(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンピュータにより、調整インターバルの間に、取引注文のステータスに関して電子取引所と調整を行うステップ、ここで、取引注文のマッチングを調整インターバルの間に行う、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
受信した取引注文が処理されないディレイ期間を含み、当該ディレイ期間は、注文エントリインターバルの終了時に開始して、第2の注文エントリインターバルの開始時に終了する、請求項11に記載の方法。
コンピュータによって実行可能な命令を記憶したコンピュータ読み取り可能媒体であって、当該命令はコンピュータによって実行されたときに、請求項1から15のいずれか1つに記載の方法を実行させる、コンピュータ読み取り可能媒体。
【発明を実施するための形態】
【0005】
I.実施形態に関する簡単な説明
本実施形態は、制限されたインターバルの間にビッドとオファーを受けること、および、当該ビッドおよびオファーを、当該限られた時間インターバルの間に受信した相対する注文とマッチングすることに関する。本明細書で使用する場合、相対する注文とは、同じ価格および同じ数量を有した対向する取引注文の一方又は両方を言う。例えば、売り注文の場合、同じ価格および同じ数量の買い注文が相対する注文である。別の例では、価格や数量が異なる場合がある。例えば、売り注文と買い注文は、同じ価格だが数量が異なる場合があり、この場合、部分的な約定が1つ又は複数生まれる。ある例では、ビッド価格は、同じ数量に関してアスク価格よりも高くなる(又は低くなる)場合もある。注文エントリインターバルが、対応するマッチングインターバルから分離されることで、少なくとも2つの異なるインターバルとして区別される。ある実施形態では、注文エントリインターバルは、サブインターバルに分割される。同じ注文エントリインターバルに含まれる異なるサブインターバル中に受信した取引注文には、異なる識別子が付されてもよい(例えば、異なるタイムスタンプを埋め込む)。ある実施形態では、調整インターバルがさらに含まれる。調整インターバルの間、取引所のマッチングエンジンは、その他の複数のマッチングエンジンの中の1つのマッチングエンジンと通信および調整を行うことができる。ある例では、注文エントリインターバル、マッチングインターバルおよび/又は調整インターバルは、時間間隔に基づいてもよい。また、ある例では、インターバルは、当該インターバルの間に入力又は処理される取引の量(又はボリューム)に基づいてもよい。
【0006】
発明の詳細な説明は、コンポーネントの中でも特にハードウェア上で実行されるソフトウェアを含む実施形態を開示するが、これらの実施形態は単なる例示であり、限定的なものとして解釈すべきではない。例えば、これらのハードウェアおよびソフトウェアのコンポーネントのいずれか又は全てが、ハードウェアにて独占的に、ソフトウェアにて独占的に、ファームウェアにて独占的に、又は、ハードウェア、ソフトウェアおよび/又はファームウェアの任意の組み合わせにて、実装されてもよい。したがって、実施形態はそれ以外の方法により実施・実装されてもよい。
【0007】
本明細書に記載される例によれば、少なくとも2つの異なるインターバルを設け、相対する注文のマッチングを分離して行うことを可能とする。取引注文は、注文エントリインターバルの間に電子取引所によって受信される。その後のインターバルにおいて、電子取引所は、取引注文のステータスに関してその他の電子取引所と調整を行う。電子取引所は、注文エントリインターバル中に受信した取引注文を、同じ注文エントリインターバル中に受信した相対する注文とマッチングする。代替的におよび/又は付加的に、電子取引所は、取引注文を、それよりも前の注文エントリインターバル中に受信した相対する取引注文とマッチングしてもよい。取引注文を、同じ又は以前の注文エントリインターバル中に受信した取引注文とマッチングすることにより、注文エントリを早く行おうとするインセンティブは低減する。むしろ、内部市場を改善することによってトレーダは利益を受けることができる。
【0008】
注文のエントリと、相対する注文同士のマッチングとを分離して行う例示的な方法は、注文エントリインターバルの間に取引注文を受信するステップを含む。ここで、注文エントリインターバルは第1の期間を定めるものである。当該方法はさらに、注文エントリインターバルの終了時にマッチングインターバルを開始するステップを含む。ここで、マッチングインターバルは、第2の期間を含む。第1の期間は第2の期間に連続的である。当該方法はさらに、マッチングインターバルの間に、取引注文と、同じ注文エントリインターバルの間に受信した1つ又は複数の相対する取引注文とをマッチングするステップを含む。ここで、これらの取引注文は、同じ価格又は同じ数量を有する。
【0009】
相対する注文同士をマッチングする例示的なシステムは、メモリに接続されて注文エントリインターバルの間に複数の取引注文を受信するようにプログラムされたプロセッサを備える。ここで、注文エントリインターバルは第1の期間を定めるものであり、価格フィードインターバルの終了時に価格フィードが公開される。例示的なシステムはさらに、注文エントリインターバルの間に受信した複数の取引注文から1つの取引注文を選択するステップと、注文エントリインターバルの終了時にマッチングインターバルを開始するステップとを実行するようにプログラムされている。ここで、マッチングインターバルは第2の期間を含み、第1の期間は第2の期間に連続している。例示的なシステムはさらに、マッチングインターバルの間に、選択した1つの取引注文と、同じ注文エントリインターバル又はそれより前の注文エントリインターバルの間に受信した、同じ価格又は同じ数量を有する1つ又は複数の相対する取引注文とをマッチングするステップを実行するようにプログラムされている。
【0010】
例示的な有形コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、相対する注文同士のマッチングを行う方法を機械に実行させる命令を有する。当該有形コンピュータ読み取り可能記憶媒体はさらに、注文エントリインターバルの間に複数の取引注文を受信するステップを実行させる命令を含む。ここで、注文エントリインターバルは第1の期間を定めるものである。当該有形コンピュータ読み取り可能記憶媒体はさらに、注文エントリインターバルの終了時にマッチングインターバルを開始するステップを実行させる命令を含む。ここで、マッチングインターバルは第2の期間を含み、第1の期間は第2の期間に連続する。当該有形コンピュータ読み取り可能記憶媒体はさらに、注文エントリインターバルの間に受信した複数の取引注文から1つの取引注文を選択するステップと、調整インターバルの間に、選択した取引注文のステータスに関して電子取引所と調整を行うステップとを実行させる命令を含む。当該有形コンピュータ読み取り可能記憶媒体はさらに、電子取引所と通信する少なくとも1つの調整ハブと通信するステップを実行するステップと、マッチングインターバルの間に、選択した1つの取引注文と、調整インターバルの間に受信した、同じ価格又は同じ数量を有する1つ又は複数の相対する取引注文とをマッチングするステップとを実行させる命令を含む。
【0011】
II.電子取引システムの例
図1は、ある実施形態を採用可能な例示的な電子取引システム100を表すブロック図を示す。システム100は、取引デバイス110と、ゲートウェイ120と、取引所130とを備える。取引デバイス110は、ゲートウェイ120と通信する。ゲートウェイ120は、取引所130と通信する。本明細書における「通信」との用語は、直接的な通信、および/又は、1つ若しくは複数の中間コンポーネントを介した間接的な通信を包含する。
図1に示す例示的な電子取引システム100は、本明細書における示唆および開示から逸脱しない範囲で、付加的な機能や性能を提供する付加的なコンポーネント、サブシステムおよびエレメントと通信してもよい。
【0012】
動作中において、取引デバイス110は、取引所130からゲートウェイ120を介して市場データを受信する。ユーザは取引デバイス110を使用して、この市場データのモニタを行う、および/又は、1つ又は複数の取引可能オブジェクトを買う又は売るための注文メッセージを取引所130に送信する意思決定を行う。
【0013】
市場データは、取引可能オブジェクトのための市場に関するデータを含む。例えば、市場データは、内部市場、市場深度、最終取引価格(「LTP」)、最終取引量(「LTQ」)又はそれらの組み合わせを含む。(時間の経過とともに変化する)内部市場は、ある時点における特定の取引可能オブジェクトに関する利用可能な最低アスク価格(ベストオファー)および最高ビッド価格(ベストビッド)である。市場深度は、内部市場で利用可能な数量および内部市場から離れた他の価格で利用可能な数量のことをいう。利用可能な数量次第で、市場深度の「ギャップ」が存在する場合がある。
【0014】
取引可能オブジェクトは、取引される任意の対象物である。例えば、取引可能オブジェクトの特定の数量を、特定の価格で買う又は売ることができる。取引可能オブジェクトには、金融商品、株式、オプション、債券、先物、通貨、ワラント、ファンドデリバティブ、証券、商品、スワップ、金利商品、インデックスベース商品、取引イベント、物品、又はそれらの組み合わせが含まれる。取引可能オブジェクトには、取引所(例えば取引所130)によってリスト化および/又は管理された商品、ユーザによって定義された商品、実際の商品若しくは合成の商品の組合せ、又はそれらの組み合わせが含まれる。なお、実際の取引可能オブジェクトに対応するおよび/又は類似する、合成の取引可能オブジェクトが存在してもよい。
【0015】
注文メッセージは、取引注文を含むメッセージである。取引注文は例えば、取引可能オブジェクトを買う又は売るためのコマンドや、定められた取引戦略に従って注文の管理を開始するコマンドや、提出済みの注文を変更(例えば作業中の注文を修正する)又はキャンセルするコマンドや、注文に関連する電子取引所への指示や、それらの組み合わせであってもよい。
【0016】
取引デバイス110は、1つ又は複数の電子計算プラットフォームを有してもよい。例えば、取引デバイス110は、デスクトップコンピュータ、ハンドヘルドデバイス、ラップトップ、サーバ、ポータブルコンピューティングデバイス、取引端末、埋め込まれた取引システム、ワークステーション、アルゴリズム取引システム(「ブラックボックス」や「グレーボックス」)、コンピュータのクラスタ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。別の例として、取引デバイス110は、プロセッサによって実行される1つ又は複数のコンピュータプログラム、アプリケーション、ライブラリあるいはコンピュータ読み取り可能命令などをアクセス可能に記憶するように構成されたメモリ又はその他の記憶媒体と通信を行うシングル又はマルチコアプロセッサを含んでもよい。
