特許第6148725号(P6148725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6148725SGLT1阻害剤としてのピラゾール化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148725
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】SGLT1阻害剤としてのピラゾール化合物
(51)【国際特許分類】
   C07H 17/02 20060101AFI20170607BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20170607BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   C07H17/02CSP
   A61K31/706
   A61P3/10
【請求項の数】12
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-511518(P2015-511518)
(86)(22)【出願日】2013年5月2日
(65)【公表番号】特表2015-516419(P2015-516419A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】US2013039164
(87)【国際公開番号】WO2013169546
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2016年4月21日
(31)【優先権主張番号】61/645,101
(32)【優先日】2012年5月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/769,221
(32)【優先日】2013年2月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138900
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】フーチェン・チュイ
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン・ブライアン・マントロ
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/014932(WO,A1)
【文献】 特表2008−501745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 1/00− 99/00
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物:
【化1】
(式中、Xは以下:
【化2】
を表す)
またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
【化3】
である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
【化4】
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
治療に使用するための請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物
【請求項5】
1種以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と併せて請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物。
【請求項6】
1種以上の他の治療剤をさらに含む、請求項4または5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
糖尿病の治療に使用するための請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項8】
1型糖尿病の治療に使用するための請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項9】
2型糖尿病の治療に使用するための請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項10】
糖尿病の治療のための医薬を製造するための請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項11】
1型糖尿病の治療のための医薬を製造するための請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項12】
2型糖尿病の治療のための医薬を製造するための請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ピラゾール化合物、該化合物を含む医薬組成物、生理的障害を治療するために該化合物を使用する方法、ならびに該化合物の合成に有用な中間体およびプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、糖尿病ならびに高血糖に関連している他の疾患および障害の治療の分野である。糖尿病は高レベルの血糖によって特徴付けられる疾患の群である。それは米国において約2500万人の人々に影響を与えており、また、2011全米糖尿病ファクトシート(National Diabetes Fact Sheet)(アメリカ合衆国保健福祉省、アメリカ疾病予防管理センター)によれば米国において第7番目の死因である。ナトリウムが結合したグルコース共輸送体(SGLT)は、グルコースなどの炭水化物の吸収の原因となることが知られている輸送体の1つである。より具体的には、SGLT1は小腸の刷子縁膜を横切るグルコースの輸送体に関与する。SGLT1の阻害は小腸においてグルコースの低い吸収を生じ得るので、糖尿病を治療する有用なアプローチを提供する。
【0003】
特許文献1は、糖尿病などの高血糖に関連している疾患の防止または治療に有用であるとさらに開示されているヒトSGLT1阻害活性を有する特定のピラゾール誘導体を開示している。さらに、特許文献2は、骨粗鬆症などの骨疾患の治療に有用であるとさらに開示されているSGLT1/SGLT2阻害活性を有する特定のピラゾール誘導体を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,655,632号
【特許文献2】国際公開第2011/039338号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
糖尿病のための代替の薬物および治療についての必要性が存在している。本発明は糖尿病の治療に好適であり得るSGLT1の特定の新規阻害剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、式IIの化合物:
【化1】
(式中、Xは以下:
【化2】
を表す)
またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0007】
本発明はさらに、式Iの化合物:
【化3】
またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0008】
