(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来の回転駆動具は、捩じれを発生させるが、機構が捩じれを伝える過程で、捩じれ量の変化を正確に検出することは容易でなかった。
【0003】
特許文献1〜4では、歪みゲージ(strain gauge)をセンサーとして用い、捩じり駆動装置が発生させる捩じれ量の変化値を測定する技術が開示されている。
【0004】
一般によく見かける歪みゲージは、金属線が一方向でアレイ状に配列されて成形された金属プレートである。この金属プレートの両端には、歪みゲージの信号処理モジュールに接続されたピンがそれぞれ設けられている。実際の応用では、荷重を受けると歪みが発生する金属担体素材上に歪みゲージを固定し、担体素材が変形すると担体素材の歪みに反応して歪みゲージの抵抗値が変化するため、担体素材に歪みが発生していることが分かる。
【0005】
上述した特許文献1〜4は、機構部品を担体素材として歪みゲージに搭載し、担体素材により捩じれを吸収し、担体素材に捩じれが発生すると歪みゲージが変形し、駆動具の捩じれ量の変化を検出することができる。
【0006】
しかし、特許文献1〜4では、歪みゲージを担体素材上に配置し、捩じれを歪みに変換する機能は理想的とは言えなかった。例えば、特許文献1では、捩じれを伝達する歯車に形成された複数のシアウェブ(shear web)上に複数の歪みゲージを直接配置し、シアウェブを上述したような担体素材として用いる。上述したシアウェブは、そのウェブ面(web surface)に沿って負荷を伝達してシアウェブに歪みを発生させるが、その歪みには、法線方向の歪み(normal direction strain)の他に剪断歪みを含み、シアウェブに発生する歪みでは、歯車のトルク値の変化を十分に表すことができず、高い正確性・精密性で捩じれを検出することはできなかった。
【0007】
例えば、特許文献3では、ケーシングに固定され、トルクシャフトに枢支連結されたトランスデューサ(transducer)が開示されている。このトランスデューサは、円盤状を呈してトルクシャフトの中心に枢支連結されたハブ(hub)を有し、ハブの周りが延伸し、リングを有する円板状のウェブ(web)が形成され、ウェブを担体素材として用い、少なくとも一つの歪みゲージが搭載され、トルクシャフトの捩じれの変化を検出する。しかしウェブがリングを有する円板状に成形されているため、捩じれが変換されて生成された作用力を集中的に伝達させることは困難であった。言い換えると、捩じれの伝達により発生した歪みをウェブが受けると、リング状のウェブ全域に歪みが分散され、歪みゲージに発生する変形量が減り、捩じれ検出の正確性・精密性が低下する。
【0008】
例えば、特許文献2では、枠形状のトルク伝達要素(torque transferring element)の側端面に取り付けられた歪みゲージが開示されている。トルク伝達要素の中心には、円環状歯車が連結され、歪みゲージにより円環状歯車のトルクを検出する。歪みゲージが搭載されたトルク伝達要素の側端面と円環状歯車の軸心との間は、トルク伝達要素の周辺のリング形状体により作用力を伝達し、歪みゲージが取り付けられた位置が折曲トルクの作用を受けるため、トルク検出の正確性・精密性は低かった。
【0009】
特許文献4では、システムに問題が起きて瞬間的に発生する力又は捩じれを検出し、安全を確保するために用いる力・トルクセンサ(force torque sensor)が開示されている。力・トルクセンサの中心には、同様に回転要素に同軸に接続されたハブが形成され、力・トルクセンサの周辺にはリム(rim)が形成されている。ハブの周囲とリムとの間には複数のビーム(beam)が形成され、各ビームの周囲の端面には、歪みゲージがそれぞれ固定され、各ビームが受けた負荷をビームの湾曲負荷へ変換し、引張力、圧縮力又は剪断力を発生させ、ビーム上に設けた歪みゲージによりビーム上に発生した歪みを検出し、力のトルク値の変化を検出することができる。しかし、この特許文献4では、ビームが受けた負荷を如何に引張力又は/及び圧力又は剪断力へ変換するか具体的な技術が開示されていない上、測定の精度を高めるために、各ビームの周りの端面に歪みゲージを固設しなければならなかったため歪みゲージの数が多くなり、応力構造の複雑度が高かった。
【0010】
上述した特許文献1〜4から分かるように、歪みゲージが搭載された従来技術のトルクセンサは、ビームに負荷がかかり引張又は/及び圧縮応力により発生する歪みにより、歪みゲージを変形させるが、歪みゲージに発生する変形によりビームに対する捩じれ中心の形成位置については説明されていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の主な目的は、従来のトルク検出装置中に配置した歪みゲージの構造位置を改善し、トルクを生成して歪みゲージに作用する引張応力又は/及び圧縮応力へ十分に変換し、トルクが非法線方向の合力又は分力に変換されて歪みゲージに不必要な湾曲が生じることを防ぎ、歪みゲージが検出するトルクの精度を高めるトルク検出装置及びトルク検出装置と結合する回転駆動具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、遊車、直線形状の位置決め梁及び歪みゲージを備えたトルク検出装置であって、前記遊車は、入力軸と出力軸との間に配設され、前記遊車が、前記入力軸と前記出力軸とにそれぞれ形成される接線力を受けとり、前記接線力の総和により生成された反作用力を前記遊車の負荷として用い、前記直線形状の位置決め梁は、前記位置決め梁に沿って延びた梁中心線を有し、前記遊車のギヤセンタは、前記梁中心線が通る前記位置決め梁上に枢支連結され、前記歪みゲージは、前記梁中心線が通る前記位置決め梁上に固定され、前記遊車のギヤセンタは、前記梁中心線により前記歪みゲージの中心と離間し、前記位置決め梁は、前記梁中心線に沿って変換した前記遊車の負荷が前記梁中心線に沿った軸方向力に生成され、前記位置決め梁は、前記軸方向力の作用を受けとりて歪みが生成され、前記歪みゲージが検出する歪みを前記入力軸と前記出力軸との間のトルク検出値として用いることを特徴とする、トルク検出装置が提供される。
【0014】
前記遊車、前記入力軸及び前記出力軸は、それぞれ非同軸方向に配置されていることが好ましい。
【0015】
前記接線力の方向はそれぞれ同じであり、前記接線力の方向は、前記反作用力の方向と反対であり、前記反作用力は、前記軸方向力として用いることが好ましい。
【0016】
前記位置決め梁の梁中心線の方向は、前記接線力に対して平行であり、前記入力軸、前記遊車及び前記出力軸の中心は、同一の垂直線上に位置し、前記垂直線は、前記梁中心線に対して直角であることが好ましい。
【0017】
前記入力軸は、前記入力歯車と枢支連結され、前記出力軸は、前記出力歯車と枢支連結され、前記遊車は、アイドルギヤであり、前記アイドルギヤは、前記入力歯車及び前記出力歯車と噛合して負荷を受けとることが好ましい。
