マウント(1)と、直線移動マウント(2)と、を有し、
a)前記回転マウント(1)と前記直線移動マウント(2)の各々は、外側マウントフレーム(1.1、2.1)と、内側マウントフレーム(1.2、2.2)を含み、その各々が回転軸(4)に対して垂直な平面内に配置された操作可能な固体ジョイント(1.4、2.4)と、強制的に偏向された少なくとも2つの固体ジョイント(1.5、2.5)を介して相互に一体に連結され、前記操作可能な固体ジョイント(1.4、1.5)を操作するための作動要素(3)があり、各々、光学部品(1.3、2.3)が前記内側マウントフレーム(1.2、2.2)の中に固定され、
b)前記回転マウント(1)は操作可能な固体ジョイントのうちの正確に1つ(1.4)を有し、そこに前記作動要素(3)のうちの1つが作用し、前記回転マウントの前記強制的に偏向された固体ジョイント(1.5)は、前記回転マウント(1)の回転中心に向かう方向において剛性となるように実装され、この操作可能な固体ジョイント(1.4)と前記回転マウントの前記強制的に偏向された固体ジョイント(1.5)は、作動のための移動がこの作動要素(3)を介して起こされた時に、その前記内側マウントフレーム(1.2)がその前記外側マウントフレーム(1.1)に対して前記回転軸(4)の周囲で調整角度だけ回転するように設計され、相互に対して配置され、
c)前記直線移動マウント(2)は操作可能な固体ジョイントのうちの正確に2つ(2.4)を有し、そこに、各場合において、前記作動要素(3)のうちの1つが作用し、前記直線移動マウントの前記強制的に偏向された固体ジョイント(2.5)は、前記直線移動マウント(2)の中心に向かう方向に対して垂直な方向おいて剛性であり、これらの操作可能な固体ジョイント(2.4)と前記直線移動マウントの前記強制的に偏向された固体ジョイント(2.5)は、作動のための移動がその前記2つの作動要素(3)のうちの1つ目を介してその前記操作可能な固体ジョイント(2.4)のうちの一方に対して起こされた時に、その前記内側マウントフレーム(2.2)がその前記外側マウントフレーム(2.1)に対してx方向に調整距離だけ直線移動し、作動のための移動がその前記2つの作動要素(3)のうちの2つ目を介してその前記操作可能な固体ジョイント(2.4)の他方に対して起こされた時に、その前記内側マウントフレーム(2.2)がその前記外側マウントフレーム(2.1)に対してy方向に調整距離だけ直線移動し、前記x方向と前記y方向が相互に対して、および前記回転軸(4)に対して垂直であるように設計され、相互に対して配置され、
d)前記回転マウントの前記外側マウントフレーム(1.2)と前記直線移動マウントの前記外側マウントフレーム(2.1)が相互に連結されて、これらが相互に対して調節、固定可能であり、
前記操作可能な固体ジョイント(1.4、2.4)が、移動の点で考えた時に、これらの各々が前記外側マウントフレーム(1.1、2.1)に回転可能に取り付けられたレバーを構成するように形成され、前記レバーが、そこに前記作動要素(3)が作用する第一の自由端と、カプラの一端に連結された第二の端を有し、前記カプラの他端は前記内側マウントフレーム(1.2、2.2)に連結され、
前記直線移動マウントの前記強制的に偏向された固体ジョイント(2.5)の2つが、相互に直角を成す等しい長さのレバーアームを有する曲がったカプラとして実装され、
前記直線移動マウントの操作可能な固体ジョイントの各々(2.4)に強制的に案内された固体ジョイント(2.5)が割り当てられ、前記操作可能な固体ジョイント(2.4)の各々の前記カプラの延長線が、前記曲がったカプラを通る対称線として延びるようにされ、
前記直線移動マウント(2)の前記中心は、前記操作可能な固体ジョイント(2.4)の前記カプラの延長線が、交差する点であることを特徴とする、
マウントアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のマウントアセンブリにおいて、
