【文献】
Yang, Dong; Luo, Houwei,Modification of diterpenoid quinones from Salvia miltiorrhiza,Zhongguo Yaoke Daxue Xuebao,1998年,29(4),255-258
【文献】
Luo, Houwei; Gao, Jiwei; Zheng, Jiarun,Relationship between structure and antibacterial activities of tanshinones and related compounds,Zhongguo Yaoke Daxue Xuebao,1988年,19(4),258-62
【文献】
Sun, Cunji; Bai, Donglu,Synthesis of some compounds related to tanshinquinone,Yaoxue Xuebao ,1985年,20(1),39-43
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
置換基が、ヒドロキシル、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、バレリルオキシ、イソバレリルオキシ、tert−バレリルオキシ、ピペリジルカルボニルオキシ、ピペラジニルカルボニルオキシ、モルホリニルカルボニルオキシ、ピロリジルカルボニルオキシ、イミダゾリジニルカルボニルオキシ、グリシンエステル基、N−tert−ブトキシカルボニルグリシンエステル基、バリンエステル基、グルタミン酸エステル基、リシンエステル基、マロン酸モノエステル基、コハク酸モノエステル基、マレイン酸モノエステル基、メチルマレイン酸エステル基、グルタル酸モノエステル基、アジピン酸モノエステル基及びピメリン酸モノエステル基からなる群から選択される、請求項2又は3に記載のタンシノンI誘導体又は薬学的に許容されるその塩。
腫瘍が、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、肝臓がん、胃がん、乳がん、胆管細胞癌、膵臓がん、肺がん、結腸直腸がん、骨肉腫、ヒト子宮頸がん、神経膠腫、鼻咽腔癌、喉頭癌、食道がん、中耳腫瘍、黒色腫及び前立腺がんから選択される、請求項11に記載の使用。
腫瘍が、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、肝臓がん、胃がん、乳がん、胆管細胞癌、膵臓がん、肺がん、結腸直腸がん、骨肉腫、ヒト子宮頸がん、神経膠腫、鼻咽腔癌、喉頭癌、食道がん、中耳腫瘍、黒色腫及び前立腺がんから選択される、請求項13に記載の治療剤。
腫瘍が、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、肝臓がん、胃がん、乳がん、胆管細胞癌、膵臓がん、肺がん、結腸直腸がん、骨肉腫、ヒト子宮頸がん、神経膠腫、鼻咽腔癌、喉頭癌、食道がん、中耳腫瘍、黒色腫及び前立腺がんから選択される、請求項15に記載のタンシノンI誘導体又は薬学的に許容されるその塩。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、式(I)の新規な2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体
【0025】
(式中、Xは窒素又は酸素であり;
Xが窒素であり、Yが(R
1 R
2)である場合、式(I)の化合物は式I−1の2−アミノ化メチレンタンシノンIであり;Xが酸素であり、Yが−(CO)Rである場合、式(I)の化合物は式I−2の2−エステル化メチレンタンシノンIであり、
【0027】
式中、R、R
1及びR
2は、H、置換若しくは非置換のC
1−C
18アルキル、置換若しくは非置換のC
2−C
18アルケニル又はアルキニル、置換若しくは非置換のC
3−C
7シクロアルキル又はシクロアルケニル、置換若しくは非置換のアリール及び置換若しくは非置換のヘテロアリール又はヘテロシクリルからなる群から選択される、又はR
1及びR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって非芳香族窒素含有ヘテロシクリル又は窒素含有ヘテロアリールを形成する;上記置換基のそれぞれは、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、C
1−C
6置換アミノ、C
1−C
6アルコキシ及びC
1−C
6アルキルチオからなる群から選択される1つ又は2つ以上の置換基で置換されている)
又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【0028】
本発明の好ましい実施形態によれば、Xは窒素である。
【0029】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、R
1はH、メチル又はエチルであり;R
2は、ヒドロキシル、C
1−C
6アルキルカルボニルオキシ、シクロアルキルカルボニルオキシ、ヘテロシクリルカルボニルオキシ、アミノ−酸エステル基(アミノは、C
1−C
6アルコキシカルボニル置換されていてもよい)、及び、炭素−炭素二重結合を含有していてもよいC
2−C
8ジカルボン酸エステル基(その中の1つのカルボキシルがC
1−C
6アルキルでエステル化されていてもよい)からなる群から選択される置換基で置換されたC
1−C
3アルキルである。
【0030】
本発明の好ましい実施形態によれば、R
1はH又はメチルであり;R
2は前記置換基で置換されたエチルである。
【0031】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、前記置換基は、ヒドロキシル、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、バレリルオキシ、イソバレリルオキシ、tert−バレリルオキシ、ピペリジルカルボニルオキシ、ピペラジニルカルボニルオキシ、モルホリニルカルボニルオキシ、ピロリジルカルボニルオキシ、イミダゾリジニルカルボニルオキシ、グリシンエステル基、N−tert−ブトキシカルボニルグリシンエステル基、バリンエステル基、グルタミン酸エステル基、リシンエステル基、マロン酸モノエステル基、コハク酸モノエステル基、マレイン酸モノエステル基、メチルマレイン酸エステル基、グルタル酸モノエステル基、アジピン酸モノエステル基及びピメリン酸モノエステル基からなる群から選択される。
【0032】
本発明の好ましい実施形態によれば、2−アミノ化メチレンタンシノンIは、フェニル環上でハロゲンで置換されていてもよいベンジルによって四級化されている。
【0033】
本発明の好ましい実施形態によれば、Xは酸素又は硫黄であり、Rは、ヒドロキシル若しくはハロゲンで置換されていてもよいC
1−C
6アルキル、又はヒドロキシル若しくはハロゲンで置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリールである。
【0034】
本発明によるいくつかの好ましい2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体を以下の通り示す。これらの例は、本発明をさらに例示しようとするためだけのものであり、本発明の範囲のいかなる限定もしようとするものではない。
【0036】
上記化合物についてのいくつかのデータを以下の表に列挙する:
【0038】
本発明の別の実施形態によれば、式(I)の以下の化合物が特に好ましい:
【0039】
【化9】
2−(N−メチルベンジルアミノ)メチル−タンシノンI
2−(N−メチルエチルアミノ)メチル−タンシノンI
2−(N−メチルエタノールアミノ)メチル−タンシノンI
2−(N−メチル−アセトキシエチル−アミノ)メチル−タンシノンI
2−(N−メチル−t−ブチリルオキシエチル−アミノ)メチル−タンシノンI
2−((N−メチル−(4−ピペリジルカルボニル)オキシエチル−アミノ))メチル−タンシノンI
2−(エタノールアミノ)メチル−タンシノンI
2−(N−メチル−L−バリルオキシエチルアミノ)メチル−タンシノンI
2−(N−メチル−Boc−グリシルオキシエチル−アミノ)メチル−タンシノンI
2−(N−メチル−モノスクシニルオキシエチル−アミノ)メチル−タンシノンI
2−(N−メチルN−(メトキシカルボニルアクリロキシエチル)−アミノ)メチル−タンシノンI。
【0040】
本発明の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体は、抗腫瘍活性を有する。タンシノンIそれ自体と比較して、本発明の好ましい化合物は数倍、さらには数十倍改善された高い抗腫瘍活性を有する。
【0041】
本明細書で用いる「アルキル」という用語は、指定された数の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状炭化水素ラジカルを指す。アルキルは、1〜18個の炭素原子、例えば1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、1〜5個、1〜4個又は1〜3個の炭素原子を含むことができる。アルキルの例には、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル及びn−オクタデシルが含まれる。
【0042】
