特許第6148739号(P6148739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6148739レプリカテープを特性評価する装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148739
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】レプリカテープを特性評価する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20170607BHJP
   G01N 21/59 20060101ALI20170607BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20170607BHJP
   G01B 7/02 20060101ALI20170607BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   G01B11/06 H
   G01N21/59 M
   G01B11/24 K
   G01B7/02 B
   G01B7/00 101F
【請求項の数】17
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2015-552760(P2015-552760)
(86)(22)【出願日】2014年1月9日
(65)【公表番号】特表2016-509215(P2016-509215A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】US2014010802
(87)【国際公開番号】WO2014110215
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2015年10月1日
(31)【優先権主張番号】61/750,521
(32)【優先日】2013年1月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515189494
【氏名又は名称】デフェルスコ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】レオン バンダーバルク
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ブイ.スタックニック
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムス エドワード デイビス
【審査官】 三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−351733(JP,A)
【文献】 特開2005−331299(JP,A)
【文献】 特開平05−099858(JP,A)
【文献】 特開平10−227727(JP,A)
【文献】 特開2004−212362(JP,A)
【文献】 特開2003−307407(JP,A)
【文献】 特開2001−251648(JP,A)
【文献】 特開昭59−043358(JP,A)
【文献】 米国特許第05126569(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G01B 7/00− 7/34
G01B 21/00−21/32
G01N 1/00− 1/34
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/61
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質の表面上で型押し、圧縮、もしくは成形されたレプリカテープを特性評価するための装置であり、前記レプリカテープは、第1の表面と、前記レプリカテープが型押し、圧縮、もしくは成形される物質表面を複製する反対側の第2の表面とを有し、前記レプリカテープの前記第2の表面は、前記レプリカテープの前記第1の表面と前記第2の表面との間に第2の方向に伸びる前記レプリカテープの厚みにほぼ垂直な第1の方向に沿って伸びた複数の測定点を有し、前記装置は、
前記第2の方向に対向する第1の表面と第2の表面とを有する第1の保持部品であって、前記第1の表面は前記レプリカテープの前記第2の表面を支持する構造である第1の保持部品と、
前記第2の方向に対向する第1の表面と第2の表面とを有する第2の保持部品であって、前記レプリカテープの前記第1の表面に押し付けられて、前記第1の保持部品の前記第1の表面と前記第2の保持部品の前記第2の表面との間で前記レプリカテープを固定する構造である第2の保持部品と、
前記第2の保持部品の前記第1の表面から第1の距離に配置され、前記第2の保持部品の前記第1の表面と前記第2の表面、前記レプリカテープの前記第1の表面と前記第2の表面、および前記第1の保持部品の前記第1の表面と前記第2の表面を通って前記第2の方向に光を透過する構造である光源と、
前記第1の保持部品の前記第2の表面から第2の距離に配置され、前記レプリカテープの前記第2の表面の前記複数の測定点のうちの少なくとも2つの測定点にそれぞれ透過された光の強度を測定する構造である画像センサと、
前記複数の測定点のうちの少なくとも2つの測定点に透過された光の前記測定強度を受信して、前記少なくとも2つの測定点における前記測定光強度を、前記少なくとも2つの測定点それぞれにおける前記レプリカテープの測定統計値に関連した少なくとも2つのデータ値にそれぞれ変換する構造である処理ユニットと
を備える装置。
【請求項2】
前記画像センサは、前記少なくとも2つの測定点に透過された光の対応する波長の振幅を測定することによって、前記少なくとも2つの測定点にそれぞれ透過された光の強度を測定する構造である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光源は、(i)200〜1500nmの波長を有する光および(ii)赤外光のうちの少なくとも一方を透過させる構造である、請求項1および請求項2のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記画像センサは、Bayerフィルタを有するデジタルカメラを備え、
前記光源によって透過された前記赤外光は、前記デジタルカメラのBayerフィルタを回避し、
前記装置はさらに、前記第1の保持部品の前記第2の表面と前記画像センサとの間に配置される帯域通過フィルタであって、前記画像センサに赤外光のみを通過させる構造である帯域通過フィルタを備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記レプリカテープは、前記レプリカテープの前記第1の表面に取り付けられる透明裏打ち材を含み、
前記第2の保持部品は、前記透明裏打ち材に押し付けられて、前記第1の保持部品の前記第1の表面と前記第2の保持部品の前記第2の表面との間で前記レプリカテープを固定する構造であり、
前記透明裏打ち材は、ポリエステルおよびナイロンのうちの一方から成る、請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の保持部品の前記第2の表面に配置される渦電流センサと、
前記第2の保持部品の前記第1の表面と前記第2の表面との間で前記第2の保持部品の周囲の少なくとも1つの点に取り付けられる導体素子とを備え、
前記第2の保持部品と前記第2の保持部品に取り付けられる前記導体素子は、前記第2の方向に可動であり、
前記渦電流センサは、前記第1の保持部品の上にある前記導体素子の高さを測定する構造であり、
前記処理ユニットは、前記導体素子の前記測定高さに基づいて、前記第2の保持部品の高さを測定する構造であり、
前記処理ユニットは、前記第2の保持部品の前記測定高さを前記第2の保持部品の前記測定高さに応じた山谷間厚みに変換する構造である、請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の保持部品の前記第2の表面に配置される渦電流センサと、
前記第2の保持部品の前記第1の表面と前記第2の表面との間で前記第2の保持部品の周囲の少なくとも1つの点に取り付けられる導体素子とを備え、
前記第2の保持部品と前記第2の保持部品に取り付けられる前記導体素子は、前記第2の方向に可動であり、
前記渦電流センサは、前記第1の保持部品の上にある前記導体素子の高さを測定する構造であり、
前記処理ユニットは、前記導体素子の前記測定高さに基づいて、前記第2の保持部品の高さを測定する構造であり、
前記処理ユニットは、前記レプリカテープの前記透明裏打ち材の厚みから前記第2の保持部品の前記測定高さを減算することにより、前記第2の保持部品の前記測定高さを山谷間厚みに変換する構造である、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の保持部品の前記第2の表面に配置される渦電流センサを備え、
前記第2の保持部品は、導電材料から成り、前記第2の方向に可動であり、
前記渦電流センサは、前記第1の保持部品の上にある前記第2の保持部品の高さを測定する構造であり、
前記処理ユニットは、前記第2の保持部品の前記測定高さを前記第2の保持部品の前記測定高さに応じた山谷間厚みに変換する構造である、請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
第1の所定の力を前記第2の保持部品の前記第1の表面に加えることによって、操作者の入力に関係なく、前記第2の保持部品と前記レプリカテープとの間の圧力を一定に保つ構造である第1のばねと、
前記第2の保持部品を取り囲む第2のばねと、
前記第2の保持部品を取り囲み、前記第2のばねを収容して前記第2のばねを前記第2の保持部品の前記第1の表面と前記第2の表面との間に嵌め込む構造である内側溝と外側テーパ面とを有する第1のリングと、
前記第2の保持部品の両側にそれぞれ配置され、前記第1のリングの前記外側テーパ面の輪郭と合致する内側テーパ面を含む1組のボタンとを備え、
前記1組のボタンは、押圧されて前記第1のリングと係合し、前記第1のリングを前記第1の保持部品に向かって押し付けることにより、前記第1のばねのみで前記第2の保持部品を定位置で保持し、また前記第1の所定の力より大きい第2の所定の力を前記第1のばねに加えて前記第1のばねを収縮させ、前記第1の保持部品から引き離すことによって、前記第1のばねから前記第2の保持部品と前記レプリカテープとの間の圧力を解放する構造である、請求項1〜請求項8のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の保持部品の前記第1の表面と前記第2の表面との間で前記第2の保持部品の周囲に沿って少なくとも1つの点に取り付けられる第2のリングを備え、
前記第2のばねは、前記第2の方向に前記第2のリングの上に配置される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記処理ユニットは、受信した前記少なくとも2つの測定点における前記測定光強度をメモリユニットに記録して、記録した前記測定光強度を、前記測定光強度の対応値に関連付けてルックアップテーブルに記録されている厚み値と置換することによって、前記少なくとも2つの測定点における前記測定光強度を変換する構造である、請求項1〜請求項10のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記ルックアップテーブルは、
(a)圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの対応する測定光強度に関連した圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの測定厚み値を使用して較正された後に記憶されている対応測定光強度に関連した前記レプリカテープの測定厚み値、および
(b)(i)測定値のばらつき、(ii)前記装置の機械部品の変化、および(iii)前記装置内のデブリ蓄積のうちの少なくとも1つを構成するために、前記レプリカテープの測定点の測定光強度に関連付けずに記録されている測定厚み値、
のうちの一方に基づいて作成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記処理ユニットは、受信した前記少なくとも2つの測定点における前記測定光強度をメモリユニットに記録して、記録した前記測定光強度にアルゴリズムを適用して前記少なくとも2つの測定点における前記測定光強度の対応厚み値を求めることによって、前記少なくとも2つの測定点における前記測定光強度を変換する構造である、請求項1〜請求項10のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記アルゴリズムは、
(a)圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの対応する測定光強度に関連した圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの測定厚み値を使用して較正された後に記憶されている対応測定光強度に関連した前記レプリカテープの測定厚み値、および
(b)(i)測定値のばらつき、(ii)前記装置の機械部品の変化、および(iii)前記装置内のデブリ蓄積のうちの少なくとも1つを構成するために、前記レプリカテープの測定点の測定光強度に関連付けずに記録されている測定厚み値、
のうちの一方に基づいて作成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