前記回転マウント(1)が少なくとも2つの強制的に偏向された固体ジョイント(1.5)を有し、これらは直線的なカプラとして実装され、その想像上の延長線が前記回転マウント(1)の前記回転中心において交差するように、相互に対して配置されることを特徴とするマウントアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のマウントアセンブリにおいて、
前記回転マウントの前記操作可能な固体ジョイント(1.4)が、前記外側マウントフレーム(1.1)を前記内側マウントフレーム(1.2)に、その前記カプラが前記回転中心に対して接線方向に配置されるように連結することを特徴とするマウントアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載のマウントアセンブリにおいて、
前記直線移動マウントの前記操作可能な固体ジョイント(2.4)が、その前記カプラの延長線が90°の角度で交差するように相互に対して配置されることを特徴とするマウントアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2つの光学部品を、有利には2つの光学部品の共通光学軸である回転軸に対して垂直なx−y平面内での直線移動および前記回転軸の周囲での回転によって相互に対して極めて正確に調節できる、調節可能マウントアセンブリに関する。このようなマウントは特に、前後に配置されたマイクロレンズアレイと開口絞りアレイを、相互に対して調節されるように方向付けしなければならない、いわゆる空間フィルタの取付に使用できる。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,876,494 B2号明細書は、光が所定の構造化パターンでウェハ上に投影され、この光が微小光学部品を介して空間的に変調される装置を開示している。変調の質のためには、とりわけ、その装置に含まれるマイクロレンズアレイを、マイクロレンズアレイの光軸の方向においてマイクロレンズアレイの背後に配置された、それに対応する開口絞りに対して高精度で調節することが重要となる。マイクロレンズアレイの光軸とは、マイクロレンズアレイの個々のレンズの個々の光軸の多様性から、中心軸であると理解される。
【0003】
米国特許第6,876,494 B2号明細書で開示されている装置の基礎となっているのは特開第2001−21830号公報に記載されている先行技術であり、それによれば、概して同等の装置において、開口絞りアレイがマイクロレンズアレイに対して位置決めされる。特開第2001−21830号公報で使用されるマイクロレンズアレイは、開口数が小さく、その焦点距離が5mmであると説明されており、そのことから、光軸の方向における正確な位置決めはこの文献における主題とはならない。しかしながら、大きい開口数で、焦点距離が約250〜300μmであるようなマイクロレンズのマイクロレンズアレイを使用した場合、光軸の方向に開口絞りアレイをマイクロレンズアレイに対して高精度に位置決めし、マイクロレンズによって合焦される光の個々の成分が開口絞りで合焦されるようにすることが必要である。
【0004】
マイクロレンズアレイと開口絞りアレイを相互に対して正確な所定の距離において位置決めするために、米国特許第6,876,494 B2号明細書によれば、マイクロレンズアレイ上に、または開口絞りアレイ上に、他方のアレイに向かう少なくとも1つの突起を形成することが提案されており、この突起は光軸の方向に所定の高さを有し、アレイ間の距離を決定する。それゆえ、光軸の方向へのアレイの相互に関する相対的位置を正確に設定できる。
【0005】
少なくとも1つの突起の代わりに、所定の厚さを有するスペーサもまた、マイクロレンズアレイと開口絞りアレイの間に挿入することができる。
【0006】
(1平面内での調節の後に)光軸に対して垂直方向にも正確に位置決めする必要性に関連して、米国特許第6,876,494 B2号明細書からは何の情報も得られない。
【0007】
1平面内での調節は、マイクロレンズアレイの個々のレンズの個々の光軸を開口絞りアレイの開口の対称軸と一致させるために必要である。1平面内での調節のためには、光軸に対して垂直なx−y平面内の直線移動成分(距離)と光軸の周囲での回転成分(角度)の両方を有する相対的移動が必要であり、この距離と角度はごく小さい。
