【文献】
Tataurov et al.,“Predicting ultraviolet spectrum of single stranded and double stranded deoxyribonucleic acids”,Biophysical Chemistry,133 (2008),66-70
【文献】
Jeffrey T. Henderson, et al.,”A Semi-Micromethod for the Determination of the Extinction Coefficients of Duplex and Single-Stranded DNA”,ANALYTYICAL BIOCHEMISTRY,1992年,Vol.201,pp. 17-29
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記塩基対を表す参照スペクトルと上記分離した核酸塩基を表す参照スペクトルとの間の上記差スペクトルは、所定の塩基対を表す所定の参照スペクトルから減算することにより取得されたスペクトルであり、
上記参照スペクトルは、上記対応する分離した核酸塩基を表す請求項6記載のコンピュータにより実行される方法。
上記核酸塩基を表す上記参照スペクトルは、アデニン、グアニン、チミン、シトシン及び/又はウラシルに対する参照スペクトルである請求項5から7のうちのいずれか1つに記載のコンピュータにより実行される方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
さらに、DNA及び/又はRNA定量化もしくは分析のためのUV−VIS分光光度計データの使用は、取得された結果に対する正確かつ効率的な分析技術の欠如のためにそのブレークスルーを発見していなかった。
【0010】
従って、特にUV−VISスペクトロスコピーを用いて、DNA及び/又はRNA成分を含むサンプルの分析を可能とさせる方法が必要である。
【0011】
本発明の実施態様の目的は、サンプルのUV−VISスペクトロスコピースペクトルを分析するための十分な方法及びシステム並びにDNA及び/又はRNAを含むサンプルを特性化するために十分に対応する方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
有利に、サンプルは二本鎖DNAを含むが、その技術はまたRNAだけを含むサンプルに対しても使用される。UV−VISスペクトロスコピースペクトルはUV−VIS吸収スペクトルであってもよい。
【0013】
例えば、反応混合物がサンプルにおいて4dNTPのプライマーオリゴのポリメラーゼ酵素及びDNAの混合物である場合でさえも反応混合物を浄化することなしのPCR分析における支援を可能とさせるシステム及び方法が提供されることが本発明に係る実施態様の利点である。
【0014】
本発明び実施態様に係る方法及びシステムが関連性のあるかつ決定的な結果を取得することを可能とすることが利点である。
【0015】
上述した目的は、本発明に係る方法及びシステムにより達成される。
【0016】
本発明は、少なくともDNA及び/又はRNAを含むサンプルのUV−VIS分光光度計データを分析するためのコンピュータにより実行される方法に関し、上記少なくとも1つのDNA及び/又はRNAは有利に少なくとも二本鎖DNAである。上記方法は、上記UV−VIS分光光度計データを受信するステップと、アデニン−チミン(AT)もしくはグアニン−シトシン(GC)もしくはアデニン−ウラシル(AU)のうちのいずれかである塩基対を表す少なくとも1つのスペクトルを考慮して上記UV−VIS分光計データをフィッティングするステップと、上記フィッティングから、DNA及び/又はRNAの量の定量化を導出するステップを含む。上記導出するステップは有利に上記フィッティングから二本鎖DNAの量の定量化を導出するステップである。UV−VIS分光光度計データは、多数の事前知識なしにサンプルを含むDNA及び/又はRNAを特徴付けるように使用されることが本発明の実施形態の利点である。定量化は、二本鎖DNA(dsDNA)の量の定量化であってもよい。
【0017】
上記フィッティングするステップは、2つの異なる塩基対含有量を表す参照スペクトルのセットを考慮することを含んでもよい。異なる塩基対含有量を表すスペクトルは、少なくとも20%、有利に少なくとも30%、より有利に少なくとも40%、例えば少なくとも50%異なる塩基対含有量を表してもよい。
【0018】
上記フィッティングするステップは、2つの異なるGC含有量を表す2つの参照スペクトルのセットを考慮することを含んでもよい。
【0019】
上記フィッティングするステップは、2つの異なるGC含有量を表す正確に2つの参照スペクトルのセットを考慮することを含んでもよい。
【0020】
上記フィッティングするステップは、少なくとも50塩基対を有し、有利に少なくとも100塩基対を有するDNA及び/又はRNAを含むサンプルのUV−VIS分光光度計データをフィッティングすることを含んでもよい。フィッティングが塩基対に対する制限された数の参照スペクトルを用いて取得され、正確かつ効率的なフィッティングが結果として生じることが本発明の実施形態に係る利点である。
【0021】
上記サンプルは、DNAを含んでもよく、上記フィッティングするステップは、塩基対を表す参照スペクトルのセットと、分離した核酸塩基を表す参照スペクトルとの組み合わせを用いることを含んでもよい。
【0022】
塩基対を表す参照スペクトルのセットと、分離した核酸塩基を表す参照スペクトルとの組み合わせを用いる上記フィッティングするステップは、上記塩基対を表す参照スペクトルと上記分離した核酸塩基を表す参照スペクトルとの間の差スペクトルであるスペクトルを用いてフィッティングすることを含んでもよい。サンプルを含むDNAの分析に対して、AT及びGCバランスが自動的に考慮されることが本発明に係る実施形態の利点である。形成された二本鎖DNAだけが定量化され、dsDNA及び例えばPCRなどにおいて発生されてもよい形成されたアンプリコンの混合物は定量化されないことが本発明の実施形態の利点である。
【0023】
上記塩基対を表す参照スペクトルと上記分離した核酸塩基を表す参照スペクトルとの間の上記差スペクトルは、所定の塩基対を表す所定の参照スペクトルから減算することにより取得されたスペクトルであってもよく、上記参照スペクトルは、上記対応する分離した核酸塩基を表す。
【0024】
塩基対を表すスペクトルのセットは、例えば2つの極限などの2つの異なるGC含有量を有するサンプルを表す2つの参照スペクトルから構成されてもよい。
【0025】
上記核酸塩基を表す上記参照スペクトルは、アデニン、グアニン、チミン、シトシン及び/又はウラシルに対する参照スペクトルであってもよい。
【0026】
上記方法は、DNAを含むサンプルのPCR反応を分析するように構成されてもよく、それにより、上記導出するステップは、上記PCR反応の間にもしくは上記PCR反応の後に形成された二本鎖DNAの量を決定することを含んでもよい。PCR反応の間に形成された反応混合物を最初に浄化する必要性なしに、UV−VIS分光法を用いてDNAを構成するサンプルのPCR反応の分析が実行されることが本発明に係る実施形態の利点である。
【0027】
またさらに、上記フィッティングするステップは、汚染物質成分に対するスペクトル成分を考慮することを含んでもよい。
【0028】
上記汚染物質成分に対するスペクトル成分を考慮することは、例えば1つもしくはそれ以上のトリメチルグリシン、グアニジンチオシアナート、フェノール、エチレンジアミン四酢酸、タンパク質またはヘモグロビンなどに対するスペクトル成分を考慮することを含んでもよい。PCR反応における最も重要な汚染物質の1つに対する補償が得られることが本発明に係る実施形態の利点である。
【0029】
上記サンプルのUV−VIS分光光度計データをフィッティングするステップは、デオキシドヌクレオチド三リン酸のプライマーオリゴのポリメラーゼ及びDNAを含む混合物のUV−VIS分光光度計データをフィッティングすることを含んでもよい。それは260nmで高い光学濃度値を有しそれ故に特性化の前にPCRを開始する混合物を例えば浄化するなどの処理を行う必要性を回避するが、PCRを開始する混合物に対して直接的に記録されたUV−VIS分光光度計データが使用されることが本発明に係る実施形態の利点である。
【0030】
またさらに、上記フィッティングするステップは、上記サンプルにおいて散乱することを表す1つもしくはそれ以上のスペクトル成分を考慮することを含んでもよい。
【0031】
またさらに、上記フィッティングするステップは、上記サンプルにおける濁度を表す1つもしくはそれ以上のスペクトル成分を考慮することを含んでもよい。
【0032】
