特許第6148706号(P6148706)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許61487061H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジンおよびその治療的使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148706
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジンおよびその治療的使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/444 20060101AFI20170607BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20170607BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20170607BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20170607BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20170607BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20170607BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20170607BHJP
   C07D 519/00 20060101ALN20170607BHJP
【FI】
   A61K31/444
   A61K31/5377
   A61K31/496
   A61K31/4545
   A61P1/16
   A61P11/00
   A61P17/02
   !C07D519/00 311
【請求項の数】14
【全頁数】180
(21)【出願番号】特願2015-198552(P2015-198552)
(22)【出願日】2015年10月6日
(62)【分割の表示】特願2012-546046(P2012-546046)の分割
【原出願日】2010年12月15日
(65)【公開番号】特開2016-47823(P2016-47823A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2015年10月6日
(31)【優先権主張番号】61/288,544
(32)【優先日】2009年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512265331
【氏名又は名称】サミュメッド リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】フッド ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ケーシー スニル クマール
(72)【発明者】
【氏名】ウォリス デイビッド マーク
【審査官】 上條 肇
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/130673(WO,A1)
【文献】 特表2004−536113(JP,A)
【文献】 特表2003−520273(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0219257(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0192262(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/010660(WO,A2)
【文献】 特表2005−509639(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0004270(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0094706(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0077681(US,A1)
【文献】 特許第5822844(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33 − 31/555
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害または疾患を治療するための薬学的組成物の調製における、化合物またはその薬学的に許容される塩の使用であって、該障害または疾患が、毒素誘導性疾患、アルコール関連肝疾患、肺線維症、ケロイド、および過形成性瘢痕形成からなる群より選択され、該化合物が式Ib:
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(式中:
、R、R、およびRは、Hであり;
は、−3−ピリジニルR12であり;
は、H、−フェニルR12、ヘテロシクリルR12、およびピリジニルR12からなる群より選択され;
各Rは独立に、H、−C1−9アルキル、−C3−6カルボシクリル、および−(C1−9アルキル)ヘテロシクリルからなる群より選択され、ここで該ヘテロシクリルは5〜7員ヘテロシクリルであり;
または、2つの隣接するRはそれらが連結している原子と一緒になってC3−6カルボシクリルもしくは5〜7員ヘテロシクリルを形成してもよく;
各R12は、それぞれH、C1−9アルキル、ハロゲン化物、NHSO、−NHC(=O)N(R、および−NHC(=O)Rからなる群より選択される1〜5つの置換基であり;
、Y、およびYはCであり;
は窒素であり、Rは存在せず;かつ
各nは0または1である。)
の構造を有する、使用。
【請求項2】
が−3−ピリジニルR12であり、かつR12が−NHC(=O)N(R、−NHC(=O)R、および−NHSOからなる群より選択される、請求項1記載の使用。
【請求項3】
がH、−C1−4アルキル、C3−6カルボシクリルおよび−ヘテロシクリルからなる群より選択される、請求項2記載の使用。
【請求項4】
が−フェニルR12、および−ピリジニルR12からなる群より選択される、請求項2または3記載の使用。
【請求項5】
が−フェニルR12である、請求項1記載の使用。
【請求項6】
12がHおよびハロゲン化物からなる群より選択される、請求項4記載の使用。
【請求項7】
式Ibの化合物、またはその薬学的に許容される塩が、下記からなる群:
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より選択されるか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1記載の使用。
【請求項8】
障害または疾患が、毒素誘導性疾患である、請求項1記載の使用。
【請求項9】
障害または疾患が、アルコール関連肝疾患である、請求項1記載の使用。
【請求項10】
障害または疾患が、肺線維症である、請求項1記載の使用。
【請求項11】
肺線維症が、嚢胞性線維症である、請求項10記載の使用。
【請求項12】
障害または疾患が、ケロイドである、請求項1記載の使用。
【請求項13】
障害または疾患が、過形成性瘢痕形成である、請求項1記載の使用。
【請求項14】
障害または疾患を治療するための薬学的組成物の調製における、化合物またはその薬学的に許容される塩の使用であって、該障害または疾患が、毒素誘導性疾患、アルコール関連肝疾患、肺線維症、ケロイド、および過形成性瘢痕形成からなる群より選択され、該化合物が以下からなる群:
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より選択される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年12月21日提出の米国特許仮出願第61/288,544号の恩典を主張し、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は治療的腫瘍学の分野に関する。特に、本発明は、癌、特に結腸癌、卵巣癌、膵癌、乳癌、肝癌、前立腺癌および血液癌の治療における、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン化合物またはその塩もしくは類縁体の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
パターン形成は、それにより胚細胞が分化した組織の規則正しい空間配列を形成する活動である。これらのパターン形成効果の基礎をなすメカニズムに対する推測は、通常はパターン形成される組織からの適当な応答を誘発するシグナル伝達分子の分泌に集中している。そのようなシグナル伝達分子の同定を目的としたより最近の研究から、少数の遺伝子ファミリーの個々のメンバーによってコードされる分泌タンパク質が関係するとされている。
【0004】
癌の生物学における長年の考えは、癌は癌幹細胞の形成によって生じ、成長するというもので、この癌幹細胞は腫瘍内の細胞の少数を構成するにすぎないが、それにも関わらずその増殖にとって重大である。幹細胞は、自己複製および無限複製に対するその既存の能力ゆえに、癌の原因となる細胞として興味深い。加えて、幹細胞は組織内の他の細胞と比べて相対的に長命で、細胞増殖の速度を高め、臨床上意味のある癌を生ずるために必要とされうる、複数のさらなる突然変異を蓄積するより大きい機会を提供する。癌の原因において最近特に興味が持たれるのは、正常な組織における幹細胞自己複製に関係があるとされているWntシグナル伝達経路が、持続的活性化後に、多くの型の癌のイニシエーションおよび成長にも関連しているとの知見である。したがって、この経路は、幹細胞の正常な自己複製と癌幹細胞の異常に調節された増殖との間で可能性がある連関を提供する。
【0005】
Wnt成長因子ファミリーは、マウスで同定された10を超える遺伝子と、ヒトで同定された少なくとも19つの遺伝子を含む。シグナル伝達分子のWntファミリーのメンバーは、無脊椎動物および脊椎動物発生中の多くの重要な短距離および長距離パターン形成プロセスを仲介する。Wntシグナル伝達経路は、成長および分化を調節する誘導性相互作用におけるその重要な役割で知られており、後胚期の組織完全性の恒常性維持においても重要な役割を果たす。Wntは細胞質β-カテニンを安定化し、これはc-myc、c jun、fra-1、およびサイクリンD1を含む遺伝子の発現を刺激する。加えて、Wntシグナル伝達の誤調節は発生異常を引き起こすことがあり、いくつかのヒト癌の発生に関係があるとされている。より最近、Wnt経路は、現在のところ皮膚、血液、腸、前立腺、筋肉および神経系を含む、成体組織の増えつつあるリストにおける幹細胞または前駆細胞の維持に関係づけられている。
【0006】
Wnt経路の病理的活性化は、西洋のすべての散発性症例の85%よりも多くで結腸直腸癌につながる初期事象であるとも考えられる。Wnt経路の活性化は、肝細胞癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、黒色腫、中皮腫、リンパ腫および白血病について詳細に報告されている。癌に加えて、Wnt経路の阻害剤は、幹細胞研究のため、または糖尿病性網膜症、新生血管緑内障、関節リウマチ、乾癬や真菌およびウイルス感染ならびに骨および軟骨疾患などの異常なWnt活性化によって特徴付けられる任意の疾患の治療のために用いることができる。したがって、これは当技術分野にとって非常に興味が持たれる治療標的である。
【0007】
癌に加えて、Wntシグナル伝達成分の突然変異による遺伝疾患の多くの症例がある。多くの疾患のいくつかの例は、アルツハイマー病[Proc. Natl. Acad. Sci. U S A (2007), 104(22), 9434-9]、骨関節症、大腸ポリポーシス[Science (1991), 253(5020), 665-669]、骨密度および眼内血管欠損(骨粗鬆症-偽性神経膠腫症候群、OPPG)[N. Engl. J. Med. (2002), 346(20), 1513-21]、家族性滲出性硝子体網膜症[Hum. Mutat. (2005), 26(2), 104-12]、網膜血管形成[Nat. Genet. (2002), 32(2), 326-30]、早期冠動脈疾患[Science (2007), 315(5816), 1278-82]、無四肢症候群[Am. J. Hum. Genet. (2004), 74(3), 558-63]、ミュラー管退行および男性化[Engl. J. Med. (2004), 351(8), 792-8]、SERKAL症候群[Am. J. Hum. Genet. (2008), 82(1), 39-47]、2型糖尿病[Am. J. Hum. Genet. (2004), 75(5), 832-43; N. Engl. J. Med. (2006), 355(3), 241-50]、Fuhrmann症候群[Am. J. Hum. Genet. (2006), 79(2), 402-8]、Al-Awadi/Raas-Rothschild/Schinzelアザラシ肢症候群[Am. J. Hum. Genet. (2006), 79(2), 402-8]、歯-爪-皮膚異形成[Am. J. Hum. Genet. (2007), 81(4), 821-8]、肥満[Diabetologia (2006), 49(4), 678-84]、裂手/足奇形[Hum. Mol. Genet. (2008), 17(17), 2644-53]、尾部重複体症候群[Am. J. Hum. Genet. (2006), 79(1), 155-62]、歯牙無形成[Am. J. Hum. Genet. (2004), 74(5), 1043-50]、ウィルムス腫瘍[Science (2007), 315(5812), 642-5]、骨格形成異常[Nat. Genet. (2009), 41(1), 95-100]、巣状皮膚低形成[Nat. Genet. (2007), 39(7), 836-8]、常染色体劣性爪甲欠損[Nat. Genet. (2006), 38(11), 1245-7]、神経管欠損[N. Engl. J. Med. (2007), 356(14), 1432-7]、アルファ-サラセミア(ATRX)症候群[The Journal of Neuroscience (2008), 28(47), 12570 -12580]、脆弱X染色体症候群[PLoS Genetics (2010), 6(4), e1000898]、ICF症候群、Angelman症候群[Brain Research Bulletin (2002), 57(1), 109-119]、プラダー-ウィリ症候群[Journal of Neuroscience (2006), 26(20), 5383-5392]、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群[Pediatric and Developmental Pathology (2003), 6(4), 299-306]およびRett症候群である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、細胞を、Wnt活性に拮抗する、例えば、異常な成長状態を逆転もしくは制御する、またはWntシグナル伝達成分の突然変異による遺伝障害を訂正するのに十分な量の、芳香族化合物などの物質と接触させる段階を含む、方法および試薬を利用可能にする。
【0009】
本明細書において開示するいくつかの態様は、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン核を含有するWnt阻害剤を含む。本明細書において開示する他の態様は、これらの化合物を用いる組成物および治療法を含む。
【0010】
本明細書において開示する1つの態様は、式Iの構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を含む:
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【0011】
式(I)のいくつかの態様において:
R1、R3、R5、R6、R7およびR8は独立にH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択され;
R1およびR3がHである場合、R2は独立に-C(=O)NH(C1-9アルキルR9)、-C(=S)NH(C1-9アルキルR9)、-C(=O)N(R10)2、-C(=S)N(R10)2、-C(=NR11)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR13、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR13、-(C1-9アルキル)nアリールR13および-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR13からなる群より選択され;
R1およびR3が両方ともHでない場合、R2は独立にH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択され;
または、各R1およびR2、R2およびR3、R5およびR6もしくはR6およびR7もしくはR7およびR8の1つは一緒になって、アリール、ヘテロアリール、
[この文献は図面を表示できません]
からなる群より選択される環を形成し;
ここで破線および実線で表される各結合は一重結合および二重結合からなる群より選択される結合を表し;
各R9は独立にH、-C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択され;
または、2つの隣接するR9はそれらが連結している原子と一緒になってカルボシクリルもしくはヘテロシクリルを形成してもよく;
各R10は独立に-C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択され;
各R11は独立に-OR9およびR9からなる群より選択され;
R12はそれぞれH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、カルボシクリルR12、ヘテロシクリルR12、アリールR12、ヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択される1〜5つの置換基であり;
R13はそれぞれ-N(R9)C(=A)N(R9)2、-C(=A)N(R9)2、-N(R9)C(=A)R9、-N(R9)C(=A)CH(R9)2、-N(R9)SO2R9および-SO2(C1-9アルキル)からなる群より選択される1〜5つの置換基であり;
R14およびR15は独立にH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択され;
または、R14およびR15は一緒になってベンゼンおよびピリジンからなる群より選択される環を形成し;
各Aは独立にO、SおよびNR11から選択され;
Xは窒素であり、かつR4は存在せず;
Y1、Y2、Y3およびY4はそれぞれ炭素であり;かつ
各nは0もしくは1であり、またはその薬学的に許容される塩。
【0012】
式(I)の他の態様において、:
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は独立にH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択され;
または、各R1およびR2、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7もしくはR7およびR8の1つは一緒になって、アリール、ヘテロアリール、
[この文献は図面を表示できません]
からなる群より選択される環を形成し;
ここで破線および実線で表される各結合は一重結合および二重結合からなる群より選択される結合を表し;
各R9は独立にH、-C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択され;
または、2つの隣接するR9はそれらが連結している原子と一緒になってカルボシクリルもしくはヘテロシクリルを形成してもよく;
各R10は独立に-C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択され;
各R11は独立に-OR9およびR9からなる群より選択され;
R12はそれぞれH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、カルボシクリルR12、ヘテロシクリルR12、アリールR12、ヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択される1〜5つの置換基であり;
R14およびR15は独立にH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択され;
または、R14およびR15は一緒になってベンゼンおよびピリジンからなる群より選択される環を形成し;
各Aは独立にO、SおよびNR11から選択され;
Xは炭素または窒素であり;
Y1、Y2、Y3およびY4は独立に炭素および窒素からなる群より選択され;
ただしXが窒素である場合、Y1、Y2、Y3およびY4の少なくとも1つは窒素であり;
Xが窒素である場合、R4は存在せず;
Y1が窒素である場合、R5は存在せず;
Y2が窒素である場合、R6は存在せず;
Y3が窒素である場合、R7は存在せず;
Y4が窒素である場合、R8は存在せず;かつ
各nは0もしくは1であり、またはその薬学的に許容される塩。
【0013】