「アルケニル」という用語は、指定された数の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状アルケニルを指す。アルケニルは、2〜18個の炭素原子、例えば2〜12個、2〜10個、2〜8個、2〜6個、2〜5個、2〜4個又は2〜3個の炭素原子を含むことができる。アルケニルの例には、これらに限定されないが、ビニル、アリル及びオクタデセニルが含まれる。
【0043】
「C
1−C
18アルキルアシル」という用語は、1〜18個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状アルキルアシルを指す。C
1−C
18アルキルアシルの例には、これらに限定されないが、アセチル及びブチリルが含まれる。
【0044】
「C
1−C
18アルコキシカルボニル」という用語は、1〜18個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状アルコキシカルボニルを指す。C
1−C
18アルコキシカルボニルの例には、これらに限定されないが、メトキシカルボニル及びtert−ブトキシカルボニルが含まれる。
【0045】
「C
1−C
18アルキルチオカルボニル」という用語は、1〜18個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状アルキルチオカルボニルを指す。C
1−C
18アルキルチオカルボニルの例には、これらに限定されないが、メチルチオカルボニル及びエチルチオカルボニルが含まれる。
【0046】
「C
3−C
7シクロアルキル又はシクロアルケニル」という用語は、飽和又は不飽和の3〜7員単環式炭化水素ラジカルを指す。C
3−C
7シクロアルキル又はシクロアルケニルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロプロペニル及びシクロヘキセニルであってもよい。
【0047】
「アリール」という用語は、縮合した又は縮合していない6〜14個(6〜12個及び6〜10個など)の炭素原子を含有する単環式アリール又は多環式アリールを指す。多環式アリールの場合、少なくとも1つの環は芳香族である。アリールは、ヘテロシクリルと縮合したものであってもよい。アリールの例には、フェニル、ビフェニル、ナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロナフチル、2,3−ジヒドロベンゾフラニルなどが含まれる。
【0048】
「ヘテロアリール」という用語は、環原子としてその環中に1〜4個のヘテロ原子(例えば、1、2、3又は4個のヘテロ原子)を有する芳香族環基を指す。ヘテロ原子は窒素、酸素又は硫黄を指す。ヘテロアリールは、5〜7個の環原子を有する単環式ヘテロアリール又は7〜11個の環原子を有する二環式ヘテロアリールであってもよい。前記二環式ヘテロアリールは少なくとも1つの芳香族複素環を含むべきであり、他方は、ヘテロ原子を含む又は含まない芳香族又は非芳香族であってもよい。ヘテロアリールの例には、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、ピリジル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、イソオキサゾリル、インドリルなどが含まれる。
【0049】
「窒素含有ヘテロアリール」という用語は、環員として少なくとも1個の窒素原子を有する上記に定義した「ヘテロアリール」を指す。
【0050】
「ヘテロシクリル」という用語は、環員として1〜4個のヘテロ原子(例えば、1、2、3又は4個のヘテロ原子)を含有する非芳香族環状基を指す。ヘテロ原子は窒素、酸素又は硫黄を指す。ヘテロシクリルは、4〜8個の環原子(4〜7員環、5〜7員環、5〜6員環など)を有する単環式ヘテロシクリル又は7〜11個の環原子を有する二環式ヘテロシクリルであってもよい。ヘテロシクリルは芳香族であっても非芳香族であってもよい。ヘテロシクリルの例には、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニルなどが含まれる。
【0051】
「窒素含有ヘテロシクリル」という用語は、環員として少なくとも1個の窒素原子を有する、上記に定義した「ヘテロシクリル」を指す。
【0052】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0053】
「アルキル置換アミノ」という用語は−N−アルキルを指す。
【0054】
「アルコキシ」という用語は−O−アルキルを指す。
【0055】
「アルキルチオ」という用語は−S−アルキルを指す。
【0056】
「アミノ−酸エステル基」という用語は、アミノ酸のカルボキシル基から水素原子を除去した後の基を指す。
【0057】
「アミノ酸」という用語は、カルボキシルのα−炭素原子上にアミノ基を有する有機小分子の基、好ましくは天然由来のL−アミノ酸又はそれらの対応するD−異性体を指す。天然由来のアミノ酸の例には、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸及びグルタミン酸等が含まれる。
【0058】
本明細書で用いる「式(I)の化合物の薬学的に許容される塩」という用語は、薬学的に許容されるアニオンを含む有機酸によって形成される有機酸塩で例示することができる。これらの有機酸塩には、これらに限定されないが、トシル酸塩、メタンスルホン酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、乳酸塩、α−ケトグルタル酸塩及びα−グリセロリン酸塩が含まれる。これらに限定されないが、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩及び炭酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩などを含む適切な無機塩も形成させることができる。
【0059】
薬学的に許容される塩は、例えば、十分量のアルカリ化合物を薬学的に許容されるアニオンを提供する適切な酸と反応させることによって、当業界で周知の標準的な手順を用いて得ることができる。
【0060】
本明細書で用いる「処置(treatment)」、「処置する(treating)」、「処置する(treat)」などの用語は一般に、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを指す。この効果は、その疾患又は症状を完全に又は部分的に防止するという観点で予防的であってよく、及び/又は疾患及び/又はその疾患によって引き起こされる悪影響を部分的に又は完全に安定化させる又は治癒させるという観点で治療的であってもよい。本明細書で用いる「処置」は:(a)疾患又は症状にかかり易いが、まだそれにかかっていると診断されてはいない対象において疾患又は症状の発現を防止すること;(b)疾患の症状を阻害する、すなわちその増悪を停止させること;又は(c)疾患の症状を取り除く、すなわち、疾患又は症状の退行を引き起こすことを含む、対象における疾患のあらゆる処置を包含する。
【0061】
本発明の化合物は、従来の有機化学合成方法によって調製することができる。例えば、本発明の式(I)の化合物は以下のようにして調製することができる:
【0063】
本発明の式(I−1)の2−アミノ化メチレンタンシノンI誘導体は、上記した2段階反応で調製することができ、最初に、タンシノンI(TA)にクロロメチル化を施して2−クロロメチレンタンシノンI中間体を生成するステップ;次いで、得られた2−クロロメチレンタンシノンIをアルカリの存在下で対応する有機アミンと反応させて式(I−1)の2−アミノ化メチレンタンシノンI(R
1及びR
2は上記式(I)において定義した通りである)を生成するステップ;及び、任意で、得られた化合物に誘導体化をさらに施して他の式(I)の化合物を生成するステップ、を含む。
【0064】
タンシノンI(TA)のクロロメチル化はクロロメチル化のためのブラン反応(Blanc Reaction)と称され、低温又は室温下で一般に実施される。
【0065】
上記クロロメチル化は一般に、活性なクロロメチル化剤の存在下で実施される。本明細書ではクロロメチル化剤は、これらに限定されないが、パラホルムアルデヒド及び塩酸と塩化亜鉛との混合物(すなわち、慣用的なブラン反応)又はクロロメチルメチルエーテルであってよい。
【0066】
2−クロロメチレンタンシノンIのアミノ化は一般に、アルカリの存在下で実施される。本明細書ではアルカリは、これらに限定されないが、炭酸カリウム及びトリエチルアミンであってよい。
【0067】
2−クロロメチレンタンシノンIのアミノ化は一般に、低温又は室温下で実施される。反応温度は有機アミンの活性に依存する。
【0068】
2−クロロメチレンタンシノンIのアミノ化は一般に、溶媒中で実施される。反応のための溶媒は、これらに限定されないが、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO, dimethyl sulfoxide)等であってよい。
【0070】
上記スキームに示すように、本発明の式(I−2)の2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体は、2段階反応で調製することができ、最初に、タンシノンI(TA)にヒドロキシメチル化を施して2−ヒドロキシメチルタンシノンI中間体を生成するステップ;次いで、得られた2−ヒドロキシメチルタンシノンIをアルカリの存在下で対応する有機アシルクロリド又は酸無水物と反応させて式(I−2)の2−エステル化メチレンタンシノンI(Rは上記式(I)について上記に定義した通りである)を生成するステップ;及び、場合によって、得られた化合物に誘導体化をさらに施して他の式(I)の化合物を生成するステップ、を含む。