本発明はまた、DNA及び/又はRNAを含む1つもしくはそれ以上のサンプルのUV−VIS分光光度計データを分析するためのコンピュータにより実行されるシステムに関し、上記1つもしくはそれ以上のサンプルは有利に少なくとも二本鎖DNAを含む。上記システムは、上記UV−VIS分光光度計データを受信するための入力手段と、アデニン−チミン(AT)もしくはグアニン−シトシン(GC)もしくはアデニン−ウラシル(AU)のうちのいずれかである塩基対を表す少なくとも1つのスペクトルを考慮して上記UV−VIS分光計データをフィッティングし、上記フィッティングから、有利に二本鎖DNAの量であるDNA及び/又はRNAの量の定量化を導出するようにプログラミングされた処理手段と、上記1つもしくはそれ以上の研究用サンプルに対する有利に二本鎖DNAの量であるDNA及び/又はRNAの量の定量化を出力するための出力手段とを備える。
【0033】
上記処理手段は、上述した方法のいずれかにおいて説明されたフィッティングするステップを実行するように構成されてもよい。
【0034】
本発明はまた、DNA及び/又はRNAの量を定量化するために、上述した方法の使用に関する。
【0035】
またさらに、本発明は、処理ユニット上に実装される場合に、上述した方法を実行するためのコンピュータプログラム製品に関する。
【0036】
本発明はまた、そのようなコンピュータプログラム製品を備えるデータ記憶媒体及び/又は広域もしくはローカル領域ネットワークを介するその送信に関する。
【0037】
上述した態様は、本発明の以下の態様の一部であってもよいし、そのステップもしくは特徴を含んでもよいし、またはそれを使用してもよい。
【0038】
本発明はまた、1つもしくはそれ以上のサンプルのUV−VIS分光光度計データを分析するための方法に関し、上記1つもしくはそれ以上のサンプルは多数の構成要素から構成され、上記方法は、それらの構成要素に関する上記1つもしくはそれ以上のサンプルに対する事前情報を取得するステップと、1つもしくはそれ以上のサンプルに対するUV−VIS分光光度計データを取得するステップと、UV−VIS分光光度計データにおいて寄与する多数のオーバーラップする成分を定義するステップとを含む。上記多数のオーバーラップする成分は、1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に割り当てられる1つもしくはそれ以上の成分を含み、上記多数の成分は、1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に割り当てられない1つもしくはそれ以上の成分を含む。上記方法は、それらの構成要素に関する1つもしくはそれ以上のサンプルに対する事前情報を用いてかつUV−VIS分光光度計データを用いて、上記構成要素の組成及び上記成分の寄与に基づき、UV−VIS分光光度計データとフィッティングとの間の残基を最小化することにより、1つもしくはそれ以上のサンプルに対する多数の成分に対するUV−VIS分光光度計データに対する構成要素の組成及び成分の寄与を評価し、それ故に1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に割り当てられない1つもしくはそれ以上の成分に関する情報を取得するステップを含む。分析方法は、修飾された構成要素、異なる構成要素の相互作用または1つもしくはそれ以上のサンプルにおける汚染物質から生じるスペクトルに対する寄与の正確な検出を可能とすることが本発明に係る実施形態の利点である。
【0039】
上記構成要素の組成及び上記成分の寄与に基づき、UV−VIS分光光度計データとフィッティングとの間の残基を最小化することにより、1つもしくはそれ以上のサンプルに対する多数の成分に対するUV−VIS分光光度計データに対する構成要素の組成及び成分の寄与を評価するステップは、所定のレベルよりも小さい残基が取得されるまで反復的に実行されてもよい。反復法を使用して、フィッティング並びに対応する構成要素の組成及び成分の寄与に対する精度を向上することができることが本発明に係る実施形態の利点である。
【0040】
またさらに、方法は、構成要素成分、成分の寄与もしくはUV−VIS分光光度計データとフィッティングとの間の残基のいずれかに基づき事前情報を照合するステップを含んでもよい。取得された結果に関する照合は、1つもしくはそれ以上のサンプルに関する事前情報を用いて実行されることが実施形態の利点である。
【0041】
上記事前情報は、既知の構成要素に割り当てられた成分に対するUV−VIS分光光度計データにおける参照寄与を含んでもよい。上記構成要素の組成及び成分の寄与を評価するステップは、参照寄与に基づき、すべての成分に対するUV−VIS分光光度計に対する成分の寄与を評価するステップと、すべての成分に対するUV−VIS分光光度計データに対する上記評価された成分の寄与に基づき、UV−VIS分光光度計とフィッティングとの間の残基の最小化に基づき、構成要素の組成に対する評価を決定するステップを含んでもよい。UV−VIS分光光度計データにおける未知の寄与の存在を考慮して、1つもしくはそれ以上のサンプルにおいて存在する構成要素の参照スペクトルに基づき、1つもしくはそれ以上のサンプルの正確な組成情報が取得されることが本発明に係る実施形態の利点である。
【0042】
上記事前情報は、既知の構成要素に対する1つもしくはそれ以上のサンプルに対する構成要素の組成情報を含んでもよい。上記構成要素の組成及び成分の寄与を評価するステップは、既知の構成要素に対する1つもしくはそれ以上のサンプルに対する構成要素の組成情報に関する事前情報に基づきすべての構成要素に対して構成要素の組成を評価するステップと、すべての構成要素に対する上記評価された構成要素の組成に基づき、UV−VIS分光光度計データとフィッティングとの間の残基の最小化に基づき、UV−VIS分光光度計データに対する成分の寄与に対する評価を決定するステップとを含んでもよい。UV−VIS分光光度計データにおける未知の寄与の存在を考慮して、1つもしくはそれ以上のサンプルにおいて存在する構成要素の参照スペクトルに基づき、1つもしくはそれ以上のサンプルの正確な組成情報が取得されることが本発明に係る実施形態の利点である。
【0043】
構成要素の組成及び成分の寄与は、構成要素の組成の関数として成分の寄与に対する重み付け係数を定義するモデルにより相互に関連付けられてもよく、ここで、構成要素の組成に対するもしくは成分の寄与に対する評価を決定するステップは、重み付け係数を考慮することを含む。サンプルにおける構成要素の組成が考慮されることが本発明に係る実施形態の利点である。
【0044】
分析は複数のサンプルに対する分光光度計データに対して実行されてもよく、上記反復的に評価するステップは、最小の残基を有するそれらのサンプルに対して実行されてもよい。
【0045】
1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に割り当てられない成分は、修飾された構成要素、異なる構成要素の隣接効果または1つもしくはそれ以上のサンプルにおける汚染物質のうちのいずれかを表してもよい。有利に、1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に対して割り当てられない成分によって考慮された別の成分は、濃度もしくは凝集効果によって生じる濁度を表してもよい。方法は、そのような濁度に関する寄与を出力するステップを含んでもよい。高濁度を示すサンプルにおける成分の十分な及び/又は正確な定量化は、例えばサンプルにおける成分の参照スペクトルの事前知識などに基づき取得されることが本発明の実施形態の利点である。有利に、1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に対して割り当てられない成分によって考慮された別の成分は、残基マイクロ粒子による散乱を表してもよい。そのような粒子は、例えばサンプルの初期の処理によって導入されるなど、サンプルにおいて非意図的に存在してもよい。1つの例では、そのような残基粒子は、磁気的なマイクロ粒子であってもよい。方法は、残基粒子からのそのような散乱に関する寄与を出力するステップを含んでもよい。残基粒子を含むサンプルにおける成分の十分な及び/又は正確な定量化は、例えばサンプルにおける成分の参照スペクトルの事前知識などに基づき取得されることが本発明の実施形態の利点である。
【0046】
上記方法は、複数のサンプルの分光光度計データを使用することを含んでもよく、ここで、上記サンプルは少なくとも1つの未知の構成要素が存在する少なくとも1つのサンプルと、少なくとも1つの未知の構成要素が存在しない少なくとも1つのサンプルとを含む。
【0047】
多数の成分は、成分分析により決定されてもよい。
【0048】
多数の成分は、主成分分析に基づき決定されてもよい。
【0049】