(i)前記少なくとも2つの測定点における前記測定光強度に対応する前記厚み値の2次元レンダリング、および(ii)前記少なくとも2つの測定点における前記測定光強度に対応する前記厚み値に基づいた前記レプリカテープの3次元表面の2次元レンダリングのうちの少なくとも一方を表示する構造である表示ユニットを備える、請求項11〜請求項14のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
(i)前記第1の保持部品は透明窓を含み、前記第2の保持部品は半透明アンビルを含む、および
(ii)前記第1の保持部品および前記第2の保持部品はそれぞれ、前記第1の保持部品と前記第2の保持部品との間で前記レプリカテープを支持するための支持構造体と、前記光源からの光を透過させることができるように対応する前記支持構造体内に配置される窓および穴のうちの一方とで構成される、
のうちの少なくともいずれかである、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
レプリカテープを特性評価する方法であって、
測定される物質の表面上で前記レプリカテープを型押し、圧縮、もしくは成形するステップであって、前記型押し、圧縮、もしくは成形されるレプリカテープは、前記物質の表面を複製する圧縮性表面を有するステップと、
前記レプリカテープの前記圧縮性表面が第1の保持部品に接触して固定されるように、前記第1の保持部品と第2の保持部品との間で前記レプリカテープを固定するステップと、
前記第2の保持部品、前記レプリカテープ、および前記第1の保持部品に光を透過させるステップと、
画像センサにおいて、前記レプリカテープの前記圧縮性表面の少なくとも2つの測定点にそれぞれ透過された光の強度を測定するステップと、
処理ユニットにおいて、前記少なくとも2つの測定点に透過された光の測定強度を、前記少なくとも2つの測定点それぞれにおける前記レプリカテープの測定統計値に関連した少なくとも2つのデータ値にそれぞれ変換するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2013年1月9日に出願された米国仮特許出願第61/750521号の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、元の物質表面を表すために型押しもしくは圧縮されたレプリカテープを特性評価する方法および装置に関する。特に、本開示は、構造物の寸法および統計値を測定するために、型押しもしくは圧縮されたレプリカテープに光を透過させることによって、そのレプリカテープを特性評価し、任意で、特性評価された表面の画像を生成して表示する方法および装置に関する。さらに、本開示は、例えば、スプリングマイクロメータもしくは渦電流センサのような手段を使用して、型押しもしくは圧縮されたレプリカテープの厚みの変位を測定して表面の最大山谷間隔を求めることによって、レプリカテープを特性評価する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
非破壊試験の表面分析の分野において、周知の技術は、目視検査、浸透探傷検査、および磁粉探傷検査を含む。また、共焦点干渉走査電子顕微鏡検査(SEM)のような顕微鏡検査技術や、1次元および2次元測定器のような機械的表面プロファイル測定器が表面プロファイルを決定する周知の技術である。目視検査の分野の中で、物質の遠隔検査を助けるために、表面複製が使用される場合がある。周知の表面複製技術は、顕微鏡検査を使用した間接的検査のために、レプリカテープのような媒体への表面プロファイルの転写を含む。周知のレプリカテープは、酢酸セルロースフィルムを使用して、標準的な顕微鏡検査技術を使用して微細構造を画像化するために表面形状を転写する。しかし、この技術は、表面プロファイリングに使用されるのではなく、一般に、部品の亀裂形成もしくはクリープ損傷の画像を確認する手段として使用される。
【0004】
複製媒体への表面転写の他の周知の方法として、複製パテ技術、形状記憶ポリマー技術、さらに2液シリコンゴムとメタクリル樹脂を使用した鋳造技術が挙げられる。得られたレプリカは、干渉走査電子顕微鏡検査(SEM)および共焦点顕微鏡検査を含む多数の技術を使用して分析される。また、ドラッグスタイラスもしくはニードル式表面プロファイルゲージのような1次元もしくは2次元機械的表面プロファイル測定器を複製媒体上で使用することもできる。
【0005】
表面を特性評価するのに、レプリカテープを使用するのが周知である。ASTM D4417の方法Cには、例えば、金属製の橋や船舶の研磨剤吹き付け加工面のような表面の山谷間隔を測定するプロセスについて記載されている。吹き付け加工面の性質により、塗料の付着を予測できる。山谷間隔が小さすぎる場合、表面は塗料を定着させる十分な「粗目」が不足している。山谷間隔が大きすぎる場合、高い山部が塗料の上に突出して、腐食の中心となる。
【0006】
市販されているレプリカテープの一例であるPRESS−O−FILM(登録商標)は、非圧縮性の50μm(2ミル)ポリエステル製裏打ち材と、発泡体の圧縮性層とを含む。裏打ち材は、裏面粘着紙担体に取り付けられる。担体はポリエステルと発泡体とを露出させる約8mmの直径の開口部を有し、その下において特性評価される表面に対して型押しもしくは圧縮されて発泡体が表面と形状一致する。その後、ばね荷重式マイクロメータを使用してレプリカテープの厚みが測定され、ポリエステル裏打ち材の厚みが差し引かれて、元の表面の山谷間隔が求められる。しかし、マイクロメータは、単位面積当たりの山、山の平均面積、もしくは展開表面積などの他の測定値を求めることができない。これらの追加の統計値は、さらに塗料の付着および寿命を予測するのに有用である場合がある。
【0007】
レプリカテープは、表面を永久的に記録することができる。マイクロメータの中には、山谷間隔測定値を永久的に記録することができるように、レプリカテープの厚み測定値を記憶できるものもある。しかし、このようなマイクロメータでは、表面の追加の測定値を求めることができない。
【0008】
レプリカテープは、特に、スタイラス式測定器または干渉レーザ走査もしくは光学式焦点距離測定装置で直接測定するのが難しい曲面の測定に有用である。
【0009】
レプリカ媒体と共に、撮像技術を使用するのが周知である。表面の分析に、反射技術およびバックライト技術の両方が使用されている。市販されている金属化レプリカテープは、表面の走査電子顕微鏡による特性評価に有用である。金属化レプリカテープは、例えば、元の表面の反射性が不十分である場合、表面の干渉法による特性評価にも有用である。しかし、これらの技術は、コストは低くなく、可搬式でもない。
【0010】
ほとんどの材料は、特定の波長の放射線に対する吸光度を示す。これは、ランベルト・ベールの法則として周知である。厚みの吸光度に対するマッピングが3D画像を生み出すということは周知である。しかし、周知の表面分析技術は、3D画像の較正厚みマッピングを導き出すことはできない。例えば、米国特許第2003/0222215号明細書には、検査される部分の写真を撮って、その部分のデジタル画像を取得することによって、試料の表面にコーティングされた薄層の厚みを決定する技術が開示されている。薄層の厚み方向の強度プロファイルは、デジタル画像から抽出され、その後、試料の厚み、薄層の厚み方向の曲率半径、および試料の準備時に定められる傾斜角のような試料の特性とは独立した強度プロファイルの特徴に基づいて分析される。しかし、米国特許第2003/0222215号明細書には、原子レベルの薄層の厚み方向の強度プロファイルを確認するために、電子放射線を放出するのにX線機器のような高価な放射線装置を使用することが記載されている。さらに、米国特許第2003/0222215号明細書は、対応する厚み測定値に基づいてプロファイルの現場較正調整を行うための任意の機構を提供するものではない。
【0011】
本開示の例示的な実施形態は、独立した厚み測定手段を使用して特徴的強度プロファイルを較正することによって、複製媒体の厚みプロファイルを導き出す装置および方法を提供する。上記装置は、具体的には、例えば、レプリカテープのような複製媒体の較正厚みプロファイルを導き出すように構成される。
【発明の概要】
【0012】
本開示の例示的な一実施形態は、物質の表面上で型押し、圧縮もしくは成形されたレプリカテープを特性評価する装置を提供する。レプリカテープは、第1の表面と、レプリカテープが型押し、圧縮、もしくは成形される物質表面を複製する反対側の第2の表面とを含む。レプリカテープの第2の表面は、レプリカテープの第1の表面と第2の表面との間で第2の方向に伸びたレプリカテープの厚みにほぼ垂直な第1の方向に沿って伸びる複数の測定点を有する。例示的な装置は、第2の方向に対向する第1の表面と第2の表面とを有する第1の保持部品を含み、第1の保持部品の第1の表面は、レプリカテープの第2の表面を支持する構造である。例示的な装置はさらに、第2の方向に対向する第1の表面と第2の表面とを有する第2の保持部品を含み、第2の保持部品は、レプリカテープの第1の表面に押し付けられて、第1の保持部品の第1の表面と第2の保持部品の第2の表面との間でレプリカテープを固定する構造である。さらに、例示的な装置は、第2の保持部品の第1の表面から第1の距離に配置され、第2の保持部品の第1の表面と第2の表面、レプリカテープの第1の表面と第2の表面、そして第1の保持部品の第1の表面と第2の表面を通って第2の方向に向かって光を透過させる構造である光源を含む。例示的な装置はさらに、第1の保持部品の第2の表面から第2の距離に配置され、レプリカテープの第2の表面の複数の測定点のうちの少なくとも2つの測定点にそれぞれ透過された光強度を測定する構造である画像センサを含む。さらに、例示的な装置は、複数の測定点のうちの少なくとも2つの測定点にそれぞれ透過された光の測定強度を受信して、少なくとも2つの測定点の測定光強度を、それぞれ少なくとも2つの測定点のうちの対応する1つの測定点におけるレプリカテープの測定統計値に関連した少なくとも2つのデータ値に変換する構造である処理ユニットを含む。
【0013】
例示的な一実施形態によれば、画像センサは、少なくとも2つの測定点に透過された光の対応する波長の振幅を測定することによって、少なくとも2つの測定点にそれぞれ透過された光の強度を測定する構造である。
【0014】
例示的な一実施形態によれば、光源は、200〜1500nmの波長を有する光を透過させる構造である。
【0015】
例示的な一実施形態によれば、光源は、赤外光を透過させる構造である。
【0016】
例示的な一実施形態によれば、画像センサは、Bayerフィルタを有するデジタルカメラを含み、光源によって透過された赤外光はデジタルカメラのBayerフィルタを回避する。
【0017】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、第1の保持部品の第2の表面と画像センサとの間に配置される帯域通過フィルタであって、画像センサに赤外光のみを通過させる構造である帯域通過フィルタを含む。
【0018】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、第1の保持部品の第2の表面に配置される渦電流センサと、第2の保持部品の第1の表面と第2の表面との間で第2の保持部品の周囲の少なくとも1つの点に取り付けられる導体素子とを含む。第2の保持部品と第2の保持部品に取り付けられる導体素子は、第2の方向に可動である。渦電流センサは、第1の保持部品の上にある導体素子の高さを測定する構造である。処理ユニットは、導体素子の測定高さに基づいて第2の保持部品の高さを測定して、第2の保持部品の測定高さを第2の保持部品の測定高さに応じた山谷間厚みに変換する構造である。
【0019】
例示的な一実施形態によれば、レプリカテープは、レプリカテープの第1の表面に取り付けられる透明の裏打ち材を含む。第2の保持部品は、透明の裏打ち材に押し付けられて、第1の保持部品の第1の表面と第2の保持部品の第2の表面との間でレプリカテープを固定する構造である。
【0020】
例示的な一実施形態によれば、裏打ち材はポリエステルおよびナイロンのうちの一方から成る。
【0021】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、第1の保持部品の第2の表面に配置される渦電流センサと、第2の保持部品の第1の表面と第2の表面との間で第2の保持部品の周囲の少なくとも1つの点に取り付けられる導体素子とを含む。第2の保持部品と第2の保持部品に取り付けられる導体素子は、第2の方向に可動である。渦電流センサは、第1の保持部品の上にある導体素子の高さを測定する構造である。処理ユニットは、導体素子の測定高さに基づいて第2の保持部品の高さを測定して、透明裏打ち材の厚みから第2の保持部品の測定高さを減算することによって第2の保持部品の測定高さを山谷間厚みに変換する構造である。
【0022】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、第1の保持部品の第2の表面に配置される渦電流センサを含む。第2の保持部品は、導電材料から成り、第2の方向に可動である。渦電流センサは、第1の保持部品の上にある第2の保持部品の高さを測定する構造である。処理ユニットは、透明裏打ち材の厚みから第2の保持部品の測定高さを減算することによって第2の保持部品の測定高さを山谷間厚みに変換する構造である。