【0017】
本明細書における「〜ように構成された(configured to, adapted to)」との用語は、エレメント、構造又はデバイスが特定の機能又は特定の目的を実行するように修正、アレンジ、変更などされている場合を包含する。
【0018】
例示として、取引デバイス110は、イリノイ州シカゴにあるトレーディングテクノロジーズインターナショナルインコーポレイティッド(以降では「トレーディングテクノロジーズ」と称する)が提供する電子取引プラットフォームであるX_TRADER(登録商標)のコピーを実行するパーソナルコンピュータとして実装されてもよい。別の例として、取引デバイス110は、トレーディングテクノロジーズが提供するADL(商標)、AUTOSPREADER(登録商標)、および/又はAUTOTRADER(商標)などの自動取引ツールを提供する取引アプリケーションを実行するサーバであってもよい。さらに別の例では、取引デバイス110は、サーバと通信する取引端末を含んでもよく、この場合、取引端末とサーバが集合的に取引デバイス110となる。
【0019】
取引デバイス110は一般的に、ユーザによって所有、操作、制御、プログラム、構成、又はその他の方法の使用が行われる。本明細書における「ユーザ」との用語には、これらに限定されないが、人間(例えばトレーダ)、取引グループ(例えばトレーダのグループ)又は電子取引デバイス(例えばアルゴリズム取引システム)が含まれる。1人又は複数のユーザが、例えば所有、操作、制御、プログラミング、構成、又はその他の使用に関与してもよい。
【0020】
取引デバイス110は、1つ又は複数の取引アプリケーションを含む。本明細書における取引アプリケーションは、電子商取引を促進又は改善するアプリケーションである。取引アプリケーションは、1つ又は複数の電子取引ツールを提供する。例えば、取引デバイスに記憶された取引アプリケーションは、1つ又は複数の取引ウィンドウに市場データを配置および表示するように実行される。別の例では、取引アプリケーションは、スプレッド取引ツールを提供する自動スプレッド取引アプリケーションを含む。さらに別の例では、取引アプリケーションは、自動的にアルゴリズムを処理して特定のアクション(注文を出す、既存の注文を修正する、注文の削除する、など)を実行するアルゴリズム取引アプリケーションを含む。さらに別の例では、取引アプリケーションは、1つ又は複数の取引画面を提供する。取引画面は、1つ又は複数の市場と交信可能な1つ又は複数の取引ツールを提供してもよい。例えば、ユーザは取引ツールを用いることで、様々な取引戦略を実行しながら、市場データの取得・閲覧、注文エントリパラメータの設定、取引所への注文メッセージの送信、取引アルゴリズムの展開、および/又は、位置のモニタリングを行うことができる。取引アプリケーションが提供する電子取引ツールは常に利用可能であってもよく、あるいは、取引アプリケーションの特定の設定又は動作モードのみで利用可能であってもよい。
【0021】
取引アプリケーションは、プロセッサによって実行可能にコンピュータ読み取り可能媒体に記憶されたコンピュータ読み取り可能な命令を含む。コンピュータ読み取り可能媒体には例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、プログラマブル読み出し専用メモリ、電気的プログラマブル読み出し専用メモリ、電気的消去可能読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ、これらの任意の組み合わせ、又はその他の任意の有形データ記憶デバイスなど、様々なタイプの揮発性/不揮発性の記憶媒体が含まれる。本明細書における非一時的又は有形のコンピュータ読み取り可能媒体との用語は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体の任意のタイプを含むが、伝搬信号は除外するものとして明示的に定義される。
【0022】
取引アプリケーションの1つ又は複数のコンポーネント又はモジュールは、別のコンピュータ読み取り可能媒体から、取引デバイス110のコンピュータ読み取り可能媒体にロードされてもよい。例えば、取引アプリケーション(又は取引アプリケーションのアップデート)は、製作者、開発者又は発行者によって1つ又は複数のCD又はDVD上に記憶されるものであり、取引デバイス110にその後ロードされる、又は、取引デバイス110が取引アプリケーションを読み取るためのサーバにロードされてもよい。別の例として、取引デバイス110は、サーバから、例えばインターネット又は内部ネットワークを介して取引アプリケーション(又は取引アプリケーションのアップデート)を受信してもよい。取引デバイス110は、取引デバイス110によって要求される場合に(例えば「プル配信」)、および/又は、取引デバイス110によって要求されない場合に(例えば「プッシュ配信」)、取引アプリケーション又はそのアップデートを受信してもよい。
【0023】
取引デバイス110は、注文メッセージを送信するように構成されてもよい。例えば、注文メッセージは、ゲートウェイ120を介して取引所130に送信される。別の例として、取引デバイス110は、実際の取引には影響を及ぼさないシミュレーション環境におけるシミュレートの取引所へ注文メッセージを送信するように構成される。
【0024】
注文メッセージは、ユーザの要求に応じて送信されてもよい。例えば、トレーダは取引デバイス110を利用することで、注文メッセージを送信する、又は、取引注文に関する1つ又は複数のパラメータ(例えば注文の価格および/又は数量)を手動で入力する。別の例として、取引アプリケーションが提供する自動取引ツールは、取引注文に関する1つ又は複数のパラメータを計算して注文メッセージを自動的に送信する。ある例では、自動取引ツールは、送信用のメッセージを作成するがユーザからの確認がなければ実際にはそれを送信しない。
【0025】
注文メッセージは、1つ又は複数のデータパケットにて、又は、共有のメモリシステムを介して送信される。例えば、注文メッセージは、取引デバイス110からゲートウェイ120を介して取引所130へ送信される。取引デバイス110は例えば、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、無線ネットワーク、バーチャルプライベートネットワーク、T1ライン、T3ライン、総合デジタル通信網(「ISDN」)ライン、ポイント・オブ・プレゼンス、インターネット、および/又は共有メモリシステムを使用して、ゲートウェイ120と通信する。
【0026】
ゲートウェイ120は、1つ又は複数の電子計算プラットフォームを含んでもよい。例えば、ゲートウェイ120は、1つ又は複数のデスクトップコンピュータ、ハンドヘルドデバイス、ラップトップ、サーバ、ポータブルコンピューティングデバイス、取引端末、埋め込み取引システム、シングル/マルチコアプロセッサを搭載したワークステーション、「ブラックボックス」又は「グレーボックス」などのアルゴリズム取引システム、コンピュータのクラスタ、又はそれらの任意の組み合わせとして実装されてもよい。
【0027】
ゲートウェイ120は、通信を促進するものであってもよい。例えば、ゲートウェイ120は、取引デバイス110と取引所130の間で通信されるデータのプロトコル変換を実行する。ゲートウェイ120は例えば、取引デバイス110から受信した注文メッセージを取引所130によって判別可能なデータ形式に処理する。同様に、ゲートウェイ120は例えば、取引所130から受信した取引所の固有形式による市場データを取引デバイス110によって判別可能な形式に変換する。
【0028】
ゲートウェイ120は、上述の取引アプリケーションと同様に、電子取引を促進又は向上させる取引アプリケーションを含んでもよい。例えば、ゲートウェイ120は、取引デバイス110からの注文を追跡して、当該注文のステータスを取引所130から受信した約定確認に基づいて更新する取引アプリケーションを有してもよい。別の例として、ゲートウェイ120は、取引市場130からのデータを合体してそれを取引デバイス110に提供する取引アプリケーションを有してもよい。さらに別の例では、ゲートウェイ120は、リスク処理を提供する、インプライド(implieds)を計算する、注文処理を取り扱う、市場データ処理を取り扱う、又はそれらの組み合わせを行う取引アプリケーションを含んでもよい。
【0029】
ある実施形態において、ゲートウェイ120は例えば、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、仮想プライベートネットワーク、T1ライン、T3回線、ISDN回線、ポイント・オブ・プレゼンス、インターネット、および/又は共有メモリシステムを使用して、取引所130と通信する。
【0030】
取引所130は、取引所における団体によって所有、操作、制御、又は使用されてもよい。例示的な取引所の団体には、CMEグループ、ロンドン国際金融先物オプション取引所、インターコンチネンタル取引所、およびユーレックスが含まれる。取引所130は、例えば取引所によって取引のために提供される取引可能オブジェクトの売買を可能とするように構成されたコンピュータ、サーバ又はその他のコンピューティングデバイスなどの電子マッチングシステムを含んでもよい。取引所130は、一部は取引可能オブジェクトをリスト化および/又は管理し、他は注文を受信してマッチングするような、別々の団体を有してもよい。取引所130は例えば、電子通信ネットワーク(「ECN」)を含む。
【0031】
取引所130は、電子取引所であってもよい。取引所130は、注文メッセージを受信し、取引可能オブジェクトを売買するための相対する(contra-side)取引注文のマッチングを行うように構成される。マッチングされなかった取引注文は、取引所130によって後の取引用にリスト化される。取引注文には例えば、取引デバイス110から又は取引所130と通信しているその他のデバイスから受信した取引注文を含んでもよい。例えば、取引所130は通常、マッチング対象となる取引注文を提供する様々なデバイス(取引デバイス110に類似するものであってもよい)と通信する。
【0032】
取引所130は、市場データを提供するように構成される。市場データは、1つ又は複数のメッセージ又はデータパケットにて、又は共有メモリシステムを介して提供されてもよい。取引所130は例えば、取引デバイス110又はゲートウェイ120などの契約デバイスに対してデータフィードを公開する。データフィードには、市場データが含まれる。
【0033】