【0018】
前記位置決め梁は、前記遊車により分離され、前記遊車の両側の共同の前記梁中心線上の第1の位置決め梁及び第2の位置決め梁に形成され、前記歪みゲージは、前記第1の位置決め梁及び前記第2の位置決め梁のうちの少なくとも何れか1つの前記梁中心線上に配設され、前記軸方向力により前記第1の位置決め梁上の前記歪みゲージに引張作用が発生して引張歪が生成され、前記軸方向力により前記第2の位置決め梁上の前記歪みゲージに圧縮作用が発生して圧縮歪が生成されることが好ましい。
【0019】
前記固定端として使用してトルク検出装置を収容するために用いるケーシングをさらに備え、前記位置決め梁は、前記ケーシングに一体化するように固定されることが好ましい。
【0020】
本発明の第1の形態に記載のトルク検出装置と結合する回転駆動具であって、駆動モータに接続されて駆動トルクを提供するとともに、前記入力軸に枢支連結された駆動軸と、前記出力軸と枢支連結された作動軸と、を備えることが好ましい。
【0021】
前記回転駆動具はスクリュードライバーであり、前記駆動モータは、電気式モータ又は空気式モータであることが好ましい。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の第2の形態によれば、遊車、直線形状の位置決め梁及び歪みゲージを備えたトルク検出装置であって、前記遊車は、入力軸と出力軸との間に配設され、前記遊車が、前記入力軸と前記出力軸とにそれぞれ形成される接線力を受けとり、前記接線力の総和により生成された反作用力を前記遊車の負荷として用い、前記直線形状の位置決め梁は、前記位置決め梁に沿って延びた梁中心線を有し、前記遊車のギヤセンタは、前記位置決め梁上に枢支連結され、前記歪みゲージは、前記梁中心線が通る前記位置決め梁上に固定され、前記遊車のギヤセンタは、前記梁中心線により前記歪みゲージの中心と離間し、前記位置決め梁は、前記梁中心線に沿って前記遊車の負荷を前記梁中心線に沿った軸方向力に変換し、前記位置決め梁は、前記軸方向力の作用を受けて生成された歪みを受けとり、前記歪みゲージが検出する歪みを前記入力軸と前記出力軸との間のトルク検出値として用いることを特徴とする、トルク検出装置が提供される。
【0023】
前記入力軸及び前記出力軸は、それぞれ同軸方向で間隔をおいて配置されていることが好ましい。
【0024】
前記接線力の方向はそれぞれ同じであり、前記接線力は、前記反作用力の方向は反対であり、前記反作用力は、前記軸方向力として用いることが好ましい。
【0025】
前記位置決め梁の前記梁中心線は、前記接線力の方向に対して平行であり、前記入力軸、前記遊車及び前記出力軸の中心は、同一の垂直線上に位置し、前記垂直線は、前記梁中心線に対して直角であることが好ましい。
【0026】
前記遊車のギヤセンタは、前記位置決め梁の前記梁中心線上に枢支連結されていることが好ましい。
【0027】
前記入力軸は、太陽歯車に枢支連結され、前記出力軸は、前記太陽歯車の周りを囲むように形成された円環状歯車により構成され、前記遊車は、少なくとも2つであり、太陽歯車と円環状歯車との間のプラネタリギヤに対称的に配置され、前記プラネタリギヤは、入力の前記太陽歯車と出力の前記円環状歯車との間に噛合されて捩じれを受けとり、前記プラネタリギヤが前記位置決め梁により拘束され、前記太陽歯車の周りで回転しないことが好ましい。
【0028】
前記入力軸の枢支連結の対象は、前記出力軸の形成対象と交換し得ることが好ましい。
【0029】
前記位置決め梁は、複数であり、前記プラネタリギヤにより分離され、ホイールベース上に対称的に配置されて固定端として使用されることが好ましい。
【0030】
前記プラネタリギヤは、分離されて前記プラネタリギヤの両側の共同の前記梁中心線上の第1の位置決め梁及び第2の位置決め梁に形成され、前記歪みゲージは、前記位置決め梁のうちの少なくとも何れか1つの前記位置決め梁の前記梁中心線上に配設され、前記軸方向力により前記第1の位置決め梁に引張作用が発生して引張歪が生成され、前記軸方向力により前記第2の位置決め梁に圧縮作用が発生して圧縮歪が生成され、前記歪みゲージは、前記引張歪及び前記圧縮歪のうちの少なくとも何れか1つの歪みを検出して歪むことが好ましい。
【0031】
前記ホイールベースの中心には、ハブが形成され、前記太陽歯車は、前記ハブの中心に挿設されることが好ましい。
【0032】
前記トルク検出装置を収容するケーシングをさらに備え、前記ホイールベースは、前記ケーシングに一体化するように固定されることが好ましい。
【0033】
本発明の第2の形態に記載のトルク検出装置と結合する回転駆動具であって、駆動モータに接続されて駆動トルクを提供するとともに、前記入力軸に枢支連結された駆動軸と、前記出力軸と枢支連結された作動軸と、を備えることが好ましい。
【0034】
前記回転駆動具はスクリュードライバーであり、前記駆動モータは、電気式モータ又は空気式モータであることが好ましい。
【0035】
上記課題を解決するために、本発明の第3の形態によれば、遊車、直線形状の位置決め梁及び歪みゲージを備えたトルク検出装置であって、前記遊車は、入力軸と出力軸との間に配設され、前記遊車が前記入力軸と前記出力軸とにそれぞれ形成される接線力を受けとり、前記接線力の総和により生成された反作用力を前記遊車の負荷として用い、前記直線形状の位置決め梁は、前記位置決め梁に沿って延びた梁中心線を有し、前記位置決め梁は、固定端として使用するホイールベース上に形成され、前記遊車のギヤセンタは、前記ホイールベース上に枢支連結され、前記歪みゲージは、前記梁中心線が通る前記位置決め梁上に固定され、前記遊車の負荷は、前記ホイールベースから前記位置決め梁へ伝わり、前記位置決め梁により、負荷を前記梁中心線に沿った軸方向力へ変換し、前記位置決め梁は、前記軸方向力の作用により生成された歪みを受けとり、前記歪みゲージが検出する歪みを前記入力軸と前記出力軸との間のトルク検出値として用いることを特徴とする、トルク検出装置が提供される。
【0036】
前記入力軸及び前記出力軸は、それぞれ同軸方向で間隔をおいて配置されていることが好ましい。
【0037】
前記接線力の方向はそれぞれ同じであり、前記接線力と前記反作用力との方向は反対であり、前記反作用力は、前記軸方向力の方向に非平行であることが好ましい。
【0038】
前記入力軸は、太陽歯車に枢支連結され、前記出力軸は、前記太陽歯車の周りを囲むように形成された円環状歯車により構成され、前記遊車は、少なくとも2つであり、前記太陽歯車と前記円環状歯車との間のプラネタリギヤに対称的に配置され、前記プラネタリギヤは、入力の前記太陽歯車と出力の前記円環状歯車との間に噛合されて捩じれを受けとり、前記プラネタリギヤが前記ホイールベースにより拘束され、前記太陽歯車の周りで回転しないことが好ましい。
【0039】
