(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変更部は、前記事業者識別情報が予め定められた情報以外の場合に前記回線交換方式での接続が確立しないときでも前記通信部に対して前記LTE網に対する通信能力を維持させる、
請求項1又は2に記載の移動体通信端末。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
まず、
図1及び
図2を用いて、移動体通信システム1の概要について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る移動体通信端末を含む移動体通信システム1の概略構成の一例を説明するための図である。
【0012】
図1に示すように、移動体通信システム1は、互いに通信を行う通信端末10A・10Bと、通信端末10A・10Bと通信可能なサーバ装置12・14とを備える。また、移動体通信システム1は、これらの装置同士を通信するネットワークとして、基地局BSに接続された、第1の通信網NT1と、第2の通信網NT2と、を備える。
【0013】
なお、第1の通信網NT1は特に限定されないが例えばパケット交換網であり、具体的にはLTE(
Long
Term
Evolution)網である。第2の通信網NT2は特に限定されないが例えばパケット交換網と回線交換網を両方備え、LTEに非対応の非LTE網であり、具体的にはWCDMA(WCDMAは登録商標であり、
Wideband
Code
Division
Multiple
Accessの略である。)網である。以下、第1の通信網NT1をLTE網NT1と称し、第2の通信網NT2をWCDMA網NT2と称す。
【0014】
上記移動体通信システム1において、通信端末10A・10Bは、互いに音声通話やパケット通信(インターネットの接続や電子メールの送受信)、SMS(
Short
Message
Service)等の通信が可能となるように構成されている。以下の実施形態では、通信端末10Aが、本発明の移動体通信端末として機能し、通信端末10Bが通信端末10Aの通信先の端末として機能するものとして説明する。理解を容易にするため、以下、この通信端末10Aを「移動体通信端末10A」と称す。
【0015】
移動体通信端末10Aは、携帯電話やPHS、衛星携帯電話、自動車電話等の移動電話であれば特に種類は限定されないが、本実施形態では携帯電話とする。この移動体通信端末10Aには、ユーザと契約し当該ユーザに通信サービスを提供する通信事業者を識別するための事業者識別情報等が記録されたSIMカードが搭載される。
【0016】
この移動体通信端末10Aは、パケット交換方式及び回線交換方式両方に対応した機種であり、場合に応じてパケット交換方式及び回線交換方式の一方を利用することが可能となっている。なお、本実施形態では、パケット交換方式は、LTE網NT1を利用して通信する方式であり、回線交換方式は、WCDMA網NT2を利用して通信する方式である。
【0017】
サーバ装置12は、LTE網NT1上に例えば複数設けられている。このサーバ装置12は、移動体通信端末10Aと通信端末10Bとの間のパケット交換方式による通信の開始を仲介する機能を有する。また、サーバ装置12は、例えば後述する移動体通信端末10Aの位置登録をする際等にサーバ装置14と通信する機能も有する。
【0018】
サーバ装置14は、WCDMA網NT2上に例えば複数設けられている。このサーバ装置14は、移動体通信端末10Aと通信端末10Bとの間の回線交換方式による通信の開始を仲介する機能を有する。
【0019】
通信端末10Bは、移動体通信端末10Aと異なり、移動電話や固定電話等、特に種類は限定されないが、本実施形態では携帯電話である。通信端末10Bは、パケット交換方式又は回線交換方式を利用し、基地局BSを介してLTE網NT1又はWCDMA網NT2に接続する。
【0020】
図2は、
図1に示す移動体通信端末10Aの機能構成の一例を説明するためのブロック図である。
図2に示すように、移動体通信端末10Aは、記憶部20と、挿入部22と、入力部24と、判定部26と、通信部28と、変更部30と、を備える。
【0021】
記憶部20は、メモリやハードディスク等で構成される。挿入部22は、スロットを含んで構成されている。入力部24は、スロット周辺の読み出し回路を含んで構成されている。通信部28は、通信回路やアンテナ等で構成される。判定部26及び変更部30は、メモリ等に記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。
