【文献】
ANTON V. BOURDINE,SIMULATION OF A FEW-MODE SIGNAL PROPAGATION OVER MULTIMODE FIBER LINK WITH DIFFERENTIAL MODE DELAY COMPENSATORS,PROCEEDINGS OF SPIE,2009年12月 3日,V7523,P752305/1-752305/12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のファイバが、1530 nm〜1570 nmの波長域に渡って正のモード間群遅延差のスロープを有し、前記第2のファイバは、1530 nm〜1570 nmの波長域に渡って負のモード間群遅延差のスロープを有することを特徴とする請求項1または2の光ファイバリンク。
前記第1のファイバが、1530 nm〜1570 nmの波長域に渡って負のモード間群遅延差のスロープを有し、前記第2のファイバは、1530 nm〜1570 nmの波長域に渡って正のモード間群遅延差のスロープを有することを特徴とする請求項1または2の光ファイバリンク。
前記第1および第2の各々のファイバの長さが、前記リンク上の前記LP01モードと前記LP11モードの間の群遅延差のスロープの絶対値が波長1530 nm〜1570 nmの波長域に渡って1.0 ps/nm/km未満となるように選択されることを特徴とする請求項1または2の光ファイバリンク。
前記第1および第2の各々のファイバの長さが、前記リンク上の前記LP01モードと前記LP11モードの間の群遅延差の絶対値が波長1550 nmにて0.25 ns/km未満となるように選択されることを特徴とする請求項1の光ファイバリンク。
前記第1および第2の各々のファイバの長さが、前記リンク上の前記LP01モードと前記LP11モードの間の群遅延差の絶対値が波長1550 nmにて0.1 ns/km未満となるように選択されることを特徴とする請求項1の光ファイバリンク。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、添付の図面にその例が示された、遠距離通信ファイバとして用いられる光ファイバの実施形態の詳細について参照する。可能な限り、同一または類似の部分を指す場合は、全図面を通して同じ参照番号が用いられている。
【0011】
用語
以下の用語は、本明細書において光ファイバを説明する場合に、種々の例示的な実施形態との関連で導入されかつ以下に定義されるパラメータのいくつかとともに用いられる。
【0012】
本明細書で用いる「屈折率プロファイル」という用語は、屈折率または相対屈折率とファイバの半径との関係を指す。
【0013】
本明細書で用いる「相対屈折率」という用語は、次式のように定義される。
【0015】
式中、n(r)は、別段の記載がない限り、半径rでの屈折率である。相対屈折率は、別段の記載がない限り、1550 nmと定義される。参照屈折率n
REFは、クラッドの屈折率であり、好ましい実施形態では、波長1550 nmで屈折率約1.444の純シリカを含んだものである。本明細書で使用する場合、相対屈折率はΔで表示され、その値は、別段の記載がない限り、「%」単位で示される。一領域の屈折率が参照屈折率n
REFより小さい場合、相対屈折率は負となり、陥没領域を有する、または屈折率が小さいと称され、別段の記載がない限り、相対屈折率が最も負となる地点で、最小相対屈折率を計算する。一領域の屈折率が参照屈折率n
REFより大きい場合、相対屈折率は正となり、その領域は、屈折率が高い、あるいは正の屈折率を有すると言うことができる。
【0016】
本明細書で使用する場合、光ファイバの「有効断面積」A
effとは、光が伝搬する領域であり、次式のように定義される。
【0018】
式中、Eはファイバを伝搬する光と関連する電界であり、rはファイバの半径である。有効断面積A
effは、別段の記載がない限り、波長1550 nmでのLP01モードについて決定される。
【0019】
モードフィールド径(MFD)は、シングルモードファイバを伝搬する光のスポットサイズまたはビーム幅を測定した値である。モードフィールド径は、光源の波長、ファイバのコア半径およびファイバの屈折率プロファイルの関数である。モードフィールド径は、Peterman II法を用いて測定され、
【0021】
式中、Eはファイバ内の電場分布であり、rはファイバの半径である。モードフィールド径は、別段の記載がない限り、波長1550 nmでのLP01モードについて決定される。
【0022】
色分散すなわちファイバの分散は、材料分散、導波路分散、およびモード間分散の合計である。
