(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1架台と第2架台とこれらの間に介装される防振部材とを有し、前記第1及び第2架台の何れか一方が設置面に固定され、他方に設備機器を設置し、当該設備機器の振動が設置面に伝わらないようにする防振架台に備え付けられる減震ストッパ構造であって、
前記第1架台に高さ調整可能に取り付けられ前記第1架台側から前記第2架台側に向かって上下方向に延びる一対の第1側板部と当該第1側板部の端部同士をつなぐように水平方向に延びる第1横板部とからなる第1ストッパ部材と、
前記第2架台に取り付けられ前記第2架台側から前記第1架台側に向かって上下方向に延びる一対の第2側板部と当該第2側板部の端部同士をつなぐように水平方向に延びる第2横板部とからなり前記第1ストッパ部材と立体的に交差して配置された第2ストッパ部材と、
前記第1ストッパ部材の第1横板部と前記第2ストッパ部材の第2横板部との離間を制限する離間制限部材と、を備え、
前記第1ストッパ部材、前記第2ストッパ部材、並びに前記離間制限部材との間にそれぞれ減衰弾性体からなる減震部材が隙間をもって介装されているとともに、
前記第1ストッパ部材が固定部材を介して前記第1架台に固定され、前記固定部材が、一対の側板と前記第1ストッパ部材を固着させた底板とからなり第1架台側が開口したU字型に形成されており、前記側板に上下方向を長手方向とする長孔が設けられ、当該長孔を介し前記固定部材が前記第1架台に固定ボルトを用いてボルト固定されていることを特徴とする減震ストッパ構造。
【背景技術】
【0002】
従来から、発電設備又は屋外空調機等の機器(以下、「設備機器」という。)を載置することにより、当該設備機器の稼動による振動が設置面に伝わることを抑制する防振架台が種々提案されている。
一般的な防振架台は、設備機器を設置する上部架台と、床スラブ等の設置面に固定する下部架台と、両架台間に介装された防振部材を備えており、設備機器の稼動により発生する振動を防振部材で吸収することで、設置面に振動が伝わることを抑制する。
しかしながら、地震や強風などが発生した場合には、設備機器が所定以上の振幅で揺れ、転倒する危険性が生じる。そこで、設備機器が所定以上の振幅で揺れることを防ぐ目的で、防振架台には種々のストッパ構造を備えている。
【0003】
特許文献1には、
図9(a)に示す、耐震ストッパ構造120を備え、上下引き抜き力に抵抗する防振架台110の構成が開示されている。この防振架台110は、床スラブ111に設置された下部架台114上に防振部材113を介して上部架台112が備えられる。
【0004】
図9(b)に防振架台110の耐震ストッパ構造120を拡大し、一部を断面として示す。この耐震ストッパ構造120は、上部架台112にナット130、130によって固定され垂設されるストッパボルト121を備え、このストッパボルト121を下部架台114に設けられた耐震枠116の貫通孔116aに挿通させた構成を有している。
さらに、耐震枠116を挟んで上下に、ストッパボルト121に挿通されて耐震用弾性部材115、115が配設されている。耐震枠116はコの字型の枠材からなり、その上部壁116Aに形成されている貫通孔116aを挿通してストッパボルト121が垂直に設けられている。耐震用弾性部材115は、円筒部115aとフランジ部115bとからなり、円筒部115aにストッパボルト121を挿通して耐震用弾性部材115、115が上部壁116Aの上下を挟むように配置されている。フランジ部115bの外周縁には、その周方向に複数の突部115cが形成されている。耐震用弾性部材115、115は、突部115c、115cを上部壁116A側に向けて、上下逆向きに配置されている。貫通孔116aと各耐震用弾性部材115、115の円筒部115a、115aとの間には、水平方向に一定の隙間eが設けられている。また、耐震枠116と上下の耐震用弾性部材115、115との間には、鉛直方向に一定の隙間f、fが設けられている。
【0005】
この防振架台110において、防振機能と耐震機能とは互いに独立して機能する。即ち、設備機器の稼動により発生する振動を防振部材113で吸収する機能(防振機能)は、上部架台112と下部架台114との間に介装された防振部材113により果たされ、地震や強風によって設備機器が転倒することを防ぐ機能(耐震機能)は、上述の耐震ストッパ構造120により果たされる。
平時において、防振機能を発揮するために、耐震ストッパ構造120は、耐震枠116と水平方向の隙間e及び鉛直方向の隙間fを設け、上部架台112と下部架台114とを絶縁する構造となっている。
【0006】
この耐震ストッパ構造120によれば、大きな揺れが発生した際に耐震用弾性部材115、115が耐震枠116に衝突し、上部架台112が所定以上の振幅で振動することを防止し、また、所定角度以上傾くことを防止する。加えて、平時においては、水平方向の隙間e及び鉛直方向の隙間fによって、上部架台112と下部架台114が絶縁されており、防振機能を発揮することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の防振架台110の耐震ストッパ構造120において、耐震枠116と耐震用弾性部材115との間の水平方向の隙間e及び鉛直方向の隙間fを適切に管理する必要がある。水平方向の隙間e及び鉛直方向の隙間fが狭すぎると、上述した平時における防振機能を十分に果たすことができなくなり、逆に水平方向の隙間e及び鉛直方向の隙間fが広すぎると、地震時の大きな揺れによって、上部架台112と下部架台114とが、大きな振幅をもって相対運動し、耐震枠116と耐震用弾性部材115が衝突時に大きな衝撃力が発生する。この衝撃力により、耐震ストッパ構造120の構成部材が破損したり、また場合によっては、上部架台112に設置された設備機器が破損する虞がある。