システム100は、付加的な、異なる、又は、より少ない数のコンポーネントを含んでもよい。例えば、システム100は、複数の取引デバイス、ゲートウェイ、および/又は取引所を含む。別の例では、システム100は、ミドルウェア、ファイアウォール、ハブ、スイッチ、ルータ、サーバ、取引所固有の通信機器、モデム、セキュリティマネージャーおよび/又は暗号化/復号化装置など、その他の通信デバイスを含んでもよい。
【0034】
III.拡張した電子取引システムの例
図2は、ある実施形態を採用可能な別の例示的な電子取引システム200のブロック図を示す。この例では、取引デバイス210aは、ゲートウェイ220aを介して取引所230aと通信する。以下の説明では主に、取引デバイス210a、ゲートウェイ220aおよび取引所230aに焦点を当てている。しかしながら、取引デバイス210aは、取引所230nに接続された任意の数のゲートウェイ220nに接続され、通信してもよい。取引デバイス110aとその他の取引所230nとの通信は、取引デバイス210aと取引所230aとの通信と同じ、類似又は異なっていてもよい。一般的に、それぞれの取引所は、取引デバイス、ゲートウェイ、ユーザ又は別の取引所との通信用の独自の好ましい技術および/又はフォーマットを有している。
【0035】
(
図1に示す取引デバイス110と類似し得る)取引デバイス210aは、取引端末214aと通信するサーバ212aを含んでもよい。サーバ212aは、取引端末214aよりもゲートウェイ120に対して地理的に近い位置に配置されてもよい。その場合、サーバ212aは、取引端末214aよりも待ち時間のメリットを有する。運転中において、取引端末214aは、ユーザに取引画面を提供するとともに、さらなる処理のためにサーバ212aにコマンドを送信してもよい。例えば、取引アルゴリズムは、市場データに基づく実行のためにサーバ212aに展開されてもよい。サーバ212aは、ユーザからのさらなる入力なしで取引アルゴリズムを実行してもよい。別の例では、サーバ212aは、自動取引ツールを提供する取引アプリケーションを含むとともに、取引端末214aと再び通信するものであってもよい。取引デバイス210aは、付加的な、異なる、又はより少ない数のコンポーネントを含んでもよい。
【0036】
取引デバイス210aは、1つ又は複数の通信ネットワークを使用してゲートウェイ220aと通信してもよい。本明細書における通信ネットワークとは、取引デバイス210a、ゲートウェイ220aおよび取引所220aの間の通信を促進又はそれを可能にする、インターネットを含む任意のネットワークである。例えば、
図2に示すように、取引デバイス210aは、マルチキャスト通信ネットワーク202a上でゲートウェイ220aと通信する。ネットワーク202a上のデータは、項目(例えば価格、注文又は約定)に応じて論理的に分割されてもよい。その結果、サーバ212aおよび取引端末214aは、それらの個々のニーズに応じて契約し、データ(例えば価格、注文又は約定に関連するデータ)の受信を行うことができる。
【0037】
(
図1に示すゲートウェイ120と類似し得る)ゲートウェイ220aは、価格サーバ222aと、注文サーバ224aと、約定サーバ226aとを備える。ゲートウェイ220aは、付加的な、異なる、又はより少ない数のコンポーネントを含んでもよい。価格サーバ222aは、価格データの処理を行う。価格データには、1つ又は複数の取引可能オブジェクトのための市場に関連するデータが含まれる。注文サーバ224aは、注文データを処理してもよい。注文データは、ユーザの取引注文に関連するデータである。例えば、注文データには、注文メッセージ、確認メッセージ、又はその他のタイプのメッセージが含まれてもよい。約定サーバは、約定データを収集および提供する。約定データには、取引注文の1つ又は複数の約定に関連するデータが含まれる。例えば、約定サーバ226aは、サーバ224aを介してルーティングされた、約定済み又は未約定の取引注文の記録を提供する。サーバ222a、224a、226aは、同じ機械又は別の機械で実行されてもよい。
【0038】
ゲートウェイ220aは、1つ又は複数の通信ネットワークを使用して取引所230aと通信する。
図2に示すように、例えば、ゲートウェイ220aと取引所230aを接続する2つの通信ネットワークが存在してもよい。ネットワーク204aは、価格サーバ222aに市場データを通信するために使用されてもよい。ある例では、取引所230aは、このような市場データを、契約デバイスに公開されたデータフィード内に含む。ネットワーク206aは、注文データを通信するために使用されてもよい。
【0039】
(
図1に示す取引所130と類似し得る)取引所230aは、注文ブック232aと、マッチングエンジン234aとを備える。取引所230aは、付加的な、異なる、又はより少ない数のコンポーネントを含んでもよい。注文ブック232aは、マッチングされていない取引注文の数量に関連するデータを含んだデータベースである。例えば、注文ブックは、内部市場、様々な価格レベルの市場深度、最終取引価格、および最終取引数量など、取引可能オブジェクトのための市場に関連するデータを含む。マッチングエンジン234aは、相対するビッドとオファーをマッチングする。例えば、マッチングエンジン234aは、相対するビッドとオファーをマッチングする1つ又は複数のマッチングアルゴリズムを実行してもよい。売り注文は、同じ価格の買い注文と相対する注文である。同様に、買い注文は、同じ価格の売り注文に相対する注文である。
【0040】
動作中において、取引所230aは、注文ブック232aから価格サーバ222aに価格データを提供するとともに、マッチングエンジン234aから注文サーバ224aに注文データおよび/又は約定データを提供してもよい。サーバ222a、224a、226aは、これらのデータを翻訳して、取引デバイス210aに通信して戻すようにしてもよい。取引デバイス210aは例えば、取引アプリケーションを使用してこのデータを処理する。データは例えば、ユーザに表示される。別の例では、取引アルゴリズムがデータを利用して、取引所230aに取引注文を提出すべきかどうかを決定する。取引デバイス210aは、注文メッセージを準備し取引所230aに送信してもよい。
【0041】
ある実施形態では、ゲートウェイ220aは、取引デバイス210aの一部である。例えば、ゲートウェイ220aのコンポーネントは、取引デバイス210aと同じ計算プラットフォームの一部であってもよい。別の例として、ゲートウェイ220aの機能は、取引デバイス210aのコンポーネントによって実行されてもよい。ある実施形態では、ゲートウェイ220aは存在しない。このような構成は例えば、取引デバイス210aが取引所230aと通信するためにゲートウェイ220aを利用する必要がない場合に生じる。それは例えば、取引デバイス210aが取引所230aと直接通信するように構成される場合である。
【0042】
取引デバイス210aに類似する付加的な取引デバイス210b−210nが、ゲートウェイ220a−220nおよび取引所230a−230nの1つ又は複数に接続されてもよい。また、ゲートウェイ220aに類似する付加的なゲートウェイが、取引所230aに類似する複数の取引所と通信してもよい。それぞれのゲートウェイは例えば、1つ又は複数の異なる取引所と通信する。このような構成によれば、例えば、1つ又は複数の取引デバイス210aは、複数の取引所と取引することができる(および/又は、複数の取引所に冗長接続を提供することができる)。
【0043】
IV.コンピューティングデバイスの例示
図3は、開示される実施形態を実施するために使用可能な例示的なコンピューティングデバイス300のブロック図を示す。
図1の取引デバイス110は、例えば、1つ又は複数のコンピューティングデバイス300を含む。
図1のゲートウェイ120は、例えば、1つ又は複数のコンピューティングデバイス300を含む。
図1の取引所130は、例えば、1つ又は複数のコンピューティングデバイス300を含む。コンピューティングデバイス300は、付加的な、異なる、又はより少ない数のコンポーネントを含んでもよい。
【0044】
コンピューティングデバイス300は、通信ネットワーク310と、プロセッサ312と、メモリ314と、インタフェース316と、入力デバイス318と、出力デバイス320とを含む。コンピューティングデバイス200は、付加的な、異なる、又はより少ない数のコンポーネントを含んでもよい。例えば、複数の通信ネットワーク、複数のプロセッサ、複数のメモリ、複数のインタフェース、複数の入力デバイス、複数の出力デバイス、又はそれらの任意の組み合わせが設けられてもよい。別の例として、コンピューティングデバイス300は、入力デバイス318や出力デバイス320を含まなくてもよい。
【0045】
図3に示すように、コンピューティングデバイス300は、通信ネットワーク310に接続されたプロセッサ312を含む。通信ネットワーク310は、コンピューティングデバイス300内のコンポーネント間におけるデータ通信のために、通信バス、チャネル、ネットワーク、回路、スイッチ、ファブリック、又はその他の機構を含んでもよい。通信ネットワーク310は、コンピューティングデバイス300内における任意のコンポーネント間での通信を可能に接続され、データを転送する。
【0046】
プロセッサ312は、任意の適切なプロセッサ、処理ユニット、又はマイクロプロセッサであってもよい。プロセッサ312には例えば、1つ又は複数の一般的なプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、アナログ回路、デジタル回路、プログラムされたプロセッサ、および/又はそれらの組合せが含まれる。プロセッサ312は、ネットワーク又は分散処理に関連付けられた1つ又は複数のデバイスのような、単一のデバイス又はデバイスの組み合わせであってもよい。任意の処理ストラテジーとしては、多重プロセッシング、マルチタスキング、並列処理および/又はリモート処理を使用してもよい。処理は、ローカル又はリモートであってもよく、また、1つのプロセッサから別のプロセッサへ移動してもよい。ある実施形態では、コンピューティングデバイス300は、マルチプロセッサシステムであり、通信ネットワーク310に通信可能に接続される1つ又は複数の付加的なプロセッサを含み得る。
【0047】
プロセッサ312は、メモリ314のような1つ又は複数の有形媒体内にエンコードされたロジックやその他のコンピュータ読み取り可能な命令を実行するように動作可能であってもよい。本明細書で使用される1つ又は複数の有体媒体にエンコードされたロジックには、プロセッサ312又は異なるプロセッサによって実行可能な命令が含まれる。ロジックは、例えば、ソフトウェア、ハードウェア、集積回路、ファームウェア、および/又はマイクロコードの一部として記憶されてもよい。ロジックは、ネットワーク340などの通信ネットワークを介して外部の通信デバイスから受信されてもよい。プロセッサ312は、図面に示された又は本明細書に記載された機能、動作、又はタスクを実現するためのロジックを実行してもよい。