いくつかの態様は、一般式(I)の化合物の立体異性体および薬学的に許容される塩を含む。
【0014】
いくつかの態様は、一般式(I)の化合物のプロドラッグを含む。
【0015】
本発明のいくつかの態様は、一般式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含む薬学的組成物を含む。
【0016】
本明細書において開示する他の態様は、1つまたは複数のWntタンパク質を含むWnt経路の1つまたは複数のメンバーを阻害する方法であって、癌ならびに異常な血管形成、細胞増殖、細胞周期およびWntシグナル伝達成分の突然変異に関連する他の疾患などの、異常なWntシグナル伝達が関係するとされている障害または疾患を患っている被験者に、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することによる方法を含む。したがって、本明細書において提供する化合物および組成物を用いて、癌を治療する、血管形成を低減もしくは阻害する、細胞増殖を低減もしくは阻害する、およびWntシグナル伝達成分の突然変異による遺伝障害を訂正することができる。本明細書において提供する化合物および組成物で治療しうる疾患の非限定例には、様々な癌、糖尿病性網膜症、新生血管緑内障、関節リウマチ、乾癬、真菌およびウイルス感染、骨軟骨異形成、アルツハイマー病、骨関節症、大腸ポリポーシス、骨粗鬆症-偽性神経膠腫症候群、家族性滲出性硝子体網膜症、網膜血管形成、早期冠動脈疾患、無四肢症候群、ミュラー管退行および男性化、SERKAL症候群、2型糖尿病、Fuhrmann症候群、Al-Awadi/Raas-Rothschild/Schinzelアザラシ肢症候群、歯-爪-皮膚異形成、肥満、裂手/足奇形、尾部重複体症候群、歯牙無形成、ウィルムス腫瘍、骨格形成異常、巣状皮膚低形成、常染色体劣性爪甲欠損、神経管欠損、アルファ-サラセミア(ATRX)症候群、脆弱X染色体症候群、ICF症候群、Angelman症候群、プラダー-ウィリ症候群、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群およびRett症候群が含まれる。
【0017】
本発明のいくつかの態様は、一般式(I)の化合物の調製法を含む。
【0018】
前述の一般的説明および以下の詳細な説明はいずれも例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載する、本発明を制限するものではないことが理解されるべきである。
[本発明1001]
式Iaの構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ:
[この文献は図面を表示できません]
式中:
R1、R3、R5、R6、R7およびR8は独立に、H、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択され;
R1およびR3がHである場合、R2は独立に、-C(=O)NH(C1-9アルキルR9)、-C(=S)NH(C1-9アルキルR9)、-C(=O)N(R10)2、-C(=S)N(R10)2、-C(=NR11)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR13、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR13、-(C1-9アルキル)nアリールR13および-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR13からなる群より選択され;
R1およびR3が両方ともHでない場合、R2は独立に、H、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択され;
または、各R1およびR2、R2およびR3、R5およびR6もしくはR6およびR7もしくはR7およびR8の1つは一緒になって、アリール、ヘテロアリール、
[この文献は図面を表示できません]
からなる群より選択される環を形成し;
ここで破線および実線で表される各結合は一重結合および二重結合からなる群より選択される結合を表し;
各R9は独立に、H、-C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択され;
または、2つの隣接するR9はそれらが連結している原子と一緒になってカルボシクリルもしくはヘテロシクリルを形成してもよく;
各R10は独立に、-C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択され;
各R11は独立に-OR9およびR9からなる群より選択され;
各R12は、それぞれH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、カルボシクリルR12、ヘテロシクリルR12、アリールR12、ヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=O)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択される1〜5つの置換基であり;
R13は、それぞれ-N(R9)C(=A)N(R9)2、-C(=A)N(R9)2、-N(R9)C(=A)R9、-N(R9)C(=A)CH(R9)2、-N(R9)SO2R9および-SO2(C1-9アルキル)からなる群より選択される1〜5つの置換基であり;
R14およびR15は独立に、H、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択され;
または、R14およびR15は一緒になってベンゼンおよびピリジンからなる群より選択される環を形成し;
各Aは独立に、O、SおよびNR11から選択され;かつ
各nは0または1である。
[本発明1002]
nが0である、本発明1001の化合物。
[本発明1003]
nが1である、本発明1001の化合物。
[本発明1004]
AがOである、本発明1001の化合物。
[本発明1005]
R1およびR3がHであり、かつR2が-カルボシクリルR13、-ヘテロシクリルR13、-アリールR13および-ヘテロアリールR13からなる群より選択される、本発明1001の化合物。
[本発明1006]
R2が-ヘテロアリールR13である、本発明1005の化合物。
[本発明1007]
ヘテロアリールがピリジンである、本発明1006の化合物。
[本発明1008]
R13が-NHC(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-NHC(=O)R9、-NHC(=O)CH(R9)2および-NHSO2R9からなる群より選択される、本発明1006の化合物。
[本発明1009]
R9がH、-C1-4アルキル、カルボシクリルおよび-ヘテロシクリルからなる群より選択される、本発明1008の化合物。
[本発明1010]
R6、R7およびR8がHであり、かつR5がH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択される、本発明1001の化合物。
[本発明1011]
R5が-ヘテロシクリルR12、-アリールR12および-ヘテロアリールR12からなる群より選択される、本発明1010の化合物。
[本発明1012]
R12がHおよびハロゲン化物からなる群より選択される、本発明1011の化合物。
[本発明1013]
ヘテロアリールがピリジンである、本発明1011の化合物。
[本発明1014]
R5がH、-C(=O)N(R9)2および-CNからなる群より選択される、本発明1010の化合物。
[本発明1015]
R9がHおよび-C1-4アルキルからなる群より選択されるか、または、R9が窒素と一緒になって縮合環を形成する、本発明1014の化合物。
[本発明1016]
下記からなる群より選択される構造を有する、本発明1001の化合物:
[この文献は図面を表示できません]
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[本発明1017]
式Ibの構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ:
[この文献は図面を表示できません]
式中:
R1、R2、R3、R5、R6、R7およびR8は独立に、H、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択され;
各R1およびR2、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7またはR7およびR8の1つは一緒になって、アリール、ヘテロアリール、
[この文献は図面を表示できません]
からなる群より選択される環を形成し;
ここで破線および実線で表される各結合は一重結合および二重結合からなる群より選択される結合を表し;
各R9は独立に、H、-C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択され;
または、2つの隣接するR9はそれらが連結している原子と一緒になってカルボシクリルもしくはヘテロシクリルを形成してもよく;
各R10は独立に、C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択され;
各R11は独立に-OR9およびR9からなる群より選択され;
各R12は、それぞれH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、カルボシクリルR12、ヘテロシクリルR12、アリールR12、ヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択される1〜5つの置換基であり;
R14およびR15は独立に、H、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択され;
または、R14およびR15は一緒になってベンゼンおよびピリジンからなる群より選択される環を形成し;
各Aは独立に、O、SおよびNR11から選択され;
Y1、Y2、Y3およびY4の少なくとも1つが窒素であるとの条件で、Y1、Y2、Y3およびY4は独立に炭素および窒素からなる群より選択され;
Y1は窒素であり、その場合R5は存在せず;
Y2は窒素であり、その場合R6は存在せず;
Y3は窒素であり、その場合R7は存在せず;
Y4は窒素であり、その場合R8は存在せず;かつ
各nは0または1である。
[本発明1018]
nが0である、本発明1017の化合物。
[本発明1019]
nが1である、本発明1017の化合物。
[本発明1020]
AがOである、本発明1017の化合物。
[本発明1021]
R1およびR3がHであり、かつR2が-カルボシクリルR12、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12および-ヘテロアリールR12からなる群より選択される、本発明1017の化合物。
[本発明1022]
R2が-ヘテロアリールR12である、本発明1021の化合物。
[本発明1023]
ヘテロアリールがピリジンである、本発明1022の化合物。
[本発明1024]
R12が-NHC(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-NHC(=O)R9、-NHC(=O)CH(R9)2および-NHSO2R9からなる群より選択される、本発明1022の化合物。
[本発明1025]
R9がH、-C1-4アルキル、カルボシクリルおよび-ヘテロシクリルからなる群より選択される、本発明1024の化合物。
[本発明1026]
Y1、Y2およびY4が炭素であり、かつY3が窒素であり、かつR7が存在しない、本発明1017の化合物。
[本発明1027]
R6およびR8がHであり、かつR5がH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択される、本発明1026の化合物。
[本発明1028]
R5が-ヘテロシクリルR12、-アリールR12および-ヘテロアリールR12からなる群より選択される、本発明1027の化合物。
[本発明1029]
R12がHおよびハロゲン化物からなる群より選択される、本発明1028の化合物。
[本発明1030]
ヘテロアリールがピリジンである、本発明1028の化合物。
[本発明1031]
R5がH、-C(=O)N(R9)2および-CNからなる群より選択される、本発明1027の化合物。
[本発明1032]
R9がHおよび-C1-4アルキルからなる群より選択されるか、または、R9が窒素と一緒になって縮合環を形成する、本発明1031の化合物。
[本発明1033]
Y1、Y2およびY3が炭素であり、かつY4が窒素であり、かつR8が存在しない、本発明1017の化合物。
[本発明1034]
R6およびR7がHであり、かつR5がH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択される、本発明1033の化合物。
[本発明1035]
R5が-ヘテロシクリルR12、-アリールR12および-ヘテロアリールR12からなる群より選択される、本発明1034の化合物。
[本発明1036]
R12がHおよびハロゲン化物からなる群より選択される、本発明1035の化合物。
[本発明1037]
ヘテロアリールがピリジンである、本発明1035の化合物。
[本発明1038]
R5がH、-C(=O)N(R9)2および-CNからなる群より選択される、本発明1034の化合物。
[本発明1039]
R9がHおよび-C1-4アルキルからなる群より選択されるか、または、R9が窒素と一緒になって縮合環を形成する、本発明1038の化合物。
[本発明1040]
下記からなる群より選択される構造を有する、本発明1017の化合物:
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[本発明1041]
下記からなる群より選択される構造を有する、本発明1017の化合物:
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[本発明1042]
式Icの構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ:
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式中:
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は独立に、H、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択され;
各R1およびR2、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7またはR7およびR8の1つは一緒になって、アリール、ヘテロアリール、
[この文献は図面を表示できません]
からなる群より選択される環を形成し;
ここで破線および実線で表される各結合は一重結合および二重結合からなる群より選択される結合を表し;
各R9は独立に、H、-C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択され;
または、2つの隣接するR9はそれらが連結している原子と一緒になってカルボシクリルもしくはヘテロシクリルを形成してもよく;
各R10は独立に、C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択され;
各R11は独立に-OR9およびR9からなる群より選択され;
各R12は、それぞれH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、カルボシクリルR12、ヘテロシクリルR12、アリールR12、ヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択される1〜5つの置換基であり;
R14およびR15は独立に、H、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択され;
または、R14およびR15は一緒になってベンゼンおよびピリジンからなる群より選択される環を形成し;
各Aは独立に、O、SおよびNR11から選択され;
Y1、Y2、Y3およびY4は独立に炭素および窒素からなる群より選択され;
Y1は窒素であり、かつR5は存在せず;
Y2は窒素であり、かつR6は存在せず;
Y3は窒素であり、かつR7は存在せず;
Y4は窒素であり、かつR8は存在せず;かつ
各nは0または1である。
[本発明1043]
nが0である、本発明1042の化合物。
[本発明1044]
nが1である、本発明1042の化合物。
[本発明1045]
AがOである、本発明1042の化合物。
[本発明1046]
R1およびR3がHであり、かつR2が-カルボシクリルR12、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12および-ヘテロアリールR12からなる群より選択される、本発明1042の化合物。
[本発明1047]
R2が-ヘテロアリールR12である、本発明1046の化合物。
[本発明1048]
ヘテロアリールがピリジンである、本発明1047の化合物。
[本発明1049]
R12が-NHC(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-NHC(=O)R9、-NHC(=O)CH(R9)2および-NHSO2R9からなる群より選択される、本発明1047の化合物。
[本発明1050]
R9がH、-C1-4アルキル、カルボシクリルおよび-ヘテロシクリルからなる群より選択される、本発明1049の化合物。
[本発明1051]
Y1、Y2、Y3およびY4が炭素である、本発明1042の化合物。
[本発明1052]
R4、R6、R7およびR8がHであり、かつR5がH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択される、本発明1051の化合物。
[本発明1053]
R4、R5、R6およびR7がHであり、かつR8がH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択される、本発明1051の化合物。
[本発明1054]
Y2、Y3およびY4が炭素であり、Y1が窒素であり、R5が存在せず、R4、R6およびR7がHであり、かつR8がH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択される、本発明1042の化合物。
[本発明1055]
Y1、Y3およびY4が炭素であり、Y2が窒素であり、R6が存在せず、R4、R5およびR7がHであり、かつR8がH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択される、本発明1042の化合物。
[本発明1056]
Y1、Y2およびY4が炭素であり、Y3が窒素であり、R7が存在せず、R4、R6およびR8がHであり、かつR5がH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択される、本発明1042の化合物。
[本発明1057]
Y1、Y2およびY3が炭素であり、Y4が窒素であり、R8が存在せず、R4、R6およびR7がHであり、かつR5がH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択される、本発明1042の化合物。
[本発明1058]
ヘテロアリールがピリジンである、本発明1052〜1057のいずれかの化合物。
[本発明1059]
R12がHおよびハロゲン化物からなる群より選択される、本発明1052〜1057のいずれかの化合物。
[本発明1060]
R9がHおよび-C1-4アルキルからなる群より選択されるか、または、R9が窒素と一緒になって縮合環を形成する、本発明1052〜1057のいずれかの化合物。
[本発明1061]
下記からなる群より選択される構造を有する、本発明1042の化合物:
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[本発明1062]
本発明1001、1017もしくは1042のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量、および薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的組成物。
[本発明1063]
患者の異常なWntシグナル伝達が関係するとされている障害または疾患を治療する方法であって、患者に本発明1001、1017もしくは1042のいずれかの化合物またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与する段階を含む、方法。
[本発明1064]
障害または疾患が癌である、本発明1063の方法。
[本発明1065]
障害または疾患が糖尿病性網膜症である、本発明1063の方法。
[本発明1066]
障害または疾患が新生血管緑内障である、本発明1063の方法。
[本発明1067]
障害または疾患が関節リウマチである、本発明1063の方法。
[本発明1068]
障害または疾患が乾癬である、本発明1063の方法。
[本発明1069]
障害または疾患が真菌またはウイルス感染症である、本発明1063の方法。
[本発明1070]
障害または疾患が骨または軟骨疾患である、本発明1063の方法。
[本発明1071]
障害または疾患がアルツハイマー病である、本発明1063の方法。
[本発明1072]
障害または疾患が骨関節症である、本発明1063の方法。
[本発明1073]