【0071】
溶媒としての酢酸中で、タンシノンIをクロロメチルメチルエーテルと反応させて2−クロロメチルタンシノンIと2−ヒドロキシメチルタンシノンIとの混合物を生成させる。前者を加水分解して後者を生成させることができる。
【0072】
2−ヒドロキシメチルタンシノンIのエステル化は一般に、アルカリの存在下で実施される。本明細書ではアルカリは、これらに限定されないが、炭酸カリウム、ジメチルアミノピリジン及びトリエチルアミンであってよい。
【0073】
2−ヒドロキシメチルタンシノンIのエステル化は一般に、0℃〜80℃の温度で実施される。反応温度は有機アシル又は酸無水物の反応性に依存する。
【0074】
式(I)の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体の調製は、一般に以下のようにして行われる。
【0075】
塩酸及び塩化亜鉛の存在下で、抽出及び分離により得られた天然由来のタンシノンI並びにホルムアルデヒドに、クロロメチル化のためのブラン反応を施して2−クロロメチルタンシノンIを生成する。クロロメチル化のためのブラン反応は一般に、古典的で成熟した操作手順(C. C. Price, Org. React. 3, 1(1946))にしたがって、低温又は室温下で実施される。
【0076】
2−クロロメチルタンシノンIに加水分解を施して対応する2−ヒドロキシメチルタンシノンIを生成させる。
【0077】
タンシノンIを酢酸溶液中、室温でクロロメチルメチルエーテルと反応させて2−ヒドロキシメチルタンシノンIと2−クロロメチルタンシノンIとの赤色の固体混合物を生成させる。後者を加水分解して前者を生成させることができる。
【0078】
得られた2−ヒドロキシメチルタンシノンIを、トリエチルアミン及びジメチルアミノピリジンの存在下で対応する有機アシルクロリドと反応させて2−エステル化メチレンタンシノンIを生成させる。或いは、2−クロロメチルタンシノンI及び対応する有機酸ナトリウム塩を、有機溶媒中、加熱下、アルカリの存在下で求核置換して2−エステル化メチレンタンシノンIを生成させることもできる。反応が終了したら、得られた生成物を有機溶媒で抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥し濃縮して粗生成物を得る。次いでこれをシリカゲルカラム又はHPLCにより分離して純粋な生成物を得る。
【0079】
得られた2−クロロメチルタンシノンIを、アルカリの存在下、室温で、対応する有機アミンと反応させて2−アミノ化メチレンタンシノンIを生成させることもできる。反応が終了したら、得られた生成物を有機溶媒で抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥し濃縮して粗生成物を得る。次いでこれをシリカゲルカラム又はHPLCにより分離して純粋な生成物を得る。
【0080】
本発明を実施するために従来の化学的変換方法を用いることができる。当業者は、これらの化学的変換のための適切な化学薬品、溶媒、保護基及び反応条件を決定することができる。関連情報は、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989); T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3
rdEd., John Wiley and Sons (1999); L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994); and L. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)及びその後続の版に記載されている。
【0081】
保護基は、活性部分(例えば、ヒドロキシル又はアミノ基)に結合すると、その部分が後続の反応において影響を受けることを防止し、その反応後、従来の方法によって取り外すことができる基を指す。ヒドロキシル保護基の例には、これらに限定されないが、アルキル、ベンジル、アリル、トリチル(トリフェニルメチルとしても公知である)、アシル(例えば、ベンゾイル、アセチル又はHOOC−X”−CO−(X”はアルキリデン、アルケニレン、シクロアルキレン又はアリーレンである))、シリル(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル及びt−ブチルジメチルシリル)、アルコキシルカルボニル、アミノカルボニル(例えば、ジメチルアミノカルボニル、メチルエチルアミノカルボニル及びフェニルアミノカルボニル)、アルコキシメチル、ベンジルオキシメチル及びアルキルメルカプトメチルが含まれる。アミノ保護基の例には、これらに限定されないが、アルコキシカルボニル、アルカノイル、アリールオキシカルボニル、アリール置換アルキルなどが含まれる。ヒドロキシル及びアミノ保護基はT.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd. Ed., John Wiley and Sons (1991)において論じられている。すべてのヒドロキシル及びアミノ保護基は、反応後に従来の方法で取り外すことができる。
【0082】
特に、本発明の式(I)の好ましい化合物の中で、BS−TA−A01及びBS−TA−A03は、出発原料として抽出され分離された天然由来のタンシノンI(TA)を用いて、ヒドロキシメチル化及びエステル化により調製される。
【0083】
BS−TA−B01、BS−TA−B03、BS−TA−B05、BS−TA−B06、BS−TA−B07、BS−TA−B08、BS−TA−B09、BS−TA−B10、BS−TA−B11、BS−TA−B12、BS−TA−B13、BS−TA−B14、BS−TA−B16、BS−TA−B17、BS−TA−B18、BS−TA−B21、BS−TA−B22及びBS−TA−65は、出発原料として抽出され分離された天然由来のタンシノンI(TA)を用いて、クロロメチル化及びアミノ化により調製される。
【0084】
BS−TA−50及びBS−TA−60は、出発原料としてのBS−TA−03の四級化により得られる。
【0085】
BS−TA−61、BS−TA−62及びBS−TA−63は、出発原料としてのBS−TA−17のエステル化により得られる。
【0086】
BS−TA−64、BS−TA−71、BS−TA−72及びBS−TA−74は、出発原料としてのBS−TA−17のエステル化、続く保護基の除去によって得られる。
【0087】
BS−TA−73は、出発原料としてのBS−TA−17のエステル化により得られる。
【0088】
BS−TA−79は、出発原料としてのBS−TA−65のCbz−誘導体化及びエステル化、続くCbzの除去によって得られる。
【0089】
BS−TA−80は、出発原料としてのBS−TA−65のアミド化により得られる。
【0090】
BS−TA−81は、出発原料としてのBS−TA−65のアミド化及びエステル化により得られる。
【0091】
本発明は、本発明の式(I)の化合物を含む医薬組成物も提供する。
【0092】
本発明は、少なくとも1つの上記で定義した本発明の式(I)の化合物を含み、任意で薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0093】
所与の量の活性成分を有する種々の医薬組成物を調製するための方法は公知であるか、又は本開示に照らせば当業者に明らかになる。例えば、その説明は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES, Martin, E.W., ed., Mack Publishing Company, 19th ed.(1995)において見ることができる。そのような医薬組成物を調製するための方法は、他の適切な薬剤用の賦形剤、担体、希釈剤等の取り込みを含む。
【0094】
本発明の医薬製剤は、従来の混合、溶解又は凍結乾燥工程を含む公知の方法で製造される。
【0095】
本発明の化合物は医薬組成物に処方することができ、これを、選択された投与方式に適した経路、例えば経口又は非経口で(例えば、静脈内、筋肉内、局所又は皮下経路で)いずれの対象にも投与することができる。
【0096】
したがって、本発明の化合物は、不活性希釈剤又は吸収可能な可食性担体などの薬学的に許容される担体と一緒に全身的に投与する、例えば経口で投与することができる。これらは、硬質又は軟質のゼラチンカプセル中に封入することも、また圧縮して錠剤にすることもできる。治療用経口投与のためには、活性化合物を1又は2以上の賦形剤と一緒にすることができ、それらは、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハーなどの形態をとることができる。そのような組成物又は製剤は少なくとも0.1%の活性化合物を含有するべきである。もちろん、組成物及び製剤中の活性化合物の割合は変えることができ、所与の単位剤形の約1重量%〜約99重量%であってもよい。治療上有用な組成物において、活性化合物は、有効な投与量レベルが達成されるような量で存在する。
