(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6149113
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】多角の色、不透過度、顔料の特性評価、ならびに、目視技術および/または器具技術を介した塗装表面のテクスチャ解析
(51)【国際特許分類】
G01N 21/59 20060101AFI20170607BHJP
G01J 3/46 20060101ALI20170607BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20170607BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20170607BHJP
C09D 7/12 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
G01N21/59 L
G01J3/46 Z
G01N21/27 B
G01N21/59 K
C09D201/00
C09D7/12
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-532179(P2015-532179)
(86)(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公表番号】特表2015-529832(P2015-529832A)
(43)【公表日】2015年10月8日
(86)【国際出願番号】US2013060632
(87)【国際公開番号】WO2014047296
(87)【国際公開日】20140327
【審査請求日】2015年4月21日
(31)【優先権主張番号】61/702,959
(32)【優先日】2012年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/832,088
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ベイモア, ポール マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ペレクスタ, ジェイムズ
【審査官】
佐々木 龍
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−505202(JP,A)
【文献】
特開昭58−076741(JP,A)
【文献】
特開2012−173272(JP,A)
【文献】
特表2012−515950(JP,A)
【文献】
特表2010−508134(JP,A)
【文献】
特開2002−259398(JP,A)
【文献】
特表2005−539236(JP,A)
【文献】
米国特許第5929998(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17− 21/61
G01N 21/84− 21/958
G01J 3/00− 4/04
G01J 7/00− 9/04
C09D 1/00− 10/00
C09D 101/00−201/10
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化合成コーティング混合物の比色属性を評価するためにコンピュータによって実行される方法であって、前記方法は、
比色情報を生成するために標的サンプル上の標的コーティングの目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つを行うことと、
プロセッサを使用して、前記標的コーティング内に存在するバルクトナーを識別することであって、前記バルクトナーを識別することは、
コリメート光を使用して、第1の視角での前記標的コーティングの第1の色を第2の視角での前記標的コーティングの第2の色と比較することと、
前記第1の色と前記第2の色とが相互の特定の許容範囲内にない場合には、前記標的コーティングがパール効果を含むことを決定することと、
コリメート光を使用して、第3の視角での前記標的コーティングの第1の色強度を第4の視角での前記標的コーティングの第2の色強度と比較することと、
前記第1の色強度と前記第2の色強度とが前記第3の視角と前記第4の視角との間で変化する場合には、前記標的コーティングがアルミニウム薄片を含むことを決定することと
を含む、ことと、
前記プロセッサを使用して、前記標的コーティング内に存在する着色および/または非着色顔料沈着効果の有無および配向を検出することによって、前記標的コーティング内に存在する少なくとも1つの特定のトナーを識別することと、
前記プロセッサを使用して、前記少なくとも1つの特定のトナーを少なくとも含む前記標的コーティングの配合組成を出力することと
を含み、
前記第1の視角、前記第2の視角、前記第3の視角、または、前記第4の視角のうちの少なくとも1つは、面外角度を含む、方法。
【請求項2】
目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つを行うことは、分光光度計を用いて、前記標的サンプルを測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの特定のトナーを識別することは、着色アルミニウムおよび/またはパール効果が前記標的コーティング内に存在するかどうかを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの特定のトナーを識別することは、固体効果および非着色アルミニウムのうちの少なくとも1つを識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
分析のために前記標的サンプルを調製することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つを行うことは、目立つ色を視覚的に決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
コリメート光を使用して、第3の視角での前記標的コーティングの第1の色強度を第4の視角での前記標的コーティングの第2の色強度と比較することは、類似度指数を計算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ユーザーインターフェースと、