【0048】
メモリ314は、例えば、コンピュータ読み取り可能記憶媒体のような1つ又は複数の有形媒体であってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、プログラマブル読み出し専用メモリ、電気的プログラマブル読み出し専用メモリ、電気的消去可能読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ、これらの任意の組み合わせ、又はその他の任意の有形データ記憶デバイスを含む、様々なタイプの揮発性および不揮発性の記憶媒体が含まれてもよい。本明細書で使用する非一時的又は有形のコンピュータ読み取り可能媒体は、任意のタイプのコンピュータ読み取り可能媒体を含むが伝搬信号を除外するものとして明示的に定義される。メモリ314には、ハードディスクドライブ、光学メディア、磁気テープ又はディスクなどを含む、任意の所望のタイプの大容量記憶デバイスが含まれる。
【0049】
メモリ314は、1つ又は複数のメモリデバイスを含んでもよい。例えば、メモリ314には、ローカルメモリ、大容量記憶デバイス、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又はそれらの組み合わせが含まれてもよい。メモリ314は、遠隔プロセッサ312に対して、その近傍に配置され、その一部として設けられ、それにプログラムされ、それとネットワーク化され、および/又はそれからリモートな場所にあってもよく、これより、メモリ314に記憶されたデータは、例えば、プロセッサ312によって読みだされて処理されてもよい。メモリ314は、プロセッサ312によって実行可能な命令を記憶してもよい。命令は、本明細書に記載された又は図面に示された動作又は機能の1つ又は複数を実現するように実行されてもよい。
【0050】
メモリ314は、取引アプリケーション330を記憶してもよい。ある実施形態では、取引アプリケーション330は、異なる場所からアクセス可能である、又は異なる場所に記憶される。プロセッサ312は、メモリ314に記憶された取引アプリケーション330にアクセスして、取引アプリケーション330に含まれるコンピュータ読み取り可能命令を実行してもよい。
【0051】
ある実施形態では、インストールプロセスの間に、取引アプリケーションが、入力デバイス318および/又はネットワーク340からメモリ314に転送されてもよい。コンピューティングデバイス300が取引アプリケーション330を実行中、又は実行する準備をしているとき、プロセッサ312は、通信ネットワーク310を介してメモリ314から命令を読みだしてもよい。
【0052】
V.注文エントリとマッチングに関するインターバルの例示
図4は、例示的なタイミング
図400を示す。ここでは、電子取引所が取引注文を受信して、取引注文のマッチングを行う。図示の例では、
図1の例示的な電子取引所130などの電子取引所は、注文エントリインターバルおよびそれに対応するマッチング/調整インターバルを期間に基づいて認識する。ある例では、注文エントリインターバルおよび/又はマッチング/調整インターバルは、ボリュームに基づくものであってもよい。例えば、ボリュームベースの注文エントリインターバルは、所定数の注文が受信されるまで終了しない。
図5、
図6に関連して以下で説明するように、価格フィード情報は、オープンなエントリインターバルおよびマッチング/調整インターバルに対応するインターバルで公開されてもよい。例えば、注文ブックは、注文エントリインターバルの終了時に更新され(これにより処理能力の要件および「ゲーム的操作」の機会が減少する)、マッチングインターバルの終了時に更新され、その他のいくつかの時間インターバルに基づいて更新され、又は、電子取引所130によって注文が確認されるときに継続的に更新されてもよい。言い換えれば、それぞれの取引注文の受信時に処理する代わりに、電子取引所130は、注文エントリインターバルの間に受信した取引注文を収集し、収集した取引注文を注文エントリインターバルが終了したときに処理する。
【0053】
図示の例では、タイミング
図400における第1注文エントリ時間インターバルOE
1は、時刻t
0で開始し、時刻t
1まで続く。注文エントリインターバルとは、電子取引所で取引注文が入力又は受信される期間のインターバルのことであり、時間間隔を使用して当該インターバルの継続時間が決定される。例えば、オープン入力時間インターバルは、1秒間であってもよい。
【0054】
注文エントリ時間インターバルは、同じ時間の長さであってもよいし、その長さが変化するものでもよい。例えば、時間インターバルは、規制要件によって定義される、時刻に基づいてその長さが変化する、電子取引所が市場開場および/又は市場閉場までどれほど近いかに基づいて異なる、あるいは、市場の流動性(例えば、市場の盛衰)および/又はその他の基準に基づいて変化するものであってもよい。付加的又は代替的に、電子取引所は、時間インターバルの継続時間をランダム化してもよい。そうすることにより、電子取引所は、トレーダによるシステムの「ゲーム的操作」(例えば、注文を入力した後、注文エントリ時間インターバルの「最後の瞬間」で取引注文を削減/低減すること)の確率を減少させる。
【0055】
図4に示す例では、注文エントリ時間インターバルは連続している。例えば、第2注文エントリ時間インターバルOE
2は、第1注文エントリ時間インターバルOE
1の終了時である時刻t1の直後に開始する。あるいは、注文エントリ時間インターバルは、非連続であってもよい。例えば、2つの注文エントリ時間インターバル(すなわち、注文エントリ時間インターバルOE
1と注文エントリ時間インターバルOE
2)の間、取引注文は、電子取引所によって受け付けられないようにしてもよい。
【0056】
マッチング/調整インターバルは、対応する注文エントリインターバルの間に受信した取引注文を電子取引所が処理する期間のインターバルである。マッチング/調整インターバルは、対応する注文エントリインターバルの終了後のどこかで始まる。例えば、マッチング/調整時間インターバルMC
1(例えば、時刻t
1から時刻t
2までの期間)は、注文エントリ時間インターバルOE
1に対応し、注文エントリ時間インターバルOE
1が終了する時刻t
1から開始する。これより、注文エントリ時間インターバルOE
1の間に受信された取引注文は、対応するマッチング/調整時間インターバルMC
1の間に電子取引所によって処理される。
【0057】
さらに、マッチング/調整インターバルの間に、調整操作を行う。調整操作とは、電子取引所のマッチングエンジンが複数の他のマッチングエンジンにおけるあるマッチングエンジン(例えば、
図2のマッチングエンジン234a)と直接的又は非直接的に通信して調整を行い、その調整した注文のマッチングを達成するものである。
図7に関連して以下でより詳細に説明するように、マッチングインターバルは、調整インターバルと異なる長さのもの、および/又は、独立したものであってもよい。
【0058】
図4に示す例では、注文エントリインターバルは、その前に終了した注文エントリインターバルに対応するマッチングインターバルと重なっている。例えば、第2注文エントリ時間インターバルOE
2(すなわち、時刻t
1から時刻t
3までの期間)は、第1マッチング時間インターバルMC
1と重なっている。あるいは、次の注文エントリ時間インターバルは、その前の入力時間インターバルに対応するマッチング時間インターバルが終了する時に開始する。このような実施形態において例えば、注文エントリ時間インターバルOE
2は、マッチング時間インターバルMC
1が時刻t
2で終了するまで、開始されなくてもよい。
【0059】
マッチングインターバルとは、トレーダ(又はトレーダに代わるプログラム若しくはオペレーティングシステム)から受信した注文のマッチングを電子取引所が行う期間を表す。しかしながら、電子取引所は、マッチングインターバル外における取引注文の他の態様を処理および/又は応答することも可能である。例えば、取引注文は、マッチングインターバルと重複しない注文エントリインターバルのいずれかの部分の間に(電子取引所の規則に従って)入力、変更又は削除されてもよい。このようなある例では、電子取引所は、注文エントリインターバル中における取引注文の受領に関するアクノリッジメントおよび/又は当該注文の受領、修正、削除が正常に行われたことに関するアクノリッジメントを送信する。
【0060】
取引注文は、様々な技術を使用して変更や削除される、又は、変更/削除に関する制限を受ける場合がある。ある例では、取引注文は、マッチングインターバルの間を除いて注文エントリインターバル中にいつでも変更又は削除されてもよい。いくつかのそのような例では、取引注文は、受信されても、約定されたために処理/確認は行われず、マッチングインターバルの終了時には利用できない場合がある。あるいは、マッチングインターバルが終了するまで、マッチングインターバル中に受信した取引注文の修正/削除が保留される。
【0061】
ある例では、取引注文が電子取引所によって受信されると、電子取引所は、同じインターバルの間に当該取引注文の修正や削除ができないようにする。例えば、注文エントリ時間インターバルOE
1の間に受信した取引注文は、少なくとも注文エントリ時間インターバルOE
2が開始するまでは変更又は削除を行うことができない。取引注文の修正に関するこれらの制限により、トレーダによるシステムの「ゲーム的操作」の試みを防止する。例えば、トレーダは、大きな取引注文を出した後に(それによって取引可能オブジェクトの内部市場に影響を与えた後に)、当該取引注文を削除/キャンセルすることができないようにされる。その結果、約定するつもりのないトレーダの注文を抑止することができる。
【0062】
ある例では、取引注文は、同一の注文エントリインターバル中には削除することができない。しかしながら、同じ注文エントリインターバル中であっても、内部市場を向上させる取引注文の修正は許可されるようにしてもよい。例えば、数量を増やす、あるいは価格レベルを良くすることを含む取引注文の修正が、同じ注文エントリインターバルの間に許可されてもよい。内部市場に対してマイナスの影響を及ぼす取引注文の修正(例えば、数量を減らす、あるいは、価格を悪化させる等)が受信/確認されないようにしてもよい。しかしながら、ある例では、これらの取引注文の修正は、次の注文エントリインターバル中に受け付けられることが可能となる。
【0063】