【0009】
耐震枠116と耐震用弾性部材115との間の水平方向の隙間e及び鉛直方向の隙間fは、当該防振架台110に設置される設備機器の重量等によって適宜設定されるものであるが、例えば1mm程度であることが望ましく、これにより、前記防振機能を果たしつつ、耐震機能を果たす場合においては、衝撃力を抑えることができる。
水平方向の隙間eは、上部架台112及び下部架台114の各部の寸法精度並びに組み付け精度を適切に設計することで適切に設定できるため、現場搬入前の工場での組み立て工程において、適切に管理できる。
【0010】
しかしながら、耐震ストッパ構造120において、鉛直方向の隙間fは、上部架台112と下部架台114と相対的な位置が決まった後に調整する必要がある。上部架台112と下部架台114との相対的な位置は、当該防振架台110上に設置される設備機器の重量や重心の位置並びに床スラブ111の水平度等、様々な要因に依存するため、工場での組み立て工程において管理することができず、設置現場で設置作業者が個々に設定する必要があった。
発電設備又は屋外空調機等の設備機器は、屋外の壁際などに設置されることが多く、複数個の設備機器を配置する場合においては、隣り合う設備機器同士をできるだけ近接させることで、屋外スペースを有効に使うことが一般的である。したがって、設備機器を載置する防振架台110も、壁際や他の設備機器と近接した場所に設置されることとなるため、作業者が鉛直方向の隙間fを正確に調整することが困難であった。
【0011】
また、特許文献1に記載の防振架台110は、工場で組み立てを行った後、様々な輸送手段により設置現場に搬入される。輸送手段としては、トラック等による陸上輸送、船舶による海上輸送、航空機による空輸等が挙げられ、これらの輸送手段は、輸送途中に輸送対象物に様々な振動を与える。防振架台110は、耐震枠116と耐震用弾性部材115との間の水平方向の隙間e及び鉛直方向の隙間fを有するため、輸送途中の振動により、耐震枠116と耐震用弾性部材115との間に繰り返し衝撃が作用する。この衝撃により、耐震ストッパ構造120を構成する部材が破損する恐れがある。
【0012】
本発明は以上の点を鑑みなされたものであって、容易に隙間管理可能であり、しかも輸送途中の振動による破損を防ぐ防振架台の減震ストッパ構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため本発明の減震ストッパ構造は、第1架台と第2架台とこれらの間に介装される防振部材とを有し、前記第1及び第2架台の何れか一方が設置面に固定され、他方に設備機器を設置し、当該設備機器の振動が設置面に伝わらないようにする防振架台に備え付けられる減震ストッパ構造であって、前記第1架台に高さ調整可能に取り付けられ前記第1架台側から前記第2架台側に向かって上下方向に延びる一対の第1側板部と当該第1側板部の端部同士をつなぐように水平方向に延びる第1横板部とからなる第1ストッパ部材と、前記第2架台に取り付けられ前記第2架台側から前記第1架台側に向かって上下方向に延びる一対の第2側板部と当該第2側板部の端部同士をつなぐように水平方向に延びる第2横板部とからなり前記第1ストッパ部材と立体的に交差して配置された第2ストッパ部材と、前記第1ストッパ部材の第1横板部と前記第2ストッパ部材の第2横板部との離間を制限する離間制限部材と、を備え、前記第1ストッパ部材、前記第2ストッパ部材、並びに前記離間制限部材との間にそれぞれ減衰弾性体からなる減震部材が隙間をもって介装されている
とともに、前記第1ストッパ部材が固定部材を介して前記第1架台に固定され、前記固定部材が、一対の側板と前記第1ストッパ部材を固着させた底板とからなり第1架台側が開口したU字型に形成されており、前記側板に上下方向を長手方向とする長孔が設けられ、当該長孔を介し前記固定部材が前記第1架台に固定ボルトを用いてボルト固定されていることを特徴とする。
【0015】
また、前記減震ストッパ構造は、前記固定部材の側板から突出し前記長孔の横に形成された固着ボルトと、前記固着ボルトと前記固定ボルトとを橋渡しするようにこれらに挿通される孔を備えた梃子板部材と、を備え、前記梃子板部材を介し前記固定ボルト及び前記固着ボルトにそれぞれ固定ナットが螺着されていても良い。
【0016】
また、前記減震ストッパ構造は、前記第2架台が、前記離間制限部材として機能し、
前記第1横板部が、前記第2横板部と前記第2架台の間に配置され、
前記第1横板部と前記第2架台の間、並びに前記第1横板部と前記第2横板部との間に、前記減震部材が隙間をもって介装されていることが好ましい。
【0017】
本発明の防振架台は、前記減震ストッパ構造を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の減震ストッパ構造は、第1ストッパ部材と第2ストッパ部材とを備えており、これらが立体的に交差して配置されている。