前記ユーザーインターフェースと通信するプロセッサと
を備えたシステムであって、
前記プロセッサは、
比色情報を生成するために、標的サンプル上の標的コーティングの目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つからデータを受信することと、
前記標的コーティング内に存在するバルクトナーを識別することであって、前記バルクトナーを識別することは、
コリメート光を使用して、第1の視角での前記標的コーティングの第1の色を第2の視角での前記標的コーティングの第2の色と比較することであって、前記第1の視角は、面内角度であり、前記第2の視角は、面外角度である、ことと、
前記第1の色と前記第2の色とが相互の特定の許容範囲内にない場合には、前記標的コーティングがパール効果を含むことを決定することと
を含む、ことと、
前記標的コーティング内に存在する着色および/または非着色顔料沈着効果の有無および配向を検出することによって、前記標的コーティング内に存在する少なくとも1つの特定のトナーを識別することと、
前記少なくとも1つの特定のトナーを少なくとも含む前記標的コーティングの配合組成を出力することと
を行うようにプログラムされている、システム。
【請求項9】
前記プロセッサと通信するデータベースをさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサと通信するディスプレイをさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサと通信する分光光度計をさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサは、着色アルミニウムおよび/またはパール効果が前記標的コーティング内に存在するかどうかを決定することによって、前記少なくとも1つの特定のトナーを識別するようにプログラムされている、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、固体効果および非着色アルミニウムのうちの少なくとも1つを識別することによって、前記少なくとも1つの特定のトナーを識別するようにプログラムされている、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
比色情報を生成するために標的サンプル上の標的コーティングの目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つからデータを受信するための手段と、
前記標的コーティング内に存在するバルクトナーを識別するための手段であって、前記バルクトナーを識別することは、
コリメート光を使用して、第1の視角での前記標的コーティングの第1の色強度を第2の視角での前記標的コーティングの第2の色強度と比較することであって、前記第1の視角は、面内角度であり、前記第2の視角は、面外角度である、ことと、
前記第1の色強度と前記第2の色強度とが前記第1の視角と前記第2の視角との間で変化する場合には、前記標的コーティングがアルミニウム薄片を含むことを決定することと
を含む、手段と、
前記標的コーティング内に存在する着色および/または非着色顔料沈着効果の有無および配向を検出することによって、前記標的コーティング内に存在する少なくとも1つの特定のトナーを識別するための手段と、
前記少なくとも1つの特定のトナーを少なくとも含む前記標的コーティングの配合組成を出力するための手段と、
を備える、装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの特定のトナーを識別するための手段は、着色アルミニウムおよび/またはパール効果が前記標的コーティング内に存在するかどうかを決定するための手段を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの特定のトナーを識別するための手段は、固体効果および非着色アルミニウムのうちの少なくとも1つを識別するための手段を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
比色情報を生成するために標的サンプル上の標的コーティングの目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つからデータを受信することと、
前記標的コーティング内に存在するバルクトナーを識別することであって、前記バルクトナーを識別することは、
コリメート光を使用して、第1の視角での前記標的コーティングの第1の色強度を第2の視角での前記標的コーティングの第2の色強度と比較することであって、前記第1の視角は、面内角度であり、前記第2の視角は、面外角度である、ことと、
前記第1の色強度と前記第2の色強度とが前記第1の視角と前記第2の視角との間で変化する場合には、前記標的コーティングがアルミニウム薄片を含むことを決定することと
を含む、ことと、
前記標的コーティング内に存在する着色および/または非着色顔料沈着効果の有無および配向を検出することによって、前記標的コーティング内に存在する少なくとも1つの特定のトナーを識別することと、
前記少なくとも1つの特定のトナーを少なくとも含む前記標的コーティングの配合組成を出力することと
をプロセッサに行わせるためのソフトウェアを含む、非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮特許出願第61/702,959号(2012年9月19日出願)に対する優先権を主張するものである。
【0002】
種々の実施形態では、本発明は、概して、硬化合成コーティング(例えば、塗料)混合物の比色および物理的特性属性を評価するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