前記入力軸の枢支連結の対象は、前記出力軸の形成対象と交換し得ることが好ましい。
【0040】
前記位置決め梁は、分離されて共同の前記梁中心線上の第1の位置決め梁及び第2の位置決め梁に形成され、前記歪みゲージは、前記位置決め梁のうちの少なくとも何れか1つの前記位置決め梁の前記梁中心線上に配設され、前記軸方向力により前記第1の位置決め梁に引張作用が発生して引張歪が生成され、前記軸方向力により前記第2の位置決め梁に圧縮作用が発生して圧縮歪が生成され、前記歪みゲージは、前記引張歪及び前記圧縮歪のうちの少なくとも何れか1つの歪みを検出して歪むことが好ましい。
【0041】
前記ホイールベースの中心には、ハブが形成され、前記太陽歯車は、前記ハブの中心に挿設されることが好ましい。
【0042】
前記トルク検出装置を収容するケーシングをさらに備え、前記ホイールベースは、前記ケーシングに一体化するように固定されることが好ましい。
【0043】
上記課題を解決するために、本発明の第3の形態に記載のトルク検出装置と結合する回転駆動具であって、駆動モータに接続されて駆動トルクを提供するとともに、前記入力軸に枢支連結された駆動軸と、前記出力軸と枢支連結された作動軸と、を備えることが好ましい。
【0044】
前記回転駆動具はスクリュードライバーであり、前記駆動モータは、電気式モータ又は空気式モータであることが好ましい。
【発明の効果】
【0045】
本発明のトルク検出装置及びトルク検出装置と結合する回転駆動具は、以下(1)〜(3)の効果を有する。
(1)遊輪は、入力軸及び出力軸に発生した接線力を受けとり、引張又は/及び圧縮の軸方向力に変換して位置決め梁に作用させ、歪みゲージが固定された位置決め梁の各単位面積が受けとる引張又は/及び圧縮応力を均等にし、位置決め梁の特定長さの範囲内に均等な歪みを発生させ、それに伴って歪みゲージに変形が均等に生じ、位置決め梁が不必要な折曲トルクを受けとることを防ぐため、歪みゲージのトルク検出精度を高めることができる。
(2)上述した遊車のギヤセンタを位置決め梁に枢支連結する際、位置決め梁の梁中心線は、入力軸及び出力軸の遊輪に対する接線力の方向に対して平行又は非平行であり、かつ、入力軸、遊輪及び出力軸の中心が同一の垂直線上に位置し、垂直線と梁中心線とが直角であり、位置決め梁が梁中心線方向の軸方向力(即ち法線方向の力)を伝達する際、他の方向の分力が生成されることがなく、位置決め梁が不必要な折曲トルクを受けることを防ぐため、歪みゲージのトルク検出精度を高めることができる。
(3)上述した遊車のギヤセンタをホイールベースに枢支連結する際、梁中心線は法線方向に対して非平行であり、遊輪の負荷により、ホイールベースの応力を分散して位置決め梁へ伝達し、位置決め梁が梁中心線方向へ軸方向力(即ち法線方向の力)を伝達するとき、他の方向の分力が発生することを防ぎ、位置決め梁が不必要な折曲トルクを受けることを防ぐため、歪みゲージのトルク検出精度を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0048】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図4を参照する。
図1〜
図4に示すように、本発明の第1実施形態に係るトルク検出装置は、少なくとも遊車2、位置決め梁3、歪みゲージ4、入力軸5及び出力軸6から構成されてなる。さらに詳細には、ケーシング1を利用して遊車2、位置決め梁3、歪みゲージ4、入力軸5及び出力軸6が組み立てられる。
【0049】
図1を参照する。
図1に示すように、ケーシング1は、半分に分割された上ケーシング11と下ケーシング12とがねじ13により螺合されて組み立てられる。ケーシング1は、デバイス全体の固定端として用い、入力軸5と出力軸6とが枢支連結される。さらに詳細には、入力軸5及び出力軸6が軸受50,60を介してケーシング1内に枢支連結され、入力軸5及び出力軸6の端部51,61がケーシング1から突出されている。
【0050】
図2A及び
図2Bは、
図1の位置決め梁3の実施形態を示す。位置決め梁3は、例えば、炭素鋼などの金属からなり、均質で直線状に形成され、梁体の各セクションは同じ断面を呈し、位置決め梁3は、トルク検出装置の中央部に配置され、直線状の梁中心線30を有する。梁中心線30は、位置決め梁3に沿って延び、梁中心線30が貫通されて位置決め梁3の両端及び両側が均等に分けられる。ここで梁は、本体が耐引張及び耐圧を有する金属強度を備え、作用力を均一に伝達し、それに用いる金属材料の許容範囲内で均等な歪みが発生し、歪みゲージ4の担体として用いる。
【0051】
直線状の位置決め梁3の両端には、フック部31及びベース部32がそれぞれ一体化するように延設されている。フック部31はT字状である。ベース部32は、矩形の枠形状である。梁中心線30は、ベース部32及びフック部31の中心を通るように延びる。ベース部32には、梁中心線30上に位置する枢着孔32aが形成され、ベース部32の中心には、遊車2を収容するための収容室32bが形成されている。
【0052】
図3及び
図4に示すように、ベース部32の枢着孔32aに軸受20及びアイドルギヤ21が取り付けられ
、図1の遊車2は、ベース部32の収容室32b内
で軸受20に枢着される。軸受20及びアイドルギヤ21は、遊車2の内部に配設される。このような構成により、位置決め梁3を通過する梁中心線
30と、遊車2の
中心線とが
交差する。
【0053】
図1〜
図4を参照する。
図1〜
図4に示すように、上述した位置決め梁3は、ベース部32の両端に形成されるとともに、第1の位置決め梁3a及び第2の位置決め梁3bを含む。フック部31は、第1の位置決め梁3a及び第2の位置決め梁3bの外端部にそれぞれ形成される。このような構成により、ベース部32と、ベース部32内の遊車2とが、第1の位置決め梁3aと第2の位置決め梁3bとの間に着座する。第1の位置決め梁3a、第2の位置決め梁3b及び遊車2のギヤセンタは、それぞれ同一の梁中心線30に位置する。
【0054】
位置決め梁3は、ケーシング1内に固定しなければならないため、ケーシング1内には半分に分割された埋め込み溝14が形成され、位置決め梁3の両端に設けられたフック部31が埋め込み溝14内に埋め込まれ、ケーシング1内に位置決め梁3が固定される。埋め込み溝14の形状は、フック部31に対応したT字状に形成されるか、その他互いに対応して組み合わせることができる形状でもよい。また、位置決め梁3は、螺設その他一体成形させ得る方式によりケーシング1内に固定してもよい。
【0055】
図5を参照する。
図5に示すように、本実施形態の遊車2は、入力軸5と出力軸6との間に配設されなければならず、遊車2は、入力軸5と出力軸6とにそれぞれ形成する接線力(接線方向の力)F1,F2を受けとり(
図5を参照する)、遊車2の負荷として反作用力Fが生成される。
【0056】