本発明はまた、有効量の式IもしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を、このような治療を必要とする患者に投与する工程を含む、患者における糖尿病を治療する方法を提供する。本発明はさらに、有効量の式IもしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を、このような治療を必要とする患者に投与する工程を含む、患者における1型糖尿病を治療する方法を提供する。さらに、本発明は、有効量の式IもしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を、このような治療を必要とする患者に投与する工程を含む、患者における2型糖尿病を治療する方法を提供する。本発明はまた、有効量の式IもしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を、このような治療を必要とする患者に投与する工程を含む、患者における耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)またはメタボリックシンドロームを治療する方法を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、治療、特に糖尿病の治療に使用するための式IもしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。さらに、本発明は、1型糖尿病の治療に使用するための式IもしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。さらに、本発明は、2型糖尿病の治療に使用するための式IもしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。本発明はまた、糖尿病の治療のための医薬を製造するための式IもしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。さらに、本発明は、1型糖尿病を治療するための医薬を製造するための式IもしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。本発明はまた、2型糖尿病を治療するための医薬を製造するための式IもしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。本発明はまた、IGT、IFGまたはメタボリックシンドロームを治療するための医薬を製造するための式IもしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0010】
本発明はさらに、1種以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と併せて式IもしくはIIの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を含む、医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、組成物はさらに、1種以上の他の治療剤を含む。本発明はまた、式IまたはIIの化合物を合成するための新規中間体およびプロセスを含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用される場合、「治療する」または「治療するため」という用語は、既存の症状または障害の進行または重症度を制止、抑制、遅延、停止または反転することを含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、マウス、モルモット、ラット、イヌまたはヒトなどの哺乳動物を指す。好ましい患者はヒトであることが理解される。
【0013】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、患者に単回または複数回投与すると、診断または治療下の患者において所望の効果を与える、本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の量または用量を指す。
【0014】
有効量は、公知の技術を使用することによって、および類似の状況下で得られた結果を観察することによって、当該分野における当業者としての担当診断医によって容易に決定され得る。患者のための有効量を決定する際に、限定されないが、哺乳動物の種、その大きさ、年齢および全体的な健康、関与する特定の疾患または障害、疾患または障害の程度または関係または重症度、個々の患者の反応、投与される特定の化合物、投与様式、投与される製剤の生物学的利用能、選択される投与計画、併用医薬の使用、および他の関連状況を含む、多くの要因が、担当診断医によって考慮される。
【0015】
式IおよびIIの化合物は、通常、広範囲にわたって有効である。例えば、1日当たりの用量は、通常、約0.01〜約30mg/kg体重の範囲内である。一部の場合、上述の範囲の下限値以下の用量レベルが十分以上であってもよく、他の場合、さらに多くの用量が有害な副作用を引き起こさずに利用されてもよく、したがって、上記の用量範囲は本発明の範囲を限定することを決して意図するわけではない。
【0016】
本発明の化合物は好ましくは、化合物を生物学的に利用可能にする任意の経路によって投与される医薬組成物として製剤化される。最も好ましくは、このような組成物は経口投与用である。このような医薬組成物およびそれらを調製するためのプロセスは当該分野において周知である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(D.B.Troy編、第21版、Lippincott、Williams & Wilkins、2006を参照のこと)。
【0017】
本発明のさらなる態様において、本発明の化合物は抗糖尿病薬などの1種以上の治療剤と併せて投与される。併用投与は同時または連続投与を含む。さらに、組合せの同時投与は、単回の組合せ用量または各治療剤の別個の用量としてであってもよい。抗糖尿病薬の例としては、メトホルミン;シタグリプチンまたはリナグリプチンなどのDPPIV阻害剤;グリメピリドなどのスルホニル尿素;ピオグリタゾンなどのチアゾリジンジオン;グラルギンなどの基礎インスリン;HUMALOGまたはNOVOLOGなどの即効性インスリン;エクセナチドまたはリラグルチドなどのGLP−1アゴニスト;ダパグリフロジンまたはエンパグリフロジン(empagliflozin)などのSGLT2阻害剤;LY2409021などのグルカゴン受容体アンタゴニストなどが挙げられる。
【0018】
式IおよびIIの化合物は以下の実施例およびスキームの両方に示されているように調製される。試薬および開始物質は当業者に容易に利用可能である。他に特定されない限り、全ての置換基は以前に定義される通りである。このようなスキーム、調製例および実施例は、本発明の範囲を限定することを決して意図しているわけではないことが理解される。
【0019】
分解の例としては、選択的結晶化技術またはキラルクロマトグラフィーが挙げられる(例えば、J.Jacquesら、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」、John Wiley and Sons,Inc.、1981、ならびにE.L.ElielおよびS.H.Wilen、「Stereochemistry of Organic Compounds」、Wiley−Interscience、1994を参照のこと)。さらに、式IもしくはIIの個々のジアステレオマーもしくは幾何異性体、または式IもしくはIIを導く中間体の個々のジアステレオマーもしくは幾何異性体のクロマトグラフィー、キラルクロマトグラフィーまたは選択的結晶化分離による分離および単離は合成における任意の都合の良い時点で行われ得ることは当業者に自明であるはずである。
【0020】
本明細書で使用される場合、「δ」とは、テトラメチルシランからの100万分の1ダウンフィールド(down−field)を指し;「min」とは、分を指し;「THF」とは、テトラヒドロフランを指し;「MeOH」とは、メタノールまたはメチルアルコールを指し;「HPLC」とは、高速液体クロマトグラフィーを指す。「Ac」という用語は、以下の構造:
【化4】
のアセチル置換基を指す。
【0021】
「Bz」という用語は、以下の構造:
【化5】
のベンゾイル置換基を指す。
【0022】
「BOC」という用語は、t−ブチルオキシカルボニル保護基を指す。
【0023】
薬学的に許容可能な塩およびそれらを調製するための一般的な方法は当該分野において周知である。例えば、Gould,P.L.、「Salt selection for basic drugs」、International Journal of Pharmaceutics、33:201−217(1986);Bastinら、「Salt Selection and Optimization Procedures for Pharmaceutical New Chemical Entities」、Organic Process Research and Development、4:427−435(2000);およびS.M.Bergeら、「Pharmaceutical Salts」、Journal of Pharmaceutical Sciences、Vol.66、No.1、1977年1月を参照のこと。合成の当業者は、アミンとして式IおよびIIの化合物が有機塩基であり、それらが容易に変換され、当業者に周知の技術および条件を使用して酒石酸塩またはHCl塩などの薬学的に許容可能な塩として単離されることを理解するであろう。
【0024】
【化6】
【0025】
調製例1
(4−ブロモ−2−メチル−フェニル)メタノールの合成
【化7】
