(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の前記部材のうち3つの前記部材が3方向から交差する部分において、左右が2方向、下側を1方向としたとき、左右2方向の前記管状部位の管の直径方向略半分の空間が前記交差部分の上側に設けられる
請求項1又は2に記載の車両。
複数の前記部材のうち3つの前記部材が3方向から交差する部分において、左右が2方向、下側を1方向としたとき、前記交差部分において左右2方向の前記管状部位の管の上側から凸状に前記下側方向に対して半球状の空間が設けられる
請求項1又は2に記載の車両。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の実施形態を示している。
図1に基づいて本発明の車両の骨格について説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る車両1である。車両1は複数の部材により主要な骨格が形成されており、フロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などから構成されている。
【0028】
フロントピラー部10は車両1の車室空間を構成する前部を形成しており、フロントガラスのサイドを保持するように配置される。また、フロントピラー部10は、車両の下部に向かって形成され、サイドシル部13と結合する。
【0029】
ルーフピラー部11は、車両1の車室空間を構成する上部の前後方向に延設されており、車両1の屋根のサイド部分を形成している。
【0030】
センターピラー部12は、車両1の前側ドアと後側ドアの間に設けられた柱状のピラーであり、車両1のサイド部分にルーフピラー部11とサイドシル部13の間を上下方向に配置されている。
【0031】
サイドシル部13は、車両1のサイド下部を、車両1の前後方向に配置されている。
【0032】
各部材はさらに複数の部材から構成されており、例えば、インナー部材とアウター部材を接合したものや、インナー部材とアウター部材の間にリンフォース(補強部材)を挿入し接合したものがある。
【0033】
図2は、本発明の実施形態に係る車両の一部拡大分解図である。モノコック構造を有する車両の一部は、フロントピラーアウター部10A、ルーフピラーアウター部11A、センターピラーアウター部12A、サイドシルアウター部13Aから構成される。それぞれの部材間の接合部の断面は、ほぼコの字形状またはC字形状となっている。
【0034】
これらの部材のうち3つの前記部材が交差する部分、または1つ若しくは2つの部材が3方向で交差する部分に補強部材を設けている。本実施形態では、センターピラーアウター部12Aにおいて3方向で交差する部分に補強部材20を設けた。補強部材20は、炭素繊維強化樹脂で形成されている。
【0035】
上記のように構成したので、炭素繊維強化樹脂で形成された補強部材により、衝突に対する強度を好適に保つことが可能となる。また、炭素繊維強化樹脂特有の剛性により、荷重に対する伝達を好適に行うことができる。
【0036】
さらに、補強部材20は立体構造であり、中身も炭素繊維強化樹脂で詰まった状態の構造であるため、振動等により発生する騒音を吸収し、防音材・防振材としても機能する。
【0037】
このため、衝突安全性と操縦安定性を両立することが可能となる。また、従来の場合では、補強をするためには、鋼板、鉄板、アルミなどを使用する必要があったが、軽量な炭素繊維強化樹脂で形成したため、全体として車両1の軽量化を図ることが可能となる。さらに、防音材・防振材としても機能するため、車室内に対する防音・防振効果もある。
【0038】
また、例えば、センターピラー部12に対して、側方から瞬間的な力があった場合、センターピラー部12とサイドシル部13の接合部であり、3方向で交差する部分に対する強度および伝達を行う剛性が両立していないと、センターピラー部12へかかる力がうまく伝達されず、また不十分な強度であることから、折れ曲がる可能性がある。しかし、本実施形態によれば、強度と剛性を両立するように強化樹脂を設計することで、センターピラー部12へかかる力をうまく他の部材へと伝達し、折れ曲がらないようにすることもできる。
【0039】
また、センターピラー部12の上部、ルーフピラー部11との接合に、補強部材を設けるようにしてもよい。この場合、側方からの力が補強部材を介してルーフピラー部11の車両前部と後部方向へと分散されるため、センターピラー部12がルーフピラー部11を破損することを抑えることができる。
【0040】
上述したような外部からの力の伝達や、外部からの力に対抗するための強度が必要な交差部、例えば、
図1で説明したフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13だけでなく、フロントサイドメンバー、スティフナー、センタートンネルにおける接続部や3方向で交差する交差部に対しても、本発明を適用することが可能である。また、サイドシルとトルクボックス、サイドシルとAピラー、サイドシルとBピラー、サイドシルとクロスメンバ、Aピラーとアッパフレーム、Aピラー(またはサイドパネル)とフロントルーフレール(横方向横断部材)、サイドパネルとルーフセンターブレース(横方向横断部材)、C/Dピラー(またはサイドパネル)とリアルーフレール(横方向横断部材)に対しても、本発明を適用することが可能である。
【0041】
また、これら交差部での接合部分において間隙がある場合には、その間隙に炭素繊維強化樹脂からなる補強部材を挿入し、補強部材を介して接続することで、要求される強度と剛性にするように調節することも可能になる。
【0042】
ここで、本発明の基本的な実施形態では、炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)を用いたが、繊維強化樹脂(FRP:Fiber Reinforced Plastics)、炭素繊維強化熱硬化性樹脂(CFRTS:Carbon Fiber Reinforced Thermosets)、炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP:Carbon Fiber Reinforced Thermoplastics)であってもよい。これらは、部位に要求される強度特性や剛性特性、その他の条件に応じて使用することが可能である。
【0043】
また、本発明の基本的な実施形態では、補強部材20は立体構造であり、中身も炭素繊維強化樹脂で詰まった状態の構造としたが、中身を炭素繊維強化樹脂とするのではなく、発泡剤を充填させた構造などでもよい。これにより、より防音効果や防振効果がある発泡剤を選択することも可能である。
【0044】
続いて、本発明の第1〜第9の具体的な実施形態を、
図3〜
図12に基いて説明する。
[第1実施形態]
図3は、本発明の第1実施形態における車両の骨格の一部拡大断面斜視図である。
【0045】