【0023】
カットオフ波長は、それを超えると
その光ファイバ内をモードが伝搬しなくなる最小波長である。
シングルモードファイバのカットオフ波長は、光ファイバが1つ
のみの伝搬モード
をサポートする最小波長である。シングルモードファイバのカットオフ波長は、高次のモードにおける最も高いカットオフ波長に対応している。シングルモードファイバでは、最も高いカットオフ波長は、一般的にLP11モードのカットオフ波長に対応している。
X個のLPモードを波長λで伝搬させる少数モードのファイバでは、
X個のLPモードのすべてが、λより大きいカットオフ波長を有する。カットオフ波長の数学的定義は、Jeunhomme(著)「Single Mode Fiber Optics(シングルモードファイバ光学)」Marcel Dekker出版、New York(1990年)の39頁〜44頁に見つけることができ、そこでは、理論上のファイバカットオフ値を、モードの伝搬定数が外側クラッドにおける平面波の伝搬定数と等しくなる波長と説明している。この理論上の波長は、直径が変動しない、無限長の完全に真っ直ぐなファイバに
ついては適切である。
【0024】
ケーブルファイバの有効カットオフ波長は、理論上のカットオフ波長よりも小さく、EIA−455−170 Cable Cutoff Wavelength of Single−mode Fiber by Transmitted Power, or “FOTP−170”(送信電力によるシングルモードファイバのEIA−455−170ケーブルカットオフ波長、すなわち「FOTP−170」)に記載される、22 mのケーブルを用いたカットオフテストによって近似値が得られる。ケーブルカットオフ(波長)とは、本明細書で用いる場合、近似テストを用いて求められる値を意味する。いずれのLPモードでもケーブルカットオフ波長は、一般的に、理論上のカットオフ波長より100 nm〜300 nm小さい。
【0025】
本明細書で使用する場合、「少数モードのファイバ」という用語は、シングルモードファイバよりは多数であるが通常のマルチモードファイバよりは少数のモードの伝搬をサポートしているファイバを意味する。任意の屈折率プロファイルを有する円柱対称光ファイバにおける伝搬モードの数と特徴は、スカラー波動方程式の解より求められる(例えば、T.A.Lenahan著「Calculation of modes in an optical fiber using a finite element method and EISPACK(有限要素法とEISPACKを使う光ファイバにおけるモードの計算)」、Bell Syst.Tech.J.出版, 第62巻1号(1983年2月)の2663頁を参照のこと)。光ファイバまたは他の誘電体導波路を伝搬する光は、通常、LP(直線編波)モードと称されるハイブリッド型のモードを形成する。LPOpモードは2つの偏光自由度を有して、二重に縮退しており、LP1pモードは四重に縮退しており、mが1より大きい(m > 1)LPmpモードは、四重に縮退している。ファイバを伝搬するLPモードの数を指定する場合、これらの縮退は含めない。例えば、LP01モードのみが伝搬する光ファイバは、LP01モードで2種類の偏光が可能であっても、シングルモードファイバである。LP01モードとLP11モードが伝搬する少数モードの光ファイバは、LP11モードが二重に縮退しており、さらに各モードで2種類の偏光が可能であることで、計6種類のモードが生じるため、3つの空間モードをサポートしている。したがって、ファイバが2つのLPモードを有すると言われる場合は、LP01モードとLP11モードのすべての伝搬をサポートしていることを意味している。
【0026】
本明細書で使用する場合、「光学的ファイバリンク」という用語は、例えば、屈折率プロファイル、コア半径、光学的性質等の一部の態様が異なる少なくとも2本のファイバを意味しており、2本のファイバは、相互に連通して接続されていることで、2つ以上のLPモードの伝搬を同時にサポートしている。この少数モードのファイバシステムでは、少なくとも2本のファイバの好ましくは少なくとも1本が、X
個のLPモードの伝搬をサポートしており、Xは1より大きい20以下の整数であって、少なくとも2本のファイバのもう一方が、Y
個のLPモードの伝搬をサポートしており、Yは1より大きい20以下の整数である。いくつかの好ましい実施形態では、X=Yである。
【0027】
「α−プロファイル」すなわち「アルファプロファイル」という用語は、本明細書で用いる場合、相対屈折率プロファイルを意味しており、「%」単位でΔによって表され、この時rは半径であり、下記の方程式に従う。