スキーム1、工程A:ボラン−テトラヒドロフラン錯体(0.2mol、200mL、1.0M溶液)を、テトラヒドロフラン(200mL)中の4−ブロモ−2−メチル安息香酸(39g、0.18mol)の溶液に加える。室温にて18時間後、減圧下で溶媒を除去して固体を得る。フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、白色固体(32.9g、0.16mol)として標題化合物を得る。H NMR(CDCl):δ1.55(s,1H),2.28(s,3H),4.61(s,2H),7.18−7.29(m,3H)。
【0026】
(4−ブロモ−2−メチル−フェニル)メタノールの代替の合成
ボラン−硫化ジメチル錯体(THF中に2M;116mL、0.232mol)を、3℃にて無水テトラヒドロフラン(THF、146mL)中の4−ブロモ−2−メチル安息香酸(24.3g、0.113mol)の溶液にゆっくり加える。10分間撹拌しながら冷却した後、冷却浴を取り除き、反応を周囲温度までゆっくり加温する。1時間後、溶液を5℃に冷却し、水(100mL)をゆっくり加える。酢酸エチル(100mL)を加え、相を分離する。有機層を飽和NaHCO水溶液(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濾過し、減圧下で濃縮して残渣を得、それを、15%酢酸エチル/イソヘキサンで溶出するシリカの短いパッドを通す濾過により精製して、標題化合物(20.7g、91.2%収率)を得る。MS(m/z):183/185(M+1−18)。
【0027】
調製例2
4−ブロモ−1−クロロメチル−2−メチル−ベンゼンの合成
【化8】
スキーム1、工程B:塩化チオニル(14.31mL、0.2mol)を、0℃にてジクロロメタン(200mL)およびジメチルホルムアミド(0.025mol、2.0mL)中の(4−ブロモ−2−メチル−フェニル)メタノール(32.9g、0.16mol)の溶液に加える。室温にて1時間後、混合物を氷水(100g)内に注ぎ、ジクロロメタン(300mL)で抽出し、抽出物を5%炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)およびブライン(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、白色固体(35.0g、0.16mol)として粗標題化合物を得る。その物質をさらに精製せずに反応の次の工程のために使用する。H NMR(CDCl):δ2.38(s,3H),4.52(s,2H),7.13−7.35(m,3H)。
【0028】
4−ブロモ−1−クロロメチル−2−メチル−ベンゼンの代替の合成
メタンスルホニルクロリド(6.83mL、88.3mmol)を、氷/水中で冷却したジクロロメタン(80.7mL)中の(4−ブロモ−2−メチル−フェニル)メタノール(16.14g、80.27mmol)およびトリエチルアミン(16.78mL;120.4mmol)の溶液にゆっくり加える。混合物を周囲温度にゆっくり加温し、16時間撹拌する。さらにメタンスルホニルクロリド(1.24mL;16.1mmol)を加え、混合物を周囲温度にて2時間撹拌する。水(80mL)を加え、相を分離する。有機層を塩酸(1N;80mL)、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(80mL)、次いで水(80mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濾過し、減圧下で濃縮して残渣を得、その残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサンで溶出する)により精製して、標題化合物(14.2g;80.5%収率)を得る。H NMR(300.11MHz,CDCl):δ7.36−7.30(m,2H),7.18(d,J=8.1Hz,1H),4.55(s,2H),2.41(s,3H)。
【0029】
調製例3
4−[(4−ブロモ−2−メチル−フェニル)メチル]−5−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−オールの合成
【化9】
スキーム1、工程C:水素化ナトリウム(8.29g、0.21mol、油中に60%分散)を、0℃にて、テトラヒドロフラン中のメチル4−メチル−3−オキソバレレートの溶液(27.1mL、0.19mol)に加える。室温にて30分後、テトラヒドロフラン(50mL)中の4−ブロモ−1−クロロメチル−2−メチル−ベンゼン(35.0g、0.16mol)の溶液を加える。得られた混合物を70℃にて一晩(18時間)加熱する。1.0MのHCl(20mL)を加えて反応をクエンチする。酢酸エチル(200mL)で抽出し、抽出物を水(200mL)およびブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をトルエン(200mL)中に溶解し、ヒドラジン一水和物(23.3mL、0.48mol)を加える。Dean−Stark装置を用いて混合物を120℃にて2時間加熱して水を除去する。減圧下で溶媒を冷却し、除去し、残渣をジクロロメタン(50mL)およびメタノール(50mL)で溶解する。この溶液を水(250mL)を有するビーカーにゆっくり注ぐ。得られた沈殿した生成物を真空濾過により回収する。オーブン中の真空中で40℃にて一晩乾燥させて、固体(48.0g、0.16mol)として標題化合物を得る。MS(m/z):311.0(M+1),309.0(M−1)。
【0030】
4−[(4−ブロモ−2−メチル−フェニル)メチル]−5−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−オールの代替の合成
アセトニトリル(65.8mL)中の4−ブロモ−1−クロロメチル−2−メチル−ベンゼン(13.16g、59.95mmol)の溶液を調製する。炭酸カリウム(24.86g、179.9mmol)、ヨウ化カリウム(11.94g、71.94mmol)およびメチル4−メチル−3−オキソバレレート(8.96mL;62.95mmol)を加える。得られた混合物を周囲温度にて20時間撹拌する。塩酸(2N)を加えてpH3にする。溶液を酢酸エチル(100ml)で抽出し、有機相をブライン(100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させる。混合物を濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をトルエン(65.8mL)中に溶解し、ヒドラジン一水和物(13.7mL、0.180mol)を加える。得られた混合物を還流で加熱し、Dean and Stark装置を使用して水を除去する。3時間後、混合物を90℃に冷却し、追加のヒドラジン一水和物(13.7mL;0.180mol)を加え、混合物を1時間還流で加熱する。混合物を冷却し、減圧下で濃縮する。得られた固体を水(200mL)で粉砕し、濾過し、60℃にてP上で真空オーブン中で乾燥させる。固体をイソ−ヘキサン(200mL)中で粉砕し、濾過して、標題化合物(14.3g、77.1%収率)を得る。MS(m/z):309/311(M+1)。
【0031】
調製例4
4−(4−ブロモ−2−メチルベンジル)−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−ベータ−D−グルコピラノシドの合成
【化10】
スキーム1、工程D:1Lのフラスコに、4−[(4−ブロモ−2−メチル−フェニル)メチル]−5−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−オール(20g、64.7mmol)、アルファ−D−グルコピラノシルブロミドテトラベンゾエート(50g、76mmol)、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド(6g、19.4mmol)、ジクロロメタン(500mL)、炭酸カリウム(44.7g、323mmol)および水(100mL)を加える。反応混合物を室温にて一晩撹拌する。ジクロロメタン(500mL)で抽出する。抽出物を水(300mL)およびブライン(500mL)で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(37g、64mmol)を得る。MS(m/z):889.2(M+1),887.2(M−1)。
【0032】
調製例5
4−{4−[(1E)−4−ヒドロキシブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−ベータ−D−グルコピラノシドの合成
【化11】