本発明はまた、1つもしくはそれ以上のサンプルのUV−VIS分光光度計データを分析するためのシステムに関し、上記1つもしくはそれ以上のサンプルは、多数の成分から構成される。上記システムは、それらの構成要素に関する上記1つもしくはそれ以上のサンプルに対する事前情報を取得するための及び1つもしくはそれ以上のサンプルに対するUV−VIS分光光度計データを取得するための入力手段と、UV−VIS分光光度計データにおいて寄与する多数の成分を定義するようにプログラミングされた処理手段とを備え、上記多数の成分は、1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に割り当てられる1つもしくはそれ以上の成分を含み、上記多数の成分は、1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に割り当てられない1つもしくはそれ以上の成分を含む。またさらに、上記処理手段はそれらの構成要素に関する1つもしくはそれ以上のサンプルに対する事前情報を使用しかつUV−VIS分光光度計データを使用して、上記構成要素の組成及び上記成分の寄与に基づいて、UV−VIS分光光度計データ及びフィッティングの間の残基を最小化することにより、1つもしくはそれ以上のサンプルに対する多数の成分に対するUV−VIS分光光度計データに対する構成要素の組成及び成分の寄与を評価し、それ故に1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に対して割り当てられない1つもしくはそれ以上の成分に関する情報を取得するようにプログラミングされる。
【0050】
本発明はまた、DNA及び/又はRNAサンプルにおける汚染物質を識別し及び/又は定量化するための上述した方法の使用に関する。上記汚染物質は、タンパク質汚染物質であってもよい。汚染物質は、PCR遮断の汚染物質であってもよい。
【0051】
本発明はまた、二本鎖DNAと一本鎖RNA及び/もしくはDNAとの混合物における二本鎖DNAの量を定量化するための上述した方法の使用に関する。
【0052】
本発明はまた、ポリヌクレオチドもしくはタンパク質の組成を取得するための上述した方法の使用に関する。
【0053】
本発明は、サンプルにおける修飾効率性の定量化のための上述した方法の使用に関する。
【0054】
サンプル組成もしくはその構成要素を検証するための上述した方法の使用に関する。
【0055】
本発明はまた、処理ユニット上に実装される場合に、上述した方法を実行するためのコンピュータプログラム製品に関する。それはまた、上記コンピュータプログラム製品を格納するデータ記憶媒体及びネットワークを介する上記コンピュータプログラム製品の送信に関する。
【0056】
UV−VISスペクトルのパワフルなデータ分析が取得されることが本発明の実施形態の利点である。
【0057】
日常的なアプリケーション及びより複雑なアプリケーションの両方に対して十分な定量化が取得されることが本発明に係る実施形態の利点である。
【0058】
1つもしくはそれ以上のサンプルにおける事前知識に基づき、正確な参照スペクトルがサンプルにおける成分に対して取得されることが本発明に係る実施形態の利点である。
【0059】
1つもしくはそれ以上のサンプルにおける1つもしくはそれ以上の成分の参照スペクトルの事前知識に基づき、正確な濃度情報がサンプルにおける成分に対して取得されることが本発明に係る実施形態の利点である。
【0060】
本発明の実施形態に係る方法及びシステムが関連した決定的な結果を取得することを可能とすることが利点である。
【0061】
本発明の特定のかつ好ましい態様が添付の独立項及び従属項において説明される。請求項において単に明白に説明されるだけでなく適切に説明されたとして、従属項からの特徴は独立項の特徴と組み合わされてもよく、他の従属項の特徴と組み合わされてもよい。本発明のこれらの態様及び他の態様は、後述される1つもしくは複数の実施形態から明らかにされかつ当該1つもしくは複数の実施形態を参照して説明されるであろう。
【0062】
図面は単に概略だけであって限定するものではない。図面では、例示目的のために、いくつかの要素の大きさは誇大されてスケール上で描画されなくてもよい。
【0063】
特許請求の範囲中の任意の参照符号は範囲を制限するとして解釈されるべきではない。
【0064】
異なる図面では、同一の参照符号は同一のもしくは類似の要素に言及する。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本発明は、特定の実施形態に関しかつ特定の図面を参照して説明されるであろうが、本発明はそれらに限定されず、特許請求の範囲だけによって限定される。説明される図面は概略だけであり、限定されない。図面において、例示的な目的のために、いくつかの要素のサイズは誇大されてスケール上で描画されなくてもよい。寸法及び相対寸法は、本発明の実際の実施化には対応しない。
【0067】
またさらに、明細書中及び特許請求の範囲中の例えば第1、第2などの用語は同様の要素間を区別するために使用され、必ずしも時間的、空間的なランキングでの順序もしくは任意の他の方法での順序を説明するために使用されない。理解すべきことは、そのように使用された用語は適切な環境のもとで互いに交換可能であり、ここで説明された本発明の実施形態はここで説明もしくは例示された以外の順序での動作が可能である、ということである。
【0068】
さらに、明細書中及び特許請求の範囲中の例えば上、下などの用語は、説明するための目的のために使用され、必ずしも相対位置を説明するために使用されない。理解すべきことは、そのように使用された用語は適切な環境のもとで互いに交換可能であり、ここで説明された本発明の実施形態はここで説明もしくは例示された以外の方向での動作が可能である、ということである。
【0069】
留意すべきことは、特許請求の範囲で使用される「備える」という用語は、その後に挙げられた手段に制限されるとして解釈されるべきでなく、それは他の要素もしくはステップを除外しない、ということである。それ故に、言及された決まった特徴、整数、ステップもしくは構成要素の存在を特定すべきとして解釈されるべきであるが、1つもしくはそれ以上の他の特徴、整数、ステップもしくは構成要素、またはそれらのグループの存在もしくは付加を除外するとして解釈されるべきでない。従って、「手段Aと手段Bとを備えたデバイス」という表現の範囲は、構成要素A及び構成要素Bだけで構成されるデバイスに限定されるべきでない。本発明に関し、それはデバイスの唯一の関連した構成要素がA及びBであることを意味する。
【0070】
この明細書を通して、「1つの実施形態」もしくは「ある実施形態」に対する参照は、当該実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造もしくは特性は、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それ故に、この明細書中の種々の場所での「1つの実施形態において」もしくは「ある実施形態において」というフレーズの出現は、必ずしも同一の実施形態に言及しているわけではないが、同一の実施形態に言及してもよい。またさらに、この開示から当業者には明らかであろうように、1つもしくはそれ以上の実施形態における特定の特徴、構造もしくは特性は、任意の適切な方法で組み合わされてもよい。
【0071】
同様に、認識されるべきことは、本発明の例示的な実施形態の説明において、本発明の種々の特徴は、開示を合理化しかつ1つもしくはそれ以上の種々の発明の態様の理解を助けるために、1つの実施形態、図面もしくはそれらの説明において時々一緒にグルーピングされる、ということである。しかしながら、開示のこの方法は、特許請求の範囲に係る発明は、各請求項に明示的に列挙されたというよりむしろ特徴を要求するという意図を示すとして解釈されるべきでない。むしろ、添付の特許請求の範囲が示すように、発明の態様は、上述された開示された単一の実施態様のすべての特徴よりも少ない。それ故に、各請求項がこの発明とは別の実施形態としてそのまま存在し、詳細な説明の後に添付された特許請求の範囲がこの詳細な説明においてここで明示的に組み込まれる。
【0072】
またさらに、ここで説明されたいくつかの実施形態は、他の実施形態において含まれたいくつかの特徴を含むが、他の特徴は含まない一方で、当業者によって理解されるであろうように、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内で異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲は、任意のクレーム化された実施形態は、任意の組み合わせで使用される。
【0073】
ここで、本発明の実施形態において、分光光度計データが参照され、所定の波長でのもしくは波長の関するとしての反射率、透過率もしくは吸収強度が参照される。
【0074】
有利に、方法が分光光度計スペクトルである分光光度計データに適用され、波長の関数としての強度を示す。有利な実施形態では、データは1つもしくはそれ以上のサンプルで出現した吸収率を表す吸収率データである。