【0022】
記憶部20は、各種データを記憶する機能を有する。この記憶部20には、予め定められた情報として事業者ID20Aが記憶されている。この事業者ID20Aは、例えば移動体通信端末10Aを販売した通信事業者を識別するIDである。事業者ID20Aの一例としては、「00**」等の4桁の番号が挙げられる。
【0023】
挿入部22は、通信事業者を識別するための事業者識別情報やユーザの電話番号を含む各種情報が記録された記録媒体としてのSIMカード22Aが着脱自在とされている。事業者識別情報の一例としては、事業者ID20Aと同様に「00**」等の4桁の番号が挙げられる。
【0024】
入力部24は、SIMカード22Aから事業者識別情報を含む各種情報を読み出し可能に構成されている。具体的には、入力部24は、挿入部22にSIMカード22Aが挿入されると、当該SIMカード22A内の各種情報を読み出して記憶部20に記憶することで各種情報を入力する。
【0025】
判定部26は、記憶部20に入力された事業者識別情報が予め定めた情報であるか否かを判定する機能を有する。本実施形態では、事業者識別情報が事業者ID20Aと一致するか否かを判定する。
【0026】
通信部28は、判定部26により事業者識別情報が予め定められた情報と判定された場合に初期設定の第1の通信方式で通信する機能を有する。通信の種類としては、例えば音声通話やパケット通信及びSMS等がある。本実施形態では、音声通話及びパケット通信に関しては第1の通信方式はパケット交換方式であり、SMSに関しては第1の通信方式は回線交換方式である。
【0027】
また、通信部28は、通信の前処理としてパケット交換方式及び回線交換方式での接続を確立するために、移動体通信端末10Aの位置情報の登録を要求する位置登録要求をLTE網NT1のサーバ装置12に向けて送信する機能を有する。また、通信部28は、初期設定として、回線交換方式での接続が確立しない場合にLTE網NT1に対する通信能力を無効化すると共に通信部28に対して位置登録要求をWCDMA網NT2に向けて送信させる。
【0028】
変更部30は、判定部26により事業者識別情報が予め定められた情報以外と判定された場合に通信部28の通信方式を第2の通信方式に変更する。本実施形態では、変更部30は、上記の場合にSMSの通信方式を第2の通信方式、例えばパケット交換方式(SMSoverIP)に変更する。なお、音声通話及びパケット通信に関しては判定部26により事業者識別情報が予め定められた情報以外と判定された場合でも第1の通信方式が維持される。
【0029】
また、変更部30は、初期設定として、回線交換方式での接続が確立しない場合にLTE網NT1に対する通信能力を無効化することになっているが、判定部26により事業者識別情報が予め定められた情報以外と判定された場合には回線交換方式での接続が確立しないときでもLTE網NT1に対する通信能力を維持させる。すなわち、変更部30は、LTE網NT1に対する通信能力を無効化する初期設定をLTE網NT1に対する通信能力を無効化しない設定に変更する。
【0030】
図3は、
図1に示す移動体通信システム1の処理の流れのうち本実施形態に係る移動体通信端末10Aの処理の流れを説明するためのフローチャートである。具体的には、
図3は、移動体通信端末10Aにより通信するための前処理(設定処理)の流れを示すフローチャートである。
【0031】
(ステップSP10)
入力部24は、挿入部22にSIMカード22Aが挿入されたか否かを判定する。そして、肯定判定された場合には処理がステップSP12の処理に移行し、否定判定された場合には
図3に示す一連の処理が終了する。
【0032】
(ステップSP12)
入力部24は、SIMカード22Aの事業者識別情報を読み出す。そして、入力部24は、読み出した事業者識別情報を記憶部20に記憶することで入力する。そして、処理がステップSP14の処理に移行する。
【0033】
(ステップSP14)
判定部26は、入力された事業者識別情報が予め定められた情報か否かを判定する。具体的には、判定部26は、入力された事業者識別情報が予め記憶部20に記憶されている事業者ID20Aと一致するか否かを判定する。そして、肯定判定された場合には処理がステップSP16の処理に移行し、否定判定された場合には処理がステップSP26の処理に移行する。
【0034】
(ステップSP16)