合成コーティング(例えば、塗料)混合物の特性を評価するために使用される種々の技術(例えば、SAE(登録商標)J361)は、典型的には、多くの場合、サンプルの顕微鏡評価と組み合わせられる様々な面内視認条件を含む。しかしながら、そのような技術は、概して、合成塗料混合物中の新しい効果顔料沈着に適正に対処していない。さらに、それらは、主に、繊維製品に焦点が当てられ、効果顔料沈着を適切に視認するために少なくとも2つの光源を要求する、不明瞭に識別された面外視角を使用する。他の技術は、概して、顔料沈着を分析するために効果的である、分光光度計(すなわち、効果サンプルのための面内の多角デバイスおよびストレートシェードサンプルのための球面デバイス)を使用することを伴う。しかしながら、そのような技術は、概して、着色アルミニウムの粗度を視認することが非常に難しいため、パール、着色アルミニウム等を含む、例えば、Colorstream(登録商標)顔料の特有の特性により、新しい顔料を適正に特性評価することができない。したがって、顕微鏡は、特殊な効果顔料を適正に判定することが要求され、ひいては、サンプルの特徴および特殊な顔料の効果を修正する適用問題に満足に対処できないにもかかわらず、時間および複雑性が増す。
【0004】
研究室用隅角分光光度計は、サイズ、費用、性能、および測定時間等の制約のために、現場または研究室のいずれでも効果的に使用されることができない。ポータブル隅角分光光度計デバイスは、Byk−Gardner製Byk Mac(登録商標)デバイス等のCCDカメラ、またはX−Rite,Inc.製MA98デバイス等のアンダーサンプリング双方向反射率デバイスを含む。これらのデバイスは、粗度、光沢、および追加の事前に利用できない情報を提供するために利用可能な既存のポータブル機器に優る改善を実証しているが、それらのデバイスは、単純データストリームまたは最終的なテクスチャおよび不透過度情報を提供しない。光沢および粒状性値を生成するCCDカメラは、不正確であり、一般値を提供するので、顔料識別化/特徴化およびテクスチャ情報がテクスチャスケールおよびスペクトルデータと併用されるときでさえ、不正確である。アンダーサンプリング双方向反射率デバイスは、複合量のデータストリームを使用し、「フィンガープリント」顔料またはサンプル欠陥のいずれかに対する顔料の過剰に複雑化された散乱特性に依拠する。
【0005】
部分的に、これらのデバイスは、粗度が起因し得る特徴ではなく、光沢のみが適切な測定であるという根底にある仮定によって、不適切な結果をもたらすため、いずれの前述のデバイスも、着色アルミニウム等の効果顔料沈着の識別のための適切な情報を提供していない。しかしながら、異なるアルミニウム(着色またはその他)は、コリメート光中の粗度品質を明確に実証し、したがって、これらのデバイスおよびこれらのデバイスの提案された使用法にとって同一に見える視覚的に異なるアルミニウム顔料に関して混同され得ることがある。さらに、これらのデバイスは、典型的には、適度な結果を生み出すために重み付け関数を使用する、従来的、進歩的、または複雑な独自の比色関数を要求する。
【0006】
さらなる戦略が、種々のテクスチャを表し、未知のサンプルと比較された塗料または仮想サンプルを使用して、開発されている。これらの技術は、実質的ユーザ介入を要求し、本質的に、主観的であって、したがって、ユーザの技能に依存する矛盾した結果を生じさせ得る。
【0007】
したがって、適用(不透過度)問題およびテクスチャ問題が、より高速かつより良い色合わせを可能にするために、迅速かつ明確に識別されることができるように、顔料特性評価およびサンプル特性のために改善かつ簡略化された結果を生み出すことができる、カラーカメラを用いて、あるいはそれを用いず、制限された多角かつ多面スペクトルおよび/または視覚データを使用する、簡略化されたアプローチの必要性が、存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
種々の実施形態では、本発明は、コンピュータ実施方法を対象とする。本方法は、比色情報を生成するために、標的サンプル上の標的コーティングの目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つを行うステップと、プロセッサを使用して、標的サンプルに対して異なる視角で色および色強度を判定することによって、標的コーティング内に存在するバルクトナーを識別するステップとを含む。本方法はまた、プロセッサを使用して、標的コーティング内に存在する着色および/または非着色顔料沈着効果の有無および配向を検出することによって、標的コーティング中に存在する少なくとも1つの特定のトナーを識別するステップと、プロセッサを使用して、その少なくとも1つの特定のトナーを少なくとも含む標的コーティングの配合組成を出力するステップとを含む。
【0009】
種々の実施形態では、本発明は、システムを対象とする。本システムは、ユーザーインターフェースと、そのユーザーインターフェースと通信し、比色情報を生成するために、標的サンプル上の標的コーティングの目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つからデータを受信するようにプログラムされる、プロセッサとを含む。プロセッサはまた、標的サンプルに対して異なる視角で色および色強度を判定することによって、標的コーティング内に存在するバルクトナーを識別し、標的コーティング内に存在する着色および/または非着色顔料沈着効果の有無および配向を検出することによって、標的コーティング内に存在する少なくとも1つの特定のトナーを識別するようにプログラムされる。そのプロセッサはさらに、少なくとも1つの特定のトナーを少なくとも含む標的コーティングの配合組成を出力するようにプログラムされる。
【0010】
種々の実施形態では、本発明は、装置を対象とする。本装置は、比色情報を生成するために、標的サンプル上の標的コーティングの目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つからデータ受信するための手段と、標的サンプルに対して異なる視角で色および色強度を判定することによって、標的コーティング内に存在するバルクトナーを識別するための手段とを含む。本装置はまた、標的コーティング内に存在する着色および/または非着色顔料沈着効果の有無および配向を検出することによって、標的コーティング内に存在する少なくとも1つの特定のトナーを識別するための手段と、少なくとも1つの特定のトナーを少なくとも含む標的コーティングの配合組成を出力するための手段とを含む。
【0011】
