(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。尚、特に断りのない限り、本明細書における「C.I.」とは、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
<顔料>
本発明で使用される顔料としては、有機顔料と無機顔料に大別される。有機顔料としては、アゾレーキ系、ハンザ系、ベンズイミダゾロン系、ジアリライド系、ピラゾロン系、ベンジジンイエロー系、ジスアゾ系の各種アゾ系顔料;フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、イソインドリノン系等の縮合多環系顔料、アニリンブラック等を挙げることができる。
【0016】
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、チタンイエロー、酸化鉄、黄色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロムグリーン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、鉄黒、カーボンブラックを挙げることができる。カーボンブラックとしては、Cabot社製のBLACK PEARLS−2000、1400、1300、1100、1000、900、800、700、MONARCH1400、1300、1100、1000、900、800、EMPEROR−2000、1800、1600、1200、ADITYA BIRLA社製のRAVEN−7000、5000 Ultra II、5000 Ultra III、3500、2500、2300、2000、1255、1250、1200、1180、1170、1000、900、880、Orion Engineered Carbons社製のCOLOUR BLACK FW−285、255、200、182、S170、2、1、三菱化学社製の#2650、#2600、#2350、#2300、#1000、#980、#970、#960、#950、#900、#850、MA100、MA7等が挙げられる。
【0017】
<水酸基を有しても良い脂肪族アミン>
本発明で使用される水酸基を有しても良い脂肪族炭化水素基を有するアミンは、
窒素原子に結合する脂肪族炭化水素基の炭素数が2〜8であるアミンである(以下、「水酸基を有しても良い脂肪族炭化水素基を有するアミン」を略して「脂肪族アミン」と称することがある)。ここで、脂肪族炭化水素基とは、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素の1価、2価または3価の残基を意味する。
【0018】
飽和脂肪族炭化水素の1価の残基としては、アルキル基やシクロアルキル基等が挙げられる。アルキル基としては、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等があげられる。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基等があげられる。
【0019】
不飽和脂肪族炭化水素の1価の残基としては、アルケニル基、アルカジエニル基、アルキニル基、シクロアルケニル基等が挙げられる。アルケニル基としては、アリル基、2−ブテニル基等が挙げられる。アルカジエニル基としては、2,4−ペンタジエンー1−イル基、2,4−ヘキサジエンー1−イル基、等が挙げられる。アルキニル基としては、2−プロピニル基、2−ブチニル基等が挙げられる。シクロアルケニル基としては、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0020】
飽和脂肪族炭化水素の2価の残基としては、アルキレン基やアルキリデン基等が挙げられる。アルキレン基としては、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基(トリメチレン基)、1,4−ブチレン基(テトラメチレン基)等があげられる。アルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基等があげられる。
【0021】
不飽和脂肪族炭化水素の2価の残基としては、アルケニレン基、アルカジエニレン基、アルキニレン基、シクロアルケニレン基等が挙げられる。アルケニレン基としては、2−ブテンー1,4−ニレン基等が挙げられる。
【0022】
飽和脂肪族炭化水素の3価の残基としては、アルカントリイル基やアルキリジン基等が挙げられる。アルカントリイル基基としては、1,2,3−プロパントリイル基、1,3,5−ペンタントリイル基等があげられる。アルキリジン基としては、エチリジン基、プロピリジン基等があげられる。
【0023】
不飽和脂肪族炭化水素の3価の残基としては、アルケントリイル基等が挙げられる。アルケントリイル基基としては、2−ペンタンー1,3,5−ペンタントリイル基等があげられる。
【0024】
上記の脂肪族炭化水素基は、脂肪族炭化水素基中の水素原子の一部が、水酸基で置換されても良い。水酸基の置換数は、1つでも2つ以上の複数でも構わない。例えば、水酸基で置換された飽和脂肪族炭化水素の1価の残基としては、ヒドロキシアルキル基等が挙げられ、例えば、2−ヒドロキシエチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