障害または疾患がWntシグナル伝達成分の突然変異によって引き起こされる遺伝疾患であり、ここで遺伝疾患は大腸ポリポーシス、骨粗鬆症-偽性神経膠腫症候群、家族性滲出性硝子体網膜症、網膜血管形成、早期冠動脈疾患、無四肢症候群、ミュラー管退行および男性化、SERKAL症候群、2型糖尿病、Fuhrmann症候群、Al-Awadi/Raas-Rothschild/Schinzelアザラシ肢症候群、歯-爪-皮膚異形成、肥満、裂手/足奇形、尾部重複体症候群、歯牙無形成、ウィルムス腫瘍、骨格形成異常、巣状皮膚低形成、常染色体劣性爪甲欠損、神経管欠損、アルファ-サラセミア(ATRX)症候群、脆弱X染色体症候群、ICF症候群、Angelman症候群、プラダー-ウィリ症候群、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群およびRett症候群から選択される、本発明1063の方法。
[本発明1074]
患者がヒトである、本発明1063の方法。
[本発明1075]
癌が肝細胞癌、結腸癌、乳癌、膵臓癌、白血病、リンパ腫、肉腫および卵巣癌から選択される、本発明1064の方法。
[本発明1076]
化合物がWnt経路における1つまたは複数のタンパク質を阻害する、本発明1063の方法。
[本発明1077]
化合物が、1つまたは複数のWntタンパク質によって誘導されるシグナル伝達を阻害する、本発明1076の方法。
[本発明1078]
Wntタンパク質がWNT1、WNT2、WNT2B、WNT3、WNT3A、WNT4. WNT5A、WNT5B、WNT6、WNT7A、WNT7B、WNT8A、WNT8B、WNT9A、WNT9B、WNT10A、WNT10B、WNT11、およびWNT16から選択される、本発明1077の方法。
[本発明1079]
化合物がキナーゼ活性を阻害する、本発明1063の方法。
[本発明1080]
患者においてWnt経路によって仲介される疾患または障害を治療する方法であって、患者に本発明1001、1017もしくは1042のいずれかの化合物またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与する段階を含む、方法。
[本発明1081]
化合物が1つまたは複数のWntタンパク質を阻害する、本発明1080の方法。
[本発明1082]
患者においてキナーゼ活性によって仲介される疾患または障害を治療する方法であって、患者に本発明1001、1017もしくは1042のいずれかの化合物またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与する段階を含む、方法。
[本発明1083]
疾患または障害が、腫瘍成長、細胞増殖、または血管形成を含む、本発明1082の方法。
[本発明1084]
タンパク質キナーゼ受容体の活性を阻害する方法であって、受容体を本発明1001、1017もしくは1042のいずれかの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効な量と接触させる段階を含む、方法。
[本発明1085]
タンパク質キナーゼが、キナーゼのCDK、VEGF、CLK、HIPK、Abl、JAKまたはCHKファミリーからである、本発明1082の方法。
[本発明1086]
患者において異常な細胞増殖に関連する疾患または障害を治療する方法であって、患者に本発明1001、1017もしくは1042のいずれかの化合物またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与する段階を含む、方法。
[本発明1087]
患者における血管形成を防止または低減する方法であって、患者に本発明1001、1017もしくは1042のいずれかの化合物またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与する段階を含む、方法。
[本発明1088]
患者における異常な細胞増殖を防止または低減する方法であって、患者に本発明1001、1017もしくは1042のいずれかの化合物またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与する段階を含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
1つまたは複数のWntタンパク質を含むWnt経路の1つまたは複数のメンバーを阻害するための組成物および方法は大きな利益があるであろう。特定の態様はそのような組成物および方法を提供する。
【0020】
いくつかの態様は、癌、糖尿病性網膜症、新生血管緑内障、関節リウマチ、乾癬、真菌およびウイルス感染、骨および軟骨疾患、アルツハイマー病、骨関節症、大腸ポリポーシス、骨密度および眼内血管欠損(骨粗鬆症-偽性神経膠腫症候群、OPPG)、家族性滲出性硝子体網膜症、網膜血管形成、早期冠動脈疾患、無四肢、ミュラー管退行および男性化、SERKAL症候群、2型糖尿病、Fuhrmann症候群、Al-Awadi/Raas-Rothschild/Schinzelアザラシ肢症候群、歯-爪-皮膚異形成、肥満、裂手/足奇形、尾部重複体、歯牙無形成、ウィルムス腫瘍、骨格形成異常、巣状皮膚低形成、常染色体劣性爪甲欠損、神経管欠損、アルファ-サラセミア(ATRX)症候群、脆弱X染色体症候群、ICF症候群、Angelman症候群、プラダー-ウィリ症候群、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群およびRett症候群などの疾患の治療法に関する。
【0021】
いくつかの態様において、Wnt経路の病理的活性化または突然変異によって引き起こされる、動物、例えば哺乳動物の疾患を治療するために有効な、薬学的組成物が提供される。組成物は薬学的に許容される担体および本明細書に記載のWnt経路阻害剤を含む。
【0022】
定義
特に定義しないかぎり、本明細書において用いるすべての技術および科学用語は、本開示が属する分野の技術者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。すべての特許、特許出願、公開出願、および他の出版物は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。本明細書の用語について複数の定義がある場合、特に記載がないかぎり、本項の定義が優先される。
【0023】
本明細書および特許請求の範囲において、以下の用語は定義のとおりの意味を有する。本明細書において用いられる「アルキル」とは、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチルおよびペンチルなどの、炭素および水素だけを含む分枝または直鎖化学基を意味する。アルキル基は無置換または1つもしくは複数の置換基、例えば、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミド、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシ、カルボニル、ベンジルオキシ、アリール、ヘテロアリール、または本発明の目的のために必要であれば、保護基により適切にブロックされていてもよい他の官能基で置換されていてもよい。アルキル基は、1つまたはいくつかの位置で、飽和または不飽和(例えば、-C=C-または-C≡C-サブユニットを含む)であってもよい。典型的には、アルキル基は1から9個の炭素原子、好ましくは1から6個、より好ましくは1から4個の炭素原子を含むことになる。
【0024】
本明細書において用いられる「カルボシクリル」とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘキセニルなどの、環系骨格に炭素原子だけを含む環状の環系を意味する。カルボシクリルは複数の縮合環を含んでいてもよい。カルボシクリルは、環系の少なくとも1つの環が芳香族ではないとの条件で、任意の飽和度を有していてもよい。カルボシクリル基は無置換または1つもしくは複数の置換基、例えば、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミド、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシ、カルボニル、ベンジルオキシ、アリール、ヘテロアリール、または本発明の目的のために必要であれば、保護基により適切にブロックされていてもよい他の官能基で置換されていてもよい。典型的には、カルボシクリル基は3から10個の炭素原子、好ましくは3から6個を含むことになる。
【0025】
本明細書において用いられる「低級アルキル」とは、アルキルのサブセットを意味し、したがって直鎖または分枝の炭化水素置換基である。好ましい低級アルキルは1から約4個の炭素のものであり、分枝または直鎖であってもよい。低級アルキルの例には、ブチル、プロピル、イソプロピル、エチル、およびメチルが含まれる。同様に、「低級」なる用語を用いるラジカルは、ラジカルのアルキル部分に好ましくは1から約4個の炭素を有するラジカルを意味する。
【0026】
本明細書において用いられる「アミド」とは、H-CON-またはアルキル-CON-、カルボシクリル-CON-、アリール-CON-、ヘテロアリール-CON-もしくはヘテロシクリル-CON基を意味し、ここでアルキル、カルボシクリル、アリールまたはヘテロシクリル基は本明細書に記載のとおりである。
【0027】
本明細書において用いられる「アリール」とは、環骨格に炭素原子だけが存在する、1つの環(例えば、フェニル)または複数の縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する芳香族ラジカルを意味する。アリール基は無置換または1つもしくは複数の置換基、例えば、アルキル、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ニトロ、ハロ、メルカプト、および他の置換基で置換されていてもよい。好ましい炭素環式アリールはフェニルである。
【0028】
本明細書において用いられる「ヘテロアリール」なる用語は、環骨格に1つまたは複数のヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)を有する芳香族ラジカルを意味し、1つの環(例えば、ピリジン)または複数の縮合環(例えば、キノリン)を含んでいてもよい。ヘテロアリール基は無置換または1つもしくは複数の置換基、例えば、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ニトロ、ハロ、メルカプト、および他の置換基で置換されていてもよい。ヘテロアリールの例には、チエニル、ピリジル、フリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チオジアゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、チアゾリルなどが含まれる。
【0029】
これらの定義において、アリールおよびへテロアリール環上の置換は特定の態様の範囲内であることが明白に企図される。置換がある場合、ラジカルは置換アリールまたは置換ヘテロアリールと呼ばれる。好ましくは1から3つ、より好ましくは1または2つの置換基がアリールまたはヘテロアリール環上に生じる。多くの置換基が有用であろうが、好ましい置換基には、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、メルカプトなどの、アリールまたはヘテロアリール化合物上で一般に見いだされるものが含まれる。
【0030】
本明細書において用いられる「アミド」は、RNR'CO-(R=アルキル、アルカミノカルボニル-の場合)およびRCONR'-(R=アルキル、アルキルカルボニルアミノ-の場合)の両方を含む。
【0031】
本明細書において用いられる「エステル」なる用語は、ROCO-(R=アルキル、アルコキシカルボニル-の場合)およびRCOO-(R=アルキル、アルキルカルボニルオキシ-の場合)の両方を含む。
【0032】
本明細書において用いられる「アシル」とは、H-CO-またはアルキル-CO-、カルボシクリル-CO-、アリール-CO-、ヘテロアリール-CO-もしくはヘテロシクリル-CO-基を意味し、ここでアルキル、カルボシクリル、アリールまたはヘテロシクリル基は本明細書に記載のとおりである。好ましいアシルは低級アルキルを含む。例示的アルキルアシル基には、ホルミル、アセチル、プロパニル、2-メチルプロパニル、t-ブチルアセチル、ブタノイルおよびパルミトイルが含まれる。
【0033】
本明細書において用いられる「ハロまたはハロゲン化物」は、クロロ、ブロモ、フルオロまたはヨード原子ラジカルである。クロロ、ブロモおよびフルオロは好ましいハロゲン化物である。「ハロ」なる用語は、時に「ハロゲン」または「ハロゲン化物」と呼ばれる用語も企図する。
【0034】
本明細書において用いられる「ハロアルキル」とは、クロロ、ブロモ、フルオロまたはヨード原子で置換されている直鎖または分枝または環状アルキル、アルケニルまたはアルキニルである、炭化水素置換基を意味する。これらの最も好ましいものはフルオロアルキルであり、ここで水素原子の1つまたは複数はフルオロで置換されている。好ましいハロアルキルは長さが1から約3個の炭素のものであり、より好ましいハロアルキルは1から約2個の炭素、最も好ましいものは長さが1個の炭素のものである。当業者であれば、本明細書において用いられる「ハロアルキレン」とはハロアルキルのジラジカル変種を意味し、そのようなジラジカルはラジカル間、他の原子間、または親環と別の官能基との間のスペーサーとして作用してもよい。
【0035】
本明細書において用いられる「ヘテロシクリル」とは、環系骨格に少なくとも1つのヘテロ原子を含む、環状の環系を意味する。ヘテロシクリルは複数の縮合環を含んでいてもよい。ヘテロシクリルは、環系の少なくとも1つの環が芳香族ではないとの条件で、任意の飽和度を有していてもよい。ヘテロシクリルは1つもしくは複数の置換基、例えば、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミド、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシ、カルボニル、ベンジルオキシ、アリール、ヘテロアリール、および他の官能基で置換されていても、または無置換でもよく、任意の利用可能な原子価、好ましくは任意の利用可能な炭素または窒素を介して他の基に連結している。より好ましい複素環は5〜7員のものである。6員単環式複素環において、ヘテロ原子はO、NまたはSの1個から最大3個から選択され、ここで複素環が5員環である場合、好ましくはこれはO、N、またはSから選択される1または2個のヘテロ原子を有する。
【0036】
本明細書において用いられる「置換アミノ」とは、1または2つのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基で置換されているアミノラジカルを意味し、ここでアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは前述の定義のとおりである。
【0037】
本明細書において用いられる「置換チオール」とは、Rがアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基であるRS-基を意味し、ここでアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは前述の定義のとおりである。
【0038】
本明細書において用いられる「スルホニル」とは、アルキルSO2、アリールSO2、ヘテロアリールSO2、カルボシクリルSO2、またはヘテロシクリル-SO2基を意味し、ここでアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは前述の定義のとおりである。
【0039】
本明細書において用いられる「スルファミド」とは、アルキル-N-S(O)2N-、アリール-NS(O)2N-、ヘテロアリール-NS(O)2N-、カルボシクリル-NS(O)2Nまたはヘテロシクリル-NS(O)2N-基を意味し、ここでアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基は本明細書に記載のとおりである。
【0040】
本明細書において用いられる「スルホンアミド」とは、アルキル-S(O)2N-、アリール-S(O)2N-、ヘテロアリール-S(O)2N-、カルボシクリル-S(O)2N-またはヘテロシクリル-S(O)2N-基を意味し、ここでアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基は本明細書に記載のとおりである。
【0041】
本明細書において用いられる「ウレイド」とは、アルキル-NCON-、アリール-NCON-、ヘテロアリール-NCON- 、カルボシクリル-NCON-またはヘテロシクリル-NCON-基を意味し、ここでアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基は本明細書に記載のとおりである。
【0042】
本明細書において用いられる、2つの基が「連結」または「結合」されて「環」を形成すると示される場合、結合は2つの基の間で形成されると理解されるべきであり、1つまたは両方の基における水素原子の結合による置き換えを含み、それによりカルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリール環を形成してもよい。当業者であれば、そのような環は日常的な化学反応によって生成することができ、また容易に生成することを理解し、そのような環およびそれらの生成法の両方を構想することは当業者の技術の範囲内である。好ましいのは3〜7員、より好ましくは5から6員を有する環である。本明細書において用いられる「環(ring)」または「環(rings)」なる用語は、2つのラジカルの組み合わせにより形成される場合、複素環、炭素環、アリール、またはヘテロアリール環を意味する。
【0043】
当業者であれば、本明細書に記載のいくつかの構造が、他の化学構造によって適切に表しうる化合物の共鳴型または互変異性体でありうることを理解すると考えられ、動力学的な場合でも、当業者はそのような構造がそのような化合物の試料のほんのわずかな部分にすぎないことを理解する。そのような共鳴型または互変異性体が本明細書に示されていなくても、そのような化合物は本発明の範囲内で明らかに企図される。
【0044】
本明細書において提供する化合物は様々な立体化学型を含んでいてもよい。化合物は、特定の化合物における構造的不斉の結果生じる、ジアステレオマーならびに光学異性体、例えば、ラセミ混合物を含む鏡像異性体の混合物、ならびに個々の鏡像異性体およびジアステレオマーも含む。特に記載がないかぎり、開示する化合物が立体化学を明示せずに構造によって命名または描写され、かつ1つまたは複数のキラル中心を有する場合、化合物のすべての可能な異性体を表すことが理解される。
【0045】
「投与」または「投与すること」なる用語は、化合物または薬学的組成物の用量を、哺乳動物、鳥、魚、または両生類を含む脊椎動物または無脊椎動物に与える方法を意味し、ここで方法は、例えば、呼吸器内、局所、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、口腔、直腸、舌下である。好ましい投与法は、様々な因子、例えば、薬学的組成物の成分、疾患の部位、関与する疾患、および疾患の重症度に応じて変動しうる。
【0046】
本明細書において用いられる「診断法」とは、健康または疾患状態の特定および特徴づけを補助する、化合物、方法、システム、または装置である。診断法は当技術分野において公知のとおり標準の検定において用いることができる。
【0047】
「哺乳動物」なる用語は、その通常の生物学的意味で用いられる。したがって、これは具体的には、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、およびネコを含むが、多くの他の種も含む。
【0048】
「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」なる用語は、任意の、およびすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などを含む。そのような媒質および物質の薬学的活性物質のための使用は、当技術分野において周知である。任意の通常の媒質または物質が活性成分と不適合である範囲を除いて、治療的組成物におけるその使用が企図される。補助的活性成分も、組成物に組み込むことができる。加えて、当技術分野において一般に用いられるものなどの、様々な補助剤を含んでいてもよい。これら、および他のそのような化合物は文献、例えば、Merck Index, Merck & Company, Rahway, NJに記載されている。薬学的組成物における様々な成分の含有についての考察は、例えば、Gilman et al. (Eds.) (2006); Goodman and Gilman's: The Pharmacological Basis of Therapeutics, 11th Ed., The McGraw-Hill Companiesに記載されている。
【0049】