種々の実施形態では、本発明は、プロセッサに、
比色情報を生成するための標的サンプル上の標的コーティングの目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つからデータを受信させ、
標的サンプルに対して異なる視角で色および色強度を判定することによって、標的コーティング内に存在するバルクトナーを識別させ、
標的コーティング内に存在する着色および/または非着色顔料沈着効果の有無および配向を検出することによって、標的コーティング内に存在する少なくとも1つの特定のトナーを識別させ、
少なくとも1つの特定のトナーを少なくとも含む標的コーティングの配合組成を出力させる、
ためのソフトウェアを含む、非一過性コンピュータ読取可能媒体を対象とする。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
コンピュータ実施方法であって、
比色情報を生成するための標的サンプル上の標的コーティングの目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つを行うステップと、
プロセッサを使用して、前記標的サンプルに対して異なる視角で色および色強度を判定することによって、前記標的コーティング内に存在するバルクトナーを識別するステップと、
前記プロセッサを使用して、前記標的コーティング内に存在する着色および/または非着色顔料沈着効果の有無および配向を検出することによって、前記標的コーティング内に存在する少なくとも1つの特定のトナーを識別するステップと、
前記プロセッサを使用して、前記少なくとも1つの特定のトナーを少なくとも含む前記標的コーティングの配合組成を出力するステップと
を含む、方法。
(項目2)
前記目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つを行うステップは、分光光度計を用いて、前記標的サンプルを測定するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記少なくとも1つの特定のトナーを識別するステップは、着色アルミニウムおよび/またはパール効果が前記標的コーティング内に存在するかどうかを判定するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記少なくとも1つの特定のトナーを識別するステップは、固体効果および非着色アルミニウムのうちの少なくとも1つを識別するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
分析のために前記標的サンプルを調製するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つを行うステップは、目立つ色を視覚的に判定するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
色強度を判定するステップは、類似度指数を計算するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
ユーザーインターフェースと、
前記ユーザーインターフェースと通信するプロセッサであって、
比色情報を生成するために、標的サンプル上の標的コーティングの目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つからデータを受信することと、
前記標的サンプルに対して異なる視角で色および色強度を判定することによって、前記標的コーティング内に存在するバルクトナーを識別することと、
前記標的コーティング内に存在する着色および/または非着色顔料沈着効果の有無および配向を検出することによって、前記標的コーティング内に存在する少なくとも1つの特定のトナーを識別することと、
前記少なくとも1つの特定のトナーを少なくとも含む前記標的コーティングの配合組成を出力することと
を行うようにプログラムされる、プロセッサと、
を備える、システム。
(項目9)
前記プロセッサと通信するデータベースをさらに備える、項目8に記載のシステム。
(項目10)
前記プロセッサと通信するディスプレイをさらに備える、項目8に記載のシステム。
(項目11)
前記プロセッサと通信する分光光度計をさらに備える、項目8に記載のシステム。
(項目12)
前記プロセッサは、着色アルミニウムおよび/またはパール効果が前記標的コーティング内に存在するかどうかを判定することによって、前記少なくとも1つの特定のトナーを識別するようにプログラムされる、項目8に記載のシステム。
(項目13)
前記プロセッサは、固体効果および非着色アルミニウムのうちの少なくとも1つを識別することによって、前記少なくとも1つの特定のトナーを識別するようにプログラムされる、項目8に記載のシステム。
(項目14)
比色情報を生成するために標的サンプル上の標的コーティングの目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つからデータ受信するための手段と、
前記標的サンプルに対して異なる視角で色および色強度を判定することによって、前記標的コーティング内に存在するバルクトナーを識別するための手段と、
前記標的コーティング内に存在する着色および/または非着色顔料沈着効果の有無および配向を検出することによって、前記標的コーティング内に存在する少なくとも1つの特定のトナーを識別するための手段と、
前記少なくとも1つの特定のトナーを少なくとも含む前記標的コーティングの配合組成を出力するための手段と、
を備える、装置。
(項目15)
前記少なくとも1つの特定のトナーを識別するための手段は、着色アルミニウムおよび/またはパール効果が前記標的コーティング内に存在するかどうかを判定するための手段を含む、項目14に記載の装置。
(項目16)
前記少なくとも1つの特定のトナーを識別するための手段は、固体効果および非着色アルミニウムのうちの少なくとも1つを識別するための手段を含む、項目15に記載の装置。
(項目17)
比色情報を生成するための標的サンプル上の標的コーティングの目視評価および器具測定のうちの少なくとも1つからデータを受信することと、
前記標的サンプルに対して異なる視角で色および色強度を判定することによって、前記標的コーティング内に存在するバルクトナーを識別することと、