水平方向においては、第1ストッパ部材の第1横板部と第2ストッパ部材の一対の第2側板部、並びに第2ストッパ部材の第2横板部と第1ストッパ部材の一対の第1側板部とが所定の隙間と減震部材を介して配置されている。鉛直方向においては、さらに第1横板部と、第2横板部との離間を制限する離間制限部材が備えられており、第1横板部、第2横板部、離間制限部材のそれぞれの間に所定の隙間を介し減震部材が介装されている。これによって、水平方向及び鉛直方向の何れにおいても、防振機能を阻害することがなく、地震などが発生し、防振架台に大きな振動が入力された場合において、これらが干渉し隙間以上に、第1架台と第2架台が相対運動することがなく設備機器の転倒を防止することができる。また、減震部材が介装されることにより、各部材が干渉する際に直接衝突することを防ぎ、衝突時に振動によるエネルギーを吸収し、振動を減衰させることができる(減震機能)。
また、本発明の減震ストッパ構造は、断面がU字型の第1ストッパ部材と第2ストッパ部材とを組み合わせた構造からなる。第1及び第2ストッパ部材は、板材料を曲げ加工することにより安価に製造可能であるため、製造コストを抑えることができる。
加えて、本発明の減震ストッパ構造において、水平方向並びに鉛直方向の減震機能は、各部材間に介装された減震部材によってなされ、干渉時には面同士で接触するため、広い面積でのエネルギー吸収が可能であり減震効率を高めることができる。
また、固定部材の側板に形成した長孔によって固定部材の第1架台への取り付け高さを調整できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態である減震ストッパ構造を備えた防振架台について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0021】
図1に、本発明の実施形態である減震ストッパ構造30が適用された防振架台1の斜視図を示す。防振架台1は、建築物等の床スラブ(設置面)18にアンカーボルト(図示略)などで固定された第2架台(下部架台)14と、第2架台14と所定の間隙を隔てて対向配置された第1架台(上部架台)12とを備えている。
【0022】
図1に示すように、第1架台12と第2架台14との間には、防振部材16が複数(
図1の形態では6個)介装されており、これらの防振部材16により第1架台12は第2架台14上に弾性支持されている。防振部材16は、内部にバネ材(図示せず)を有しており、第2架台14と第1架台12との間に配設され、第1架台12上に設置された設備機器の荷重を担持するとともに、設備機器から発生する振動を吸収・緩衝する働きをもつ。防振部材16は第1架台12上に設置される設備機器の重心位置を考慮し、第2架台14と第1架台12の間の適所に複数箇所設置される。
【0023】
図1に示すように、第1架台12は、平面視で矩形枠状の部材であり、角部に配置された4つの第1コーナ部材22と、各第1コーナ部材22間を架け渡す4本のフレーム部材12a、12a、12a、12aとを備えている。また、第2架台14は、第1架台12と同様の構成からなり、角部に配置された4つの第2コーナ部材24と、各第2コーナ部材24間を架け渡す4本のフレーム部材14a、14a、14a、14aとを備えている。
【0024】
第1架台12の第1コーナ部材22、及び第2架台14の第2コーナ部材24は、互いに直交する2本のフレーム部材12a、12a(又はフレーム部材14a、14a)の端部同士を接合するためのものであり、水平方向の外側に向けて開放された略箱型形状に形成されている。そして、第1及び第2コーナ部材22、24の側面のうち、水平方向の内側を向く面にそれぞれのフレーム部材12a、12a(又はフレーム部材14a、14a)が接合されている。
【0025】
防振架台1の四隅であって第1コーナ部材22と第2コーナ部材24の間には、予備ストッパ構造20が備えられている。この予備ストッパ構造20は、第1架台12と第2架台14とを鉛直方向及び水平方向に相対運動可能に連結するとともに、第2架台14に対する第1架台12の相対的な変位量を規制している。
図2として、予備ストッパ構造20の正面視における部分断面図を示す。
予備ストッパ構造20は、第1コーナ部材22の底板部22aに形成された貫通孔22bを挿通する予備ストッパボルト23と、当該予備ストッパボルト23を第2コーナ部材24の天板部24aに固定するためのワッシャ26、26並びにナット25、25を備えている。さらに、第1コーナ部材22に形成された貫通孔22bと予備ストッパボルト23の間には、弾性部材27が介装されている。
【0026】
弾性部材27は、円筒部27bとフランジ部27aとを有する。円筒部27bは、予備ストッパボルト23の軸部23bと貫通孔22bの間に介装される。また、フランジ部27aは、予備ストッパボルト23の頭部23aと第1コーナ部材22の底板部22aに介装される。
円筒部27bは、貫通孔22bの内周面に接し、さらに予備ストッパボルト23の軸部23bと水平方向の隙間pを設けて介装されている。
また、フランジ部27aは、第1コーナ部材22の底板部22a上に載置され、予備ストッパボルト23の頭部23a底面と鉛直方向の隙間qを設けて介装されている。