スキーム1、工程E:3−ブテン−1−オール(0.58mL、6.8mmol)を、アセトニトリル(30mL)およびトリエチルアミン(20mL)中の4−(4−ブロモ−2−メチルベンジル)−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−ベータ−D−グルコピラノシド(3g、3.4mmol)の溶液に加える。溶液を窒素で10分間脱気する。トリ−o−トリルホスフィン(205mg、0.67mmol)および酢酸パラジウム(76mg、0.34mmol)を加える。90℃にて2時間還流する。室温に冷却し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去する。残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(2.1g、2.4mmol)を得る。MS(m/z):878.4(M+1)。
【0033】
調製例6
4−{4−[(1E)−4−オキソブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−ベータ−D−グルコピラノシドの合成
【化12】
スキーム1、工程F:3,3,3−トリアセトキシ−3−ヨードフタリド(134mg、0.96mmol)を、0℃にて、ジクロロメタン(20mL)中の4−{4−[(1E)−4−ヒドロキシブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−ベータ−D−グルコピラノシド(280mg、0.32mmol)および炭酸水素ナトリウム(133.8mg、1.6mmol)の溶液に加える。室温にて15分後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(10mL)で反応をクエンチする。ジクロロメタン(30mL)で抽出する。抽出物を水(30mL)およびブライン(40mL)で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して標題化合物(270mg、0.31mmol)を得る。MS(m/z):876.5(M+1),874.5(M−1)。
【0034】
調製例7
tert−ブチル2−{(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−ベータ−D−グルコピラノシル)オキシ]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イル}−2,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレートの合成
【化13】
スキーム1、工程G:ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(98mg、0.46mmol)を、1,2−ジクロロエタン(5mL)中の4−{4−[(1E)−4−オキシブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−ベータ−D−グルコピラノシド(270mg、0.31mmol)およびtert−ブチル2,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート塩酸塩(179mg、0.62mmol)の溶液に加える。室温にて30分後、反応を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチする。ジクロロメタン(30mL)で抽出する。抽出物を水(30mL)およびブライン(40mL)で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(275mg、0.25mmol)を得る。MS(m/z):1115.6(M+1)。
【0035】
調製例8
4−{4−[(1E)−4−(2,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカ−2−イル)ブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−ベータ−D−グルコピラノシド二塩酸塩の合成
【化14】
スキーム1、工程H:塩化水素(1,4−ジオキサン中の4.0M溶液、0.6mL、2.4mmol)を、ジクロロメタン(5mL)中のtert−ブチル2−{(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−ベータ−D−グルコピラノシル)オキシ]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イル}−2,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート(275mg、0.25mmol)の溶液に加える。室温にて一晩(18時間)後、濃縮して減圧下で溶媒を除去して、固体(258mg、0.24mmol)として標題化合物を得る。MS(m/z):1015.6(M+1)。
【実施例】
【0036】
実施例1
4−{4−[(1E)−4−(2,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカ−2−イル)ブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イルベータ−D−グルコピラノシドの合成
【化15】
スキーム1、工程I:水酸化ナトリウム(0.5mL、0.5mmol、1.0M溶液)を、メタノール(2mL)中の4−{4−[(1E)−4−(2,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカ−2−イル)ブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−ベータ−D−グルコピラノシド二塩酸塩(258mg、0.24mmol)の溶液に加える。40℃にて2時間後、濃縮して減圧下で溶媒を除去して残渣を得、それを分取HPLC法:高pH、30×75mmを使用して85mL/分にて4分間25%B、4分間25〜40B%、5umC18XBridge ODBカラム、溶媒A−HOw pH10にてNHHCO、溶媒B−MeCNにより精製して、固体(46mg、0.08mmol)として標題化合物を得る。MS(m/z):598.8(M+1),596.8(M−1)。
【0037】
【化16】
【0038】
調製例9
4−(4−ブロモ−2−メチルベンジル)−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシドの合成
【化17】
スキーム2、工程A:1Lのフラスコに、4−[(4−ブロモ−2−メチル−フェニル)メチル]−5−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−オール(24g、77.6mmol)、2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−アルファ−D−グルコピラノシルブロミド(50.4g、116mmol)、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド(5g、15.5mmol)、ジクロロメタン(250mL)、炭酸カリウム(32g、323mmol)および水(120mL)を加える。反応混合物を室温にて一晩撹拌する。ジクロロメタン(450mL)で抽出する。抽出物を水(300mL)およびブライン(500mL)で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(36.5g、57mmol)を得る。MS(m/z):638.5(M+1),636.5(M−1)。
【0039】
4−(4−ブロモ−2−メチルベンジル)−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシドの代替の合成
試薬4−[(4−ブロモ−2−メチル−フェニル)メチル]−5−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−オール(24.0g、77.6mmol)、2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−アルファ−D−グルコピラノシルブロミド(50.4g、116mmol)、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド(4.94g、15.52mmol)、炭酸カリウム(32.18g、232.9mmol)、ジクロロメタン(250mL)および水(120mL)を合わせ、混合物を周囲温度にて18時間撹拌する。混合物をジクロロメタン(250mL)と水(250mL)の間に分ける。有機相をブライン(250mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中の10%酢酸エチルからジクロロメタン中の70%酢酸エチルで溶出する)により精製して、標題化合物(36.5g、74%収率)を得る。MS(m/z):639/641(M+1)。
