特許第6149167号(P6149167)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプリア イノベイティブ テクノロジーズ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータの特許一覧

特許6149167蓋を上昇させて水平に平行移動させる機構を備えるトラップ又はマンホール用の蓋
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6149167
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】蓋を上昇させて水平に平行移動させる機構を備えるトラップ又はマンホール用の蓋
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/14 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
   E02D29/14 Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-547255(P2016-547255)
(86)(22)【出願日】2014年10月6日
(65)【公表番号】特表2016-532801(P2016-532801A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】IT2014000262
(87)【国際公開番号】WO2015052740
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2016年5月24日
(31)【優先権主張番号】BA2013A000067
(32)【優先日】2013年10月11日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516106759
【氏名又は名称】アプリア イノベイティブ テクノロジーズ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】特許業務法人小倉特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100081695
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 正明
(74)【代理人】
【識別番号】100103414
【弁理士】
【氏名又は名称】戸村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】ダレーナ,ジャンバティスタ
【審査官】 小池 典子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05531541(US,A)
【文献】 実開昭54−000249(JP,U)
【文献】 特開平08−188365(JP,A)
【文献】 特開平03−156041(JP,A)
【文献】 特開平08−326080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/00,29/045−37/00
E03F 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホール又はトラップの蓋(1)であって,前記蓋(1)を上昇させて水平に平行移動させる機構を備え,前記機構は,作動手段(10,11,12)を介して作動され,前記マンホール又はトラップを完全に開放するために,作動可能に接続された前記蓋(1)を自動的に上昇させ,その後,水平に平行移動又は回動させるマンホール又はトラップの蓋(1)において,
前記機構が,完全な延出状態を有する伸縮ガイド(3)に固定された可動の前記蓋(1)を支持する可動の枠(2)で構成され,前記伸縮ガイド(3)は可動の上昇枠(4)に固定され,前記可動の上昇枠(4)は車輪(4a)を備え,ラック(4b)を介して回転駆動ネジ(5a)によって駆動される歯車を備えたギア(5)に接続され,ハンドル(10)による前記回転駆動ネジ(5a)の作動により,可動の前記蓋(1)を上昇させることを特徴とするマンホール又はトラップ用の蓋(1)。
【請求項2】
マンホール又はトラップの蓋(1)であって,前記蓋(1)を上昇させて水平に平行移動させる機構を備え,前記機構は,作動手段(10,11,12)を介して作動され,前記マンホール又はトラップを完全に開放するために,作動可能に接続された前記蓋(1)を自動的に上昇させ,その後,水平に平行移動又は回動させるマンホール又はトラップの蓋(1)において,
前記機構が,完全な延出状態を有する伸縮ガイド(3)に固定された可動の前記蓋(1)を支持する枠(2)で構成され,前記伸縮ガイド(3)は可動の上昇枠(4)に固定され,前記可動の上昇枠(4)は車輪(4a’)を備え,固定枠(5’)内に配置された油圧ジャッキ(5a’)に交差部材(4b’)を介して接続され,前記固定枠(5’)が外付けの油圧ポンプ(10’)によって作動することにより可動式の前記蓋(1)を上昇させることを特徴とするマンホール又はトラップ用の蓋(1)。
【請求項3】