弾性部材27は、ゴムなどの弾性体から形成されている。したがって、第1架台12と第2架台14の相対運動により、水平方向及び鉛直方向の隙間p、qがなくなり、予備ストッパ構造20の構成部材同士が衝突した際に、衝撃を吸収し、当該構成部材の破損を防ぐことができる。
【0027】
予備ストッパ構造20は、第1架台12と第2架台14とを相対移動可能に連結するとともに、鉛直方向及び水平方向に相対運動した際の変位量を規制している。
なお、水平方向の隙間p及び鉛直方向の隙間qは、設置現場において目視により確認できる程度の広さであれば良く、それぞれ3mm程度であることが好ましい。
また、この予備ストッパ構造20は、大きな地震による振動により後述する減震ストッパ構造30の構成部材の一部が変形した場合に、載置された設備機器の転倒を防ぐ目的で予備的に備えられるものである。したがって、上述した水平方向の隙間p及び鉛直方向の隙間qは、
図4を基に後段で詳しく説明する減震ストッパ構造30の構成部品同士の距離h、iよりも大きく設定することが望ましく、これにより減震ストッパ構造30の作用を阻害することはない。
【0028】
図1に示すように、第1架台12の長辺を構成する2つのフレーム部材12a、12aには、それぞれ2つの取付片部28が設けられている。各取付片部28には設備機器固定用の取付孔29が形成されており、第1架台12に設備機器を載置した後、当該取付孔29にボルトを挿通し、設備機器と螺合することにより、設備機器を固定することができる。
【0029】
第1架台12及び第2架台14を構成する各フレーム部材12a、14aは、防錆処理型鋼やFRP材を矩形に枠組みして形成されたものからなる。本実施形態において特に説明がない場合は、第1架台12及び第2架台14を構成する各フレーム部材12a、14aは、防錆処理型鋼であるものとする。
なお、本実施形態の防振架台1の構成は一例であり、フレーム部材12a、14aの材質、第1架台12、第2架台14を構成する部材数等は、第1架台12に固定される設備機器の重量や当該設備機器の振動特性に従って適宜決定することが望ましい。
【0030】
第1架台12の長辺を構成する2つのフレーム部材12a、12aとこれに対向する第2架台14の長辺を構成する2つのフレーム部材14a、14aとの間にはそれぞれ2つの減震ストッパ構造30が設けられている。即ち、第1架台12及び第2架台14には、4つの減震ストッパ構造30が設けられている。この減震ストッパ構造30は、地震時に第1架台12と第2架台14とが大振幅で相対運動することを抑制し、設備機器の転倒を防止している。
【0031】
図3に、減震ストッパ構造30の斜視図を示し、
図4(a)、(b)に、それぞれ減震ストッパ構造30の側面図、正面図を示す。
なお、以下の説明では、第1架台12及び第2架台14のフレーム部材12a、14aが延在する方向をX軸方向とし、水平方向であって当該X軸に直交する方向をY軸方向とし、鉛直方向をZ軸方向とする。以下必要に応じて、XYZの直交座標系を用いて説明する。
減震ストッパ構造30は、第1架台12に、固定部材4を介し固定された第1ストッパ部材2と、第2架台14に直接固定された第2ストッパ部材3とを備え概略構成されている。第1ストッパ部材2は、固定部材4に溶接により接合されている。
【0032】
固定部材4は、一対の側板4a、4aと底板4bとからなり、第1架台12側が開口したU字型に形成されており、一対の側板4a、4aの上部側でフレーム部材12aの両側を挟み込むように固定部材4が第1架台12に装着されている。また、底板4bには、第1ストッパ部材2が溶接固定されている。
なお、後段において説明するが、固定部材4の側板4aには、鉛直方向を長手方向とする長孔4c(
図4(b)参照)が形成されており、固定部材4の第1架台12への取り付け高さは、この長孔4cにおいて、ボルト固定される位置を調整することにより調整可能である。また、固定ボルト8A及び固定ナット8Bによる締結にあたっては、梃子板部材10を介し固定がなされている。
【0033】
第1ストッパ部材2は、一対の第1側板部2a、2aと第1横板部2bとからU字型に構成されている。一対の第1側板部2a、2aは上下方向に延びて形成され、この一対の第1側板部2a、2aの下端部同士を接続するように水平方向に第1横板部2bが形成されている。第1側板部2a、2aの上端部は、固定部材4の側板4aの下面に突き当られて溶接されている。なお、一対の第1側板部2a、2aは、第1架台12のフレーム部材12aの延在方向(X軸方向)に対し垂直に配置されている。
【0034】
第2ストッパ部材3は、一対の第2側板部3a、3aと第2横板部3bとから逆U字型に構成されている。一対の第2側板部3a、3aは上下方向に延びて形成され、この一対の第2側板部3a、3aの上端部同士を接続するように水平方向に第2横板部3bが形成されている。第2ストッパ部材3は、逆U字型の開口方向を第2架台14のフレーム部材14aに向け、フレーム部材14aに跨るように配置されている。一対の第2側板部3a、3aには孔が形成されており、当該孔とフレーム部材14aに固定ボルト9Aを挿通し、ワッシャ9Cを介し固定ナット9Bを締結することにより、第2ストッパ部材3を第2架台14に固定している。したがって、一対の第2側板部3a、3aは、第2架台14のフレーム部材14aの延在方向(X軸方向)に沿うように配置されている。即ち、第1ストッパ部材2と第2ストッパ部材3は、第2側板部3a、3aが第1側板部2a、2aに対し直交するように互いに配置されている。