前記標的コーティング内に存在する着色および/または非着色顔料沈着効果の有無および配向を検出することによって、前記標的コーティング内に存在する少なくとも1つの特定のトナーを識別することと、
前記少なくとも1つの特定のトナーを少なくとも含む前記標的コーティングの配合組成を出力することと
をプロセッサに行わせるためのソフトウェアを含む、非一過性コンピュータ読取可能媒体。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、標準的数学専門用語に従って標識された角度を例証する。
【
図2】
図2は、標準的多角分光光度計専門用語に従って標識された
図1の角度を例証する。
【
図3】
図3は、視覚および/またはスペクトル情報がトナーを特性評価するよう捕捉され得る特定の角度を例証する。
【
図4】
図4は、視覚および/またはスペクトル情報がトナーを特性評価するよう捕捉され得る角度の最大値を例証する。
【
図5】
図5は、塗装されたサンプルおよび典型的透明または半透明効果薄片との光相互作用に関する種々の角度を例証する。
【
図6】
図6は、どのように非合焦光をもたらし、拡散光源が無作為化情報を提供するかを例証する。
【
図7】
図7は、標的サンプルコーティングに合致させるために使用されるトナーを識別するためのプロセスの実施形態のフローチャートを例証する。
【
図8】
図8は、標的サンプルコーティングに合致させるために使用されるトナーを識別するためのプロセスの実施形態のフローチャートを例証する。
【
図9】
図9は、標的サンプルコーティングに合致させるために使用されるトナーを識別するために使用され得るシステムの実施形態を例証する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
種々の側面では、本発明の実施形態は、標的サンプルのための標的スペクトルおよび視覚情報を取得し、標的サンプルに類似する、色、テクスチャ(すなわち、不均一な局所的な外観)、および不透過度を有するコーティングを作り出すために使用されることができる、複数のバルクトナータイプを識別する(すなわち、類似する物理的層および特性を有する、パール、アルミニウム、着色アルミニウム等のトナータイプのグループ分け)ためにトナーを特性評価し、コーティング組成がユーザ規定容認可能基準を満たすかどうかを判定するために使用され得る、分光光度計および方法を含む。
【0014】
本発明の種々の実施形態は、標的サンプル内のものと、ほとんどまたは実質的に、同一の色、テクスチャ、不透過度、および効果特性を有する塗料を作り出すために使用されることができる、「最良適合」の個別的/特定のトナーの識別を含む。実施形態はまた、ユーザ規定容認可能基準を満たす塗料配合組成合致をもたらすために必要な特定の欠損トナーが識別されるようなトナーの不適切性を識別し得る。
【0015】
本発明の種々の実施形態は、標的サンプルに関する情報を捕捉するためのデバイスと、標的サンプルに類似する色を有する塗料を作り出すために使用されることができるバルクトナータイプおよび特定のトナーを識別するためのプロセッサとを有する装置を含む。プロセッサはまた、修正された塗料組成物または配合組成がユーザ規定容認可能基準を満たすかどうかを判定する。出力デバイスが、どのようにコーティングが1つ以上の表面上に見えるであろうか視覚化するためにユーザに塗料配合組成情報を伝達するために使用されてもよい。種々の実施形態では、本発明は、ユーザが、構造(例えば、壁)の一部、自動車等の物体の内側または外側表面が、その表面が、例えば、1つ以上の塗料色でコーティングされた後に、どのように見えるであろうかを視覚化するための方法および装置を提供する。
【0016】
本明細書における説明は、概して、塗料を参照しているが、本デバイス、システム、および方法は、染料および工業用コーティングを含む他のタイプのコーティングにも適用されることを理解されたい。本発明の説明された実施形態は、制限と見なされるべきではない。本発明に一致する方法が、アパレルおよびファッション製品のマッチングおよび/またはコーディネーション等の様々な分野で実践されてもよい。
【0017】
本発明の実施形態は、独立型ユニットである、あるいは、例えば、インターネットまたはイントラネット等のネットワークを介して、中央コンピュータと通信する1つ以上の遠隔端末またはデバイスを含み得る、コンピュータシステムと併用される、またはその内部に組み込まれてもよい。したがって、本明細書で説明されるコンピュータまたは「プロセッサ」および関連構成要素は、ローカルコンピュータシステム、遠隔コンピュータ、オンラインシステム、またはそれらの組み合わせの一部であってもよい。本明細書で説明されるデータベースおよびソフトウェアは、コンピュータ内部メモリ内、または非一過性コンピュータ読取可能媒体内に保存されてもよい。
【0018】
従来の分光光度計および視覚視認条件は、
図1および
図2で例証された角度および光源を考慮する。
図1および
図2は、同じ角度を例証するが、
図2は、多角分光光度計を議論するとき、反射角(すなわち、入射光源の鏡面反射の角度)に関する角度を説明するために一般的に容認される専門用語を使用する。しかしながら、明確にするため、
図1で例証された角度標識システムが、本明細書で使用される。種々の実施形態では、拡散またはコリメート色補正光を採用する、従来の光源が使用されてもよい。
【0019】
種々の実施形態では、未知または標的サンプルの表面に適用されるコーティング内で使用されるトナーのタイプを適切に識別するために、観察が、適切な角度で行われ、観察されたデータは、データベース内の既存の既知のトナーと比較される。データベースは、比較されたその既存のトナーの特性を含んでもよい。
【0020】
種々の実施形態では、2つの入射光源が、トナーを特性評価するために使用されてもよい。
図3に例証されるように、105°での入射光は、サンプル上の明るいスポットライトとして作用し、観察者(また、カメラでもあり得る)および/または分光光度計が、標的の色および薄片(すなわち、効果)配向に関する反射率詳細を捕捉することを可能にする。入射光は、個人が自然光環境で塗料表面を観察するときに存在するであろうものよりも明るくかつより直接的であり得る。入射光を使用することよって、コーティングの特性は、したがって、誇張され、コーティング内部の粒子の細密な特徴を定量化することをより容易にする。個人がコーティングされた表面(例えば、車両)の長さに沿って見ていることを表す、170°での第2の入射光は、色およびトナー特徴のより優れた評価を可能にする。