通信部28は、SMSも含めた通信の通信方式として初期設定を利用する。具体的には、変更部30は、SMSoverIPの設定をオフにする。なお、SMSoverIPの設定をオフにする理由は、事業者ID20Aが示す通信事業者がSMSoverIPの通信サービスを提供していないと仮定しているからである。そして、処理がステップSP18の処理に移行する。
【0035】
(ステップSP18)
通信部28は、パケット交換方式及び回線交換方式での接続を確立するために、移動体通信端末10Aの位置情報の登録を要求する位置登録要求をLTE網NT1のサーバ装置12に向けて送信する。
【0036】
これに応答してサーバ装置12は、LTE網NT1等に問題がなければLTE網NT1への移動体通信端末10Aの位置情報を登録する。また、サーバ装置12は、WCDMA網NT2のサーバ装置14に向けて位置登録要求を転送する。サーバ装置14は、これに応答して、WCDMA網NT2等に問題がなければWCDMA網NT2への移動体通信端末10Aの位置情報を登録する。その後、サーバ装置12は、上記両者の位置登録の結果(応答結果)を移動体通信端末10Aに返信する。これにより、パケット交換方式及び回線交換方式での接続が確立し、これらの方式で通信が可能な状態となる。すなわち、移動体通信端末10AがLTE網NT1に在圏するようになる。その後、通信部28は、サーバ装置12からの応答結果を受信する。そして、処理がステップSP20の処理に移行する。
【0037】
(ステップSP20)
判定部26は、通信部28が受信した応答結果に基づき回線交換方式での接続が確立したか否かを判定する。なお、「回線交換方式での接続が確立する」とは、回線交換方式での位置登録が成功することを意味する。具体的には、判定部26は、応答結果がLTE網NT1への位置登録が完了し、WCDMA網NT2の回線交換系のノードへの位置登録が失敗した旨(例えばAttach Accept(EPS only))を示す場合や、LTE網NT1、及びWCDMA網NT2の回線交換系のノードへの位置登録が共に失敗した旨を示す場合には否定判定し、それ以外の場合は肯定判定する。そして、肯定判定された場合には
図3に示す一連の処理が終了し、否定判定された場合には処理ステップSP22の処理に移行する。なお、WCDMA網NT2の回線交換系のノードへの位置登録が失敗する場合とは、WCDMA網NT2内の何れかのノード(サーバ装置14)に障害が発生した場合等が挙げられる。
【0038】
(ステップSP22)
通信部28は、LTE網NT1に対する通信能力を無効化する。具体的には、通信部28は、LTE網NT1に接続する能力を示す設定値(Capabilitiy)をゼロにする。すなわち、通信部28は、移動体通信端末10AをLTE網NT1から圏外にさせる。そして、処理がステップSP24の処理に移行する。
【0039】
(ステップSP24)
変更部30は、回線交換方式での接続を確立するために、通信部28に対して位置登録要求をWCDMA網NT2のサーバ装置14に向けて送信させる。なお、LTE網NT1との接続を無効化して位置登録要求をWCDMA網NT2に向けて送信させる理由は、LTE網NT1へ向けて位置登録要求を送信してWCDMA網NT2との接続に失敗したとしても、WCDMA網NT2へ向けて位置登録要求を送信することで回線交換方式での接続が成功する可能性があるためである。そして、
図3に示す一連の処理が終了する。
【0040】
(ステップSP26)
変更部30は、SMSの通信方式をパケット交換方式に変更する。具体的には、変更部30は、SMSoverIPの設定をオンにする。なお、SMSoverIPの設定をオンする理由は、事業者ID20Aが示す通信事業者以外の通信事業者がSMSoverIPの通信サービスを提供していると仮定しているからである。そして、処理がステップSP28の処理に移行する。
【0041】
(ステップSP28)
通信部28は、ステップSP18と同様に、パケット交換方式及び回線交換方式での接続を確立するために、移動体通信端末10Aの位置情報の登録を要求する位置登録要求をLTE網NT1のサーバ装置12に向けて送信する。
【0042】
これに応答してサーバ装置12は、LTE網NT1等に問題がなければLTE網NT1への移動体通信端末10Aの位置情報を登録する。また、サーバ装置12は、WCDMA網NT2のサーバ装置14に向けて位置登録要求を転送する。サーバ装置14は、これに応答して、WCDMA網NT2等に問題がなければWCDMA網NT2への移動体通信端末10Aの位置情報を登録する。その後、サーバ装置12は、上記両者の位置登録の結果(応答結果)を移動体通信端末10Aに返信する。これにより、パケット交換方式及び回線交換方式での接続が確立し、これらの方式で通信が可能な状態となる。すなわち、移動体通信端末10AがLTE網NT1に在圏するようになる。その後、通信部28は、サーバ装置12からの応答結果を受信する。そして、