【0029】
式中、Δ
0は最大相対屈折率であり、r
0は、コアの半径であり、rは、r
i以上、r
r以下(r
i ≦ r ≦ r
r)の範囲であり、Δは、上記定義の通りであり、r
iは、α−プロファイルの初期点であり、r
rは、α−プロファイルの最終点であって、αは、実数の指数である。ステップインデックスプロファイルでは、アルファ値は10以上である(10あるいはそれより大きい)。グレーデッドインデックスプロファイルでは、アルファ値は10より小さい。「
放物型」という用語は、本明細書で使用する場合、α=2の実質的に
放物状に形成された屈折率プロファイル、ならびにコアの1箇所以上の地点での曲率がα=2とは僅かに異なるプロファイル、例えばセンターラインディップを有するプロファイルを含む。コア半径および最大相対屈折率が異なる形態は、デルタ(Δ)の基本的な定義に影響を及ぼすことなく以下の例で用いられている点に留意しておく。
【0030】
本明細書において別段の指定がない限り、本明細書において開示され、以下で考察される上記で参照した光ファイバの特性は、1550 nmでモデル化または測定されている。
【0031】
以下の考察では、光ファイバのコア以外のいずれかの部分が、クラッドの一部と考えられる。また、ファイバ10の所与の領域Yの相対屈折率は、概して、半径Δ
γ(r)の関数として記載され、ある特定の場合において、最大値Δ
YMAXおよび/または最小値Δ
YMINを有することができる。Δ
γ(r)が定数の例では、Δ
γ(r) = Δ
YMAX = Δ
YMINとなり、Δ
γと称される。
【0032】
図1は、モード間群遅延差補償を用いる光学的ファイバリンク10の概略図を示している。
図1において、ファイバリンク10は少なくとも2本の小数モードのファイバ11および12を含み、一方は正のモード間群遅延差を有し、もう一方は負のモード間群遅延差を有している。ファイバリンク10ならびに光ファイバ11および12の種々の例示的な実施形態を、以下に記載する。信号は、マルチ入力マルチ出力(MIMO)技術を用いて、少数モードファイバ(FMF)の
1つより多い空間伝搬モードで伝送することが可能である。計算はモード数が増加するほど複雑になり、またマルチパス干渉(MPI)によってビットエラーレートペナルティが生じ得るモード混合のリスクは、少数モードのみを利用することにより低減するため、少数モードファイバは、本用途にはとりわけ魅力的である。光ファイバ通信システムにこれまで提案されてきた少数モードの光ファイバは、ステップインデックス型か
放物型のいずれかのコアを有し、基本的なLP01モードに加えてLP11モードの伝搬をもサポートしている。これまでの設計では、1550 nm帯の1つ以上の波長において、基本的なLP01モードとLP11モードとの間に大幅な遅延差が存在する。これらの大幅な遅延差は、MIMOを用いた時間領域での光信号の逆多重化を困難にしている。本明細書に開示される実施形態は、この難題を解決している。
【0033】
基本的なLP01モードとより高次なLPmnモードとの群遅延差は、次式のように定義される。
【0035】
Δτ
mnが正の場合、ファイバは正のモード間群遅延差を有すると言われ、Δτ
mnが負の場合は、ファイバは負のモード間群遅延差を有すると言われる。別段の記述がない限り、本明細書で使用する場合、モード遅延時間差は、LP01モードとLP11モードとの間のモード遅延差を意味する。光ファイバのモード間群遅延差のスロープは、次式のように定義される。
【0037】
別段の記述がない限り、本明細書で使用する場合、モード遅延時間差のスロープは、LP01モードとLP11モードの間の遅延差のスロープを意味する。
【0038】
広範な波長域でモード間群遅延差を補償するために、2本のファイバのモード間群遅延差とモード間群遅延差のスロープは、相反する兆候を示すことが好ましい。適切なモード間群遅延差とモード間群遅延差のスロープを有する2本のファイバを設計し、適切なファイバ長を選択することにより、モード間群遅延差が極めて小さいファイバリンクを構築することができる。例えば、本明細書で開示される方法を用いて、モード間群遅延差が補償された光ファイバリンクを組み合わせることで、光ファイバリンク10上でLP01モードとLP11モードの間の正味のモード間群遅延差の絶対値を、WDM(波長分割多重通信)の波長域が、例えば、1530 nm〜1570 nm、特に1550 nmの波長で、約0.5 ns/km未満、より好ましくは0.25 ns/km未満、さらに好ましくは50 ps/km未満、よりさらに好ましくは10 ps/km未満、なお一層好ましくは5 ps/km未満とすることができる。