【0040】
調製例10
4−{4−[(1E)−4−ヒドロキシブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシドの合成
【化18】
スキーム2、工程B:3−ブテン−1−オール(6.1mL、70mmol)を、アセトニトリル(200mL)およびトリエチルアミン(50mL)中の4−(4−ブロモ−2−メチルベンジル)−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシド(15g、23.5mmol)の溶液に加える。溶液を窒素で10分にわたって脱気する。トリ−o−トリルホスフィン(1.43g、4.7mmol)および酢酸パラジウム(526mg、2.35mmol)を加える。90℃にて2時間還流した後、冷却し、濃縮して減圧下で溶媒を除去する。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(7.5g、11.9mmol)を得る。MS(m/z):631.2(M+1),629.2(M−1)。
【0041】
調製例11
4−{4−[(1E)−4−オキシブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシドの合成
【化19】
スキーム2、工程C:3,3,3−トリアセトキシ−3−ヨードフタリド(2.1g、4.76mmol)を、0℃にて、ジクロロメタン(50mL)中の4−{4−[(1E)−4−ヒドロキシブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシド(1.5g、2.38mmol)および炭酸水素ナトリウム(2g、23.8mmol)の溶液に加える。室温にて15分後、反応を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(10mL)でクエンチする。ジクロロメタン(30mL)で抽出し、抽出物を水(30mL)およびブライン(40mL)で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(0.95g、1.51mmol)を得る。MS(m/z):628.8(M+1),626.8(M−1)。
【0042】
調製例12
tert−ブチル2−{(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシル)オキシ]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イル}−2,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレートの合成
【化20】
スキーム2、工程D:ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(303mg、1.4mmol)を、1,2−ジクロロエタン(30mL)中の4−{4−[(1E)−4−オキシブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシド(600mg、0.95mmol)およびtert−ブチル2,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート塩酸塩(333mg、1.2mmol)の溶液に加える。室温にて30分後、反応を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15mL)でクエンチする。ジクロロメタン(60mL)で抽出する。抽出物を水(30mL)およびブライン(60mL)で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(500mg、0.58mmol)を得る。MS(m/z):866.8,867.8(M+1),864.8,865.8(M−1)。
【0043】
調製例13
tert−ブチル2−{(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシル)オキシ]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イル}−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの合成
【化21】
標題化合物を実質的に調製例12の方法によって調製する。MS(m/z):852.8,853.6(M+1),850.8,851.6(M−1)。
【0044】
調製例14
tert−ブチル9−{(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシル)オキシ]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イル}−3,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−3−カルボキシレートの合成
【化22】
標題化合物を実質的に調製例12の方法によって調製する。MS(m/z):866.8,867.6(M+1),864.8,865.6(M−1)。
【0045】
調製例15
4−{4−[(1E)−4−(2,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカ−2−イル)ブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシド二塩酸塩の合成
【化23】
スキーム2、工程E:塩化水素(1,4−ジオキサン中の4.0M溶液、1.5mL、5.8mmol)を、ジクロロメタン(20mL)中のtert−ブチル2−{(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシル)オキシ]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イル}−2,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート(500mg、0.58mmol)の溶液に加える。室温にて2時間後、濃縮して減圧下で溶媒を除去して、固体(480mg、0.57mmol)として標題化合物を得る。MS(m/z):767.4(M+1)。
【0046】
調製例16
4−{4−[(1E)−4−(2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル)ブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシド二塩酸塩の合成
【化24】
標題化合物を実質的に調製例15の方法によって調製する。MS(m/z):752.8,753.8(M+1),750.8(M−1)。
【0047】
実施例1の第1の代替の合成
4−{4−[(1E)−4−(2,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカ−2−イル)ブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イルベータ−D−グルコピラノシドの第1の代替の合成
【化25】
スキーム2、工程F:メタノール(5mL)、トリエチルアミン(3mL)および水(3mL)を、4−{4−[(1E)−4−(2,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカ−2−イル)ブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシド二塩酸塩(480mg、0.24mmol)に加える。室温にて18時間(一晩)後、濃縮して減圧下で乾燥させる。得られた残渣を分取HPLC法:高いpH、30×75mm、5um C18XBridge ODBカラムを使用して85mL/分にて4分間25%のB、4分間25〜40B%、pH10にて溶媒A−HO w NHHCO、溶媒B−MeCNにより精製して、固体(50mg、0.08mmol)として標題化合物を得る。MS(m/z):598.8(M+1),596.8(M−1).HNMR(400.31MHz,CDOD):δ7.11(d,J=1.3Hz,1H),7.04(dd,J=1.3,8.0Hz,1H),6.87(d,J=8.0Hz,1H),6.36(d,J=15.8Hz,1H),6.16(dt,J=15.8,6.3Hz,1H),5.02(m,1H),3.81(d,J=11.7Hz,1H),3.72(d,J=16.8Hz,1H),3.68(d,J=16.8Hz,1H),3.64(m,1H),3.37−3.29(m,4H),2.79(m,1H),2.72(t,J=5.8Hz,4H),2.44−2.33(m,6H),2.30(s,3H),2.26(broads,2H),1.59(m,2H),1.50(m,2H),1.43(m,2H),1.36(m,2H),1.11(d,J=7.0Hz,3H),1.10(d,J=7.0Hz,3H)。