【0008】
このような調節のための2つのアレイの相互に関する移動は、形成された突起またはスペーサとわずかに接触した場合の摩擦によって影響を受け、それゆえ、スティックスリップの影響を受け、その結果、出願人が意図している0.05μm程度の精密で決定論的な調節が非常に難しくなる。
【0009】
光学システムの光軸に対して垂直な平面内での調節を可能にする、光学部品用の調節可能マウントは一般に、光学システムの筐体にしっかりと連結されているか、筐体の構成部品である外側マウント部と、光学部品を担持し、作動要素によってその平面内で外側マウント部に対して移動および回転可能な内側マウント部と、を含む。
【0010】
マウント部が個々の部品であり、これらを調節後に相互に対して固定しなければならないような調節可能マウントと、マウントが一体に製造されて、マウント部が調節後の位置にセルフロック式に留まり、これらを固定する必要がないような調節可能マウントが知られている。
【0011】
原則として、最初に挙げたタイプのマウントは、より低い精度での比較的大きな調節距離の場合に使用され、2番目に挙げたタイプのマウントは、高精度での短い作動距離の場合に使用される。
【0012】
独国特許第44 00 869 C1号明細書は、マウント部が個々の部品である調節可能マウント(その中では、高出力対物レンズ内のレンズを横方向に調節する他の装置と呼ばれている)を開示している。このマウントは、内側マウント部(その中ではレンズマウントと呼ばれている)と外側マウント部(その中では第一のマウントと呼ばれている)を含み、これらは、圧力嵌め式に軸方向に作用する取り外し可能な緊締装置を介して相互に連結される。
【0013】
レンズが保持される内側マウント部は外側マウント部の内部に保持され、これは対物レンズ筐体の中に、対物レンズの光軸に対して平行にのみ作用し、光軸に対して垂直な平面内での調節中には、内側マウント部の中に配置されたピエゾトランスレータにより生成される対抗力によって部分的に補償される圧迫力によって嵌め込むことができ、それにより、外側マウント部の中の内側マウント部は、半径方向の力の作用をほとんど必要とせずに移動させることができる。
【0014】
外側マウント部は内側平坦面を有し、その上に内側マウント部が圧力手段によって設置される。有利には、使用される圧力手段は、外側部品にしっかりと連結された接触リングと、ばねリングと、内側マウント上に設置された調節リングである。圧力手段の圧迫力は、調節リングの寸法と、ばねリングのばね力によっても決まり、内側マウント部が例えば輸送中等に機械的負荷を受けた時にもその位置に確実に保持されるような大きさとされる。内側マウントリングを固定する時に軸方向の力だけが作用するため、固定中に起こりうるその位置ずれが避けられると想定される。
【0015】
ピエゾトランスレータによって生成される、調節中に作用する対抗力は圧迫力より小さく、それによって内側マウント部は、常に軸方向の力によって内側平坦面の上に設置された状態のまま留まり、外側マウント部の中で不確実な方法でスリップすることはありえない。移動は、半径方向に作用する作動要素を介した半径方向の力が作用した場合しか実行できない。どの作動要素が使用されるかが、調節の再現可能性、その精度、可能な作動距離、および使用者にとっての使いやすさに実質的な影響を与える。
【0016】
相互に対して90°ずらした4つの作動要素の配置が有利である。独国特許第44 00 869 C1号明細書による装置では、作動要素にはまったく保持機能が与えられず、調節中に克服するべき軸方向の圧迫力が小さいため、ピエゾトランスレータを作動要素として使用することが特に有利であるとわかる。
【0017】
