(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6149227
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
A63F5/04 512Z
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-163279(P2015-163279)
(22)【出願日】2015年8月20日
(65)【公開番号】特開2017-38825(P2017-38825A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2016年9月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100103104
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 伊織
【審査官】
高木 亨
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−050479(JP,A)
【文献】
特開2011−206396(JP,A)
【文献】
特開2005−084792(JP,A)
【文献】
特開2008−113207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアルクロックライン(SCLという)とシリアルデータライン(SDAという)によりマスターとスレーブの間で通信を行う高速シリアルバスにより、マスターとなるマイクロコントローラと、スレーブのうち他のデバイスに比べてタスク優先順位の低いリアルタイムクロックとの間を接続した遊技機において、
前記マイクロコントローラに、このマイクロコントローラの定時割込み処理にて前記高速シリアルバスにより前記マイクロコントローラと前記リアルタイムクロックとの間で通信を開始させる際、前記リアルタイムクロックに起因してSDAがローレベルに保持される異常を検出したとき、前記マイクロコントローラからの指令によりSCLがハイレベルにあるときSDAをローレベルからハイレベルに変化させる通信停止処理と、これに続いて前記マイクロコントローラからの指令によりSCLがハイレベルにあるときSDAをハイレベルからローレベルに変化させる通信開始処理とを各一回実行して、SDAがハイレベルに復帰した状態で前記通信開始処理がされて通信開始に成功した場合、当該定時割込み処理にて前記マイクロコントローラと前記リアルタイムクロックとの間の通信処理を続行し、SDAがローレベルのままの状態で前記通信開始処理がされて通信開始に成功しなかった場合、当該定時割込み処理による前記マイクロコントローラと前記リアルタイムクロックとの間の通信を一旦終了し、次回以後の定時割込み処理にて、前記リアルタイムクロックに起因してSDAがローレベルに保持される異常を検出したときの前記通信停止処理と、前記通信開始処理とを、通信開始に成功するまで繰り返し実行させる通信復旧手段を設けたことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回胴式遊技機、その他のスロットマシン、アーケードゲーム機、ぱちんこ遊技機等の遊技機に関する。特に、リアルタイムクロック(Real Time Clock、以下、RTCともいう)を演出デバイスに含み、サブCPU等との間で高速シリアルバスにより通信を行う遊技機に係る。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機に適用する高速シリアルバスには、通常、オランダのフィリップス社(Philips)が開発したI2C(Inter−Integrated Circuit、IIC又はI
2Cとも書く)バスが用いられる。このI2Cバスは、シリアルクロックラインSCLとシリアルデータラインSDAの2本の信号線により双方向の通信を可能にした高速シリアルバスであり、ピン数や基板上の配線も少なく、低コスト化が可能であること、複数のデバイスを数珠繋ぎして負荷容量を変更可能であることや、各デバイスをアドレスで管理可能であることから、機種毎の要求仕様に柔軟に対応させることができ、しかも、ノイズに強い等、遊技機への適用に好都合な特徴を有している。I2Cバスによるシリアル通信方式によりリアルタイムクロックRTCとの間で通信を行う遊技機の例は、例えば特許文献1等に記載されている。
【0003】