図3に示す一連の処理が終了する。
【0043】
ここで、事業者ID20Aが示す通信事業者以外の通信事業者は、WCDMA網NT2を利用した通信サービスを提供していないものと仮定する。この場合、通信部28が、回線交換方式での接続を確立するために位置登録要求を送信しても、事業者ID20Aが示す通信事業者以外ではWCDMA網NT2がそもそも存在しないため、常に、応答結果がWCDMA網NT2の位置登録の失敗を示すようになる。そこで、ステップSP22の処理と同様に、LTE網NT1に対する通信能力を無効化してしまうと、パケット交換方式でも回線交換方式でも通信サービスが利用できない。
【0044】
したがって、変更部30は、通信部28のLTE網NT1に対する通信能力を無効化しないように処理を変更する。すなわち、変更部30は、事業者識別情報が事業者ID20Aと一致しない場合には回線交換方式での接続が確立しないときでも通信部28に対してLTE網NT1に対する通信能力を維持させて、移動体通信端末10AをLTE網NT1に留まらせる。
【0045】
以上、本実施形態では、移動体通信端末10Aは、事業者識別情報が予め定められた情報の場合に第1の通信方式で通信する通信部28と、事業者識別情報が予め定められた情報以外の場合に通信部28の通信方式を第2の通信方式に変更する変更部30とを備える。したがって、本実施形態によれば、事業者識別情報が予め定められた情報以外に変わってもユーザに手間を掛けさせることなく予め定められた情報以外の事業者識別情報に適した第2の通信方式で通信することができる。
【0046】
また、本実施形態では、入力部24は、SIMカード22Aから事業者識別情報を読み出し可能に構成されている。したがって、本実施形態によれば、事業者識別情報が変わっても入力部24が事業者識別情報を再度読み出すことで通信部28は通信を確実に行うことができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、第1の通信方式は回線交換方式であり、第2の通信方式はパケット交換方式であるため、予め定められた事業者識別情報以外の事業者識別情報が示す通信事業者がパケット交換方式を利用していれば、通信部28は事業者識別情報が変わっても通信を確実に行うことができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、変更部30は、SMSを送受信するための通信方式を変更するので、通信部28は事業者識別情報が変わってもSMSの通信を確実に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態では、通信部28は、事業者識別情報が予め定められた情報の場合であって回線交換方式での接続が確立しないときにLTE網NT1に対する通信能力を無効化すると共に、位置登録要求をWCDMA網NT2に向けて送信する。したがって、本実施形態によれば、WCDMA網NT2への位置登録が成功する可能性が高まり、音声通話とパケット通信とSMSの基本サービスに関しWCDMA網NT2を利用して通信することができる。
【0050】
また、変更部30は、事業者識別情報が予め定められた情報以外の場合に回線交換方式での接続が確立しないときでも通信部28に対してLTE網NT1に対する通信能力を維持させる。したがって、本実施形態によれば、上記予め定められた情報以外の情報が示す通信事業者がWCDMA網NT2を利用した通信サービスを提供していなくてもLTE網NT1に対する通信能力が維持されるので、音声通話とパケット通信とSMSの基本サービスに関しLTE網NT1を利用して通信することができる。
【0051】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状、処理などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【解決手段】移動体通信端末10Aが、通信事業者を識別するための事業者識別情報を入力する入力部24と、事業者識別情報が予め定められた情報の場合に第1の通信方式で通信する通信部28と、事業者識別情報が予め定められた情報以外の場合に通信部28の通信方式を第2の通信方式に変更する変更部30と、を備える。