「薬学的に許容される塩」なる用語は、好ましい態様の化合物の生物学的有効性および特性を保持し、かつ生物学的またはその他で有害ではない塩を意味する。多くの場合、好ましい態様の化合物は、アミノおよび/もしくはカルボキシル基またはそれに類似の基の存在によって、酸性および/または塩基性塩を形成することができる。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸と形成することができる。塩が誘導されうる元の無機酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが含まれる。塩が誘導されうる元の有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが含まれる。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機および有機塩基と形成することができる。塩が誘導されうる元の無機塩基には、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが含まれ;特に好ましいのはアンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩である。塩が誘導されうる元の有機塩基には、例えば、具体的にはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびエタノールアミンなどの、一級、二級、および三級アミン、天然置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などが含まれる。多くのそのような塩は、1987年9月11日公開のJohnstonらの国際特許公報第87/05297号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載のとおり、当技術分野において公知である。
【0050】
「溶媒和物」とは、溶媒とWnt経路阻害剤、その代謝産物、または塩の相互作用によって形成される化合物を意味する。適切な溶媒和物は、水和物を含む薬学的に許容される溶媒和物である。
【0051】
本明細書において用いられる「被験者」は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、非ヒト霊長類またはトリ、例えば、ニワトリ、ならびに任意の他の脊椎動物または無脊椎動物を意味する。
【0052】
「治療上有効な量」または「薬学的に有効な量」とは、典型的には所望の効果を達成するのに十分なものであり、疾患状態の性質および重症度、ならびに化合物の効力に応じて変動しうる。活動性の疾患の予防のために、治療のためとは異なる濃度を用いうることが理解されるであろう。この量はさらに、患者の身長、体重、性別、年齢および既往歴に依存しうる。
【0053】
治療効果は、疾患の症状の1つまたは複数を、ある程度まで軽減し、疾患を治癒することも含む。「治癒すること」とは、活動性の疾患の症状が除去されることを意味する。しかし、治癒が得られた後も、疾患の特定の長期または持続性の影響が存在することもある(広汎性組織損傷など)。
【0054】
本明細書において用いられる「治療する」、「治療」、または「治療すること」とは、治療目的のために薬学的組成物を投与することを意味する。「治療的処置」なる用語は、すでに疾患を患っている患者に治療を投与し、したがって既存の症状を改善する、さらなる症状を防止する、症状の根元的な代謝的原因を改善もしくは防止する、障害のさらなる発生を延期もしくは防止する、および/または発生するであろう、もしくは発生すると予想される症状の重症度を低減するなどの、治療上有益な効果をもたらすことを意味する。
【0055】
化合物
本明細書に記載の化合物および組成物を、抗増殖剤、例えば、抗癌および抗血管形成剤として、ならびに、例えば、異常なWntシグナル伝達に関連する疾患または障害を治療するための、Wntシグナル伝達経路の阻害剤として用いることができる。加えて、化合物を1つまたは複数のキナーゼ、キナーゼ受容体、またはキナーゼ複合体(例えば、VEGF、CHK-1、CLK、HIPK、Abl、JAKおよび/またはCDK複合体)の阻害剤として用いることもできる。そのような化合物および組成物は、細胞の増殖、分化、および/またはアポトーシスを制御するためにも有用である。
【0056】
本発明のいくつかの態様は、式(Ia)の化合物、その塩、薬学的に許容される塩またはプロドラッグを含む:
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【0057】
いくつかの態様において、R1、R3、R5、R6、R7およびR8は独立にH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択される。
【0058】
いくつかの態様において、R1およびR3がHである場合、R2は独立に-C(=O)NH(C1-9アルキルR9)、-C(=S)NH(C1-9アルキルR9)、-C(=O)N(R10)2、-C(=S)N(R10)2、-C(=NR11)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR13、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR13、-(C1-9アルキル)nアリールR13および-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR13からなる群より選択される。
【0059】
いくつかの態様において、R1およびR3が両方ともHでない場合、R2は独立にH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択される。
【0060】
いくつかの態様において、各R1およびR2、R2およびR3、R5およびR6またはR6およびR7またはR7およびR8の1つは一緒になって、アリール、ヘテロアリール、
[この文献は図面を表示できません]
からなる群より選択される環を形成し;
ここで破線および実線で表される各結合は一重結合および二重結合からなる群より選択される結合を表す。
【0061】
いくつかの態様において、各R9は独立にH、-C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択される。
【0062】
いくつかの態様において、2つの隣接するR9はそれらが連結している原子と一緒になってカルボシクリルまたはヘテロシクリルを形成してもよい。
【0063】
いくつかの態様において、各R10は独立に-C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択される。
【0064】
いくつかの態様において、各R11は独立に-OR9およびR9からなる群より選択される。
【0065】
いくつかの態様において、各R12はそれぞれH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、カルボシクリルR12、ヘテロシクリルR12、アリールR12、ヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択される1〜5つの置換基である。
【0066】
いくつかの態様において、R13はそれぞれ-N(R9)C(=A)N(R9)2、-C(=A)N(R9)2、-N(R9)C(=A)R9、-N(R9)C(=A)CH(R9)2、-N(R9)SO2R9および-SO2(C1-9アルキル)からなる群より選択される1〜5つの置換基である。
【0067】
いくつかの態様において、R14およびR15は独立にH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択される。
【0068】
いくつかの態様において、R14およびR15は一緒になってベンゼンおよびピリジンからなる群より選択される環を形成する。
【0069】
いくつかの態様において、各Aは独立にO、SおよびNR11から選択される。
【0070】
いくつかの態様において、各nは0または1である。
【0071】
いくつかの態様において、nは0である。
【0072】
いくつかの態様において、nは1である。
【0073】
いくつかの態様において、AはOである。
【0074】
いくつかの態様において、R1およびR3はHであり、かつR2は-カルボシクリルR13、-ヘテロシクリルR13、-アリールR13および-ヘテロアリールR13からなる群より選択される。
【0075】
いくつかの態様において、R2は-ヘテロアリールR13である。
【0076】
いくつかの態様において、ヘテロアリールはピリジンである。
【0077】
いくつかの態様において、R13は-NHC(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-NHC(=O)CH(R9)2、-NHC(=O)R9、-NHC(=O)CH(R9)2および-NHSO2R9からなる群より選択される。
【0078】
いくつかの態様において、R9はH、-C1-4アルキル、カルボシクリルおよび-ヘテロシクリルからなる群より選択される。
【0079】
いくつかの態様において、R6、R7およびR8はHであり、かつR5はH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-NHC(=O)CH(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択される。
【0080】
いくつかの態様において、R5は-ヘテロシクリルR12、-アリールR12および-ヘテロアリールR12からなる群より選択される。
【0081】
いくつかの態様において、R12はHおよびハロゲン化物からなる群より選択される。
【0082】
いくつかの態様において、ヘテロアリールはピリジンである。
【0083】
いくつかの態様において、R5はH、-C(=O)N(R9)2および-CNからなる群より選択される。
【0084】
いくつかの態様において、R9はHおよび-C1-4アルキルからなる群より選択されるか、または、R9は窒素と一緒になって縮合環を形成する。
【0085】
前述の態様すべての薬学的に許容される塩も企図される。
【0086】
本発明のいくつかの態様は、式(Ib)の化合物、その塩、薬学的に許容される塩またはプロドラッグを含む:
[この文献は図面を表示できません]
【0087】
いくつかの態様において、R1、R2、R3、R5、R6、R7およびR8は独立にH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択される。
【0088】
いくつかの態様において、各R1およびR2、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7またはR7およびR8の1つは一緒になって、アリール、ヘテロアリール、
[この文献は図面を表示できません]
からなる群より選択される環を形成し;
ここで破線および実線で表される各結合は一重結合および二重結合からなる群より選択される結合を表す。
【0089】
いくつかの態様において、各R9は独立にH、-C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択される。
【0090】
いくつかの態様において、2つの隣接するR9はそれらが連結している原子と一緒になってカルボシクリルまたはヘテロシクリルを形成してもよい。
【0091】
いくつかの態様において、各R10は独立に-C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択される。
【0092】
いくつかの態様において、各R11は独立に-OR9およびR9からなる群より選択される。
【0093】
いくつかの態様において、各R12はそれぞれH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、カルボシクリルR12、ヘテロシクリルR12、アリールR12、ヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択される1〜5つの置換基である。
【0094】
いくつかの態様において、R14およびR15は独立にH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択される。
【0095】
いくつかの態様において、R14およびR15は一緒になってベンゼンおよびピリジンからなる群より選択される環を形成する。
【0096】
いくつかの態様において、各Aは独立にO、SおよびNR11から選択される。
【0097】
いくつかの態様において、Y1、Y2、Y3およびY4の少なくとも1つが窒素であるとの条件で、Y1、Y2、Y3およびY4は独立に炭素および窒素からなる群より選択される。
【0098】
いくつかの態様において、Y1は窒素であり、かつR5は存在しない。
【0099】
いくつかの態様において、Y2は窒素であり、かつR6は存在しない。
【0100】
いくつかの態様において、Y3は窒素であり、かつR7は存在しない。
【0101】
いくつかの態様において、Y4は窒素であり、かつR8は存在しない。
【0102】
いくつかの態様において、各nは0または1である。
【0103】
いくつかの態様において、nは0である。
【0104】
いくつかの態様において、nは1である。
【0105】
いくつかの態様において、AはOである。
【0106】
いくつかの態様において、R1およびR3はHであり、かつR2は-カルボシクリルR12、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12および-ヘテロアリールR12からなる群より選択される。
【0107】
いくつかの態様において、R2は-ヘテロアリールR12である。
【0108】
いくつかの態様において、ヘテロアリールはピリジンである。
【0109】
いくつかの態様において、R12は-NHC(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-NHC(=O)R9、-NHC(=O)CH(R9)2および-NHSO2R9からなる群より選択される。
【0110】
いくつかの態様において、R9はH、-C1-4アルキル、カルボシクリルおよび-ヘテロシクリルからなる群より選択される。
【0111】
いくつかの態様において、Y1、Y2およびY4は炭素であり、かつY3は窒素であり、かつR7は存在しない。
【0112】
いくつかの態様において、R6およびR8はHであり、かつR5はH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択される。
【0113】
いくつかの態様において、R5は-ヘテロシクリルR12、-アリールR12および-ヘテロアリールR12からなる群より選択される。
【0114】
いくつかの態様において、R12はHおよびハロゲン化物からなる群より選択される。
【0115】
いくつかの態様において、ヘテロアリールはピリジンである。
【0116】
いくつかの態様において、R5はH、-C(=O)N(R9)2および-CNからなる群より選択される。
【0117】
いくつかの態様において、R9はHおよび-C1-4アルキルからなる群より選択されるか、または、R9は窒素と一緒になって縮合環を形成する。
【0118】
いくつかの態様において、Y1、Y2およびY3は炭素であり、かつY4は窒素であり、かつR8は存在しない。
【0119】
いくつかの態様において、R6およびR7はHであり、かつR5はH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択される。
【0120】
いくつかの態様において、R5は-ヘテロシクリルR12、-アリールR12および-ヘテロアリールR12からなる群より選択される。
【0121】
いくつかの態様において、R12はHおよびハロゲン化物からなる群より選択される。
【0122】
いくつかの態様において、ヘテロアリールはピリジンである。
【0123】
いくつかの態様において、R5はH、-C(=O)N(R9)2および-CNからなる群より選択される。
【0124】
いくつかの態様において、R9はHおよび-C1-4アルキルからなる群より選択されるか、または、R9は窒素と一緒になって縮合環を形成する。
【0125】
前述の態様の薬学的に許容される塩も企図される。
【0126】
本発明のいくつかの態様は、式(Ic)の化合物、その塩、薬学的に許容される塩またはプロドラッグを含む:
[この文献は図面を表示できません]
【0127】
いくつかの態様において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は独立にH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択される。
【0128】
いくつかの態様において、各R1およびR2、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7またはR7およびR8の1つは一緒になって、アリール、ヘテロアリール、
[この文献は図面を表示できません]
からなる群より選択される環を形成し;
ここで破線および実線で表される各結合は一重結合および二重結合からなる群より選択される結合を表す。
【0129】
いくつかの態様において、各R9は独立にH、-C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択される。
【0130】
いくつかの態様において、2つの隣接するR9はそれらが連結している原子と一緒になってカルボシクリルまたはヘテロシクリルを形成してもよい。
【0131】
いくつかの態様において、各R10は独立に-C1-9アルキル、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリル、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリル、-(C1-9アルキル)nアリールおよび-(C1-9アルキル)nヘテロアリールからなる群より選択される。
【0132】
いくつかの態様において、各R11は独立に-OR9およびR9からなる群より選択される。
【0133】
いくつかの態様において、各R12はそれぞれH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、カルボシクリルR12、ヘテロシクリルR12、アリールR12、ヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択される1〜5つの置換基である。
【0134】
いくつかの態様において、R14およびR15は独立にH、C1-9アルキル、ハロゲン化物、-CF3、-(C1-9アルキル)nカルボシクリルR12、-(C1-9アルキル)nヘテロシクリルR12、-(C1-9アルキル)nアリールR12、-(C1-9アルキル)nヘテロアリールR12、-(C1-9アルキル)nOR9、-(C1-9アルキル)nSR9、-(C1-9アルキル)nS(=O)R10、-(C1-9アルキル)nSO2R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)SO2R9、-(C1-9アルキル)nSO2N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nC(=A)N(R9)2、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)R9、-(C1-9アルキル)nN(R9)C(=A)CH(R9)2、-NO2、-CN、-(C1-9アルキル)nCO2R9および-(C1-9アルキル)nC(=A)R9からなる群より選択される。
【0135】
いくつかの態様において、R14およびR15は一緒になってベンゼンおよびピリジンからなる群より選択される環を形成する。
【0136】
いくつかの態様において、各Aは独立にO、SおよびNR11から選択される。
【0137】
いくつかの態様において、Y1、Y2、Y3およびY4は独立に炭素および窒素からなる群より選択される。
【0138】
いくつかの態様において、Y1は窒素であり、かつR5は存在しない。
【0139】
いくつかの態様において、Y2は窒素であり、かつR6は存在しない。
【0140】
いくつかの態様において、Y3は窒素であり、かつR7は存在しない。
【0141】
いくつかの態様において、Y4は窒素であり、かつR8は存在しない。
【0142】
いくつかの態様において、各nは0または1である。
【0143】
いくつかの態様において、nは0である。
【0144】
いくつかの態様において、nは1である。
【0145】
いくつかの態様において、AはOである。
【0146】
いくつかの態様において、R1およびR3はHであり、かつR2は-カルボシクリルR12、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12および-ヘテロアリールR12からなる群より選択される。
【0147】
いくつかの態様において、R2は-ヘテロアリールR12である。
【0148】
いくつかの態様において、ヘテロアリールはピリジンである。
【0149】
いくつかの態様において、R12は-NHC(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-NHC(=O)R9、-NHC(=O)CH(R9)2および-NHSO2R9からなる群より選択される。
【0150】
いくつかの態様において、R9はH、-C1-4アルキル、カルボシクリルおよび-ヘテロシクリルからなる群より選択される。
【0151】
いくつかの態様において、Y1、Y2、Y3およびY4は炭素であり、R4、R6、R7およびR8はHであり、かつR5はH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択され、ヘテロアリールはピリジンであり、R12はHおよびハロゲン化物からなる群より選択され、かつR9はHおよび-C1-4アルキルからなる群より選択されるか、または、R9は窒素と一緒になって縮合環を形成する。
【0152】
いくつかの態様において、Y1、Y2、Y3およびY4は炭素であり、R4、R5、R6およびR7はHであり、かつR8はH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択され、ヘテロアリールはピリジンであり、R12はHおよびハロゲン化物からなる群より選択され、かつR9はHおよび-C1-4アルキルからなる群より選択されるか、または、R9は窒素と一緒になって縮合環を形成する。