マンホール又はトラップの蓋(1)であって,前記蓋(1)を上昇させて水平に平行移動させる機構を備え,前記機構は,作動手段(10,11,12)を介して作動され,前記マンホール又はトラップを完全に開放するために,作動可能に接続された前記蓋(1)を自動的に上昇させ,その後,水平に平行移動又は回動させるマンホール又はトラップの蓋(1)において,
前記機構が,可動の前記蓋(1)を支持する枠(2)で構成され,前記枠(2)はリング(32)に固定されており,前記リング(32)は垂直軸周りに完全に回動可能であると共に軸方向の抵抗を有する一対の玉軸受(34)によってネジ(30)と一体化され,外付けのハンドルによって制御される,固定枠(6)と一体化されたネジ付きスリーブ(36)内での前記ネジ(30)の回転により可動の前記蓋(1)を上昇させ,閉じる際には,凹部(38)を介して前記枠(6)に前記蓋(1)を押しつけて閉じることを特徴とするマンホール又はトラップ用の蓋(1)。
【請求項4】
前記蓋(1)は,開放時には可動の前記枠(2)に拘束され,前記マンホールが閉じた状態では前記蓋(1)の固定枠(6)にのみ当接できるように可動の前記枠(2)との接続が解除されることを特徴とする請求項1又は2記載の蓋(1)。
【請求項5】
前記回転駆動ネジ(5a)の頭部に配置された閉塞装置を備えることを特徴とする請求項1記載の蓋(1)。
【請求項6】
前記伸縮ガイド(3)が開閉ストッパを備えることを特徴とする請求項1,2,4又は5いずれか1項記載の蓋(1)。
【請求項7】
前記蓋(1)が多目的タレット(2b)を備え,前記多目的タレット(2b)には,前記回転駆動ネジ(5a)を作動させる電気モータ(2c),並びに,関連駆動装置,照明装置,及び下方の前記トラップ内に配設された電気,水及び他の本管設備に到達するための装置が格納されることを特徴とする請求項1又は5記載の蓋(1)。
【請求項8】
前記蓋(1)が多目的タレット(2b)を備え,前記多目的タレット(2b)には,前記油圧ジャッキ(5a’),並びに,関連駆動装置,照明装置,及び下方の前記トラップ内に配設された電気,水及び他の本管設備に到達するための装置が格納されることを特徴とする請求項2記載の蓋(1)。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は,蓋を上昇させて水平に平行移動させる機構を備えるトラップ又はマンホールの蓋に関する。
【0002】
特に,本発明が扱うのは,歩行者及び車両が利用する循環エリア用の,被せて閉じる装置に関するUNIEN(イタリア欧州規格)124/1995にも規定されているマンホール又はトラップの蓋の分野である。
【0003】
現在,こうした装置の大多数が鋳鉄製であり,その移動は手動の吊上具により行われる。こうした蓋の重量は一般に25kgを超えるため,このような移動には2人以上の作業員が必要になるか,又は,適切な作業具を用いる必要がある。最近では,1箇所以上を蝶番式に取り付けた蓋が考案されている。後者の場合,蓋は多くの部分からできており,その取扱いは,蓋を上向きに回動することによって行われている。こうした構成は専ら鋳鉄製の蓋に向けたものである。中実の蓋は,とりわけサイズが大きい(70cm×70cmを超える)場合は,重量も大きく(100daN超),蓋を移動させるための枠及びフックと共に特注で製作され,一般に,適切な作業ツール(吊上げトラック,機械的ブレード等)を使用しないと移動できないという問題がある。入手可能な変形例としては,片側を蝶番式に取り付けた中実の蓋があり,その開放は,蓋の下方にあって引き上げを容易にする幾つかのガススプリングの補助を得てなされる。
【0004】
要約すると,通常に使用されているトラップの蓋は,以下のような不都合がある。
1.重量を減らす必要性に関連してサイズを小さくしてある。
2.主として,周囲の舗装とは異なる材料(鋳鉄)でできている。
3.重量及び形状が,荷重物の人力による取扱いに関する安全基準に適合しない(重量が25daNを超え,トラップの開口が円形ではない場合に蓋がトラップに落下する危険性に加え,下肢を押しつぶす危険性がある)。
4.大型の蓋は人力で取扱うことができない。
5.重量が大きく輸送コストがかかる。
【0005】
本発明の目的は,以下の特徴を有する,蓋を上昇させて水平に平行移動させる機構を備えるトラップ又はマンホールの蓋を提供することによって,上記の従来技術の課題を解決することにある:
(1)より大型の蓋を1人で動かせる。
(2)中実の蓋を,周りの舗装を使用する機会と共に使用できる。
(3)蓋の上昇及び移動を作業員が難なく行える。
(4)蓋は,その開閉ステップ中,本機構のガイドによって安定的にブロックされたままであるため,作業員の体肢を押しつぶす危険性,及び,蓋がトラップ内に落下する危険性がない。
(5)中実の蓋の耐性部が敷き詰めた礫岩から成るため,販売される装置の重量を低減することができる。
【0006】
本発明の上記及びその他の目的並びに利点は,以下の説明から明らかなように,請求項1記載の,蓋を上昇させて水平に平行移動させる機構を備えるトラップ又はマンホールの蓋によって達成される。本発明の好ましい実施形態及び自明ではない変形例は従属項に記載される。
【0007】
添付請求項は全て,本開示の不可分な部分であることが意図されている。
【0008】
本発明を,添付図面を参照し,非制限的な実施例として示すその幾つかの好ましい実施形態によって,より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の機構の第1の好ましい実施形態;