【0035】
第1ストッパ部材2と第2ストッパ部材3は、立体的に交差して組み合わされ配置されている。即ち、一対の第1側板部2a、2aの間に第2横板部3bが配置され、一対の第2側板部3a、3aの間に第1横板部2bが配置されている。
また、第1横板部2bは、第2横板部3bと、第2架台14のフレーム部材14aの上面14bとの間に介在する構造となっている。第2架台14のフレーム部材14aは、第1横板部2bと、第2横板部3bとの離間を制限する離間制限部材として機能しており、第1横板部2bが下方に移動し第2横板部3bと所定の距離だけ離間すると、フレーム部材14aの上面14bと干渉しそれ以上に下方には移動することができない。
【0036】
図4(a)、(b)に示すように、第1ストッパ部材2、第2ストッパ部材3、並びに第2架台14のフレーム部材14a(離間制限部材)との間にそれぞれ減衰弾性体からなる減震部材5A、5B、6A、6Bが所定の距離h、iの隙間をもって介装されている。なお、減震部材5A、5B、6A、6Bは、矩形の板状に形成され片面に接着層を備えており、当該接着層により各部材に貼付されている。
減震部材5A、5B、6A、6Bは、弾性と減衰性を合わせ持つ材料からなり、例えば硬度30〜40度で且つ動的粘弾性特性tanδが0.5以上となる減衰ゴムや、高減衰性熱可塑性エラストマー樹脂等の材料を適用することができる。地震等により鉛直方向に大きな振動が加わった際には、これらの減震部材5A、5B、6A、6Bが各部材と衝突し、地震の衝撃を和らげるとともに、地震のエネルギーを減衰させることができる。
【0037】
減震部材5A、5B、6A、6Bのうち、水平方向の衝撃緩衝は、第1水平減震部材5A、5A及び第2水平減震部材5B、5Bによって行われる。
第1水平減震部材5Aは、
図4(b)に示すように、第1側板部2aと、第2ストッパ部材3の縁部3cの間であって、第1側板部2aに貼付されている。第2水平減震部材5Bは、
図4(a)に示すように、第2側板部3aと、第1ストッパ部材2の縁部2cの間であって、第2側板部3aに貼付されている。また、第1ストッパ部材2の縁部2cと第2側板部3aの間、並びに第2ストッパ部材3の縁部3cと第1側板部2a、2aの間には、第1、第2水平減震部材5A、5Bとともに、距離iの隙間が形成されている。
【0038】
減震部材5A、5B、6A、6Bのうち、鉛直方向の衝撃緩衝は、第1鉛直減震部材6A、6A及び第2鉛直減震部材6B、6Bによって行われる。
図4(a)、(b)に示すように、第1鉛直減震部材6Aは、第1横板部2bの下面2dと、第2架台14のフレーム部材14aにおける上面14bの間であって、第1横板部2bの下面2dに貼付されている。第2鉛直減震部材6Bは、第2横板部3bの下面3dと、第1横板部2bの上面2eの間であって、第2横板部3bの下面3dに貼付されている。また、第1横板部2bとフレーム部材14aの間、及び第2横板部3bの間には、第1、第2鉛直減震部材6A、6Bとともに、距離hの隙間が形成されている。
【0039】
距離iの水平方向の隙間、並びに距離hの鉛直方向の隙間は、共に1〜1.5mm程度であることが望ましい。この水平方向の距離iの隙間、並びに鉛直方向の距離hの隙間は、想定される地震の最大震度の大きさ等に応じて設定され、1〜1.5mm程度に限らず、設計段階で想定する地震の大きさに従い決定すればよい。また、予備ストッパ構造20の水平方向の隙間pに対し距離iを小さく設定し、鉛直方向の隙間qに対し距離hを小さく設定することで、予備ストッパ構造20により、水平方向及び鉛直方向の減震機能(地震のエネルギを減衰させる機能)が阻害されることが無く望ましい。
【0040】
本実施形態の減震ストッパ構造30は、水平方向及び鉛直方向にそれぞれ距離i、距離hの隙間が設けられ、これらの隙間によって、第1架台12と第2架台14とが分離されているため、定常状態においては設備機器の振動を床スラブ18に伝えない防振機能を阻害することがない。
【0041】
また、地震などが発生し、防振架台1に大きな振動が入力された場合においては、水平方向(X−Y平面内の方向)と鉛直方向(Z軸方向)の振動に対しそれぞれ減震機能を作用させることができる。
水平方向の振動は、X軸方向とY軸方向の振動に分けられる。X軸方向の振動に対しては、第2ストッパ部材3の縁部3cと第1側板部2aとが第1水平減震部材5Aを介して干渉する。Y軸方向の振動に対しては、第1ストッパ部材2の縁部2cと第2側板部3aとが第2水平減震部材5Bを介して干渉する。
【0042】
鉛直方向(Z軸方向)の振動は、第1架台12と第2架台14が離間する方向(+Z方向とする)の振動と、接近する方向(−Z方向とする)の振動に分けることができる。+Z方向の振動に対しては、第1横板部2bと第2横板部3bが、第2鉛直減震部材6Bを介して干渉する。−Z方向の振動に対しては、第1横板部2bと第2架台14のフレーム部材(離間制限部材)14aとが、第1鉛直減震部材6Aを介して干渉する。
【0043】