【0025】
上記脂肪族炭化水素基の炭素数は、2〜8であり、好ましくは2〜7であり、より好ましくは2〜6である。
【0026】
本発明で使用される脂肪族アミンは、アミンの級数には制限はなく、一級アミン、二級アミン、三級アミンのいずれでも良い。また、モノアミンでも、ジアミン、トリアミン、テトラミン等の多価アミンでも良い。さらに、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
上記脂肪族炭化水素基の炭素数は、2〜8であり、好ましくは2〜7であり、より好ましくは2〜6である。したがって、本発明で使用される水酸基を有しても良い脂肪族アミンの炭素数は、一級のモノアミンである場合には2〜8であり、二級モノアミンである場合には4〜16であり、三級のモノアミンである場合には6〜24である。多価アミンの場合には、アミノ基の級数やアミンの構造によって、アミンの炭素数は大きく変わることになるが、例えば、ジアミンである場合には、2つのアミノ基が共に一級であれば2〜8であり、2つのアミノ基が共に三級であれば10〜40の範囲を取り得る。本発明が解決しようとする課題を解決する目的では、脂肪族アミンの炭素数は、2〜21が好ましく、2〜18がより好ましい。
【0028】
本発明で使用される脂肪族アミンは、分子量が45〜320が好ましく、45〜270がより好ましい。
【0029】
以下に、本発明で使用することができる脂肪族アミンの具体例を列記する。
モノアミンの例:
2−アミノエタノール(2−ヒドロキシエチルアミン)、N−エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノール、トリエタノールアミン等。
ジアミンの例:エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン(1,3−プロパンジアミン)、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン
等。
トリアミンの例:ジエチレントリアミン、1,5−ビス(N−エチルアミノ)ー3−アザペンタン、1,5−ビス(N,N−ジエチルアミノ)ー3−アザペンタン、1,2,5−ペンタントリアミン等。
【0030】
<樹脂>
本発明で使用できる樹脂は、大別すると、天然高分子樹脂と合成高分子樹脂に分類され、特に限定されるものではない。具体的には、天然高分子樹脂としては、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミンなどのたんぱく質類、アラビアゴム、トラガントゴム、キサンタンガムなどの天然ゴム類、サポニンなどのグルコシド類、アルギン酸およびアルギン酸プロピレングルコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体、メチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体やシェラック樹脂などが挙げられる。
【0031】
合成高分子樹脂の例としては、アクリル系共重合体、スチレン・アクリル酸系共重合体、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリルカリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレンアクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン‐無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体およびこれらの塩などが挙げられる。
【0032】
樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、繊維強化樹脂、フッ素樹脂、セルロース樹脂、アクリルエマルジョン等が好ましい。これらの中でもセルロース樹脂がより好ましい。セルロース樹脂の例としては、Eastman社製CAB−551−0.2、CAB−381−0.5などが挙げられる。
【0033】
樹脂は、顔料の種類や粒子サイズ、所望する塗料、印刷インキの設計によって使用量が決定される。一般にカラーチップ中の樹脂の割合が多すぎると塗料設計の自由度が狭まる上に着色力が低くなり、逆に樹脂の割合が少なすぎるとカラーチップの安定性が損なわれ、品質の劣化や顔料の凝集といった問題が生じる。カラーチップ中の樹脂の割合は5〜90質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。
【0034】
<分散剤>
本発明のカラーチップは、更に分散剤を含有してもよい。分散剤は、大別すると、界面活性剤、樹脂型分散剤、顔料誘導体に分類され、特に限定されるものではない。界面活性剤は主にアニオン性、カチオン性、ノニオン性に分類され、要求特性に応じて適宜好適な種類、配合量を選択して使用することができる。
【0035】
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、具体的には脂肪酸塩、ポリスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸スルホン酸塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステルなどが挙げられ、具体的にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステル塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩などが挙げられる。
【0036】
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類があり、具体的にはステアリルアミンアセテート、トリメチルヤシアンモニウムクロリド、トリメチル牛脂アンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、メチルオレイルジエタノールクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムジサルフェート、セチルピリジニウムブロマイド、4−アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)−ドデシルブロマイド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0037】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルアリルエーテルなどが挙げられ、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等などが挙げられる。
【0038】
界面活性剤の選択に際しては1種類に限定されるものではなく、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤など、2種以上の界面活性剤を併用して使用することも可能である。その際の配合量は、それぞれの活性剤成分に対して前述した配合量とすることが好ましい。好ましくは、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の併用が良く、アニオン性界面活性剤としては、ポリカルボン酸塩、ノニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンフェニルエーテルが好ましい。
【0039】
樹脂型分散剤は、顔料に吸着する性質を有する親和性部位と、分散媒との相溶性部位とを有し、顔料に吸着して分散媒中での分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0040】
上記分散剤のうち少量の添加量で分散組成物の粘度が低くなり、高い分光透過率を示すという理由から、塩基性官能基を有する樹脂型分散剤が好ましい。樹脂型分散剤は、顔料全量に対して3〜200重量%程度使用することが好ましく、成膜性の観点から5〜100重量%程度使用することがより好ましい。
【0041】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、BASFジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0042】
顔料誘導体としては、下記一般式(1)で表される顔料誘導体を用いることができる。
一般式(1)
G
1−(E)
q
(式中、G
1は、色素原型化合物残基であり、Eは、塩基性置換基、酸性置換基、又は中性置換基であり、qは、1〜4の整数である。)
【0043】
Eにおける塩基性置換基の好ましい態様としては、下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)または一般式(5)で示される置換基を挙げることができる。
【0045】
(X
1は、−SO
2−、−CO−、−CH
2NHCOCH
2−、−CH
2−または直接結合を表す。pは、1〜10の整数を表す。R
1およびR
2は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。R
1とR
2は、互いに結合して環を形成しても良い。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。)
【0047】
(R
3およびR
4は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。R
3とR
4は、互いに結合して環を形成しても良い。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。)
【0049】
(X
2は、−SO
2−、−CO−、−CH
2NHCOCH
2−、−CH
2−または直接結合を表す。R
5は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。R
6、R
7、R
8およびR
9は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。R
5〜R
9の隣接した基は、互いに結合して環を形成しても良い。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましい。)
【0051】
(X
3は、−SO
2−、−CO−、−CH
2NHCOCH
2−、−CH
2−又は直接結合を表す。Yは、−NR
30−Z−NR
31−又は直接結合を表す。R
30およびR