【0097】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などは、トラガカントゴム、アラビアゴム、トウモロコシデンプン又はゼラチンなどの結合剤;リン酸二水素カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;及びスクロース、フルクトース、ラクトース若しくはアスパルテームなどの甘味剤;又はペパーミント、冬緑油若しくはチェリーフレーバーなどの香味剤を含むこともできる。単位剤形がカプセル剤である場合、それは、上記材料に加えて、植物油又はポリエチレングリコールなどの液媒体を含むことができる。種々の他の材料がコーティングとして存在してよく、或いは、固体単位剤形の物理的形態を改変することができる。例えば、錠剤、丸剤又はカプセル剤を、ゼラチン、ワックス、シェラック又は糖などでコーティングすることができる。シロップ剤又はエリキシル剤は、活性化合物、スクロース又はフルクトースなどの甘味剤、メチルパラベン又はプロピルパラベンなどの保存剤、染料及び香味剤(チェリー又はオレンジフレーバーなど)を含有することができる。もちろん、単位剤形を調製するのに使用するいずれの材料も、使用される量で薬学的に許容され、実質的に非毒性のものでなければならない。さらに、活性化合物を、持続放出型の製剤又はデバイスに組み込むことができる。
【0098】
活性化合物は、注入又は注射によって静脈内又は腹腔内に投与することもできる。活性化合物又はその塩の水溶液を調製してもよく、非毒性界面活性剤と混合して調製してもよい。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン若しくはその混合物中又は油中の分散液剤も調製することができる。通常の貯蔵及び使用条件下で、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するための保存剤を含有する。
【0099】
注射又は注入に適した医薬剤形は、滅菌した注射又は注入可能な溶液又は分散液の即時調製のために適合されている、活性要素(リポソーム中にカプセル化されていてもよい)を含む滅菌した水溶液、分散液又は滅菌粉末を含むことができる。すべての場合、最終的剤形は、製造及び貯蔵条件下で滅菌された安定な液剤でなければならない。液状の担体又は媒体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、非毒性グリセリド及び適切なその混合物を含む溶媒又は液体分散媒であってもよい。適切な流動性は、例えば、リポソームの形成、分散液の場合の所要粒径の維持、又は界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の防止は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどの種々の抗菌剤及び抗真菌剤によって達成することができる。多くの場合、糖、緩衝剤又は塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが好ましい。注射可能な組成物の遅延性吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムやゼラチンの組成物の使用によって得ることができる。
【0100】
注射可能な滅菌溶液は、適切な溶媒中で所要量の活性化合物を上記した種々のさらなる所望成分と合わせ、続いてろ過し殺菌することによって調製される。注射可能な滅菌溶液を調製するために使用される滅菌粉末に好ましい調製方法は、予めろ過された滅菌溶液中に存在する、活性要素と任意のさらなる所望要素の粉末をもたらす真空乾燥及び凍結乾燥技術である。
【0101】
有用な固体担体には、タルク、粘土、微結晶性セルロース、シリカ、アルミナなどの微粉化された固体が含まれる。有用な液体担体には、その中に本発明の化合物を、非毒性界面活性剤の助けを得てもよいが、効果的な含量で溶解又は分散させることができる水、エタノール又はエチレングリコール或いは水−エタノール/エチレングリコール混合物が含まれる。所与の用途のために特性が最適化されるように、補助剤(香味剤など)及び追加的な抗微生物剤を加えることができる。
【0102】
使用者の皮膚に直接塗布するのに展性のあるペースト剤、ゲル剤、軟膏剤、せっけんなどを形成させるために、増粘剤(合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸の塩及びエステル、脂肪アルコール、変性セルロース又は変性無機材料など)を液体担体と一緒に使用することもできる。
【0103】
処置に必要な化合物又は活性なその塩若しくは誘導体の量は、選択された具体的な塩だけでなく、投与経路、処置を受ける状態の性質並びに対象の年齢及び状態によっても変動し、最終的には担当医又は臨床医の裁量で決定されることになる。
【0104】
上記処方物は、ヒト又は他の哺乳動物に投与するのに適した単位投薬量を含有する物理的に離散した単位である単位剤形で存在することができる。単位剤形は、1つのカプセル剤又は錠剤であっても、複数のカプセル剤又は錠剤であってもよい。目的とする具体的な治療に応じて、単位剤形中の活性要素の量は、約0.1mg〜約1,000mg又はそれ以上の範囲で変化する又は調整することができる。
【0105】
本発明は、医薬、特に抗腫瘍性医薬の製造における、本発明による化合物又は本発明の化合物を含む医薬組成物の使用も提供する。したがって、本発明は、治療有効量の少なくとも1つの本発明の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、腫瘍に罹患している対象を処置するための方法を提供する。本発明の2−アミノ化メチレン若しくは2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体又は薬学的に許容されるその塩を、例えば白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、肝臓がん、胃がん、乳がん、胆管細胞癌、膵臓がん、肺がん、結腸直腸がん、骨肉腫、黒色腫、子宮頸がん、神経膠腫、鼻咽腔癌、喉頭癌、食道がん、中耳腫瘍、前立腺がんなどの処置のために使用することができる。
【0106】
本発明を、以下の実施例によってより詳細に説明することとする。しかし、以下の実施例は例示を目的とするものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものでは全くないことを理解すべきである。
【0107】
以下の実施例で使用する原料化学品は、市販されているか、又は当業界で公知の合成方法で調製することができる。
【実施例1】
【0108】
化合物BS−TA−A03の合成
【0109】
【化12】
【0110】
ここで、MOMClはクロロメチルメチルエーテルである。
【0111】
クロロメチルメチルエーテル(1.6g、20mmol)を氷浴中のタンシノンI(0.276g、1mmol)の酢酸溶液(24mL)に加える。反応溶液を室温で20時間撹拌した後、得られた沈殿物をろ過する。残留物を水で洗浄し、乾燥して赤色固体を得る。これは2−ヒドロキシメチルタンシノンIと2−クロロメチルタンシノンIとの混合物(0.2g、収率62%)である。後者を加水分解して前者を生成することができる。
【0112】
【化13】
【0113】
ここでEt
3Nはトリエチルアミンであり、DMAPは4−ジメチルアミノピリジンである。
【0114】
0℃で、塩化プロピオニル(20mg、0.216mmol)を、その中に2−ヒドロキシメチルタンシノンI(50mg、0.18mmol)、トリエチルアミン(41mg、0.45mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(4mg、0.036mmol)が溶解されているクロロホルム(3mL)に滴加する。次いで反応溶液を65℃まで加熱し、終夜撹拌する。反応が完了したら、水を加え、溶液を抽出にかけ、シリカゲルカラム又は分取クロマトグラフィーカラムによって分離し精製して化合物BS−TA−A03(1.1mg、収率1.2%)を赤色固体として得る。
LC−MS:保持時間:4.2min(83.13%);m/z:363.3(M+H)。
1H NMR(300Hz,DMSO d−
6)δ 9.196(d,1H)、8.465(d,1H)、7.882(d,1H)、7.624(m,1H)、7.462(d,1H)、5.206(s,2H)、2.689(s,3H)、2.392(m,2H)、2.261(s,3H)、1.074(m,3H)。
【0115】
BS−TA−A01を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−A03のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIを2−クロロイソニコチン酸と反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:4.4min(21.77%);m/z:446.2(M+H)。
【0116】
BS−TA−A02を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−A03のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIをp−フルオロ安息香酸と反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:4.6min(92.00%);m/z:429.3(M+H)。
【実施例2】
【0117】
化合物BS−TA−B01の合成
【0118】