断面がコの字形状であるセンターピラーアウター部12Aの下部であって、3方向から交差する部分に、センターピラーアウター部12Aに嵌め合う大きさの補強部材20を嵌める。補強部材20は、炭素繊維強化樹脂で形成されている。補強部材20は、センターピラーアウター部12Aのすべてに渡って設ける必要はなく、要求される強度と剛性に応じた長さで、屈曲部に配置される。
【0046】
図4は、
図3におけるX方向から見た本発明の第1実施形態における車両の骨格の一部拡大断面の説明図である。
図4で示すように、炭素繊維強化樹脂で形成した補強部材20は、センターピラーアウター部12Aの内壁に、補強部材20の一部を接するくらいに配置し、センターピラーアウター部12Aの外側への凸部に対しては、空間を設けた状態で配置する。
【0047】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態における車両の骨格の一部拡大透視図および断面の説明図である。
図5において、下図は、上図の2点鎖線での断面図である。
図5は、車両1の骨格における3方向から交差する部分であって、アウター部材とインナー部材が嵌め合い、管状になった部材31の中空空間内に、炭素繊維強化樹脂で形成した補強部材21が配置されていることを示す。つまり、補強部材がアウター部材とインナー部材によって作られる管状の中空空間内に、アウター部材とインナー部材の内側に接するくらいの隙間で設けられる。
【0048】
この配置において、補強部材21は、アウター部材とインナー部材によって作られる管状部材31の中空空間内、つまりアウター部材とインナー部材の内側に接するくらいの形状とする。さらに、
図5において、下側に凸状となっている部分の右側には補強部材21を配置しない。つまり、3方向から交差する管状部材31の下側凸状部分と左側の中空空間内部位に炭素繊維強化樹脂で形成した補強部材21が配置する。つまり、複数の部材のうち3つの部材が3方向から交差する部分において、2方向の部分にのみ補強部材を設ける。このとき、補強部材21は、アウター部材またはインナー部材に対して接着剤やネジなどで接合しても、接合しなくてもよい。
【0049】
部材に対して衝撃があった際には、補強部材21と、アウター部材およびインナー部材の間の隙間はなくなり、衝撃による力は伝達する。また
図5において右側に補強部材21を配置しないことで、
図5において右側への力の伝達を抑えることができる。
【0050】
[第3実施形態]
図6は、本発明の第3実施形態における車両の骨格の一部拡大透視図である。
図6は、車両1の骨格における3方向から交差する部分であって、アウター部材とインナー部材が嵌め合い、管状になった部材31の中空空間内に、炭素繊維強化樹脂で形成した補強部材22が配置されていることを示す。
【0051】
この配置において、補強部材22は、管状部材31の中空空間内、つまりアウター部材とインナー部材の内側に接するくらいの形状とするが、一部、
図6において管状部材31の上部側に空間を設けるような形状にする。つまり、複数の部材のうち3つの部材が3方向から交差する部分において、左右が2方向、下側を1方向としたとき、左右2方向の管状部位の管の直径方向略半分の空間を交差部分の上側に設けた。このとき、補強部材22は、アウター部材またはインナー部材に対して接着剤やネジなどで接合しても、接合しなくてもよい。
【0052】
部材に対して衝撃があった際には、補強部材22と、アウター部材およびインナー部材の間の隙間はなくなり、衝撃による力は伝達する。
図6に示したように、
図6における管状部材31の上部側に空間を設けたので、補強部材の量を減少させ、コスト削減することができる。
【0053】
[第4実施形態]
図7は、本発明の第4実施形態における車両の骨格の一部拡大透視図である。
図7は、車両1の骨格における3方向から交差する部分であって、アウター部材とインナー部材が嵌め合い、管状になった部材31の中空空間内に、炭素繊維強化樹脂で形成した補強部材23が配置されていることを示す。
【0054】
この配置において、補強部材23は、管状部材31の中空空間内、つまりアウター部材とインナー部材の内側に接するくらいの形状とするが、それぞれの方向への長さは、複数の部材のうち3つの部材が交差する部分において要求される強度特性および剛性特性に応じる。
【0055】
[第5実施形態]
図8は、本発明の第5実施形態における車両の骨格の一部拡大透視図である。
図8は、車両1の骨格における3方向から交差する部分であって、アウター部材とインナー部材が嵌め合い、管状になった部材31の中空空間内に、炭素繊維強化樹脂で形成した補強部材24が配置されていることを示す。
【0056】
この配置において、補強部材24は、管状部材31の中空空間内、つまりアウター部材とインナー部材の内側に接するくらいの形状とするが、
図8に示したように、
図8における管状部材31の上部側であって、下側凸状に対応する部分のみ半球状の空間を設けた。つまり、複数の部材のうち3つの部材が3方向から交差する部分において、左右が2方向、下側を1方向としたとき、交差部分において左右2方向の管状部位の管の上側から凸状に下側方向に対して半球状の空間を設けた。したがって、この形状の空間により、所望の荷重伝達となるようコントロールできる。
【0057】
[第6実施形態]
図9は、本発明の第6実施形態における車両の骨格の一部拡大透視図である。
図9は、車両1の骨格における3方向から交差する部分であって、アウター部材とインナー部材が嵌め合い、管状になった部材31の中空空間内に、炭素繊維強化樹脂で形成した補強部材25が配置されていることを示す。
【0058】
この配置において、補強部材25は、管状部材31の中空空間内、つまりアウター部材とインナー部材の内側に接するくらいの形状とするが、
図9における下側凸状部分に配置される補強部材25の形状を下側にいくに従って小さくなる形状とした。このような形状により、所望の荷重伝達となる。
【0059】
[第7実施形態]
図10は、本発明の第7実施形態における車両の骨格の一部拡大透視図である。
図10は、車両1の骨格における3方向から交差する部分であって、アウター部材とインナー部材が嵌め合い、管状になった部材31の中空空間内に、炭素繊維強化樹脂で形成した補強部材26が配置されていることを示す。
【0060】
この配置において、補強部材26は、管状部材31の中空空間内、つまりアウター部材とインナー部材の内側に接するくらいの形状とするが、一部、
図10における左側に配置される補強部材26の形状を左側にいくに従って小さくなる形状とした。このような形状により、所望の荷重伝達となる。第6実施形態では下側方向、第7実施形態では左側方向としたが、これに限らず、複数の部材のうち3つの部材が交差する部分において、補強部材が所定の方向へいくに従って小さくなる形状であればよい。
【0061】
[第8実施形態]
図11は、本発明の第8実施形態における車両の骨格の一部拡大透視図である。
図11は、車両1の骨格における3方向から交差する部分であって、アウター部材とインナー部材が嵌め合い、管状になった部材32,33,34が炭素繊維強化樹脂で形成した補強部材27を介して接続されていることを示す。
【0062】