【0039】
光ファイバのモード間群遅延差とモード間群遅延差のスロープは、光ファイバの屈折率プロファイルの設計、例えば、コアアルファまたはコア半径を変更することにより、正または負に修正することができる。
図2(a)は、単純なグレーテッドインデックス型またはグラジエントインデックス型のアルファプロファイルの設計を利用した光ファイバの屈折率プロファイルの概略図である。
図2Aの例は、コア20とコアを囲むクラッディング30を有している。コアデルタΔ
1は、0.3%〜0.8%、より好ましくは0.3%〜0.6%の範囲である。コア半径R
1は、6 μm〜22 μm、より好ましくは8 μm〜20 μm、さらに好ましくは10 μm〜20 μmの範囲である。コアの屈折率変化は、アルファ関数によって記述可能である。
【0041】
1のアルファは、三角形プロファイルに対応しており、2のアルファは、
放物型のプロファイルを描いている。アルファが20より大きい場合、プロファイルは実質的にステップインデックスプロファイルとなる。
【0042】
モード数の調整、モード群遅延の変更、および曲げ損失の改善を図るために、内側クラッド22、低屈折率トレンチ領域24、およびアップドープされたクラッド30を、
図2(b)に示すように、ファイバ11および/またはファイバ12のコアの単純な設計に追加することができる。例示の実施形態において、内側クラッド領域22と外側クラッドとの屈折率差は、Δ
3である。Δ
3は、−0.1%〜0.05%である。低屈折率トレンチ24は、開始半径R
2と終了半径R
3を有
し、内側クラッドの隣に配置される。低屈折率トレンチは、屈折率変化がΔ
2であり、リング幅はR
3−R
2である。Δ
2は、好ましくは−0.1〜−0.7%であり、より好ましくは−0.2〜−0.5%である。トレンチ幅24は、好ましくは2 μm〜8 μmであり、より好ましくは3 μm〜6 μmである。いくつかの実施形態において、トレンチ24はコアに隣接しており、R
2−R
1は0.5 μmより小さい。他の実施形態では、トレンチはコアから間隔を置いて配置されており、R
2−R
1は0.5 μmより大きく10 μmより小さい。さらに、トレンチ24は矩形で示されるが、ファイバの設計において
さらなるモードフィールド制御を行うために、三角形や
放物状のような他の形状とすることもできる。
【0043】
いくつかの実施形態において、第1のファイバ11は、曲率α
1によって特徴付けられるグレーデッドインデックスコアの屈折率プロファイルで構成されてもよく、第2のファイバは、曲率α
2によって特徴付けられるグレーデッドインデックスコアの屈折率プロファイルで構成されてもよく、|α
1−α
2|は0.2より大きく、α
1およびα
2はいずれも1.5〜3.0である。いくつかの代替的な実施形態において、第1のファイバは、曲率α
iと半径R
1iによって特徴付けられるグレーデッドインデックスコアの屈折率プロファイルで構成されてもよく、第2のファイバは、曲率α
jと半径R
1jによって特徴付けられるグレーデッドインデックスコアの屈折率プロファイルで構成されてもよく、その場合|α
i−α
j|は0.4より小さく、|R
1i−R
1j|は0.1 μmより大きいが、より好ましくは、|α
i−α
j|は0.2より小さく、|R
1i−R
1j|は0.2 μmより大きい。いくつかの代替的な実施形態において、第1のファイバは、曲率α
iによって特徴付けられるグレーデッドインデックスコアの屈折率プロファイルで構成されてもよく、第2のファイバは、曲率α
jによって特徴付けられるグレーデッドインデックスコアの屈折率プロファイルで構成されてもよく、α
iは2.0より大きく、α
jより小さい。
【0044】
コアプロファイルの設計を変更することにより、正および負の遅延の両方が実現可能である。
図3は、アルファ値が1.8、2.0、2.2である3つのモデル化されたアルファプロファイルのコア半径の関数としての群遅延差を示している。この3つのプロファイルすべてにおいて、コアデルタΔ
1は0.5%である。
図3に示すように、アルファ値とコア半径の一方または両方を変更することで、群遅延差を、正、負、またはゼロにすることができる。
図4は、アルファ値が1.8、2.0、2.2である3つのアルファプロファイルに関して、コア半径の関数としてのモード間群遅延差のスロープを描いている。
図4で示すように、正、負またはゼロのモード間群遅延差のスロープは、適切なプロファイルパラメータを選択することで設計可能である。
【0045】