なお、I2Cバス方式において、マスターとは、データ転送を開始し、クロック信号を生成し、データ転送を終了するデバイスをいう。スレーブとは、マスターからアドレス指定されるデバイスをいう。トランスミッタとは、データをバスに送信するデバイスをいう。レシーバとは、データをバスから受信するデバイスをいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−172030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
I2Cバスでは、マスターとなるマイクロコントローラ例えばサブCPUと、マスターからアドレス指定されるRTC等のスレーブデバイスとの間で通信を開始させる前提として、シリアルクロックラインとシリアルデータラインが共にハイレベル(3.3Vや5.0V等のマイクロコントローラの主動作電位)にある必要があるが、サブCPUがマスターレシーバとなってスレーブトランスミッタとなるRTCから時刻データを受信中に、電源断等の何らかの原因により通信が中断されると、RTC側は通信途中であると認識してシリアルデータラインをローレベル(0V等のグランド電位)に保持し続ける恐れがある。この場合、サブCPUは通信がビジー状態であると判断し、通信を再開させることができなくなる恐れがある。多くの場合、RTCは二次電池等によりバックアップされているため、逆にこれが災いして、電源断後に電源を再投入してもこの状況を解消できず、市場での復旧は困難になる。
【0006】
本発明の課題は、マイクロコントローラとリアルタイムクロックRTCとの通信途中に何らかの原因により通信が中段されてシリアルデータラインがローレベルを保持し続けることとなる場合にも、通信を再開させることができる遊技機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図面の符号を括弧内に付記して例示する。
シリアルクロックライン(SCLという)とシリアルデータライン(SDAという)によりマスターとスレーブの間で通信を行う高速シリアルバス(I2C)により、マスターとなるマイクロコントローラ(サブCPU)と
、スレーブのうち他のデバイスに比べてタスク優先順位の低いリアルタイムクロック(RTC)との間を接続した遊技機において、
前記マイクロコントローラに、
このマイクロコントローラの定時割込み処理にて前記高速シリアルバス(I2C)により
前記マイクロコントローラと前記リアルタイムクロックと(RTC)の間で通信を開始させる際、前記リアルタイムクロック(RTC)に起因してSDAがローレベルに保持される異常を検出したとき、前記マイクロコントローラからの指令によりSCLがハイレベルにあるときSDAをローレベルからハイレベルに変化させる通信停止処理と、これに続いて前記マイクロコントローラからの指令によりSCLがハイレベルにあるときSDAをハイレベルからローレベルに変化させる通信開始処理とを
各一回実行して、SDAがハイレベルに復帰した状態で前記通信開始処理がされて通信開始に成功した場合、当該定時割込み処理にて前記マイクロコントローラと前記リアルタイムクロック(RTC)との間の通信処理を続行し、SDAがローレベルのままの状態で前記通信開始処理がされて通信開始に成功しなかった場合、当該定時割込み処理による前記マイクロコントローラと前記リアルタイムクロック(RTC)との間の通信を一旦終了し、次回以後の定時割込み処理にて、前記リアルタイムクロック(RTC)に起因してSDAがローレベルに保持される異常を検出したときの前記通信停止処理と、前記通信開始処理とを、通信開始に成功するまで繰り返し実行させる通信復旧手段(BK)を設けた。
【0008】
これにより、マイクロコントローラとリアルタイムクロックとの通信途中に何らかの原因により通信が中段されてシリアルデータラインがローレベルを保持し続けることとなる場合にも、マイクロコントローラに設ける通信復旧手段により、マイクロコントローラからの指令によりSCLがハイレベルにあるときSDAをローレベルからハイレベルに変化させる通信停止処理と、これに続いて前記マイクロコントローラからの指令によりSCLがハイレベルにあるときSDAをハイレベルからローレベルに変化させる通信開始処理とを一回以上実行することにより、シリアルクロックラインがハイレベルからローレベルへローレベルからハイレベルへと変化するダミークロックを発振させることができ、このダミークロックにより通信途中の通信データをリアルタイムクロックから出力させることができる。このため、リアルタイムクロックがシリアルデータラインを占有している状況を解消でき、シリアルデータラインをローレベルからハイレベルに復帰させることができ、通信を再開させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】周辺制御装置におけるサブCPUでの通信開始処理フロー。