【0075】
本発明の実施形態は、UV−VIS分光光度計データを分析するための方法及びシステムへと導く。ここで、UV−VISが参照され、700nmから1100nmまでの領域における上限波長及び150nmから300nmまでの領域における下限波長を有する波長領域が参照される。
【0076】
ここで、本発明に係る実施形態において、UV−VIS分光光度計データに寄与する成分が参照され、例えば分光光度計スペクトルなどの分光光度計データにおける1つもしくはそれ以上の波長に対する強度フラクションに対する成分が参照される。そのような成分は、1つもしくはそれ以上のサンプルにおける構成要素に直接的に割り当て可能であってもよいし、または1つもしくはそれ以上のサンプルにおける構成要素に直接的に割り当て可能でなくてもよい。
【0077】
ここで、本発明の実施形態において、1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に割り当てられない成分が参照され、これらが1つもしくはそれ以上の構成要素の物理化学的な吸収特性に対応することがいまだに知られていないことに対応しないか、もしくはいまだにこれらが知られていない成分が参照される。従って、成分は必ずしも構成要素の物理化学的な吸収特性に対応しない。成分は、研究用の波長領域内に例えば吸収率などの重大な寄与を有する構成要素に一致する必要がない。
【0078】
ここで、本発明の実施形態において、1つもしくはそれ以上のサンプルの構成要素が参照され、例えばサンプルにおいて存在する化学要素などの生物学的もしくは非生物学的要素が参照される。そのような構成要素は、例えば、以下の要素の1つかもしくは以下のグループの要素の1つとすることができる。すなわち、生体高分子、有機小分子、例えばブドウ糖もしくはエタノールなどの代謝産物、タンパク質、ペプチド、核酸セグメント、オリゴヌクレチオド、例えば蛍光染料標識もしくは発色団などの1つもしくはそれ以上の修飾を含むオリゴヌクレチオド、例えばアルデヒドなどの化学リンカー修飾、リン酸塩、アミンもしくはチオ酸の修飾、例えばビチオンなどの親和性標識、例えば酵素(ALP、HRP)などの反応性成分、例えばデオキシウラシルなどの代替の塩基、イノシン、ホスホチオール、ロックされた核酸、ポリヌクレオチド、ヌクレオチド、オリゴ、ペプチド核酸、例えばナノ体もしくはアルファ体などの抗体及びその変異、意図的もしくは非意図的のいずれかで加えられたマイクロ粒子及びナノ粒子、磁性粒子もしくは非磁性粒子、液体、ミセル、小胞、ウイルス粒子、例えばp−NPPなどの金属錯体、テトラゾリウム塩、例えばクーマシィーなどの染色試薬、メチルブルー、エオシン、例えば小分子薬剤などの分子、抗生物質もしくはドラッグ、例えばプロモータ、活性剤、阻害剤、もしくは補酵素などの酵素過程における調節作用を有する分子、ウイルス、バクテリア、細胞、細胞成分、細胞膜、胞子、DNA、RNA、並びに微生物、フラグメント及び生成物である。例えば、そのような構成要素はまた、例えば製剤もしくは化学製品において存在する化学要素などの化学要素とすることができる。
【0079】
ここで、本発明の実施形態において、オーバーラップ(重複)成分が参照され、そのような成分に対する成分の寄与が同一の波長でもしくは同一の波長範囲において重大であるという事実が参照される。
【0080】
ここで、本発明の実施形態において、濁度が参照され、一般的には裸眼では見ることができない個々の粒子によって生じる流体の曇り度もしくはモヤ度が参照される。
【0081】
第1の態様では、本発明は、1つもしくはそれ以上のサンプルのUV−VIS分光光度計データを分析するための方法に関する。複素数データのUV−VIS分光光度計データの典型的な不利益は、例えばサンプルにおける異なる構成要素もしくは未知の構成要素に対応するなどの異なる寄与が結果として重複寄与をもたらすであろう、ということである。このことが広帯域スペクトルを結果して生じさせ、それにより、複数の異なる寄与は肩もしくはピークの形状において複数のスペクトルからそれ自体を識別できない。本発明の実施形態は、寄与を重複させることによって構築された広帯域吸収を有するスペクトルを結果として生じさせるそのような複素サンプルのUV−VIS分光光度計データを分析することを可能とさせる。
【0082】
本発明の実施形態に係る方法は、1つもしくはそれ以上のサンプルの分析のために使用される。一方、単一のサンプルの分析が可能であり、その方法が複数のサンプルの分光光度計データを分析するのに特に適している。1つもしくはそれ以上のサンプルは、多数の構成要素を含む。本発明の実施形態に係る方法は、2つ以上の構成要素、有利に3つ以上の構成要素を有するサンプルに対してデータを分析するのに特に適している。本発明の実施形態によれば、その方法は少なくともDNA及び/又はRNAを含むサンプルのUV−VIS分光光度計データを分析するのに特に適している。本発明の実施形態に係る方法はコンピュータにより実行される方法であり、UV−VIS分光光度計データを受信するステップと、アデニン−チミン(AT)もしくはグアニン−シトシン(GC)もしくはアデニン−ウラシルのうちのいずれかである塩基対を表す少なくとも1つのスペクトルを考慮してUV−VIS分光計データをフィッティングするステップと、フィッティングからDNA及び/又はRNAの量の定量化を導出するステップとを含む。UV−VIS分光光度計データを受信するステップは、事前に格納されたUV−VIS分光光度計データを取得することを含んでもよいし、もしくはDNA及び/又はRNAを含む1つもしくはそれ以上のサンプルに対してUV−VIS分光光度計データを測定することを含んでもよい。1つもしくはそれ以上の個々の波長または波長範囲での情報がまた使用されてもよいが、そのようなUV−VIS分光光度計データは典型的には、分光光度計スペクトルであってもよい。DNA及び/又はRNAを含むサンプルは、一本鎖DNA、二本鎖DNA(dsDNA)及び/又はRNAを含んでもよい。
【0083】
本発明に係る実施形態によれば、方法の1つのステップは、アデニン−チミン(AT)もしくはグアニン−シトシン(GC)もしくはアデニン−ウラシルのうちのいずれかである塩基対を表す少なくとも1つのスペクトルを考慮してUV−VIS分光計データをフィッティングすることを含む。本発明のいくつかの実施形態では、アデニン−チミン(AT)もしくはグアニン−シトシン(GC)もしくはアデニン−ウラシルのうちのいずれかである塩基対を表す正確には2つのスペクトルが使用される。より特に、いくつかの実施形態では、区別できるGC含有量を有するサンプルを表す2つの参照スペクトルが使用されるであろう。他の例示的な実施形態では、そのようなスペクトル成分は他のスペクトルと組合わせて使用されるかもしくは他のスペクトルと組み合わされる。その結果、フィッティングのために使用される新しいスペクトルが取得される。ヌクレオチドアデニン、チミン、グアニン及びシトシンが発現できる異なるスペクトル形状の例が
図4で図示される。
図4は、フリーの(自由な)ヌクレオチドの結合としてが(A+T曲線402;G+C曲線412)、一本鎖DNAにおいて発現するとしてが(A+T曲線404;G+C曲線414)、二本鎖DNAにおいて塩基対として発現するとしてが(A+T曲線406;G+C曲線416)それぞれ示される。異なるスペクトル形状が明らかに識別できる。ここで、本発明に係る実施形態では、塩基対を表すスペクトルが参照され、ヌクレオチドが二本鎖DNAにおいて塩基対として発現するスペクトルがもしくはヌクレオチドが二本鎖DNAにおいて塩基対として発現する状況に対するスペクトル特徴を含むスペクトルが参照される。
【0084】
本発明の実施形態に係る方法はまた、フィッティングからDNA及び/又はRNAの量の定量化を導出するステップを含む。例えば、DNA及び/又はRNAの量の定量化を導出するステップは、一本鎖DNAの量、二本鎖DNAの量及び/又はRNAの量を導出することを含んでもよい。本発明の実施形態は、二本鎖DNAの量を決定し、それから一本鎖DNAの量もしくはRNAの量を導出するように構成されてもよい。
【0085】
例示のために、本発明の実施形態はこれらに限らないが、多数の特定の実施形態がさらに以下に説明されるであろう。
【0086】