表1は、モード間群遅延差補償を達成するために組み合わせ得る、モデル化された2本の例示的な光ファイバに関する屈折率プロファイルのパラメータと関連の特性を表している。特に、下記表にはファイバごとに、コアデルタパーセント、マイクロメートル単位のコア半径、コアアルファ、LP02の理論上のカットオフ波長、LP11の理論上のカットオフ波長、1550 nmでのLP01およびLP11の分散、1550 nmでの有効断面積、1550 nmでのモードフィールド径、および1530 nm〜1570 nmの波長域に渡るモード間群遅延差のスロープについて記載している。2本のファイバの波長の関数としてのモード間群遅延差は、
図5に描かれている。2本のファイバは逆方向の遅延および遅延スロープを有している。2本のファイバのファイバ長の比を1.2:1とすることで、遅延がほぼゼロのファイバリンクを構築することができる。例えば、実施例1の480 kmのファイバと実施例2の400 kmのファイバを組み合わせることで、
図5に描かれる正味の遅延となる。1.5 μm〜1.6 μmの全波長域上の個々の波長での正味のモード間群遅延差は、0.5 ps/km未満であり、モード間群遅延差スロープの絶対値は、0.5 ps/nm/km未満である。
【0047】
図6は、モード間群遅延差を補償するために組み合わせることができる3本の実際に描かれた光ファイバ(実施例3、4、5)の屈折率プロファイルを示している。
図6に示される3本の例示的な光ファイバに関して、屈折率プロファイルのパラメータおよび関連の特性は、下記表2に列記している。特に、下記表にはファイバごとに、コアデルタパーセント、マイクロメートル単位のコア半径、コアアルファ、LP02のカットオフ波長、LP11のカットオフ波長、1550 nmでのLP01およびLP11の分散、1550 nmでの有効断面積、1550 nmでのモードフィールド径、および1530 nm〜1570 nmの波長域に渡るモード間群遅延差のスロープについて記載している。
図7は、3本のファイバのモード間群遅延差の測定値を示している。例示的なファイバ3は、負のモード間群遅延差スロープを伴う正のモード間群遅延差を有し、例示的なファイバ4および5は、負のモード間群遅延差スロープと正のモード間群遅延差スロープを有する。
図7は、32.5 kmの例示的なファイバ3と、22.5 kmの例示的なファイバ4と、49 kmの例示的なファイバ5から成る長さ104 kmの光ファイバリンクの正味のモード間群遅延差を表している。正味の遅延は、1530 nm〜1570 nmのすべての波長域で3 ps/km未満である。
【0049】
本明細書に示し記載する実施形態において、コア20は、ガラスコアの屈折率を純石英ガラスや非ドープ石英ガラスより増大させる1種類以上のドーパントを含む純石英ガラス(SiO
2)または石英ガラスから成る。コアの屈折率を増大させるための適切なドーパントには、これらに限定されるものではないが、GeO
2、Al
2O
3、P
2O
5、TiO
2、ZrO
2、Nb
2O
5、Ta
2O
5および/またはこれらの組合せがある。
【0050】
ファイバ1〜5のLP01モードの有効断面積A
effは、120 μm
2〜260 μm
2、より好ましくは140 μm
2〜240 μm
2であってもよい。1つの例において、LP02モードの理論上のカットオフ波長は、3000 nm未満であり、別の例では2400 nm未満であり、さらに別の例では2100 nm未満である。これらの例では、LP02モードのケーブルカットオフ波長はLP02モードの理論上のカットオフ波長より約300 nm小さい。1つの例において、LP11モードの理論上のカットオフ波長は、2000 nmより大きく、別の例では2400 nmより大きく、さらに別の例では2800 nmより大きい。1つの例において、LP01モードの減衰は0.21 dB/km未満、別の例では0.20 dB/km未満、さらに別の例では0.19 dB/km未満である。1つの例において、LP11モードの減衰は0.25 dB/km未満、別の例では0.23 dB/km未満、さらに別の例では0.21 dB/km未満である。これらの光学的性質は、別段の指示がない限り、すべて1550 nmの波長でモデル化される。
【0051】
表3は、5つのインデックスプロファイルの属性を示しており、その属性により、半径およびコアのアルファパラメータの変動が、モード間群遅延差とモード間群遅延差スロープの兆候を変化させている。例6において、トレンチは、グレーデッドインデックスコアに隣接しているが、例7〜10では、オフセットR
2−R
1の量だけ、コアから間隔を空けて配置されている。実施例9cの屈折率プロファイルは、