さらに詳細には、出力軸6が外界と接続された動力要求端の抵抗力を受けると、遊車2を介して伝達され、入力軸5が駆動トルクを発生させる(
図5を参照する)。説明の便宜上、入力軸5から出力軸6へ駆動トルクが伝達される際、減衰は発生しないものとする。具体的に述べると、遊車2と、入力軸5と、出力軸6とはそれぞれ非同軸方向で配置されている。さらに詳細には、入力軸5、遊車2及び出力軸6の中心は、同一の垂直線L上に位置し、上述したように垂直線Lは、図面中のY軸方向に対して平行であり、垂直線Lと梁中心線30とは直角である。また、入力歯車52は、入力軸5と同軸に固定される。出力歯車62は、出力軸6と同軸に固定される。遊車2は、アイドルギヤとして用い、遊車2が互いに噛合されて入力歯車52及び出力歯車62と接触されて負荷を受けて駆動トルクを伝達する。ここで「同軸に固定する」とは、歯車と軸とが一体成形されるか、ボルト、ピンなどが嵌挿され、歯車と軸とが同軸で固定されて一体成形されることを表し、入力歯車52、遊車2及び出力歯車62は、垂直線L上で噛合接触される。入力歯車52、アイドルギヤ(遊車)2及び出力歯車62は、ケーシング1内に収容される。
【0057】
図5を参照する。
図5に示すように、入力歯車52が時計回りで回転すると、アイドルギヤ2が逆時計回りで回転し、アイドルギヤ2により出力歯車62を時計回りで回転させて動力を出力する。もし入力歯車52と出力歯車62とのピッチ円半径Rが等しいと仮定した場合(即ち減速比は発生しない)、入力歯車52が回転又は静止するとき、ギヤセンタに駆動トルクT2=R×F2が発生する。ここでF2は、入力歯車52がアイドルギヤ2を回転させるかアイドルギヤ2が静止状態のときにX軸方向で発生する接線力を表す。出力歯車62が回転又は静止しているとき、そのギヤセンタにはトルクT1=R×R1が発生する。ここでF1は、出力歯車62がアイドルギヤ2と噛合して回転されるときにX軸方向に発生する接線力を表す。接線力F1,F2は、互いに同じ方向で平行である。梁中心線30と接線力F1,F2の方向とは平行である。
【0058】
出力歯車62が外界に動力を出力する際、負荷のトルクT1に打ち勝つために、出力歯車62の駆動トルクT2は出力歯車62にかかる負荷の捩じれT1に打ち勝ってバランスをとる必要がある。当業者であればフォースバランス定理(force balance theorem)ΣFx=0からF=F1+F2であることが分かる。固定された位置決め梁3は、アイドルギヤ2を拘束してアイドルギヤ2はその場で自転するだけであり、上記式のFは遊車2の負荷となる上、アイドルギヤ2のギヤセンタから梁中心線30に沿って生成した反作用力でもあり、この反作用力F(以下、軸方向力Fと称する)は、法線方向の力が位置決め梁3に作用する。言い換えると、位置決め梁3が軸方向力Fの作用を受けて歪みが生成される(以下で詳説する)。
【0059】
上述した位置決め梁3が第1の位置決め梁3aと第2の位置決め梁3bとに区分される際、その両端のフック部31が既にケーシング1内に埋め込まれているため、X軸方向の軸方向力Fは、法線方向の圧縮力F
compressを第1の位置決め梁3aに作用させて圧縮歪が生成する。軸方向力Fは、法線方向の引張力F
tensileが第2の位置決め梁3bに作用して引張歪が生成する。
【0060】
図2A及び
図2Bを参照する。
図2A及び
図2Bに示すように、歪みゲージ4は、梁中心線30が貫通された位置決め梁3上に固定される。基本的に、位置決め梁3が歪みゲージ4の何れか一つの箇所に固定される断面積全てが同じである条件下では、何れか一つの断面積中の各地点で発生する歪みが全て同じでなければならない。そのため、歪みゲージ4が梁中心線30に対して平行で位置決め梁3上に固定されるだけで、単純な引張歪又は/及び圧縮歪を検出することができる。言い換えると、位置決め梁3の梁中心線30上の歪みゲージ4の固定位置が僅か上方又は下方へずれたとしても歪みを検出する精度に悪影響を及ぼすことはない。上述した位置決め梁3は、第1の位置決め梁3aと第2の位置決め梁3bとに区分される実施形態において、歪みゲージ4は、第1の位置決め梁3a及び第2の位置決め梁3bの梁中心線を通る梁中心線30に固定されなければならず、遊車2のギヤセンタと歪みゲージ4の中心とは梁中心線30により離間される。ここで「固定する」には、歪みゲージ4を第1の位置決め梁3a及び第2の位置決め梁3bにそれぞれ強固に結合するように一体成形し得る接着、埋め込みなどの方式が含まれる。また、
図6Aに示すように、「歪みゲージ4の中心が梁中心線30により離間される」とは、歪みゲージ4が互いに平行に形成されたピン41,42を2つ有し、2つのピン間には、複数のジグザグ状の検出部43が接続されるように形成され、固定する際、上述した2つのピン41,42が梁中心線30の両側に分けて設けられ、複数のジグザグ状の検出部43が梁中心線30の両側に略平行に分けて設けられる。上述した2つのピン41,42は、電気ブリッジ回路に接続するために用いられる(以下で詳説する)。このような構成により、法線方向の引張力F
tensileにより第1の位置決め梁3a上の歪みゲージ4に引張歪が発生される。また、法線方向の圧縮力F
compressにより第2の位置決め梁3b上の歪みゲージ4に圧縮歪が発生される。
【0061】
図6A及び
図6Bを参照する。
図6A及び
図6Bに示すように、位置決め梁3に発生する歪みεを高感度で検出するために、好適な実施形態では、曲度又は外観形状の変化により位置決め梁3のセクションの断面積が異なる場合、位置決め梁3の最小断面積Aの箇所に歪みゲージ4を固定することが好ましく、最小断面積Aは、歪みゲージ4を貼り付けるか固定するのに十分な長さを位置決め梁3上で維持しなければならず、適宜な長さの範囲内の最小断面積Aを等しくし、遊車2が受ける負荷がベース部32を介して歪みゲージ4が固定された位置決め梁3の最小断面積Aの箇所に速やかに伝達されて歪みが発生する。しかし、本発明はこれだけに限定されるわけではなく、梁中心線が通る位置決め梁3上に歪みゲージ4が固定され、歪みゲージ4が発生させる歪みを検出する他の方式を採用してもよい。また、歪みゲージ4が固定された位置決め梁3の断面積A中の各ポイントPの応力σは、位置決め梁3の材料として選択した金属材料の疲労強度以内でなければならない。上述した応力σ及び歪みεは、次式(1)及び(2)で表すことができる。
【0064】
上記式において、S
ultは、引張強度であり、Eは位置決め梁の金属材料のヤング率であり、εは、位置決め梁に発生する歪みであり、δは、第1の位置決め梁又は第2の位置決め梁が軸方向力Fの作用を受けた後の伸長量又は減縮量であり、Lは、第1の位置決め梁又は第2の位置決め梁が力を受ける前の長さである。
【0065】
本発明において、さらに以下のデータは位置決め梁3に歪みが発生する構造の安全性をシミュレートしたものであり、出力歯車62が受けとるトルクT1=16N・mを設定し、力のバランスに基づいて入力歯車52に加わる駆動トルクT2=T2=16N・mが分かる。出力歯車62と入力歯車52とのピッチ円半径はR=15.3 mmであり、遊車2のピッチ円半径はr=5.1mmである。このことから以下の式が得られる。