図5に例証されるように、標的に略平行である入射光は、標的に対してより垂直の角度での光源と実質的に異なる、雲母、パール、キシラリック、ガラス薄片等の半透明のトナーと相互作用する。10°の照明角度(ここでは、170°は等しいが、反対側)では、コーティング層は、下側から「見られる」ことができ、反射光よりもはるかに多い観察者に返される伝送光をもたらす。これは、不透過度情報、特有の色データを提供し、単純または複合コーティング混合物内のトナーの特性評価のために薄片配向を識別する。さらに、この角度で反射された光は、その進行にわたって著しい色変動を伴う、ある効果顔料の識別のために重大であり得る、より広範な反射情報および色をもたらす。
【0021】
光と半透明のトナーとの複雑な相互作用のために、直接コリメート光源が、標的サンプルを精査するとき、一貫性および再現性を確実にするために使用されてもよい。
図6は、どのように拡散光源が非合焦光を提供し、全ての角度で視認者に無作為化情報を提供することによって、不的確に再現可能な測定をもたらす、金属薄片等の効果と著しい「無作為」相互作用を可能にするかを例証する。拡散源からの迷光は、再現不能な反射をもたらし、したがって、分光光度計内のセンサまたは観察者の目の中の受容体へ情報を提供する、様々な角度で一貫性のない様々な場所で顔料効果を引き起こすことが可能である。効果顔料の特有の特徴は、拡散され、したがって、効果顔料の識別の可能性をなくす。コリメート光は、源ビームから発散する迷光を有しておらず、したがって、標的表面が視認される度に、同じ反射を返す。この論理的根拠は、データベース内に顔料データを投入するために使用されてもよい。標的情報と比較するデータベースを開発するとき、類似する配向に類似する光を使用することもまた、望ましくあり得る。
【0022】
図7に例証されるように、本発明の実施形態は、標的表面上のコーティングの組成を判定するために標的表面を分析する方法を対象とする。ステップ70では、標的表面を有する標的サンプルが取得され、ステップ72において、分析のために調製される。ステップ73では、ユーザ入力に基づいて、視角観察または器具測定が行われるかどうかが判定される。器具測定が行われる場合、ステップ74において、分光光度計等のデバイス内部に含まれるカラーカメラが、赤、緑、青(RGB)情報を取得する。同時に、分光光度計は、L*、a*、b*、C、およびh等の比色値を供給し得る。ステップ76では、情報は、デバイスからユーザデバイスにエクスポートされる。その情報は、異なる角度で視認された情報と直接比較するために使用されることができる。3つ値のいずれかのための比較の間の0.5〜1.0のRGBまたは比色情報内の許容差異は、概して、異なる色または異なる色強度を示す。
【0023】
標的コーティング組成の目視評価が、ステップ78で行われ、観察者が、どの色が所与の角度で最も目立つかについて、ステップ80で決定することを要求してもよい。種々の実施形態では、これは、所与の角度で観察される最大有彩色に基づいて、解決されてもよい。例えば、特定の視角では、標的コーティングは、くすんだ緑が見え得るが、バイオレットの実質的斑点を含有し得る。バイオレットは、所与の角度で最も目立つ色であるため、バイオレットは、その角度の色として指定され、比較の目的のために使用される。その色はまた、所与の角度でのその色の強度として指定されるであろう特定の強度を有するとして解釈され得る。その強度は、より低い強度から、中程度の強度、より高い強度の範囲にわたる、例えば、3〜5のポイントスケール上で測定され得る。
【0024】
分光光度計によって提供されるスペクトルデータは、ステップ82において、データ操作を要求するが、視覚観察の主観性またはカメラを使用する制限性を排除することができる。種々の実施形態では、角度間のスペクトルデータの比較は、2つの手順のうちの1つを伴う。第1の手順は、最も大きい反射率のピークを評価し、所与の波長でのその反射率値と、色が波長の範囲に割り当てられたデータベース内のものとを比較することである。例えば、スペクトル反射率は、サンプルに対して、およそ550nmでピークになり得る。データベース内の特定の色に対する波長値と比較されたとき、その色は、データベース内に保存される、525−575nmの範囲を有する「緑」と合致され得る(すなわち、「緑」は、評価角度で最も目立つ色であろう)。視覚プロセスに続いて、評価角度での「色」は、別の角度で観察された色と比較される。各角度のピークでのスペクトル反射率の大きさの間の差異は、検討中の角度間の強度差異を表す。それに続いて、角度間のスペクトルデータを比較するための手順は、拡張類似度または反射指数(SI)の生成を伴う。検討中の角度でのスペクトル曲線は、正規化され、検討された波長の数の2倍で、合計されたそれぞれの波長での正規化値の間の差異の絶対値を除算することによって、拡張SIを求める。0.2−0.4の値範囲を超えることは、検討中の色が異なることを示し得る。0.2の値は、大規模な全体的開始比較プールを前提とする、または白/銀/黒色における、より厳格な制御にとって、望ましくあり得る一方、0.4の値は、より小規模な全体的開始比較プールまたはプールからの類似色のより大規模な含有にとって望ましくあり得る。種々の実施形態では、強度を検討するためのプロセスは、実質的に、角度間のスペクトルデータを比較するための第1の手順と関連して本明細書で説明されたプロセスと同じである。
【0025】
方程式1:所与の単一角度に対する類似度指数
【数1】
式中、n=波長の合計数
R=正規化反射率値
s=サンプル
d=データベース
【0026】