これらの作用により、第1架台12と第2架台14は、鉛直及び水平に設けられた距離h、iの隙間以上に、相対運動することがなく、第1架台12に設置される設備機器の転倒を防止できる。また、減衰弾性体からなる減震部材5A、5B、6A、6Bの働きにより、地震発生時の振動による各部材の干渉において、各部材が直接衝突することを抑止ができるため、これらが破損することを防ぐことができる。加えて、衝突時に振動によるエネルギーを吸収し、振動を減衰させることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、上述の各部材に減震部材5A、5B、6A、6Bを貼付したが、地震発生時に干渉する各部材間のいずれか一方又は両方に減震部材が固定されていればよく、その固定方法も接着に限らずビス止め等の方法を採用可能である。また、本実施形態の減震部材5A、5B、6A、6Bの形状は、矩形の板状であるが、各部材が直接衝突することを防ぎ、効果的に振動を減衰させることができるものであれば、その形状は限定されない。
【0045】
本実施形態の減震ストッパ構造30は、断面がU字型の第1ストッパ部材2と第2ストッパ部材3とを組み合わせた構造となっている。第1ストッパ部材2と第2ストッパ部材3は、板材料を曲げ加工することにより安価に製造可能であるため、製造コストを抑えることができる。また、本実施形態の減震ストッパ構造30において、水平方向並びに鉛直方向の減震機能は、各部材間に介装された減震部材5A、5B、6A、6Bによってなされ、干渉時には面同士で接触するため、広い面積でのエネルギー吸収が可能であり減震効率を高めることができる。
【0046】
次に、第1架台12のフレーム部材12aへの固定部材4の固定方法について説明する。固定部材4の側板4aには、
図4(b)に示すように長孔4cが形成されており、固定部材4の第1架台12への取り付け高さは、この長孔4cにおいて、ボルト固定される位置を変えることで調整できる。また、固定ボルト8A及び固定ナット8Bによる締結に当たっては、梃子板部材10を介し固定がなされている。
固定部材の側板4aには、前記長孔4cの横に固着ボルト7Aが突出している(
図5(b)参照)。この固着ボルト7Aは、スタッド溶接により固着接合されている。
梃子板部材10は、
図6に示すように、細長の梃子板本体10cからなり、当該梃子板本体10cには、長手方向に並んで第1孔10a、第2孔10bが形成されている。
このうち第2孔10bは、第1孔10a側(即ち長手方向側)を長手方向とする長孔となっている。梃子板部材10は、固定ボルト8Aと固着ボルト7Aを橋渡しするように、固定ボルト8Aに第1孔10aが挿通され、固着ボルト7Aに第2孔10bが挿通されて配置されている。
【0047】
図5(a)に
図4のA−A線に沿った断面図を示し、
図5(b)に
図4のB−B線に沿った断面図を示す。
図5(a)に示すように、固定ボルト8Aは、第1架台12のフレーム部材12aを貫通する貫通孔12c、固定部材4の長孔4c、梃子板部材10の第1孔10aに挿通されている。さらに固定ボルト8Aには、ワッシャ8Cを介し固定ナット8Bが締結され、第1架台12と固定部材4を固定している。
また、
図5(b)に示すように、固定部材4の側板4aから突出する固着ボルト7Aには、梃子板部材10の第2孔10bが挿通され、さらにワッシャ7Cを介し固定ナット7Bが締結されている。
【0048】
防振架台1において、固定ボルト8Aに螺着された固定ナット8Bと固着ボルト7Aに螺着された固定ナット7Bは緩められた状態で第1架台12に設備機器を載置する。設備機器を載置することでその重量により防振部材16(
図1参照)が圧縮され、第1架台12が沈み込み第2架台14に接近する。このとき、固定部材4の長孔4cに挿通される固定ボルト8Aは、前記長孔4cに沿って下方(−Z方向)に移動する。一方、固着ボルト7Aは、固定部材4に固着しているため、高さ方向に移動しない。したがって、固定ボルト8Aと固着ボルト7Aに嵌め込まれた梃子板部材10は、固着ボルト7Aを中心として回転する。固着ボルト7Aに固定ナット7Bを締結することにより、梃子板部材10の回転を抑止することができるため、固定ボルト8Aの鉛直方向(Z軸方向)の移動を止めて固定することができる。
なお、固着ボルト7Aを挿通する梃子板部材10の第2孔10bは、第1孔10a側に延びる長孔となっている。したがって、固定ボルト8Aの長孔4cに沿う移動に伴い固定ボルト8Aと固着ボルト7Aのが離間しても、長孔である第2孔10bに沿って梃子板部材10が移動し、固定ボルト8Aの長孔4cに沿う移動を阻害しない。
【0049】
固定ボルト8Aに固定ナット8Bを締結することにより、固定部材4と第1架台12を締結することができ、さらに固着ボルト7Aに固定ナット7Bを締結することにより、梃子板部材10の回転を抑止することが可能となり、固定部材4と第1架台12の固定をより強固なものとし、さらに緩み防止機能を果たすことができる。
【0050】
次に
図7(a)〜(c)を基に、減震ストッパ構造30を備えた防振架台1の設置手順の一例を示す。
図7(a)に工場からの出荷段階での減震ストッパ構造30を示す。以下に、
図7(a)に示す状態に至るまでの工場での組み立て工程を説明する。
【0051】
まず、第2架台(下部架台)14に防振部材16(