図2】本発明の機構の第1の好ましい実施形態;
図3】本発明の機構の第1の好ましい実施形態;
図4】本発明の機構の第1の好ましい実施形態;
図5】本発明の機構の第1の好ましい実施形態;
図6】本発明の機構の第1の好ましい実施形態;
図7】本発明の機構の第2の好ましい実施形態;
図8】本発明の機構の第2の好ましい実施形態;
図9】本発明の機構の第2の好ましい実施形態;
図10】本発明の機構の第2の好ましい実施形態;
図11】本発明の機構の第2の好ましい実施形態;
図12】本発明の機構の第3の好ましい実施形態;
図13】本発明の機構の第3の好ましい実施形態;
図14】本発明の機構の第4の好ましい実施形態;
図15】本発明の機構の第4の好ましい実施形態;及び
図16】本発明の機構の第4の好ましい実施形態。
【0010】
添付請求項から分かるように,記載されたものに対して本発明の範囲を逸脱することなく多くの変形及び変更(例えば,形状,大きさ,配置,及び同等の機能性を有する部品に関して)が可能であることは,すぐに自明となろう。
【0011】
本機構の動作を図1図4図7及び図10に示す。静止位置(A)にある蓋は,2つの部分,すなわち,可動式であって,周囲の舗装と同じ材料で被覆された本蓋(1)と,駆動装置の端部が収容されている小型の固定蓋(2a)とで構成される。ハンドル(10)を用いて(B),ウォームねじに作用することで本機構が作動し,歩行面の高さよりも高く蓋を上昇させる(C)。そして,伸縮ガイドが蓋の水平方向の平行移動を可能とし(D),トラップの孔はアクセス可能になる。
【0012】
図2図6に示す本発明の第1の好ましい実施形態によると,本機構はその構成部品で示されている。つまり,本機構は,作業場で行われる後続する礫岩の一体化成型を含めるための適切な材質とサイズ(亜鉛めっき鋼,PVC,ステンレス鋼等の板材)から成る中実の蓋(1)と,それに関連する金属製骨組みとで構成される。静止状態での蓋は固定枠(6)に当接している。本機構を上昇させると,本機構が蓋(1)と係合し,その角柱形状(図4)のために蓋は本機構にブロックされたまま,本機構に拘束されてその動きに追従する。蓋保持用の枠(2)は完全な延出状態を有する2つの伸縮ガイド(3)に固定されており,伸縮ガイド(3)は,車輪(4a)を介して固定ガイド(5b)に沿って摺動する可動の上昇枠(4)に固定されている。上昇運動は,外付けのハンドル(10)により駆動される回転ネジ(5a)と連結するギア(5)に接続された歯車(5c)により駆動されるラック(4b)によって生じる。
【0013】
要約すると,本機構は,完全に隠れてしまう固定部(5)+(6)と,本蓋を支持する可動部(2)+(3)+(4)とで構成される。回転ネジ(5a)は,その小型の蓋(2a)内に,又は,適切な加工ナット(特殊なレンチによって駆動する)を介して回転ネジの頭部にロック部を直接備えることができる。
【0014】
一方,図4は平面図及び断面図であり,3つの作動ステップ,すなわち,閉鎖,上昇,及び平行移動を行うときの本機構を示す。
【0015】
図5は,平行移動−上昇機構を示す不等角投影底面図である。
【0016】
図6は,すべて本発明の目的である変形例を示し,そこでは,固定蓋(2a)に代えて,本機構を制御するための電気機械モータ(2c)を内部に有するように構成された,すなわち,トラップの下を通る可能性のある電気エネルギー,水,ガス,圧縮空気,光等の本管(mains)の供給設備(services)の外部端子として作用するように構成された角柱状のタレット(2b)を備える。
【0017】
伸縮ガイド(3)は開閉ストッパ(図示せず)を備えることが好ましい。
【0018】
図7図11に示す本発明の第2の好ましい実施形態によると,蓋(1)は,完全な延出状態を有する伸縮ガイド(3)に固定された,可動の蓋(1)を支持する枠(2)で構成される本機構を備え,伸縮ガイド(3)は可動の上昇枠(4)に固定され,可動の上昇枠(4)は,車輪(4a’)を備え,固定枠(5’)内に配置された油圧ジャッキ(5a’)に交差部材(4b’)を介して接続され,外付けの油圧ポンプ(10’)によって作動させることにより,可動の蓋(1)を上昇させる。
【0019】
図12及び図13に示す本発明の第3の好ましい実施形態によると,蓋は,垂直軸周りに完全に回転可能なリング(3”)に固定された,可動の蓋(1)を支持する枠(2)で構成される本機構を備え,リング(3”)は可動の上昇用同心リング(4”)に固定され,可動の上昇用同心リング(4”)は,蓋側に向けたシリンダ(5a”)と固定枠と一体化された支持体側に向けたピストン(5b”)とを有する油圧ピストン(5”)を含む摺動トロリ(4a”)を備え,外付けの油圧ポンプ(10”)によって作動させることにより可動の蓋(1)を上昇させる。
【0020】
図14図16に示す本発明の第4の好ましい実施形態によると,可動の蓋(1)を支持する枠(2)は,垂直軸周りに完全に回動可能であって,軸方向の抵抗を有する一対の玉軸受(34)によってネジ(30)と一体化されたリング(32)に固定されており,外付けのハンドルによって制御される,固定枠(6)と一体化されたネジ付きスリーブ(36)内でのネジ(30)の回転が可動の蓋(1)を上昇させ,閉じる際には,凹部(38)を介して枠(6)に蓋(1)を押しつけて閉じる。

図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16