31は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましい。Zは、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基または置換されていてもよいフェニレン基を表す。アルキレン基及びアルケニレン基の炭素数は1〜8が好ましい。Pは、一般式(6)で示される置換基または一般式(7)で示される置換基を表す。Qは、水酸基、アルコキシル基、一般式(6)で示される置換基または一般式(7)で示される置換基を表す。)
【0053】
(rは、1〜10の整数を表す。R
10およびR
11は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。R
10とR
11は、互いに結合して環を形成しても良い。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。)
【0055】
(R
16は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。R
13、R
14、R
15およびR
16は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。R
12〜R
16の隣接した基は、互いに結合して環を形成しても良い。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましい。)
【0056】
Eにおける酸性置換基又は中性置換基の好ましい態様としては、一般式(8)、一般式(9)及び一般式(10)で示される置換基を挙げることができる。
一般式(8)
−SO
3M/l
(Mは、水素原子、アルカリ金属原子、カルシウム原子、バリウム原子、ストロンチウム原子、マンガン原子、又はアルミニウム原子を表す。lは、Mの価数を表す。)
【0058】
(R
17、R
18、R
19およびR
20は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を表す。但し全てが水素原子である場合は除く。)
【0060】
(A
1は、水素原子、ハロゲン原子、−NO
2、−NH
2又はSO
3Hを表す。kは、1〜4の整数を表す。)
【0061】
G
1の色素原型化合物残基としては、例えば、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、若しくはポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、又は金属錯体系色素の各種色素残基、さらには、アントラキノン残基又はトリアジン残基などを挙げることができる。
【0062】
アントラキノン残基としては、上記塩基性置換基、酸性置換基又は中性置換基を有するアントラキノン残基が挙げられる。また、トリアジン残基としては、メチル基、若しくはエチル基等のアルキル基、又はアミノ基又はジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、若しくはジブチルアミノ基等のアルキルアミノ基、又はニトロ基又は水酸基又はメトキシ基、エトキシ基、若しくはブトキシ基等のアルコキシ基又は塩素等のハロゲン又はメチル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、水酸基等で置換されていてもよいフェニル基、又はメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ニトロ基、若しくは水酸基等で置換されていてもよいフェニルアミノ基等の置換基を有していてもよい1,3,5−トリアジンの残基に、更に、上記塩基性置換基、酸性置換基又は中性置換基が導入されたトリアジン残基が挙げられる。
【0063】
中でも、トリアジン残基やアントラキノン残基を含有する顔料誘導体がより好ましい。トリアジン残基やアントラキノン残基を有する顔料誘導体は、顔料に対して、より高い吸着性を示し、高い分散性が得られると同時に、熱反応性化合物の硬化反応をより効果的に引き起こし、耐性の更なる向上を期待することができる。
【0064】
<可塑剤>
本発明のカラーチップは、更に可塑剤を含有してもよい。可塑剤として、フタル酸エステル、リン酸エステル、非環式(脂肪族)ジカルボン酸エステル、脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0065】
フタル酸エステルとしては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジフェニル等が挙げられる。
【0066】
リン酸エステルとしては、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸ジフェニルー2−エチルヘキシル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリス(ブトキシエチル)等が挙げられる。
【0067】
非環式(脂肪族)ジカルボン酸エステルとしては、オレイン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、アセチル化リシノール脂肪酸のメチルエステル及びブチルエステル、脂肪酸グリコールエステル、トリエチレングリコールージー(2−エチルブチレート)、エポキシステアリン酸のエステル、クエン酸エステル、例えばクエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチレン等が挙げられる。