独国特許公開第10 2008 029 161 B3号明細書は、レンズ用の一体型マウントを開示している。これは、スロットによって内側および外側マウント部に分割される環状のディスクを含み、これらは好ましくは3点で相互に連結された状態に保持される。このように保持される連結部は、その幾何学形状と大きさを原則としてスロットの位置と形状によって異なるように実装できるが、可能な作動距離と調節の精度を決定する。独国特許公開第10 2008 029 161 B3号明細書によれば、連結部はトグルレバーによって形成され、これは2つのリンクからなり、これらは一端で固体ジョイントを介して相互に連結されて、90°より大きく、180°より小さい角度を相互に挟み、もう一端が固体ジョイントを介してそれぞれ外側と内側マウント部に連結される。固体ジョイントは、スロットの形状と配置によって形成されるテーパ部である。
【0018】
連結部(また、マニピュレータユニット)に力が作用することにより、内側マウント部は1平面内で外側マウント部に対して移動し、回転できる。その他の方法で実装されるマニピュレータユニットを有する一体型マウントが、たとえば欧州特許出願第1,577 693 A2号明細書と独国特許公開第10 2007 030 579 A1号明細書から知られている。マニピュレータユニットの幾何学(形状と寸法)により、可能な調節距離と調節の精度が決まる。
【0019】
独国特許第10 2008 029 161 B3号明細書による装置は、1つのアセンブリを形成する2つの光学部品を相互に対して調節することと、アセンブリを基準ベース、例えば光学システムの光軸に対して調節することに適していない。
【0020】
光学アセンブリを形成する2つの光学部品を広い調節範囲で相互に対して高精度で調節でき、アセンブリを基準ベースに対して調節できる調節可能なマウントが、出願人による独国特許出願第10 2010 035 223.3号明細書(公開前)に記載されている。
【0021】
ここで請求されているマウントアセンブリは、外側マウント部と内側マウント部を含み、これらが第一の調節可能マウントを形成する。外側および内側マウント部の各々は、外側および内側マウントフレームを含み、その各々は、固体ジョイントと作動要素、例えば作動ねじを含む少なくとも3つのマニピュレータユニットを介して相互に一体に連結される。これらは各々、第二と第三の調節可能マウントを構成する。2つの内側マウント部の中には、それぞれ1つの光学部品が固定され、これは、固体ジョイントに作用するマニピュレータの作動によって、マウントアセンブリの中で相互に対して調節でき、合同では基準ベース、特に外側マウント部の外側マウントフレームに対して調節できる。ここでは、マイクロレンズアレイと空間フィルタアレイが、取り付けられる光学部品の例として具体的に挙げられている。
【0022】
これらの調節を可能にするために、第一に、内側マウント部は、それが作動ねじによって光軸に対して垂直な平面内で外側マウント部の中で移動させ、固定できるように配置される。第二に、外側マウント部の内側マウントフレームと内側マウント部の外側マウントフレームが、圧力嵌め式に軸方向に作用する取り外し可能な緊締装置を介して相互に連結される。その結果、緊締装置が解除され、作動ねじが固定されると、すなわち、締められると、2つの光学部品を、外側マウント部と内側マウント部の操作によって、または2つのマウント部のうちの一方の操作によって相互に対して調節できる。
【0023】
緊締装置が固定されると、すなわち、圧力締め式に軸方向に作用し、内側マウント部を外側マウント部に緊締し、作動ねじが緩められると、さらに、内側マウント部の操作によって2つの光学部品を相互に対してより精密に調節でき、また外側マウント部の操作によって両方の光学部品を基準ベースに対して調節できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
このマウントアセンブリの欠点は、調節中、起こされる移動が直線移動および回転の両成分を有することであり、これによって比較的長い試行が必要となる。
【0025】
本発明の目的は、取り付けられた2つの光学部品を相互に対して簡単かつ迅速に調節できるマウントアセンブリを見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