【0023】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、第1の保持部品の第2の表面に配置される渦電流センサを含む。第2の保持部品は、導電材料から成り、第2の方向に可動である。渦電流センサは、第1の保持部品の上にある第2の保持部品の高さを測定する構造である。処理ユニットは、第2の保持部品の測定高さを第2の保持部品の測定高さに応じた山谷間厚みに変換する構造である。
【0024】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、第1の所定の力を第2の保持部品の第1の表面に加えることによって、操作者の入力に関係なく、第2の保持部品とレプリカテープとの間の圧力を一定に保つ構造である第1のばねを含む。
【0025】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、第2の保持部品を取り囲む第2のばね、および第2の保持部品を取り囲み、第2のばねを収容して第2のばねを第2の保持部品の第1の表面と第2の表面との間に嵌め込む構造である内側溝と外側テーパ面とを有する第1のリングとを含む。さらに、上記装置は、第2の保持部品の両側にそれぞれ配置され、第1のリングの外側テーパ面の輪郭と合致する内側テーパ面をそれぞれ含む1組のボタンを含む。1組のボタンは、押圧されて第1のリングと係合し、第1のリングを第1の保持部品に向かって押し付けることにより、第1のばねのみで第2の保持部品を定位置で保持し、また第1の所定の力より大きい第2の所定の力を第1のばねに加えて第1のばねを収縮させて第1の保持部品から引き離すことによって、第1のばねから第2の保持部品とレプリカテープとの間の圧力を解放する構造である。
【0026】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、第2の保持部品の第1の表面と第2の表面との間で第2の保持部品の周囲に沿って少なくとも1つの点に取り付けられる第2のリングを含む。第2のばねは、第2のリングの上で第2の方向に配置される。
【0027】
例示的な一実施形態によれば、処理ユニットは、受信した少なくとも2つの測定点における測定光強度をメモリユニットに記録して、記録した測定光強度を、測定光強度の対応値に関連付けてルックアップテーブルに記録されている厚み値と置換することによって、少なくとも2つの測定点における測定光強度を変換する構造である。
【0028】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、操作者の入力を受信して、ルックアップテーブル内に記録されている厚み値を更新する構造であるオペレータインターフェース処理ユニットを含む。
【0029】
例示的な一実施形態によれば、オペレータインターフェース処理ユニットは、レプリカテープの応答関数の線形化に基づいて、厚み値の更新を受信する構造である。
【0030】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、(i)少なくとも2つの測定点における測定光強度に対応する厚み値の2次元レンダリング、および(ii)少なくとも2つの測定点における測定光強度に対応する厚み値に基づいたレプリカテープの3次元表面の2次元レンダリングのうちの少なくとも一方を表示する構造である表示ユニットを含む。
【0031】
例示的な一実施形態によれば、処理ユニットは、レプリカテープの試料間のばらつきを補正するために、レプリカテープの最大厚みを有する部分が画像の最も暗い領域と関連付けられた画像を生成する構造である。
【0032】
例示的な一実施形態によれば、ルックアップテーブルは、圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの対応する測定光強度に関連した圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの測定厚み値を使用して較正された後に記憶されている対応測定光強度に関連したレプリカテープの測定厚み値に基づいて作成される。
【0033】
例示的な一実施形態によれば、ルックアップテーブルは、(i)測定値のばらつき、(ii)装置の機械部品の変化、および(iii)装置内のデブリ蓄積のうちの少なくとも1つを構成するために、レプリカテープの測定点の測定光強度に関連付けずに記録されている測定厚み値に基づいて作成される。
【0034】
例示的な一実施形態によれば、処理ユニットは、受信した少なくとも2つの測定点における測定光強度をメモリユニットに記録して、記録した測定光強度にアルゴリズムを適用して少なくとも2つの測定点における測定光強度の対応厚み値を求めることによって、少なくとも2つの測定点における測定光強度を変換する構造である。
【0035】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、操作者の入力を受信して、ルックアップテーブル内に記録されている厚み値を更新する構造であるオペレータインターフェース処理ユニットを含む。
【0036】
例示的な一実施形態によれば、オペレータインターフェース処理ユニットは、レプリカテープの応答関数の線形化に基づいて、厚み値の更新を受信する構造である。
【0037】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、(i)少なくとも2つの測定点における測定光強度に対応する厚み値の2次元レンダリング、および(ii)少なくとも2つの測定点における測定光強度に対応する厚み値に基づいたレプリカテープの3次元表面の2次元レンダリングのうちの少なくとも一方を表示する構造である表示ユニットを含む。
【0038】
例示的な一実施形態によれば、処理ユニットは、レプリカテープの試料間のばらつきを補正するために、レプリカテープの最大厚みを有する部分が画像の最も暗い領域と関連付けられた画像を生成する構造である。
【0039】
例示的な一実施形態によれば、アルゴリズムは、圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの対応する測定光強度に関連した圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの測定厚み値を使用して較正された後に記憶されている対応測定光強度に関連したレプリカテープの測定厚み値に基づいて作成される。
【0040】
例示的な一実施形態によれば、アルゴリズムは、(i)測定値のばらつき、(ii)装置の機械部品の変化、および(iii)装置内のデブリ蓄積のうちの少なくとも1つを構成するために、レプリカテープの測定点の測定光強度に関連付けずに記録されている測定厚み値に基づいて作成される。
【0041】
例示的な一実施形態によれば、処理ユニットは、レプリカテープの異なる等級を区別するためにレプリカテープ内の少なくとも1つのマークを判断して、レプリカテープの特定の等級に基づいて、少なくとも2つの測定点における測定光強度に関連した対応厚み値を調整する構造である。
【0042】
例示的な一実施形態によれば、第1の保持部品は透明窓を含み、第2の保持部品は半透明アンビルを含む。
【0043】
例示的な一実施形態によれば、第1の保持部品および第2の保持部品はそれぞれ、第1の保持部品と第2の保持部品との間でレプリカテープを支持するための支持構造体と、光源からの光を透過させることができるように対応する支持構造体内に配置される窓および穴のうちの一方とで構成される。
【0044】
本開示の例示的な一実施形態は、レプリカテープを特性評価する方法を提供する。例示的な方法は、測定される物質の表面上でレプリカテープを型押し、圧縮、もしくは成形するステップを含み、型押し、圧縮、もしくは成形されるレプリカテープは、物質の表面を複製する圧縮性表面を有する。例示的な方法はさらに、レプリカテープの圧縮性表面が第1の保持部品に接触して固定されるように第1の保持部品と第2の保持部品との間でレプリカテープを固定するステップを含む。また、例示的な方法は、第2の保持部品、レプリカテープ、および第1の保持部品に光を透過させるステップと、画像センサにおいて、レプリカテープの圧縮性表面の少なくとも2つの測定点にそれぞれ透過された光の強度を測定するステップとを含む。例示的な方法はさらに、処理ユニットにおいて、少なくとも2つの測定点に透過された測定光強度を、それぞれ少なくとも2つの測定点のうちの対応する1つの測定点におけるレプリカテープの測定統計値に関連した少なくとも2つのデータ値に変換するステップを含む。
例示的な一実施形態によれば、上記方法は、変換データ値の2次元表現を生成して表示するステップを含む。生成および表示された変換データ値の2次元表現は、(i)少なくとも2つの測定点における測定光強度に対応するレプリカテープの厚み値の2次元レンダリング、および(ii)少なくとも2つの測定点における測定光強度に対応する厚み値に基づいたレプリカテープの3次元表面の2次元レンダリングのうちの少なくとも一方を含む。
【0045】
上記方法の例示的な一実施形態によれば、変換データ値の2次元表現を生成して表示するステップは、レプリカテープの試料間のばらつきを補正するために、レプリカテープの最大厚みを有する部分が画像の最も暗い領域と関連付けられた画像を生成するステップを含む。
【0046】
上記方法の例示的な一実施形態によれば、導体素子は、第2の保持部品の対向する表面間で第2の保持部品の周囲の少なくとも1つの点に取り付けられる。第2の保持部品と第2の保持部品に取り付けられる導体素子は、レプリカテープの厚み方向に可動である。例示的な方法はさらに、第1の保持部品の上にある導体素子の高さを測定するステップと、導体素子の測定高さに基づいて第2の保持部品の高さを測定するステップと、第2の保持部品の測定高さを第2の保持部品の測定高さに応じた山谷間厚みに変換するステップとを含む。
【0047】
上記方法の例示的な実施形態によれば、レプリカテープは、レプリカテープの第1の表面に取り付けられる透明の裏打ち材を含む。第2の保持部品は、透明裏打ち材に押し付けられることで第1の保持部品と第2の保持部品との間でレプリカテープを固定することができる。導体素子は、第2の保持部品の対向する表面間で第2の保持部品の周囲の少なくとも1つの点に取り付けられる。第2の保持部品と第2の保持部品に取り付けられる導体素子は、レプリカテープの厚み方向に可動である。例示的な方法は、第1の保持部品の上にある導体素子の高さを測定するステップと、導体素子の測定高さに基づいて第2の保持部品の高さを測定するステップと、透明裏打ち材の厚みから第2の保持部品の測定高さを減算することによって第2の保持部品の測定高さを山谷間厚みに変換するステップとを含むことができる。
【0048】
上記方法の例示的な一実施形態によれば、測定光強度を変換するステップは、受信した少なくとも2つの測定点における測定光強度をメモリユニットに記録するステップと、記録した測定光強度を、測定光強度の対応値に関連付けてルックアップテーブルに記録されている厚み値と置換することによって、少なくとも2つの測定点における測定光強度を変換するステップとを含む。
【0049】
上記方法の例示的な一実施形態によれば、ルックアップテーブルは、圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの対応する測定光強度に関連した圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの測定厚み値を使用して較正された後に記憶されている対応測定光強度に関連したレプリカテープの測定厚み値に基づいて作成される。
【0050】
例示的な一実施形態によれば、測定光強度を変換するステップは、受信した少なくとも2つの測定点における測定光強度をメモリユニットに記録するステップと、記録した測定光強度にアルゴリズムを適用して少なくとも2つの測定点における測定光強度の対応厚み値を求めることによって、少なくとも2つの測定点における測定光強度を変換するステップとを含む。
【0051】
例示的な一実施形態によれば、アルゴリズムは、圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの対応する測定光強度に関連した圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの測定厚み値を使用して較正された後に記憶されている対応測定光強度に関連したレプリカテープの測定厚み値に基づいて作成される。
【0052】
本開示の例示的な一実施形態は、物質の表面上で型押し、圧縮もしくは成形されたレプリカテープを特性評価する装置を提供する。レプリカテープは、第1の表面と、レプリカテープが型押し、圧縮、もしくは成形される物質表面を複製する反対側の第2の表面とを含む。レプリカテープの第2の表面は、レプリカテープの第1の表面と第2の表面との間で第2の方向に伸びるレプリカテープの厚みにほぼ垂直な第1の方向に沿って伸びる複数の測定点を有する。例示的な装置は、カメラおよび処理ユニットを含む移動式処理装置を含む。さらに、例示的な装置は、第2の方向に対向する第1の表面と第2の表面とを有する保持部品を含む。保持部品の第1の表面は、移動式処理装置のカメラに接近して配置される構造であり、第2の保持部品の第2の表面は、レプリカテープの第1の表面を保持部品に固定する構造である。移動式処理装置のカメラは、レプリカテープの第2の表面の複数の測定点のうちの少なくとも2つの測定点を通って第2の方向に透過された光の強度を測定する構造である。移動式処理装置の処理ユニットは、複数の測定点のうちの少なくとも2つの測定点に透過された光の測定強度を受信して、少なくとも2つの測定点の測定光強度を、それぞれ少なくとも2つの測定点のうちの対応する1つの測定点におけるレプリカテープの測定統計値に関連した少なくとも2つのデータ値に変換する構造である。