【0068】
可塑剤は、フタル酸エステル及び脂肪酸エステルが好ましい。フタル酸エステルの中でもフタル酸ジオクチル、フタル酸ジフェニルが特に好ましく、非環式(脂肪族)ジカルボン酸エステルの中でもクエン酸アセチルトリブチルが特に好ましい。
【0069】
<有機溶剤>
本発明のカラーチップを製造する際に、有機溶剤を使用することができる。また、本発明のカラーチップの製造方法により製造されたカラーチップから分散ペーストを得るためにも有機溶剤が使用される。有機溶剤として、ケトン類、エステル類、炭化水素系溶剤、アルコール類、エーテル類などが挙げられる。好ましくはケトン類、エステル類、炭化水素系溶剤からなる群より選ばれる1種以上の有機溶媒である。
【0070】
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどが挙げられる。
【0071】
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸メトキシプロピル、酢酸メトキシブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル、酢酸3−エトキシエタノール、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸メトキシプロピル、プロピオン酸メトキシブチル、プロピオン酸セロソルブ、プロピオン酸アミル、プロピオン酸3−エトキシエタノール、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸メトキシプロピル、酪酸メトキシブチル、酪酸セロソルブ、酪酸アミル、酪酸3−エトキシエタノール、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、イソ酪酸メトキシプロピル、イソ酪酸メトキシブチル、イソ酪酸セロソルブ、イソ酪酸アミル、イソ酪酸3−エトキシエタノール、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、1−メトキシプロピル−2−アセテートなどが挙げられる。
【0072】
炭化水素系溶剤としては、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、スチレンなどが挙げられる。
【0073】
アルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、t−アミルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0074】
エーテル類としては、イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジオキサンなどが挙げられる。
【0075】
更には、必要に応じて、上記以外の有機溶剤を併用することもできる。これらには例えば、石油ベンジン、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等が挙げられる。上記の有機溶媒は、所望するカラーチップや分散ペーストを得る目的で、1種のみ使用しても、2種以上を混合して使用しても差し支えない。
【0076】
更には、本発明のカラーチップから分散ペーストを得る場合、有機溶剤だけでなく樹脂を混合してもよい。樹脂としては、上記のものが挙げられ、カラーチップを製造する際に用いられる樹脂と同じであっても異なっていても良い。
【0077】
本発明において、顔料、脂肪族アミン、樹脂からなる混合物、更に分散剤を含む混合物、更に可塑剤を含む混合物、更に有機溶剤を含む混合物を得るために従来公知の混合機を用いることができる。従来公知の混合機としては、特に限定されるものではないが、ニーダー、加圧型ニーダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー等が挙げられる。
【0078】
本発明のカラーチップに有機溶剤を混合して分散ペーストを得る場合、分散ペースト中の顔料分と樹脂分の和である固形分が5〜90%であることが好ましく、10〜70%であることがより好ましい。更に、固形分中の顔料分が5〜90%であることが好ましく、10〜70%であることがより好ましい。また、これらの濃度で分散ペーストを製造した際に、分散ペーストの粘度は、ストーマー粘度計KU−2(Brookfield社製)を用い、JIS K5600−2−2に基づいて、粘度(クレブス値、KU値)として45〜65KUとなることが好ましく、50〜60KUであることがより好ましい。
【0079】
本発明においてカラーチップに有機溶剤を混合して分散ペーストを得る場合に、単に両者をディスパー撹拌によって混合しても、従来公知の分散装置を用いて分散しながら混合してもよい。従来公知の分散装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、バスケットミル、ホモミキサー、サンドグラインダー、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、ナノマイザー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)等を用いることができる。コスト、処理能力を考えた場合、メディア型分散機を使用するのが好ましい。また、メディアとしてはガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、ステンレスビーズ、プラスチックビーズ、チタニアビーズ等を用いることができる。
