【実施例1】
【0026】
図1に示す本発明の第1実施例は、取付材1に突出部4(15)を一体的に形成した例であって、図中に破線にて示す下地5に固定された取付材1と、該取付材1に、その対向する一方側を載置又は沿設する太陽電池パネル2と、該太陽電池パネル2の対向する一方側を押さえて前記取付材1に固定される押さえ材3と、からなる構成である。なお、図中に破線で示した下地5は、固定部11を固定した取付箇所のレベルを示すものであって、この下方にも太陽電池パネル2の裏面空間22は延在している。即ちフレーム21の側方ばかりでなく、その下端より下方にも裏面空間22は及んでいる。また、太陽電池パネル2の対向する一方側とは、図中では右側に位置する水上側を指すものである。
【0027】
この第1実施例における取付材1は、
図1や
図2に示すように下地5に接地して固定具(ビス)12にて固定する横片である固定部11と、該固定部11から僅かに高いレベルに形成された横片である、太陽電池パネル2の端縁(下端)を載置する載置受部13と、太陽電池パネル2の端縁(側端)を沿わせる縦片状の沿設受部14と、この沿設受部14の上端からやや水上側へ傾斜する突出部4(15)とを有する連続材である。
【0028】
この第1実施例における太陽電池パネル2は、
図1や
図2に示すように平面形状を略躯体状に形成した太陽電池モジュール20の流れ方向(
図1では左から右、
図2では右奥から左手前)に対向する端縁にフレーム21,21を一体的に取り付けた構成である。このフレーム21は、上端に太陽電池モジュール20の端縁を保持ずる略コ字状の保持部211と、該保持部211から下方へ延在する縦片212と、該縦片212の下端から内側へ略水平状に延在する横片213とからなる。
【0029】
この第1実施例における押さえ材3は、
図1(b),(c)に示すように略L字状のピース材であって、その横片部分が前記太陽電池パネル2の対向する一方側(図では右側)の端縁を押さえる押さえ部31であり、その縦片部分が前記取付材1に固定具(ビス)33にて固定される固定部32である。
【0030】
そして、これらの取付材1、太陽電池パネル2、及び押さえ材3からなる第1実施例の設置構造は、
図1(a)〜(c)に示す手順にて施工することができる。
【0031】
まず、
図1(a)に示すように第1工程として、下地5に前記構成の取付材1を固定する。具体的には取付材1の固定部11を下地5に接地させて固定具(ビス)12にて固定する。
【0032】
次に、
図1(b)に示すように前記第1工程にて固定した取付材1に、太陽電池パネル2の対向する一方側(図では右側)の端縁を載置又は沿設するパネル敷設工程を行い、その後、配設した太陽電池パネル2の対向する一方側(図では右側)の端縁を前記構成の押さえ材3にて押さえると共に前記取付材1に固定する押さえ材取付工程を行う。
【0033】
前記パネル敷設工程は、具体的には取付材1の載置受部13に太陽電池パネル2の端縁の下端を載置させると共に取付材1の沿設受部14に太陽電池パネル2の端縁の側端を沿設させるので、ズレ等を生ずることなく太陽電池パネル2を容易に適正位置に敷設することができる。
前記押さえ材取付工程は、具体的には前記構成の押さえ材3の押さえ部31にて、太陽電池パネル2の右側の端縁(より詳しくはフレーム21の保持部211の上顎部分)を押さえると共に押さえ材3の固定部32を固定具33にて前記取付材1の沿設受部14に固定する。
なお、この押さえ材取付工程は、押さえ部31と取付材1の載置受部13との間に、太陽電池パネル2を挿入可能な空間を形成するように予め配設することにより、前記パネル敷設工程に先立って行うようにしてもよい。即ちパネル敷設工程と押さえ材取付工程とは何れを先に行うようにしてもよいし、同時に行うようにしてもよい。
【0034】
その後、この第1実施例では、
図1の右半に示すように太陽電池パネル2の対向する他方側(図では左側の)を固定部材6にて押さえ保持するようにした。