例示的な装置の一実施形態によれば、光は周辺光および外部光源のうちの少なくとも一方からレプリカテープの第2の表面に透過される。
【0053】
上記装置の例示的な一実施形態によれば、処理ユニットは、レプリカテープの測定厚みに基づいて、少なくとも2つの測定点における山谷間厚みを決定する構造である。
【0054】
上記装置の例示的な一実施形態によれば、処理ユニットは、受信した少なくとも2つの測定点における測定光強度をメモリユニットに記録して、記録した測定光強度を、測定光強度の対応値に関連付けてルックアップテーブルに記録されている厚み値と置換することによって、少なくとも2つの測定点における測定光強度を変換する構造である。
【0055】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、操作者の入力を受信して、ルックアップテーブル内に記録されている厚み値を更新する構造である入力ユニットを含む。
【0056】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、(i)少なくとも2つの測定点における測定光強度に対応する厚み値の2次元レンダリング、および(ii)少なくとも2つの測定点における測定光強度に対応する厚み値に基づいたレプリカテープの3次元表面の2次元レンダリングのうちの少なくとも一方を表示する構造である表示ユニットを含む。
【0057】
例示的な一実施形態によれば、処理ユニットは、レプリカテープの試料間のばらつきを補正するために、レプリカテープの最大厚みを有する部分が画像の最も暗い領域と関連付けられた画像を生成する構造である。
【0058】
上記装置の例示的な一実施形態によれば、ルックアップテーブルは、圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの対応する測定光強度に関連した圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの測定厚み値を使用して較正された後に記憶されている対応測定光強度に関連したレプリカテープの測定厚み値に基づいて作成される。
【0059】
上記装置の例示的な一実施形態によれば、ルックアップテーブルは、(i)測定値のばらつき、(ii)装置の機械部品の変化、および(iii)装置内のデブリ蓄積のうちの少なくとも1つを構成するために、レプリカテープの測定点の測定光強度に関連付けずに記録されている測定厚み値に基づいて作成される。
【0060】
上記装置の例示的な一実施形態によれば、処理ユニットは、受信した少なくとも2つの測定点における測定光強度をメモリユニットに記録して、記録した測定光強度にアルゴリズムを適用して少なくとも2つの測定点における測定光強度の対応厚み値を求めることによって、少なくとも2つの測定点における測定光強度を変換する構造である。
【0061】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、操作者の入力を受信して、ルックアップテーブル内に記録されている厚み値を更新する構造である入力ユニットを含む。
【0062】
例示的な一実施形態によれば、上記装置は、(i)少なくとも2つの測定点における測定光強度に対応する厚み値の2次元レンダリング、および(ii)少なくとも2つの測定点における測定光強度に対応する厚み値に基づいたレプリカテープの3次元表面の2次元レンダリングのうちの少なくとも一方を表示する構造である表示ユニットを含む。
【0063】
上記装置の例示的な一実施形態によれば、処理ユニットは、レプリカテープの試料間のばらつきを補正するために、レプリカテープの最大厚みを有する部分が画像の最も暗い領域と関連付けられた画像を生成する構造である。
【0064】
上記装置の例示的な一実施形態によれば、アルゴリズムは、圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの対応する測定光強度に関連した圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの測定厚み値を使用して較正された後に記憶されている対応測定光強度に関連したレプリカテープの測定厚み値に基づいて作成される。
【0065】
上記装置の例示的な一実施形態によれば、アルゴリズムは、(i)測定値のばらつき、(ii)装置の機械部品の変化、および(iii)装置内のデブリ蓄積のうちの少なくとも1つを構成するために、レプリカテープの測定点の測定光強度に関連付けずに記録されている測定厚み値に基づいて作成される。
【0066】
上記装置の例示的な一実施形態によれば、処理ユニットは、レプリカテープの異なるブランドもしくは等級を区別するためにレプリカテープ内の少なくとも1つのマークを判断して、レプリカテープの特定のブランドもしくは等級に基づいて、少なくとも2つの測定点における測定光強度に関連した対応厚み値を調整する構造である。
【0067】
上記装置の例示的な一実施形態によれば、保持部品は、レプリカテープに透過された光をカメラで受光できるように保持部品の第1の表面と第2の表面との間に配置される貫通穴を含む。
【0068】
上記装置の例示的な一実施形態によれば、保持部品は、カメラとレプリカテープとの間に配置される保持部品の第1の表面と第2の表面との間が半透明である。
【0069】
上記装置の例示的な一実施形態によれば、保持部品は、レプリカテープの第1の表面を保持部品の第2の表面に固定する構造である固定機構を含む。
【0070】
本開示の例示的な一実施形態は、レプリカテープを特性評価する方法を提供する。例示的な方法は、測定される物質の表面上でレプリカテープを型押し、圧縮、もしくは成形するステップを含む。型押し、圧縮、もしくは成形されるレプリカテープは、第1の表面と、物質の表面を複製するように圧縮性を有する反対側の第2の表面とを有し、第2の表面は複数の測定点を有する。例示的な方法はさらに、第1の表面と反対側の第2の表面とを有する保持部品に、レプリカテープの第1の表面が保持部品の第2の表面に固定されるようにレプリカテープを固定して、レプリカテープの第2の表面に光を当てるステップを含む。さらに、例示的な方法は、移動式処理装置のカメラに接近して保持部品の第1の表面を配置するステップを含む。例示的な方法はさらに、移動式処理装置のカメラで、レプリカテープの第2の表面の測定点のうちの少なくとも2つの測定点にそれぞれ透過された光の強度を測定するステップを含む。さらに、例示的な方法は、移動式処理装置の処理ユニットにおいて、少なくとも2つの測定点に透過された光の測定強度を、それぞれ少なくとも2つの測定点のうちの対応する1つの測定点におけるレプリカテープの測定統計値に関連した少なくとも2つのデータ値に変換するステップを含む。
【0071】
上記方法の例示的な一実施形態によれば、光は周辺光および外部光源のうちの少なくとも一方からレプリカテープの第2の表面に透過される。
【0072】
例示的な一実施形態によれば、上記方法は、物質の表面上でレプリカテープを型押し、圧縮、もしくは成形するステップの前に、レプリカテープの厚みを測定するステップを含む。
【0073】
例示的な一実施形態によれば、上記方法は、移動式処理装置の処理ユニットにおいて、レプリカテープの測定厚みに基づいて、少なくとも2つの測定点における山谷間厚みを決定するステップを含む。
【0074】
例示的な一実施形態によれば、上記方法は、変換データ値の2次元表現を生成して表示するステップを含む。生成および表示された変換データ値の2次元表現は、(i)少なくとも2つの測定点における測定光強度に対応するレプリカテープの厚み値の2次元レンダリング、および(ii)少なくとも2つの測定点における測定光強度に対応する厚み値に基づいたレプリカテープの3次元表面の2次元レンダリングのうちの少なくとも一方を含む。
【0075】
上記方法の例示的な一実施形態によれば、変換データ値の2次元表現を生成して表示するステップは、レプリカテープの試料間のばらつきを補正するために、レプリカテープの最大厚みを有する部分が画像の最も暗い領域と関連付けられた画像を生成するステップを含む。
【0076】
上記方法の例示的な一実施形態によれば、測定光強度を変換するステップは、受信した少なくとも2つの測定点における測定光強度をメモリユニットに記録するステップと、記録した測定光強度を、測定光強度の対応値に関連付けてルックアップテーブルに記録されている厚み値と置換することによって、少なくとも2つの測定点における測定光強度を変換するステップとを含む。
【0077】
上記方法の例示的な一実施形態によれば、ルックアップテーブルは、圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの対応する測定光強度に関連した圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの測定厚み値を使用して較正された後に記憶されている対応測定光強度に関連したレプリカテープの測定厚み値に基づいて作成される。
【0078】
上記方法の例示的な一実施形態によれば、測定光強度を変換するステップは、受信した少なくとも2つの測定点における測定光強度をメモリユニットに記録するステップと、記録した測定光強度にアルゴリズムを適用して少なくとも2つの測定点における測定光強度の対応厚み値を求めることによって、少なくとも2つの測定点における測定光強度を変換するステップとを含む。
【0079】
上記方法の例示的な一実施形態によれば、アルゴリズムは、圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの対応する測定光強度に関連した圧縮されていない、型押しされていない、もしくは成形されていないレプリカテープの測定厚み値を使用して較正された後に記憶されている対応測定光強度に関連したレプリカテープの測定厚み値に基づいて作成される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
本開示のさらなる改良点、利点、および特徴について、図面に示されている例示的な実施形態を参照しながらより詳細に後述する。
【0081】
図1】本開示の例示的な一実施形態のレプリカテープを特性評価するための装置の部品を示した分解ブロック図である。
【0082】
図2】本開示の例示的な一実施形態のレプリカテープのさまざまな測定点に透過される光を示した説明図である。
【0083】
図3】本開示の例示的な一実施形態のレプリカテープを特性評価するための装置の部品を示したブロック図である。
【0084】
図4】本開示の例示的な一実施形態のレプリカテープを特性評価するための装置の部品を示したブロック図である。
【0085】
図5】本開示の例示的な一実施形態のレプリカテープを特性評価するための装置の部品を示したブロック図である。
【0086】
図6】本開示の例示的な一実施形態のレプリカテープを特性評価するための装置の部品を示したブロック図である。
【0087】
図7】本開示の例示的な一実施形態の組立装置を示した図である。
【0088】
図8】本開示の例示的な一実施形態に従った、レプリカテープが装置内に設置されていない場合の画像センサによって測定された光の強度を示したグラフィック表現である。
【0089】
図9】本開示の例示的な一実施形態に従った、型押しされていない、もしくは圧縮されていないレプリカテープに透過された光の強度を示したグラフィック表現である。
【0090】
図10】本開示の例示的な一実施形態に従った、測定される物質の表面上で型押しもしくは圧縮されたレプリカテープで測定された時の光強度対厚みを示したグラフ表示である。
【0091】
図11】本開示の例示的な一実施形態に従った、スケーリング後の変更された光強度対厚み特性を示したグラフ表示である。
【0092】
図12】本開示の例示的な一実施形態に従った、延長線形化範囲と比較したレプリカテープの観察応答関数を示したグラフ表示である。
【0093】
図13】本開示の例示的な一実施形態のレプリカテープを特性評価するための方法のステップを示したフローチャートである。
【0094】
図14】本開示の例示的な一実施形態のレプリカテープを特性評価するための装置の部品を示した分解ブロック図である。
【0095】
図15】レプリカテープが図14に示されている例示的な装置のカメラに接近して配置された保持部品に固定されている様子を示したブロック図である。
【0096】
図16】本開示の例示的な一実施形態のレプリカテープを特性評価するための方法のステップを示したフローチャートである。
【0097】
図面において、同一もしくは同様の機能部品は、特記しない限り、同じ参照番号で示されている。図面に示されている部品は、正確な縮尺で表示されておらず、該部品を説明するための分解斜視図であることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0098】
本開示の例示的な実施形態は、物質表面を複製するレプリカテープを特性評価するための単純で、低コストで、移動式の装置、さらに物質表面を複製するレプリカテープを特性評価する方法を提供することによって、上述の欠点を解消する。本開示の例示的な実施形態は、光をレプリカテープに透過させて表面の特性さらには山谷間測定値を決定することによって、レプリカテープが型押し、もしくは圧縮される物質表面を特性評価する装置および方法を提供する。例示的な一実施形態によれば、上記装置および方法はさらに、特性評価された表面の統計値および/または表面の表現を示した1つまたは複数の画像を生成して、該画像を表示することができる。
【0099】