【0048】
実施例2
4−{4−[(1E)−4−(2,8−ジアザスピロ[4,5]デカ−2−イル)ブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イルベータ−D−グルコピラノシドの合成
【化26】
標題化合物を実質的に実施例1の第1の代替の合成の方法によって調製する。MS(m/z):584.7(M+1),582.8(M−1)。
【0049】
実施例3
4−{4−[(1E)−4−(3,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカ−3−イル)ブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イルベータ−D−グルコピラノシドの合成
【化27】
標題化合物を実質的に、調製例15において説明しているようにHClを用いて調製例14の化合物を最初に処理し、次いで得られた塩酸塩を、実施例1の第1の代替の合成に説明しているようにトリエチルアミンを用いて処理することによって調製する。MS(m/z):598.8,599.8(M+1),596.8,597.8(M−1)。
【0050】
【化28】
【0051】
調製例17
tert−ブチル4−ブト−3−イニル−4,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレートの合成
【化29】
スキーム3、工程A:炭酸セシウム(46.66g、143.21mmol)を、アセトニトリル(167mL)中のtert−ブチル4,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート塩酸塩(16.66g、57.28mmol)の懸濁液に加える。混合物を周囲温度にて10分間撹拌し、次いで4−ブロモブチン(6.45mL、68.74mmol)を加える。反応物を還流で加熱し、18時間撹拌する。混合物を冷却し、減圧下で濃縮する。残渣を水(200mL)と酢酸エチル(150mL)との間に分ける。相を分離し、水層を酢酸エチル(100mL)で抽出する。合わせた有機層を水(200mL)、次いでブライン(150mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物(17.2g、98%収率)を得る。H NMR(300.11MHz,CDCl3):δ3.43−3.31(m,4H),2.53−2.48(m,2H),2.37−2.29(m,4H),2.20(s,2H),1.94(t,J=2.6Hz,1H),1.44(s,17H)。
【0052】
調製例18
tert−ブチル4−[(E)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ブト−3−エニル]−4,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレートの合成
【化30】
スキーム3、工程B:トリエチルアミン(5.62mmol、0.783mL)、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(8.56mL、59.0mmol)および塩化ジルコノセン(1.45g、5.62mmol)を、tert−ブチル4−ブト−3−イニル−4,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート(17.21g、56.16mmol)に加える。得られた混合物を65℃で3.5時間加熱する。混合物を冷却し、ジクロロメタン(150mL)中に溶解する。得られた溶液を、ジクロロメタン(2×200mL)で溶出する約4cm厚のシリカゲルパッドに通す。濾液を減圧下で濃縮して標題化合物(21.2g、87%収率)を得る。H NMR(300.11MHz,CDCl3):δ6.65−6.55(m,1H),5.49−5.43(m,1H),3.42−3.29(m,4H),2.40−2.27(m,6H),2.25−2.08(m,2H),1.70−1.13(m,29H)。
【0053】
調製例19
tert−ブチル2−{(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−ベータ−D−グルコピラノシル)オキシ]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イル}−2,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレートの合成
【化31】
スキーム3、工程C:テトラヒドロフラン(200mL)および水(40mL)中の4−(4−ブロモ−2−メチルベンジル)−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシド(20g、31.3mmol)、tert−ブチル4−[(E)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ブト−3−エニル]−4,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート(16.3g、37.5mmol)および炭酸カリウム(12.97g、93.82mmol)の溶液を、それを通して窒素ガスを泡立てることによって15分間脱気する。Pd(OAc)(140mg、625μmol)および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリ−i−プロピル−1,1’−ビフェニル(0.596g、1.25mmol)を加え、反応物を還流で16時間加熱する。溶液を周囲温度で冷却し、メタノール(200mL)を加える。30分後、溶媒を減圧下で除去する。混合物を酢酸エチル(500mL)とブライン(500ml)との間で分け、相分離を支援するためにMgSO水溶液(1M;500ml)を加える。層を分離し、有機層をMgSOで乾燥させ、酢酸エチル(約1.5L)で溶出する10cmのシリカゲルパッドで濾過する。濾液を捨て、シリカパッドをTHF(2L)中の5%MeOHでフラッシュする。メタノール濾液を減圧下で濃縮して、標題化合物(20.1g、92%)を得る。MS(m/z):699(M+1)。
【0054】
実施例1の第2の代替の合成
4−{4−[(1E)−4−(2,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカ−2−イル)ブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イルベータ−D−グルコピラノシドの第2の代替の合成
【化32】
スキーム3、工程D:トリフルオロ酢酸(32.2mL;0.426mol)を、氷水で冷却したジクロロメタン(149mL)中のtert−ブチル2−{(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−ベータ−D−グルコピラノシル)オキシ]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イル}−2,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート(14.87g;21.28mmol)の溶液に加える。溶液を室温に加温する。30分後、混合物をMeOH(2M;300mL)中のアンモニアにゆっくり加え、一定の温度を維持するのに必要な場合、冷却を適用する。溶液を室温にて15分間撹拌する。混合物を減圧下で濃縮し、SCX−2樹脂を使用して残渣を精製する。塩基性濾液を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル中で粉砕/超音波処理し、濾過し、乾燥させる。得られた固体をMeOH(200ml)中に溶解し、真空中で濃縮する。これを数回繰り返して標題化合物(12.22g、収率96%)を得る。MS(m/z):599(M+1)。[α]D20=−12°(C=0.2,MeOH)。