この目的は、請求項1の特徴を有するマウントアセンブリに関して達成される。有利な実施形態は、従属項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2b】
図2aによる第一のマウント部のための移動方式を示す。
【
図3b】
図2aによる第二のマウント部のための移動方式を示し、y方向への直線移動が示されている。
【
図3c】
図2aによる第二のマウント部のための移動方式を示し、x方向への直線移動が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を、例示的な実施形態と、添付の図面を使って以下により詳しく説明する。
【0029】
本発明によるマウントアセンブリは2つのマウント、詳しくは回転マウント1と直線移動マウント2を含み、これらは各々、一体の平板で形成され、スロットによって外側マウントフレーム1.1、2.1と、内側マウントフレーム1.2、2.2と、前記マウントフレームを相互に結合する固体ジョイント1.4、1.5、2.4、2.5に分割される。内側マウントフレーム1.2、2.2は、x−y平面内で相互に対して直線移動可能であり、その平面上で直立する回転軸の周囲で回転可能である。
【0030】
固体ジョイント1.4、1.5、2.4、2.5の選択された実装形態、組み合わせ、配置によって、それぞれの場合において、内側マウントフレーム1.2、2.2はそのマニピュレータを介して、詳しくは特定の、所定の移動路に沿って外側マウントフレーム1.1、2.1に対してして移動可能である。
【0031】
回転マウント1は、固体ジョイントのうちの1つである1.4に作用する作動要素3を介して作動のための移動が起こされると、内側マウントフレーム1.2が外側マウントフレーム1.1に対して、略調節角度だけ実質的に純粋に回転移動するように設計される。
【0032】
この目的のために、回転マウント1は、そこに作動要素3が作用する操作可能な固体ジョイント1.4と、少なくとも2つ、または好ましくは3つの、回転マウント1の中心の方向に強制的に偏向された剛性の固体ジョイント1.5と、を有する。
【0033】
作動のための移動を回転移動に変換するために、回転マウントの固体ジョイント1.4、1.5は、相互に対して、その相互作用が
図2bに示される移動方式に対応するように実装され、配置される。
【0034】
直線移動マウント2は、各々が固体ジョイントのうちの1つである2.4に作用する少なくとも2つの作動要素3のうちの1つを介して作動のための移動が起こされると、内側マウントフレーム2.2が外側マウントフレーム2.1に対して、2つの相互に垂直な方向、以下でxとy方向と指定される方向に、調節距離a、bだけ実質的に純粋に移動するように設計される。この目的のために、直線移動マウント2は、そこに、各々2つの作動要素3のうちの1つが作用する2つの操作可能な固体ジョイント2.4と、少なくとも2つ、または好ましくは3つの、直線移動マウント2の中心に向かう方向に対して垂直に強制的に偏向された剛性の固体ジョイント2.5と、を有する。作動のための移動を直線移動に変換するために、直線移動マウントの固体ジョイント2.4、2.5は、相互に対して、その相互作用が
図3bと3cに示される移動方式に対応するように実装され、配置される。
【0035】
実際には、直線移動と回転移動のどちらも、純粋な直線移動または回転移動ではない。しかしながら、マウントアセンブリで行われると想定される小さな調節の場合、それぞれの他の成分は重要ではない。有利には、マウントアセンブリを使って、回転マウントに取り付けられる、例えばマイクロレンズアレイの形態の光学部品1.3と、したがって直線移動マウントに取り付けられる、開口絞りアレイの形態の光学部品2.3を、相互に対して調節できる。
【0036】
調節が行われる調節角度範囲と調節距離範囲の大きさの程度を、後述の2つのアレイの例示的な寸法を使用することによって明らかにする。開口絞りアレイの開口は直径4μmであり、マイクロアレイの個々のレンズの焦点距離は180μmである。個々のレンズの個々の光軸と開口の対称軸の相互に関する間隔は直交パターンで40μmである。対称軸に関する個々の軸の位置的偏差の許容値は100nmの領域内にある。