この配置において、補強部材27は、管状部材32,33,34が、要求されるように接続するための形状となっている。なお、本実施形態において管状部材34は補強部材27に対して広く覆うような形状となっている。このような形状により、所望の荷重伝達となる。
【0063】
[第9実施形態]
図12は、本発明の第9実施形態における車両の骨格の一部拡大透視図である。
図12は、車両1の骨格における3方向から交差する部分であって、アウター部材とインナー部材が嵌め合い、管状になった部材35,36,37が炭素繊維強化樹脂で形成した補強部材27を介して接続されていることを示す。
【0064】
この配置において、補強部材27は、管状部材35,36,37が、要求されるように接続するための形状となっている。このような形状により、所望の荷重伝達となる。
【0065】
上記のように接続することで、3つの部材が交差する部分、または1つ若しくは2つの部材が3方向で交差する部分の強度および剛性を、補強部材27によって調整することができる。
【0066】
[第10実施形態]
図13は、本発明の第10実施形態に係る車両の一部拡大分解図である。側面構造体100は、連続的に形成されたアウタパネルである。側面構造体100は、例えばフロントピラーアウター部、ルーフピラーアウター部、センターピラーアウター部、サイドシルアウター部を連続的に形成したものである。側面構造体100は、メタルなどの金属材料から構成される。第10実施形態では、この側面構造体100の3方向から部材が交差する部分に補強部材20を設けた。
【0067】
金属材料から成る側面構造体100に対して、側面構造体100の屈曲部に補強部材20を設けたので、補強部材20のある交差部に与えられた力を、金属材料から成る連続的に形成された側面構造体100に伝達させ、より力を分散させることが可能となる。また、側面構造体100が連続的に形成されているので、剛性や強度も向上する。
【0068】
[第11実施形態]
図14は、本発明の第11実施形態における車両の骨格の一部拡大断面斜視図である。
図14は、車両1の骨格における屈曲部130であって、アウター部材とインナー部材が嵌め合い、管状になった部材の中空空間内に、炭素繊維強化樹脂で形成した補強部材120が配置されていることを示す。屈曲部130に対して、図面上、上方向への延設部分と右方向への延設部分の管状になった部材の中空空間内には、金属材料からなる上側金属補強部材140と金属材料からなる右側金属補強部材141が配置されている。上側金属補強部材140および右側金属補強部材141は、補強部材120と接続されている。本実施形態では、立体構造であり、中身も炭素繊維強化樹脂で詰まった状態の構造を持つ補強部材120に対して、板材からなる上側金属補強部材140が補強部材120の上部の外側周囲から嵌め合うように接続され、右側金属補強部材141が補強部材120の右部の外側周囲から嵌め合うように接続される。
【0069】
車両1の骨格における屈曲部130において、炭素繊維強化樹脂から成る補強部材120を設け、両端が金属材料から成る金属補強部材の上側金属補強部材140と右側金属補強部材141で構成されるので、屈曲部130の強度と剛性がより向上する。
【0070】
次に本発明に係る車両の補強部材の他の実施形態について説明する。
図15,16は、本発明の他の実施形態を示している。
図15,16に基いて本発明の他の実施形態について説明する。
図15は、本発明の他の実施形態に係る車両である。
図1と同一の構成については同一の符号を用い、適宜説明を省略する。
【0071】
各部材はさらに複数の部材から構成されており、例えば、インナー部材とアウター部材を結合したものや、インナー部材とアウター部材の間にリンフォース(補強部材)を挿入し結合したものがある。本実施形態では、このリンフォースが炭素繊維強化樹脂で形成されている。
【0072】
図16は、本発明の他の実施形態に係る車両のL−L断面の説明図である。
図15の車両1におけるL−L断面図である。インナー部材としてのピラーセンターインナー121とアウター部材としてのパネルサイドアウター122が結合されている。ピラーセンターインナー121とパネルサイドアウター122の間に補強部材として、リンフォースピラーセンターアウター123とリンフォースピラーセンターアウター124が形成される。
【0073】
リンフォースピラーセンターアウター123とリンフォースピラーセンターアウター124は、炭素繊維強化樹脂で形成されている。また、パネルサイドアウター122はメタルなどの金属材料で形成されている。
【0074】
ピラーセンターインナー121とパネルサイドアウター122は、端部において、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0075】
上記のように構成したので、炭素繊維強化樹脂で形成された各部のインナー部材とアウター部材の間に挿入されるリンフォース(補強部材)により、衝突に対する強度を好適に保つことが可能となる。また、炭素繊維強化樹脂特有の剛性により、荷重に対する伝達を好適に行うことができる。
【0076】
このため、衝突安全性と操縦安定性を両立することが可能となる。また、従来、鋼板、鉄板、アルミなどを使用していたリンフォースを、軽量な炭素繊維強化樹脂で形成したため、全体として車両1の軽量化を図ることが可能となる。
【0077】
また、例えば、フロントピラー部10に対して、前方から瞬間的な力があった場合、フロントピラー部10の折曲に対する強度および伝達を行う剛性が両立していないと、フロントピラー部10へかかる力がうまく伝達されず、また不十分な強度であることから、折れ曲がる可能性がある。しかし、本実施形態によれば、強度と剛性を両立するように強化樹脂を設計することで、フロントピラー部10へかかる力をうまく伝達し、折れ曲がらないようにすることができる。
【0078】
さらに、前方からの力に対して、バンパー、左右前輪の内側に1本ずつ配置されるフロントサイドメンバーを伝達した力は、フロントピラー部10とフロントサイドメンバーが結合するスティフナーを伝達し、フロントピラー部10、サイドシル部13、センタートンネルなどへ分散される。これにより、前方からの力を、その全てを車両前部で受けるのではなく、後方へ逃がすことができる。
【0079】
上述したような外部からの力の伝達や、外部からの力に対抗するための強度が必要な部材、例えば、
図1で説明したフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13だけでなく、フロントサイドメンバー、スティフナー、センタートンネルに対しても、本発明を適用することが可能である。また、サイドシルとトルクボックス、サイドシルとAピラー、サイドシルとBピラー、サイドシルとクロスメンバ、Aピラーとアッパフレーム、Aピラー(またはサイドパネル)とフロントルーフレール(横方向横断部材)、サイドパネルとルーフセンターブレース(横方向横断部材)、C/Dピラー(またはサイドパネル)とリアルーフレール(横方向横断部材)に対しても、本発明を適用することが可能である。
【0080】