【0055】
【化33】
【0056】
調製例20
(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシル)オキシ]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イルメタンスルホネートの合成
【化34】
スキーム4、工程A。メタンスルホニルクロリド(0.54mL、7mmol)を、0℃にて、ジクロロメタン(15mL)およびトリエチルアミン(4mL、29mmol)中の4−{4−[(1E)−4−ヒドロキシブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシド(3.7、5.87mmol)の溶液に加える。室温にて30分間還流した後、濃縮して減圧下で溶媒を除去する。残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して標題化合物(2.9g、4.1mmol)を得る。MS(m/z):708.5(M+1),706.5(M−1)。
【0057】
調製例21
tert−ブチル2−{(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシル)オキシ]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イル}−2,6−ジアザスピロ[3.5]ノナン−6−カルボキシレートの合成
【化35】
スキーム4、工程B。ジイソプロピルエチルアミン(0.2mL、1.1mmol)を、アセトニトリル(3mL)中の(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシル)オキシ]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イルメタンスルホネート(200mg、0.28mmol)およびtert−ブチル2,6−ジアザスピロ[3.5]ノナン−6−カルボキシレート(77mg、0.34mmol)の溶液に加える。混合物を80℃にて一晩加熱する。減圧下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(127mg、0.15mmol)を得る。MS(m/z):838.8,839.6(M+1),836.8,837.6(M−1)。
【0058】
調製例22
tert−ブチル2−{(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシル)オキシ]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イル}−2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−7−カルボキシレートの合成
【化36】
標題化合物を実質的に調製例21の方法によって調製する。MS(m/z):838.8,839.6(M+1),836.8,837.6(M−1)。
【0059】
調製例23
tert−ブチル7−{(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシル)オキシ]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イル}−2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−2−カルボキシレートの合成
【化37】
標題化合物を実質的に調製例21の方法によって調製する。MS(m/z):838.8,839.6(M+1),836.8,837.6(M−1)。
【0060】
調製例24
tert−ブチル1−{(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシル)オキシ]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イル}−1,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの合成
【化38】
標題化合物を実質的に調製例21の方法によって調製する。MS(m/z):852.8,853.6(M+1),850.8,852.8(M−1)。
【0061】
調製例25
tert−ブチル8−{(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−d−グルコピラノシル)オキシ]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イル}−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−カルボキシレートの合成
【化39】
標題化合物を実質的に調製例21の方法によって調製する。MS(m/z):852.8,853.6(M+1),850.8,851.6(M−1)。
【0062】
実施例4
4−{4−[(1E)−4−(2,6−ジアザスピロ[3.5]ノン−2−イル)ブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イルベータ−D−グルコピラノシドの合成
【化40】
スキーム4、工程C。4.0MのHCl/1,4−ジオキサン(1.5mL、1.5mmol)を、ジクロロメタン(2mL)中のtert−ブチル2−{(3E)−4−[3−メチル−4−({5−(プロパン−2−イル)−3−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−ベータ−D−グルコピラノシル)オキシ]−1h−ピラゾール−4−イル}メチル)フェニル]ブト−3−エン−1−イル}−2,6−ジアザスピロ[3.5]ノナン−6−カルボキシレートの溶液に加え、室温にて4.0時間撹拌する。混合物を減圧下で泡状固体に濃縮する。固体をMeOH(2mL)中の2.0Mのアンモニアで一晩処理する。室温にて18時間後、減圧下で濃縮して溶媒を除去する。得られた残渣を分取HPLC法:高いpH、30×75mm、5um C18XBridge ODBカラムを使用して85mL/分にて3分間19%B、5分間19〜34B%、pH10にて溶媒A−HO w NHHCO、溶媒B−MeCNにより精製して、固体(47mg、0.08mmol)として標題化合物を得る。MS(m/z):570.8,571.8(M+1),568.7,569.8(M−1)。
【0063】
実施例5
4−{4−[(1E)−4−(2,7−ジアザスピロ[3.5]ノン−2−イル)ブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イルベータ−D−グルコピラノシドの合成
【化41】
標題化合物を実質的に実施例4の方法によって調製する。MS(m/z):570.8,571.8(M+1),568.7,569.8(M−1)。
【0064】
実施例6
4−{4−[(1E)−4−(2,7−ジアザスピロ[3.5]ノン−7−イル)ブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イルベータ−D−グルコピラノシドトリフルオロアセテート(1:2)の合成
【化42】
標題化合物を実質的に、低いpHの分取HPLC法(低いpH、30×75mm、5um C18XBridge ODBカラムを使用して85mL/分にて3分間16%B、5分間16〜33B%、溶媒A−HO w 0.1%TFA、溶媒B−MeCN w 0.1%TFA)によって精製される最終化合物を用いて実施例4の方法によって調製する。MS(m/z):570.8,571.8(M+1),568.7,569.8(M−1)。
【0065】
実施例7
4−{4−[(1E)−4−(1,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−1−イル)ブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イルベータ−d−グルコピラノシドの合成
【化43】
標題化合物を実質的に実施例4の方法によって調製する。MS(m/z):584.7,585.8(M+1),582.8,583.8(M−1)。
【0066】
実施例8
4−{4−[(1E)−4−(2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)ブト−1−エン−1−イル]−2−メチルベンジル}−5−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イルベータ−D−グルコピラノシドの合成