図1参照)を設置し、さらに当該防振部材上に第1架台(上部架台)12を設置する。この工程において、防振架台1の四隅であって第1及び第2コーナ部材22、24の間に、防振部材16と予備ストッパ構造20(
図1及び
図2参照)を取り付ける。
次に、第1架台12のフレーム部材12aに、第1ストッパ部材2が溶接された固定部材4を取り付ける。なお、第1ストッパ部材2の第1横板部2b及び第1側板部2a、2aには、それぞれ第1鉛直減震部材6A、6Aと第1水平減震部材5A、5Aを予め貼付しておく。
第1架台12への固定部材4の取り付けは、第1架台12のフレーム部材12aに設けられた貫通孔12c(
図5(a)参照)と固定部材4の長孔4cに固定ボルト8Aを挿通した後に、固定部材4から突出する固着ボルト7Aと前記固定ボルト8Aに、それぞれ梃子板部材10の第2孔10bと第1孔10aを嵌め込み、それぞれワッシャ7C、8Cを介し固定ナット7B、8Bを螺着することで行う。なお、この状態においては、固定ナット7B、8Bは締結することなく、緩めた状態にしておく。
【0052】
次に、第2架台14のフレーム部材14aに、第2ストッパ部材3を取り付けを行う。第1ストッパ部材2の一対の第1側板部2a、2aの間に第2ストッパ部材3を通して、第1ストッパ部材2と第2ストッパ部材3とを立体的に交差させ、第2ストッパ部材3をフレーム部材14aに固定ボルト9A、ワッシャ9C、固定ナット9Bを用いて固定する。固定する際に、第2ストッパ部材3の第2架台14への取り付け高さは適当な治具を用いて正確に調整する。
なお、第2ストッパ部材3の第2横板部3b及び第2側板部3a、3aには、それぞれ第2鉛直減震部材6B、6Bと第2水平減震部材5B、5Bを予め貼付しておく。
【0053】
次に、第1横板部2bの下面2dに貼付された第1鉛直減震部材6Aと、第2架台14のフレーム部材14aの上面14bの間にスペーサ17を挿入する。このスペーサ17は、
図4(a)、(b)に示す距離hと同じ厚さを有している。
この状態で、第1架台12に適当な荷重を加え、防振部材16(
図1参照)を圧縮させ第1架台12と第2架台14を近接させる。さらに、固定部材4と第1架台12とを固定する固定ナット7B、8Bを固着ボルト7A、固定ボルト8Aに締結しした後に、第1架台12に加えた荷重を解除することで第1架台12と第2架台14を固定する。
【0054】
これらの工程を経ることにより減震ストッパ構造30は、
図7(a)に示す状態となる。
図7(a)に示す状態において、防振部材16を圧縮させており、この防振部材16の弾発力により第1架台12と第2架台14が固定されている。したがって、スペーサ17には上下方向の圧力により挟持され抜け落ちることがない。また、この状態の防振架台1は鉛直方向にガタツキがない。
また、スペーサ17と第2架台14の上面14bとの間、並びにスペーサ17と第1鉛直減震部材6Aとの間には、防振部材16の圧縮力に起因するフリクションが働くため、水平方向の隙間がガタツキとなる事はない。
図7(a)に示す状態の防振架台1は、トラック輸送等の輸送手段により現場に輸送される。第1架台12と第2架台14は、ガタツキが抑制されているため輸送の際に振動が加わったとしても、第1架台12と第2架台14とが相対的に運動することは無く、したがって、減震ストッパ構造30において、各部が衝突することが無いため、構成部材の破損を防ぐことができる。
【0055】
設置現場に搬送された
図7(a)に示す状態の防振架台1は、
図7(b)、(c)に示す手順を経て現場に設置される。
まず、設置現場の床スラブ18に第2架台14が固定される。
次に、固定部材4と第1架台12とを固定している固定ナット7B、8B及び固着ボルト7A、固定ボルト8Aを緩める。これにより、第1架台12と第2架台14とによって圧縮された防振部材16を解放する。
次に、設備機器13を第1架台12に載置し固定する。設備機器13の重みにより、第1架台12と第2架台14に介装されている防振部材16が沈み込み、第1架台12と第2架台14とが近接する。これに伴い、長孔4cに挿通された固定ボルト8Aが、長孔4cに沿って下方に移動する。また、梃子板部材10が第2孔10bを挿通する固着ボルト7Aを中心に回転し、
図7(b)に示す状態となる。
なお、第1架台12の沈み込み量は、第1架台12に載せる設備機器13の重量及び防振部材16の弾性係数により決まるため、長孔4cの鉛直方向の長さは、設備機器13の重量及び防振部材16の弾性係数に応じて第1架台12の沈み込み量を吸収するために十分な長さに設定される。
【0056】
設備機器13を第1架台12に載置した直後は、防振部材16の弾性特性により第1架台12が鉛直方向(Z軸方向)に振動するため、この振動が十分に減衰したことを確認した後に、固定部材4を第1架台12に固定する必要がある。第1架台12が振動すると、これに応じて梃子板部材10が、固着ボルト7Aを中心に回転振動を行う。作業者は、この回転振動の減衰状況から第1架台12の振動の減衰を容易に確認することができ、振動が十分に減衰した後に、固定部材4と第1架台12を固定する。
【0057】
固定部材4の第1架台12への固定手順は、まず、固定ボルト8Aと固定ナット8Bの締結により固定部材4を第1架台12に固定し、さらに固着ボルト7Aと固定ナット7Bの締結により梃子板部材10の回転を抑止して行う。
次に、