また、これらの部材の接合部分や接合部分において間隙がある場合には、その間隙に補強的に炭素繊維強化樹脂を挿入することで、要求される強度と剛性にするように調節することが可能になる。
【0081】
なお、通常、車両の骨格は、複数の強度・剛性を持った鋼板で構成される。これは、引っ張り強度に応じた複数種類の高張力鋼や超高張力鋼を使用し、衝突安全基準を満たすためである。
【0082】
一方、製造工場の事情や環境により複数種類の高張力鋼や超高張力鋼の入手が難しいときに、本発明を用いることができる。つまり、少数種類の高張力鋼や超高張力鋼に対して、本実施形態のリンフォースを使用することで、車両の骨格の各部位に要求される強度および剛性を満たすように設計することが可能となる。
【0083】
強度および剛性の調整は、本実施形態の金属で形成されるパネルサイドアウター122の厚さ、材料や炭素繊維強化樹脂から成るリンフォースの厚さや樹脂を製造・加工する際の繊維の方向、合成する材料などを変更することで行うことができる。
【0084】
本発明をこのように実施することで、少数種類の鋼板しか入手できない状況、すなわち要求される強度などを満たす複数種類の鋼板が入手できない条件下であっても、炭素繊維強化樹脂から成るリンフォースにより、要求される強度および剛性を満たすことができる。
【0085】
ここで、本発明の基本的な実施形態では炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)を用いたが、繊維強化樹脂(FRP:Fiber Reinforced Plastics)、炭素繊維強化熱硬化性樹脂(CFRTS:Carbon Fiber Reinforced Thermosets)、炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP:Carbon Fiber Reinforced Thermoplastics)であってもよい。これらは、部位に要求される特性やその他の条件に応じて使用することが可能である。
【0086】
続いて、本発明の第12〜第21の具体的な実施形態を、
図17〜
図26に基いて説明する。
[第12実施形態]
図17は、本発明の第12実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0087】
図17は、車両1のフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などの部材の断面図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料から成るアウターパネル200Aおよびインナーパネル200Iと、凹型に、アウターパネル200Aに沿って形成された炭素繊維強化樹脂から成るリンフォース200Lで構成されている。
【0088】
アウターパネル200A、インナーパネル200I、リンフォース200Lは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0089】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るリンフォース200Lを通してリニアに伝達する。また、強度が高く、軽くなる。
【0090】
[第13実施形態]
次に、
図18に基いて本発明の第13実施形態を説明する。
図18は、本発明の第13実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0091】
図18は、車両1のフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などの部材の断面図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料から成るアウターパネル200Aと、凸型に形成されたインナーパネル201Iおよび凸型でインナーパネル200Iに沿って形成される、炭素繊維強化樹脂から成るリンフォース201Lで構成されている。
【0092】
アウターパネル200A、インナーパネル200I、リンフォース201Lは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0093】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るリンフォース201Lを通してリニアに伝達する。また、強度が高く、軽くなる。
【0094】
[第14実施形態]
次に、
図19に基いて本発明の第14実施形態を説明する。
図19は、本発明の第14実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0095】
図19は、車両1のフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料から成るアウターパネル200Aと、凸型のインナーパネル200I、これらの間に形成された凹型でアウターパネル200Aに沿って形成される、炭素繊維強化樹脂から成るリンフォース202Lおよび型でインナーパネル200Iに沿って形成される、炭素繊維強化樹脂から成るリンフォース202L’で構成されている。
【0096】
アウターパネル200A、インナーパネル200I、リンフォース202L、リンフォース202L’は、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0097】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るリンフォース202L、リンフォース202L’を通してリニアに伝達する。
【0098】
[第15実施形態]
次に、
図20に基いて本発明の第15実施形態を説明する。
図20は、本発明の第15実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0099】
図20は、車両1のセンターピラー部12などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料などから成るアウターパネル200Aと、シートベルトリトラク300を保持するように設けられたインナーパネル201Iと、インナーパネル201Iの端部からアウターパネル200A側へ凹型に形成されたリンフォース203Lで構成されている。
【0100】
アウターパネル200Aおよびインナーパネル201Iと、インナーパネル201Iおよびリンフォース203Lは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0101】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るリンフォース203Lを通してリニアに伝達する。また、強度が高く、軽くなる。
【0102】
[第16実施形態]
次に、
図21に基いて本発明の第16実施形態を説明する。
図21は、本発明の第16実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0103】