【0067】
位置決め梁3の金属材料をA6061・T6に設定し、その機械的性質は、降伏強度が28 kgf/mm
2であり、引張強度S
ultが32 kgf/mm
2であり、ヤング率はE=7000kgf/mm
2である。また、歪みゲージ4が固定された位置決め梁3の箇所の断面積をA=5.6x1.2=6.72 mm
2に設定し、位置決め梁3(ここで位置決め梁3とは、第1の位置決め梁3a又は第2の位置決め梁3bを指す)の長さをL=9mmに設定し、数式(1)に基づき、歪みゲージ4が固定された位置決め梁3の場所の応力σを得る。
【0069】
このことから分かるように、応力σは引張強度S
ult=32Kgf/mm
2の半分より小さいため、位置決め梁3は十分な疲労寿命を有することが分かる。
【0070】
また、数式(1)から分かるように、歪みゲージ4が固定された位置決め梁3の箇所に発生する歪みε = σ/E = 15.9/7000 = 0.0023が分かり、数式(2)から、歪みε = δ/Lが分かる。即ち、位置決め梁の伸長量又は減縮量は、δ = ε x L = 0.0023 x 9 = 0.024 mmである。このことから判断できるように、位置決め梁3の材料として選択するA6061・T6金属材料の引張強度(又は圧縮強度)S
ult(32kgf/mm
2)と、降伏強度(28kgf/mm
2) とにより判断し、応力σ(15.9Kgf/mm
2) は、この担体素材上で受けとることができるため、位置決め梁3(第1の位置決め梁3a及び第2の位置決め梁3bを含む)の構造が安全であると判断することができる。
【0071】
位置決め梁3(第1の位置決め梁3a及び第2の位置決め梁3bを含む。以下同じ)の両端のベース部32及びフック部31は、同じ金属材料を使用して延伸するように一体成形されているため、位置決め梁3の構造が安全な前提下で、ベース部32及びフック部31が軸方向力F(法線方向の圧縮力F
press又は法線方向の引張力F
strainを指す)を伝達する過程で発生する応力σ及び歪みεは安全範囲内でなければならないことをここで併せて述べておく。
【0072】
図7A及び
図7Bを参照する。
図7A及び
図7Bに示すように、1本の位置決め梁3上に1つの歪みゲージ4が固定され得る限り、
図7Aの位置決め梁3の数は単数又は複数であってもよい。例えば、
図1〜
図4に示す実施形態において、第1の位置決め梁3a及び第2の位置決め梁3bは、そのうち一つの位置決め梁3a上に歪みゲージ4が固設され、電気ブリッジ91が歪みゲージ4のピン41,42に接続されていれば、位置決め梁3上の歪みゲージ4に発生する上述の歪みεにより影響されたときの変化量を測定することができる。電気ブリッジ91は、次式(3)で表すことができる。
【0074】
上記式(3)において、V
inは電源供給端の入力電圧であり、V
abは、a点の電圧V
aとV
b
との間の電圧差であり、R
4は、歪みゲージ4の抵抗値R1=R2=R3=Rとそれぞれ異なる抵抗値である。歪みゲージ4が法線方向の圧縮力F
compress又は法線方向の引張力F
tensileの作用を受けると、R
4が変化する。上述した「変化」には、歪みゲージ4が圧力を受けて抵抗値が小さくなることと、引張を受けて抵抗値が大きくなることとが含まれる。このことから、R
4=R+ΔRを数式(3)に組み込むと次式(4)が得られる。
【0076】
上記式(4)において、ΔRは抵抗値が小さくなるか大きくなる変化量である。ΔRの変化量が非常に小さいため、V
abの数値も非常に小さい。計装アンプ91aによりその数値は増倍させる必要があり、計装アンプ91aの増大率はGであり、V
0sは、次式(5)から得られる。
【0078】
上述した出力電圧V
0sを整流器91bにより整流した後、マイクロコントローラユニット(MCU)91cへ供給し、出力電圧V
0sの変化数値に基づき、上述した位置決め梁3を軸方向力の作用として受けて発生した歪みとして用い、変換及び計算により入力軸5と出力軸6との間の正確なトルク検出数値を得る。
【0079】
図7Bは、
図1〜
図4の第1の位置決め梁3a及び第2の位置決め梁3bの実施形態を示し、2本の位置決め梁上に固設した歪みゲージ4(即ち2つの歪みゲージ)の電気ブリッジ92の配置を示し(R
1=R
3=R)、2つの歪みゲージ4が上述した法線方向の圧縮力F
compress又は引張力F
tensileの作用を受けると、2つの歪みゲージ4の抵抗値R
2及び抵抗値R
4が変化する。2つの歪みゲージ4の抵抗値R
2及び抵抗値R
4が力を受けるときの抵抗値の変化量がそれぞれ−ΔR及びΔRであるため、R
2=R・ΔR及びR
4=R+ΔRを数式(3)に組み込むと次式(6)が得られる。
【0081】
計装アンプ92aによりG倍に増幅した後、次式(7)に基づいて出力電圧V
0dが得られる。
【0083】
計装アンプ92a、整流器92b及びマイクロコントローラユニット(MCU)92cの機能は上述したものと同じである。
【0084】
数式(5)と数式(7)とを比べると分かるように、2つの歪みゲージを使用する場合、1つの歪みゲージを使用する場合と比べ、より大きな出力電圧変化量V
0dを得ることができ(即ち、V
0s< V
0d)、2つの歪みゲージを使用したときの電圧変化量は、1つの歪みゲージを使用したときの約2倍である。ここで分母は固定値であるため、2つの歪みゲージを使用する線形性は、1つの歪みゲージを使用した場合よりも好ましい。
【0085】
以下、1〜4つの歪みゲージ4が配置されたトルク検出装置について説明する。
【0086】
(第2実施形態)
図8〜
図11を参照する。
図8〜
図11に示すように、本発明の第2実施形態に係るトルク検出装置は、プラネタリ減速機構を改良して形成した減速又は加速の機能と、トルク検出機能と、を兼備える。
【0087】
図9を参照する。
図9に示すように、トルク検出装置には、4本の位置決め梁301が含まれる。上述した4本の位置決め梁301は、固定端として使用するホイールベース300に一体成形される。ホイールベース300の周りには、丸型ベース302が設けられている。ホイールベース300の中心には、ハブ303が形成されている。上述した4本の位置決め梁301は、丸型ベース302とハブ303との間に延伸されている。4本の位置決め梁301には、第1の位置決め梁301a、第2の位置決め梁301b、第3の位置決め梁301c及び第4の位置決め梁301dが含まれる。第1の位置決め梁301a及び第2の位置決め梁301bには、同一の梁中心線30aが貫通されて均等に分けられる。第3の位置決め梁301c及び第4の位置決め梁301dには、もう1本の梁中心線30bが貫通されて均等に分けられる。梁中心線30aと梁中心線30bとは間隔をあけて平行に形成され、ホイールベース300に対して対称的に分けられる。ここで、上述した第1実施形態の方式に基づき、梁中心線30aが貫通された第1の位置決め梁301a及び第2の位置決め梁301b上には歪みゲージ4がそれぞれ固設され、かつ、梁中心線30bが貫通された第3の位置決め梁301c及び第4の位置決め梁301d上にも歪みゲージ4がそれぞれ固設される。