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に、本発明を適用する回胴式遊技機を示す。回胴式遊技機は、一般にパチスロと呼ばれ、遊技機規則、すなわち平成16年(2004年)1月30日の国家公安委員会規則第1での改正を経た昭和60年(1985年)2月12日の国家公安委員会規則第4「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」に適合するスロットマシンである。以下、用語及びその技術内容は現行の遊技機規則に準ずる。
【0011】
遊技機筐体8Bは、リアキャビネット8R及びキャビネット枠8W、扉状の上下フロントキャビネット8E,8Fを備える。上フロントキャビネット8Eには、動画や所定の情報をフルカラーで映し出す演出表示装置7を構成する液晶表示装置70、リールパネル8、上装飾ランプ81,左装飾ランプ82,右装飾ランプ83,液晶表示装置70の角に臨む4つのアクセント装飾ランプ84,リールパネル8の上・左・右に臨むパネル装飾ランプ85を備える。下フロントキャビネット8Fには、操作部8S、腰部パネル8P、左下装飾ランプ86、右下装飾ランプ87を備える。81〜87の総称として、装飾ランプ88という。91〜94はBGMや各種効果音等を出音するスピーカ、8Mはメダル払出口、8Gはメダル受皿、8Tは灰皿である。なお、左右は、遊技機に対面した遊技者目線における左右を意味する。以下、同様である。
【0012】
リールパネル8の透明な表示窓80の内部には、複数の可変表示要素となる左リール1L、中リール1C、右リール1Rを備え、それぞれのリール帯10L,10C,10Rの外周に全部で21コマ又は20コマ配列した図柄のうち連続する3コマを窓越しに臨ませている。定常回転時を含む通常の正転時、各図柄は上から下にスクロールする。表示窓80の窓越しに表示される複数列及び複数段の図柄表示位置、すなわち、左・中・右リール1L,1C,1Rの3列とそれぞれの上・中・下の3段との、列と段で特定される3×3=9個の図柄表示位置において、例えば中段ライン(左中−中中−右中)のみを有効ラインとしている。なお、他のラインを含めて2本以上のラインを有効ラインとしてもよい。
【0013】
操作部8Sには、遊技媒体たる遊技メダルを投入するメダル投入口2、遊技者操作を演出に関与させるプッシュボタンPBとダイヤルDAをもつジョグダイヤルJD、貯留装置の電磁的記録すなわちクレジットから一回の遊技に必要な規定数例えば3枚(3BET)の掛けメダルを引き落とすベットボタン3、クレジットに残る数のメダルをメダル受皿8Gに落す精算ボタン4、各リール1L,1C,1Rの可変表示(回転)を開始させるスタートスイッチとなるスタートレバー5、各リール1L,1C,1Rに対応して設け、対応するリールの可変表示(回転)を個別に停止させるストップスイッチとなる左ストップボタン6L、中ストップボタン6C、右ストップボタン6R、メダル投入口2下流のメダル詰り時に押すメダル返却ボタン20、ドアキー穴8Kを備える。
【0014】
リールパネル8には、現時のクレジット数を表示させるクレジット表示器DL1、入賞による払出メダル枚数を表示させるペイアウト表示器DL2、充当掛けメダルが1枚、2枚、3枚になる毎に点灯させる1〜3枚ランプEL1〜3、掛けメダルが受付可能なとき点灯させるベットランプELb、スタートレバー5による始動操作が可能なとき点灯させるスタートランプELs、再遊技に係る図柄の組合せが表示されたとき点灯させるリプレイランプELrを含む遊技基本ランプ類30を備える。また、ストップボタン6L,6C,6Rを押す順番に正解した時に投入メダル数を超える高配当のメダルを払出す押し順小役についての正解の押し順や狙うべき図柄を報知させるアシストタイムATの作動中に、液晶表示装置70でのナビ報知と共に点灯させる左停止ランプ71、中停止ランプ72、右停止ランプ73を含む演出表示装置70を構成する遊技演出ランプ類700を備える。
【0015】
ベットランプELbの点灯時、掛けメダルが0の状態でメダル投入口2からメダル1枚を入れると1枚ランプEL1が点灯し、さらに1枚入れると2枚ランプEL2が点灯し、さらに1枚入れると3枚ランプEL3が点灯し、規定数に達する。規定数の掛けメダルになると、スタートランプELsが点灯し、スタートレバー5による始動操作が可能になる。規定数に達した状態からスタートレバー5を操作しないでメダル投入口2にさらにメダルを入れると、クレジット表示器DL1のカウンタを進め、所定上限数である50枚まで貯留可能となる。入賞により払出されたメダルも50枚まではクレジットに加算され、50枚を超えて払出されたメダルは、メダル払出口8Mからメダル受皿8Gに受止められる。