図21は、車両1のセンターピラー部12などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料などから成るアウターパネル200Aと、インナーパネル202I,203Iと、インナーパネル202Iの端部から口型に形成されたリンフォース204Lで構成されている。
【0104】
アウターパネル200Aおよびインナーパネル202I,203Iと、インナーパネル202Iおよびリンフォース204Lは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0105】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るリンフォース204Lを通してリニアに伝達する。また、強度が高く、軽くなる。
【0106】
[第17実施形態]
次に、
図22に基いて本発明の第17実施形態を説明する。
図22は、本発明の第17実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0107】
図22は、車両1のセンターピラー部12などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料などから成るアウターパネル200Aと、インナーパネル204I,205Iと、インナーパネル204Iの端部と結合したリンフォース205Lで構成されている。
【0108】
アウターパネル200Aおよびインナーパネル204Iと、インナーパネル204Iおよびリンフォース205Lは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0109】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るリンフォース205Lを通してリニアに伝達する。また、強度が高く、軽くなる。
【0110】
[第18実施形態]
次に、
図23に基いて本発明の第18実施形態を説明する。
図23は、本発明の第18実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0111】
図23は、車両1のフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料から成るアウターパネル200Aと、凸状であり、板状でインナー側からアウター側へ同一の厚みで、同一の長さで突設して設けられたリブ210Rを備えたリンフォース210Lで構成されている。
【0112】
アウターパネル200A、インナーパネル200I、リンフォース210Lは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0113】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るリンフォース210Lを通してリニアに伝達する。また、リブ210Rが衝撃吸収部材として機能するので、強度が非常に高くなる。
【0114】
リブ210Rは、その板状の部材それぞれの長さを異ならしめてもよく、また、板厚をインナー側からアウター側へ延びるに従い、厚さが薄くなっているようにしてもよい。このようにすることで、リブ210Rがリンフォース210Lに対して突設して延びる方向からの力に対する衝突強度を調整することができる。
【0115】
[第19実施形態]
次に、
図24に基いて本発明の第19実施形態を説明する。
図24は、本発明の第19実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0116】
図24は、車両1のフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料から成るアウターパネル200Aと、凸型のインナーパネル200Iと、凸型であり、板状でインナー側からアウター側へ同一の厚みで、同一の長さで突設して設けられたリブ211Rとこれに直交するように設けられたリブ211Cからなる格子状のリブを備えたリンフォース211Lで構成されている。
【0117】
アウターパネル200A、インナーパネル200I、リンフォース211Lは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0118】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るリンフォース211Lを通してリニアに伝達する。また、リブ211R,211Cが衝撃吸収部材として機能するので、強度が非常に高くなる。
【0119】
リブ211R,211Cは、その板状の部材それぞれの長さを異ならしめてもよく、また、リブ211Rの板厚をインナー側からアウター側へ延びるに従い、厚さが薄くなっているようにしてもよい。このようにすることで、リブ211Rが延びる方向からの力に対する衝突強度を調整することができる。
【0120】
[第20実施形態]
次に、
図25に基いて本発明の第20実施形態を説明する。
図25は、本発明の第20実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0121】
図25は、車両1のフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料から成るアウターパネル200Aと、凸型のインナーパネル200Iと、凹状であって、板状でインナー側からアウター側へ同一の厚み同一の長さで突設して設けられたリブ212Rを備えたリンフォース212Lで構成されている。
【0122】
アウターパネル200A、インナーパネル200I、リンフォース212Lは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0123】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るリンフォース212Lを通してリニアに伝達する。また、リブ212Rが衝撃吸収部材として機能するので、強度が非常に高くなる。
【0124】
リブ212Rは、その板状の部材それぞれの長さを異ならしめてもよく、また、板厚をインナー側からアウター側へ延びるに従い、厚さが薄くなっているようにしてもよい。このようにすることで、リブ212Rが延びる方向からの力に対する衝突強度を調整することができる。
【0125】
[第21実施形態]
次に、
図26に基いて本発明の第21実施形態を説明する。
図26は、本発明の第21実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0126】
図26は、車両1のフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料から成るアウターパネル200Aと、凸型のインナーパネル200Iと、凹状であって、板状でインナー側からアウター側へ同一の厚み同一の長さで突設して設けられたリブ213Rとこれに直交するように設けられたリブ213Cからなる格子状のリブを備えたリンフォース213Lで構成されている。
【0127】
