特許第6149243号(P6149243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6149243
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】パチンコ釘の除去工具
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
   A63F7/02 312C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-289280(P2012-289280)
(22)【出願日】2012年12月31日
(65)【公開番号】特開2014-128526(P2014-128526A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年12月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】513003552
【氏名又は名称】株式会社コザック
(74)【代理人】
【識別番号】100130074
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 繁元
(72)【発明者】
【氏名】小▲崎▼ 繁也
【審査官】 小河 俊弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−154232(JP,A)
【文献】 特開2002−058814(JP,A)
【文献】 実開平04−013273(JP,U)
【文献】 特開平10−217150(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3161625(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ台の盤面に配置されたパチンコ釘を、パチンコ台の盤面表側から裏側へと押し出して除去するパチンコ釘の除去工具であって、該除去工具は、
中空筒状のケース本体と、
該ケース本体内に軸方向にスライド可能に挿入されたハンマー体と、
一方の端部をケース本体から外部に突出させ、他方の端部を前記ハンマー体の前面と対向させた状態で前記ケース本体内に軸方向にスライド可能に挿入された釘押し体と、
前記ハンマー体の前面とは反対側の後面に当接するように前記ケース本体内に配置された弾性体と、
前記釘押し体と前記ハンマー体との間に配置され、前記釘押し体が所定の位置まで押し込まれていない状態では、係止状態を維持し、前記釘押し体が所定の位置まで押し込まれた状態で係止状態が解除され、前記釘押し体を前記ケース本体から突出させる方向へ前記ハンマー体の押圧を許すトリガー手段と、を有することを特徴とするパチンコ釘の除去工具。
【請求項2】
トリガー手段は、係止状態が解除された後に釘押し体がパチンコ台の盤面の釘穴から取り外されると、再び係止状態へと復帰する機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ釘の除去工具。
【請求項3】
釘押し体は、パチンコ台の盤面表側に穿設されている釘穴に挿入可能な直径を有する円柱状の釘押し部と、一部がケース本体内に軸方向にスライド可能に挿入される円柱状のスライド部と、該スライド部と前記釘押し部の間に形成された円錐状の傾斜面部とが一体的に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパチンコ釘の除去工具。
【請求項4】
釘押し体には、パチンコ台の盤面表側に当接可能な弾性を備えたクッション部材を有する盤面保護体が設置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパチンコ釘の除去工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機であるパチンコ台の盤面に配置されている複数のパチンコ釘が、折れて交換が必要となった場合に、パチンコ釘をパチンコ台の盤面から除去するための工具である。
【背景技術】
【0002】
従来から、パチンコ台の盤面にはパチンコ玉の通り道となるように複数のパチンコ釘が配置されている。このパチンコ釘は、パチンコ玉の衝撃によって頭部が折れた場合には、ポンチとハンマーとを使用し、パチンコ台の盤面の表から裏へと叩き出していた。
【0003】
しかしながら、ポンチとハンマーとを使用して、パチンコ台の盤面の表面側から裏面側へと叩き出す作業を行う場合には、パチンコ台の裏面に配置されている基板や配線やカーバー等を取り外して作業を行う必要があった。また、ポンチやハンマーを使用することによって、パチンコ台の盤面の表面に傷がつく可能性があり、慎重に時間をかけて作業を行っていた。