図9に描かれている。実施形態6〜10の各々は、所定の寸法に従って作成する場合、モード間群遅延差が極めて小さくなる。ファイバ6〜10のLP01の有効断面積A
effは、120 μm
2より大きく、より好ましくは120 μm
2〜200 μm
2である。1つの例において、LP02モードの理論上のカットオフ波長は、2400 nm未満であり、別の例では2000 nm未満、さらに別の例では1800 nm未満である。これらの例では、LP02モードのケーブルカットオフ波長はLP02モードの理論上のカットオフ波長より約300 nm小さい。1つの例において、LP11モードの理論上のカットオフ波長は、2000 nmより大きく、別の例では2200 nmより大きく、さらに別の例では2400 nmより大きい。1つの例において、LP01モードの減衰は0.21 dB/km未満、別の例では0.20 dB/km未満、さらに別の例では0.19 dB/km未満である。1つの例において、LP11モードの減衰は0.25 dB/km未満、別の例では0.23 dB/km未満、さらに別の例では0.21 dB/km未満である。これらの光学的性質は、別段の指示がない限り、すべて1550 nmの波長でモデル化されている。
【0053】
表4は、実施例9の屈折率プロファイルの4種類の変動を示しており、半径およびコアのアルファパラメータの変動が、モード間群遅延差とモード間群遅延差スロープの兆候を変化させている。
図9は、実施例9cの屈折率プロファイルを示している。実施形態9a−9dの各々は、所定の寸法に従って作成する場合、モード間群遅延差が極めて小さくなる。実施例9aと9dは類似のアルファ値を有し、|α
i−α
j|は0.2より小さく、コア半径は僅かに相違し、|R
1i−R
1j|は0.2 μmより大きい。実施例9aでは、モード間群遅延差スロープが負の場合、1530 nm、1550 nm、1565 nmでモード間群遅延差は負となり、モード間群遅延差スロープが正の場合は、1530 nm、1550 nm、1565 nmでモード間群遅延差は正となる。これらの2本のモデル化されたファイバの例をほぼ1:1の長さ比で組み合わせることにより、モード間群遅延差とモード間群遅延差スロープがほぼゼロとなる範囲が生じる。実施例9bでは、モード間群遅延差スロープが負の場合、1530 nm、1550 nm、1565 nmでモード間群遅延差は正となり、実施例9cでは、モード間群遅延差スロープが正の場合、1530 nm、1550 nm、1565 nmでモード間群遅延差は負となる。これらの2本のモデル化されたファイバの例をほぼ1:1の長さ比で組み合わせることにより、モード間群遅延差とモード間群遅延差スロープがほぼゼロとなる範囲が生じる。
【0055】
表5は、追加の6つのインデックスプロファイルの属性を示しており、その属性のために、半径およびコアのアルファパラメータの変動が、モード間群遅延差とモード間群遅延差スロープの兆候を変化させている。実施形態11〜16において、トレンチは、オフセットR2−R1の量だけ、コアから間隔を空けて配置されている。実施形態11〜16の各々は、所定の寸法に従って作成する場合、モード間群遅延差が極めて小さくなる。ファイバ6〜10のLP01の有効断面積A
effは、120 μm2より大きく、より好ましくは120 μm2〜200 μm2である。1つの例において、LP02モードの理論上のカットオフ波長は、2400 nm未満であり、別の例では2000 nm未満、さらに別の例では1800 nm未満である。これらの例では、LP02モードのケーブルカットオフ波長はLP02モードの理論上のカットオフ波長より約300 nm小さい。1つの例において、LP11モードの理論上のカットオフ波長は、2000 nmより大きく、別の例では2200 nmより大きく、さらに別の例では2400 nmより大きい。1つの例において、LP01モードの減衰は0.21 dB/km未満、別の例では0.20 dB/km未満、さらに別の例では0.19 dB/km未満である。1つの例において、LP11モードの減衰は0.25 dB/km未満、別の例では0.23 dB/km未満、さらに別の例では0.21 dB/km未満である。これらの光学的性質は、別段の指示がない限り、すべて1550 nmの波長でモデル化されている。
【0057】
当業者であれば、特許請求される主題の精神および範囲を逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に様々な修正および変更することが可能であることは明らかである。よって、本明細書に記載の様々な実施形態の修正例および変更例の仕様は、それら修正例および変更例が、添付の請求項およびその等価物の範囲内となることを意図している。