本発明に係る特定の実施形態の第1のセットでは、上述されたコンピュータにより実行される方法が開示され、それにより、DNA及び/又はRNAを含むサンプルのUV−VIS分光光度計データのフィッティングすることは、塩基対を表す正確な2つの参照スペクトルを用いてUV−VIS分光光度計データをフィッティングすることを含む。本実施形態では、これら2つの参照スペクトルは、例えばGC含有量などの異なる特定の塩基対含有量を有する2つのサンプルを表すスペクトルである。典型的には、そのような実施形態では、1つの参照スペクトルはより高いGC含有量を有するサンプルを表すであろう一方で、他の参照スペクトルはより低いGC含有量を有するサンプルを表すであろう。ここで、異なるGC含有量が参照され、含有量における差は、例えば少なくとも20%であってもよく、有利に少なくとも30%であってもよく、より有利に少なくとも40%であってもよく、例えば少なくとも50%などであってもよい。そのような実施形態は、少なくとも50塩基対、有利に少なくとも100塩基対を有するDNA及び/又はRNAのらせん構造を含むサンプルをフィッティングすることに特に適してもよい。従って、効率的なフィッティングが取得される。後者は、十分な長さを有するランダムに発生されたシーケンスを有するDNAに対するスペクトル変動がGC含有量を考慮して十分に説明され、異なるGC含有量を有するサンプルを表す2つのスペクトルを用いて正確にフィッティングされることの驚くべき観察結果に基づく。
【0087】
本発明に係る特定の実施形態では、上述されたコンピュータにより実行される方法に基づき、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を分析するための方法が開示される。PCR反応に対して、典型的には、デオキシドヌクレオチド三リン酸のプライマーオリゴのポリメラーゼ及び特定の量のDNAを含む混合物から始める。混合物におけるdNTPのポリメラーゼは、典型的には、260nmにおいて高い光学濃度を有し、プライマー、ターゲット及びアンプリコンの寄与を覆い隠す。それ故に異なる成分間の特定の識別に対してそのようなサンプルを分析することを困難とさせる。本発明に係る実施形態を用いると、典型的には比較的小さい、形成された二本鎖DNAの量がデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)の損失同様に正確に定量化される。形成されたアンプリコンがGC含有量において実質的に異なり、最終シーケンスに依存するはずである。上述したようにGC含有量に依存する二本鎖DNAスペクトルの変化する形状は、本説明において示された本発明の実施形態を用いてフィッティングされる。またさらに、いくつかの実施形態ではまた、フリーのdNTPのポリメラーゼの混合物に対する形状依存性がまた考慮される。例えば、この形状依存性は、A+T及びG+Cのヌクレオチドの摂取もしくは組み込みの程度に起因される。
【0088】
特定の実施形態の第2のセットでは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を分析するための方法が説明され、ここで、フィッティングするために2つの参照スペクトルが分離した核酸塩基に対する参照スペクトルと組み合わせて、例えば異なるGC含有量などの異なる塩基対含有量を有する異なるサンプルに対して使用される。後者の参照スペクトルは、例えば、A+T及びG+C成分それぞれに対する参照スペクトルとすることができ、核酸塩基に対する個々のスペクトルの組み合わせでありジヌクレオチドのスペクトルでない。これらの参照スペクトルを使用することにより、適切なフィッティングを取得できる。さらにまた、例えば散乱もしくは濁度に対する成分、例えば1つもしくはそれ以上のトリメチルグリシン、グアニジンチオシアナート、フェノール、エチレンジアミン四酢酸、タンパク質もしくはヘモグロビンなどの汚染物質に対する成分などの他の成分がフィッティングのために考慮される。
【0089】
特定の実施形態の第3のセットでは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を分析するための方法が説明され、ここで、フィッティングのために、PCR作用が起こる前のサンプルのスペクトル及び例えばA+T及びG+Cヌクレオチドなどの核酸塩基の組み込みを表す異なるスペクトルである2つの参照スペクトルが使用される。一方の例えば二本鎖分子におけるAT及びGCのそれぞれなどの塩基対の塩基対スペクトルと他方の例えばA+T及びG+Cのそれぞれのヌクレオチド混合物などの分離した核酸塩基に対して取得されたスペクトルとの差のような差スペクトルが取得される。
【0090】
例示のために、本発明の実施形態はこれには限定されないが、シミュレーション結果が提供され、DNAを含むサンプルを解析するために上述した解析技術がどのように有利に使用されるかが例示される。
【0091】
第1のセットのシミュレーション結果は、長い二本鎖DNAに対して、すべてのスペクトル差が例えばATスペクトル成分及びGCスペクトル成分などの2つのスペクトル成分を用いて説明されることを示す。シミュレーション結果のセットは、10塩基対の単位で10塩基対から500塩基対までのサイズを有する二本鎖DNA分子に対してフィッティングすることを含む。これらの粒子に対するGC含有量は10%の単位で20%から80%に及ぶ。サンプルの各クラスに対して、200個のランダムなシーケンスが発生された。
【0092】
次に、吸収スペクトルの予測が非特許文献2で説明された方法を用いてすべてのシーケンスに対して行われた。二本鎖DNAの異なる長さの選択に対して差スペクトルが
図5において図示される。
図5(a)、
図5(b)、
図5(c)、
図5(d)、
図5(e)及び
図5(f)は、それぞれ10塩基対、20塩基対、50塩基対、100塩基対、200塩基対及び500塩基対の長さを有するdsDNAに対するスペクトルを示す。
【0093】
各クラスに対して、各クラスにおける200個のスペクトルの広がりが研究され、異なるGC含有量の関数としての依存性が見られるかどうかが識別された。短い二本鎖DNA分子に対して、大きな変化が存在することが見られる。短い二本鎖DNA分子に対しては、GC含有量のクリアな依存性が得られず、GC含有量の効果が最近傍含有量の変動により覆い隠されることが結論付けられる。一方、長い二本鎖DNA分子対して、各クラスにおける200個のスペクトルに対するスペクトル形状の分散が主にGC含有量における分散により説明される。言い換えると、スペクトル形状における分散は、GC含有量である1つの変数により実質的に説明することができる。例示のために、500塩基対の長さを有する二本鎖DNAに対して、(1つは高いGC含有量を用いてもう1つは低いGC含有量を用いた)特定のGC含有量を有する2つの参照スペクトルのうちの1つを用いてすべてのこれらの異なるスペクトルをフィッティングする可能性が例示される。
【0094】
図6は、(本ケースではGC含有量が50%である)所定のGC含有量に対して、二本鎖DNAのフラグメントサイズの関数として異なるスペクトル間のスペクトル形状における分散を例示する。1塩基対と50塩基対との間のフラグメントサイズに対して、分散が大きいことが理解される。例えば100塩基対もしくはそれ以上などの50塩基対もしくはそれ以上のフラグメントサイズに対して、スペクトル形状における分散は実質的により低くなり、また(ランダムに発生されるのだが、)より長いフラグメントサイズに対して、吸収スペクトルのスペクトル形状が所定のGC含有量に対して特徴があるという事実を示す。例示のために、本発明の実施形態はこれに限らないが、本発明の実施形態に係るPCR測定を分析するための分析方法の応用の例が
図7a及び
図7bを参照して以下に説明される。
【0095】
図7aは二本鎖DNAが形成されないサンプルの吸収スペクトルの分析に対するアウトプットを示し、
図7bは二本鎖DNA形成されるサンプルの吸収スペクトルの分析のアウトプットを示す。PCRが使用されるサンプルは典型的には高い光学濃度を有するが、
図7a及び
図7bに図示されるようにスペクトルはまだ分析することができる。
【0096】
使用された解析方法は、例えば極限GC濃度などの(塩基対に対して表現し、dsDNA_ATもしくはA=T及びdsDNA_GTもしくはG≡Cと称された)異なるGC濃度に対して2つの参照スペクトルの使用と、(個々のスペクトルの組み合わせでありかつジヌクレオチドのスペクトルでない、dNTPs_AT及びdNTPs_GCと称された)A+T及びG+C成分それぞれに対する2つの参照スペクトルの使用とに基づく。これらの参照スペクトルを使用することにより、本実施例ではまた、例えば濁度に対する成分などの他の成分を考慮し、適切なフィッティングが取得され、実際に二本鎖DNAがPCR反応により形成されたかどうかが区別される。AT及びGCの二本鎖DNA含有量のフィッティングされた濃度から、定量化がまた実行される。測定されたスペクトル702及び最良にフィッティングされたスペクトル704は実質的に一致する。dNTPS_AT成分706とdNTPS_GC成分とがまた図示されるのみならず、dsDNA_AT成分710、dsDNA_GC成分712、残基成分714及び他の既知の寄与成分716の成分がまた図示される。最後の4つはほとんど寄与していない。
【0097】
例示のために、本発明の実施形態はこれに限らないが、本発明の実施形態に係るPCR測定を分析するための分析方法の応用のもう1つの例が
図8a及び