ある例では、これらの例の任意の組み合わせが可能である。ある例では、様々な取引注文の修正の制限が、同じ注文エントリインターバルよりも長く持続する。例えば、内部市場にマイナスの影響を及ぼす取引注文の修正が、複数の注文エントリインターバルにおいて受理されない場合がある。例えば、トレーダは、3つの注文エントリインターバルにおいて取引注文を削除することができない。
【0064】
ある例では、電子取引所は、異なる時間においておよび/又は異なるメカニズムを介して価格フィードや市場データを配信する。本明細書で使用される価格フィードには、最終取引価格や、最終取引数量や、市場深度に関する市場情報(例えば、ベストビッドやベストオファーの価格および/又はそれとは異なる場合の価格における、取引注文の存在および/又はその数量)および/又は取引可能オブジェクト、取引注文若しくは電子取引所のオペレーションに関するその他の市場情報(例えば、制限、規則、手数料、時間など)や、理論的指標、新たなアイテム若しくはその他の指標といった関連市場情報など、複数の市場データが含まれる。
【0065】
VI.注文エントリインターバル、マッチングインターバルおよび価格フィードインターバルの例示
図5は、
図4に関連して説明したような注文エントリインターバルおよびマッチングインターバルと、価格フィードインターバルをさらに含んだ例示的なタイミング
図500を示す。タイミング
図500は、クラス/タイプが単一の価格フィードインターバルを示す。しかしながら、価格フィードインターバルの異なるクラスに関連する複数の異なる価格フィード情報が存在してもよい。さらに、明確化のために、価格フィードインターバルのそれぞれの終了時点が示されている。例えば、注文エントリ時間インターバルOE
2と重複するのは、例示的な価格フィード時間インターバルPF
2.1、PF
2.2、PF
2.3、PF
2.4−PF
2.Lである。前に記載される添字2は、価格フィード時間インターバルが注文エントリ時間インターバルOE
2に関連付することを意味する。ドット後の添字は、注文エントリ時間インターバル(例えば、注文エントリ時間インターバルOE
2)内における連続する価格フィード時間インターバルの順番を表す。したがって、添字2.1は、注文エントリ時間インターバルOE
2内の最初の価格フィード時間インターバルの終了を表す。添字2.2は、注文エントリ時間インターバルOE
2内における第2価格フィード時間インターバルの終了を表す。注文エントリ時間インターバルOE
2における最後の価格フィード時間インターバルの終了は、添字2.Lとして表される(Lは「最後」を意味する)。
【0066】
図示の例では、価格フィードインターバルは連続している。例えば、価格フィード時間インターバルPF
2.2は、価格フィード時間インターバルPF
2.1の終了時に開始される。さらに、
図5に示される例においては、マッチングインターバル中に終了する価格フィードインターバルは存在しない。例えば、最後の価格フィードインターバルは、対応するマッチングインターバルの開始時に終了し、当該マッチングインターバルの終了時から始まる。別の例では、価格フィード情報は、複数の注文エントリインターバルおよびマッチング/調整インターバルにわたって継続的に公開される。あるいは、価格フィード情報は、マッチングインターバル中に公開される。いくつかのそのような例では、価格フィード情報は、マッチングインターバル中における電子取引所のマッチングエンジンの注文ブックの変更を反映する。また、公開された価格フィード情報は、直近の注文エントリインターバルおよび/又はマッチングインターバルの間にどの価格フィード情報が受信されたかを特定する。あるいは、価格フィード情報は、マッチングインターバル中の変更を反映しなくてもよい。
【0067】
ある例では、1つの注文エントリインターバルの間に1つの価格フィードが公開される(例えば、注文エントリ時間インターバルごとに価格フィード時間インターバルが1つ)。いくつかのそのような例では、価格フィードは、注文エントリインターバルにおける異なる時点で公開される。例えば、価格フィード情報は、対応する注文エントリインターバルの終了時に公開されてもよい。この価格フィード情報は、電子取引所のマッチングエンジン(
図2のマッチングエンジン234a)の注文ブックに残っている注文を反映している。さらに、価格フィード情報は、注文エントリインターバル中に受信したトレーダの注文を反映してもよい。例えば、価格フィード情報は、注文エントリ時間インターバルOE
2の終了時(例えば、時刻t
10)に公開される。この価格フィード情報は、残存する取引注文と、注文エントリ時間インターバルOE
2の間に受信した新たな取引注文とを反映する。
【0068】
ある例では、価格フィード情報は、先行する注文エントリインターバルに対応するマッチングインターバルの終了時に公開される。この価格フィード情報は、先行するマッチングインターバルの終了時における電子取引所のマッチングエンジン(
図2のマッチングエンジン234a)の注文ブックに残っている取引注文を反映するとともに、当該マッチングインターバルの間に受信した取引注文を含んでもよい。例えば、価格フィード情報は、マッチング時間インターバルMC
1の終了時(例えば、時刻t
6)に公開される。この価格フィード情報は、残っている取引注文を反映するとともに、マッチング時間インターバルMC
1の間(例えば、時刻t
5から時刻t
6まで)に受信した取引注文を含み得る。
【0069】
ある例では、注文エントリインターバルの中に複数の価格フィードインターバルが含まれてもよい。いくつかのそのような例では、1つの注文エントリインターバルにおいて価格フィードインターバルの数や長さが変化してもよい。例えば、第1価格フィードインターバルは、注文エントリインターバルの終了時に終了し、第2価格フィードインターバルは、対応するマッチングインターバルの終了時に終了してもよい。ある例では、ほぼ同じインターバル時間を有する複数の価格フィードインターバルが、対応する注文エントリインターバルにわたって価格フィード情報を公表する。ある例では、価格フィード情報は、重複するマッチングインターバル中に公開される。いくつかのそのような例では、公開される価格フィード情報は、マッチングインターバル中に生じた電子取引所のマッチングエンジンの注文ブックの変更を反映する。ある例では、公開される価格フィード情報は、マッチングインターバル中に生じた電子取引所のマッチングエンジンの注文ブックの変更を反映しない。
【0070】
ある例では、価格フィードインターバルは、異なるクラスおよび/又は組の市場情報データに基づいて変化する。例えば、価格フィードインターバルの期間は、内部市場の価格レベル又はその他の価格レベルで受信された取引注文の数量に依存してもよい。付加的におよび/又は代替的に、価格フィードインターバルの継続時間は、内部市場に関する新たな価格レベルを受信すること(例えば、受信した取引注文がより低いレベルの新たなベストオファーであったとき)に依存してもよい。
【0071】
ある例では、取引注文の修正に関する制限が適用されるときに、公開される価格フィード情報は例えば、現在の注文エントリインターバル中において複数の価格レベルのうちのどの数量が変更することができないかを反映する。ある例では、
図4に示す注文エントリインターバルとマッチングインターバルに関連して説明した組合せを適用してもよい。
【0072】
VII.注文エントリインターバル、マッチングインターバル、価格フィードインターバルおよび注文エントリサブインターバルの例示
図6は、
図5に関連して上述した注文エントリインターバル、マッチングエントリインターバルおよび価格フィードインターバルを含む例示的なタイミング
図600を示す図である。タイミング
図600は、ドット付きの添字によって特定される注文エントリサブインターバルを含む。例示的な注文エントリインターバルは、1つ又は複数の注文エントリサブインターバルを含んでもよい。注文エントリ時間インターバルOE
1における例示的な注文エントリ時間サブインターバルは、OE
1.1、OE
1.2〜OE
1.Lと表記されており、ここでの添字1〜Lは、注文エントリ時間インターバルOE
1内におけるそれぞれの注文エントリ時間サブインターバルを示す。
【0073】
図6に示す例では、同じ注文エントリサブインターバル中に受信した全ての取引注文はともにグループ化され、電子取引所から同じ識別子が共通して付される。これにより、所定の注文エントリインターバルの間に受信したそれぞれの取引注文について、エントリインターバルと入力サブインターバルに関連して識別することができる。例えば、注文エントリ時間サブインターバルOE
1.2の間に受信した全ての取引注文は、同じタイムスタンプが埋め込まれる(例えば、付記又はプリペンドされる)、これにより、マッチングに関する電子取引所からのプロセスは同じ優先順位を受ける。その結果、より早く動くというトレーダの終わりなき競争を大幅に低減することができる。例えば、トレーダの技術的インフラが、情報の受信に関して十分に速い場合、取引の決定に関して十分に速い場合、あるいは、注文エントリサブインターバルの間に電子取引所に取引注文を通信して電子取引所でそれが受け取られることに関して十分に速い場合、トレーダの技術インフラをより速くするというインセンティブはなくなる。
【0074】
技術インフラを少しでも速くするために継続的に更新する利点がなくなることで、電子取引所が恩恵を受けるだけでなく、より多くのトレーダを参加可能とすることができる。例えば、電子取引所の技術インフラは、継続的に更新する必要がないことで、その更新に掛かる費用を低減することができる。さらに、ミリ秒の範囲からマイクロ秒/ナノ秒あるいは(可能性としては)ピコ秒の範囲までより速い動きが継続的に求められる場合には、取引量が多くなることにはつながらない。例えば、動きの範囲がさらに速く細かくなり続けると、多くのトレーダが技術インフラの更新に対して余裕がなくなるため、全体的な取引注文の参加が低下してしまう。これより、技術インフラを継続的に更新する利点を低減することで、多くのトレーダにとって取引が身近なものとなる。
【0075】
ある例では、取引注文の修正に関して制限が適用され、その制限が例えば、同じ(又は複数の)注文エントリサブインターバルに適用される場合がある。ある例では、
図4の注文エントリインターバルとマッチングインターバルに関連して説明した組合せが適用される場合がある。ある例では、
図5の注文エントリインターバル、マッチングインターバルおよび価格フィードインターバルに関連して説明した様々な組合せが適用される場合がある。
【0076】
一般的に、注文エントリインターバルの継続時間は例えば、開示される実施形態のそれぞれに関して、例えば、電子取引所で定義された規則、1つ又は複数の規制要件、時刻、市場開場および/又は市場閉場までどれほど近いか、市場の流動性(例えば、市場の盛衰)および/又はその他の基準に基づいて、変化し得る。
【0077】
