(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148695
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】伸縮スライド取手付収納水閘
(51)【国際特許分類】
E02B 11/00 20060101AFI20170607BHJP
A01G 25/06 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
E02B11/00 302
A01G25/06 A
A01G25/06 C
A01G25/06 601A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-94802(P2015-94802)
(22)【出願日】2015年5月7日
(65)【公開番号】特開2016-211203(P2016-211203A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年11月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502139574
【氏名又は名称】株式会社ホーネン
(74)【代理人】
【識別番号】100110537
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 繁
(72)【発明者】
【氏名】黒丸 雄平
【審査官】
神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−016193(JP,A)
【文献】
特開2007−40058(JP,A)
【文献】
特開2012−132252(JP,A)
【文献】
実開昭64−010534(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 11/00
A01G 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向の排水管接続部と垂直方向の立上管接続部を有するT字状の水閘チーズと、該水閘チーズに固定立設された水閘立上管と、該水閘立上管の上部外周に摺動自在に嵌合されたスライド管と、該スライド管に収納BOX継手を介して接続された収納BOX管と、該収納BOX管の上端開口を閉塞する収納BOXキャップと、前記水閘チーズの内部に止水栓を有し、下端を前記止水栓に接続され、前記水閘立上管、収納BOX管内を立設され、前記収納BOX管内の下部の止水栓固定枠に設けた袋ナットにより固定された止水栓操作管と、該止水栓操作管の上端に接続された止水栓操作チーズとからなる収納水閘において、
前記止水栓操作管内に挿入嵌合され、下端に下部ストッパーを備えたスライド部材と、前記止水栓操作管の上端内周に前記下部ストッパーと係合し、前記スライド部材の上昇を停止させ、前記スライド部材と止水栓操作管とを連動させる上部ストッパーと、前記止水栓操作チーズの中央に設けた貫通穴を貫通し、前記スライド部材の上端に固定し、前記スライド部材と止水栓操作管とを一緒に引き上げるスライド取手からなることを特徴とする伸縮スライド取手付収納水閘。
【請求項2】
前記スライド部材は、上端をスライド取手に固定し、前記止水栓操作管と断面同心円状管で前記止水栓操作管内をスライド可能に嵌合され、下端外周には断面同心円状の下部ストッパーを嵌合固定することを特徴とする請求項1記載の伸縮スライド取手付収納水閘。
【請求項3】
前記スライド部材は、抜け止めにより上端をスライド取手に固定し、前記止水栓操作管内に挿入されたロープ・クサリ・棒をスライド可能に嵌合し、下端外周には断面同心円状の下部ストッパーを嵌合固定することを特徴とする請求項1記載の伸縮スライド取手付収納水閘。
【請求項4】
前記止水栓操作チーズのT字形の水平部分を半割にし、該半割部分に前記スライド取手が収納されることを特徴とする請求項1記載の伸縮スライド取手付収納水閘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田の畦畔等の表面に収納BOXキャップが露出され、地中の収納BOX管に収納されている止水栓操作管を、畦畔表面より高い膝位置まで持ち上げて、上下調節動作ができる収納水閘に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水田の暗渠排水あるいは地中灌水施設に用いられる水閘(暗渠排水用バルブ)は、地上に突出しているため、暗渠排水用バルブの上端が畦畔等における草刈りなどの作業の邪魔になると共に、農機具などにより暗渠排水用バルブを破損する恐れがあった。
そのため、暗渠排水用バルブを地中に埋設することが行われている(特許文献1を参照)。