【0004】
この従来からの課題を解決するために、パチンコ台の盤面の表面側からパチンコ釘を抜き取るパチンコ釘の抜き取り専用のペンチが開発されている。このペンチは、細身のペンチであって、パチンコ釘のクランプ部先端中心点より、パチンコ盤面の釘を捕らえるT時状の溝を設けたものであった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−6052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の発明は、パチンコ盤面の表面側にパチンコ釘の一部が突出している場合には抜き取ることができ、その効果を発揮させることができるものの、パチンコ釘が、パチンコ盤面の内部で折れた場合には、クランプ部で挟むことができず、パチンコ釘を取り出すことができなかった。
【0007】
また、最近のパチンコ台の盤面は、木材に代わってプラスチックが主流となっており、パチンコ台の盤面からパチンコ釘を抜き取るためには相当の力が必要とされている。
【0008】
本発明は上記点に鑑み、パチンコ盤面の表面側にパチンコ釘の一部が突出していない場合においてもパチンコ釘を除去することができると共に、パチンコ台の盤面を傷つけることなく、短時間でパチンコ釘を除去し、且つコスト高とならない安価なパチンコ釘の除去工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、パチンコ台の盤面に配置されたパチンコ釘を、パチンコ台の盤面表側から裏側へと押し出して除去するパチンコ釘の除去工具であって、該除去工具は、中空筒状のケース本体と、該ケース本体内に軸方向にスライド可能に挿入されたハンマー体と、一方の端部をケース本体から外部に突出させ、他方の端部を前記ハンマー体の前面と対向させた状態で前記ケース本体内に軸方向にスライド可能に挿入された釘押し体と、前記ハンマー体の前面とは反対側の後面に当接するように前記ケース本体内に配置された弾性体と、前記釘押し体と前記ハンマー体との間に配置され、前記釘押し体が所定の位置まで押し込まれていない状態では、係止状態を維持し、前記釘押し体が所定の位置まで押し込まれた状態で係止状態が解除され、前記釘押し体を前記ケース本体から突出させる方向へ前記ハンマー体の押圧を許すトリガー手段とを有することを特徴としている。
【0010】
本発明に係るパチンコ釘の除去工具は、上記構成を備えていることによって、パチンコ台の裏面に配置されている基板や配線やカーバー等を取り外して作業を行う必要が無く、パチンコ台に設置された状態において、片手でパチンコ釘の除去工具を把持し、釘押し体の先端を目的の釘に押し当てた後、釘押し体を釘穴に押し込むだけの作業でパチンコ釘を除去することができる。
【0011】
したがって、短時間でパチンコ釘を除去することができることから、パチンコ釘の交換作業の効率を向上させることができる。また、簡易な構造で安価に製造することができ、コスト高とならないパチンコ釘の除去工具を提供することができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、トリガー手段は、係止状態が解除された後に釘押し体がパチンコ台の盤面の釘穴から取り外されると、再び係止状態へと復帰する機能を備えていることを特徴としている。
【0013】
したがって、複数のパチンコ釘の除去を連続して行うことができることから、パチンコ釘の交換作業の効率を一層向上させることができる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、釘押し体は、パチンコ台の盤面表側に穿設されている釘穴に挿入可能な直径を有する円柱状の釘押し部と、一部がケース本体内に軸方向にスライド可能に挿入される円柱状のスライド部と、該スライド部と前記釘押し部の間に形成された円錐状の傾斜面部とが一体的に形成されていることを特徴としている。
【0015】
釘押し体の釘押し部とスライド部との間に円錐状の傾斜面部を形成したことによって、釘押し部の先端とは反対側の端部に加わる負荷を軽減させ、釘押し部の折れ曲がりや破断を防ぐことができる。また、釘押し部と傾斜面部とスライド部とを一体的に形成することによって、大きな負荷に対しても対応することができる。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、釘押し体には、パチンコ台の盤面表側に当接可能な弾性を備えたクッション部材を有する盤面保護体が設置されていることを特徴としている。
【0017】