【0080】
本発明における分散組成物中には、さらに組成物および塗料としての適性を付与するために種々の添加剤を配合してもよい。添加剤の種類を具体的に列挙すると、増粘剤、pH調整剤、乾燥防止剤、防腐・防かび剤、キレート剤、紫外線吸収材、酸化防止剤、消泡剤、レオロジーコントロール剤等が挙げられる。
【0081】
本発明の製造方法によって得られるカラーチップの用途は特に限定されないが、高い光沢度と発色が要求される建材、自動車等の塗料用途、印刷インキ用途等に使用することができる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中、特に断りの無い限り、「部」、「%」は、それぞれ、「質量部」、「質量%」を表す。
まず、実施例および比較例で使用した材料等を以下に示す。
【0083】
<顔料>
・RAVEN5000(RAVEN 5000 Ultra II Beads(C.I.ピグメントブラック7(PB7))、ADITYA BIRLA社製)
・BLACK PEARLS 1300(BLACK PEARLS 1300(C.I.ピグメントブラック7(PB7)、Cabot社製)
【0084】
<樹脂>
・CAB−551−0.2(セルロースアセテートブチレート系樹脂、Eastman社製)
・ソルバインTAO(塩化ビニル・酢酸ビニル系変性樹脂、日信化学工業社製)
・PIG−VARNISH VC02(塩化ビニル・酢酸ビニル系変性樹脂、東洋インキ社製)
【0085】
<脂肪族アミンおよびアミン系カチオン活性剤>
・ジエチレントリアミン(
窒素原子に結合する脂肪族炭化水素基の炭素数が
2個)
・エチレンジアミン(
窒素原子に結合する脂肪族炭化水素基の炭素数が2個)
・トリエタノールアミン(
窒素原子に結合する脂肪族炭化水素基の炭素数が
2個)
・アニリン(
窒素原子に結合する脂肪族炭化水素基の炭素数が0個)
・N−ウンデシルグリシン(
窒素原子に結合する脂肪族炭化水素基の炭素数が11個)
・ヘキサデシルアンモニウムクロライド(
窒素原子に結合する脂肪族炭化水素基の炭素数が16個)
【0086】
<分散剤>
・SOLSPERSE24000(樹脂型分散剤、Lubrizol社製)
【0087】
<可塑剤>
・シトロフレックス(シトロフレックスA−4、Vertellus社製)
・DBP(フタル酸ジフェニル)
【0088】
<有機溶剤>
・トルエン
・IPA(イソプロピルアルコール)
・PMA(プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート)
・MIBK(メチルイソブチルケトン)
・酢酸ブチル
【0089】
<カラーチップの作製>
(実施例1)
RAVEN5000 28.20部
CAB−551−0.2 59.40部
ジエチレントリアミン 1.69部
シトロフレックスA−4 4.70部
トルエン 2.81部
IPA 3.20部
上記成分を均一になるように混合し、60℃に加熱した8インチ2本ロール(井上製作所社製)で練肉した。2本ロールの間隔は1mmとし、混合物がシート状になってから12分間練肉した。得られたシート状混合物をポリエチレン製の袋の中に入れた後、袋の上からハンマーで叩くことによって粉砕してカラーチップ1を得た。
【0090】
(実施例2〜7、比較例1〜5)
使用する顔料、樹脂、脂肪族アミンまたはアミン系カチオン活性剤、分散剤、可塑剤、有機溶剤を表1に示す組み合わせに変更した以外は、実施例1と同様にして、カラーチップ2〜12を得た。但し、実施例2においては樹脂の使用量を59.4部から64.1部に、実施例5においては更にSOLSPERSE24000を1.41部使用すると共に樹脂の使用量を59.4部から57.99部に、比較例1および5においては樹脂の使用量を59.4部から61.09部にそれぞれ変更した。
【0091】
【表1】
【0092】
<分散ペーストの作製>
(実施例8)
カラーチップ1 8.33部
CAB−551−0.2 14.17部
PMA 9.00部
酢酸ブチル 9.50部
MIBK 9.00部
上記成分を、容量140mLの蓋付ガラス瓶に入れた後、密栓をして、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)で25℃にて30分間振とう撹拌し、分散ペースト1を得た。尚、カラーチップ1は、製造直後のものを使用した。
【0093】
(実施例9〜13)
カラーチップ1をカラーチップ2〜6にそれぞれ変更した以外は、実施例8と同様にして、分散ペースト2〜6をそれぞれ得た。尚、カラーチップは、いずれも製造直後のものを使用した。
【0094】
(実施例14)
カラーチップ7 8.33部
PIG−VARNISH VC02 27.79部
トルエン 6.94部
MEK 6.94部
成分を上記成分に変更した以外は、実施例8と同様の方法により、分散ペースト7を得た。尚、カラーチップ7は、製造直後のものを使用した。
【0095】
(比較例6〜9)