【0016】
図2に示すように、遊技機筐体8Bの内部に組込む制御装置CNは、遊技の進行を管理し、内部抽せん、入賞によるメダルの払出し、再遊技の作動、役物の作動、アシストタイムATの作動等の遊技者利益に関係する主遊技制御を実行させる所謂メイン側と呼ばれる遊技機規則でいう主基板に対応する主制御装置MCと、この主制御装置MCから一方向性通信仕様に従って送信する情報を受信して主制御装置MCでの決定事項に基づいて演出制御を実行させる所謂サブ側と呼ばれる 遊技機規則でいう周辺基板に対応する周辺制御装置SCとを含む。一方向性通信仕様とは、主基板に関して遊技機規則で規定する「周辺基板が送信する信号を受信することができるものでないこと」を満たす通信仕様をいう。
【0017】
主制御装置MCは、読み出し専用のリードオンリーメモリROM及び読み書き可能なリードライトメモリーRWMを内蔵したZ80互換チップから成る8ビットの メインCPUを備え、例えば12MHzのシステムクロック動作環境下で使用している。
【0018】
メインCPUの入力ポートI1には、各リール1L,1C,1Rのインデックスセンサ11L,11C,11R(IDs)、各ストップボタン6L,6C,6R、ベットボタン3、精算ボタン4、スタートレバー5、メダル投入口2の下流に設ける投入メダルセンサ21、遊技機筐体8Bに内蔵するメダル払出装置HPの出口に設ける払出メダルセンサ23の各信号を入力している。出力ポートO1から、各ストップボタン6L,6C,6Rの内蔵LED61,62,63を、モータドライバ回路Dr1を介して各リール1L,1C,1Rに駆動軸SHを結合させる各ステッピングモータ12L,12C,12R(SM)を、LEDドライバ回路Dr2を介して遊技基本ランプ類30を、ソレノイドドライバ回路Dr3を介してリール始動後に追投入されるメダルをメダル受皿8Gに落すメダルブロッカー22を、モータドライバ回路Dr4を介してメダル払出装置HPのメダル払出モータ24を各制御している。
【0019】
各インデックスセンサIDsは、各リールの内側に取付ける半円帯状のインデックスID(1Li,1Ci,1Ri)のオンエッジとオフエッジとを半周毎に検出し、最先のオンエッジ又はオフエッジの検出が全リールについてされた後、ストップボタン6L,6C,6Rの受付を可能にする。各ステッピングモータSMは、鉄芯外周に多数のロータ小歯をもつ永久磁石内蔵式のロータRmと、磁極内周に複数のステータ小歯をもつ複数組の磁極にA相、B相、C相(Aバー相(Aの反転相))、D相(Bバー相(Bの反転相))の巻線を巻回したステータSwとを有し、定常回転時、一の巻線をオンにする1相励磁と、一の巻線及び隣接する他の巻線をオンにする2相励磁とを、1タイマー割込み時間t=1.49ms毎に交互に繰返す1−2相励磁により、励磁パルスの1ステップ更新により半ステップ角(2ステップ更新により1ステップ角)ずつ変位させ、504のステップ更新で一回転させる。また、励磁パルスのステップ更新方向を変更することにより正転と逆転とを可能にしている。
【0020】
メインCPUのROM上には、スタートレバー5の操作を契機に、高速更新する例えば2バイトカウンタから抽出する乱数値が、その取り得る0〜65535の範囲内において役に対応づけて区分した何れの当せんエリアに属するかに応じて、入賞、再遊技の作動、役物の作動に係る何れかの当せん役又は不当せんを決定する内部抽せん手段K、スタートレバー5の操作後で且つ前遊技の開始から4.1秒経過後に全リールを正転側に加速処理して定常回転速度に到達させる回胴回転装置制御手段V1と各リールを対応するストップボタンの操作により個別に停止させて有効ラインに当せん役に対応した図柄の組合せの表示を許容させる回転停止装置制御手段V2とを含むリール制御手段V、遊技結果が入賞なら所定配当数のメダルを払出すメダル払出手段P、遊技結果が再遊技の作動なら次ゲームの掛けメダルを同一規定数で自動投入するメダル自動投入手段N、遊技結果が役物作動中等への移行を伴うのなら遊技状態を移行させる遊技状態移行手段J、所定のフリーズ抽せんにより当せん役別に定めた所定確率により各リールを逆回転等させる所定の回胴演出の当否を決定するフリーズ抽せん手段F、その当せんに係る回胴演出を実行させる回胴演出実行手段Gを設けている。
【0021】