本開示の例示的な実施形態の以下の説明において、レプリカテープは、製造業者の説明書に記載されているように、物質表面を複製するために、型押し、圧縮、もしくは成形される。レプリカテープは、レプリカテープが型押し、圧縮、もしくは成形される物質の元の表面の鏡像となる。以降の説明において、用語「レプリカテープ」は、物質表面を複製するために該表面上で型押し、圧縮、もしくは成形された媒体もしくはフィルムを指す。強度対厚み特性関数を有する任意の媒体もしくはフィルムを本明細書に記載されている本開示の特徴と共に使用することができ、該媒体もしくはフィルムを本明細書で使用されている「レプリカテープ」の定義の範囲に含むものとする。例えば、顔料が埋め込まれたメタクリル樹脂成形レプリカを使用することができる。例示的な実施形態の以下の説明において、レプリカテープは、ポリエステル裏打ち材2と、圧縮性発泡体1の表面とを含むものとして示されている(例えば、図1参照)。これは、本開示で使用できるレプリカテープの一例であり、本開示はこれに限定されない。例えば、レプリカテープは、ポリエステル以外の材料(例えば、ナイロン)製の裏打ち材で作成されてもよく、圧縮性表面は、発泡体以外の材料で構成されてもよく、該材料は剛性材料としてもよい。あるいは、レプリカテープは、裏打ち材がなく、圧縮性表面のみを有するようにしてもよい。簡潔のため、以降の用語「レプリカテープ」は、特記しない限り、物質表面を複製するために物質表面上で型押し、圧縮、もしくは成形されたレプリカテープを指すものとする。
【0100】
図1は、本開示の例示的な一実施形態のレプリカテープを特性評価するための装置100の部品を示した分解ブロック図である。例示的な一実施形態によれば、レプリカテープのポリエステル裏打ち材2は透明であり、圧縮性表面1(例えば、発泡体)は半透明である。図1の例では、レプリカテープのポリエステル裏打ち材2はレプリカテープの片面に示されており、圧縮性表面1はレプリカテープの反対側の面に示されている。レプリカテープの圧縮性表面1は、対向する第1の表面と第2の表面とを有する。図1の例では、レプリカテープの圧縮性表面1の第1の表面は、ポリエステル裏打ち材2に取り付けられ、レプリカテープの圧縮性表面1の第2の表面は、物質表面を複製するために物質の表面上で型押し、圧縮、もしくは成形される面である。圧縮性表面1は、図1では、物質表面を複製するために物質の表面上で型押し、圧縮、もしくは成形された面として示されている。レプリカテープのポリエステル裏打ち材2は、粘着紙担体3に取り付けられてもよい。レプリカテープが物質の表面上で型押し、圧縮、もしくは成形されると、レプリカテープの圧縮性表面1は、第2の方向(例えば、図1の例では、垂直方向)に伸びるレプリカテープの厚みにほぼ垂直な第1の方向(例えば、図1の例では、水平方向)に沿って伸びる複数の測定点を有する。
【0101】
例示的な一実施形態によれば、装置100は、第2の方向に対向する第1の表面と第2の表面とを有する第1の保持部品4を含む。図1の例では、第1の保持部品4の第1の表面は上部表面であり、第1の保持部品4の第2の表面は下部表面である。第1の保持部品4の第1の表面は、レプリカテープの圧縮性表面1を支持する構造である。
【0102】
さらに、例示的な装置100は、第2の方向に対向する第1の表面と第2の表面とを有する第2の保持部品5を含む。図1の例では、第2の保持部品5の第1の表面は上部表面であり、第2の保持部品5の第2の表面は下部表面である。第2の保持部品5は、レプリカテープのポリエステル裏打ち材2に押し付けられて、第1の保持部品4の第1の表面と第2の保持部品5の第2の表面との間でレプリカテープを固定する構造である。例示的な一実施形態によれば、第2の保持部品5は、レプリカテープと接触してレプリカテープを第1の保持部品4に当てて保持するために第2の方向に可動である。したがって、レプリカテープは、第2の保持部品5がレプリカテープのポリエステル裏打ち材2に押し付けられると、第1の保持部品4と第2の保持部品5との間で保持される。
【0103】
第1の保持部品および第2の保持部品は、レプリカテープを第1の保持部品と第2の保持部品との間で固定する機能および本明細書に示されている他の動作機能を果たす任意のタイプの構造部品とすることができる。例示的な一実施形態によれば、第1の保持部品4は透明窓であり、第2の保持部品5は半透明アンビルとすることができる。この例示的な実施形態によれば、透明窓および半透明アンビルは、ガラス、石英、ポリカーボネート、もしくは他のタイプの透明および/または半透明材料で製造されてもよい。半透明アンビルは、ディフューザとしての機能を果たすことができる。別の例として、第1の保持部品および第2の保持部品はそれぞれ、光を透過させることができるように内部に配置される窓もしくは穴が予め形成された支持構造体とすることができる。例えば、第1の保持部品および第2の保持部品は、レプリカテープを第1の保持部品と第2の保持部品との間で固定するために長方形、円形、もしは半円形の構造体の形状にして、さらに該構造体の所定の部分(例えば、中央部分)に光を透過させることができるようにしてもよい。別の例として、第1の保持部品および第2の保持部品は、それぞれ光を反射する1つの反射面と光を透過させることができる別の表面とを有する対向鏡としてもよい。本開示は、上述の例示的な構造体の第1の保持部品4および第2の保持部品5に限定されないことは理解されたい。
【0104】
上述したように、レプリカテープはポリエステル裏打ち材を含まなくてもよい。この場合、第2の保持部品5は、レプリカテープの第1の(圧縮されない)表面に押し付けられて、第1の保持部品4の第1の表面と第2の保持部品5の第2の表面との間でレプリカテープを固定する。
【0105】
例示的な装置100はさらに、第2の保持部品5の第1の表面から第1の距離に配置される光源6を含む。光源6は、第2の保持部品5の第1の表面と第2の表面、レプリカテープのポリエステル裏打ち材2と圧縮性表面1、および第1の保持部品4の第1の表面と第2の表面を通って第2の方向に光を透過させる構造である。光源6は、レプリカテープの圧縮性表面1上の複数の異なる測定点が照射されるように、圧縮性表面1上の複数の異なる測定点に光を同時に透過させる構造である。第2の保持部品5の第1の表面と光源6との間の第1の離間距離は、調節可能であり、装置に使用される部品の光学的性質、例えば、光源6から放射される光の波長および光源6によって照射されるレプリカテープの所望の領域によって決まる。図1に示されている例示的な実施形態では、光源6は、光源6がレプリカテープの上に配置されることで、光をポリエステル裏打ち材2に透過させ、その後、レプリカテープの圧縮性表面1に透過させる光源として示されている。しかし、光源6は、例えば、光がレプリカテープのポリエステル裏打ち材2に透過される前に圧縮性表面1に透過されるように、レプリカテープの下に所定の角度で配置されてもよい。この形態では、第2の保持部品5の第2の表面は、ポリエステル裏打ち材2に透過された光をレプリカテープの圧縮性表面1に向かって反射させるために鏡面で構成されてもよい。
【0106】
例示的な一実施形態によれば、光源6によって透過される光は、200〜1500nmの波長の光としてもよい。すなわち、光源6は、紫外線波長(200〜400nm)から可視波長(400〜600nm)および/または近赤外波長(600〜1500nm)の光を透過させることができる。図1の例示的な装置100は、波長850nmの低出力赤外(IR)発光ダイオード(LED)を含む光源6を使用するように構成されてもよい。このような赤外LED(IR LED)は、市販されており、安価である。レプリカテープの厚みもしくは材料特性に応じて、2つ以上の波長の光を透過させてもよい。
【0107】
例示的な装置100はさらに、第1の保持部品4の第2の表面から第2の距離に配置される画像センサ7を含む。画像センサ7は、(i)第2の保持部品5、(ii)レプリカテープの圧縮性表面1上の複数の測定点のうちの少なくとも2つの測定点、および(iii)第1の保持部品4のそれぞれに透過された光の強度を測定する構造である。例示的な一実施形態によれば、画像センサ7は、それぞれ複数の測定点のうちの少なくとも2つの測定点に透過された光の対応する波長もしくは波長範囲の振幅を測定することによって、少なくとも2つの測定点に透過された光の強度を測定する構造である。例示的な一実施形態によれば、画像センサ7はデジタルカメラとすることができる。しかし、画像センサ7は、上記に示した波長範囲の光の強度を測定することができる任意のタイプの光学素子としてもよいことは理解されたい。第1の保持部品4の第2の表面と画像センサ7との間の第2の離間距離は、調節可能であり、装置に使用される部品の光学的性質、例えば、光源6から放射される光の波長、光源6によって照射されるレプリカテープの所望の領域、および/または画像センサ7の所望の焦点によって決まる。
【0108】
図2は、レプリカテープの圧縮性表面1上の複数の測定点に透過される光を示した分解斜視図である。説明を明確にするために、第1の保持部品4、第2の保持部品5、光源6、および画像センサ7は図2から省略されている。破線は、レプリカテープに透過される光を示しておる。拡大された円は、光が透過されるレプリカテープの圧縮性表面1上の異なる測定点を示している。レプリカテープの圧縮性表面1が位置決めされた第1の保持部品4の下に配置される画像センサ7は、レプリカテープの圧縮性表面1上の複数の測定点にそれぞれ透過された光の強度を測定する構造である。図2の説明図には、9個の測定点が示されている。したがって、画像センサ7は、9個の異なる測定点のそれぞれ対応する1つの測定点に透過された対応する光の強度を測定する構造となる。
【0109】
例示的な装置100はさらに、複数の測定点のうちの1つまたは複数の測定点に透過された光の測定強度を受信し、受信した特定の測定点における光強度を記録して、複数の測定点のうちの1つまたは複数の測定点における測定光強度を該測定点の対応するデータ値に変換する構造である処理ユニット8を含む。それぞれの対応する測定点の変換データは、該測定点におけるレプリカテープの測定統計値それぞれに関連する。したがって、2つの測定点が対象となる場合、処理ユニット8は、これら2つの測定点における測定光強度を、それぞれこれら2つの測定点のうちの対応する1つの測定点における測定統計値に関連した少なくとも2つのデータ値に変換する構造にすることができる。測定光強度を種々のタイプの測定統計値に変換する処理ユニット8の機能について、さらに詳細に説明する。
【0110】
図1の例では、処理ユニット8は、光源6の上にあるユニットとして示されている。本開示は、この形態に限定されない。図1は、例示的な装置100のさまざまな部品を示した分解斜視図である。処理ユニット8は、完成した装置内の任意の可能な位置に配置されてもよい。
【0111】
レプリカテープへの光透過は、レプリカテープの任意の特定の位置における厚みに関連している。したがって、図1の例示的な装置100は、レプリカテープが型押し、圧縮、もしくは成形された物質の表面を特性評価して、元の表面の統計値を提供する。例示的な装置100はさらに、物質の元の表面を示した画像および/または物質の元の表面に関する統計値を生成して表示する追加の機能を実行することができる。さらに、レプリカテープの厚みを表す変位測定値を使用して、山谷間高さを表す、および/または周知の厚み対強度プロファイルに対して表面の光学的表現を補正することができる。上述の追加の処理機能について、さらに詳細に後述する。
【0112】
例示的な一実施形態によれば、安価なカラーデジタル撮像装置を利用するのに赤外光が使用される。周知のデジタルカメラは、入射光がCMOS(相補型金属酸化膜半導体)カメラもしくはCCD(電荷結合素子)の光センサアレイに達する前に、全ての入射光をフィルタ(例えば、Bayerフィルタ)に通過させる。フィルタは、赤色波長、青色波長、もしくは緑色波長のいずれかに対応する光を交互に通過させてカメラのさまざまな光センサに到達させる。フィルタの赤色フィルタ部、青色フィルタ部、もしくは緑色フィルタ部の配置がわかっていれば、カメラのそれぞれのセンサの光強度値と相互参照することにより、入射光の色と強度を再構成することができる。フィルタは、CMOSカメラを使用してカラー画像を再現することができるが、少なくとも3つのセンサを利用して、透過光のそれぞれの部分の赤色成分、緑色成分、および青色成分を測定して、CMOSカメラ解像度を効果的に(例えば、少なくとも3分の1だけ)下げることができる。
【0113】
本開示では、レプリカテープに透過された光の強度のみが重要であるので、透過光をその成分色にフィルタリングする必要はない。したがって、CMOSカメラのそれぞれのセンサを使用して入射光の強度を測定することができるように、フィルタを回避もしくは省略することができる。このことにより、低コストのデジタル撮像装置を利用できるようになる。赤外波長に対応する光は、影響を受けずにフィルタを通過することがわかっている。したがって、本開示の例示的な実施形態は、このような赤外波長を利用して、レプリカテープの測定点を特性評価することができる。赤外波長範囲外の外部光源がフィルタを通過してCMOSカメラの光センサに予想外の影響を与えるのを防ぐために、図3の例示的な実施形態に示されているように、赤外光のみがCMOSカメラに入射するようにCMOSカメラの前方に帯域通過フィルタ14を配置することができる。したがって、画像センサ7を利用して、レプリカテープの複数の測定点における光の透過を、例えば、X−Y配列で読み取ることができる。帯域通過フィルタ14は透過された光を通過させて1つまたは複数の焦点に到達させる働きをするので、第1の保持部品4の第2の表面と画像センサ7との間の第2の離間距離は、帯域通過フィルタ14を配置することによって影響を受けると言える。
【0114】