トナーのバルク特性評価は、トナータイプの正しい解釈が最終コーティングの正しいテクスチャをもたらし得るため、行われる。例えば、パールは、概して、同一の粗度値を有するが、特定のパールは、特有の着色光沢特徴をもたらす。さらに、アルミニウムは、類似する明度を有するが、特有の全体的テクスチャ特性を有し得る。したがって、コーティング内のトナーの存在のさらなる特性評価は、ステップ84で行われ、いったん、好適なトナーが、角度の比較を介する使用のためのオプションとして識別されると、コーティングのテクスチャは、したがって、適切に識別されるであろう。(すなわち、適切なテクスチャは、合理的なトナー選択を用いて存在するであろう)。コーティング内で使用される正確なトナーを識別することは、必要でないが、むしろ、トナーの好適な選択は、色およびテクスチャ問題に対処するであろう。ステップ86では、標的コーティングに合致する(または、容認可能な様式で実質的に合致する)コーティング配合組成が、出力される。
【0027】
ステップ82において、標的コーティングのバルクトナー特徴を判定するために、異なる視角が、光源、例えば170°を使用して、相互に査定および比較されてもよい。例えば、30°および60°の面内角度は、本明細書の上記で議論されたように、目視評価、カラーカメラ、またはスペクトル曲線の解釈を介して、色(赤、緑等)について査定されてもよい。45°仰角での90°および30°の面外角度もまた、次いで、同様の様式で、色について査定されてもよい。その色が相互の特定の許容の範囲内にない場合、標的コーティング内にパール効果(例えば、雲母、キシラリック、色流、まだら模様等)がある。色および色強度の差異に応じて、着色アルミニウム薄片もまた、存在し得る(色強度は、面内角度ではるかに高く、アルミニウムの色もまた、そこではるかに多く認められるであろう。)。さらなる検討はまた、面内角度の範囲にわたる標的の進行に対して行われてもよい。色強度が、125°、60°、および30°の角度の間で変化する場合、標的は、アルミニウム薄片を含有する可能性が高い。色または色強度は、それらの角度のいずれかを横断しても変化しない場合、標的コーティングは、効果トナーは含有せず、ストレートシェードトナーの存在を有するのみである。
【0028】
本明細書の上記で説明されたように、いったん、トナータイプが、概して、ステップ82において判定されると、トナーは、ステップ84において、より具体的に特性評価され、かつ1つ以上のトナーからの選択のためのデータベースに対して比較されてもよい。それぞれの角度での標的は、それぞれのトナーに関する角度情報を含有するデータベース内のデータに対して、評価かつ比較されてもよい。角度情報は、スペクトルデータ、視覚色割り当て、それぞれのトナーの適用示唆、個々のトナーに適用され得る一般的適用情報、面内角度と比較された対向平面の範囲内の面外角度の比較に基づいた整合/不透過情報、および任意の他の適切なデータを含んでもよい。
【0029】
着色アルミニウムは、特定の角度での着色アルミニウムのその特徴との比較に基づいた標的コーティング内で判定される。着色アルミニウムは、170°光源で使用されるときに開示されたほとんどの角度では、ほとんど可視ではなく、着色アルミニウムは、面外角度90°では、可視ではない。したがって、着色アルミニウムによって標的に寄与された略全ての色は、170°光源を用いると、面外90°角度に存在しない。105°光源を使用した面内角度からの色と、170°光源を使用した面外角度90°からの色(またはそれらの欠如)との比較は、着色アルミニウムが存在することの明確または略明確な判定を可能にし得る。特定の着色アルミニウムが存在するかどうか判定するために、面外30°の角度は、105°光源を用いて評価されてもよい。そのような角度での色の存在は、存在する着色アルミニウムのより多くの特定のタイプ(例えば、金、赤、オレンジ等)の確認のためにデータベース内のデータと比較されてもよい。さらなる確認は、105°光源を使用した他の角度でのデータとデータベース内のデータとの比較を介して、得られることができる。しかしながら、着色アルミニウムのテクスチャは、105°光源を使用した面外角度30°で、最も明確にはっきりと見える。したがって、スペクトル受容体、目視評価、および/または着色カメラの位置は、そのような光源を用いてそのような角度で使用されてもよい。
【0030】
合成混合物中に存在するパール効果は、170°光源を使用して、面外90°角度を比較することによって、より具体的に定義され得る。最も効果的な顔料沈着は、実質的に、そのような光源を用いたそのような角度でより少ない色強度になる。これは、
図5で例証される。しかしながら、パール効果は、パール効果が170
°光源を使用して、面外角度90°で視認されたとき、著しくより大きい色強度になるため例外である。そのような光源を用いたそのような角度で最も目立つと判定された色は、観察されたものと同一の挙動および色を最も近似して呈する特定のパール効果を判定するために、データベース内のデータと比較されてもよい。他の角度での標的の特徴色はまた、正しいパール効果が、一実施形態では、170°光源を使用する90°の角度である、関心一次角度を伴う標的と比較されたデータベース内のパール効果の面外から面内への進行特徴データを考慮することによって選択されていることを確実にするために、比較かつ評価されてもよい。そのような光源を用いたそのような角度でのパール効果の色強度はさらに、標的コーティング中の平坦化剤の存在および/または粒子の不整合を判定するために、データベース内のデータと比較されてもよい。いったん、パール効果が、標的コーティング内部に存在するとして識別されると、さらなる分析/比較が、データベース内のトナーのそれぞれの存在に関する正確なスペクトル曲線情報を含むデータベース内のより包括的データを用いて行われてもよい。標的のスペクトル曲線とデータベースからの提案されたトナーとの比較はさらに、本明細書の上記で議論された類似度指数を使用して、標準的雲母またはキシラリック(またはColorstream(登録商標)キシラリック)効果の存在を識別してもよい。
【0031】
微粒白色は、面内角および105°または170°の光源を使用して、標的サンプルの進行を評価することによって、識別されることができる。光源に最も近傍の角度は、微粒白色によって、影響され得ないが、光源からより遠い角度は、白色/水色の色相を呈し得る。
【0032】