また、メインCPUのROM上には、アシストタイムATの作動を内部当せん役等と関連付けた所定作動条件下で決定するAT作動決定手段H1、アシストタイムATの作動を延長させることとなる継続ゲーム数等の上乗せを内部当せん役等と関連付けた所定上乗せ条件下で決定するAT上乗せ決定手段H2、アシストタイムATの作動決定から作動終了までを管理するAT継続管理手段H3、押し順小役についての正解押し順等のAT指示情報を主制御装置MCで管理する ペイアウト表示器DL2の表示機能を借りて構築するメインモニタMAに出力させると共に周辺制御装置SCで管理する液晶表示装置70等に出力させるAT指示情報出力手段H4を設けている。
【0022】
周辺制御装置SCは、外付けする読み出し専用のリードオンリーメモリROMと、内蔵及び外付けする読み書き可能なリードライトメモリーRWMをもつ32ビットRISC(Reduced Instruction Set Computer)チップマイコンから成るサブCPUを備え、例えば約200MHzのシステムクロック動作環境下で使用している。サブCPUは、リアルタイムオペレーティングシステムRTOS(Real−Time Operating System)の管理下、演出表示や音声に関するタスクに割当てるCPU時間、優先順位を制御することにより、適切且つ効率的なタスクの並行処理を可能にしている。
【0023】
サブCPUの入力ポートI2には、主制御装置MCからの送信情報、ジョグダイヤルJDの信号を入力している。主制御装置MCからの送信情報すなわち周辺制御装置NCの受信情報には、メイン側初期化完了情報、ベットボタン3の操作情報を含むメダル投入情報、スタートレバー5の操作情報を含むリール始動情報、内部抽せんによる当せんフラグ情報、ストップボタン6L,6C,6Rの操作情報、遊技結果情報、遊技状態情報、フリーズ及び回胴演出情報、AT作動情報、AT指示情報、AT上乗せ情報、AT終了情報、エラー情報等、主制御装置MCで検出し又は決定若しくは実行する各種情報が含まれる。
【0024】
サブCPUは、I2Cのマイクロコントローラとしても機能し、CPU内蔵I2CのシリアルクロックラインSCLとシリアルデータラインSDAに、リアルタイムクロックRTCのシリアルクロックラインSCLとシリアルデータラインSDAを接続している。リアルタイムクロックRTCの時計機能は、電源のオンオフに拘らず、二次電池等のバックアップ電源BTにより例えば10年以上の長期間にわたり継続的に維持される。一遊技場での一斉電源投入時等に、同一機種間で何時何分何秒かの時刻合わせをし、定刻に同一機種間で一斉演出等が行えるようにしている。時計合わせは、一遊技場内でするのに代え、15分毎等の定時間毎時に受信する日本標準或は国際標準の時計電波により、XX年XX月XX日XX時XX分XX秒の正確な時刻に合わせる仕様にしてもよい。
【0025】
さらに、サブCPUのCPU内蔵バスにはI2CコントローラI2Cnを接続しており、このI2CコントローラI2CnのシリアルクロックラインSCLとシリアルデータラインSDAを、表示窓80に臨む9つの図柄をリール帯10L,10C,10Rの背面から照明するリールバックランプBL1〜9を制御するLDEドライバDr5のシリアルクロックラインSCLとシリアルデータラインSDAに接続し、装飾ランプ88を制御するLEDドライバDr6のシリアルクロックラインSCLとシリアルデータラインSDAに接続し、遊技演出ランプ類700を制御するLEDドライバDr7のシリアルクロックラインSCLとシリアルデータラインSDAに接続している。これらLED関連のI2Cデバイスのタスクは、リアルタイムクロックRTCよりも優先順位を高くしている。液晶表示装置70は、VDP(Video Display Processor)、出力ポートO2、LCDドライバ回路Dr8を介して制御している。スピーカ91〜94からの音声は、音声IC、出力ポートO2、パワーアンプ回路Dr9を介して制御している。
【0026】
サブCPUのROM上には、主制御装置MCからの受信情報に基づいて、液晶表示装置70等にAT指示情報出力手段H4から出力するAT指示情報に従ったナビ例えば正解押し順が「左中右」ならストップボタン位置に対応させて「123」等を表示させるナビ手段X1、ナビ手段X1の表示に連動してスピーカ91〜94から操作すべきストップボタンが左か中か右かを音声で知らせる音声ナビ手段X2、遊技状態、回胴演出、AT期間等に応じて液晶表示装置70に映し出す動画展開等を変更表示させる演出表示手段Y1、これに連動してスピーカ91〜94から効果音やBGMを出音させる効果音出力手段Y2を設けている。
【0027】