この公知技術は、暗渠集水管に連通する水路を形成する継手管と、この継手管内に設けられ前記水路を開閉する弁体と、この弁体から立上がる操作杆と、この操作杆の上端部に設けられた操作取手と、前記継手管から立上がり前記操作杆が内部に位置する立ち管と、この立ち管の上側に設けられ前記操作取手が内部に位置する保護ボックスと、この保護ボックスの上面開口を開閉する蓋体を備えたものである。
このように、前記公知技術は、操作取手が保護ボックス内にあり、かつ、この保護ボックスの上面開口が蓋体により閉じられるため、この蓋体のみを地上に露出させ、他の部分は地中に埋設される暗渠排水用バルブである。
【0003】
前記暗渠排水用バルブは、草刈りなどの作業の邪魔にならないと共に、農機具などにより破損させてしまうことを防止できるが、前記操作取手が畦畔表面より低い位置にあり、農作業者が腰をかがめて操作杆を引き上げる動作が負担となり、引き上げる動作が行い難い不具合があった。
【0004】
そのため、
図5(a)、(b)のようにロープ・クサリ等で操作取手を引っ掛けるもの、
図5(c)のようにロープ・クサリ・棒状の先に操作取手を引っ掛けるフック等が付いているもの、又は
図5(d)のように棒の先端が操作取手を引っ掛けられるフック状になっているものを使用し、高さを調整することが考えられる。しかし、取り外し可能な故に取付けが不十分な場合、操作中に操作取手から外れる恐れが考えられる。また使用後、取り外したロープ・クサリ・棒等を別途保管しておく必要が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3037421号公報(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、止水栓操作管内に挿入嵌合されているスライド部材を畦畔表面より高い膝位置まで引き上げ、スライド部材のスライド取手を持って止水栓操作管を持ち上げて、上下調節動作ができる伸縮スライド取手付収納水閘を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の伸縮スライド取手付収納水閘は、水平方向の排水管接続部と垂直方向の立上管接続部を有するT字状の水閘チーズと、該水閘チーズに固定立設された水閘立上管と、該水閘立上管の上部外周に摺動自在に嵌合されたスライド管と、該スライド管に収納BOX継手を介して接続された収納BOX管と、該収納BOX管の上端開口を閉塞する収納BOXキャップと、前記水閘チーズの内部に止水栓を有し、下端を前記止水栓に接続され、前記水閘立上管、収納BOX管内を立設され、前記収納BOX管内の下部の止水栓固定枠に設けた袋ナットにより固定された止水栓操作管と、該止水栓操作管の上端に接続された止水栓操作チーズとからなる収納水閘において、
前記止水栓操作管内に挿入嵌合され、下端に下部ストッパーを備えたスライド部材と、前記止水栓操作管の上端内周に前記下部ストッパーと係合し、前記スライド部材の上昇を停止させ、前記スライド部材と止水栓操作管とを連動させる上部ストッパーと、前記止水栓操作チーズの中央に設けた貫通穴を貫通し、前記スライド部材の上端に固定し、前記スライド部材と止水栓操作管とを一緒に引き上げるスライド取手からなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の伸縮スライド取手付収納水閘は、止水栓操作管内に挿入嵌合され、下端に下部ストッパーを備えたスライド部材と、前記止水栓操作管の上端内周に前記下部ストッパーと係合し、前記スライド部材の上昇を停止させ、前記スライド部材と止水栓操作管とを連動させる上部ストッパーと、前記止水栓操作チーズの中央に設けた貫通穴を貫通し、前記スライド部材の上端に固定し、前記スライド部材と止水栓操作管とを一緒に引き上げるスライド取手からなるため、スライド取手を畦畔表面より高い膝位置まで引き上げ、スライド部材のスライド取手を持って止水栓操作管を持ち上げて、上下調節動作ができるため、農作業者が腰をかがめて止水栓操作管を引き上げる動作を負担なく行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の伸縮スライド取手付収納水閘の断面図である。
【
図2】本発明の伸縮スライド取手付収納水閘の一部省略拡大断面図である。
【
図3】スライド部材の他の実施例の一部省略拡大断面図である。
【
図4】本発明の伸縮スライド取手付収納水閘の他の実施例の(a)一部省略拡大断面図、(b)止水栓操作チーズのみの側面図である。
【