アルミニウム薄片は、本明細書の上記で説明されたように、追加の検討を用いて、標的コーティングの特徴と着色アルミニウムのために使用されるプロセスを使用するデータベース内のデータを比較することによって、より具体的に識別されてもよい。本明細書の上記で議論されたように、アルミニウムの存在は、標的コーティングの全体的色とともに、標的コーティングの進行を判定することによって、評価されてもよい。標的コーティングの全体的色が灰色または白色に見えるが、強度における実質的変化が角度の間に存在する場合、ほぼ確実にアルミニウムが存在する(これは、白色または銀色のパール効果がすでに特性評価されている場合、あまり自明とはいえない場合がある)。アルミニウム薄片は、追加のトナーが存在しない場合、銀色の外観を呈するであろう。105°光源を使用する30°の外面角度での標的コーティングの特徴は、データベース内のアルミニウム効果に関する色強度データと比較されてもよい。アルミニウムに関するテクスチャは、そのような角度で、そのような光源を用いて、最もはっきりと見えるため、その角度での色の強度は、その角度での標的コーティングの色情報を無視することによって、適切なアルミニウム薄片を選択するために、データベース内のデータと比較されてもよい。アルミニウム薄片(着色アルミニウム顔料を含む)は、概して、噴霧ばらつきを被り、種々の実施形態では、データベース内に記憶された90°および30°の角度からの比較面外情報を含有するデータベースに対して比較される。例えば、種々の実施形態におけるデータベースは、種々の整合条件(特に、湿潤、乾燥、および/または静電印加を用いて)で噴霧されたアルミニウムに関する170°および105°の情報を含有する。これらの角度での類似度比較は、薄片整合調整成分―フロップ調整剤(すなわち、アルミニウム反応が、フロップ調整顔料が混合物に追加するために必要な場合を示す、類似する特定の適用タイプに見える場合)の必要性を判定する。追加の評価が、標的サンプル内のアルミニウムの存在を判定するために行われてもよく、アルミニウムの特定のタイプは、反射角(105°光源に対する75°の角度および170°光源に対する10°の角度)での観察を使用することによって、識別されてもよい。本発明の実施形態は、特定の角度で行われている光源および観察を想定して本明細書で説明されるが、そのような角度は、限定ではなく、範囲またはより具体的ではない角度を含むことを理解されたい。
【0033】
種々の実施形態では、残存トナー、例えば、固体が、170°光源を用いて、90°および30°の面外角度に関するデータを考慮することによって、最初に、識別されてもよい。標的内のパール効果の存在がなければ、90°の角度は、標的コーティング内の残存固体トナーを判定するために使用されてもよい。最も類似する固体着色トナーとのデータ比較(SI比較)またはKubelka−Munkマッチングツールが、固体トナーの選択を提供するために、そのような角度で、標的コーティングのスペクトル曲線と併用されてもよい。着色アルミニウムまたは効果が存在しない場合、固体トナーは、面内角度におけるデータといずれか一方または両方の光源を使用するデータベース内のデータを比較することによって、選択されてもよい。パール効果および/または着色アルミニウムが存在する場合、面内角度および30°の面外角度の色に最も類似するトナーが、データベースから選択されてもよい。
【0034】
分光光度計の利用を介して、プロセスはまた、その識別プロセスを最適化するために反復的に使用されてもよい。そのプロセスから選択されたトナーを使用して作成されたサンプルからの反射率データは、未知のサンプルの反射率データから差し引かれてもよい。これは、次いで、追加のトナー識別のためのプロセスを通して反復され得る、新しい「より暗い」反射率曲線をもたらす。最新の反復を通して選択されたトナーは、その前の反復からトナーに追加されることができる。
【0035】
図8は、標的サンプルコーティングと合致させるために使用されたトナーを識別するためのプロセスの実施形態のフローチャートを例証する。ステップ88および90では、バルクトナーは、全ての観察角度で色を判定し(ステップ88)、全ての観察角度で強度を判定する(ステップ90)ことによって識別され、
図7のステップ82に関して本明細書の上記で説明される。ステップ92では、着色アルミニウムおよび/またはパール効果が、標的サンプル内に存在するかどうか判定され、そうである場合、ステップ94では、効果(例えば、雲母、キシラリック、着色アルミニウム、ガラス等)が、識別され、その効果配向は、本明細書の上記で説明されたように、考慮される。ステップ96では、非着色アルミニウムおよび固体効果が識別され、その効果配向は、本明細書の上記で説明されたように考慮される。
【0036】
図9は、標的サンプルコーティングに合致させるために使用されるトナーを識別するために使用され得る、システム90の実施形態を例証する。ユーザ92が、標的サンプル98の特性を測定するために、グラフィカルユーザーインターフェース等のユーザーインターフェース94を利用し、分光光度計96を動作してもよい。分光光度計96からのデータは、パーソナルコンピュータ、モバイルデバイス、または任意のタイプのプロセッサ等のコンピュータ100に転送されてもよい。コンピュータ100は、ネットワーク102を介して、サーバ104と通信してもよい。ネットワーク102は、インターネット、ローカルエリアネットワーク、イントラネット、またはワイヤレスネットワーク等の任意のタイプのネットワークであってもよい。サーバ104は、比較目的のために、本発明の実施形態の方法によって使用されるデータおよび情報を記憶し得るデータベース106と通信する。本発明の実施形態の方法の種々のステップは、コンピュータ100および/またはサーバ106によって行われてもよい。
【0037】
別の側面では、本発明は、コンピュータまたはコンピュータシステムに、上記で説明された方法を行わせるためのソフトウェアを含有する非一過性コンピュータ読取可能媒体として実施されることができる。ソフトウェアは、プロセッサおよびユーザーインターフェースが、本明細書で説明された方法を行うことを可能にするために使用される種々のモジュールを含むことができる。
【0038】
修正が、前述の説明で開示された概念から逸脱せずに、本発明に対して行われ得ることは、当業者によって容易に認識されるであろう。そのような修正は、請求項が、その用語によって、別様に明示的に記載されない限り、以下の請求項の範囲内に含まれるとして見なされるものとする。したがって、本明細書に詳細に説明される特定の実施形態は、例証にすぎず、本発明の範囲の限定ではなく、添付の請求項およびそのあらゆる均等物の全範囲が与えられるものとする。