【0037】
本発明によるマウントアセンブリは、約30μmの調節距離を経る直線移動調節範囲と、約3.5°の調節角度を経る回転調節範囲を有する。調節の感度はそれぞれ、約50nmおよび2’’である。
【0038】
上記の調節範囲の中で、2つの光学部品を調節された状態とすることができるように、回転マウント1と直線移動マウント2は相互に対して事前調節されてから、相互に対して調整し、固定できるその外側マウントフレーム1.1、2.1が相互に対して固定される。この目的のための適当な手段が提供されるが、これは本願の主旨ではない。同様に、2つのマウント1、2の光軸の方向への相互に関する間隔を設定して、個々のレンズの焦点を例えば10μmの誤差で開口の中央に置くことができるようにするための手段も本願の主旨ではない。
【0039】
すでに説明したように、マウントアセンブリの固体ジョイント1.4、1.5、2.4、2.5は、操作可能な固体ジョイント1.4、2.4と、強制的に偏向された固体ジョイント1.5、2.5に分けることができる。
【0040】
操作可能な固体ジョイント1.4、2.4は各々、作動要素3に連結され、これは例えばピエゾアクチュエータ要素または作動ねじである。作動要素3を介して起こされる作動のための移動は、操作可能な固体ジョイント1.4、2.4の実装形態によって決まるステップアップ比で増幅された作動のための移動として、内側マウントフレーム1.2、2.2に伝達される。
【0041】
図2aに示される回転マウント1と
図3aに示される直線移動マウント2を有するマウントアセンブリに関するこの例示的実施形態においては、操作可能な固体ジョイント1.4、2.4は、移動の点で考えた時に、これらは各々が、外側マウントフレーム1.1、2.1に回転可能に取り付けられたレバーを構成するように形成され、このレバーは、そこに作動要素3が作用する第一の自由端と、カプラの一端に連結された第二の端を有し、カプラの他端は内側マウントフレーム1.2、2.2に連結されている。
【0042】
作動要素3を介して起こされる作動のための移動が、まず、直線移動による調節に、2番目に内側マウントフレーム1.2、2.2の回転による調節に繋がるという事実は、実質的に、強制的に案内される固体ジョイント1.5、2.5を異なるように実装することと、増幅された作動のための移動の動作方向に関するその配置によって達成される。
【0043】
回転マウント1は、回転マウント1の中心に向かう方向に強制的に偏向された少なくとも2つの剛性の固体ジョイント1.5を有し、これは直線的なカプラとして実装され、その想像上の延長線が回転マウント1の、したがって回転マウントに取り付けられる光学部品の中心において交差するように、相互に対して配置される。マウントアセンブリの回転中心は、このようにして形成される交差点に位置する。直線的なカプラの方向への移動に対して、強制的に案内された固体本体ジョイント1.5は剛性である。したがって、内側マウントフレーム1.2の横方向の偏向は、回転中心の周囲でのその回転と比較して、剛性を実質的により高くすることによって防止される。内側マウントフレーム1.2の外側マウントフレーム1.1との連結部の剛性を高めるために、別の固体ジョイント1.5を提供することが可能であり、これらはすべて、その想像上の延長線が回転中心を通って延びるように方向付けられる。それゆえ、外側マウントフレーム1.1に関する内側マウントフレーム1.2のすべての自由度は、回転中心の周囲での回転を除き、十分な剛性で制限される。
【0044】
回転マウントの操作可能な固体ジョイント1.4は、外側マウントフレーム1.1を内側マウントフレーム1.2に連結し、それによって、そのカプラが回転中心に対して接線方向に配置され、したがって、同様に、回転中心の周囲での外側マウントフレーム1.1に関する内側マウントフレーム1.2の、残っている回転自由度を定める。操作可能な固体ジョイント1.4が作動されると、そのカプラは接線方向に移動され、これは、内側マウントフレーム1.2が回転中心1.4、1.5、2.4、2.5の周囲で回転することを意味する。理想的には、2つの部品の共通の光軸は回転中心を通って延びる。何れの場合も、回転中心を通って延び、その周囲で回転が起こる回転軸は、共通の光軸に平行な軸である。2つの部品の光軸は、直線移動の調節が完了した後でしか共通とならない。