ある例では、異なるインターバル(例えば、注文エントリインターバル、マッチングインターバル、価格フィードインターバルおよび/又は注文エントリサブインターバル)が、異なる基準によって決定される。例えば、注文エントリ時間インターバルの継続時間は、同じ製品又は契約に関する取引注文の現在の平均到着時間間隔に同等な長さとして選択されてもよく、マッチング時間インターバルの継続時間は、注文エントリ時間インターバルの一部となるように選択されてもよく、価格フィード時間インターバルの継続時間は、注文エントリ時間インターバルと同じ長さであってもよく、さらにはマッチング時間インターバルの終了に対して発行されてもよく、注文エントリ時間サブインターバルの継続時間は、同じ製品又は契約に関する取引注文の平均到着時間時間よりも例えば標準偏差で1小さいものであってもよい。時間インターバルの絶対桁数は、下限については、マイクロ秒(10
-6秒)、ナノ秒(10
-9秒)又はフェムト秒(10
-15秒)で、上限については、キロ秒(10
3秒あるいは約16.67分)又はメガ秒(10
6秒あるいは約11.57日)で測定してもよい。ある例では、時間インターバルの絶対桁数は、実質的に同一であってもよい。ある例では、時間インターバルの絶対桁数は、取引セッションにわたって実質的に異なっていてもよい。
【0078】
ある例では、インターバルの継続時間は、ボリューム情報に基づいてもよい。例えば、複数の数の取引注文が入力されると、注文エントリインターバルが終了する。ある例では、注文の数(又は閾値)は、取引セッションを通じて変化する。例えば、閾値は、取引セッションの開始時および/又は終了時などの活動の盛んな期間において増加する。ある例では、インターバルの継続時間は、基準の組み合わせに依存する。例えば、所定時間の経過によりあるいは複数の取引が入力されたときに、インターバルが終了する。
【0079】
図4−
図6に図示される例では、マッチングインターバルの継続時間は、注文エントリインターバルの継続時間よりも短い。あるいは、マッチングインターバルの継続時間は、注文エントリインターバルの継続時間に等しくてもよい。いずれの場合も、マッチングインターバルの継続時間を注文エントリインターバルの継続時間よりも長くすることは得策でない。
【0080】
図5、
図6に図示される例では、タイミング図は、価格フィードインターバルを含む。しかしながら、価格フィードインターバルを含めないことも可能である。例えば、「ダークプール」は、取引セッションの少なくとも一部の間において価格フィード情報を公開しない。複数の価格フィードインターバルが含まれる場合、当該インターバルは等しい継続時間でなくてもよい。例えば、上述のように、マッチングインターバルの間に価格フィード/市場情報データを公開することが好ましくない場合がある。よって、価格フィードインターバルの継続時間を延長する(例えば、長く設定する)ことで、マッチングインターバルの間に価格フィードインターバルが終了することを防ぐようにしてもよい。ある例では、注文エントリサブインターバルの継続時間は、価格フィードインターバルの継続時間よりも短い又は等しい。ある例では、現在と将来のインターバルの継続時間に関する情報および/又はインターバルの変化に関する情報が、トレーダによって受信される市場情報データに含まれる。
【0081】
上述のように、電子取引所でのインターバルの継続時間は、取引セッションを通じて異なる場合がある。例えば、電子取引所は、市場開場および/又は市場閉場までどれほど近いかに基づいてインターバルを変更する。例えば、市場閉場から次の市場開場までの期間は、1つの長いオープンエントリインターバルとみなしてもよい。このオープンエントリインターバルの後は、次の市場開場又はその近傍にマッチングインターバルが存在してもよい。ある例では、この長いオープンエントリインターバル中に受信された取引注文は、単一の注文エントリサブインターバルを含む。その結果、受信した取引注文は、同じ識別子(例えばタイムスタンプ)が埋め込まれ、従来の電子取引所のプレ注文期間と同様に処理される。
【0082】
ある例では、電子取引所は、測定される市場の流動性に基づいてインターバルの継続時間を変化させる。例えば、注文エントリインターバルの継続時間は、市場流動性の深刻度に依存するファクタに基づいて一日の間に徐々に増加してもよい。市場流動性が低下したとき(例えば「静まる(died down)」、「平坦化する(smoothed out)」など)、又は「通常」の市場を反映し始めたとき、注文エントリインターバルは徐々に減少し、例えば、電子取引所でプリセットされたインターバルまで減少する。その結果、従来の電子取引所で発生する取引の一時停止や市場の停止を誘発するよりもむしろ、このような順応性インターバルが穏やかなブレーキ機構として機能する。
【0083】
図7は、取引セッションにおいて、相対する注文のマッチングを行う例示的な方法又はプロセス700のフロー図を示す。ブロック702において、電子取引所にて注文エントリインターバルが開始される。このオープンエントリインターバルは、最初のオープンエントリインターバルであってもよく(例えば、電子取引所の開場の近傍など)、取引セッション中であってもよい。ブロック704において、電子取引所は、取引注文を例えばトレーダから受ける。ブロック706において、電子取引所は、オープンエントリインターバルが終了したか否かを判定する。オープンエントリインターバルの継続時間は、取引セッションを通じて固定されてもよいし、市況に応じて変化してもよい。オープンエントリインターバルが終了していない場合には、電子取引所は、さらなる取引注文を受信するように戻る。ある例では、注文エントリインターバルは、複数の注文エントリサブインターバルを含む。いくつかのそのような例では、同じ注文エントリインターバル中に受信された取引注文は、同一の識別子(例えば、タイムスタンプ)が埋め込まれる。サブインターバルを用いる例では、電子取引所は、注文エントリインターバルの終了を判定するときと同様の方法により、サブインターバルが終了したか否かを判定する。
【0084】
オープンエントリインターバルが終了していた場合(例えば、時間が経過したか、あるいは所定の数の取引が入力されたとき)には、ブロック708において、対応するマッチングインターバルが開始される。ある例では、マッチングインターバルは、新たなオープンエントリインターバルと重なっている。いくつかの他の例では、電子取引所は、マッチングインターバルの間に取引注文を受信しない、あるいは、受信はするが後になるまで取引注文のアクノリッジメントを行わない、あるいは、受信してさらに将来的な注文ブックへの追加のための待ち行列に注文が含められたという情報を伴うアクノリッジメントを行ってもよい。ブロック710において、マッチングのために取引注文が選択される。ある例では、電子取引所は、取引注文をランダムに選択する。いくつかの他の例では、取引注文は、市況に基づくおよび/又は取引注文のマッチングに関する以前の試みに基づく、マッチングの優先順位を有する。ブロック712において、電子取引所は、取引注文のマッチングを試みる。例えば、電子取引所は、相対する買いと売りのマッチングを試みる。売り注文は、同じ価格又は同じ数量の買い注文に相対する。同様に、買い注文は、同じ価格又は同じ数量の売り注文に相対する。ある例では、電子取引所は、取引注文とそれに相対する取引注文とのマッチングを成功させる。ある例では、取引注文は、マッチングインターバルの間にマッチングが完了しない。ブロック714において、電子取引所は、マッチングインターバルが終了したか否かを判定する。オープンエントリインターバルと同様に、マッチングインターバルは、固定の期間であってもよいし、取引セッションを通じて異なる期間であってもよい。マッチングインターバルが終了していなかった場合には、電子取引所は、ブロック710に戻り、取引注文を選択してマッチングを行う。逆に、マッチングインターバルが終了していた場合には、ブロック716において、電子取引所は、注文ブックを更新する。例えば、電子取引所は、マッチングが完了しなかった取引注文の数量に関連するデータを記録する。ある例では、電子取引所は、マッチングインターバルの終了時において未マッチングの取引注文を削除/キャンセルする。いくつかの他の例では、電子取引所は、未マッチングの取引注文に関して、次のマッチングインターバルにおけるマッチング優先度を高める。
【0085】
VIII.調整インターバルの例
図4に関連して上述したように、マッチング/調整インターバルの間に調整操作が実行されてもよい。調整操作には、ある電子取引所のマッチングエンジンが複数の他の電子取引所の複数のマッチングエンジンと通信して調整を行うことで、調整用注文のマッチングを完成させることが含まれる。複数の電子取引所のマッチングエンジンは、互いに直接的および/又は間接的に通信してもよい。調整用注文とは、異なるマッチングエンジンによって少なくとも1つが制御される複数の取引可能オブジェクトを含んだ取引注文のことである。言い換えれば、少なくとも2つの別個のマッチングエンジンが、調整用注文のマッチングに関与してもよい。例示的なマッチングエンジンとしては、同じ電子取引所が有する異なる市場用のものであってもよいし、複数の異なる電子取引所における複数の市場用のものであってよい。
【0086】
調整用注文は、異なるメカニズムにより実行されてもよい。例えば、クロス交換スプレッド注文は、調整用注文の一例である。スプレッド取引は、取引可能オブジェクト間の関係の動きの変化から利益を得ようとするものである。スプレッド注文の一部として取引される取引可能オブジェクトのそれぞれは、レッグやアウトライトマーケットなどと称される。単一の電子取引所が関連する取引所取引(exchange-traded)のスプレッドと同様に、クロス交換スプレッド注文は、2つの異なるマッチングエンジン/電子取引所からの取引可能オブジェクトを含む。その結果、対応する合成スプレッド注文を取引する場合と比べて、レッグされる危険性(例えば、所望の戦略価格を達成するために約定されたオフセット/ヘッジ注文を持たない危険性)が減少する。その後に行われるリスク管理および取引証拠金の計算において、トレーダやトレーダの代わりに動作するシステムによって独立して提出され管理されなければならないであろう個々の注文と比較して、調整用注文の方が提出および実行に潜在するリスクは小さいことが考慮されてもよい。
【0087】
IFF(IFとonly IF)注文は、調整用注文の別の例である。IFF注文では、ある価格およびある数量の異なる取引可能オブジェクトに関する少なくとも2つの取引注文が特定されており、当該取引注文のマッチングは、対応する全てのコンポーネント注文がマッチング可能な場合、又は、そのような場合のみに行われる。
【0088】