【0088】
図9に示すように、ハブ303の両側の中央セクションには、耳部304がそれぞれ延設されている。第1の位置決め梁301aと第2の位置決め梁301bとの間と、第3の位置決め梁301cと第4の位置決め梁301dとの間とは、耳部304が延ばされて一体成形される。言い換えると、上述した耳部304は、各位置決め梁の端部と見なすことができる。
【0089】
図8に示すように、上ケーシング110と下ケーシング120とはねじ130により螺着されてケーシング100が形成され、上述したホイールベース300に固定され、2つの耳部304上には、遊車200,201がそれぞれ枢着される。上述した遊車200,201は、本実施形態では、遊車と同じ機能を有するプラネタリギヤ(以下、符号200、201で表示する)と見なすことができ、プラネタリギヤ200の中心は、第1の位置決め梁301aと第2の位置決め梁301bとの間に着座し、第1の位置決め梁301a、プラネタリギヤ200のギヤセンタと、第2の位置決め梁301bとには、同一の梁中心線30aが順次貫通され、プラネタリギヤ201の中心は、第3の位置決め梁301cと第4の位置決め梁301dとの間に着座し、第3の位置決め梁301c、プラネタリギヤ201のギヤセンタと、第4の位置決め梁301dとには、同一の梁中心線30bが順次貫通され、プラネタリギヤ200,201のギヤセンタは、同一の梁中心線の歪みゲージ4の中心との間に位置し、梁中心線30a,30bにより離間される。
【0090】
図8及び
図10に示すように、入力軸500は、上ケーシング110に枢着されてハブ303の中心に挿設され、入力軸500の端部501がケーシング100から突出され、入力軸500の他端がケーシング100内に至るまで延びて太陽歯車502に枢支連結される。そのため、太陽歯車502は、ハブ303の中心に挿設され、上述したプラネタリギヤ200,201と噛合される。
【0091】
図10及び
図11に示すように、本実施形態の入力軸500は、出力軸600と間隔をおいて同軸に配設される。出力軸600は、太陽歯車502の周りを囲むように形成された円環状歯車602により構成されている。言い換えると、出力軸600は、円環状歯車602と同軸に一体成形され、かつ、下ケーシング120の中心に枢着され、円環状歯車602がケーシング100内に着座してプラネタリギヤ200,201と噛合される。
【0092】
図11に示すように、プラネタリギヤ200,201は、4本の位置決め梁301により拘束されて太陽歯車502の周りで回転せず、プラネタリギヤ200,201が入力の太陽歯車502と出力の円環状歯車602との間に噛合され、接線力の負荷を受けとる。さらに詳細には、入力軸500と、入力軸500と枢支連結された太陽歯車502とを、遊車として使用するプラネタリギヤ200,201及び、出力軸600とその円環状歯車602として用いる。これら要素の中心は同一の垂直線L1上に位置する。上述した垂直線L1は、
図11のY軸方向に対して平行である上、梁中心線30a,30bに対して直角であり、入力の太陽歯車502と、遊車として用いるプラネタリギヤ200,201と、出力の円環状歯車602とは、同様に垂直線L1上に位置して互いに噛合される。
【0093】
そのため、入力軸500と出力軸600とは、太陽歯車502及び円環状歯車602を介して接触され、遊車としてプラネタリギヤ200,201を用いる。太陽歯車502が時計回りで回転すると、2つのプラネタリギヤ200,201が逆時計回りで回転し、プラネタリギヤ200,201により円環状歯車602が逆時計回りで回転されて動力が出力される。円環状歯車602は、外界のトルク負荷T1’に打ち勝たなければならず、太陽歯車502は、トルクT2’を入力し、T2’は、減速比を乗算して得たトルクによりT1’に打ち勝ってバランスをとらなければならない。太陽歯車502とプラネタリギヤ200,201との噛合接触点には、接線力F1’が形成され、円環状歯車602とプラネタリギヤ200,201との噛合接触点には、接線力F2’が形成される。上述した接触力F1’,F2’は、x軸方向に沿って互いに平行であり、4本の位置決め梁301の梁中心線30a,30bは、接線力F1’,F2’の方向に対して平行である。
【0094】
図12に示すように、フォースバランス定理(force balance theorem)ΣFx=0からF’=F1’+F2’であることが分かる。同様に、固定端の4本の位置決め梁301がプラネタリギヤ200,201を拘束してその場で自転するだけであり、上記式F’は、プラネタリギヤ200,201のギヤセンタが、梁中心線30a,30bに沿って生成した反作用力となり、この反作用力F’(以下、軸方向力Fと称する)は、法線力で4本の位置決め梁301に作用する。言い換えると、4本の位置決め梁301は、軸方向力F’の作用を受けて歪みが発生する。
【0095】
図13に示すように、梁中心線30a上の第1の位置決め梁301a及び第2の位置決め梁301bにとって、軸方向力F’がX軸方向の法線の圧縮力F
compressを第1の位置決め梁301aと、その梁上に固定した歪みゲージ4とに作用させて圧縮歪が発生する。軸方向力F’は、法線の引張力F
tensileを第2の位置決め梁301bと、その梁上に固定した歪みゲージ4に作用させて引張歪が発生する。同様に、第3の位置決め梁301cと、その梁上に固定した歪みゲージ4とにも軸方向力F’がX軸方向の法線の圧縮力F
compressを受けとって圧縮歪が発生し、第4の位置決め梁301dと、その梁上に固定された歪みゲージ4とにも軸方向力F’が加わり、X軸方向の法線の引張力F
tensileを受けて引張歪が発生する。
【0096】
また、本発明は、さらに以下のデータにより4本の位置決め梁301に歪みが発生する構造の安全性をシミュレートするが、これには円環状歯車602から受けとるトルクT1’=16N・mが設定され、力のバランスに基づいて太陽歯車502に加わる駆動トルクT2’=T1’/GR(gear ratio)を知り、円環状歯車602のピッチ円半径をR’=15.3mmに設定し、太陽歯車502とプラネタリギヤ200,201とのピッチ円半径はr’=5.1mmであり、上記式(1)及び(2)を計算すると、F1’=F2’=(T1’/R’)/2=106.6/2Kg=53.3Kgf、かつ、F’=F1’+F2’=106.6 Kgfが得られる。
【0097】