前記固定部材6は、略Z字状のピース材であって、太陽電池パネル2の左側に位置する水下側の端縁を押さえる横片状の押さえ部61を有し、断面逆U字状の台状部材7Aに下地5の裏面側から立設させたボルト7Bとナットにて下地5に固定されている。
【0035】
このように施工される第1実施例の設置構造は、太陽電池パネル2表面より上面側に延出する突出部4(15)が、取付材1に設けられているため、突出部4(15)に作用する例えば積雪や雪の滑落、風の吹き付け等の荷重を下地5に負担させることができる。そのため、太陽電池パネル2を構成するフレーム21等の形状や寸法などに影響されることなく強固に固定でき、各種の太陽電池パネル2に対して適用できる。
【0036】
また、この第1実施例では、対向する一方側は
水上側であって、対向する他方側は
水下側であるため、太陽電池パネル2の水上端を取付材1に載置、沿設すると共に押さえ材3にて保持する構造となり、上方へ延出する突出部4(15)も太陽電池パネル2の水上端に設けられる構造となる。そのため、突出部4(15)にて雪や雨水を、太陽電池パネル2の水上端側から裏面空間22に落としたり、流下させることができるため、雪の堰き止めが生ずることがなく、該堰き止め(にて遮光されること)による効率低下を防ぐこともできる。
しかも、突出部4(15)は、連続材である取付材1の長さ方向に連続するように設けたので、雪止め作用等が多大に増強されるものである。
【0037】
さらに、前記突出部4(15)は、太陽電池パネル2の裏面空間22内の空気を排出する作用も果たすので、太陽電池パネル2の裏面空間22内の排熱が円滑に行え、太陽電池セル20の発電効率の低下を抑制することができる。
しかも、この裏面空間22の排熱が太陽電池パネル2,2間又はその裏面空間22に落とした雪を円滑に溶かし、逆に裏面空間22に落とされた雪が裏面空間22の温度上昇の抑制に寄与するものとなる。
【0038】
図3(a),(b)に示す第2実施例は、押さえ材3IIに突出部4(34)を一体的に形成した例であって、この第2実施例における押さえ材3IIは、太陽電池パネル2の端縁を押さえる押さえ部31と取付材1IIに固定する固定部32が面一状に形成され、その水上側(図では左側)に傾斜状の突出部34が設けられた構成である。なお、この押さえ材3IIは、ピース材でも連続材でもよい。
また、この第2実施例の取付材1IIは、
図3(a)に示すように縦片状の沿設受部14の上端に突出部15に代えて略水平状の固定受部16を外向きに設けた以外は前記第1実施例の取付材1とほぼ同様である。さらに、それ以外の太陽電池パネル2や固定部材6等の構成についても前記第1実施例と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
この第2実施例は、前述のように突出部4が押さえ材3IIに形成された構成であって、突出部4を取付材1に形成した前記第1実施例と基本的な機能は殆ど変わらない。但し、前記第1実施例では、連続材である取付材1に突出部4(15)を設けて雪止め作用等を多大に増強させたが、この第2実施例では、押さえ材3II自体もピース材でも連続材でもよいようにしたので、必要とされる雪止め作用等に応じて適宜に選択することができる。
【0040】
図3(c)に示す第3実施例は、押さえ材3IIIに突出部4(34')を一体的に形成する点では、前記第2実施例と同様であるが、取付材1IIIとの固定は、取付材1IIIに一体的に保持されたボルト1bにナット1cを締着させて行われる。なお、この押さえ材3IIIに設けた突出部4(34')は湾曲状である。