パチンコ釘の除去工具の使用時に、盤面保護体の弾性を備えたクッション部材がパチンコ台の盤面の表側に当接することにより、釘押し体が直接パチンコ台の盤面の表側に触れることがないので、盤面を傷めずに釘抜き作業を行うことができる。また、盤面保護体を釘押し体の釘押し部に装着することによって、釘抜き作業時にパチンコ釘の穴が大きくなるのを防ぐことができ、釘の抜けたパチンコ釘の穴に再び新しいパチンコ釘を取り付けることができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明では、パチンコ釘の交換作業の効率を向上させることができると共に、安価に製造することができコスト高とならないパチンコ釘の除去工具を提供することができる。また、請求項2の発明では、パチンコ釘の交換作業の効率を一層向上させることができる。また、請求項3の発明では、釘押し部の先端とは反対側の端部に加わる負荷を軽減させ、折れ曲がりや破断を防ぐことができる。また、請求項4の発明では、釘押し体が直接パチンコ台の盤面の表側に触れることがないので、盤面を傷めずに釘抜き作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るパチンコ釘の除去工具の断面図である。
図2】(a)は、釘押し体の斜視図である。(b)は、釘押し体の正面図であり、(c)は、同右側面図である。
図3】(a)は、釘押し体に盤面保護体を設置した状態の斜視図である。(b)は、釘押し体に盤面保護体を設置した状態の正面図であり、(c)は、同右側面図である。
図4】(a)は、トリガー部材AにばねAを装着した状態の断面図である。(b)は、トリガー部材AにばねAを装着した状態を正面方向から見た図であり、(c)は、トリガー部材AにばねAを装着した状態を背面方向から見た図である。
図5】(a)は、トリガー部材Bの斜視図である。(b)は、トリガー部材Bの正面図であり、(c)は、(b)のA−A断面図である。
図6】(a)は、ハンマー体の斜視図である。(b)は、ハンマー体の正面図であり、(c)は、(b)のB−B断面図である。
図7】本発明に係るパチンコ釘の除去工具の使用状態を示す断面図である。
図8】本発明に係るパチンコ釘の除去工具の使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るパチンコ釘の除去工具を示す断面図である。尚、図中において断面を示す平行斜線は省略している。この図に示すように、パチンコ釘の除去工具10は、前方の中空状のケース本体1Aと中央の中空状のケース本体1Bとは、前方の中空状のケース本体1Aに形成されている雄ネジ10dに、中央の中空状のケース本体1Bに形成されている雌ネジ10eが螺合することによって結合されている。また、中央の中空状のケース本体1Bと後方の中空状のケース本体1Cとは、中央のケース本体1Bに形成されている雄ネジ10fに、後方の中空状のケース本体1Cに形成されている雌ネジ10gが螺合することによって、結合されている。
【0021】
そして、中央の中空状のケース本体1Bの中空部10bには、軸方向にスライド可能にハンマー体7が挿入されている。このハンマー体7は、後述するように、一方の面に溝部が形成された円柱形状をなしており、溝部が形成されている面が前面を構成している。また、ハンマー体7の前面とは反対側の後面に一方の端部8aが当接するように弾性体であるばねB8が配置されており、このばねB8の他方の端部8b側は、後方の中空状のケース本体1Cの中空部10cに収容され、端部8bが中空部10cの底部に当接している。尚、ばねB8には、コイル状の圧縮ばねを使用すればよい。また、後方の中空状のケース本体1Cと、中央の中空状のケース本体1Bとの螺合を緩めて、中空部10bの長さと中空部10cの長さとを合計した長さを長くすることができる。この状態ではばねB8は中空部内で伸びることとなり、ハンマー体7への押圧力を弱めることができる。
【0022】
また、中央の中空状のケース本体1Bの中空部10bには、トリガー部材B6が挿入されている。このトリガー部材B6は、後述するように、中央に貫通孔を有する円柱形状をなしており、一方の面がハンマー体7の前面に対向させた状態で設置されている。また、他方の面には貫通孔の周囲に傾斜面が形成されている。
【0023】
そして、前方の中空状のケース本体1Aには、釘押し体2が、一方の端部を前方の中空状のケース本体1A先端の開口から外部に突出させ、他方の端部をハンマー体7の前面と対向させた状態で前方の中空状のケース本体1A内に軸方向にスライド可能に挿入されている。また、釘押し体2の他方の端部に当接するようにトリガー部材A4が挿入されている。さらに、トリガー部材A4には、ばねA5が固定されている。また、釘押し体2の一方の端部の近傍には、クッション部材31と、ストッパー部材32とからなる盤面保護体3が装着されている。
【0024】