【0045】
直線移動マウント2は2つの操作可能な固体ジョイント2.4(A、B)を有し、これらは回転軸4がそこから直立する平面内に配置され、そのそれぞれの動作方向(a、b)はこの平面内にあり、相互に垂直であり、この点については
図3a〜3cを参照されたい。少なくとも2つの強制的に偏向された固体ジョイント2.5はこれに加えて、外側マウントフレーム2.1を内側マウントフレーム2.2に連結する。強制的に偏向された固体ジョイント2.5は、直線移動マウント2の中心の方向に対して垂直な方向に剛性である。これらは、その相互作用の点で、略等しい剛性と、したがって2つの操作可能な固体ジョイント2.4の動作方向a、bへの優先的な方向を示す。構造上の点で、これは、強制的に偏向された固体ジョイント2.5を、等しい長さのアームを有し、相互に直角を挟む傾斜したカプラとして実装することによって達成される。
【0046】
好ましくは、直線移動マウントの操作可能な固体ジョイント2.4の各々には、強制的に案内された固体ジョイント2.5が割り当てられ、操作可能な固体ジョイント2.4の各々の直線的なカプラの延長線が、傾斜したカプラを通る対称線として延びるようにされる。
【0047】
たとえば、操作可能な固体ジョイント2.4−Aが作動されると、
図3cのように、内側マウントフレーム2.2は、操作可能な固体ジョイント2.4−Aの取付点において、動作方向aに沿って移動される。作動されていない操作可能な固体ジョイント2.4−Bは同時に、強制的に偏向された固体ジョイント2.5のように作用して、内側マウントフレーム2.2を動作方向aに案内し、その一方で、これは、強制的に偏向された固体ジョイント2.5の、作動された動作方向に直角な優先的な方向への相互作用をブロックする。その相互作用において、強制的に偏向された固体ジョイント2.5には、作動された操作可能な固体ジョイントの動作方向に沿った1つのみの優先的な方向が残るため、これは作動されていない操作可能な固体ジョイント、例えば2.4−Bとの相互作用により、実質的に、作動された操作可能な固体ジョイント2.4−Aの動作方向に沿った直線移動だけが生じることになる。これは同様に、操作可能な固体ジョイント2.4−Bが作動された場合の動作方向bに関しても同様である。
【0048】
操作可能な固体ジョイント2.4を平面内に90°の角度で配置すること、すなわち、偏向されていない時にそのカプラの延長線が直線移動マウント2の中心において90°の角度で交差するように配置することにより、相互に垂直と考えることができる2つの移動方向x、yが、実行される操作の大きさの程度に応じて提供される。
【0049】
上記の、固体ジョイントの相互に関する配置の説明は、偏向されていないマウントアセンブリに関係しており、すなわち、回転マウント1と直線移動マウント2は各々、緊締されていない状態にある点を明確に指摘するべきである。本発明によるマウントアセンブリの、本発明にとって重要な利点は、ある平面内での調節のための移動を直線移動と回転移動に分解し、これらの移動を相互に影響を与えずに実行できることにある。その結果、調節をより簡単かつより迅速に実行できる。
【符号の説明】
【0050】
1 回転マウント
1.1 回転マウントの外側マウントフレーム
1.2 回転マウントの内側マウントフレーム
1.3 回転マウントに取り付けられる光学部品
1.4 回転マウントの操作可能な固体ジョイント
1.5 回転マウントの強制的に偏向された固体ジョイント
2 直線移動マウント
2.1 直線移動マウントの外側マウントフレーム
2.2 直線移動マウントの内側マウントフレーム
2.3 直線移動マウントに取り付けられる光学部品
2.4 直線移動マウントの操作可能な固体ジョイント
2.5 直線移動マウントの強制的に偏向された固体ジョイント
3 作動要素
4 回転軸
a、b 直線移動調節距離の動作方向