本実施形態では、上述した第1実施形態と同じ金属材料(A6061・T6)で製作され、4本の同じサイズの位置決め梁301(ホイールベース300と一体成形される)を含み、ホイールベース300上に形成された4本の位置決め梁301の構造が安全であり、かつ、ホイールベース300に一体成形された丸型ベース302及びハブ303の構造は安全であると判断することができる。
【0098】
また、
図12Aを続けて参照する。
図12Aでは、
図12の入力の太陽歯車502と、遊車として使用するプラネタリギヤ200,201と、出力の円環状歯車602とが噛合して伝動過程において、位置決め梁3がX軸方向で軸方向力F’(F’=F1’・F2’)の応力σ作用を受けて歪みεを発生させる分析を行う他、遊車が円環状歯車により制限され、太陽歯車502の周りを公転すると、Y軸方向で僅かに変位し、Y軸方向に僅かに軸方向作用力ΔFyが発生する。分析すると、上述した太陽歯車502のピッチ円半径r’=5.1mmと、プラネタリギヤ200のピッチ円半径r’=5.1mmとに基づき、R
b=10.2mmであることが分かり、位置決め梁の伸長量(又は減縮量)がδ=0.024 mmである状況下で、ピタゴラスの定理(a
2+b
2=c
2)から、次式(8)が得られる。
【0100】
計算結果からb=10.19997であることが分かり、
図12AからR
b=b+ΔFy、即ちΔFy=R
b・b=0.000028であることが分かる。bの値はR
bに略等しく、ΔFyはy軸方向の変形量が非常に小さいことを表すため、このことは考慮する必要がない。
【0101】
図14を参照する。
図14に示すように、本実施形態において4本の位置決め梁301a,301b,301c,301d上には、それぞれ1つの歪みゲージ4が固定されて電気ブリッジ回路が製作される。歪みゲージ4が収縮力又は伸長力を受けると、その抵抗値R
1,R
2,R
3,R
4が変化し、抵抗値R
2,R
3が力を受けるときの抵抗値の変化量は−ΔRであり、抵抗値R
1,R
4が力を受けると抵抗値変化量はΔRであるため、抵抗値はR
2=R
3=R・ΔR、R
1=R
4=R+ΔRであり、上記式(3)に組み込むと次式(9)が得られる。
【0103】
計装アンプ93aによりG倍増幅した後、計算により次式(10)の出力電圧V
0qが得られる。
【0105】
計装アンプ93a、整流器93b及びマイクロコントローラユニット(MCU)93cの機能は上述したものと同じである。
【0106】
数式(7)と数式(10)とを比べると分かるように、4つの歪みゲージを使用する場合、2つの歪みゲージを使用する場合と比べ、大きな出力電圧変化量V
0q を得ることができ(即ち、V
0d< V
0q )、4つの歪みゲージは、2つの歪みゲージの変化量の2倍であり、1つの歪みゲージの変化量の約4倍である。そのため本発明では、設置する歪みゲージが多いほど、変換して得られるトルク検出数値の精度が高くなる。しかし、歪みゲージの設置数は4つだけに限定されるわけではない。言い換えると、上記式(5)及び上記式(7)で開示されている応用は、4本の位置決め梁301を有する実施形態にも適用することができる。
【0107】
ここで、
図8〜
図11に示すように、第2実施形態に係るトルク検出装置は、上述した位置決め梁301が互いに平行(同一線及び非同一線を含む)かつ対称的に配置されているが、プラネタリギヤ200,201が対称的に配置されている限り、プラネタリギヤ200,201のギヤセンタは、4本の位置決め梁301の梁中心線30a,30b上に枢支連結されなくともよい。このように、当業者であれば、力学的原理の分析により同様の結果を得ることができるということをここで述べておく。
【0108】
(第3実施形態)
図15を参照する。
図15に示すように、本発明の第3実施形態に係るトルク検出装置は、第2実施形態と異なり、遊車203,204のギヤセンタが前述した位置決め梁301上に枢支連結されず、位置決め梁301と一体成形されて固定端として使用するホイールベース305上に枢支連結され、この構成により、遊車として使用するプラネタリギヤ203,204が、位置決め梁301でなくホイールベース305により拘束され、太陽歯車502の周りでプラネタリギヤ203,204は回転されない。さらに詳細には、ホイールベース305上には、入力軸500の両端に隣り合うとともに対称的な耳部305a,305bが設けられる。遊車203,204は、耳部305a,305bにそれぞれ枢支連結されて互いに対称的に設置され、位置決め梁301の周辺に隣り合うが、その他は第2実施形態と同じである。
【0109】
図15を参照する。
図15に示すように、遊車203,204は、X方向で水平かつ対称的に入力軸500の両側に枢支連結されている。言い換えると、遊車203,204のギヤセンタと入力軸500の軸心とは、同一水平面のギヤ中心線L2上に着座し、ギヤ中心線L2と上述した梁中心線30a,30bとは互いに平行である。
【0110】
図15及び
図16を参照する。
図15及び
図16に示すように、ギヤ中心線L2と上述した梁中心線30a,30bとが平行であるとき、フォースバランス定理(force balance theorem)ΣF
y=0及びΣM
0=0に基づいてF”=F1”+ F2”、かつ、F”x R”=F
strain x R
strainであることが分かる。
【0111】
F1”は、入力の太陽歯車502と、遊車として使用するプラネタリギヤ203,204との噛合接触点に形成したY方向の接線力であり、F2”は、出力として用いる円環状歯車602と、プラネタリギヤ203,204との噛合接触点に形成したY方向の接線力であり、F”は、プラネタリギヤ203,204のギヤセンタからY方向に沿って発生した反作用力であり、R”は、太陽歯車502のギヤセンタとプラネタリギヤ203のギヤセンタとの間隔距離であり、F
strainは、4本の位置決め梁301がそれぞれ受ける軸方向力であり、R
strainは、ギヤ中心線L2と梁中心線との間隔距離である。これにより上述した位置決め梁301がそれぞれ受ける軸方向力F
strainの数値を求め、前述した位置決め梁301に発生する歪みが分かる。
【0112】
また、遊車として使用するプラネタリギヤ203,204は、前述した位置決め梁301の配置角度の変化により変化するのではなく、入力として用いる太陽歯車502と、出力として用いる円環状歯車602との間でトルクの伝達及び変換が行われるため、ギヤ中心線L2も梁中心線30a,30bに対して平行に配置されなくてもよい。言い換えると、ギヤ中心線L2は、前述した梁中心線30a,30b間で非0度の夾角θ(図示せず)が形成されてもよい。フォースバランス定理(force balance theorem)から、
【0113】
【数13】
により位置決め梁301が得る軸方向力F
strainを知り、上述した歪みをさらに算出することができるが、これらは全て本発明の範囲内に含まれる。
【0114】
以下、本発明が上述したトルク検出装置を回転駆動具上に配置し、駆動過程における回転駆動具のトルク値を検出するために用いる。