図7(c)に示すように、スペーサ17を抜去して、第1ストッパ部材2の第1横板部2bと第2架台14のフレーム部材14aの上面14bとの間に、第1鉛直減震部材6Aを介して距離hの隙間を形成する。
なお、第1ストッパ部材2の第1横板部2bの上面2eと第2ストッパ部材3の第2横板部3bの下面3dとの間の隙間は、第1横板部2bとフレーム部材14aの上面14bの隙間の距離を決めることで一意的に決まる。したがって、第2架台14に対し第2ストッパ部材3を治具などを用いて高さ調整して固定しておくことで、適切な距離hに設定することができる。
以上の工程により、本実施形態の減震ストッパ構造30を備えた防振架台1の設置が完了する。
【0058】
本実施形態の減震ストッパ構造30は、
図1に示すように、第1架台12を上部架台とし、当該上部架台に固定部材4を介し第1ストッパ部材2が固定され、第2架台14を下部架台とし、当該下部架台に第2ストッパ部材3が固定される構造を有する。
しかしながら、本発明が適用される防振架台は、これに限ったものではない。即ち、第1架台12を下部架台とし、当該下部架台に固定部材4を介し第1ストッパ部材2が高さ方向調整可能に取り付けられ、第2架台14を上部架台とし、当該上部架台に第2ストッパ部材3が固定される構造であっても良い。この場合は、第1架台12が床スラブ(設置面)18に固定され、第2架台上に設備機器13が載置され、第1ストッパ部材2と第2ストッパ部材3の上下の位置関係が反転する。
【0059】
(変形例)
図8(b)は、上述した実施形態の変形例である減震ストッパ構造31(設備機器13設置後)の正面図であり、
図8(a)は、
図8(b)のC−C線に沿った断面図である。なお、
図8(b)は、
図7(c)として示す設備機器13設置後の減震ストッパ構造30の正面図と対応している。変形例の減震ストッパ構造31は、上述した実施形態の減震ストッパ構造30と比較して、主に第1架台12への固定部材4の取り付け構造が異なる。
【0060】
変形例の減震ストッパ構造31は、第1架台12への固定部材4の取り付けにあたって、2つの梃子板部材(第1梃子板部材10A、第2梃子板部材10B)を用いている。これらの第1梃子板部材10A及び第2梃子板部材10Bは、ともに上述した実施形態の減震ストッパ構造30における梃子板部材10(
図6参照)と同一形状である。
なお、本変形例の減震ストッパ構造31における第1ストッパ部材2、第2ストッパ部材3、固定部材4は、寸法、設けられた孔の数等、細部においては上述の実施形態と異なるが、概略構成が同一であるため、同一符号を付し特徴となる構成要素以外の説明は省略する。
【0061】
この減震ストッパ構造31において、第2ストッパ部材3は、2組の固定ボルト9A、9A、固定ナット9B、9B、ワッシャ9C、9Cによって、第2架台14のフレーム部材14aに固定されている。これにより、より強固に第2ストッパ部材3を固定することができる上に第2ストッパ部材3が水平面に対し傾いて取り付けられることを防ぐことができる。
【0062】
また、第1ストッパ部材2は、固定部材4を介し第1架台12のフレーム部材12aに固定されている。固定部材4には、一対の長孔4c、4cが平行に並んで設けられており、さらにこれらの一対の長孔4c、4c同士の中間には、固着ボルト7Aがストッパ溶接により固着されている。固定部材4を第1架台12に固定する際には、
図8(a)に示すように、一対の固定ボルト8A、8Aを、第1架台12のフレーム部材12aを貫通する貫通孔12c、12cと固定部材4の長孔4c、4cにそれぞれ挿入する。さらに一対の固定ボルト8A、8Aのうち、一方は、第1梃子板部材10Aの第1孔10aを挿通し、ワッシャ8Cを介し固定ナット8Bが締結されている。また、一対の固定ボルト8A、8Aのうち他方は、ワッシャ型スペーサ15の中央孔15aと第2梃子板部材10Bの第1孔10aを挿通し、ワッシャ8Cを介し固定ナット8Bが締結されている。なお、ワッシャ型スペーサ15は、第1梃子板部材10A及び第2梃子板部材10Bと同じ厚みを有するワッシャ形状のスペーサである。
【0063】
固定部材4の側板4aから水平方向に突出する固着ボルト7Aは、第1梃子板部材10Aの第2孔10b、及び第2梃子板部材10Bの第2孔10bをそれぞれ挿通している。さらにワッシャ7Cを介し固定ナット7Bが締結され、第1梃子板部材10A及び第2梃子板部材10Bの回転を抑止している。
【0064】
本変形例の減震ストッパ構造31は、一対の固定ボルト8A、8Aにそれぞれ固定ナット8B、8Bを締結する構造となっているため、上述した実施形態の減震ストッパ構造30と比較してより強固に固定部材4と第1架台12を締結することができる。また、第1梃子板部材10A及び第2梃子板部材10Bが備えられており、これらが固着ボルト7Aと固定ナット7Bにより同時に締結されている。これによって、第1梃子板部材10A及び第2梃子板部材10Bの回転を同時に抑止することが可能となり、固定部材4と第1架台12の固定をさらに強固なものとでき、さらに緩み防止機能を果たすことができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態およびその変形例について説明したが、これらの各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は本実施形態によって限定されることはない。