単一のマッチングエンジンでは、調整用注文のマッチング操作を実行することができない。本質的に、調整用注文は、異なるマッチングエンジン/電子取引所にて制御および/又は取引される少なくとも2つの取引可能オブジェクトを含むためである。このように、(少なくとも)2つのマッチングエンジン間のマッチング操作を完了するために調整操作が行われる。
【0089】
調整注文を処理することの利点は、取引注文のマッチングの可能性が増加することである。調整用注文を使用することで、トレーダは、それぞれが異なる電子取引所で処理される取引注文の組み合わせを所望の価格で得られることを確保することができる。反対に、トレーダが調整用注文を使用しなかった場合には、所望の価格で取引注文の1つのレッグが得られるのみで、その他のレッグに関しては価格がマイナス側に変更され、トレーダにとっては価値がなくなるという可能性がある。
【0090】
マッチングインターバルと同様に、調整インターバルは注文エントリインターバルと重複してもよい。ある例では、注文エントリインターバルと調整インターバルは互いに重複しない。例えば、注文エントリインターバルは、前の注文エントリインターバルに対応する調整インターバルの終了時に開始される。
【0091】
ある例では、調整インターバルは、マッチングインターバルと区別される。例えば、
図4のマッチング/調整時間インターバルMC
1は、調整操作が実行される第1時間サブインターバルを含む。例示的なマッチング/調整時間インターバルMC
1も、マッチング操作が行われる第2時間サブインターバルを含む。あるいは、ある例では、マッチング操作は第1時間サブインターバルの間に実行され、調整操作は第2時間サブインターバルの間に行われる。ある例では、マッチングインターバルはいずれの注文エントリインターバルとも重ならない一方、調整インターバルは注文エントリインターバルと重なる。
【0092】
ある例では、マッチングインターバルとマッチング/調整インターバル(例えば、別々のサブインターバル又は重複したインターバルなど)は、取引セッションにおいて交互であってもよい。例えば、全ての注文エントリインターバルが、対応する調整インターバルを含む必要はない。このことは、不要な調整操作/時間インターバルにおける処理能力の浪費を減少させるのに有用である。ある例では、マッチングインターバルとマッチング/調整インターバルは、取引セッションの期間中において交互になっていてもよい。例えば、偶数番目の注文エントリインターバルは対応するマッチング/調整インターバルを含む一方、奇数番目の注文エントリインターバルは、対応するマッチングインターバルのみを含む。その他の組み合わせも可能である(例えば、対応する調整インターバルが5番目毎の注文エントリインターバルに含まれていてもよい)。ある例において、対応する調整インターバルを含めることは、いくつかの基準に依存してもよい。例えば、調整注文が受信されたときに、調整インターバルが含まれるのみであってもよい。そのようなある例では、調整用注文が受信されたときに、マッチング/調整インターバルがマッチングインターバルと交互に開始される。このような交互の配置は、無期限又は一定期間継続する。例えば、マッチング/調整インターバルは、調整用の注文が電子取引所で受信されるたびに、10の注文エントリインターバルにおいて交互に現れる。その他の組合せも可能である。
【0093】
異なる注文エントリインターバル、マッチングインターバル、調整インターバルおよび/又はインターバルの組み合わせ(例えば、マッチング/調整インターバル)を含む、付加的な組み合わせも適用可能である。さらに、注文エントリインターバル、マッチングインターバルおよび/又は価格フィードインターバルに関連して上述した例示的な制限も、調整インターバルに適用可能である。例えば、注文エントリインターバル中に受信された取引注文は、対応するマッチングインターバルと調整インターバルの終了まで修正することはできない。
【0094】
マッチングアルゴリズムは、コンポーネント注文の識別子および優先順位に関して修正されてもよい。例えば、従来の電子取引所においては、ファーストインファーストアウト(FIFO)のアルゴリズムが使用される。銀行の顧客が到着した順にサービスを受けるのと同様に、取引注文もそれらが受信された順番でマッチングがされる。注文エントリサブインターバルを含めるとともに、同じ注文エントリサブインターバル中に受信した各取引注文に同じ識別子(例えば、タイムスタンプ)を埋め込むことで、受信した注文エントリのマッチングをタイムスタンプに基づいて行うようにFIFOアルゴリズムが変更される。ある例では、同じ識別子を有する取引注文はランダムにマッチングされる。つまり、注文エントリサブインターバル中の最後に受信した取引注文と、最初に受信した取引注文とはマッチングの可能性に関しては同等である。
【0095】
対応するマッチング/調整インターバルの間にマッチングされなかった取引注文は、様々な手法によって対処される。ある例では、マッチングされなかった取引注文は、注文ブックから自動的にキャンセル/削除される。ある例では、未マッチングの取引注文は、マッチングが完了するまで注文ブックに存在し続ける。このようなある例では、未マッチングの取引注文は、新たな注文エントリインターバルに対応するように更新された識別子を受け取る。あるいは、未マッチングの取引注文は、埋め込まれていた同じ識別子が継続して付されてもよく、これにより、その後のマッチングインターバルにおいて同じ優先順位を得る。その他の組み合わせも可能である。例えば、未マッチングの取引注文は、所定数のマッチング/調整インターバルにおいて注文ブックに残ってもよい。例えば、取引注文のマッチングが3つのマッチング調整インターバルの終了後も完了していない場合に、未マッチングの取引注文がキャンセル/削除されてもよい。
【0096】
IX.調整グループにおける調整操作を実行するための例示的なマッチングアルゴリズム、方法およびプロセスについて
調整操作中などにおいて複数のマッチングエンジン/電子取引所が異なる手法を使用して通信しているときに、マッチングアルゴリズムが修正されてもよい。例えば、マッチングエンジンは、全てのローカルな取引注文(例えば同じマッチングエンジンにあるもの)のマッチングを試みるとともに、その後、複数のマッチングエンジン/電子エンジンにわたって調整される調整用注文について、残っている数量のマッチングを試みる。ある例では、コンポーネント注文は、個々の取引可能オブジェクトに関するマッチング優先度において異なる相対ポジションにある。例えば、IFF調整用注文のコンポーネントに関するマッチング優先度は、他の取引可能オブジェクトに対して変化してもよい。ある例では、マッチング優先度は、注文サイズに基づいて変化してもよい。例えば、取引注文の数量が多くなると、取引注文の相対ポジションが改善されてもよい。ある例では、トレーダは、取引注文の相対ポジションを改善するために取引注文の割増料を支払う。ある例では、調整プロセスは、電子取引所の規則に基づいて1つの取引可能オブジェクト又はその他のもののマッチング優先度の上げ下げを行う。ある例では、調整操作は、例えば第1のマッチング/調整サブインターバルの間に行われ、複数の電子取引所/マッチングエンジンからの関連する全ての取引注文が調整グループとして処理される。調整グループはその後、マッチングのために(例えば第2のマッチング/調整サブインターバルの間に)マッチングアルゴリズムによって処理される。
【0097】
ある例では、マッチング/調整インターバル中の調整プロセスにおいて、複数の電子取引所/マッチングエンジン間で直接的な通信が行われる。調整グループとは、調整用注文のマッチングを処理するために協働して通信および調整を行う、電子取引所におけるマッチングエンティティ(団体)の集合である。調整グループ内のマッチングエンジンは、同一の電子取引所に存在してもよいし、異なる電子取引所に存在してもよい。例えば、電子取引所は、複数の製品に関する取引を提供する市場を含んでもよい。ある例では、調整グループにおける各マッチングエンジンは、同じ地理的位置又は地理的に異なる場所にあってもよい。
【0098】
ある例では、マッチング/調整インターバル中の調整プロセスにおいて、調整ハブを介した間接的な通信が行われる。
図8は、通信ハブ810を含む例示的な調整グループ取引システム800を示す。マッチング/調整インターバルにおいて、調整ハブ810は、複数の取引所エンジンを一体的に接続する。図示の例では、複数の電子市場804を含む第1電子取引所802は、ネットワーク806を介して調整ハブ810と通信する。図示の例には、複数の電子市場814を含む第2電子取引所812が含まれており、第2電子取引所812は、調整ハブと通信する。ある例では、調整ハブ810は、処理を行う場所として機能する。例えば、調整用注文のマッチングの全て又は一部は、調整ハブ810で行われてもよい。いくつかの他の例では、調整ハブ810は、調整用注文のマッチング時にトランスレータとして機能する。例えば、調整ハブ810によれば、調整注文に関する正しい情報(例えば市場情報データ)を正しいマッチングエンジンに伝達することが確保される。いくつかの他の例では、調整ハブ810は、複数の市場取引所間における調整用注文のルーティングを行う。例えば、電子取引所812は、電子取引所802から受信した調整用注文の約定を行う。調整ハブ810は、調整用注文のマッチング操作の結果を、電子取引所802(例えば発信元のマッチングエンジン)へルーティングし、かつ、調整用注文の処理に関与した任意のマッチングエンジン(例えば電子取引所812)へもルーティングする。
【0099】
ある例では、IFF(IFおよびonly IFF)注文が調整ハブ810に送信される。調整ハブ810は、マッチング対象を有していることを、関連する全てのマッチングエンジンに伝達する。後続するマッチング/調整インターバルのそれぞれの間に、それぞれのマッチングエンジンは、マッチング対象に関連する係属中の注文に関する情報を調整ハブ810に伝達する。調整ハブ810は、IFF注文に対するマッチング対象を有する場合、当該マッチング対象に関するマッチングエンジンの全てと通信する。調整ハブ810は、IFF注文に対するマッチング対象を有しない場合、係属中の注文についてマッチングが行われないことを全てのマッチングエンジンに通信する。
【0100】
ある例では、調整プロセスは、分散マッチング/調整アルゴリズムを介して制御される。例えば、アルゴリズムは、受信した情報を調整グループ内の各マッチングエンジンと同じように処理する。これにより、マッチングエンジンは、通信ハブを介して任意および/又は全ての情報と通信するのではなく、関連情報のみを通信することができる。結果的に、無関係な処理が行われないため、それぞれのマッチングエンジンで利用可能な処理能力を向上させることができる。さらに、ネットワーク上で膨大な情報が不必要に通信されないため、調整グループ間におけるネットワーク伝送が改善される。
【0101】