図3は、レプリカテープを使用して物質表面を特性評価する本開示の例示的な一実施形態を示した図である。第2の保持部品5は、レプリカテープと接触して、レプリカテープを第1の保持部品4にぴったり押し付けて保持するために、第2の方向(例えば、図3の例では、垂直方向)に可動である。上述したように、第1の保持部品4および第2の保持部品5は、例えば、ガラス、石英、ポリカーボネート、もしくは他の材料で製造されてもよい。例示的な装置はさらに、第1の保持部品4の上にある第2の保持部品5の高さを測定する手段を含む。上記手段は、例えば、第1の保持部品4の上にある第2の保持部品5の高さを測定するために、第1の保持部品4の下に配置される渦電流センサ9を含むことができるが、これに限定されない。渦電流センサ9は、第1の保持部品4の上にある導体素子15の高さを測定するように調整される。例示的な一実施形態によれば、導体素子15は、第2の保持部品5の第1の表面と第2の表面との間で第2の保持部品5の周囲の少なくとも1つの点に、固定して、もしくは取り外し可能に取り付けられる。第2の保持部品5および第2の保持部品5に取り付けられる導体素子15は、第2の方向に可動である。渦電流センサ9は、第1の保持部品4の上にある導体素子15の高さを測定する構造である。処理ユニット8は、導体素子15の測定高さに基づいて第2の保持部品5の高さを測定して、第2の保持部品5の測定高さを第2の保持部品5の測定高さに応じた山谷間厚みに変換する構造である。
【0115】
図3に図示されている例では、第2の保持部品5の周囲の少なくとも1つの点に取り付けられる上述の導体素子12の一例として、金属リングが示されている。図3では、金属リング5は、第2の保持部品5の第1の端部と第2の端部との間で第2の保持部品5の周囲に取り付けられる。リング15は、第2の保持部品5に取り付けられるので、第2の保持部品5と共に移動する。レプリカテープがポリエステル裏打ち材2を含まない場合、処理ユニット8は、金属リング15の測定高さに基づいて第2の保持部品5の高さを測定して、第2の保持部品5の測定高さを第2の保持部品5の測定高さに応じた山谷間厚みに変換する構造にすることができる。レプリカテープがポリエステル裏打ち材2を含む場合、第2の保持部品5の高さは、処理ユニット8が金属リング15の測定高さに基づいた第2の保持部品5の測定高さからレプリカテープのポリエステル裏打ち材2の厚みを減算することによって山谷間厚みに変換される。したがって、レプリカテープが物質の表面上で型押し、圧縮、もしくは成形される前にレプリカテープのポリエステル裏打ち材2の厚みがわかっている、もしくは測定されている場合、第2の保持部品5の高さは、レプリカテープが物質の表面上で型押し、圧縮、もしくは成形された後のレプリカテープの圧縮性表面1の山谷間厚みを確認するために測定される。
【0116】
例示的な一実施形態によれば、第2の保持部品5はそれ自体、少なくとも一部が透明の導電フィルム(例えば、インジウムスズ酸化物もしくは酸化亜鉛)のような導電材料で構成されてもよい。この場合、第2の保持部品5に取り付けられる導体素子は省略することができる。次に、渦電流センサ9が第1の保持部品4の上にある第2の保持部品5の高さを測定して、処理ユニット8が第2の保持部品5の測定高さを第2の保持部品5の測定高さに応じた山谷間厚みに変換することができる。
【0117】
例示的な装置はさらに、第1の保持部品4の上にある第2の保持部品5の高さを測定する他の手段を含むことができる。該手段は、例えば、渦電流法または磁気法もしくは光学的方法の使用を含むことができる。本開示は、第2の保持部品5の変位測定値はレプリカテープに透過された光強度測定値の較正に利用されるので、第1の保持部品4の上にある第2の保持部品5の変位測定値を取得するための特定の技術に限定されないことは理解されたい。
【0118】
図3に示されている本開示の例示的な一実施形態によれば、第2の保持部品5とレプリカテープとの間の圧力は、操作者の入力に関係なく一定に保たれることで、第2の保持部品5に所望の力を加えるばね10を使用して圧縮性発泡体1の不測の圧縮を防ぐことができる。ばね10は、以降では、第2の保持部品用ばね10とされる。
【0119】
本開示の例示的な一実施形態によれば、渦電流センサ9は、レプリカテープを特性評価するタイミングを決定する構造である。渦電流センサ9が、導体素子15(例えば、金属リング)が所定の範囲内、例えば、レプリカテープの厚み以下の範囲内にあり、これ以上動かなくなったことを検知すると、装置100の処理ユニット8は、第2の保持部品5が操作者の入力のない正確な位置にある時にレプリカテープを特性評価する。
【0120】
図4に示されている本開示の例示的な一実施形態によれば、操作者は、必要に応じて、ボタンリング12が第1の保持部品4に向かってボタンリングばね11に押し付けられるようにボタン13を押すことができる。第2の保持部品5は、その後、第2の保持部品用ばね10の力のみを利用してレプリカテープに接触した状態で保持される。レプリカテープの特性評価が完了すると、操作者は、第2の保持部品用ばね10の力より大きくなったボタンリングばね11の力を利用して第2の保持部品5を引っ込めて、例示的な装置100からレプリカテープを取り外すことができる。したがって、図4に示されているように、本開示の例示的な一実施形態では、ばね10は、第1の所定の力を第2の保持部品5の第1の表面に加えることによって、操作者の入力に関係なく、第2の保持部品5とレプリカテープとの間の圧力を一定に保つ構造である。図4の例示的な実施形態では、導体素子の一例であるリング15は、第2の保持部品の第1の端部と第2の端部との間で第2の保持部品の周囲に取り付けられ、ボタンリングばね11は、第2の保持部品5を取り囲み、リング15の上に配置される。この形態は典型的な例であって、本開示はこの形態に限定されない。例えば、上述したように、第2の保持部品5自体が少なくとも部分的に導電材料から成る場合は導体素子15が省かれてもよく、または導電材料が第2の保持部品5の第1の表面と第2の表面との間で第2の保持部品5の周囲の少なくとも1つの点に取り付けられてもよい。ボタンリング12は、第2の保持部品5を取り囲み、(i)第2の保持部品5の第1の端部と第2の端部との間でボタンリングばね11を収容して係合する構造である内側溝と、(ii)外側テーパ面とを有する。ボタン13はそれぞれ、第2の保持部品5を取り囲むハウジング14の互いに対向する側に配置される。ボタン13それぞれは、ボタンリング12の外側テーパ面の輪郭と一致する内側テーパ面を含む。ボタン13は、押圧されてボタンリングばね11と係合し、ボタンリングばね11を第1の保持部品4に向かって押し付けることで第2の保持部品用ばね10によって第2の保持部品5が定位置で保持され、また第1の所定の力より大きい第2の所定の力を第2の保持部品用ばね10に加えてばね10を収縮させて第1の保持部品4から引き離すことによって、第2の保持部品用ばね10から第2の保持部品5とレプリカテープとの間の圧力を解放する構造である。この形態は、有利には、操作者が片手で例示的な装置100を保持しながら、他方の手でレプリカテープを装置100に案内することができる。
【0121】
例示的な装置のレプリカテープを特性評価する処理機能について、例示的な装置の部品を示したブロック部である図5を参照しながら説明する。図5の例示的な装置は、画像処理装置205に電気的に接続される画像センサ201、光源202、および厚みセンサ203を含む。画像センサ201は、図1および図3に示されている画像センサ7に対応する。光源202は、図1および図3に示されている光源6に対応する。厚みセンサ203は、図3を参照しながら上述した第1の保持部品4、第2の保持部品5、リング8、および渦電流センサ9の機能に対応する。レプリカテープ204は、図1および図3に示されているレプリカテープ1、2に対応する。画像処理装置205は、図1に示されている処理ユニット8に対応する。
【0122】
上述の例示的な実施形態の説明によれば、画像処理装置205は、画像センサ201からレプリカテープの複数の測定点に透過された光の測定強度を受信する。画像処理装置205は、受信した測定強度を記憶し、測定強度をそれぞれ複数の測定点のうちの対応する1つの測定点におけるレプリカテープの測定統計値に関連したデータ値に変換する構造である。
【0123】
画像処理装置205は、装置に測定を実行するように指示する操作者の動作を受けて、オペレータインターフェース206からのコマンドに応答する。表示ユニット207は、レプリカテープの表面のデジタル表現および/または特定の測定点の統計値のような結果測定値をユーザに提示するのに使用される。結果は、画像および/または表面プロファイルの特性を提示するのに使用される他の測定基準の形で表すことができる。
【0124】
図6は、図5に示されている例示的な装置の部品をより詳細に示したブロック図である。図6では、例示的な装置は、ハウジング610を含み、その内部に、画像センサ201、光源202、厚みセンサ203、画像処理装置205、オペレータインターフェース処理ユニット206、および表示ユニット207が設置される。オペレータインターフェース処理ユニット206は、ユーザが選択可能な動作命令および装置の動作の任意の他の情報を表示する構造であるが、表示ユニット207は、測定結果を表示する構造である。図6の例では、オペレータインターフェース処理ユニット206は、表示ユニット207内に含まれるものとして示されている。例えば、オペレータインターフェース処理ユニット206は、ユーザが表示ユニット207を介して入力コマンドを入力することができるタッチスクリーンディスプレイとしてもよい。しかし、オペレータインターフェース処理ユニット206は、表示ユニット207と別個に設けられてもよく、キー、トラックパッド、ボタンなどの物理的入力手段を含んでもよい。
【0125】
画像処理装置205は、装置の動作を制御する構造であるコンピュータプロセッサ(例えば、Intel(登録商標)Core(登録商標)、Pentium(登録商標)もしくはCeleron(登録商標)プロセッサ、またはAMD(登録商標)Phenom(登録商標)、Athlon(登録商標)、もしくはOpteron(登録商標)プロセッサのような汎用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)のような特定用途向けプロセッサ、またはデジタルシグナルコントロール(DSC)プロセッサ)を含む。図6の例では、画像処理装置205は、コンピュータプログラムおよび/またはコンピュータ可読命令が物理的に記録される非一過性の不揮発性メモリ(MEM)626を含むものとして示されている。プロセッサ(CPU)622は、メモリ626に記録されているプログラムおよび/または命令を実行して、本明細書に記載されている装置の動作および機能を実行するように構成される。プロセッサ(CPU)622はさらに、MEM626に対して、画像センサ201によって測定されたレプリカテープの複数の測定点に透過された光の強度の測定値を記録するように命令することができる。さらに、MEM626は、測定光強度を、透過光の強度が測定された測定点のうちの対応する1つの測定点における測定統計値にそれぞれ関連したデータ値に変換するためのアルゴリズム、ルックアップテーブルなどを記憶しておくことができる。画像処理装置205はさらに、機能を実行している時に利用するためにランダムアクセスメモリ(RAM)624のようなワーキングメモリを含むことができる。RAM624およびMEM626は、プロセッサ622とは別個に、例えば、プロセッサ622とは異なる物理装置に配設されてもよい。MEM626は、リードオンリメモリ(ROM)、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、光メモリなどのような任意のタイプの不揮発性メモリとしてもよい。
【0126】
図7は、本開示の上述の特徴を含む組立装置の一例を示した図である。図7に示されている例示的な装置は、レプリカテープ1、2の下にある画像センサ201と、レプリカテープ1、2の上にある第2の保持部品5と、1つまたは複数の押圧ボタン13(図7の例は、装置の正面に1つの押圧ボタン13を含むが、別のボタン13が装置の反対側の裏面に設けられてもよい)と、第2の保持部品5の上に配置された光源202と、ハウジング14内に配置された、画像処理装置205と、入力装置オペレータインターフェース処理ユニット206と、表示ユニット207とを含む。
【0127】
図5図7に示されている例示的な装置によれば、画像センサ201によって測定された光源202から透過されレプリカテープ204を通過する光の強度のレプリカテープ204のXY座標に対する3次元(3D)マッピングを作成することができる。強度マップの離散強度点は、厚みセンサ203を使用して測定されたレプリカテープ204の最大厚みの測定値を使用し、強度を厚みに関連付ける式(例えば、アルゴリズム)もしくはルックアップテーブルを適用することによって、厚みに変換される。得られた画像は、レプリカテープ204の3次元厚みマッピングを表す。型押し、もしくは圧縮されたレプリカテープ204は、試験物質の表面プロファイルを表しているので、導き出された厚みマッピングを試験表面に関連付けて、単純で低コストの携帯型試験計器を使用して試験表面の表面プロファイルの有意義な測定値を導き出すことができる。3D、2D、もしくは1Dの表面測定値は、3Dマップから容易に導き出すことができる。導き出される測定値の例として、以下が挙げられる。
(i)Ra:一領域を通る線に沿った算術平均表面粗さ
(ii)Rz:一領域を通る線に沿った表面粗さ深さ
(iii)Sa:表面粗さ
(iv)Sdr:展開表面積
【0128】