アウターパネル200A、インナーパネル200I、リンフォース213Lは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0128】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るリンフォース213Lを通してリニアに伝達する。また、リブ213R,213Cが衝撃吸収部材として機能するので、強度が非常に高くなる。
【0129】
リブ213R,213Cは、その板状の部材それぞれの長さを異ならしめてもよく、また、リブ213Rの板厚をインナー側からアウター側へ延びるに従い、厚さが薄くなっているようにしてもよい。このようにすることで、リブ213Rが延びる方向からの力に対する衝突強度を調整することができる。
【0130】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、様々な変化した構造、構成であっても良い。例えば、フランジがない炭素繊維強化樹脂から成るリンフォースを利用してもよい。また、本発明は、車両のみならず、飛行機の翼や船などにも適用可能である。
【0131】
次に本発明に係る車両の補強部材の別の実施形態について説明する。
図27,28は、本発明の別の実施形態を示している。
図27,28に基いて本発明の別の実施形態について説明する。
図27は、本発明の別の実施形態に係る車両である。
図1と同一の構成については同一の符号を用い、適宜説明を省略する。
【0132】
各部材はさらに複数の部材から構成されており、例えば、インナー部材とアウター部材を結合したものや、インナー部材とアウター部材の間にリンフォースを挿入し結合したものがある。本実施形態では、このインナー部材が炭素繊維強化樹脂で形成されている。
【0133】
図28は、本発明の別の実施形態に係る車両のL−L断面の説明図である。
図27の車両1におけるL’−L’断面の説明図である。ピラーセンターインナー321とパネルサイドアウター322が結合されている。ピラーセンターインナー321は、炭素繊維強化樹脂で形成されている。
【0134】
ピラーセンターインナー321とパネルサイドアウター322は、端部において、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0135】
図29は、本発明の別の実施形態に係る車両の一部拡大分解図である。フロントピラー部310は、フロントピラーアウター部310Aと、フロントピラーインナー部310Iと、フロントピラーインナーフロント部310IFから構成されている。このうちフロントピラーインナー部310Iとフロントピラーインナーフロント部310IFは、炭素繊維強化樹脂で形成されている。
【0136】
ルーフピラー部11は、ルーフピラーアウター部311Aの一部と、センターピラーアウター部312Aの一部と、ルーフピラーインナー部311Iから構成されている。このうちルーフピラーインナー部311Iは、炭素繊維強化樹脂で形成されている。
【0137】
センターピラー部12は、センターピラーアウター部312Aと、センターピラーインナー部312Iから構成されている。センターピラーアウター部312Aはメタルなどの金属材料から構成される。センターピラーインナー部312Iは、炭素繊維強化樹脂で形成されている。
【0138】
サイドシル部13は、サイドシルアウター部313Aと、サイドシルインナー部313Iから構成されている。このうちサイドシルインナー部313Iは、炭素繊維強化樹脂で形成されている。
【0139】
上記のように構成したので、炭素繊維強化樹脂で形成された各部のインナー部材により、衝突に対する強度を好適に保つことが可能となる。また、炭素繊維強化樹脂特有の剛性により、荷重に対する伝達を好適に行うことができる。
【0140】
このため、衝突安全性と操縦安定性を両立することが可能となる。また、従来、鋼板、鉄板、アルミなどを使用していたインナー部材を、軽量な炭素繊維強化樹脂で形成したため、全体として車両1の軽量化を図ることが可能となる。
【0141】
また、例えば、フロントピラー部10に対して、前方から瞬間的な力があった場合、フロントピラー部10の折曲に対する強度および伝達を行う剛性が両立していないと、フロントピラー部10へかかる力がうまく伝達されず、また不十分な強度であることから、折れ曲がる可能性がある。しかし、本実施形態によれば、強度と剛性を両立するように強化樹脂を設計することで、フロントピラーへかかる力をうまく伝達し、折れ曲がらないようにすることができる。
【0142】
さらに、前方からの力に対して、バンパー、左右前輪の内側に1本ずつ配置されるフロントサイドメンバーを伝達した力は、フロントピラー部10とフロントサイドメンバーが結合するスティフナーを伝達し、フロントピラー部10、サイドシル部13、センタートンネルなどへ分散される。これにより、前方からの力を、その全てを車両前部で受けるのではなく、後方へ逃がすことができる。
【0143】
上述したような外部からの力の伝達や、外部からの力に対抗するための強度が必要な部材、例えば、
図1で説明したフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13だけでなく、フロントサイドメンバー、スティフナー、センタートンネルに対しても、本発明を適用することが可能である。また、サイドシルとトルクボックス、サイドシルとAピラー、サイドシルとBピラー、サイドシルとクロスメンバ、Aピラーとアッパフレーム、Aピラー(またはサイドパネル)とフロントルーフレール(横方向横断部材)、サイドパネルとルーフセンターブレース(横方向横断部材)、C/Dピラー(またはサイドパネル)とリアルーフレール(横方向横断部材)に対しても、本発明を適用することが可能である。
【0144】
また、これらの部材の接合部分や接合部分において間隙がある場合には、その間隙に補強的に炭素繊維強化樹脂を挿入することで、要求される強度と剛性にするように調節することが可能になる。
【0145】
なお、通常、車両の骨格は、複数の強度・剛性を持った鋼板で構成される。これは、引っ張り強度に応じた複数種類の高張力鋼や超高張力鋼を使用し、衝突安全基準を満たすためである。
【0146】
一方、製造工場の事情や環境により複数種類の高張力鋼や超高張力鋼の入手が難しいときに、本発明を用いることができる。つまり、少数種類の高張力鋼や超高張力鋼に対して、本実施形態のインナー部材を使用することで、車両の骨格の各部位に要求される強度および剛性を満たすように設計することが可能となる。
【0147】
強度および剛性の調整は、本実施形態の炭素繊維強化樹脂から成るインナー部材の厚さや樹脂を製造・加工する際の繊維の方向、合成する材料などを変更することで行うことができる。
【0148】
本発明をこのように実施することで、少数種類の鋼板しか入手できない状況、すなわち要求される強度などを満たす複数種類の鋼板が入手できない条件下であっても、炭素繊維強化樹脂から成るインナー部材により、要求される強度および剛性を満たすことができる。
【0149】