カラーチップ1をカラーチップ8〜11にそれぞれ変更した以外は、実施例8と同様にして、分散ペースト8〜11をそれぞれ得た。尚、カラーチップは、いずれも製造直後のものを使用した。
【0096】
(比較例10)
カラーチップを12に変更した以外は実施例14と同様にして分散ペースト12を得た。尚、カラーチップ12は、製造直後のものを使用した。
【0097】
以下に、分散ペーストの粘度、明度、漆黒性、光沢の評価方法と、評価結果を表2に示す。
【0098】
<粘度の測定と評価方法>
分散ペースト1〜12を、恒温槽にて25℃に調整し、ディスパー撹拌(3000rpm×2分間)した。その後直ちにストーマー粘度計KU−2(Brookfield社製)を用い、JIS K5600−2−2に基づいて、粘度(クレブス値、KU値)を測定した。KU値が60以下であれば分散ペーストとして低粘度であると言える。表2から明らかなように、本発明の分散ペースト1〜7はいずれもKU値が60以下であり、実用上問題なく優れていると言える。これに対して、比較例6〜10の分散ペースト8〜12はいずれもKU値が60以上と高く、粘度において劣っていることが明らかとなった。
【0099】
<明度の測定と評価方法>
実施例8〜14、比較例6〜10で得た分散ペースト1〜12をそれぞれ、アート紙(王子製紙社製、OK金藤片面)に4ミルのアプリケーター(塗工時の膜厚が100μm)を用いて塗布した後、乾燥してそれぞれ塗膜を得た。乾燥条件は25℃にて10分間、次いで、105℃にて30分間の順で乾燥した。得られた塗膜について、分光色彩計 SE2000(日本電色工業社製)を用いて、塗膜の面から明度(Lab色空間におけるL)を測定した。測定はD65光源を用い、測定波長範囲を380nm〜780nmとした。Lが低いほど明度が低く、漆黒性が高いことを表す。また、各例について標準(基準)からの明度の差(ΔL)を算出した。分散ペースト1〜6および9〜11を用いて得られた塗膜のΔLは、分散ペースト8を用いて得られた塗膜のLを標準として、分散ペースト1〜6および9〜11を用いて得られた塗膜のLとの差を求めることにより算出した。分散ペースト7を用いて得られた塗膜のΔLは、分散ペースト12を用いて得られた塗膜のLを標準として、分散ペースト7を用いて得られた塗膜のLとの差を求めることにより算出した。ΔLが、−0.5より低ければ明度が低く、漆黒性に差があると言える。表2から明らかなように、本発明の分散ペースト1〜7を用いて得られる塗膜のΔLはいずれも−0.5より低く、実用上問題なく漆黒性が優れていると言える。これに対して、比較例7〜9の分散ペースト9〜11を用いて得られる塗膜のΔLは、いずれも−0.5より大きく、漆黒性が劣っていることが明らかとなった。
【0100】
<漆黒性の評価方法>
漆黒性はMcを用いて評価した。前述の方法によって得られた塗膜について、分光色彩計 SE2000(日本電色工業社製)を用いて、塗膜の面から色度(XYZ色空間におけるX、Y、Z)を測定した。それぞれの塗膜のMcは下記式1に基づいて算出した。
【0101】
式1 Mc=100[log(Xn/X)−log(Zn/Z)+log(Yn/Y)]
X :塗膜のX
Xn:照射光源のX
Y :照射光源のY
Yn:経時塗膜面のY
Z :塗膜のZ
Zn:照射光源のZ
【0102】
Mcが150以上であれば、漆黒性が高いと言える。表2から明らかなように、本発明の分散ペースト1〜7を用いて得られる塗膜のMcは、いずれも150以上であり、実用上問題なく漆黒性が優れていると言える。これに対して、比較例6〜10の分散ペースト8〜12を用いて得られる塗膜のMcは、いずれも150以下であり、漆黒性が劣っていることが明らかとなった。
【0103】
<光沢度(Gs60°)の測定と評価方法>
実施例8〜14、比較例6〜10で得た分散ペースト1〜12を、透明ポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム、パナック社製ルミラー100T60)に4ミルのアプリケーター(塗工時の膜厚が100μm)を用いて塗布した後、乾燥して塗膜を得た。乾燥条件は25℃にて10分間、次いで、105℃にて30分間の順で乾燥した。得られた塗膜の光沢度は、光沢計 VG2000(日本電色工業社製)を用いて、60°角の光沢度(Gs60°)を測定した。光沢度が高いほど塗膜の光沢が高いことを表す。また、各例について標準(基準)からの光沢度の差(ΔGs60)を算出した。分散ペースト1〜6および9〜11を用いて得られた塗膜のΔGs60°は、分散ペースト8を用いて得られた塗膜のGs60°を標準として、分散ペースト1〜6および9〜11を用いて得られた塗膜のGs60°との差を求めることにより算出した。分散ペースト7を用いて得られた塗膜のΔGs60°は、分散ペースト12を用いて得られた塗膜のGs60°を標準として、分散ペースト7を用いて得られた塗膜のGs60°との差を求めることにより算出した。ΔGs60°が大きいものほど、標準よりも光沢度が高いといえる。表2から明らかなように、本発明の分散ペースト1〜7を用いて得られる塗膜のΔGs60°は、いずれも大きく、実用上問題なく光沢度が優れていると言える。これに対して、比較例7〜9の分散ペースト9〜11を用いて得られる塗膜の光沢度は、いずれも小さく、光沢度が劣っていることが明らかとなった。
【0104】
【表2】
【0105】
以下に、カラーチップの経時安定性の評価方法と、評価結果を表3に示す。カラーチップの経時安定性は、粘度、漆黒性、色相、光沢について評価した。