図8bを参照して以下に説明される。
図8a及び
図8bは、二本鎖DNAが形成されないサンプル(
図8a)と、二本鎖DNAが形成されるサンプル(
図8b)との吸収スペクトルの分析に対するアウトプットを例示する。PCRが使用されるサンプルは典型的には高い光学濃度を有するが、
図8a及び
図8bに図示されるようにスペクトルはまだ分析することができる。
【0098】
使用された解析方法は、(PCR混合と称された)PCR作用が起こる前のサンプルのスペクトルと、A+T及びG+Cのスペクトルにおける組み込みを表す差スペクトルである2つの参照スペクトルとの使用に基づく。AT及びGCそれぞれの分離したヌクレオチド混合物に対して取得されたスペクトルと、二本鎖構成すなわち塩基対のような構成におけるAT及びGCそれぞれの塩基対スペクトルとの差のようなAT及びGCに対する差スペクトルが取得される。測定されたスペクトル802及び最良のフィッティングされたスペクトル804が図示される。
図8aに対して、他の成分と残基は実質的にゼロに等しい。
図8bに対して、またさらにAT組み込み成分806、GC組み込み成分808及びPCR混合成分810がまた示される。他の成分と残基は実質的にゼロに等しい。
【0099】
これらの参照スペクトルを使用することにより、本実施例では、例えば濁度に対する成分などの他の成分を選択的にまた考慮すると、適切なフィッティングが取得され、実際に二本鎖DNAがPCR反応により形成されたかどうかが区別される。AT及びGCの二本鎖DNA含有量のフィッティングされた濃度から、定量化がまた実行される。フィッティングの結果が形成された二本鎖DNAに対する測定である。従って、最終結果として元の二本鎖DNAと形成されたアンプリコンとの組み合わせを提供する方法の場合におけるよりもPCR反応のより良い定量化を可能とさせることが本発明に係る実施形態の利点である。またさらに、AT及びGC含有量バランスを自動的に考慮されることが本発明に係る実施形態の利点である。
【0100】
上記実施形態は、解析方法を用いることにより、GCスペクトルを考慮することが二本鎖DNAの適切な分析を可能にしさらにPCR反応の分析でさえも可能とすることを示す。
【0101】
例示のために、本発明の実施形態はこれに限らないが、本発明の実施形態に係るDNA及びRNAを含むサンプルを分析するための分析方法の応用のもう1つの例が
図9を参照して以下に説明される。
図9は、異なるDNAとRNAとの比を有するサンプルを含むサンプルのセットを例示する。DNA/RNA比は4:1から1:4まで変化した。DNAとRNAとのスペクトル寄与が著しく重なることが理解される。所定のDNA/RNA比を有するサンプルのセットが本発明の実施形態に係る方法を用いて解析される場合は、所定のDNA/RNA比に対応するDNA/RNA比が実験誤差範囲内で見られ、本発明の実施形態に係る方法の特徴及び利点を示す。
【0102】
さらに例示のために、サンプルを含む2つのRNAの解析が
図10及び
図11で例示される。
図10は、RNA、RNAヌクレオチド及びDNAのすべてを含むサンプルの解析を例示する。それにより、測定されたスペクトル1002が図示され、最良のフィッティング1004が図示され、RNA成分1006が図示され、DNA成分1008が図示され、RNAヌクレオチド成分1010が図示されるのみならず、残基フラクション1012が図示される。残基フラクションは3%より小さく正確なフィッティングを示すことが理解される。挿入図は、電気泳動分離及び蛍光分析に基づく代替の測定結果を例示し、本発明の実施形態に係る解析技術を用いて検出されたように、RNAの存在を確認する(RNAの高い整合性に対応する10のRINスコア)。
図11は、RNAを含むもう1つのサンプルの解析を例示し、それにより、測定されたスペクトル1002が図示され、最良のフィッティング1004が図示され、RNA成分1006が図示され、グアニジンチオシアン酸塩成分がまた図示され、グアニジン成分1014が図示され、残基1012がまた図示される。DNAのフラクションとタンパク質とは無視できる。残基フラクションはわずか0.83%であり、十分に適したフィッティングを示すことが理解される。挿入図は、電気泳動分離及び蛍光分析に基づく代替の測定結果を例示し、本発明の実施形態に係る解析技術を用いて検出されたように、RNAの高い整合性に対応する(RINスコア10の)サンプルRNAの質を確認する。
【0103】
またさらに、本発明の実施形態は、また本発明の実施形態である1つもしくはそれ以上の以下の態様の一部であってもよく、それらに対応してもよく、それらの1つもしくはそれ以上のステップまたは特徴を備えてもよく、またはそれらを使用してもよい。
【0104】
例示のために、標準的なかつ最適なステップを含む本発明の実施形態に係る方法の例示的なフローチャートが
図1で図示され、以下にそれを参照してさらに説明されるであろう。
【0105】
本発明の実施形態に係る方法100は、それらの構成要素に関する1つもしくはそれ以上のサンプルに対する事前情報を取得するステップ110を含む。それらの構成要素に関する1つもしくはそれ以上のサンプルに対するそのような事前情報は、いくつかの実施形態では、1つもしくはそれ以上の参照スペクトルを含んでもよい。
【0106】
代替にもしくはそれに加えて、そのような事前情報はまた、例えば予想された濃度、異なる構成要素間の予想された比などの予想された組成情報を含んでもよい。そのような組成情報の一例は、例えば、既知のポリヌクレオチドの存在であってもよく、それにより、ヌクレオチドである本実施例において構成要素の既知の比が利用できるように、既知のポリヌクレオチドはヌクレオチドの既知のシーケンスである。いくつかの実施形態では、事前情報は、研究用サンプルに基づいて取得されてもよい。いくつかの実施形態では、事前情報は例えば構成要素に対して事前に格納された参照スペクトルなどの事前に格納された情報であってもよい。いくつかの実施形態では、そのような事前情報の組み合わせがまた使用される。
【0107】
方法はまた、1つもしくはそれ以上のサンプルに対して120個のUV−VIS分光光度計データを取得するステップを含む。1つもしくはそれ以上の個々の波長での情報もしくは波長範囲での情報がまた使用されてもよいが、そのようなUV−VIS分光光度計データは典型的には、分光光度計スペクトルであってもよい。
【0108】
本発明に係る方法はまた、UV−VIS分光光度計データにおいて寄与する多数のオーバーラップする成分を定義するステップ130を含み、当該多数のオーバーラップする成分は、1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に対して割り当てられた1つもしくはそれ以上の成分を含み、当該多数の成分は1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に割り当てられない1つもしくはそれ以上の成分を含む。UV−VIS分光光度計データに対する寄与を表す本発明の実施形態に係る成分は、いくつかの実施形態では、ガウス分布、ローレンツ分布もしくはそれらの混合とは異なる形状を有するスペクトル寄与を含んでもよい。スペクトル寄与の形状は、より広い寄与が存在してもよい。1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に対して割り当てられないそのような1つもしくはそれ以上の成分は、例えば修飾された構成要素などの上述されたように、2つの構成要素もしくは汚染物質間の隣接効果が存在してもよい。多数のオーバーラップする成分を定義するステップは、例えばニューラルネットワークなどの所定のアルゴリズムに基づいてもよい。方法は、例えば主成分分析技術などを用いて、多数のオーバーラップする成分を定義するための成分分析を使用してもよい。いくつかの実施形態では、独立成分の数は、サンプルの非常に多数の吸収スペクトルを行列に置き換えて行列の階数を計算することにより取得することができる。
【0109】
またさらに、本発明に係る方法は、それらの構成要素に関する1つもしくはそれ以上のサンプルに対する事前情報を用いてかつUV−VIS分光光度計データを用いて、上記構成要素の組成と上記成分の寄与とに基づいて、UV−VIS分光光度計データとフィッティングとの間の残基を最小化することにより1つもしくはそれ以上のサンプルに対する多数の成分に対するUV−VIS分光光度計データに対する構成要素の組成及び成分の寄与を評価するステップ140を含む。残基を最小化するために、例えば最小二乗法、反復誤差最小化、誤差エントロピー最小化、加重誤差最小化などの異なる技術が用いられてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、事前情報は、既知の構成要素に対して割り当てられた成分に対して、例えば参照スペクトルなどのUV−VIS分光光度計データにおける参照寄与を含む。次に、構成要素の組成及び成分の寄与を評価するステップは、参照寄与に基づいて、すべての成分に対して、UV−VIS分光光度計データに対する成分の寄与を評価することを含んでもよい。次に、成分の寄与に基づき、構成要素の組成の評価は、すべての成分に対するUV−VIS分光光度計データに対する評価された成分の寄与に基づくUV−VIS分光光度計データとフィッティングとの間の残基の最小化に基づいて決定される。