ここで、本発明の基本的な実施形態では炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)を用いたが、繊維強化樹脂(FRP:Fiber Reinforced Plastics)、炭素繊維強化熱硬化性樹脂(CFRTS:Carbon Fiber Reinforced Thermosets)、炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP:Carbon Fiber Reinforced Thermoplastics)であってもよい。これらは、部位に要求される特性やその他の条件に応じて使用することが可能である。
【0150】
続いて、本発明の第22〜第29の具体的な実施形態を、
図30〜
図37に基いて説明する。
[第22実施形態]
図30は、本発明の第22実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0151】
図30は、車両1のフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料から成るアウターパネル400Aと、凸型に形成された炭素繊維強化樹脂から成るインナーパネル400Iで構成されている。
【0152】
アウターパネル400Aと、インナーパネル400Iは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0153】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るインナーパネル400Iを通してリニアに伝達する。また、強度が高く、軽くなる。
【0154】
[第23実施形態]
次に、
図31に基いて本発明の第23実施形態を説明する。
図31は、本発明の第23実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0155】
図31は、車両1のフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料から成るアウターパネル400Aと、凸型に形成された炭素繊維強化樹脂から成るインナーパネル401Iおよび凹型でアウターパネル400Aに沿って形成されるインナーパネル401I’で構成されている。
【0156】
アウターパネル400Aと、インナーパネル401I,401I’は、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0157】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るインナーパネル401I,401I’を通してリニアに伝達する。また、強度が高く、軽くなる。
【0158】
[第24実施形態]
次に、
図32に基いて本発明の第24実施形態を説明する。
図32は、本発明の第24実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0159】
図32は、車両1のフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料から成るアウターパネル400Aと、凹型でアウターパネル400Aに沿って形成されるインナーパネル402Iで構成されている。
【0160】
アウターパネル400Aと、インナーパネル402Iは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0161】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るインナーパネル402Iを通してリニアに伝達する。また、リンフォースなどが不要になるため、軽くなる。
【0162】
[第25実施形態]
次に、
図33に基いて本発明の第25実施形態を説明する。
図33は、本発明の第25実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0163】
図33は、車両1のフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料から成るアウターパネル400Aと、アウターパネル400Aの端部よりも少し外側に凹型に形成されるインナーパネル403Iで構成されている。
【0164】
アウターパネル400Aと、インナーパネル403Iは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0165】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るインナーパネル403Iを通してリニアに伝達する。また、強度が高く、軽くなる。
【0166】
[第26実施形態]
次に、
図34に基いて本発明の第26実施形態を説明する。
図34は、本発明の第26実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0167】
図34は、車両1のフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料から成るアウターパネル400Aと、凸状であり、板状でインナー側からアウター側へ同一の厚みで、同一の長さで突設して設けられたリブ404ILを備えたインナーパネル404Iで構成されている。
【0168】
アウターパネル400Aと、インナーパネル404Iは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0169】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るインナーパネル404Iを通してリニアに伝達する。また、リブ404ILが衝撃吸収部材として機能するので、強度が非常に高くなる。
【0170】
リブ404ILは、その板状の部材それぞれの長さを異ならしめてもよく、また、板厚をインナー側からアウター側へ延びるに従い、厚さが薄くなっているようにしてもよい。このようにすることで、リブ404ILがインナーパネル404Iに対して突設して延びる方向からの力に対する衝突強度を調整することができる。
【0171】
[第27実施形態]
次に、
図35に基いて本発明の第27実施形態を説明する。
図35は、本発明の第27実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0172】
図35は、車両1のフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料から成るアウターパネル400Aと、凸状であり、板状でインナー側からアウター側へ同一の厚みで、同一の長さで突設して設けられたリブ405ILとこれに直交するように設けられたリブ405ICからなる格子状のリブを備えたインナーパネル405Iで構成されている。
【0173】
アウターパネル400Aと、インナーパネル405Iは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0174】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るインナーパネル405Iを通してリニアに伝達する。また、リブ405IL,405ICが衝撃吸収部材として機能するので、強度が非常に高くなる。