【0153】
いくつかの態様において、Y2、Y3およびY4は炭素であり、Y1は窒素であり、R5は存在せず、R4、R6およびR7はHであり、かつR8はH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択され、ヘテロアリールはピリジンであり、R12はHおよびハロゲン化物からなる群より選択され、かつR9はHおよび-C1-4アルキルからなる群より選択されるか、または、R9は窒素と一緒になって縮合環を形成する。
【0154】
いくつかの態様において、Y1、Y3およびY4は炭素であり、Y2は窒素であり、R6は存在せず、R4、R5およびR7はHであり、かつR8はH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択され、ヘテロアリールはピリジンであり、R12はHおよびハロゲン化物からなる群より選択され、かつR9はHおよび-C1-4アルキルからなる群より選択されるか、または、R9は窒素と一緒になって縮合環を形成する。
【0155】
いくつかの態様において、Y1、Y2およびY4は炭素であり、Y3は窒素であり、R7は存在せず、R4、R6およびR8はHであり、かつR5はH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択され、ヘテロアリールはピリジンであり、R12はHおよびハロゲン化物からなる群より選択され、かつR9はHおよび-C1-4アルキルからなる群より選択されるか、または、R9は窒素と一緒になって縮合環を形成する。
【0156】
いくつかの態様において、Y1、Y2およびY3は炭素であり、Y4は窒素であり、R8は存在せず、R4、R6およびR7はHであり、かつR5はH、-ヘテロシクリルR12、-アリールR12、-ヘテロアリールR12、-N(R9)C(=O)N(R9)2、-C(=O)N(R9)2、-N(R9)C(=O)R9、-N(R9)C(=O)CH(R9)2、-CN、-CO2R9および-C(=O)R9からなる群より選択され、ヘテロアリールはピリジンであり、R12はHおよびハロゲン化物からなる群より選択され、かつR9はHおよび-C1-4アルキルからなる群より選択されるか、または、R9は窒素と一緒になって縮合環を形成する。
【0157】
前述の態様の薬学的に許容される塩も企図される。
【0158】
式(Ia)、(Ib)および(Ic)の例示的化合物を表1に示す。
【0159】
【表1】
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【0160】
化合物調製
本発明の化合物を調製する際に用いる出発原料は、公知であるか、公知の方法により作成されるか、または市販されている。当業者には、本明細書において特許請求する化合物に関係する前駆体および官能基を調製するための方法は、全般的に文献に記載されていることが明らかであろう。文献および本開示を与えられた当業者は、任意の化合物を調製するための十分な技術が備わっている。
【0161】
有機化学の技術者であれば、詳細な指示なしに容易に操作を行うことができる、すなわち、これらの操作を行うことは十分に当業者の領域および技量の範囲内であることが理解される。これらには、カルボニル化合物のそれらの対応するアルコールへの還元、酸化、アシル化、求電子および求核の両方の芳香族置換、エーテル化、エステル化およびけん化などが含まれる。これらの操作は、March's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure 6th Ed., John Wiley & Sons (2007)、Carey and Sundberg, Advanced Organic Chemistry 5th Ed., Springer (2007)、Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Transformations, 2nd Ed., John Wiley & Sons (1999)(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)などの標準の教科書において議論されている。
【0162】
当業者であれば、特定の反応は、分子内の他の官能基をマスクまたは保護し、したがって任意の望ましくない副反応を避ける、および/または反応の収率を上げる場合に、最もうまく実施されることを容易に理解するであろう。多くの場合、当業者は、そのような収率の上昇を達成するため、または望ましくない反応を避けるために、保護基を利用する。これらの反応は文献において見いだされ、これらもまた十分に当業者の領域の範囲内である。これらの操作の多くの例は、例えば、T. Greene and P. Wuts Protecting Groups in Organic Synthesis, 4th Ed., John Wiley & Sons (2007)において見いだすことができ、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0163】
以下のスキームの例は読者の指標のために提供するものであり、本明細書において例示する化合物を作成するための好ましい方法である。これらの方法は限定的ではなく、これらの化合物を調製するために他の経路を用いうることは明らかであろう。そのような方法は具体的には、コンビナトリアルケミストリーを含む固相化学を含む。当業者であれば、文献および本開示に示されるこれらの方法により、これらの化合物を調製するための十分な技術が備わっている。以下に示す合成スキームにおいて用いる化合物の番号付けは、これらの特定のスキームだけのためであり、本出願の他所における同じ番号付けと解釈または混同すべきではない。
【0164】
本発明を詳細に例示するために、以下の実施例が含まれる。実施例は、当然のことながら、本発明を具体的に限定すると解釈されるべきではない。特許請求の範囲の領域内のこれらの実施例の変種は、当業者の技術の範囲内であり、本明細書において記載し、特許請求する、本発明の範囲内に入ると考えられる。読者は、本開示および当分野の技術を与えられた当業者であれば、徹底的な実施例なしに本発明を調製および使用しうることを理解するであろう。
【0165】
本明細書において用いる商標は例にすぎず、本発明の時代に用いられる例示的材料を表している。当業者であれば、ロット、製造工程などの変動が予想されることを理解するであろう。したがって、実施例、およびその中で用いる商標は非限定的であり、これらは限定されることを意図せず、当業者が本発明の態様の1つまたは複数を実施するためにどのように選択しうるかを単に例示するものである。
【0166】
(1H)核磁気共鳴スペクトル(NMR)を、示した溶媒中、Bruker NMR分光計(Avance TM DRX300、1H用の300MHzまたはAvance TM DRX500、1H用の500MHz)またはVarian NMR分光計(Mercury 400BB、1H用の400MHz)で測定した。ピークの位置はテトラメチルシランからの低磁場百万分率(ppm)で表している。ピーク多重度は以下のとおりに示す:s、一重線;bs、広幅一重線;d、二重線;bd、広幅二重線;dd、二重線の二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線。
【0167】
以下の略語は示した意味を有する:
食塩水=飽和塩化ナトリウム水溶液
CDCl3=重水素化クロロホルム
CDI=1,1'-カルボニルジイミダゾール
DCM=ジクロロメタン
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン
DMF=N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
DMSO-d6=重水素化ジメチルスルホキシド
ESIMS=エレクトロンスプレー質量分析
EtOAc=酢酸エチル
EtOH=エタノール
HCl=塩酸
HOAc=酢酸
H2SO4=硫酸
KMnO4=過マンガン酸カリウム
KOAc=酢酸カリウム
K3PO4=リン酸カリウム
LDA=リチウムジイソプロピルアミド
MeOH=メタノール
MgSO4=硫酸マグネシウム
Na2CO3=炭酸ナトリウム
NaHCO3=炭酸水素ナトリウム
NaHSO4=硫酸水素ナトリウム
NaOAc=酢酸ナトリウム
NaOH=水酸化ナトリウム
NH4OH=水酸化アンモニウム
NMR=核磁気共鳴
Pd/C=炭素担持パラジウム(0)
Pd(dppf)2Cl2=1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)クロリド
Pd(PPh3)4=テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
Pd(PPh3)2Cl2=ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド
PPTS=p-トルエンスルホン酸ピリジニウム
p-TsOH=p-トルエンスルホン酸
r.t.=室温
S(0)=元素硫黄
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TLC=薄層クロマトグラフィ
【0168】
以下のスキームの例は読者の指標のために提供するものであり、本明細書において提供する化合物を作成するための例示的方法をまとめて示している。さらに、本発明の化合物を調製するための他の方法は、以下の反応スキームおよび実施例に照らして、当業者には容易に明らかとなるであろう。特に記載がないかぎり、すべての変数は前述の定義のとおりである。
【0169】
一般的手順
本発明の式IaおよびIbの化合物を、スキーム1に示すとおりに調製することができる。
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【0170】
スキーム1は、2-クロロピリジン(I)の3-アニオンをアセトアルデヒドと反応させて1-(2-クロロピリジン-3-イル)エタノール(II)を生成することによる、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン誘導体(XVI)の調製法を記載する。次いで、アルコールを酸化して(III)とした後、ヒドラジン存在下で環化して、3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(IV)とする。メチルを酸化し、エステル化して、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボン酸メチル(VI)とする。エステル(VI)を臭素で処理して5-ブロモ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボン酸メチル(VII)を生成した後、エステルを加水分解して酸VIIIとする。酸VIIIをN,O-ジメチルヒドロキシルアミンと反応させて、ワインレブアミド(IX)を生成する。1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジンNHを保護した後、ワインレブアミドをアルデヒドXIに還元する。5-置換1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルバルデヒド誘導体(XIII)を、5-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルバルデヒド(XI)の様々なボロン酸誘導体(XII)との鈴木カップリングによって調製する。アルデヒドXIIIを様々な置換および無置換アリール/ヘテロアリール-3,4-ジアミン(XIV)と反応させてXVを生成する。ピラゾロン窒素の最終脱保護により、所望の1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン誘導体(XVI)を得る。
【0171】
本発明の式IaおよびIbの化合物を、スキーム2に示すとおりに調製することもできる。
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【0172】
スキーム2は、5-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルバルデヒド(XI)をビス(ピナコラト)ジボロンと反応させてホウ酸エステル(XVII)を生成することによる、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン誘導体(XVI)の代替調製法を記載する。様々な臭化物(XVIII)または塩化物との鈴木カップリングにより、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン誘導体(XIII)を得る。アルデヒド(XIII)を様々な1,2-ジアミン(XIV)と反応させて(XV)を生成する。ピラゾール窒素の最終脱保護により、所望の1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン誘導体(XVI)を得る。
【0173】
本発明の式Icの化合物を、スキーム3に示すとおりに調製することもできる。
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【0174】
スキーム3は、まず5-ブロモ-2-フルオロピリジン(XVII)の3位でLDAによる選択的脱プロトン化を行い、続いてN-ホルミルピペリジンで反応停止して、5-ブロモ-2-フルオロニコチンアルデヒド(XVIII)を生成することによる、3-(1H-インドル-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン誘導体(XXVII)の調製法を記載する。アルデヒドXVIIIをピナコールと縮合し、続いてヒドラジンによる求核芳香族置換を行って、5-ブロモ-2-ヒドラジニル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)ピリジン(XIX)を得た。次いで、XIXを酸性条件下で環化して、5-ブロモ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(XX)を得た。1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジンNHをTHPで保護した後、臭化物(XXI)をビス(ピナコラト)ジボロンと反応させて、ホウ酸エステル(XXII)を生成した。様々な臭化物(XVIII)または塩化物との鈴木カップリングにより、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン誘導体(XXIII)を得る。1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(XXIII)の3位のN-ヨードスクシンイミドによるヨード化と、続く様々なBoc保護1H-インドル-2-イルボロン酸(XXV)との鈴木カップリングにより、(XXVI)を生成する。ピラゾールおよびインドール窒素の最終脱保護により、所望の3-(1H-インドル-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン誘導体(XXVII)を得る。
【0175】
例示的化合物例
中間体5-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルバルデヒドXIの合成を上のスキーム1に示している。
【0176】
段階1
無水THF(50mL)中の2-クロロピリジン(I)(9.39mL、0.1mol)の溶液を、窒素雰囲気下、-78℃で撹拌中のTHF(200mL)中のLDA(THF/ヘキサン/エチルベンゼン中2.0M溶液、50mL、0.1mol)の溶液にゆっくり加えた。撹拌を-78℃でさらに3時間続けた後、アセトアルデヒド(6.17mL、0.110mol)を加えた。溶液を-78℃でさらに2時間撹拌した後、温度を-40℃まで上昇させた。この溶液にTHF(40mL)中の水(4mL)の溶液をゆっくり加えた。温度が-10℃に達したら、さらに水(200mL)を溶液に加えた。溶液をエチルエーテル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させて、褐色粘稠残渣を得た。粗生成物をフラッシュシリカゲルカラム(DCM:ヘキサン=1:1→100%DCM)で精製して、1-(2-クロロピリジン-3-イル)エタノール(II)を褐色粘稠油状物で得た(6g、38.1mmol、収率38%)。
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【0177】
段階2
無水アセトン中の1-(2-クロロピリジン-3-イル)エタノール(II)の溶液に、窒素雰囲気下、-30℃で、酸化クロム(VI)(1.80g、18mmol)を分割して加えた。溶液を-30℃で15分間さらに撹拌し、室温まで昇温させた。溶液を室温で3時間撹拌した後、イソプロパノール(10mL)を加えた。飽和NaHCO3溶液をゆっくり加えて溶液をアルカリ性にした。溶液をセライト床を通してろ過した。固体をDCMで洗浄した。ろ液の有機相を分離し、水相をDCM(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、1-(2-クロロピリジン-3-イル)エタノン(III)を褐色液体で得た(0.72g、4.63mmol、収率77%)。
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【0178】
段階3
n-ブタノール(10mL)中の1-(2-クロロピリジン-3-イル)エタノン(III)(0.311g、2mmol)の溶液に、ヒドラジン水和物(1.45mL、30mmol)を加えた。反応混合物を終夜還流した。溶液を冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をDCMに溶解し、水および食塩水で逐次洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(IV)を白色固体で得た(192mg、1.44mmol、収率72%)。
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【0179】
段階4
水(20mL)中のNaOH(0.88g、22mmol)の溶液に、3-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(IV)(0.4g、3mmol)を加えた。懸濁液を80℃で澄明な溶液が得られるまで加熱した。溶液を80℃で加熱しながら、水(180mL)中のKMnO4(1.73g、11mmol)の溶液を2時間かけてゆっくり加えた。溶液を90℃でさらに2時間、TLCにより出発原料の完全な消失が観察されるまで加熱した。溶液を70℃まで冷却し、セライトのパッドを通してろ過した。固体を沸騰したお湯で洗浄した。合わせたろ液を0℃まで冷却し、濃H2SO4でpH=2まで酸性化し、n-ブタノール(2×10mL)で抽出した。n-ブタノール層を減圧下で濃縮して白色残渣を得、これをDCM中に最少量のMeOHを加えて溶解し、次いでろ過した。ろ液を濃縮して、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボン酸(V)を白色固体で得た(390mg、2.39mmol、収率81%)。
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【0180】
段階5
無水MeOH(10mL)中の1H-ピラゾール[3,4-b]ピリジン-3-カルボン酸(V)(0.39g、2.4mmol)の溶液に、濃H2SO4(4滴)を加え、窒素雰囲気下で6時間還流した。溶液を冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をDCMと飽和NaHCO3溶液との間で分配した。有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュシリカゲルカラム(100%DCM→DCM:MeOH=100:3)で精製して、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボン酸メチル(VI)を白色固体で得た(382mg、2.16mmol、収率90%)。
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【0181】
段階6
氷酢酸(5mL)中の1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボン酸メチル(VI)(0.177g、1mmol)、酢酸ナトリウム(0.492g、6mmol)および臭素(0.308mL、6mmol)の混合物を密封チューブ内、120℃で、終夜加熱した。溶液を冷却し、水中に加えた。生成した固体をろ過し、水で洗浄し、室温、減圧下で乾燥した。粗生成物をフラッシュシリカゲルカラム(100%DCM→DCM:MeOH=100:2)で生成して、5-ブロモ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボン酸メチル(VII)を白色固体で得た(78mg、0.31mmol、収率30%)。
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【0182】
段階7