以下に、測定点に透過された光の測定強度を厚みに変換する一例について説明する。
【0129】
例示的な装置の特徴についての以下の説明は、画像取得プロセスの際に、型押し、もしくは圧縮されたレプリカテープ204の最大厚みを使用してスケーリングされた強度対厚みの基底関数を構築するのに、特性評価プロセスを使用する。この関数がレプリカテープ204のそれぞれの点x,yに適用され、レプリカテープの照射ムラを補償してテープ組成の変化を構成する取得画像のそれぞれの点x,yにおいて測定された強度値の厚みマッピングが作成される。
【0130】
光源202からの照射ムラおよび/または画像センサ201の感度変化を補償するために、最大光強度および最小光強度を確立するのに、レプリカテープのない画像および圧縮されていないレプリカテープ204の画像の両方に対して、強度マップが画像センサ201によって測定され、プロセッサ205のMEM626に記憶される特性評価手順が使用される。図8および図9は、このような2つのマッピングを示した図である。
【0131】
図8は、レプリカテープが装置内にない時に画像センサ201によって測定された光源202から透過された光の強度を示している。図9は、圧縮されていないレプリカテープを通過した光の強度を示している。測定時に、点x,yにおけるそれぞれの強度値をレプリカテープがない場合に測定された対応する点x,yにおける最大光に対して、また圧縮されていないレプリカテープが使用された時の点x,yにおける最小光に対して正規化することができる。測定されたそれぞれの点x,yに対して、0〜1の範囲の測定画像を構成することができる。得られた画像は、画像面全体の配光ムラおよび光強度およびテープ組成の不一致が補償される。特性評価プロセスは、操作者もしくは他のエンドユーザによって実行されるので、装置は、経時的に特有のドリフトが認められるより費用のかからない光学部品で構成される。
【0132】
強度を厚みに変換するために、特有の正規化強度を定義する関数が経験的に導き出され、図10に示されている関数f1として画像処理装置205に記憶されている。
【0133】
レプリカテープ204は、粗い物質上で擦り付けられると、山の位置で十分に圧縮されることになる。これは、画像の最大強度x,yに対応する。擦り付けられたレプリカテープ204は、谷の位置での圧縮は最小になる。これは、最小強度に対応する。厚みセンサ203は、最も深い谷もしくは最小強度に対応するレプリカテープ204の最大厚みを測定する。レプリカテープ204の組成の変化、光センサ202の強度変化、およびバルク画像センサ201の感度ドリフトを補償するために、図10に示されている関数f1は図11に示されているようにシフトされる。新しい関数f2は、レプリカテープ204の厚みセンサ203を使用した測定最大厚み(画像では、最も暗いもしくは最小の強度x,y値を表す)に基づいたf1のシフトバージョンである。したがって、取得画像に対して、測定画像の点x,yごとに分析されて最小強度を有する点x,yが決定される。これは、最大厚みに対応し、そのためf1のy切片をこの厚み値にシフトさせるためのスケーリング係数は厚みセンサ203の出力を使用して導き出される。したがって、厚みを測定画像の正規化強度に関連付けた新しい関数f2が得られる。
【0134】
したがって、本開示は、独立した厚み測定手段を使用して特徴的強度プロファイルを較正することによって、レプリカテープの厚みプロファイルを導き出す機構を提供する。したがって、本開示の装置は、具体的には、複製媒体、特に、レプリカテープの較正厚みプロファイルを導き出すように構成される。上述の手段は、強度プロファイルを決定するが、対応する厚み測定値に基づいてプロファイルの現場調整を行う手段を提供していない米国特許第2003/0222215号明細書のような周知の技術に関する欠点を克服する。
【0135】
図10および図11を参照しながら上述したように(例えば、渦電流センサを使用して)レプリカテープの測定厚みに基づいて厚み‐強度曲線を調整する技術の他に、本開示はさらに、正確な測定値を導き出すための別の任意の技術を提供する。この技術は、粗さに対するレプリカテープの非線形複製応答を構成する線形化関数を含む。レプリカテープは、複製される表面のさまざまな高さプロファイルに対応するために、さまざまな等級、もしくは厚みを有することができる。例えば、1級のレプリカテープは、約38μm〜115μm(1.5ミル〜4ミル)の高さプロファイルの範囲に対応することができる。より低い高さプロファイルに対する2級は、上記の範囲を20μmにまで引き下げて、約20μm〜63μm(0.8〜2.5ミル)の高さプロファイルの範囲にすることができる。上述の等級は、市販されているレプリカテープの例である。本開示は、これらの例に限定されない。
【0136】
それぞれの等級のレプリカテープは、範囲の下限(この場合、圧縮性表面は十分に圧縮される)、および範囲の上限(この場合、山の高さは圧縮性表面の厚みより高い)では、非線形応答を有する。レプリカテープの応答が次第に非線形になるにつれて、測定値はより不正確になる。
【0137】
レプリカテープの厚みは、高さプロファイルを測定する多数の代替方法と比較される。このような代替技術の例として、ドラッグスタイラス、ニードル式表面プロファイル測定器、もしくは干渉顕微鏡もしくは共焦点顕微鏡のような顕微鏡検査技術が挙げられる。例えば、デジタルプロセッサ(例えば、上述のようなプロセッサ)を組み込んだ厚みゲージを使用することで、レプリカテープの厚みをプロファイルの高さに関連付けたレプリカテープの応答関数がわかっていれば、線形化された山谷間プロファイルを表示することができる。レプリカテープのプロファイルの決定がさまざまな試験表面に対して電子スタイラス粗さ測定器によって得られたプロファイルに対してプロットされる実験から、適切な応答曲線が推定できる。一般的に、スタイラス測定値は、レプリカテープよりも大きな統計的ノイズを示すが、線形性の点でより優れた利点を有する。レプリカテープの応答の線形化は、レプリカテープの小さい統計ノイズをスタイラスの線形挙動と組み合わせたものである。
【0138】
図12は、上述のレプリカテープの1級もしくは2級のうちの一方の等級のレプリカテープの応答関数を示した図である。黒い実線Aは、レプリカテープの範囲の上限において、山がレプリカテープの圧縮性表面の厚みより高い場合にレプリカテープが低く読み取る様子を示している。また、黒い実線Aは、レプリカテープの範囲の下限において、レプリカテープが完全な圧縮状態に近づくにつれて高く読み取る様子を示している。それらの間では、レプリカテープは比較的線形の応答を示す。レプリカテープは、延長線形範囲を表した線Bに沿った形を示すのが理想的である。以下の線形化手法を利用して、レプリカテープの実際の応答を線Bにマッピングさせることができる。
【0139】
まず、レプリカテープの厚みH0(観察厚み)をデジタルスタイラスの粗さRtに関連付けた上述のレプリカテープの応答関数fRTが、以下のようにレプリカテープに対して導き出される。
Rt=fRT(H0)
【0140】
測定機器のプロセッサが適切な等級に設定されていれば、プロセッサがレプリカテープの厚みにfRTを適用することで、その等級のレプリカテープの圧縮性表面の非線形性を補償する効果が得られる。しかし、これは、H0をレプリカテープのプロファイルにほぼ等しいRt相当値に変換することで行われる。
【0141】
次に、Rt値は、レプリカテープの応答曲線に適合した最小二乗直線にマッピングされて、その結果、測定機器によって報告されるレプリカテープのプロファイルの線形化値Hlinとなる。この線形化手法は、さまざまな等級のレプリカテープに適用できる。さらに、最小二乗直線は、複数の等級のレプリカテープの複合応答曲線にも適合していると言える。線形化によって、測定値を求めるプロセスは簡略化され、プロセスの信頼性が増大し、操作者のエラーの可能性が低減され、データ記録および分析がより便利になる。
【0142】
圧縮されていないレプリカテープの厚み測定値に従った初期較正に基づいて、レプリカテープ204の複数の測定点に透過された光の強度を測定する上述の技術によれば、画像処理装置205は、複数の測定点に透過された光の測定記録強度をレプリカテープ204の対応する測定点におけるレプリカテープ204の測定統計値をそれぞれ表す対応データ値に変換する構造である。したがって、例示的な装置の画像処理装置205は、記録した透過光の強度の特性評価を行うことができる。この記録した光強度の特性評価は、例えば、レプリカテープの複数の測定点のうちの1つまたは複数の測定点における透過光の強度を特性評価された物質表面および/または他の表面プロファイル特性を表す画像に変換することを含むが、これに限定されない。
【0143】
例示的な一実施形態によれば、記録した透過光強度の特性評価は、例えば、透過光強度を透過光が透過されたレプリカテープの位置のレプリカテープの厚みに変換することを含むが、これに限定されない。例示的な一実施形態によれば、透過光強度をレプリカテープの厚みに変換するのに、アルゴリズムもしくはルックアップテーブルを利用することができる。例示的な一実施形態によれば、記録した透過光強度を特性評価するのに使用されるアルゴリズムもしくはルックアップテーブルは、実験的に導出されたデータ点もしくは理論式を使用して作成される。透過光の強度とレプリカテープの厚みとの比率は経時的に、また装置間で一定のままであり、部品の機械的変動および摩耗は、レプリカテープの全ての厚みに関して、デジタルカメラに対する透過光の強度に影響を与える可能性がある。
【0144】
装置の部品の変動および摩耗は、装置間で、また経時的に、記録透過光強度の差をもたらす場合がある。例えば、照射ムラおよびカメラのフォトセルの変動、もしくは装置におけるデブリ蓄積を補正する必要がある。本開示の例示的な実施形態はさらに、装置の操作者が、レプリカテープがない場合に「ゼロ」の特性評価を行い、および/または記録透過光強度を特性評価するのに使用される式もしくはルックアップテーブルを変更して上述の要因を補正するのを手助けする機能を提供する。補正はさらに、欠陥画素の代わりに周辺画素からの勾配もしくは式から求めた測定値を置換することを含む。
【0145】
また、レプリカテープの製造上のばらつきは、試料間で記録透過光強度の望ましくない差をもたらす場合がある。本開示の例示的な一実施形態によれば、操作者が上述したように型押しされていない、圧縮されていない、もしくは成形されていないレプリカテープの周知の厚みを使用して「最大」特性評価を行うのを手助けする機能を提供する。本開示の例示的な一実施形態によれば、型押しされたテープの厚みは、例えば、渦電流原理もしくは磁気技術のような他の一般的な方法を使用して測定されるが、これらに限定されない。この周知の最大厚みをデジタルカメラに対する最も低い透過光強度の領域と関連付けることによって、ルックアップテーブルもしくは式が変更されて、それぞれのレプリカテープ試料間のばらつきが補正される。
【0146】
レプリカテープの厚みの特性評価は、統計値、例えば、単位面積当たりの山、もしくは山の面積(これに限定されない)を計算すること、もしくは操作者の選択位置を通る線に沿った厚みを表示することを含む。さらに、レプリカテープの特性評価は、3次元表面の2次元表現を表示することを含んでもよい。さらに、レプリカテープの特性評価は、色を厚みに関連付けた擬色表現を表示することを含んでもよい。
【0147】
種々の表面プロファイルの高さを測定するのに、さまざまな厚みのレプリカテープを使用することができる。本開示の例示的な一実施形態によれば、操作者は、さまざまな厚みの型押しされていないレプリカテープを切り替える時に、「最大」特性評価を行うことによって、レプリカテープの厚みを考慮することができる。別の例示的な実施形態によれば、さまざまな厚みのレプリカテープは、本開示の範囲内のデジタルカメラを使用してレプリカテープ上にあるマークを読み取ることで識別される。このマークとして、着色領域、バーコード、QRコード(登録商標)、線模様、もしくは記号が挙げられるが、これらに限定されない。その後、デジタルカメラによって識別されたマークに基づいて、種々のルックアップテーブルもしくは式を使用して、レプリカテープの厚みを特性評価することができる。
【0148】
装置の要素は、単純で、頑強で、低コストであり、小型もしくは可搬式にすることができる。可搬式装置は、最小限の時間遅延で現場で研磨剤吹き付け加工面を評価するのに有用である。
【0149】
上述の実施形態によれば、本開示の一実施形態はさらに、レプリカテープを使用して物質表面を特性評価する方法を提供する。図13は、本開示の方法の例示的な一実施形態のステップを示したフローチャートである。本開示の例示的な方法は、測定される物質の表面上でレプリカテープを型押し、もしくは圧縮するステップ(S1302)を含む。例示的な方法はさらに、レプリカテープの圧縮性発泡体表面が第2の保持部品に接触して固定されるように第1の保持部品(例えば、透明窓)と第2の保持部品(例えば、半透明アンビル)との間でレプリカテープを固定するステップ(S1304)を含む。さらに、例示的な方法は、第2の保持部品、レプリカテープ、および第1の保持部品に光を透過させるステップ(S1306)を含む。上述したように、透過される光は、200〜1500nmの波長を有してもよい。例示的な方法はさらに、画像センサにおいて、レプリカテープの圧縮性表面の少なくとも2つの測定点にそれぞれ透過された光の強度を測定するステップ(S1308)を含む。少なくとも2つの測定点に透過された光の強度の測定は、少なくとも2つの測定点に透過された光のそれぞれの波長の測定を含んでもよい。さらに、例示的な方法は、少なくとも2つの測定点に透過された測定光強度を、それぞれ少なくとも2つの測定点のうちの対応する1つの測定点におけるレプリカテープの測定統計値に関連した少なくとも2つのデータ値に変換するステップ(S1310)を含む。例示的方法はさらに、変換データ値の2次元表現を生成して表示するステップ(S1312)を含んでもよい。表示される表現は、例えば、レプリカテープの特性評価された表面の図および/またはレプリカテープの表面の図を含んでもよい。本開示の例示的な方法は、上記装置の動作特徴に応じて任意のプロセスステップを含んでもよい。