【化14】
【0119】
2−クロロメチルタンシノンI(50mg、0.18mmol)をジクロロメタン(1mL)に溶解し、これに、N−メチル(フェニル)メチルアミン(47mg、0.54mmol)のアセトニトリル溶液(3mL)並びに炭酸カリウム(43mg、0.36mmol)を加える。反応溶液を室温で3〜5時間撹拌する。反応が完了したら、溶液を抽出にかけ、続いて分取薄層クロマトグラフィーにより精製し分離して化合物BS−TA−B01(17.8mg、収率20.0%)を深紅色固体として得る。
LC−MS:保持時間:3.2min(92.29%);m/z:410.2(M+H)。
1H NMR(300Hz,DMSO d−
6)δ 9.181(d,1H)、8.505(d,1H)、7.916(d,1H)、7.633(m,3H)、7.479(m,4H)、4.563(s,2H)、4.416(s,2H)、2.727(s,3H)、2.694(s,3H)、2.312(s,3H)。
【0120】
BS−TA−B03を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIをN−メチルエチルアミンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:2.7min(96.38%);m/z:348.2(M+H)。
【0121】
BS−TA−B05を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIをN−メチルシクロヘキシルアミンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:3.2min(80.05%);m/z:402.3(M+H)。
【0122】
BS−TA−B06を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIをシクロヘキシルメチルアミンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:3.3min(85.49%);m/z:402.4(M+H)。
【0123】
BS−TA−B07を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIをシクロプロパンメチルアミンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:3.9min(95.97%);m/z:360.3(M+H)。
【0124】
BS−TA−B08を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIをN−メチルアニリンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:4.7min(91.40%);m/z:396.3(M+H)。
【0125】
BS−TA−B09を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIを2−メチルシクロヘキシルアミンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:3.2min(69.55%);m/z:402.3(M+H)。
【0126】
BS−TA−B10を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIをブチルアミンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:3.0min(87.98%);m/z:362.3(M+H)。
【0127】
BS−TA−B11を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIをベンジルアミンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:4.2min(82.78%);m/z:396.3(M+H)。
【0128】
BS−TA−B12を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIをN−メチルホモピペラジンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:3.4min(95.04%);m/z:403.3(M+H)。
【0129】
BS−TA−B13を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIを2−チエニルメチルアミンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:4.2min(99.54%);m/z:402.3(M+H)。
【0130】
BS−TA−B14を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIを2−チエニルメチルアミンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:3.3min(86.03%);m/z:390.4(M+H)。
【0131】
BS−TA−B16を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIを4−ピペリジルホルムアミドと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:2.6min(91.91%);m/z:417.1(M+H)。
【0132】
BS−TA−B17を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIをN−メチル−2−ヒドロキシエチルアミンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:2.0min(94.23%);m/z:364.2(M+H)。
【0133】
BS−TA−B18を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIをチオモルホリンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:4.1min(98.80%);m/z:392.3(M+H)。
【0134】
BS−TA−B21を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIをアリルアミンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:3.6min(67.99%);m/z:344.3(M+H)。
【0135】
BS−TA−B22を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−B01のための方法にしたがって、化合物2−ヒドロキシメチルタンシノンIをp−クロロベンジルアミンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:4.4min(76.49%);m/z:430.3(M+H)。
【実施例3】
【0136】
化合物BS−TA−50の合成
【0137】
【化15】
【0138】
BS−TA−B03(100mg、0.288mmol)のトルエン溶液(8mL)に、4−(ブロモメチル)−2−クロロ−1−フルオロベンゼン(193mg、0.864mmol)を加える。反応溶液を45℃まで加熱し、16時間撹拌する。反応が完了したら、得られた固体をろ過し、残留物をトルエン(5mL
*2)及びジクロロメタン(10mL
*2)で洗浄して化合物BS−TA−50(28.06mg、収率16.9%)を緑色固体として得る。
【0139】
LC−MS:保持時間:2.53min(100%);m/z:490(M−Br);
1H NMR(400Hz,DMSO d−
6)δ 9.187(d,J=8.8Hz,1H)、8.492(d,J=8.8Hz,1H)、7.902(t,2H)、7.677〜7.592(m,3H)、7.502(d,J=6.8Hz,1H)、4.888(d,J=14.8Hz,1H)、4.752(d,J=14.8Hz,1H)、4.664(s,2H)、3.435(m,1H)、3.320(m,1H)、3.040(s,3H)、2.693(s,3H)、2.372(s,3H)、1.496(t,3H)。
【0140】
BS−TA−60を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−50のための方法にしたがって、化合物BS−TA−B17を4−(ブロモメチル)−2−クロロ−1−フルオロベンゼンと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:2.48min(92.07%);m/z:506(M−Br)。
1H NMR(400Hz,DMSO d−
6)δ 9.190(d,J=8.4Hz,1H)、8.497(d,J=8.4Hz,1H)、7.985〜7.932(m,2H)、7.717〜7.596(m,3H)、7.504(d,J=6.8Hz,1H)、5.510(s,1H)、4.996(d,J=14.8Hz,1H)、4.821(t,2H)、4.686(d,J=14.8Hz,1H)、4.071(s,2H)、3.541(m,2H)、3.101(s,3H)、2.699(s,3H)、2.374(s,3H)。
【実施例4】
【0141】
化合物BS−TA−61の合成
【0142】
【化16】
【0143】