1N NaOH水溶液(20mL)中の5-ブロモ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボン酸メチル(VII)(70mg、0.27mmol)の懸濁液を90℃で3時間、溶液が澄明になるまで加熱した。次いで、溶液を0℃に冷却し、10%HCl溶液で酸性化した。生成した固体をろ過し、冷水で洗浄し、室温、減圧下で乾燥して、5-ブロモ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボン酸(VIII)を白色固体で得た(60mg、0.25mmol、収率92%)。
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【0183】
段階8
無水DMF(5mL)中の5-ブロモ-1H-ピラゾール[3,4-b]ピリジン-3-カルボン酸(VIII)(0.242g、1mmol)の溶液に、CDI(0.178g、1.1mmol)を加え、窒素雰囲気下、65℃で3時間加熱した。溶液を室温まで冷却し、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.107g、1.1mmol)を溶液に加えた。溶液を再度、窒素雰囲気下、65℃で3時間加熱した。溶液を冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をDCMに溶解し、10%HCl溶液、飽和NaHCO3溶液および食塩水で逐次洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、5-ブロモ-N-メトキシ-N-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボキサミド(IX)を白色固体で得た(260mg、0.91mmol、収率92%)。
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【0184】
段階9
無水DCM(10mL)中の5-ブロモ-N-メトキシ-N-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボキサミド(IX)(0.250g、0.88mmol)の溶液に、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(0.179mL、1.98mmol)およびPPTS(22mg、0.08mmol)を加え、窒素雰囲気下で5時間還流した。さらに同量の3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(0.179mL、1.98mmol)およびPPTS(22mg、0.08mmol)を加え、溶液を窒素雰囲気下で終夜さらに加熱還流した。溶液を冷却し、DCMで希釈し、飽和NaHCO3溶液および食塩水で続いて洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、5-ブロモ-N-メトキシ-N-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボキサミド(X)を粘稠液体で得た(302mg、0.82mmol、収率93%)。
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【0185】
段階10
無水THF(5mL)中の5-ブロモ-N-メトキシ-N-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボキサミド(X)(0.290g、0.78)の溶液を窒素雰囲気下、0℃で撹拌し、これに水素化アルミニウムリチウム(36mg、0.94mmol)を加えた。溶液を0℃で30分間さらに撹拌した。0.4N NaHSO4溶液(10mL)で反応停止した。溶液をDCM(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層を水および食塩水で続いて洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、5-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルバルデヒド(XI)を粘稠液体で得た(218mg、0.70mmol、収率91%)。
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【0186】
中間体5-ブロモ-N-(シクロプロピルメチル)ニコチンアミド(XXIX)の調製を以下のスキーム4に示す。
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【0187】
段階1-2
無水DCM(10mL)中の5-ブロモニコチン酸(XXVIII)(1.01g、5mmol)の溶液に、窒素雰囲気下、塩化オキサリル(0.654mL、7.5mmol)と、続いて無水DMF(0.1mL)を加えた。溶液を室温で30分間さらに撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた後、無水ピリジン(10mL)と、続いてシクロプロピルメタンアミン(0.39mL、4.5mmol)を加えた。溶液を窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。溶液を氷水に加え、飽和NaHCO3水溶液で塩基性化し、DCMで抽出した。合わせた有機相をMgSO4で乾燥し、濃縮し、減圧下で乾燥して、5-ブロモ-N-(シクロプロピルメチル)ニコチンアミド(XXIX)をオフホワイト固体で得た(0.82g、3.2mmol、収率71%)。
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【0188】
中間体N-(5-ブロモピリジン-3-イル)イソブチルアミド(XXXII)の調製を以下のスキーム5に示す。
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【0189】
段階1
3-アミノ-5-ブロモピリジン(XXX)(1当量)をDCMに溶解し、0℃に冷却した後、ピリジン(2.2当量)および塩化イソブチリル(XXXI)(1.1当量)を加えた。反応混合物を室温で15時間、TLCが反応完了を示すまで撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、水で洗浄した。有機抽出物を乾燥し、濃縮し、シリカゲル(100〜200メッシュ)を用いてのカラムクロマトグラフィで精製して、N-(5-ブロモピリジン-3-イル)イソブチルアミド(XXXII)をオフホワイト固体で得た(収率71%)。
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【0190】
以下の中間体を上のスキーム5に記載する手順に従って調製した。
【0191】
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N-(5-ブロモピリジン-3-イル)プロピオンアミド(XXXIII):オフホワイト固体(収率92%)。
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【0192】
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N-(5-ブロモピリジン-3-イル)-3-メチルブタンアミド(XXXIV):オフホワイト固体、(収率67%)、
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【0193】
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N-(5-ブロモピリジン-2-イル)プロピオンアミド(XXXV):白色固体(収率89%);ESIMS実測値C8H9BrN2O m/z 231 (M+H).
【0194】
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N-(5-ブロモピリジン-3-イル)イソブチルアミド(XXXVI):オフホワイト固体(収率98%)。
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【0195】
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N-(5-ブロモピリジン-3-イル)モルホリン-4-カルボキサミド(XXXVII):黄褐色固体(0.82g、48%)。
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【0196】
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N-(5-ブロモピリジン-3-イル)シクロプロパンカルボキサミド(XXXVIII):オフホワイト固体、(収率83%)、
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【0197】
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N-(5-ブロモピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド(XXXIX):オフホワイト固体(収率87%)。
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【0198】
中間体N-(5-ブロモピリジン-3-イル)-4-メチルピペラジン-1-カルボキサミド(XLII)の調製を以下のスキーム6に示す。
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【0199】
段階1-2
3-アミノ-5-ブロモピリジン(XL)(1.05g、6.0mmol)をTHF(12.0mL)に溶解し、0℃に冷却した。ピリジン(0.61mL、7.6mmol)と、続いてクロロギ酸フェニル(0.78mL、6.2mmol)を加えた。氷浴を取り除き、懸濁液を周囲温度まで加温して、終夜撹拌した。溶媒を除去し、残渣をEtOAcと水との間で分配した。有機相を分離し、水および食塩水で逐次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮した。次いで、粗生成物をDCM/ヘキサンから沈澱させ、得られた固体をヘキサンで粉砕していくらかの着色不純物を除去し、1.62gの中間体5-ブロモピリジン-3-イルカルバミン酸フェニル(XLI)を得、これをそれ以上精製せずに用いた。次いで、中間体XLIをDMSO(10.5mL)に溶解した。次いで、N-メチルピペラジン(0.60mL、5.4mmol)をシリンジから滴加し、反応混合物を周囲温度で3時間撹拌した。反応混合物を水に加え、生成物を20%イソプロパノール/クロロホルムで抽出した。有機相を分離し、水および食塩水で逐次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮した。粗生成物を、25gのThomson順相シリカゲルカートリッジを用い、0〜10%MeOH/クロロホルムの勾配で溶出しての、クロマトグラフィにより精製して、N-(5-ブロモピリジン-3-イル)-4-メチルピペラジン-1-カルボキサミド(XLII)(1.15g、64%)を白色結晶性固体で得た。
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【0200】
中間体N-(5-ブロモピリジン-3-イル)-1-メチルピペリジン-4-カルボキサミド(XLIV)の調製を以下のスキーム7に示す。
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【0201】
段階1-2
塩化オキサリル(8.67mmol)と、続いてDMF(2滴)を、DCM中の1-メチルピペリジン-4-カルボン酸(XLIII)(5.78mmol)の溶液に加え、アルゴン雰囲気下、室温で30分間撹拌した。揮発性物質を、空気との接触を避けることにより、減圧下で蒸発させた。残渣にピリジンと、続いて3-アミノ-5-ブロモピリジン(XL)(5.20mmol)を加えた。溶液をアルゴン雰囲気下、室温で3時間さらに撹拌した。ピリジンを減圧下で蒸発させた。残渣を水で処理し、飽和NaHCO3溶液で塩基性化し、DCMで洗浄した。水層をn-ブタノールで抽出した。合わせた有機層を蒸発させた。残渣をDCM中、MeOHを数滴加えて溶解した。不溶性の無機固体をろ去した。ろ液を減圧下で濃縮して、N-(5-ブロモピリジン-3-イル)-1-メチルピペリジン-4-カルボキサミド(XLIV)を褐色粘稠液体で得た(0.74g、収率43%)。
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【0202】
中間体3,3'-ビピリジン-4,5-ジアミン(XLVIII)の調製を以下のスキーム8に示す。
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【0203】
段階1
3-ニトロピリジン-4-アミン(XLV)(10g、71.94mmol)および酢酸(120ml)の混合物を密封チューブに加え、続いて撹拌しながらNaOAc(29.50g、93.52mmol)を加え、臭素(4.7ml 359.7mmol)を滴加した。密封チューブを100℃で28時間、TLCが出発原料の消費を示すまで加熱した。反応混合物を濃縮して固体を得、これを水に溶解し、NaHCO3で塩基性化し、EtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥し、濃縮して、3-ブロモ-5-ニトロピリジン-4-アミン(XLVI)を黄色固体で得た(12g、55mmol、収率77%)。
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【0204】
段階2
3-ブロモ-5-ニトロピリジン-4-アミン(XLVI)(6g、26mmol)、ピリジン-3-イルボロン酸(3.54g、29mmol)、1N Na2CO3溶液(78ml)および1,4-ジオキサン(150mL)の溶液をアルゴンで3回脱気した。Pd(PPh3)2Cl2(927mg、5mmol%)を反応混合物に加え、溶液を15時間、TLCが反応完了を示すまで還流した。反応混合物をセライトのパッドを通過させ、次いで減圧下で濃縮した。反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解した。有機抽出物を水で洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラム(100%EtOAc→MeOH:DCM=2:98)で精製して、5-ニトロ-3,3'-ビピリジン-4-アミン(XLVII)を黄色固体で得た(5g、23.1mmol、収率87%)。
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【0205】
段階3
MeOH(20mL)中の5-ニトロ-3,3'-ビピリジン-4-アミン(XLVII)(5g、23mmol)の溶液に10%Pd/Cを加えた。溶液を水素でパージし、水素雰囲気下、室温で15時間撹拌した。懸濁液をセライトを通してろ過し、減圧下で濃縮して、3,3'-ビピリジン-4,5-ジアミン(XLVIII)をオフホワイト固体で得た(3.3g、17.7mmol、収率76%)。
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【0206】
以下の中間体を上のスキーム8に記載する手順に従って調製した。
【0207】
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5-(3-フルオロフェニル)ピリジン-3,4-ジアミン(XLIX):褐色粘稠油状物(収率48%)。
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【0208】
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5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3,4-ジアミン(L):白色固体(収率36%)。
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【0209】
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5-(2-フルオロフェニル)ピリジン-3,4-ジアミン(LI):オフホワイト固体(収率22%)。
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【0210】
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3,4'-ビピリジン-4,5-ジアミン(LII):オフホワイト固体(収率87%)。
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【0211】
中間体5-モルホリノピリジン-3,4-ジアミン(LIV)の調製を以下のスキーム9に示す。
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【0212】
段階1
密封チューブ内のニートモルホリン中の3-ブロモ-5-ニトロピリジン-4-アミン(XLVI)(1当量)の溶液を120〜140℃で終夜加熱した。溶液をEtOAcおよび水の混合物中に加えた。有機層を分離した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮して、残渣を得た。粗生成物をシリカゲルカラムで、クロロホルム:MeOH勾配で溶出して精製した。生成物を含む分画を混合し、減圧下で濃縮した。残渣をヘキサンで粉砕して、3-モルホリノ-5-ニトロピリジン-4-アミン(LIII)を得た。
【0213】
段階2
MeOH中の3-モルホリノ-5-ニトロピリジン-4-アミン(LIII)(1当量)の溶液に10%Pd/Cを加えた。溶液を水素でパージし、水素雰囲気下、室温で終夜撹拌した。懸濁液をセライトを通してろ過し、減圧下で濃縮して、5-モルホリノピリジン-3,4-ジアミン(LIV)を紫色固体で得た(収率37%)。
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【0214】
以下の中間体を上のスキーム9に記載する手順に従って調製した。
【0215】
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5-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-3,4-ジアミン(LV):紫色固体(収率56%)。
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【実施例】
【0216】
実施例1.
3-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(4-メチルピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(29)の調製を以下のスキーム10に示す。
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【0217】
段階1
DMF(5mL)および水(0.5mL)中の5-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルバルデヒド(XI)(0.21g、0.67mmol)およびK3PO4(0.212g、1mmol)の不均質溶液に、4-メチル-ピリジン-3-ボロン酸(LVI)(0.101g、0.74mmol)を加えた。溶液を、窒素/減圧サイクル(3×)を用いて窒素でパージした。Pd(PPh3)4(23mg、0.02mmol)を溶液に加え、再度窒素でパージした。溶液を窒素雰囲気下、90℃で4時間加熱した。溶液をセライトのパッドを通して熱時ろ過した。セライトをDCM(3×)で洗浄した。合わせたろ液を減圧下で濃縮した。残渣をDCMに溶解し、飽和NaHCO3溶液および食塩水で続いて洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、5-(4-メチルピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルバルデヒド(LVII)を得た。粗生成物をそれ以上精製せずに段階2で直接用いた。C18H18N4O2についてのESIMS実測値m/z 323.4(M+H).
【0218】
段階2
無水DMF(5mL)中の5-(4-メチルピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルバルデヒド(LVII)(0.120g、0.37mmol)、3,4-ジアミノピリジン(LVIII)(42mg、0.39mmol)および硫黄(13mg、0.39mmol)の溶液を窒素雰囲気下、140℃で12時間加熱した。溶液を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をDCMに溶解し、水(1×20mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮して、3-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(4-メチルピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ [3,4-b]ピリジン(LIX)を得た。粗生成物をそれ以上精製せずに段階3で直接用いた。C23H21N7OについてのESIMS実測値m/z 412.7(M+H).