【0111】
いくつかの実施形態では、事前情報は、既知の構成要素に対する1つもしくはそれ以上のサンプルに対する構成要素の組成情報を含む。次に、構成要素の組成及び成分の寄与を評価するステップは、既知の構成要素に対する1つもしくはそれ以上のサンプルに対する構成要素の組成情報に関する事前情報に基づき、すべての構成要素に対して構成要素の組成を評価することと、すべての構成要素に対する上記評価された構成要素の組成に基づくUV−VIS分光光度計データとフィッティングとの間の残基の最小化に基づき、UV−VIS分光光度計データに対する成分の寄与に対する評価を決定することとを含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、事前情報の混合が得られ、それにより、情報の混合が構成要素の組成及び成分の寄与の評価を決定することを可能とさせる。
【0113】
構成要素の組成及び成分の寄与は、構成要素の組成の関数として成分の寄与に対する重み付け係数を定義するモデルにより相互に関連付けられてもよい。そのような重み付け係数は、構成要素の組成もしくは成分の寄与に対する評価を決定するときに考慮されてもよい。
【0114】
方法はまた、これらのステップを反復的に適用することによりすべての残基をさらに最小化するために評価するステップとフィッティングするステップとを反復するステップ150を含んでもよい。構成要素の組成に基づくUV−VIS分光光度計データとフィッティングとの間の残りの残基が所定の値よりも小さくなるまで、または反復ステップが最大数に到達されるであろうまでそのような反復プロセスが実行されてもよい。言及された所定の値は、所定のルールに基づいてもよく、ニューラルネットワークに基づいてもよく、所定のアルゴリズムに基づいてもよく、1つもしくはそれ以上のサンプルに関する情報に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、残基の最小化は、最小の残基を有するそれらのサンプルに対してだけに実行されてもよく、より正確な結果及び/又はより迅速な収束を可能とさせる。
【0115】
方法は、サンプルの組成に関するアウトプット情報及び/又は吸収スペクトルに対する構成要素のスペクトル寄与に関する情報として提供することを可能とする。いくつかの実施形態では、取得された情報は、構成要素、修飾された構成要素、汚染物質、隣接効果などに対して参照スペクトルを導出することを可能としてもよい。後者は、異なる構成要素もしくはそれらの効果と互換性がある異なる参照スペクトルのライブラリをセットアップするために使用することができる。
【0116】
一実施形態では、方法はまた、各サンプルもしくはそれに関連する情報の残基を用いて利用可能な事前情報を検査することを含む。言い換えると、その方法を用いて取得された結果は、利用可能な事前情報を照合するために使用される。
【0117】
本発明の実施形態に係る方法は、複数のサンプルを分析するのに特に適していてもよい。それにより、サンプルのある部分では未知の成分が存在し、サンプルの別の部分では未知の成分が存在しない。
【0118】
本発明の実施形態に係る方法は、ソフトウェアのみならずハードウェアとしても実装されてもよい。
【0119】
例示のために、本発明の実施形態はこれには限定されないが、どのようにデータが組み合わされて取得されたかの例が
図2に例示される。
図2は、本発明の実施形態によれば、分光光度計データ及び(例えば事前知識に基づいて取得されるなどの)組成情報に基づき、どのように成分の寄与が残基を最小化することにより例えば参照スペクトルの形状などで決定されるかを例示する。取得された成分の寄与に基づきかつ分光光度計データを用いて、組成の改良された評価を得ることができる。
図3は、本発明のさらなる実施形態を例示し、それにより、組成情報もしくは成分の寄与情報を評価するときに、例えば事前データを考慮して予想された結果などを考慮して取得された成分の寄与データを評価することによって、付加的な成分を追加することかもしくは成分を除去することが決定され、または例えば事前データを考慮して予想された結果などを考慮して取得された組成情報の評価に基づいて評価においてサンプルを除去することが決定される。
【0120】
方法は、サンプルにおける1つもしくはそれ以上の構成要素及びUV−VISスペクトルにおける対応する成分の寄与についての定量的な情報を抽出するのに適してもよい。いくつかの実施形態では、サンプルにおいて存在する疑いがある既知の及び未知の成分の対応する参照スペクトルは、UV−VIS分光光度計データをフィッティングするために使用される。成分の寄与は、個々の純粋成分の参照スペクトルに限定されないが、必ずしも成分の物理化学的吸収特性に対応しない成分の修正スペクトル関数を用いて拡張されてもよく、成分それ自身もまた研究用の波長領域内で重大な吸収特性を示す必要性はない。1つの例では、複数の成分の寄与の1つは、例えばサンプルの前処理に起因して存在する粒子などの残基粒子によって生じる散乱に対応する寄与であってもよい。
【0121】
例示のために、本発明の実施形態はこれに限定されないが、本発明の実施形態に係る方法またはDNA及び/又はRNAを含むサンプルを分析するための方法におけるフィッティングするステップに対する実施形態において使用される方法を実装することの例示的な方法を例示して、多数の特定のステップを含むアルゴリズムが説明されるであろう。その方法は、特定の数学的な行列定式化を用いて説明されるであろう。本発明の実施形態はこれに限定されないが別の数学的定式化をまた使用してもよい。その例は、分光光度データの解析のために使用された方法を例示する。その原理は、異なる種類のサンプルに対して適用される。
【0122】
アルゴリズムを例示するために、最初に多数の定義が提供される。すなわち、
A
i:これは(吸収率(OD10mm)で表された)測定値であり、ここで、下付き記号iは、(核酸の場合において、1nmステップで220nmから360nmまでの範囲の)波長を示す。
Q
j:この行列は、異なる既知の及び未知の構成要素の相対存在、相互作用効果、混合物の修飾もしくは汚染物質を含む。本実施例では、これらは、例えばヌクレオチドA,G,C及びTなどとすることができるがまた、(標識のような)修飾もしくは例えばAGなどのジヌクレオチドとすることもできる。その理由は、いくつかのジヌクレオチドスペクトルは、それらの構成要素の結合されたスペクトルと異なるからである。このアルゴリズムでは、ジヌクレオチドは修飾及び汚染物質と同様に処理される。jは混合物におけるサブ成分の数である。
R
ij:参照スペクトルである。これらは、ヌクレオチドの(既知の)スペクトルと、修飾、ジヌクレオチド及び汚染物質のスペクトルである。波長i及びサブ成分jが用いられる。
【0123】
格納された参照スペクトルR
jと協働すると、各参照スペクトルQ
ijの係数は未知となるはずである。
【0124】
既知の成分を測定すると、Q
ijはすでに特定化され、参照スペクトルR
jが得られる。
【0125】
実際は、第1のステップでR
jが決定され、後に続くステップでQ
ijが見つけられることが繰り返される反復の手順が使用されるであろう。
【0126】
測定値、相対存在及び(本実施例では、既知の参照スペクトルである)寄与が次式より得られる。
【0128】
もし複数のサンプルが測定される場合は、定義は測定行列を結果として生じ、当該測定行列は以下となる。
A
ik:これは(吸収率(OD10mm)で表された)測定値であり、ここで、下付き記号iは、(核酸の場合において、1nmステップで220nmから360nmまでの範囲の)波長を示し、下付き記号kは測定の数を示す。
【0129】
係数行列は以下となる。
Q
jk:この行列は、混合物のすべてのサブ成分の係数(相対存在)を含む。ここで、サブ成分は、ヌクレオチドA,G,C及びTなどとすることができるがまた、(標識のような)修飾、例えばAGなどのジヌクレオチド及び汚染物質とすることができる。また、jはサブ成分の数であり、kは測定の数である。
【0130】
(本実施例では事前情報から知られかつ参照スペクトルRである)成分と、(本実施例では構成要素の組成を表す)係数行列と、測定行列との間の関係を表す次式が結果として得られる。
【0132】
本実施例では、利用可能な事前情報は、サンプルにおける構成要素に対する参照スペクトルに対応する。そのようなケースでは、式(2)における成分の寄与情報Rと分光光度計データAとの両方が既知である。サンプル組成Qを決定するために、最初に転置された成分の寄与情報Rを用いて式(2)に左から乗算し、次に転置された成分の寄与Rと成分の寄与Rとの行列積の逆行列を用いて式の両側に左から乗算する。