0℃で、ジクロロメタン(15mL)に、BS−TA−B17(200mg、0.55mmol)及びトリエチルアミン(111.4mg、1.1mmol)を加え、次いで塩化アセチル(64.8mg、0.83mmol)を加える。反応溶液を室温まで温め、1.5時間撹拌する。反応が完了したら1滴の水を加え、溶媒を除去する。得られた粗生成物を、分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル2:1)により分離し精製して化合物BS−TA−61(53.34mg、収率31.5%)を褐色固体として得る。
LC−MS:保持時間:2.1min(98.00%);m/z:406.2(M+H)。
1H NMR(400Hz,DMSO d−
6)δ 9.164(d,J=8.8Hz,1H)、8.448(d,J=8.4Hz,1H)、7.853(d,J=8.8Hz,1H)、7.607(t,1H)、7.442(d,J=6.0Hz,1H)、4.158(s,2H)、3.698(s,2H)、2.681(s,5H)、2.276(s,3H)、2.212(s,3H)、2.010(s,3H)。
【0144】
BS−TA−62を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−61のための方法にしたがって、化合物BS−TA−B17を塩化ピバロイルと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:2.4min(100.0%);m/z:448.3(M+H)。
1H NMR(400Hz,CDCl
3)δ 9.268(d,J=8.8Hz,1H)、8.312(d,J=8.8Hz,1H)、7.874(d,J=8.8Hz,1H)、7.567(t,1H)、7.367(d,J=7.2Hz,1H)、4.277(s,2H)、3.689(s,2H)、2.790(s,2H)、2.708(s,3H)、2.398(s,3H)、2.298(s,3H)、1.212(s,9H)。
【0145】
BS−TA−63を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−61のための方法にしたがって、化合物BS−TA−B17をイソプロピルクロロホーメートと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:2.3min(100.0%);m/z:450.3(M+H)。
1H NMR(400Hz,CDCl
3)δ 9.268(d,J=8.8Hz,1H)、8.312(d,J=8.4Hz,1H)、7.874(d,J=8.0Hz,1H)、7.565(t,1H)、7.367(d,J=6.8Hz,1H)、4.882(m,1H)、4.298(s,2H)、3.707(s,2H)、2.946(s,1H)、2.818(s,1H)、2.707(s,3H)、2.401(s,3H)、2.294(s,3H)、1.295(d,6H)。
【実施例5】
【0146】
化合物BS−TA−64の合成
【0147】
【化17】
【0148】
ここで、HOBTは1−ヒドロキシベンゾトリアゾールであり、EDClは1−エチル−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩であり、DIPEAはN,N−ジイソプロピルエチルアミンである。
【0149】
ジクロロメタン(15mL)に、BS−TA−B17(200mg、0.55mmol)、1−Boc−4−ピペリジルカルボン酸(151.4mg、0.66mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(148.6mg、1.1mmol)、1−エチル−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(210.9mg、1.1mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(177.1mg、1.375mmol)を加える。反応溶液を室温で48時間撹拌する。反応が完了したら、溶媒を除去する。得られた粗生成物を、分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル1:2)により分離し精製して化合物BS−TA−64−1(45mg、収率14.25%)を褐色固体として得る。
【0150】
【化18】
【0151】
ここで、TFAはトリフルオロ酢酸を表す。
【0152】
ジクロロメタン(6mL)にBS−TA−64−1(45mg、0.078mmol)を加え、続いてトリフルオロ酢酸(3mL)を加える。反応溶液を室温で2時間撹拌する。反応が完了したら、反応溶液を濃縮し、重炭酸ナトリウム飽和溶液でpH9に調整する。反応溶液の抽出により得られた有機相を、分取薄層クロマトグラフィーにより分離し精製して化合物BS−TA−64(22.41mg、収率60.6%)を褐色固体として得る。
LC−MS:保持時間:2.0min(100.0%);m/z:475.3(M+H)。
1H NMR(400Hz,DMSO d−
6)δ 9.140(d,J=9.2Hz,1H)、8.405(d,J=6.4Hz,1H)、7.808(d,J=7.6Hz,1H)、7.587(t,1H)、7.426(d,J=6.8Hz,1H)、4.165(s,2H)、3.664(s,2H)、2.818(d,J=12.0Hz,2H)、2.665(s,5H)、2.415〜2.278(m,3H)、2.235(s,3H)、2.196(s,3H)、2.115(m,1H)、1.677(d,J=12.0Hz,2H)、1.427〜1.341(m,2H)。
【実施例6】
【0153】
化合物BS−TA−65の合成
【0154】
【化19】
【0155】
ジクロロメタン(10mL)に2−クロロメチルタンシノンI(100mg、0.309mmol)を加え、続いてエタノールアミン(56.4mg、0.926mmol)及び炭酸カリウム(127.6mg、0.926mmol)のアセトニトリル溶液(15mL)を加える。反応溶液を室温で2時間撹拌した後、得られた生成物をろ過する。残留物を水(10mL
*2)及びジクロロメタン(5mL
*2)で洗浄して化合物BS−TA−65(27.21mg、収率32.2%)を褐色固体として得る。
LC−MS:保持時間:2.0min(97.46%);m/z:350.2(M+H)。
1H NMR(400Hz,DMSO d−
6)δ 9.148(d,J=7.6Hz,1H)、8.418(s,1H)、7.863(d,J=8.4Hz,1H)、7.579(m,1H)、7.434(s,1H)、4.525(s,1H)、3.790(s,2H)、3.482(s,2H)、2.671〜2.628(m,5H)、2.194〜2.156(m,4H)。
【実施例7】
【0156】
化合物BS−TA−71の合成
【0157】
【化20】
【0158】
ジクロロメタン(10mL)に、BS−TA−B17(150mg、0.413mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(111mg、0.826mmol)、1−エチル−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(157mg、0.826mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(133mg、1.033mmol)を加え、続いてBoc−L−バリン(107mg、0.496mmol)を加える。反応溶液を室温で1時間撹拌する。反応が完了したら、水(10mL)を加え、ジクロロメタン(50mL)を抽出のために使用する。有機相を濃縮して得られた粗生成物を、分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル1:1)により分離し精製して化合物BS−TA−71−1(70mg、収率30.2%)を褐色固体として得る。
【0159】
【化21】
【0160】
化合物BS−TA−71−1(70mg、0.125mmol)を、トリフルオロ酢酸(2mL)とジクロロメタン(10mL)との混合溶液に溶解する。反応溶液を室温で3時間撹拌する。反応が完了したら、溶媒を除去する。得られた粗生成物を、分取薄層クロマトグラフィーにより分離し精製して化合物BS−TA−71(24mg、収率41.7%)を褐色固体として得る。
LC−MS:保持時間:2.8min(96.28%);m/z:463.2(M+H)。
1H NMR(400Hz,CDCl
3)δ 9.25(d,J=8.8Hz,1H)、8.30(d,J=8.8Hz,1H)、7.85(d,J=8.8Hz,1H)、7.55(t,1H)、7.36(d,J=6.8Hz,1H)、4.33(t,2H)、3.72(s,2H)、3.37(d,J=4.8Hz,1H)、2.82(t,2H)、2.70(s,3H)、2.41(s,3H)、2.30(s,3H)、2.19(s,1H)、0.99(d,J=6.8Hz,3H)、0.92(d,J=6.8Hz,3H)。
【実施例8】
【0161】
化合物BS−TA−72の合成
【0162】
【化22】
【0163】