【0219】
段階3
無水DCM(5mL)中の3-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(4-メチルピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(LIX)(0.110g、0.26mmol)の溶液に、トリエチルシラン(0.104mL、0.65mmol)と、続いてTFA(2.5mL)を加え、窒素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を水(10mL)に溶解し、濃NH4OHで塩基性化した。沈澱をろ過し、冷水で洗浄し、減圧下、室温で乾燥した。粗生成物をDCM(10mL)に懸濁し、短時間超音波処理し、次いで沸騰するまで5分間加熱した。溶液を室温まで冷却し、固体をろ過し、DCMで洗浄し、減圧下、室温で乾燥して、3-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-5-(4-メチルピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(29)を白色固体で得た(37mg、0.11mmol、収率43%)。
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【0220】
実施例2.
N-(5-(3-(7-(ピリジン-3-イル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)プロピオンアミド(47)の調製を以下のスキーム11に示す。
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【0221】
段階1-2
DMF(10ml)中の5-ブロモ-1-(テトラヒドロ-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-イル]-カルバルデヒド(XI)(0.218g、0.70mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(0.213g、0.84mmol)、およびKOAc(0.206g、2.1mmol)の溶液をアルゴンでパージした。PdCl2(dppf)2.DCMを溶液に加え、アルゴンで再度パージした。溶液をアルゴン雰囲気下、90℃で2時間加熱し、室温まで冷却した。N-(5-ブロモピリジン-3-イル)プロピオンアミド(XXXIII)(0.70mmol)、リン酸カリウム(0.223g、1.05mmol)および水(1mL)を溶液に加え、アルゴンでパージした。Pd(PPh3)4を溶液に加え、再度アルゴンでパージした。溶液をアルゴン雰囲気下、90℃で4時間加熱した。溶液をセライト床を通してろ過し、溶媒を減圧下で蒸溜した。残渣を水で処理し、DCMで抽出した。合わせた有機相をMgSO4で乾燥し、ろ過して、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(100%DCM→MeOH:DCM=5:95)で精製して、N-(5-(3-ホルミル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)プロピオンアミド(LX)をオフホワイト固体で得た(収率45%)。
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【0222】
段階3-4
DMF中のN-(5-(3-ホルミル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)プロピオンアミド(LX)(1当量)、硫黄(1当量)および3,3'-ビピリジン-4,5-ジアミン(XLVIII)(1当量)の溶液をアルゴン雰囲気下、140℃で終夜加熱した。溶液を冷却し、DMFを減圧下で蒸留した。残渣をDCMに溶解した。トリエチルシラン(2.5当量)と、続いてTFA(30体積%)を溶液に加え、室温で2時間、TLCが出発原料の消失を示すまで撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣に水を加え、短時間超音波処理し、5N NH4OH溶液で塩基性化した。生成した固体をろ過し、冷水で洗浄し、室温で乾燥した。固体をDCMと、続いてMeOHで粉砕し、N-(5-(3-(7-(ピリジン-3-イル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)プロピオンアミド(47)を褐色固体で得た(収率49%)。
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【0223】
以下の化合物を上の実施例2に記載する手順に従って調製した。
【0224】
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N-(5-(3-(7-(ピリジン-3-イル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-2-イル)プロピオンアミド48。
【0225】
褐色固体(収率55%)。
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【0226】
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N-(5-(3-(7-(3-フルオロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)プロピオンアミド49。
【0227】
褐色固体(収率48%)。
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【0228】
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N-(5-(3-(7-(4-フルオロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)プロピオンアミド50。
【0229】
褐色固体(収率38%)。
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【0230】
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N-(5-(3-(7-(2-フルオロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)プロピオンアミド51。
【0231】
褐色固体(収率35%)。
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【0232】
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N-(5-(3-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)イソブチルアミド52。
【0233】
褐色固体(収率46%)。
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【0234】
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N-(5-(3-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)-3-メチルブタンアミド53。
【0235】
褐色固体(収率36%)。
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【0236】
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N-(5-(3-(7-(ピリジン-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)プロピオンアミド54。
【0237】
褐色固体(収率31%)。
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【0238】
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N-(5-(3-(7-モルホリノ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)プロピオンアミド55。
【0239】
褐色固体(収率22%)。
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【0240】
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3-メチル-N-(5-(3-(7-モルホリノ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)ブタンアミド56。
【0241】
褐色固体(収率43%)。
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【0242】
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3-メチル-N-(5-(3-(7-(4-メチルピペラジン-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)ブタンアミド57。
【0243】
淡褐色固体(収率38%)。
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【0244】
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N-(5-(3-(7-(ピリジン-3-イル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)イソブチルアミド58。
【0245】
褐色固体(収率46%)。
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【0246】
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N-(5-(3-(7-(4-メチルピペラジン-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)イソブチルアミド59。
【0247】
橙色固体(収率17%)。
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【0248】
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N-(5-(3-(7-(4-メチルピペラジン-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)シクロプロパンカルボキサミド60。
【0249】
黄色固体(収率25%)。
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【0250】
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N-(5-(3-(7-(3-フルオロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)-3-メチルブタンアミド61。
【0251】
褐色固体(収率63%)。
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【0252】
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N-(5-(3-(7-(3-フルオロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)モルホリン-4-カルボキサミド62。
【0253】
褐色固体(収率20%)。ESIMS実測値C28H22FN9O2 m/z 536(M+H).
【0254】
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N-(5-(3-(7-(3-フルオロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)メタンスルホンアミド63。
【0255】
褐色固体(収率26%)。
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【0256】
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N-(5-(3-(7-(3-フルオロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)-1-メチルピペリジン-4-カルボキサミド64。
【0257】
褐色固体(収率22%)。
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【0258】
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N-(5-(3-(7-(3-フルオロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)-4-メチルピペラジン-1-カルボキサミド65。
【0259】
褐色固体(収率2%)。ESIMS実測値C29H25FN10O m/z 549(M+H).
【0260】
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3-(5-(3-(7-(3-フルオロフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)ピリジン-3-イル)-1,1-ジメチル尿素66。
【0261】
褐色固体(収率13%)。
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【0262】
投与および薬学的組成物
いくつかの態様は、(a)安全かつ治療上有効な量の本明細書記載の化合物、またはその対応する鏡像異性体、ジアステレオマーもしくは互変異性体、あるいは薬学的に許容される塩;および(b)薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を含む。
【0263】
本明細書において開示する化合物またはその薬学的に許容される塩の投与は、経口、皮下、静脈内、鼻内、局所、経皮、腹腔内、筋肉内、肺内、膣、直腸、または眼内を含むが、それらに限定されるわけではない、同様の有用性を提供する薬剤に対し認められた任意の投与様式によるものでありうる。経口および非経口投与は適応症を治療する上で通例である。
【0264】
薬学的使用が意図される本発明の化合物は、結晶または非結晶生成物として投与してもよい。薬学的に許容される組成物には、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、坐剤、エアロゾルなどの、固体、半固体、液体およびエアロゾル剤形が含まれる。これらは、例えば、沈降、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥などの方法により、フィルムとして得てもよい。マイクロ波または高周波乾燥をこの目的のために用いてもよい。化合物を、あらかじめ決められた速度での、持続性および/または持効性、パルス投与のために、デポー注射、浸透圧ポンプ、丸剤、経皮(エレクトロトランスポートを含む)パッチなどを含む、持続放出または制御放出剤形で投与してもよい。好ましくは、組成物を正確な用量の1回投与に適した単位剤形で提供する。
【0265】
化合物は、単独、またはより典型的には通常の薬学的担体、賦形剤などとの組み合わせのいずれかで投与することができる。「賦形剤」なる用語は、本明細書において、本発明の化合物以外の任意の成分を記載するために用いられる。薬学的に許容される賦形剤には、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシナートなどの自己乳化薬物送達系(SEDDS)、トゥイーンまたは他の同様のポリマー送達基質などの薬学的剤形において用いられる界面活性剤、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩などの塩または電解質、コロイド状シリカ、3ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、アルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリラート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、および羊毛脂が含まれるが、それらに限定されるわけではない。α-、β-、およびγ-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン、もしくは2-および3-ヒドロキシプロピル-b-シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリンなどの化学修飾誘導体、または他の可溶化誘導体も、本明細書に記載の式の化合物の送達を増強するために都合よく用いることができる。本明細書に記載の化合物を0.005%から100%の範囲で含み、残りは非毒性担体からなる剤形または組成物を調製してもよい。企図される組成物は0.001%〜100%の活性成分、一つの態様において、0.1〜95%、もう一つの態様において、75〜85%の活性成分を含んでいてもよい。そのような剤形の実際の調製法は当業者には公知であるか、または明らかになり;例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition (Lippincott Williams & Wilkins. 2005)を参照されたい。
【0266】
一つの好ましい態様において、組成物は丸剤または錠剤などの単位剤形の形を取ることになり、したがって組成物は、活性成分に加えて、乳糖、ショ糖、リン酸2カルシウムなどの希釈剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;およびデンプン、アカシアゴム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロース、セルロース誘導体などの結合剤を含んでいてもよい。もう一つの固形剤形において、粉末、マルメ(marume)、溶液または懸濁液(例えば、炭酸プロピレン、植物油またはトリグリセリド中)をゼラチンカプセル中に封入する。2つの活性成分が物理的に分離されている単位剤形;例えば、各薬物の顆粒を含むカプセル;二層式錠剤;二区画ゲルキャップなども企図される。
【0267】
液体の薬学的に投与可能な組成物は、例えば、前述の定義の活性化合物および任意の薬学的補助剤を担体(例えば、水、食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなど)に溶解、分散などして液剤または懸濁剤を生成することにより調製することができる。望まれる場合には、薬学的組成物は、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝化剤など(例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、モノラウリン酸ソルビタン、酢酸トリエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミンなど)の少量の非毒性補助物質を含むこともできる。注射剤は、液剤もしくは懸濁剤のいずれかとして、乳剤として、または注射前に液体中に溶解もしくは懸濁するのに適した固形の、通常の形で調製することができる。そのような非経口組成物中に含まれる活性化合物のパーセンテージは、その具体的性質、ならびに化合物の活性および被験者の必要性に大きく依存する。しかし、溶液中0.01%から10%の活性成分のパーセンテージが使用可能であり、組成物が後に前述のパーセンテージに希釈される固形である場合は、より高くなるであろう。いくつかの態様において、組成物は溶液中に0.2〜2%の活性薬剤を含むことになる。
【0268】
濃度および用量の値は、軽減する状態の重症度によっても変動しうることが留意されるべきである。任意の特定の患者に対し、個別の必要性および組成物の投与を行っている、または監督している者の専門的判断に従い、具体的投与法を経時的に調節すべきであること、ならびに本明細書に示す濃度範囲は例示にすぎず、特許請求する組成物の範囲または実施を限定する意図はないことがさらに理解されるべきである。
【0269】
固形組成物は、薬物の物理化学的性質、望まれる溶解速度、費用の問題、および他の基準に依存して、様々な異なる型の剤形で提供することができる。態様の一つにおいて、固形組成物は一単位である。これは、薬物の一単位用量が単一の物理的に成形された固形剤形または物品中に含まれることを意味する。すなわち、固形組成物は凝集性であり、これは単位が非凝集性である多単位剤形と対照的である。
【0270】