【0115】
図17を参照する。
図17は、
図1の第1実施形態のトルク検出装置の回転駆動具を示す。さらに詳細には、上述した回転駆動具は、実質上従来の電動式又は空気式のスクリュードライバー(screw driver)でもよく、これには駆動軸71及び作動軸72が含まれる。駆動軸71は、駆動トルクを供給する駆動モータ73に枢支連結され、作動軸72は、トルクを出力して外部のワークを回転させる。
【0116】
図17を参照する。
図17に示すように、回転駆動具が電動式のスクリュードライバー(釘打ち機とも称する)である場合を例に説明する。この電動式のスクリュードライバーは、ガン本体70と、ガン本体70の内部空間内に配置された電池74と、回路基板75と、駆動モータ73と、駆動軸71とを有する。電池74は、外付けされた電源により充電する上、回路基板75と電気的に接続されている。回路基板75には、駆動モータ73が接続され、電池74から電力が供給されて駆動モータ73を駆動し、駆動軸71を回転させる。本実施形態の駆動モータ73は電動モータであり、駆動軸71の一端はガン本体70から突出される。
【0117】
図17を参照する。
図17に示すように、
図1の第1実施形態に係るトルク検出装置中のケーシング1は、ガン本体70に直接モジュール式に組み立てられ、駆動軸71を有する端部が突出されている。このモジュール式に組み立てるということには、埋め込み、クリップ、係止その他一体成形する機械的手段が含まれ、駆動軸71が入力軸5に枢支連結され、入力軸5を回転させる。
【0118】
図17を参照する。
図17に示すように、出力軸6を有する端部が突出されたケーシング1には、シャフトベース76がモジュール式に組み立てられ、作動軸72がシャフトベース76内に枢支連結され、作動軸72が出力軸6と枢支連結され、作動軸72を回転させてトルクを出力し、外部のワークを回転させる。駆動軸71と作動軸72とは、互いに非同軸方向で配置される。トルク検出装置は、外部のワークを駆動させるのに必要なトルク値を知って制御するために、駆動軸71から作動軸72へ伝達されるトルクを検出する機能を有する。
【0119】
図18を参照する。以下、
図18に示すように、
図8の第2実施形態又は
図15の第3実施形態のトルク検出装置に回転駆動具を組み合わせる。さらに詳細には、上述した回転駆動具は、実質上従来の電動式又は空気式のスクリュードライバーであり、このスクリュードライバーには、駆動軸81及び作動軸82が含まれる。駆動軸81には、駆動モータ83が接続されて駆動トルクが供給される。作動軸82は、トルクを出力し、外部のワークを回転させる。
【0120】
図18を参照する。以下、
図18に基づき、回転駆動具が電動式のスクリュードライバー(釘打ち機とも称する)である場合を例に説明する。この電動式のスクリュードライバーは、ガン本体80と、ガン本体80の内部空間内に配置された電池84と、回路基板85と、駆動モータ83と、駆動軸81とを有する。電池84には、電源が外付けされて充電を行う上、回路基板85と電気的に接続されている。回路基板85は、電線により駆動軸81と接続され、電池84が電力を供給して駆動モータ83を駆動し、駆動軸81を回転させる。本実施形態の駆動モータ83は電動モータでなければならず、駆動軸81の一端がガン本体80から突出されている。
【0121】
図18を参照する。
図18に示すように、
図8の第2実施形態に係るトルク検出装置中のケーシング100は、ガン本体80に直接モジュール式に組み立てられ、駆動軸81を有する端部が突出され、駆動軸81が入力軸500に枢支連結され、入力軸500を回転させる。
【0122】
図18を参照する。
図18に示すように、出力軸600を有する端部が突出されたケーシング100には、シャフトベース86がモジュール式に組み立てられ、作動軸82がシャフトベース86内に枢支連結され、作動軸82が出力軸600と枢支連結され、作動軸82を回転させてトルクを出力し、外部のワークを回転させる。駆動軸81と作動軸82とは、互いに同軸方向で配置される。トルク検出装置は、外部のワークを駆動させるのに必要なトルク値を知って制御するために、駆動軸81から作動軸82へ伝達するトルクを検出する機能を有する。
【0123】
本発明の回転駆動具は、
図17及び
図18の2つの実施形態の電動式のスクリュードライバー以外に、空気式のスクリュードライバーその他電動式又は空気式の回転駆動具をさらに含んでもよい。勿論、この工具は、手持ち式又は工具機に固定される方式でもよい。回転駆動具が高圧空気を動力源として供給する空気式のタイプである場合、駆動モータは空気圧モータでなければならない。
【0124】
図19を参照する。
図19は、
図17及び
図18の実施形態を説明する流れ図である。
図7A、
図7B及び
図14の整流器91b,92b,93bは、出力電圧V
0s,V
0d ,V
0qを整流する機能を有し、回転する駆動具が現在出力している作動トルクを表す電圧数値|V
0|を得て、電圧数値|V
0|をマイクロコントローラユニット91c,92c,93cへ伝達し、回転駆動具が出力するトルク値を算出する。マイクロコントローラユニット(MCU)91c,92c,93c内には、電圧・トルク変換モジュール94が搭載されている。電圧数値|V
0|が電圧・トルク変換モジュール94へ伝達され、電圧数値|V
0|がトルク値|T
0|に変換され、マイクロコントローラユニット(MCU)91c,92c,93c又は電圧・トルク変換モジュール94には、所定のトルク値|T
0C|が内蔵又は外部設定されている。
【0125】
トルク値|T
0|が所定のトルク値|T
0C|より小さいとき(即ち|T
0|<|T
0C|のとき)、回転駆動具は回転し続ける。トルク値|T
0|が所定のトルク値|T
0C|より大きいとき(即ち|T
0|>|T
0C|のとき)、回転駆動具は回転を止め、設定したリセット条件を工具が満たすか否かを判断する。もしイエスの場合、電圧・トルク変換モジュール94の正常な動作が回復し、電圧数値|V
0|がトルク値|T
0|に変換され、トルク制御の動作を繰り返す。もしノーの場合、回転動作を停止し、トルク値|T
0|が設定したリセット条件を満たすか否かを改めて判断する。
【0126】
上述した第1実施形態〜第3実施形態の説明から分かるように、本発明のトルク検出装置及びトルク検出装置と結合する回転駆動具は、遊輪として使用するアイドルギヤ又はプラネタリギヤを入力端と出力端との間に配設して負荷を受けとり、歪みゲージが固定された位置決め梁に速やかに伝動され、位置決め梁が不必要な折曲ロードを受けとることを効果的に防ぎ、位置決め梁の特定の長さ範囲内に均等な歪みを発生させ、これに伴って歪みゲージに均等な変形が生じるため、歪みゲージが検出するトルクの精度を高めることができる。
【0127】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。