【0175】
リブ405IL,405ICは、その板状の部材それぞれの長さを異ならしめてもよく、また、リブ405ILの板厚をインナー側からアウター側へ延びるに従い、厚さが薄くなっているようにしてもよい。このようにすることで、リブ405ILが延びる方向からの力に対する衝突強度を調整することができる。
【0176】
[第28実施形態]
次に、
図36に基いて本発明の第28実施形態を説明する。
図36は、本発明の第28実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0177】
図36は、車両1のフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料から成るアウターパネル400Aと、凹状で板状でインナー側からアウター側へ同一の厚みで、同一の長さで突設して設けられたリブ406ILを備えたインナーパネル406Iで構成されている。
【0178】
アウターパネル400Aと、インナーパネル406Iは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0179】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るインナーパネル406Iを通してリニアに伝達する。また、リブ406ILが衝撃吸収部材として機能するので、強度が非常に高くなる。
【0180】
リブ406ILは、その板状の部材それぞれの長さを異ならしめてもよく、また、板厚をインナー側からアウター側へ延びるに従い、厚さが薄くなっているようにしてもよい。このようにすることで、リブ406ILが延びる方向からの力に対する衝突強度を調整することができる。
【0181】
[第29実施形態]
次に、
図37に基いて本発明の第29実施形態を説明する。
図37は、本発明の第29実施形態における車両の一部拡大断面の説明図である。
【0182】
図37は、車両1のフロントピラー部10、ルーフピラー部11、センターピラー部12、サイドシル部13などの部材の断面の説明図である。凹型に形成されたメタルなどの金属材料から成るアウターパネル400Aと、凹状であり、板状でインナー側からアウター側へ同一の厚みで、同一の長さで突設して設けられたリブ407ILとこれに直交するように設けられたリブ407ICからなる格子状のリブを備えたインナーパネル107Iで構成されている。
【0183】
アウターパネル400Aと、インナーパネル407Iは、接着剤、ねじ、リベット、または樹脂で固めて接合されている。
【0184】
このように構成することで、力が炭素繊維強化樹脂から成るインナーパネル407Iを通してリニアに伝達する。また、リブ407IL,407ICが衝撃吸収部材として機能するので、強度が非常に高くなる。
【0185】
リブ407IL,407ICは、その板状の部材それぞれの長さを異ならしめてもよく、また、リブ407ILの板厚をインナー側からアウター側へ延びるに従い、厚さが薄くなっているようにしてもよい。このようにすることで、リブ407ILが延びる方向からの力に対する衝突強度を調整することができる。
【0186】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、様々な変化した構造、構成であっても良く、車両のみならず、飛行機の翼や船などにも適用可能である。
【0187】
<実施形態の構成及び効果>
本実施形態における車両は、複数の部材からなるモノコック構造を有する車両であって、複数の部材のうち3つの部材が交差する部分、または1つ若しくは2つの部材が3方向で交差する部分に強化樹脂からなる補強部材を設けている。
上記のように構成したことで、3つの部材が交差する部分、または1つ若しくは2つの部材が3方向で交差する部分での強度と剛性を適度に設計し、衝突安全性と操作安定性の両立が可能となり、更なる強度が得られる。
【0188】
本実施形態における車両は、3つの部材が交差する部分、または1つ若しくは2つの部材が3方向で交差する部分を補強部材を介して接続する。
上記のように構成したことで、3つの部材が交差する部分、または1つ若しくは2つの部材が3方向で交差する部分での強度特性および剛性特性を向上できる。
【0189】
本実施形態における車両は、補強部材が立体構造である。
上記のように構成したことで、強度と剛性を適度に設計し、さらに防音、防振が可能となる。
【0190】
本実施形態における車両は、部材がアウター部材とインナー部材から構成され、補強部材がアウター部材とインナー部材によって作られる管状部位の中空空間内に、アウター部材とインナー部材の内側に接するくらいの隙間で設けられる。
上記のように構成したことで、車両の軽量化および剛性と強度の両立が可能となる。
【0191】
本実施形態における車両は、複数の部材のうち3つの部材が3方向から交差する部分において、2方向の部分にのみ補強部材を設ける。
上記のように構成したことで、補強材料の量を減少させ、コストを削減できる。
【0192】
本実施形態における車両は、複数の部材のうち3つの部材が3方向から交差する部分において、左右が2方向、下側を1方向としたとき、左右2方向の管状部位の管の直径方向略半分の空間を交差部分の上側に設けた。
上記のように構成したことで、補強材料の量を減少させ、コストを削減できる。
【0193】
本実施形態における車両は、補強部材が各方向に延設される長さは、複数の部材のうち3つの部材が交差する部分において要求される強度特性および剛性特性に応じた長さである。
上記のように構成したことで、複数の部材が交わる部分における強度および剛性を両立できる。
【0194】
本実施形態における車両は、複数の部材のうち3つの部材が3方向から交差する部分において、左右が2方向、下側を1方向としたとき、交差部分において左右2方向の管状部位の管の上側から凸状に下側方向に対して半球状の空間を設けた。
上記のように構成したことで、所望の荷重伝達となるようにコントロールできる。
【0195】
本実施形態における車両は、複数の部材のうち3つの部材が交差する部分において、補強部材が所定の方向へいくに従って小さくなる形状である。
上記のように構成したことで、所望の荷重伝達となるようにコントロールできる。
【0196】
本実施形態における車両は、アウター部材が金属である。
上記のように構成したことで、車両の強度が向上する。
【0197】
本実施形態における車両は、補強部材が、その端に金属製の金属補強部材を設け、該金属補強部材同士を接続している。
上記のように構成したことで、強度と剛性の両立が可能となる。
【0198】
さらに、本実施形態における車両は、補強部材の強化樹脂が繊維強化樹脂または炭素繊維強化樹脂である。
上記のように構成したことで、強度と剛性を適度に設計し、衝突安全性と操作安定性の両立が可能となる。
【0199】
<定義等>
本発明の強化樹脂とは、繊維強化樹脂、炭素繊維強化樹脂、炭素繊維強化熱硬化性樹脂、炭素繊維強化熱可塑性樹脂などをいう。