ある例では、マッチング操作が行われる場所は、ダイナミックに変化する。例えば、全ての調整用注文のマッチングが単一の場所/マッチングエンジンで実行されるように、調整操作が元の電子取引所から別の場所(例えば、調整ハブ又は別の電子取引所)に再配置されてもよい。再配置は、市場データに基づいて取引セッション中に変更されてもよい。例えば、調整用注文の頻度が高い期間において、マッチング動作を単一の場所/マッチングエンジンに移動させてもよい。付加的におよび/又は代替的に、調整注文の数が低いままである期間中に、調整操作を元のマッチングエンジンで実行し、再配置を行わなくてもよい。
【0102】
ある例では、調整グループに含まれるマッチングエンジンは、マッチング/調整インターバルの実質的なアライメントを行う。マッチング/調整インターバルのアライメントを行うことにより、マッチングエンジンは、通信と調整をともに達成することが可能となる。例えば、マッチングエンジン間のマッチング/調整インターバルに重複がない場合、調整操作は不要である。一方で、インターバルに関する厳密なアライメント(例えばロックステップアライメント)は必要でない。言い換えれば、マッチング/調整インターバルは、ミリ秒、マイクロ秒、ナノ秒などでアライメントを行う必要はない。例えば、異なるマッチングエンジンは、異なる長さの時間インターバルを有する、および/又は、異なる頻度のマッチング/調整インターバルを有する。例えば、電子取引所802は、電子取引所812の2倍の頻度のマッチング/調整インターバルを有してもよい。このようなある例では、2つの電子取引所間における調整操作が、重複したマッチング/調整時間インターバル中に実行される。
【0103】
ある例では、マッチングエンジンは、マッチングエンジンにとって都合の良い時間に調整インターバルを予定する。このようなある例では、マッチングエンジンの調整インターバルに重複がある場合に調整操作が行われる。これにより、調整用インターバルのアライメントが必要でないため、有用である。必ずしもそれぞれの注文エントリインターバルに対応して実現される必要はないが、統計的には、取引セッションの間に調整インターバルの重複が存在する。
【0104】
調整インターバルのアライメントを必要としない他の例では、電子取引所は、調整グループ内の別の電子取引所によって受信されるための特殊なタイプの取引注文を配置することがある。例えば、CWMBM(check with me before matching)注文が電子取引所802から電子取引所812に通信されてもよい。結果的に、電子取引所812は、CWMBM注文を含むマッチング操作を実行する用意ができている場合に電子取引所802とジャストインタイムの調整を行うことにより、元の調整用注文の条件が依然として適用可能であることを確保する。電子取引所802によって条件がまだ適用可能であることが示される場合、電子取引所812は、CWMBM注文に関するマッチング動作を行う。このような手法は、調整用注文を完了するためのマッチング操作を行っているときの取引所間の調整が必要となるのみである。
【0105】
図8に示した調整グループ取引システム800は、単一の例示的な調整ハブ810を含むが、複数の調整ハブを含めることも可能である。複数の調整ハブは、ヒエラルキーツリー構造又はその他の特別に最適化された構造を含む、様々なネットワークトポロジにて接続されてもよい。例えば、複数の調整ハブは同じ地理的位置に位置し、調整用注文を処理するのに必要な処理能力を複数の調整ハブにわたって分散してもよい。いくつかの他の例では、複数の調整ハブが互いに通信および調整を行う中で、それぞれの調整ハブは、ローカルな電子市場に含まれる調整用注文を最初に処理するようにしてもよい。
【0106】
複数の取引可能オブジェクトのセットに関するマッチング/調整インターバルと調整グループにより、トレーダは、単一のマッチングエンジンとの接続によって、別々のマッチングエンジンで取引されている取引可能オブジェクトを取引する機会を有する。このような例では、これらの他のマッチングエンジンからトレーダに対して、取引可能オブジェクトに関する価格フィード/市場情報データを提供することが有用となる。
【0107】
従来の電子取引所を使用すると、トレーダは、希望の価格フィード/市場情報データを受信するために、電子取引所のそれぞれと個別の調整を行う必要がある。
【0108】
ある例では、電子取引所は、価格フィード/市場情報データを、調整グループに関与しているその他の取引所のマッチングエンジンから配信することを選択する。このような価格フィードのタイミングは、情報の発信元であるマッチングエンジンの価格フィードインターバルと同一であってもよい。あるいは、価格フィードのタイミングは、元のマッチングエンジンで使用されるものよりも長くてもよい。電子取引所はこれを使用して、自身のマッチングエンジン上の取引可能オブジェクトに関する価格フィードインターバルを、調整グループ内の他のマッチングエンジンでの取引用の情報を配信する際に使用される価格フィードインターバルとアライメントする。これにより、トレーダは、はるかに単純な手法によって希望の情報を受信する。
【0109】
図9は、調整グループにおける調整操作を実行するための例示的な方法又はプロセス900のフロー図を示す。ブロック902において、調整インターバルが開始される。ある例では、調整時間インターバルは、マッチングインターバルおよび/又は注文エントリインターバルと重なっている。ブロック904において、発信元である電子取引所のマッチングエンジンは、調整グループに含まれる他のマッチングエンジンとの通信を確立する。調整グループは、調整用注文のマッチングを処理するために集合的に通信および調整を行う複数のマッチングエンジンである。ある例では、マッチングエンジンは、他のマッチングエンジンと直接的に通信する。いくつかの他の例では、調整グループにおけるマッチングエンジンは、例えば1つの調整ハブ又は複数の調整ハブを介して間接的な通信を行う。調整ハブは、チュール(tulle)マッチングエンジン間の通信を促進する。例えば、接続ハブは、適切なマッチングエンジンへ情報をルーティングする。
【0110】
ブロック906で、調整用注文を、例えば他のマッチングエンジンの1つに存在する相対する注文とマッチングすることを試みる。ブロック908で、電子取引所は、調整インターバルが終了したか否かを判定する。調整インターバルが終了していない場合、電子取引所のマッチングエンジンは、調整用注文のマッチングを試みることに戻る。調整インターバルが終了していた場合、ブロック910で、マッチングエンジンは、当該マッチングエンジンの注文ブックを更新する。ある例では、調整グループに含まれるマッチングエンジンのそれぞれは、当該マッチングエンジンの注文ブックを更新して、例えば残存する未マッチングの数量を反映させる。
【0111】
図7、
図9では、注文エントリインターバル、マッチングインターバルおよび調整インターバルは順番に記述されているが、これらのインターバルの任意の組み合わせが重複してもよい。例えば、マッチング操作と調整操作は、同じインターバル中に実行されてもよい。いくつかのそのような例では、マッチングエンジンは、両方の操作を同時に実行することを試みる。いくつかの他の例では、マッチングエンジンは、最初に取引注文のマッチングをローカルに(例えば電子取引所上で)行い、その後、調整操作を行うことを試みる。ある例では、次の注文エントリインターバルが、マッチングインターバルおよび/又は調整インターバルと重なっていてもよい。
【0112】
以上より、開示された方法、システムおよび製品によれば、トレーダが他のトレーダと継続的に競争する必要性を低減することができる。これらの方法、システムおよび製品は、注文エントリ操作と調整操作を分離して行うためにそれぞれの操作を実行するための別々のインターバルを生成する。これらの方法、システムおよび製品によれば、電子取引所は、複数の電子取引所間における調整操作を行うことができるため、取引注文から所望の結果を達成する可能性が増加する。
【0113】
図面のいくつかは、ある実施形態の全て又は一部を実現するために使用可能な例示的なブロック図、システムおよび/又はフロー図を示す。例示的なブロック図、システムおよび/又はフロー図における1つ又は複数のコンポーネント、エレメント、ブロックおよび/又は機能は例えば、ハードウェア、ファームウェア、(有形コンピュータ読み取り可能媒体に記憶されたコンピュータ読み取り可能な命令のセットとしての)ディスクリートロジック、および/又はそれらの任意の組み合わせにて、単独又は組み合わせて実装されてもよい。
【0114】
例示的なブロック図、システムおよび/又はフロー図は例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルロジックデバイス(FPLD)、離散論理、ハードウェアおよび/又はファームウェアの任意の組み合わせを使用して実現される。また、例示的な方法のいくつか又はその全ては例えば、手動で又は上述の技術と組み合わせて実行されてもよい。
【0115】
例示的なブロックダイアグラム、システムおよび/又はフロー図は例えば、1つ又は複数のプロセッサ、コントローラおよび/又はその他の処理デバイスを用いて行われる。例えば、その例としては、有形のコンピュータ読み取り可能媒体に記憶されたコンピュータ読み取り可能な命令などのコード化された命令を使用して実行される。有形のコンピュータ読み取り可能媒体は例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、電気的プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、光媒体、磁気テープ、ファイルサーバ、その他の任意の有形データ記憶デバイス、又はそれらの任意の組み合わせなど、様々なタイプの揮発性および不揮発性の記憶媒体を含む。
【0116】
さらに、例示的なブロック図、システムおよび/又はフロー図について図面を参照しながら説明したが、その他の実現形態も可能である。例えば、コンポーネント、エレメント、ブロックおよび/又は機能の実行順序を変更可能である、および/又は、説明したコンポーネント、エレメント、ブロックおよび/又は機能のうちのいくつかを変更、削除、細分化又は組み合わせてもよい。さらに、コンポーネント、エレメント、ブロックおよび/又は機能のいずれか又はその全ては、例えば別個の処理スレッド、プロセッサ、デバイス、離散論理および/又は回路によって、連続的におよび/又は並列で実施されてもよい。
【0117】
複数の実施形態について開示したが、様々な変更が可能であり、均等物によって置換されてもよい。さらに、特定の状況又は材料を適合させるように多くの修正を行ってもよい。このように、開示された技術は、開示した特定の実施形態に限定されるものでなく、添付の特許請求の範囲に含まれる全ての実施形態を包含することが意図される。