ジクロロメタン(10mL)に、BS−TA−B17(200mg、0.550mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(149mg、1.10mmol)、1−エチル−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(211mg、1.10mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(178mg、1.38mmol)を加え、続いてBoc−グリシン(145mg、0.66mmol)を加える。反応溶液を室温で30分間撹拌する。反応が完了したら、水(10mL)を加え、ジクロロメタン(50mL)を抽出のために使用する。有機相を濃縮して得られた粗生成物を、分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル1:1)及び分取クロマトグラフィーにより分離し精製して化合物BS−TA−72(25mg、収率22.2%)を褐色固体として得る。
LC−MS:保持時間:2.0min(100%);m/z:521.2(M+H)。
1H NMR(400Hz,CDCl
3)δ 9.26(d,J=9.2Hz,1H)、8.32(d,J=8.8Hz,1H)、7.86(d,J=8.4Hz,1H)、7.56(t,1H)、7.36(d,J=6.8Hz,1H)、5.01(s,1H)、4.35(t,2H)、3.95(d,J=5.2Hz,2H)、3.70(s,2H)、2.80(m,2H)、2.70(s,3H)、2.39(s,3H)、2.29(s,3H)、1.44(s,9H)。
【0164】
BS−TA−74を、上記と同じ試薬を用いて、BS−TA−72のための方法にしたがって、化合物BS−TA−B17をフマル酸モノメチルと反応させることによって調製する。
LC−MS:保持時間:2.3min(96.87%);m/z:476.3(M+H)。
1H NMR(400Hz,CDCl
3)δ 9.25(d,J=9.2Hz,1H)、8.29(d,J=8.8Hz,1H)、7.83(d,J=8.8Hz,1H)、7.56(t,1H)、7.35(d,J=6.8Hz,1H)、6.86(s,2H)、4.38(t,2H)、3.74(s,3H)、3.68(s,2H)、2.82(t,2H)、2.70(s,3H)、2.41(s,3H)、2.28(s,3H)。
【実施例9】
【0165】
化合物BS−TA−73の合成
【0166】
【化23】
【0167】
ここで、DMAPは4−ジメチルアミノピリジンを表す。
【0168】
ジクロロメタン(8mL)に、BS−TA−B17(200mg、0.550mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(6.7mg、0.0550mmol)及びトリエチルアミン(56mg、0.550mmol)を加え、続いて無水コハク酸(66mg、0.660mmol)を加える。反応溶液を室温で1時間撹拌する。反応が完了したら、得られた固体をろ過する。得られた粗生成物を、分取クロマトグラフィーにより分離し精製して化合物BS−TA−73(25mg、収率9.8%)を褐色固体として得る。
LC−MS:保持時間:1.5min(97.56%);m/z:464.0(M+H)。
1H NMR(400Hz,DMSO d−
6)δ 9.14(d,J=8.0Hz,1H)、8.42(d,J=8.0Hz,1H)、7.83(t,1H)、7.59(t,1H)、7.42(d,J=6.4Hz,1H)、4.76(t,2H)、3.67(d,J=7.2Hz,2H)、2.70〜2.64(m,5H)、2.48〜2.40(m,4H)、2.27(s,3H)、2.20(s,3H)。
【実施例10】
【0169】
化合物BS−TA−79の合成
【0170】
【化24】
【0171】
ここで、Cbz−Clはフェニルメチルクロロホーメートを表す。
【0172】
1M水酸化ナトリウム溶液を、氷浴中のBS−TA−65(6.0g、17.14mmol)のジオキサン(120mL)懸濁液に加え、続いてベンジルクロロホーメート(8.5g、34.28mmol)を滴加し、0℃で撹拌しながら3時間反応させる。反応が完了したら、水を反応溶液に加え、酢酸エチル(50mL
*2)を抽出のために使用する。有機相を重炭酸ナトリウム飽和溶液で洗浄し、乾燥し濃縮して化合物BS−TA−65−Cbz(6.2g、74.7%)を得る。
【0173】
【化25】
【0174】
氷浴中で、ジクロロメタン(100mL)に、BS−TA−65−Cbz(6.2g、12.84mmol)、トリエチルアミン(1.7g、14.12mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(129.5mg、0.1284mmol)を加え、続いて無水酢酸(2.6g、25.68mmol)を加える。反応溶液を30分間撹拌した後、水を加え、ジクロロメタン(50mL
*2)を抽出のために使用する。乾燥し濃縮した後、粗生成物BS−TA−79−Cbz(5.4g、80.1%)を得る。これを、精製することなく、次の反応ステップに直接適用する。
【0175】
【化26】
【0176】
Pd/C(1.0g)をBS−TA−79−Cbz(5.4g、10.29mmol)のメタノール溶液(160mL)に加える。反応溶液を水素で3回置き換え(displaced)、常温、水素下で4時間撹拌する。反応が完了したら、反応溶液をろ過する。ろ液を濃縮して得られた粗生成物を、分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル1:1)により精製し分離して化合物BS−TA−79(1.3g、収率11.1%)を褐色固体として得る。
LC−MS:保持時間:3.56min(85.62%)、m/z:392.0(M+H)。
1H NMR(400Hz,CDCl
3)δ 9.26(d,J=8.8Hz,1H)、8.31(d,J=8.8Hz,1H)、7.86(d,J=8.8Hz,1H)、7.57(t,1H)、7.36(d,J=6.8Hz,1H)、4.24(t,J=5.2Hz,2H)、3.92(s,2H)、2.97(t,J=5.6Hz,2H)、2.71(s,3H)、2.30(s,3H)、2.09(s,3H)。
【実施例11】
【0177】
化合物BS−TA−80の合成
【0178】
【化27】
【0179】
N,N−ジメチルホルムアミド(3mL)に、0℃で、BS−TA−65(50mg、0.1429mmol)及び重炭酸ナトリウム(6mg、0.07145mmol)を加え、続いて塩化アセチル(11mg、10.29mmol)を加える。反応溶液を30分間撹拌する。反応が完了したら、水を加え、ジクロロメタン(10mL
*2)を抽出のために使用する。乾燥し濃縮した後、得られた粗生成物を、分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル1:1)により精製し分離して化合物BS−TA−80(13.4mg、収率2.8%)を褐色固体として得る。
LC−MS:保持時間:3.07min(88.75%);m/z:392.0(M+H)。
1H NMR(400Hz,CDCl
3)δ 9.17(m,1H)、8.43(m,1H)、7.84(m,1H)、7.75(m,1H)、7.45(d,J=1.2Hz,1H)、4.64(m,2H)、3.64(t,J=6.0Hz,2H)、3.47(t,J=5.6Hz,2H)、3.08(t,J=6.0Hz,1H)、2.08(s,3H)、2.25(s,3H)、2.10〜1.79(m,3H)。
【実施例12】
【0180】
化合物BS−TA−81の合成
【0181】
【化28】
【0182】
ここで、NMMはN−メチルモルホリンを表す。
【0183】
ジクロロメタン(5mL)に、0℃で、BS−TA−65(50mg、0.1429mmol)及びN−メチルモルホリン(7mg、0.1429mmol)を加え、続いて塩化アセチル(11mg、0.1429mmol)を加える。反応溶液を30分間撹拌する。反応が完了したら、水を加え、ジクロロメタン(10mL
*2)を抽出のために使用する。有機相を乾燥し濃縮した後、得られた粗生成物を、分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル1:1)により精製し分離して化合物BS−TA−81(11.6mg、18.7%)を褐色固体として得る。
LC−MS:保持時間:3.49min(92.16%)、m/z:433.8(M+H)。
1H NMR(400Hz,CDCl
3)δ 9.27(m,1H)、8.33(m,1H)、7.80(m,1H)、7.57(m,1H)、7.36(d,J=8.0Hz,1H)、4.69(s,1H)、4.60(s,1H)、4.30(m,2H)、2.71(d,J=4.4Hz,3H)、2.37〜2.08(m,9H)。
【実施例13】
【0184】
本発明の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体のそれらの抗白血病活性についての評価
(1)実験材料
白血病細胞株:白血病細胞株:K562/adr(薬物耐性、慢性骨髄性白血病(CML, chronic myeloid leukemia))、NB4(急性前骨髄球性白血病(AML, acute promyelocytic leukemia))、Kasumi−1(急性骨髄性白血病M2型(AML−M2, acute myeloid leukemia M2 type))、及びJurkat(急性リンパ性白血病(ALL, acute lymphoblastic leukemia))(これらはすべてCancer Research Institute of Zhejiang University, Chinaから提供されたものである);及びH9(急性リンパ性白血病(ALL, acute lymphoblastic leukemia))(これはChina Center for Type Culture Collection(CCTCC)から購入したものである)。