また、I2Cのマイクロコントローラとして機能するサブCPUのROM上には、CPU内蔵I2C又はI2CコントローラI2Cnによる高速シリアルバスによりI2C通信のタスクを開始させる際、リアルタイムクロックRTCに起因してシリアルデータラインSDAがローレベル(L=0V)に保持される異常を検出したとき、サブCPUからの指令によりSCLがハイレベル(H=3.3V)にあるときSDAをローレベル(L=0V)からハイレベル(H=3.3V)に変化させるストップコンディションによる通信停止処理と、これに続いてサブCPUからの指令によりSCLがハイレベルにあるときSDAをハイレベルからローレベルに変化させるスタートコンディションによる通信開始処理とを一回以上実行して、SCLがハイレベルからローレベルへローレベルからハイレベルへと変化するダミークロックを発振させ、SDAがローレベルからハイレベルに復帰した後に通信を再開させる通信復旧手段BKを設けている。
【0028】
図3に示すように、通信復旧手段BKによる処理は、定時割込み処理によりI2C通信タスクを開始させる際、先ず、リアルタイムクロックRTCに起因してシリアルデータラインSDAがローレベル(L=0V)に保持される異常が有るか無いかを確認する。この確認は、サブCPUのI2Cによる通信ビジー状態を確認し、「そのビシー状態が優先順位の高い何れかのLEDデバイスとの通信によるものではない」という確認に置き換え可能である。RTCに起因してSDA=Lが保持される異常有りを検出すると、サブCPUからの指令によりSCLがハイレベル(H=3.3V)にあるときSDAをローレベル(L=0V)からハイレベル(H=3.3V)に変化させるストップコンディションによる通信停止処理と、これに続いてサブCPUからの指令によりSCLがハイレベルにあるときSDAをハイレベルからローレベルに変化させるスタートコンディションによる通信開始処理とを各一回実行する。
【0029】
直前の通信開始処理によるスタートコンディションが有効に機能して通信の開始を成功させるには、シリアルデータラインSDAがローレベル保持状態からハイレベルSDA=Hに一旦復帰している必要があり、SDA=Hに一旦復帰した状態でスタートコンディションが入った場合、このスタートコンディションにより通信開始成功となり、この場合、正常な通信処理を続行させる。これにより、RTCに起因してSDA=Lが保持された異常が発生していた状態から正常な通信を再開できる。通信停止処理と通信開始処理の各一回だけの実行によりSDA=Lの保持が解消されずに通信開始成功に至らない場合、一旦通信は終了するが、次割込みで再度、初めから処理を繰り返すことになる。これにより、ダミークロックの発振は1回又は複数回について促され、ダミークロックの発振がRTCの残送信データを吐き出させるのに十分な所定回数に達すると、RTCはSDAの占有状態を解放し、SDA=Lの保持から一旦SDA=Hに復帰したときにされる通信開始処理すなわちスタートコンディションにより正常な通信が行えることになる。
【0030】
なお、RTCのバックアップ状態が異常(電源初期投入時、もしくはバックアップ中の電圧低下など)の場合は初期設定を行う必要がある。バックアップが正常な状態であれば本処理は必要無い。初期化処理が必要か否かの判断は、RTCのフラグレジスタに割り付けたVLFのビットで判断する。VLFが1の場合に初期化処理が必要となる。但し発振が安定するまでの時間(最大3秒)はレジスタアクセスが保障されないため、初期化処理を実施する前にウェイトする必要がある。ウェイト実施後、時刻設定レジスタに時刻を設定することにより初期化は完了となる。
【0031】
以上の実施形態では、回胴式遊技機を例示したが、ぱちんこ遊技機にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1L;左リール,1C;中リール,1R;右リール
2;メダル投入口、3;ベットボタン、4;精算ボタン
5;スタートレバー、6L,6C,6R;各ストップスイッチ
7;演出表示装置、70;液晶表示装置
8;リールパネル、80;表示窓
CN;制御装置、MC;主制御装置、SC;周辺制御装置
K;内部抽せん手段、V;リール制御手段
V1;回胴回転装置制御手段、V2;回転停止装置制御手段
P;メダル払出手段、N;メダル自動投入手段、J;遊技状態移行手段
F;フリーズ抽せん手段、G;回胴演出実行手段
H1;AT作動決定手段、H2;AT上乗せ決定手段
H3;AT継続管理手段、H4;AT指示情報出力手段
BK;通信復旧手段
X1;ナビ手段、X2;音声ナビ手段
Y1;演出表示手段、Y2;効果音出力手段