【0135】
実際には、これは行列線形回帰もしくは線形最小二乗に対する式である。分光光度計データAが疑似逆行列Rとして知られる前の右側の式は、例えば特異値分解などを用いて計算することができる。
【0136】
例示のため、逆の状況のための例がまた説明されるであろう。それにより構成要素の組成が知られ、それにより参照スペクトルが決定される必要がある。
【0137】
従って、サブ成分の係数が知られ、測定値が知られ、及び目的が参照スペクトルを取得すべきことである逆問題が以下に説明される。
【0138】
全体の式(1)を転置することにより、以下の関係式が得られる。
【0140】
次に、参照スペクトルは次式により見つけることができる。
【0142】
上述した2つの例では、既知の構成要素の状況が示された。
【0143】
上記アルゴリズムは、本発明の実施形態で説明された方法を用いて得ることができた特徴及び利点を示す。
【0144】
一態様では、本発明はまた、DNA及び/又はRNAを含む1つもしくはそれ以上のサンプルのUV−VIS分光光度計データを分析するためのシステムに関する。当該システムは、上記UV−VIS分光光度計データを受信するための入力手段と、アデニン−チミン(AT)もしくはグアニン−シトシン(GC)もしくはアデニン−ウラシルのうちのいずれかである塩基対を表す少なくとも1つのスペクトルを考慮してUV−VIS分光計データをフィッティングし、フィッティングからDNA及び/又はRNAの量の定量化を導出するようにプログラミングされた処理手段と、研究用の1つもしくはそれ以上のサンプルに対するDNA及び/又はRNAの量の定量化を出力するための出力手段とを備える。さらに、最適な特徴及び利点は、上述された方法において表されたステップの機能を実行するための構成要素に対応してもよい。またさらに、以下に説明されまた本発明の態様であるさらなるシステムもしくはその構成要素の特徴及び利点はまた、上述されたDNA及び/又はRNAを含む1つもしくはそれ以上のサンプルのUV−VIS分光光度計データを分析するためのシステムにおいて部分的にもしくは全体に組み込まれてもよい。例えば、そのようなさらなるシステムは、多数の構成要素からなる1つもしくはそれ以上のサンプルの分光光度計データの分析を実行するためのシステムであってもよい。当該システムは、それらの構成要素に関する1つもしくはそれ以上のサンプルに対する事前情報を取得するためかつ1つもしくはそれ以上のサンプルに対するUV−VIS分光光度計データを取得するための入力手段を備える。後者は、事前情報及び分光光度計データを受信するための入力ポートであってもよい。
【0145】
代替例として、入力手段はまた、例えば分光光度計などのUV−VIS分光光度計データを記録するための測定システムを備えてもよい。
【0146】
またさらに、システムは、UV−VIS分光光度計データにおいて寄与する多数のオーバーラップする成分を定義するようにプログラミングされた処理手段を備え、多数の成分は、1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に対して割り当てられた1つもしくはそれ以上の成分を含み、多数の成分は1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に対して割り当てられない1つもしくはそれ以上の成分を含む。そのような処理手段は、本発明の実施形態はこれに限定されないが、例えばCPUなどであってもよい。またさらに、本発明の実施形態に係る処理手段は、それらの構成要素に関する1つもしくはそれ以上のサンプルに対する事前情報を用いてかつUV−VIS分光光度計データを用いて、上記構成要素の組成及び上記成分の寄与に基づいて、UV−VIS分光光度計データ及びフィッティングの間の残基を最小化することにより、1つもしくはそれ以上のサンプルに対する多数の成分に対するUV−VIS分光光度計データに対する構成要素の組成及び成分の寄与を評価し、それ故に1つもしくはそれ以上のサンプルの既知の構成要素に対して割り当てられない1つもしくはそれ以上の成分に関する情報を取得するようにプログラミングされる。そのような情報は、例えばメモリ、ディスプレイ、プリンタもしくはプロッタなどの出力手段を用いて出力されてもよい。
【0147】
もう1つの態様では、本発明は、例えばそのような構成要素の寄与に対して、修飾され阻害され、もしくは特定の環境内に存在するサンプルの特定の構成要素に対する参照スペクトルなどの成分の寄与を抽出するための方法に関する。参照スペクトルは、上述された方法を用いて抽出される。成分の寄与を抽出するためのそのような方法は、上述されたDNA及び/又はRNAを含むサンプルのUV−VIS分光光度計データを分析するための方法に対応してもよい。
【0148】
一態様では、本発明はまた、特定の応用に対して上述された方法の使用に関する。これらの応用の1つは、DNAもしくはRNAサンプルにおける汚染物質を識別し及び/又は定量化してもよい。汚染物質はタンパク質汚染物質であってもよい。1つの応用における汚染物質は、PCR遮断の汚染物質であってもよい。想定される別の応用は、二本鎖DNA及び一本鎖RNAもしくはDNAの混合物における二本鎖DNAの量の定量化である。またさらなる応用は、ポリヌクレオチドもしくはタンパク質の組成の決定化である。さらなる応用は、サンプルにおける修飾効率化の定量化である。方法はまた、サンプル組成、その構成要素もしくはその構成要素のグループを検証するために適用されてもよい。拡張により、方法は、特にポリマーの成分、より特に例えばポリヌクレオチド及びタンパク質などのバイオポリマーにおける成分の組成に関するより詳細な情報を抽出することを可能とする。逆に、方法はまた、成分のスペクトルの知識よりもむしろ既知の成分の組成の事前知識に基づき、ポリマーの定量情報を抽出することを可能とする。
【0149】
さらに別の態様では、本発明の実施形態はまた、分光光度計データを分析するための方法の少なくとも一部を実行するためにコンピュータにより実行される方法に関する。本発明の実施形態はまた、対応するコンピューティングプログラム製品に関する。方法は、コンピューティングシステムに実装されてもよい。それらはソフトウェアとして、ハードウェアとして、もしくはそれらの組み合わせとして実装されてもよい。そのような方法は、自動化され及び/又は自動的な方法でコンピュータ上で実行されるように構成されてもよい。ソフトウェアとして実装もしくは部分的に実装する場合は、そのようなソフトウェアは、1つもしくはそれ以上のプロセッサに基づいて適切なコンピュータもしくはコンピュータプラットフォーム上で実行するように構成されてもよい。ソフトウェアは、例えばウィンドウズ(登録商標)オペレーティングシステムもしくはリナックス(登録商標)オペレーティングシステムなどの任意の適切なオペレーティングシステムとともに使用されるように構成されてもよい。コンピューティング手段は、データを処理するための処理手段もしくはプロセッサを備えてもよい。いくつかの実施形態によれば、処理手段もしくはプロセッサは、上述された方法のいずれかに係るスペクトルを分析するように構成されてもよいし、もしくは上述された方法のいずれかに係る参照スペクトルを抽出するように構成されてもよい。またさらに、プロセッサに加えて、コンピューティングシステムは、例えばROMもしくはRAMなどを含むメモリシステム(記憶装置)と、例えばCD−ROMもしくはDVDドライブまたはネットワークを介して情報を出力するための手段などの出力システムとを含んでもよい。例えばキーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイス、入出力ポートなどの従来のコンピュータ構成要素がまた含まれてもよい。データ伝送をデータバスに基づいて提供されてもよい。コンピューティングシステムのメモリは、コンピューティングシステム上に実装される場合に上述された方法の標準的なステップの一部もしくはすべて、並びに上述された選択的なステップを選択的に実行させる命令のセットを含んでもよい。取得された結果は、電子フォーマットでの出力データとして例えばプロッタ、プリンタ、ディスプレイなどの出力手段を介して出力されてもよい。
【0150】
さらに、本発明の実施形態の態様は、コンピューティングデバイス上での実行に対するマシン可読コードを伝達するデータ記憶媒体において具現化されたコンピュータプログラム製品を含む。そのようなコンピュータプログラム製品のみならず例えばDVDもしくはCD−ROMもしくはメモリデバイスなどのデータ記憶媒体も含む。またさらに、実施形態の態様は、例えばローカルネットワークもしくはワイドエリアネットワークなどのネットワークを介してコンピュータプログラム製品のみならずそれらに対応する送信信号を送信することを含む。