試薬:タンシノンI(TA)の標準試料は、Chengdu Mansite Pharmaceutical Co., Ltd., Sichuan, Chinaから購入する;2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体は本発明にしたがって調製する。
主要装置:細胞インキュベーター(モデル:Thermo Scientific 3111)及びマイクロプレート吸光度リーダー(モデル:Bio-Rad iMark)。
【0185】
(2)実験方法
タンシノンI(TA)の標準試料及び本発明の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体を、ジメチルスルホキシドで十分溶解させて10mg/mLのストック溶液を作製し、これを4℃で冷蔵し、暗所で貯蔵し、実験の前に細胞培養培地で所望濃度に希釈する。
【0186】
6000個の十分成長した白血病細胞を入手し、これらを96ウェル細胞培養プレートのウェル中に播種する。培養培地は10%ウシ胎仔血清を含有するRPMI−1640細胞培養培地である。2日目に異なる濃度の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体を加え、均一に混合した後、プレートを37℃の二酸化炭素細胞インキュベーター(5%CO
2)中に置き、72時間インキュベートする。次いで、生存細胞濃度をMTT法により測定する。この実験において、対照群(いずれの化合物によっても処理されていない)の細胞生存率を100%と設定し、白血病細胞について72時間での、化合物で処理した後の細胞生存率(%)及び最大半量阻害濃度(72時間のIC
50値、μg/mL)を計算する。
【0187】
(3)実験結果
実験結果を表1に示す。
表1は、本発明の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体が、ヒト慢性骨髄性白血病細胞、急性骨髄性白血病細胞及び急性リンパ性白血病細胞の死滅を誘発させ、これらの白血病細胞の増殖を阻害することができることを示している。これは特に化合物BS−TA−65について明らかであり、この実験におけるすべての細胞株について幅広い抗腫瘍活性を示している。特に、タンシノンIそれ自体と比較して、化合物BS−TA−65は、抗H9(急性リンパ性白血病)及び抗NB4(急性前骨髄球性白血病)細胞株活性をそれぞれ27倍及び24倍改善している。BS−TA−71は抗H9(急性リンパ性白血病)活性を28倍改善している。さらに、BS−TA−B17は抗Jurkat(急性リンパ性白血病)活性を10倍超改善している。
【0188】
【表2】
【0189】
【表3】
【実施例14】
【0190】
本発明の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体による抗ヒト多発性骨髄腫細胞活性の評価
(1)実験材料
骨髄腫細胞株:RPMI8226(多発性骨髄腫)はFuxiang Bio-tech Co. Ltd., Shanghai, Chinaから購入。
試薬:実施例13と同じ。
主要装置:細胞インキュベーター(モデル:Thermo Scientific 3111)及びマイクロプレート吸光度リーダー(モデル:Bio-Rad iMark)。
【0191】
(2)実験方法
タンシノンI(TA)の標準試料及び本発明の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体を、ジメチルスルホキシドで十分溶解させて10mg/mLのストック溶液を作製し、これを4℃で冷蔵し、暗所で貯蔵し、実験の前に細胞培養培地で所望濃度に希釈する。
【0192】
6000個の十分成長した上述の骨髄腫細胞を入手し、これらを96ウェル細胞培養プレートのウェル中に播種する。培養培地は10%ウシ胎仔血清を含む1640細胞培養培地である。異なる濃度の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体を加え、均一に混合した後、プレートを37℃の二酸化炭素細胞インキュベーター(5%CO
2)中に置き、72時間インキュベートする。次いで、生存細胞濃度をMTT法により測定する。この実験において、対照群(いずれの化合物によっても処理されていない)の細胞生存率を100%と設定し、白血病細胞について72時間での、化合物で処理した後の細胞生存率(%)及び最大半量阻害濃度(72時間のIC
50値、μg/mL)を計算する。
【0193】
(3)実験結果
実験結果を表2に示す。
表2は、本発明の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体が、ヒト骨髄腫細胞の死滅を誘発させ、腫瘍細胞の増殖を阻害することができることを示している。タンシノンIそれ自体と比較して、本発明の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体BS−TA−65及びBS−TA−72は、RPMI8226細胞株の阻害を7倍超改善している。
【実施例15】
【0194】
本発明の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体の抗ヒト固形腫瘍効果の評価。
(1)実験材料
ヒト固形腫瘍細胞株:
Hep−2(喉頭癌)、A549(ヒト肺がん)、CaES−17(食道がん細胞)、PC−3(前立腺がん)、CNE(鼻咽腔癌細胞)及びSK−OV−3(卵巣がん細胞)(これらはすべてChina Center For Type Culture Collectionから購入したものである);RKO(ヒト結腸腺癌細胞)、MGC803(ヒト胃がん細胞)、MG63(骨肉腫)及びU87MG(悪性神経膠腫細胞)(これらはすべてFuxiang Bio-tech Co. Ltd., Shanghai, Chinaから購入したものである);PANC−1(膵臓がん)、Hep G2(ヒト肝臓がん細胞)、Becap37(ヒト乳がん細胞)及びHela(ヒト子宮頸がん細胞)(これらはすべてCancer Research Institute of Zhejiang University, Chinaから提供されたものである)。
試薬:実施例13と同じ。
主要装置:細胞インキュベーター(モデル:Thermo Scientific 3111)及びマイクロプレート吸光度リーダー(モデル:Bio-Rad iMark)。
【0195】
(2)実験方法
タンシノンI(TA)の標準試料及び本発明の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体を、ジメチルスルホキシドで十分溶解させて10mg/mLのストック溶液を作製し、これを4℃で冷蔵し、暗所で貯蔵し、実験の前に細胞培養培地で所望濃度に希釈する。
【0196】
4000個の十分成長したヒト固形腫瘍細胞を入手し、これらを96ウェル細胞培養プレートのウェル中に播種する。培養培地は10%ウシ胎仔血清を含有するDMEM高グルコース細胞培養培地である。プレートを37℃の二酸化炭素細胞インキュベーター(5%CO
2)中に置き、24時間インキュベートする。異なる濃度の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体を加え、均一に混合した後、プレートを37℃の二酸化炭素細胞インキュベーター(5%CO
2)中に置き、72時間インキュベートする。次いで、生存細胞濃度をMTT法により決定する。この実験において、対照群(いずれの化合物によっても処置されていない)の細胞生存率を100%と設定し、白血病細胞について72時間での、化合物で処理した後の細胞生存率(%)及び最大半量阻害濃度(72時間のIC
50値、μg/mL)を計算する。
【0197】
(3)実験結果
実験結果を表2に示す。
表2は、本発明の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体が、ヒト固形腫瘍細胞の死滅を誘発させ、これらの腫瘍細胞の成長を阻害することができることを示している。タンシノンIそれ自体と比較して、本発明の2−アミノ化メチレン又は2−エステル化メチレンタンシノンI誘導体は、抗固形腫瘍細胞活性の著しい改善を示している。特に、BS−TA−65は、この実験において試験したすべての細胞株について幅広い抗腫瘍活性を示している。特に、この化合物は抗U87MG(悪性神経膠腫細胞)活性を42倍超改善している。さらに、化合物BS−TA−71、BS−TA−B03及びBS−TA−B17は抗A549(ヒト肺がん)活性を4倍超改善し;化合物BS−TA−B17は抗PANC−1(膵臓がん)及び抗CaES−17(食道がん細胞)活性をそれぞれ10倍超及び7倍超改善している。BS−TA−71、BS−TA−72及びBS−TA−B17は抗Hep−G2(ヒト肝臓がん細胞)活性を3倍超改善している。BS−TA−71及びBS−TA−B01は抗Becap37(ヒト乳がん細胞)活性を7倍超改善している。化合物BS−TA−71は抗Hep−2(喉頭癌)活性を4倍超改善している。BS−TA−B01は抗MG63(骨肉腫)活性をほぼ3倍改善している。BS−TA−71は抗Hela(ヒト子宮頸がん細胞)活性を8倍超改善している。BS−TA−71及びBA−TA−B12は抗CNE(鼻咽腔癌細胞)活性を11倍超改善している。
【0198】
【表4】
【0199】
【表5】
【0200】
【表6】
【0201】
【表7】