【0106】
<経時安定性(粘度)の評価方法>
上記方法によって製造したカラーチップ1〜12をそれぞれ40℃のオーブンに30日間保存した。その後、前述の方法によって分散ペーストを作製し(「経時分散ペースト1〜12」とする)、それぞれの経時分散ペーストの粘度(クレブス値、KU値)をストーマー粘度計KU−2によって測定した。カラーチップの経時安定性(粘度)は、経時分散ペーストのΔKU(経時)を求めることにより評価した。経時分散ペースト1〜12のΔKU(経時)は、製造直後のカラーチップを使用して作製した分散ペースト1〜12の各々のKU値を標準として、経時分散ペースト1〜12の各々のKU値との差を求めることにより算出した。ΔKU(経時)の絶対値が小さいほど、カラーチップの経時安定性(粘度)が高いことを表す。表3から明らかなように、本発明のカラーチップ1〜7を用いて得られた経時分散ペースト1〜7は、いずれもΔKU(経時)が小さく、経時安定性(粘度)は実用上問題なく優れていると言える。これに対して、比較例1〜5のカラーチップ8〜12を用いて得られる経時分散ペースト8〜12は、いずれもΔKU(経時)が大きく、経時安定性(粘度)において劣っていることが明らかとなった。
【0107】
<経時安定性(漆黒性)の評価方法>
前述の経時分散ペーストを用いて、明度の測定と同様な方法により塗膜をそれぞれ作製した(「経時塗膜」とする)。それぞれの経時塗膜について、その色度(X、Y、Z)を分光色彩計 SE2000で測定した。前述の式1により、それぞれの経時塗膜のMcを算出した。カラーチップの経時安定性(漆黒性)は、経時塗膜のΔMc(経時)を求めることにより評価した。経時塗膜のΔMc(経時)は、製造直後の各々のカラーチップを使用して作製した分散ペーストから得られる塗膜(「初期塗膜」とする)のMcを標準として、各々の経時塗膜のMcとの差を求めることにより算出した。ΔMc(経時)が小さいほど、カラーチップの経時安定性(漆黒性)が高いことを表す。表3から明らかなように、本発明のカラーチップ1〜7を用いて得られる経時分散ペースト1〜7から得られる経時塗膜は、いずれもΔMc(経時)が小さく、経時安定性(漆黒性)は実用上問題なく優れていると言える。これに対して、比較例1〜5のカラーチップ8〜12を用いて得られる経時分散ペースト8〜12から得られる経時塗膜は、いずれもΔMc(経時)が大きく、経時安定性(漆黒性)において劣っていることが明らかとなった。
【0108】
<経時安定性(色相)の評価方法>
前述の経時塗膜について、その色相を分光色彩計 SE2000で測定した。カラーチップの経時安定性(色相)は、経時塗膜の色相差(ΔE(経時))を求めることにより評価した。経時塗膜の色相差(ΔE(経時))は、下記式2で算出した。ΔE(経時)が小さいほどカラーチップの経時安定性(色相)が高いことを表す。表3から明らかなように、本発明のカラーチップ1〜7を用いて得られる経時分散ペーストから得られる経時塗膜は、いずれもΔE(経時)が小さく、経時安定性(色相)は実用上問題なく優れていると言える。これに対して、比較例1〜5の8〜12を用いて得られる経時分散ペーストから得られる経時塗膜は、いずれもΔE(経時)が大きく、経時安定性(色相)において劣っていることが明らかとなった。
式2
【0109】
【数2】
【0110】
L
1 :初期塗膜面の明度
L
2 :経時塗膜面の明度
a
1 :初期塗膜面のa
a
2 :経時塗膜面のa
b
1 :初期塗膜面のb
b
2 :経時塗膜面のb
【0111】
<経時安定性(光沢度)の評価方法>
前述の経時分散ペーストを用いて、光沢度の測定と同様な方法により塗膜をそれぞれ作製した(「経時塗膜」とする)。それぞれの経時塗膜について、光沢計 VG2000(日本電色工業社製)を用いて、60°角の光沢度(Gs60°)を測定した。カラーチップの経時安定性(光沢度)は、経時塗膜のΔGs60°(経時)を求めることにより評価した。経時塗膜のΔGs60°(経時)は、製造直後のカラーチップを使用して作製した分散ペーストから得られる各々の塗膜(「初期塗膜」とする)のGs60°を標準として、各々の経時塗膜のGs60°との差を求めることにより算出した。ΔGs60°(経時)が小さいほど、カラーチップの経時安定性(光沢度)が高いことを表す。表3から明らかなように、本発明のカラーチップ1〜7を用いて得られる経時分散ペーストから得られる経時塗膜は、いずれもΔGs60°(経時)が小さく、経時安定性(光沢度)は実用上問題なく優れていると言える。これに対して、比較例1〜5のカラーチップ8〜12を用いて得られる経時分散ペーストから得られる経時塗膜は、いずれもΔGs60°(経時)が大きく、経時安定性(光沢度)において劣っていることが明らかとなった。
【0112】
【表3】
【0113】
以上示したように、本発明のカラーチップ1〜7は、それぞれの経時分散ペースト1〜7の経時安定性(粘度)、経時安定性(漆黒性)、経時安定性(色相)、経時安定性(光沢)のいずれの項目においても優れており、経時安定性が優れていることが明らかとなった。これに対して、比較例1〜5のカラーチップ8〜12は、それぞれの経時分散ペースト8〜12の経時安定性(粘度)、経時安定性(漆黒性)、経時安定性(色相)、経時安定性(光沢)のいずれの項目においても劣っており、経時安定性が劣っていることが明らかとなった。