固形組成物の剤形として用いうる一単位の例には、圧縮錠などの錠剤、フィルム様単位、箔様単位、ウエハース、凍結乾燥基質単位などが含まれる。好ましい態様において、固形組成物は多孔性凍結乾燥型である。そのような凍結乾燥剤は、時としてウエハースまたは凍結乾燥錠とも呼ばれ、それらの急速な崩壊ゆえに特に有用であり、これは活性化合物の急速な溶解も可能にする。
【0271】
一方、いくつかの適用のために、固形組成物を前述の定義の多単位剤形として形成してもよい。多単位の例は粉末、顆粒、微粒子、ペレット、ビーズ、凍結乾燥粉末などである。一つの態様において、固形組成物は凍結乾燥粉末である。そのような分散凍結乾燥系は多数の粉末粒子を含み、粉末生成において用いた凍結乾燥工程ゆえに、各粒子は不規則で多孔性の微小構造を有し、これを通して粉末は水を非常に素早く吸収することが可能で、その結果速やかに溶解する。
【0272】
急速な薬物溶解を達成することができる多粒子系のもう一つの型は、薬物でコーティングされた水溶性賦形剤からの粉末、顆粒、またはペレットのものであり、したがって薬物は個々の粒子の外側表面に位置する。この型の系において、そのようなコーティング粒子の核を調製するために、水溶性低分子量賦形剤が有用であり、これは後に薬物、および好ましくは結合剤、細孔形成剤、糖類、糖アルコール、フィルム形成ポリマー、可塑剤、または薬学的コーティング組成物中で用いられる他の賦形剤などの1つまたは複数の追加の賦形剤を含むコーティング組成物でコーティングすることができる。
【0273】
本明細書において同様に提供されるのはキットである。典型的には、キットは本明細書に記載の1つまたは複数の化合物または組成物を含む。特定の態様において、キットは、例えば、前述の化合物を送達または投与するための1つまたは複数の送達系、およびキットを使用するための説明書(例えば、患者を治療するための手引き)を含むことができる。もう一つの態様において、キットは本明細書に記載の化合物または組成物、および内容物を癌患者に投与することを示すラベルを含むことができる。もう一つの態様において、キットは本明細書に記載の化合物または組成物、および内容物を、肝細胞癌、結腸癌、白血病、リンパ腫、肉腫、卵巣癌、糖尿病性網膜症、新生血管緑内障、関節リウマチ、乾癬、真菌およびウイルス感染、骨および軟骨疾患、アルツハイマー病、骨関節症、大腸ポリポーシス、骨密度および眼内血管欠損(骨粗鬆症-偽性神経膠腫症候群、OPPG)、家族性滲出性硝子体網膜症、網膜血管形成、早期冠動脈疾患、無四肢、ミュラー管退行および男性化、SERKAL症候群、2型糖尿病、Fuhrmann症候群、Al-Awadi/Raas-Rothschild/Schinzelアザラシ肢症候群、歯-爪-皮膚異形成、肥満、裂手/足奇形、尾部重複体、歯牙無形成、ウィルムス腫瘍、骨格形成異常、巣状皮膚低形成、常染色体劣性爪甲欠損、神経管欠損、アルファ-サラセミア(ATRX)症候群、脆弱X染色体症候群、ICF症候群、Angelman症候群、プラダー-ウィリ症候群、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群およびRett症候群の1つまたは複数を有する患者に投与することを示すラベルを含むことができる。
【0274】
本発明の活性化合物の実際の用量は、具体的な化合物、および治療する状態に依存し;適当な用量の選択は十分に当業者の知識の範囲内である。
【0275】
治療法
本明細書において提供する化合物および組成物は、1つまたは複数のWntタンパク質を含む、Wnt経路の1つまたは複数のメンバーの阻害剤として用いることができ、したがって、癌ならびに異常な血管形成、細胞増殖、および細胞周期に関連する疾患などの、異常なWntシグナル伝達が関係するとされている様々な障害および疾患を治療するために用いることができる。したがって、本明細書において提供する化合物および組成物を用いて、癌を治療する、血管形成を低減もしくは阻害する、細胞増殖を低減もしくは阻害する、およびWntシグナル伝達成分の突然変異による遺伝障害を訂正することができる。本明細書において提供する化合物および組成物で治療しうる疾患の非限定例には、様々な癌、糖尿病性網膜症、新生血管緑内障、関節リウマチ、乾癬、真菌およびウイルス感染、骨および軟骨疾患、アルツハイマー病、骨関節症、大腸ポリポーシス、骨密度および眼内血管欠損(骨粗鬆症-偽性神経膠腫症候群、OPPG)、家族性滲出性硝子体網膜症、網膜血管形成、早期冠動脈疾患、無四肢、ミュラー管退行および男性化、SERKAL症候群、2型糖尿病、Fuhrmann症候群、Al-Awadi/Raas-Rothschild/Schinzelアザラシ肢症候群、歯-爪-皮膚異形成、肥満、裂手/足奇形、尾部重複体、歯牙無形成、ウィルムス腫瘍、骨格形成異常、巣状皮膚低形成、常染色体劣性爪甲欠損、神経管欠損、アルファ-サラセミア(ATRX)症候群、脆弱X染色体症候群、ICF症候群、Angelman症候群、プラダー-ウィリ症候群、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群およびRett症候群が含まれる。
【0276】
癌に関して、Wnt経路は、例えば、結腸癌、肝細胞癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌ならびにCML、CLLおよびT-ALLなどの白血病を含む様々な癌において構成的に活性化されることが公知である。構成的活性化は、構成的に活性なβ-カテニンが原因、おそらくは相互作用因子によるその活性化または分解経路の阻害が原因である。したがって、本明細書に記載の化合物および組成物を、Wnt経路が構成的に活性化されるこれらの癌を治療するために用いてもよい。特定の態様において、癌は肝細胞癌、結腸癌、白血病、リンパ腫、肉腫および卵巣癌から選択される。
【0277】
他の癌も本明細書に記載の化合物および組成物で治療することができる。
【0278】
特に、本明細書に記載の化合物、組成物および方法により治療しうる癌には、下記が含まれるが、それらに限定されるわけではない:
【0279】
1)例えば、ER+乳癌、ER-乳癌、her2-乳癌、her2+乳癌、線維腺腫、葉状腫瘍、および肉腫などの間質性腫瘍、ならびに大管乳頭腫などの上皮腫瘍;上皮内腺管癌(パジェット病を含む)および上皮内小葉癌を含む上皮内(非侵襲性)癌、ならびに侵襲性腺管癌、侵襲性小葉癌、髄様癌、膠様(粘液)癌、管状癌、および侵襲性乳頭癌を含むが、それらに限定されるわけではない、侵襲性(浸潤性)癌を含む乳房の癌;および混合型悪性腫瘍を含む乳癌。乳癌のさらなる例には、ルミナルA、ルミナルB、ベーサルA、ベーサルB、およびエストロゲン受容体ネガティブ(ER-)、プロゲステロン受容体ネガティブ、およびher2ネガティブ(her2-)であるトリプルネガティブ乳癌が含まれうる。いくつかの態様において、乳癌は高リスクのOncotypeスコアを有しうる。
【0280】
2)例えば、肉腫、例えば、血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、および脂肪肉腫;粘液腫;横紋筋腫;線維腫;脂肪腫および奇形腫を含む心臓癌。
【0281】
3)例えば、気管支原性癌、例えば、扁平上皮癌、未分化小細胞癌、未分化大細胞癌、および腺癌;肺胞および細気管支癌;気管支腺腫;肉腫;リンパ腫;軟骨腫様過誤腫;ならびに中皮腫を含む肺癌。
【0282】
4)例えば、食道の癌、例えば、扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、およびリンパ腫;胃の癌、例えば、癌腫、リンパ腫、および平滑筋肉腫;膵臓の癌、例えば、膵管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、類癌腫、およびビポーマ;小腸の癌、例えば、腺癌、リンパ腫、類癌腫、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、および線維腫;大腸の癌、例えば、腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、および平滑筋腫を含む胃腸癌。
【0283】
)例えば、腎臓の癌、例えば、腺癌、ウィルムス腫瘍(腎芽細胞腫)、リンパ腫、および白血病;膀胱および尿道の癌、例えば、扁平上皮癌、移行上皮癌、および腺癌;前立腺の癌、例えば、腺癌、および肉腫;精巣の癌、例えば、精上皮腫、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、および脂肪腫を含む尿生殖器管癌。
【0284】
6)例えば、肝癌、例えば、肝細胞癌;胆管癌;胚芽腫;血管肉腫;間細胞腺腫;および血管腫を含む肝臓癌。
【0285】
7)例えば、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、オステオクロンドローマ(osteochrondroma)(骨軟骨外骨腫症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫瘍を含む骨癌。
【0286】
8)例えば、頭蓋の癌、例えば、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、および変形性骨炎;髄膜の癌、例えば、髄膜腫、髄膜肉腫、および神経膠腫症;脳の癌、例えば、星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、および先天性腫瘍;ならびに脊髄の癌、例えば、神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、および肉腫を含む神経系癌。
【0287】
9)例えば、子宮の癌、例えば、子宮内膜癌;子宮頸の癌、例えば、子宮頸癌、および腫瘍前子宮頚部異形成;卵巣の癌、例えば、漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類の癌、顆粒層卵胞膜細胞腫、セルトリ‐ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、および悪性奇形腫を含む卵巣癌;外陰の癌、例えば、扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、および黒色腫;膣の癌、例えば、明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫、および胎児性横紋筋肉腫;ならびにファロピウス管の癌、例えば、癌腫を含む婦人科の癌。
【0288】
10)例えば、血液の癌、例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、および骨髄異形成症候群、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、(悪性リンパ腫)およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症を含む血液癌。
【0289】
11)例えば、悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、異形成性母斑(moles dysplastic nevi)、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、および乾癬を含む皮膚癌および皮膚障害。
【0290】
12)例えば、神経芽腫を含む副腎癌。
【0291】
癌は、転移性であることもあれば、転移性でないこともある、固形腫瘍でありうる。癌は、白血病のように、散在組織として起こることもある。したがって、本明細書において提供する「腫瘍細胞」なる用語は、前述の障害の任意の1つに罹っている細胞を含む。
【0292】
本明細書に記載の化合物または組成物を用いての癌の治療法は、例えば、化学療法、放射線照射、または手術(例えば、卵巣摘出術)による、癌の既存の治療法と組み合わせてもよい。いくつかの態様において、化合物または組成物を、別の抗癌剤または治療の前、最中、または後に投与することができる。
【0293】
本明細書に記載の化合物および組成物を、抗血管形成剤として、ならびにタンパク質キナーゼの活性を調節および/または阻害する薬剤として用い、したがって癌およびタンパク質キナーゼによって仲介される細胞増殖に関連する他の疾患の治療を提供することができる。例えば、本明細書に記載の化合物は、CDK、VEGF、CLK、HIPK、Abl、JAKおよびCHK-1などの1つもしくは複数のキナーゼ、またはそのサイクリン複合体の活性を阻害することができる。したがって、本明細書において提供するのは、VEGF、CHK-1、CLK、HIPK、Abl、JAK、CDK4もしくはCDK4/D型サイクリン複合体および/またはCDK2もしくはCDK2/E型サイクリン複合体の阻害を通してなどの、キナーゼ阻害を通して、癌を治療する、または血管形成を防止もしくは低減する方法である。
【0294】
加えて、および癌の治療を含めて、本明細書に記載の化合物および組成物は、患者の増殖性障害を治療するための細胞周期制御剤として機能することができる。過剰な増殖に関連する障害には、例えば、癌、乾癬、白血球の望まれない増殖に関与する免疫障害、ならびに再狭窄および他の平滑筋障害が含まれる。さらに、そのような化合物は、有糸分裂後の組織および/または細胞の脱分化を防止するために用いてもよい。
【0295】
無制御の、または異常な細胞増殖に関連する疾患または障害には、下記が含まれるが、それらに限定されるわけではない:
・癌腫、リンパ系統の造血腫瘍、骨髄系統の造血腫瘍、間葉起源の腫瘍、中枢および末梢神経系の腫瘍ならびに黒色腫、精上皮腫およびカポジ肉腫を含む他の腫瘍を含むが、それらに限定されるわけではない、様々な癌。
・異常な細胞増殖を特徴とする疾患プロセス、例えば、良性前立腺過形成、家族性腺腫症ポリポーシス、神経線維腫症、アテローム性動脈硬化症、肺線維症、関節炎、乾癬、糸球体腎炎、血管形成術または血管手術後の再狭窄、過形成性瘢痕形成、炎症性腸疾患、移植拒絶、内毒素性ショック、および真菌感染。
・癌(本明細書において前述した型を含むが、それらに限定されるわけではない)、ウイルス感染(ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、シンドビスウイルスおよびアデノウイルスを含むが、それらに限定されるわけではない)、HIV感染した個人におけるAIDS発症の防止、自己免疫疾患(全身性紅斑性狼蒼、関節リウマチ、乾癬、自己免疫仲介性糸球体腎炎、炎症性腸疾患および自己免疫糖尿病を含むが、それらに限定されるわけではない)、神経変性障害(アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、パーキンソン病、AIDS関連痴呆、脊髄性筋萎縮症および小脳変性を含むが、それらに限定されるわけではない)、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、心筋梗塞に関連する虚血性傷害、卒中および再灌流傷害、不整脈、アテローム性動脈硬化症、毒素誘導性またはアルコール関連肝疾患、血液疾患(慢性貧血および再生不良性貧血を含むが、それらに限定されるわけではない)、筋骨格系の変性疾患(骨粗鬆症および関節炎を含むが、それらに限定されるわけではない)、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎臓疾患ならびに癌性疼痛などの、不完全なアポトーシス関連の状態。
・大腸ポリポーシス、骨密度および眼内血管欠損(骨粗鬆症-偽性神経膠腫症候群、OPPG)、家族性滲出性硝子体網膜症、網膜血管形成、早期冠動脈疾患、無四肢、ミュラー管退行および男性化、SERKAL症候群、2型糖尿病、Fuhrmann症候群、Al-Awadi/Raas-Rothschild/Schinzelアザラシ肢症候群、歯-爪-皮膚異形成、肥満、裂手/足奇形、尾部重複体、歯牙無形成、ウィルムス腫瘍、骨格形成異常、巣状皮膚低形成、常染色体劣性爪甲欠損、神経管欠損、アルファ-サラセミア(ATRX)症候群、脆弱X染色体症候群、ICF症候群、Angelman症候群、プラダー-ウィリ症候群、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群およびRett症候群などの、Wntシグナル伝達成分の突然変異による遺伝疾患。
【0296】
化合物および組成物は、浸潤癌、腫瘍血管形成および転移の発生の阻害においても有用でありうる。
【0297】
さらに、例えば、CDKの阻害剤としての化合物および組成物は、細胞RNAおよびDNA合成のレベルを調節することができ、したがって、HIV、ヒト乳頭腫ウイルス、ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、アデノウイルス、シンドビスウイルス、ポックスウイルスなどのウイルス感染の治療において有用であると予想される。
【0298】
本明細書に記載の化合物および組成物は、例えば、細胞周期のG0またはG1期において活性なものなどのCDK/サイクリン複合体、例えば、CDK2、CDK4、および/またはCDK6複合体のキナーゼ活性を阻害することができる。
【0299】
生物活性の評価
本明細書に記載の化合物の生物活性を、当業者には公知の任意の適切な検定、例えば、国際公開公報第2001/053268号または国際公開公報第2005/009997号を用いて試験することができる。例えば、化合物の活性を、以下に概略を示す試験法の1つまたは複数を用いて試験してもよい。
【0300】
一例において、腫瘍細胞をWntに無関係の成長についてスクリーニングしてもよい。そのような方法において、関心対象の腫瘍細胞を関心対象の化合物(すなわち阻害剤)と接触させ、細胞の増殖を、例えば、トリチウム化したチミジンの取り込みによりモニターする。いくつかの態様において、Wntシグナル伝達経路の突然変異に関連する癌の存在についてスクリーニングした候補患者から腫瘍細胞を単離してもよい。候補の癌には、上に挙げたものが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0301】
もう一つの例において、Wnt生物活性、例えば、β-カテニンの安定化および幹細胞の成長促進についてインビトロ検定を用いてもよい。Wntの生物活性についての検定には、β-カテニンの安定化が含まれ、これは、例えば、候補阻害剤組成物の連続希釈により測定することができる。Wnt生物活性の例示的検定は、Wnt組成物を候補阻害剤存在下で細胞、例えば、マウスL細胞と接触させる。細胞を、β-カテニンを安定化させるのに十分な期間、通常は少なくとも16〜20時間、Wnt条件培地によって刺激し、溶解する。細胞溶解産物をSDS PAGEにより分離し、次いでニトロセルロースに転写し、β-カテニンに特異的な抗体をプローブに用いて調べる。
【0302】
さらなる例において、候補化合物の活性をアフリカツメガエル副軸生物検定(Leyns, L. et al. Cell (1997), 88(6), 747-756)において測定することができる。
【0303】
実施例3.
Wnt活性についてのもう一つのスクリーニング検定を以下に記載する。レポーター細胞株は、癌細胞株(例えば、結腸癌)の細胞にホタルルシフェラーゼ遺伝子の発現を駆動するwnt応答性プロモーターを含むレンチウイルス作成物を安定に導入することにより生成することができる。
【0304】
SP5プロモーター、すなわちSP5プロモーター由来の8つのTCF/LEF結合部位を有するプロモーターがホタルルシフェラーゼ遺伝子の上流に連結されている、レンチウイルス作成物を作成することができる。レンチウイルス作成物は選択可能マーカーとしてハイグロマイシン耐性遺伝子も含むことができる。SP5プロモーター作成物を用いて、SW480細胞、すなわち切断APCタンパク質を生成する突然変異したAPC遺伝子を有する結腸癌細胞に導入することができ、β-カテニンの調節解除された蓄積を引き起こす。対照細胞株を、活性化にβ-カテニンを必要としないSV40プロモーターの制御下で、ルシフェラーゼ遺伝子を含む別のレンチウイルス作成物を用いて生成することができる。
【0305】
レポーター作成物を有する培養SW480細胞を、96ウェルまたは384ウェルプレートに、ウェルごとに約10,000細胞で分配することができる。次いで、低分子化合物ライブラリからの化合物をウェルに、10マイクロモル濃度の最高濃度を用い、半対数希釈で加えることができる。各細胞型の一連の対照ウェルには緩衝液および化合物溶媒のみを加える。化合物添加の24〜40時間後、ルシフェラーゼのレポーター活性を、例えば、BrightGloルミネセンス試薬(Promega)の添加およびVictor3プレート読み取り器(Perkin Elmer)により検定することができる。読み取り値をDMSOだけで処理した細胞に対して規準化し、次いでIC50の計算に規準化活性を用いることができる。表2に選択した本発明の化合物の活性を示す。
【0306】
【表2】
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【0307】
本明細書において用いられる「含む(comprising)」なる用語は、「含む(including)」、「含む(containing)」、または「特徴付けられる」と同義で、包括的であるか、制限がなく、その他の挙げられていない要素または方法段階を除外するものではない。