【0150】
さらに、本開示の例示的な一実施形態は、画像処理装置205のプロセッサ622に上記の例示的な方法に対応した動作を実行させるコンピュータプログラムが記録されている非一過性のコンピュータ可読記録媒体(例えば、MEM626)を提供する。
【0151】
上述の例示的な方法では、レプリカテープは、第1の保持部品4と第2の保持部品5との間で固定されるものとして説明されている。図14は、本開示の例示的な一実施形態の装置200の分解斜視図である。装置200は、レプリカテープ1を特性評価するためのカメラ240を有する移動式処理装置230と保持部品250とを含む。図1に示されている装置100と比較すると、例えば、装置100はレプリカテープ1の両面にそれぞれ配置される2つの保持部品4、5を含むが、図14に示されている装置200は1つの保持部品250のみを含む。また、図14の装置200は、装置100の画像センサ7および処理ユニット8がカメラ240が装備された移動式処理装置230内に含まれるという点で、図1の装置100と異なる。移動式処理装置230は、例えば、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)、Samsung(登録商標)、Motorola(登録商標)、HTC(登録商標)、Nokia(登録商標)製などのスマートフォン)および/またはタブレットコンピュータ(例えば、iPad(登録商標)、Nexus(登録商標)、Kindle(登録商標)など)のようなポータブルコンピュータ、またはラップトップコンピュータとしてもよい。また、移動式処理装置230は、可動カメラが取り付けられるデスクトップコンピュータとしてもよい。
【0152】
上述の例示的な実施形態では、レプリカテープ1は、第1の表面と、レプリカテープ1が型押し、圧縮、もしくは成形される物質表面を複製する反対側の第2の表面とを有するものとして示されており、レプリカテープ1の第2の表面は、レプリカテープ1の第1の表面と第2の表面との間の第2の方向に伸びるレプリカテープ1の厚みにほぼ垂直な第1の方向に沿って伸びる複数の測定点(図2を参照)を有する。図14の例示的な実施形態では、保持部品250は、レプリカテープ1の第1の表面と移動式処理装置230のカメラ240が配置される側面との間に配置される。図14の例では、カメラ240は移動式処理装置230の裏面に配置され、ディスプレイおよびオペレータインターフェースは移動式処理装置230の正面に配置される。図14に示されている例示的な一実施形態によれば、保持部品250は、移動式処理装置230のカメラ240に面する第1の表面と、レプリカテープに面する第2の表面とを有する。図14の例に示されているように、保持部品250の第2の表面にレプリカテープの幅と長さに適合するように溝が形成されることにより、レプリカテープ1の擦り付けられる面を保持部品205の環状貫通穴に配置できるようにしてもよい。あるいは、保持部品250の第2の表面は、平坦な面で、レプリカテープ1を特性評価するためにレプリカテープ1を定位置で保持するためのクリップのような固定機構を有してもよい。また、レプリカテープ1の擦り付けられる面を保持部品250の貫通穴の位置で保持するのに他の固定機構を使用することも可能である。例えば、レプリカテープが上述の裏打ち材2を有する場合、裏打ち材2は、裏打ち材2を保持部品250の第2の表面に一時的に貼り付けるための粘着性表面を有してもよい。別の例によれば、レプリカテープ1の第1の表面は、粘着テープによって保持部品250の第2の表面に固定されてもよいし、または使用者によって保持部品250の第2の表面に当てた状態で保たれてもよい。上述の内容は、レプリカテープ1を保持部品250の第2の表面に固定する例を示したものであるが、本開示はこれに限定されない。図14の例示的な実施形態によれば、レプリカテープ1が保持部品250に固定されるという説明は、レプリカテープ1が装置200によって特性評価されるようにレプリカテープ1を保持部品1の第2の表面に一時的に固定するための任意の手段もしくは機構を含むことを意図したものである。
【0153】
図14の例では、保持部品250は、貫通穴を有するものとして示されている。本開示は、この例に限定されない。例えば、保持部品250は、このような貫通穴のない半透明材で構成されてもよい。貫通穴および/または半透明材は、光をレプリカテープ1の第2の表面から移動式処理装置204のカメラ204に到達させて、レプリカテープ1の第2の表面の複数の測定点のうちの少なくとも2つの測定点にそれぞれ透過された光の強度を測定するためのものである。例示的な実施形態によれば、レプリカテープ1および保持部品250に透過されてカメラ204に到達する光は、例示的な装置200が使用される場所の周辺光とすることができる。代替として、もしくは追加として、レプリカテープ1および保持部品250に透過されてカメラ204に到達する光は、一般的に利用可能なもしくは較正された外部光源(例えば、ランプ、懐中電灯など)からの光とすることができる。較正された外部光源の場合、光源は設定波長範囲内の光を透過するように較正される。例えば、較正された外部光源は、例示的な装置100の光源6に関して上述したように、200〜1500nmの波長範囲の光を透過する構造にすることができる。
【0154】
移動式処理装置230は、1つまたは複数のプロセッサ(例えば、図6に関して上述したように、汎用もしくは特定用途向け)と、表示装置260(図15を参照)とを含む。表示装置はさらに、移動式処理装置230がユーザ入力を受信するためのタッチスクリーンディスプレイを有する場合には、入力ユニットとしての機能を果たすこともできる。あるいは、移動式処理装置230は、ユーザ入力を受信するためのキーボードおよび/またはマウスのような独立した入力ユニットを有してもよい。移動式処理装置230の1つまたは複数のプロセッサは、図6に示されている画像処理装置205の機能を果たし、移動式処理装置230の表示ユニット(および移動式処理装置230がタッチスクリーン入力ユニットを含まない場合には上述の独立した入力ユニット)は、図6に示されているオペレータインターフェース処理ユニット206と表示ユニット205の機能を果たす。移動式処理装置230のカメラ240は、レプリカテープ1の第2の表面の複数の測定点のうちの少なくとも2つの測定点にそれぞれ透過された光の強度を測定することによって、図1および図6の装置100内の画像センサ201の機能を果たす。移動式処理装置230はさらに、移動式処理装置230の1つまたは複数のプロセッサに本開示の特徴を実現させるコンピュータプログラムが物理的に記録される図6に示されているMEM626のような非一過性のコンピュータ可読記録媒体を含む。
【0155】
したがって、図14の装置200において、物質表面を複製するために物質の表面上で型押し、圧縮、もしくは成形されたレプリカテープ1は、上述したように、保持部品250の第2の表面に固定される。装置100における画像センサ201に類似の移動式処理装置230のカメラ240は、レプリカテープ1の第2の表面の複数の測定点のうちの少なくとも2つの測定点にそれぞれ透過された光の強度を測定する。移動式処理装置230の1つまたは複数のプロセッサは、移動式処理装置230の非一過性のコンピュータ可読記録媒体に記録されているプログラムを実行することによって、カメラ240を制御および/または操作して、レプリカテープの第2の表面の少なくとも2つの測定点にそれぞれ透過された光の強度を測定する構造にしてもよい。例えば、移動式処理装置230の1つまたは複数のプロセッサは、メモリユニットに記録されている特定のコンピュータプログラムを実行して常駐カメラ204を制御し、少なくとも2つの測定点に透過された光の強度を測定する構造にしてもよい。
【0156】
さらに、移動式処理装置230の1つまたは複数のプロセッサは、複数の測定点のうちの少なくとも2つの測定点に透過された光の測定強度を受信して、少なくとも2つの測定点の測定光強度を、それぞれ少なくとも2つの測定点のうちの対応する1つの測定点におけるレプリカテープ1の測定統計値に関連した少なくとも2つのデータ値に変換する構造である。したがって、図14に示されている装置200は、移動式処理装置230の1つまたは複数のプロセッサに本開示の機能および特徴を実行させるように適切にプログラムされた移動式処理装置230と、1つの保持部品250(例えば、図1に示されている例示的な装置100の第1の保持部品4および第2の保持部品5に対して)とを使用して、上述の例示的な実施形態の全ての動作機能および特徴を実行する構造である。
【0157】
図15は、移動式処理装置230の裏面(すなわち、図14の例では、移動式処理装置のカメラ204を有する面)が保持部品250の第1の表面に付けられ(例えば、接近して配置)、レプリカテープ1が保持部品250の第2の表面に固定される様子を示した図である。図15の例では、移動式処理装置230の正面は、それぞれ少なくとも2つの測定点のうちの対応する1つの測定点におけるレプリカテープの測定統計値に関連した少なくとも2つのデータ値の視覚表現および/または文字表現を出力する構造であるタッチスクリーン表示入力ユニットを含む。
【0158】
上述の例示的な装置100では、第1の保持部品4および第2の保持部品5を含むことによりレプリカテープ1の厚みを決定するための機構を提供し、レプリカテープ1によって複製された元の表面の山谷間厚みを決定するのに、決定されたレプリカテープ1の厚みが使用されている。図14および図15に示されている例示的な装置200では、ばね荷重マイクロメータのような測定装置を使用して、裏打ち材2の厚みを含むレプリカテープの厚みが測定され、その後、この厚み測定値は、上述の例示的な実施形態の特徴に従って、2つ以上の測定点における測定光強度を測定点のうちの対応する1つの測定点におけるレプリカテープ1の測定統計値にそれぞれ関連した少なくとも2つのデータ値に変換する際に考慮される。例えば、レプリカテープ1の測定厚みが、上述の移動式処理装置230の入力ユニットを介してユーザによって移動式処理装置230に入力され、移動式処理装置230の1つまたは複数のプロセッサは、レプリカテープ1の測定点に透過された光の測定強度に基づいて、レプリカテープ1の測定点の山谷間厚みを決定することができる。
【0159】
上述の例示的な装置200によれば、本開示の一実施形態はさらに、レプリカテープを使用して物質表面を特性評価する方法を提供する。図16は、本開示の方法の例示的な一実施形態のステップを示したフローチャートである。本開示の例示的な方法は、測定される物質の表面上でレプリカテープを型押し、もしくは圧縮するステップ(S2202)を含む。例示的な方法はさらに、レプリカテープ1の第2の表面(例えば、圧縮性表面)に直接光が当たるように、レプリカテープの第1の表面を保持部品250の第2の表面に固定して、保持部品250の第1の表面をカメラ240の位置に(例えば、カメラ240に接近して)配置するステップ(S2204)を含む。上述したように、レプリカテープ1の第2の表面および第1の表面に順次透過される光は、周辺光および/または外部光源としてもよい。例示的な方法はさらに、移動式処理装置230のカメラ240で、レプリカテープの圧縮性表面の少なくとも2つの測定点にそれぞれ透過された光の強度を測定するステップ(S2206)を含む。少なくとも2つの測定点に透過された光の強度の測定は、少なくとも2つの測定点に透過された光のそれぞれの波長の測定を含んでもよい。さらに、例示的な方法は、移動式処理装置230の1つまたは複数のプロセッサで、少なくとも2つの測定点に透過された光の測定強度を、それぞれ少なくとも2つの測定点のうちの対応する1つの測定点におけるレプリカテープの測定統計値に関連した少なくとも2つのデータ値に変換するステップ(S2208)を含む。例示的方法はさらに、変換データ値の2次元表現を生成して表示するステップ(S2210)を含んでもよい。表示される表現は、例えば、レプリカテープの特性評価された表面の図および/またはレプリカテープの表面の図を含んでもよい。本開示の例示的な方法は、上記装置100、200の動作特徴に応じて任意のプロセスステップを含んでもよい。
【0160】
さらに、本開示の例示的な実施形態は、移動式処理装置230に常駐している、および/または外部の非一過性のコンピュータ可読記録媒体(例えば、ハードディスクドライブのような不揮発性メモリ、ROM、もしくはフラッシュメモリのような外部メモリ)を提供する。非一過性のコンピュータ可読記録媒体には、実行された時に、移動式処理装置230の1つまたは複数のプロセッサに、上述の例示的な実施形態のレプリカテープの表面を特性評価する方法を実行させるコンピュータプログラムが物理的に記録されている。
【0161】
本発明は、本発明の精神もしくは基本的な特徴から逸脱せずに他の特定の形態で具現化されてもよいことは、当業者は理解するであろう。したがって、本開示の実施形態は、全ての点において、例にすぎず、限定的でないと考えられる。本発明の範囲は、上述の説明ではなく、添付の請求項によって示され、その意味および範囲内にある全ての変更および同等物を本発明の範囲に含むものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16