図5】従来の取り外し可能なアタッチメントを使用した状態(a)〜(d)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の伸縮スライド取手付収納水閘の一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1の断面図に示すように、本発明の伸縮スライド取手付収納水閘は、水平方向の排水管接続部1と垂直方向の立上管接続部2を有するT字状の水閘チーズ3と、該水閘チーズ3に固定立設された水閘立上管4と、該水閘立上管4の上部外周に摺動自在に嵌合されたスライド管5と、該スライド管5に収納BOX継手6を介して接続された収納BOX管7と、該収納BOX管7の上端開口を閉塞する収納BOXキャップ8と、前記水閘チーズ3の内部に止水栓9を有し、下端を前記止水栓9に接続され、前記水閘立上管4、収納BOX管7内を立設され、前記収納BOX管7内の下部の止水栓固定枠10に設けた袋ナット11により固定された止水栓操作管12と、該止水栓操作管12の上端に接続された止水栓操作チーズ13とからなる。
【0011】
前記収納水閘において、
図2の一部省略拡大断面図に示すように、前記止水栓操作管12内に挿入嵌合され、下端に下部ストッパー14を備えたスライド部材15と、前記止水栓操作管12の上端内周に前記下部ストッパー14と係合し、前記スライド部材15の上昇を停止させ、前記スライド部材15と止水栓操作管12とを連動させる上部ストッパー16と、前記止水栓操作チーズ13の中央に設けた貫通穴17を貫通し、前記スライド部材15の上端に固定し、前記スライド部材15と止水栓操作管12とを一緒に引き上げるスライド取手18からなる。
【0012】
前記スライド部材15は、
図2に示すように、上端をスライド取手18に固定し、前記止水栓操作管12と断面同心円状管15で前記止水栓操作管12内をスライド可能に嵌合され、下端外周には断面同心円状の下部ストッパー14を嵌合固定するか、又は、
図3の一部省略拡大断面図に示すように、抜け止め19により上端をスライド取手18に固定し、前記止水栓操作管12内に挿入されたロープ・クサリ・棒等20をスライド可能に嵌合し、下端外周には断面同心円状の下部ストッパー14を嵌合固定する。
前記スライド部材15は、適宜長さ設定できるが、前記スライド部材15を引き上げた時に力が入るように膝位置付近に来る位の長さが理想的である。
【0013】
前記上部ストッパー16は、前記止水栓操作管12の上端内周に断面同心円状に嵌合固定され又は
図3に示すように止水栓操作チーズ13に孔を開けて段部を設け、前記下部ストッパー14と係合し、前記スライド部材15の上昇を停止させ、前記スライド部材15と止水栓操作管12とを連動させる。
【0014】
前記スライド取手18は、前記止水栓操作チーズ13のT字形の中央に設けた貫通穴17を貫通したスライド部材15の上端に固定し又は
図3に示すように抜け止め19により上端をスライド取手18に固定し、前記スライド部材15と止水栓操作管12とを一緒に引き上げる動作を助ける。
なお、
図1中の22は離脱防止チェーン、23はスライドソケットである。
【0015】
次に、本発明の伸縮スライド取手付収納水閘の操作動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1に示す水田の管理のために止水栓9を開閉するには、畦畔等の表面の収納BOXキャップ8を開け、収納BOX管7内の袋ナット11を緩めた上で、スライド取手18を掴み、前記スライド取手18とスライド部材15とを一緒に引き上げて上昇させ、上部ストッパー16と下部ストッパー14と係合させる。この時、スライド取手18は農作業者の膝付近に位置するので、持ち上げ動作が容易となる。
さらに持ち上げると、前記スライド部材15と止水栓操作管12が一緒に上下動するので、止水栓9の開閉操作を可能にする。
水田の水量調節が終わったら、袋ナット11を締めて止水栓操作管12を固定することにより止水栓9が固定され、次にスライド部材15を止水栓操作管12内に押し込んで収納し、最後に収納BOXキャップ8を閉じる。
このようにして、前記スライド取手18を畦畔表面より高い膝位置付近で上下動させることができるため、農作業者が腰をかがめて止水栓操作管12を引き上げる動作を負担なく行うことができる。
【0016】
次に、本発明の伸縮スライド取手付収納水閘の他の実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図4の(a)一部省略拡大断面図、(b)止水栓操作チーズのみの側面図に示すように、T字形の止水栓操作チーズ13の水平部分を半割にし、該半割部分21にスライド取手18が収納されるようにする。その他の構成は上記実施例の構成と同一である。
このようにすることにより、止水栓操作チーズ13の突出部分が少なくなり、意匠効果も優れている。
【符号の説明】
【0017】
1 排水管接続部
2 立上管接続部
3 水閘チーズ
4 水閘立上管
5 スライド管
6 収納BOX継手
7 収納BOX管
8 収納BOXキャップ
9 止水栓
10 止水栓固定枠
11 袋ナット
12 止水栓操作管
13 止水栓操作チーズ
14 下部ストッパー
15 スライド部材
16 上部ストッパー
17 貫通穴
18 スライド取手
19 抜け止め
20 ロープ・クサリ・棒等
21 半割部分
22 離脱防止チェーン
23 スライドソケット