【化44】
標題化合物を実質的に実施例4の方法によって調製する。MS(m/z):584.7,585.8(M+1),582.8,583.8(M−1)。
【0067】
ナトリウム依存性グルコース輸送体1(SGLT1)およびSGLT2アッセイ
ヒトSGLT1(slc5al、NM_000343)、ヒトSGLT2(slc5a2、NM_003041)およびマウスSGLT1(slc5al、NM_019810.4)をコードするcDNAはそれぞれ、Openbiosystems、InvitrogenおよびOpenbiosystemsから購入する。cDNAを哺乳動物の発現のためのpcDNA3.1+内でクローニングし、標準的な哺乳動物トランスフェクション手順を使用してチャイニーズハムスター卵巣(CHO)−K1細胞内で安定にトランスフェクトする。各々の過剰発現細胞株のSGLTを発現するサブクローンを、14C−α−メチル−D−グルコピラノシド(14C−AMG)取り込みアッセイ(以下を参照のこと)においてネオマイシン(Geneticin、Invitrogen)に対する耐性および活性に基づいて選択する。安定なSGLTを発現する細胞を、標準的な細胞培養技術を使用して維持する。
【0068】
SGLT活性を以下に記載しているように上記の細胞株におけるナトリウム依存性14C−AMG取り込みとして測定する。30,000個の細胞を含有する100μLの培養培地を、96ウェルBioCoatポリ−D−リシンプレート(Becton Dickson)の各ウェルに播種し、37℃にて一晩培養する。培養培地を吸引し、細胞を200μLの反応緩衝液(140mMのNaCl、2mMのKCl、1mMのCaCl、MgCl、および14mMのN−2−ヒドロエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(Hepes)、pH7.5)で2回洗浄する。過剰な緩衝液をペーパータオルでたたいて取る。35μLの反応緩衝液を各ウェルに加える。種々の濃度の試験化合物を含有するまたは対照として化合物を含有しない反応緩衝液中の5μLの10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を各ウェル内に分配する。4μMの最終濃度にするために反応緩衝液中の10μLの14C−AMGを加えることによって反応を開始する。プレートを37℃にて125分間インキュベートする。反応緩衝液を吸引することによって反応を停止させ、次いで200μLの氷冷反応緩衝液で3回洗浄する。手動吸引を適用して反応緩衝液の完全な除去を確実にする。10μLの0.1NのNaOHを各ウェルに加え、次いで100μLのSupermixシンチレーションカクテル(PerkinElmer)を加える。混合した後、プレート内のシンチレーションシグナルをMicroBeta(PerkinElmer)においてカウントする。10用量反応曲線を、ActivityBase(ID Business Solution)を使用して実験的4パラメーターモデルに適合して、最大半減阻害(IC50)にて阻害濃度を決定する。本明細書における実施例1〜8の化合物を実質的に上記のように試験し、約500nMより低いSGLT1についてのIC50値を示す。
【0069】
【表1】
【0070】
より特に、表1内のデータは、実施例1の化合物は、インビトロでヒトおよびマウスSGLT1を阻害し、インビトロでヒトSGLT2よりヒトおよびマウスSGLT1において有効であることを実証している。
【0071】
経口グルコース負荷試験(OGTT)におけるグルコース低下効果
試験化合物を、1%ヒドロキシエチルセルロース、0.25%Tween(登録商標)80w/消泡剤0.05%のビヒクルを加えることによって製剤化し、試験化合物を事前に秤量して1mg/ml溶液を作製する。混合物を約30秒間プローブソニケートする(probe sonicated)。得られた溶液をストック溶液として使用し、そこから低濃度の用量溶液をビヒクルで希釈することによって調製する。
【0072】
単一で収容したC57Bl/6マウスを、試験日の前の午後遅くに食物へのアクセスを取り除くことによって一晩絶食させる。翌朝、マウスを秤量し、単一の空腹時血糖試料を、尾を切ることによって得て、血糖値計(Roche AccuChek)によってグルコースを測定する。研究群(n=5)を空腹時血糖に基づいて決定し、それは好ましくは80〜100mg/dlのグルコースの範囲の動物を含む。
【0073】
グループ分け後、最初のマウスに、10ml/kgの試験化合物調製物を強制経口投与し、タイマーを開始する。後の動物の各々に1分半間隔をあけて投与する。最初の化合物処置を開始してから3時間後、グルコースを測定するためにベースライン血液試料を(最初の動物から尾を切ることにより)得る。次いで動物に3g/kgにて50%デキストロース(Hospira)の経口用量をすぐに与える。グルコースのための血液試料を尾静脈により正確に1分半の間隔をあけて取り、血液を、デキストロース投与の20、40、60および120分後に各動物において採取する。
【0074】
【表2】
【0075】
上記の表2に示したように、実施例1の化合物は、正常な血糖のC57Bl/6マウスにおいて50%デキストロース(Hospira(登録商標))の経口ボーラス後、グルコースエクスカーションの用量依存性の低下をもたらす。実施例1はまた、OGTTの間、ベースライン調整したグルコース曲線下面積(AUC)の用量依存性の低下を実証している。さらに、実施例1は、グルコースが最大濃度(Tmax)に到達するのにかかる平均時間を増加させながら、OGTTの間、血漿グルコース(Cmax)の平均最大濃度を用量依存的に低下させる。
【0076】
ストレプトゾトシン誘発性糖尿病を有するオスのラットにおける混合型食物耐性試験におけるグルコース値
ストレプトゾトシン(STZ)を投与したラットは糖尿病を発症する。これらの動物におけるグルコースレベルを調節する薬剤は、ヒトにおける糖尿病の治療において有用であると考えられている。
【0077】
1%ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、0.25%Tween(登録商標)80w/消泡剤0.05%のビヒクルを加えることによって試験化合物を製剤化し、試験化合物を予め秤量して2.5mg/ml溶液にする。混合物を約30秒間プローブソニケートする。得られた溶液をストック溶液として使用し、そこから低濃度の用量溶液をビヒクルで希釈することによって調製する。STZ、45mg/kgを、3mlアリコートにおいて0.1Mのクエン酸緩衝液中に溶解することによって製剤化し、投与しない場合、氷上で暗所に保存する。脂肪カロリー(60%)、炭水化物カロリー(26%)およびタンパク質カロリー(15%)を含む、高い脂肪含量の混合食事(Bio−Serv(登録商標)Rodent Diet F3282 High Fat)を利用する。単一で収容したSprague Dawleyラットを3〜7日間慣らす。
【0078】
動物が直近に餌を食べていないことを確実にするために、STZを午後の明周期内の約6時間(6amに明かりをつけ、6pmに明かりを消す)に投与する。イソフルランで動物に麻酔をし、STZを尾静脈注入により送達する。動物が意識を回復させると、それらをハウジングに戻し、7間間回復させる。
【0079】
金属耐性試験(MTT)の直前の2日に、全てのラットに少量(2〜4g)のF3282ダイエットを与え、実験の間、それを与える前にそれに慣れさせる。実験の前の晩に、ラットをクリーンケージに移動させ、食べ物を取り除く。翌朝、動物の体重を計り、血液試料を、グルコース測定のために尾を切ることによって得る(Abbott AlphaTrak血糖計:コード29)。空腹時体重および血糖に基づいて動物をグループ分けする(n=6)。30分後、試験化合物を経口投与し、2回のグルコース測定を集める。次いで5グラムペレットのBio−Serv(登録商標)食事3282を与える。20分後、残りの食物を取り去り、体重を計る。血液試料をグルコース測定のために20、40、60および120分に得る。
【0080】
【表3】
【0081】
上記の表3に示すように、実施例1の化合物はビヒクル対照と比較してMTTにおいてグルコースを顕著に用量依存的に減少させる。アカルボースは任意の時点において対照と比較してグルコースを顕著に減少させなかった。さらに、実施例1の処置と関連しているグルコースベースライン調整したAUCは用量依存的に減少する。アカルボースは、10mg/kgにてグルコースAUCを実施例1のものと同様のレベルに顕著に減少させる。表3は、実施例1の化合物がオスのラットにおいてグルコースレベルを調節することを実証する。