また、この第3実施例の取付材1IIIは、前記第2実施例における略平坦状の固定受部に代えて、上方に開放する溝部17を設け、該溝部17内にボルト1bの頭部を嵌合した状態で長さ方向に移動可能とし、該ボルト1bを押さえ材3IIIに設けた孔(又は長孔)に挿通させた状態でナット1cを締着させて固定することができる。即ちこの取付材1IIIは、その溝部17に一体的に取り付けたボルト1bとナット1cとからなる複数部材にて構成されるものである。また、この取付材1IIIの固定部11及び載置受部13は、略M字状に成形された中央に固定部11が位置し、その左右に僅かに高いレベルに載置受部13が位置する構成である。
【0041】
この第3実施例は、前述のように突出部4が押さえ材3IIIに形成された構成であり、しかも前述のように押さえ部材3III自体を長さ方向に移動可能であるため、突出部4を季節や風向きに対して最も効率的に働く位置に適宜に移動させることができる。
【0042】
図3(d)に示す第4実施例は、押さえ材3IVに突出部4(34)を一体的に形成する点では、前記第2,3実施例と同様であるが、太陽電池パネル2の左側に位置する水下側の保持構造とほぼ同様の構成であって、この第4実施例における取付材1IVは、断面逆U字状の台状部材7Aとほぼ同様であり、それ以外の押さえ補助材6b、固定部材6、ボルトナット7Bは、それぞれこの第4実施例における押さえ材3IVを構成する本体、略Z字状材3b、ボルト3c及びナット3dに相当する。即ちこの押さえ材3IVは、突出部4(34)を形成した本体と、略Z字状材3b、ボルト3c及びナット3dとからなる複数部材にて構成されるものである。
【0043】
この第4実施例は、前述のように取付材1IVが断面逆U字状の台状部材であるため、その第1工程では、下地5にボルト3c及びナット3dにてズレ動かない程度に固定しておき、押さえ材取付工程に際して本体3IVや略Z字状材3bと共に強固に取り付けるようにすればよい。
そして、この第4実施例では、太陽電池パネル2の水上側と水下側との保持構造が殆ど同一となるため、使用する部材を共有(流用)することもできる。また、ほぼ同様な取付構造にて取り付けられるので、前記第1〜第3実施例に比べて太陽電池パネル2を平滑に維持することができる。
【0044】
図3(e)に示す第5実施例、及び
図3(f)に示す第6実施例は、前記第4実施例と同様に太陽電池パネル2の水上側と水下側との保持構造とほぼ同様にしている点で共通するものであり、押さえ材3V,3VIに突出部4(34)を一体的に形成する点でも共通する。
【0045】
図3(e)の第5実施例における取付材1Vは、押さえ材3Vを固定する固定受部が上方が開放する嵌合係止溝18であり、押さえ材3Vに形成した下向き楔状の係止部35と弾性的に係合する以外は、前記第3実施例の取付材1IIIと同様である。なお、太陽電池パネル2の水下側に配設した取付用部材7Vは、この取付材1Vと全く同様の構成であって、説明を省略するが、部材の流用(共有)も可能である。
また、この第5実施例の押さえ材3Vは、前述の係止部35を有する以外は、前記第4実施例の押さえ材3IV本体と同様である。なお、太陽電池パネル2の水下側に配設した固定6Vは、突出部4(34)を備えない以外はこの押さえ材3Vと全く同様の構成であって説明を省略する。
【0046】
図3(f)の第6実施例における取付材1VIは、水下側の取付用部材を兼ねる部材であり、略中央に設けた隆状部19に下地5の裏面側から立設させたボルト1dを挿通させてナット1eにて固定し、さらにその左右にも下地5と接地させた固定部11,11を固定具(ビス)12,12にて固定している。上方が開放する嵌合係止溝18を設けた構成は前記第5実施例の取付材1Vと同様であり、そこに取り付ける押さえ材3Vは前記第5実施例に用いたものと全く同一である。
【0047】
そして、これらの第5,第6実施例では、前記第4実施例と同様に太陽電池パネル2の水上側と水下側との保持構造が殆ど同一となるため、使用する部材を共有(流用)することもできる。また、ほぼ同様な取付構造にて取り付けられるので、前記第1〜第3実施例に比べて太陽電池パネル2を平滑に維持することができる。