図2(a)は、釘押し体2の斜視図である。図2(b)は、釘押し体2の正面図であり、図2(c)は、同右側面図である。これらの図に示すように、釘押し体2は、パチンコ台の盤面表側に穿設されている釘穴に挿入可能な直径を有する円柱状の釘押し部21と、一部が前方の中空状のケース本体1A内に軸方向にスライド可能に挿入される円柱状のスライド部23と、このスライド部23と釘押し部21の間に形成され、円錐状の傾斜面を有する傾斜面部22とが一体的に形成されている。
【0025】
また、釘押し体2は、スライド部23の端部に、スライド部23の直径及び前方の中空状のケース本体1Aの前端に形成されている開口の直径よりも大きな直径の抜け防止部24が形成されており、この抜け防止部24によって前方の中空状のケース本体1Aの前端に形成されている開口から釘押し体2が抜け出るのを防止している。
【0026】
さらに、釘押し体2の抜け防止部24の端部には、押圧面24aが形成されており、この押圧面24aは、トリガー部材A4の押圧面と接触して押圧される構造となっている。
【0027】
また、釘押し体2の釘押し部21の先端には、釘押し面21aが形成されており、この釘押し面21aが、除去される釘の先端部に当接される。尚、釘押し面21aと円柱状の釘押し部21の周面との境界部分が鋭角となっていると、釘の除去時に釘穴の周面が削りとられて、釘穴が大きくなる可能性があるので、釘押し面21aと円柱状の釘押し部21の周面との境界部分にはアール加工が施されている。
【0028】
図3(a)は、釘押し体2に盤面保護体3を設置した状態の斜視図である。図3(b)は、釘押し体2に盤面保護体3を設置した状態の正面図であり、図3(c)は、同右側面図である。これらの図に示すように、盤面保護体3は、弾性体により形成されたクッション部材31と、ストッパー部材32とから構成されている。ストッパー部材32は、貫通孔32aが形成されており、この貫通孔32aの直径は、円柱状の釘押し部21の直径よりも大きく、円柱状のスライド部23の直径よりも小さくなっている。即ち、ストッパー部材32は、釘押し体2の傾斜面部22で係止する構造となっている。尚、ストッパー部材32はワッシャー等の金属で形成されたものを使用すればよい。
【0029】
また、クッション部材31は、貫通孔31aが形成されており、この貫通孔31aの直径は、円柱状の釘押し部21の直径と略同等の大きさとなっている。このクッション部材31は、ゴム等の弾性を有する材質のものを使用すればよく、弾性を有することによって、パチンコ台の盤面の表側の面に当接した時に、表側の面に傷が付かないようにしている。
【0030】
図4(a)は、本発明のトリガー手段の一部を構成するトリガー部材A4にばねA5を装着した状態の断面図である。図4(b)は、トリガー部材A4にばねA5を装着した状態を正面方向から見た図であり、図4(c)は、トリガー部材A4にばねA5を装着した状態を背面方向から見た図である。これらの図に示すように、トリガー部材A4は、先端に、前述した釘押し体2の押圧面24aと接触する押圧面41が形成されている。また、符号42は、ばねA5の一方の端部を係止する係止突起であり、符号46は、係止突起42の後方に形成された外周面である。符号43は、外周面46の後方に形成された円錐状の傾斜面である。さらに、円錐状の傾斜面43の後方には、ハンマー体7の収容孔72に収容される円柱状の押圧棒44が形成されており、この押圧棒44の端部に形成されている押圧面45が後述するトリガー部材Bに接触する構造となっている。
【0031】
ばねA5は、先端の固定部51の直径が後方の圧縮部52の直径よりも小さくなっており、固定部51がトリガー部材A4の係止突起42と外周面46とに当接して設置されている。この設置状態では、トリガー部材A4の長手方向の軸心が、ばねA5の圧縮部52の長手方向の軸心に対して平行とならないようにして設置されている。即ち、ばねA5が圧縮されていない状態では、押圧面45が後述するトリガー部材Bの傾斜面の一部に接触する構造となっている。尚、ばねA5の弾性力は、前述したばねB8の弾性力よりも小さくなるように設計されている。
【0032】
図5(a)は、トリガー手段の一部を構成するトリガー部材B6の斜視図である。図5(b)は、トリガー部材B6の正面図であり、図5(c)は、(b)のA−A断面図である。これらの図に示すように、トリガー部材B6は、外周面63を有する円柱形状となっており、貫通孔62が形成されていると共に、この貫通孔62形成されている一方の端面には、傾斜面61が形成されている。また、貫通孔62の直径は、前述したトリガー部材A4の外周面46よりも大きく形成されている。また、他方の端面64がハンマー体7の前面71に対向させた状態で中央の中空状のケース本体1Bの中空部10bに設置される。
【0033】
図6(a)は、ハンマー体7の斜視図である。図6(b)は、ハンマー体7の正面図であり、図6(c)は、(b)のB−B断面図である。これらの図に示すように、ハンマー体7は、外周面74を有する円柱形状となっており、収容孔72が形成されている。この収容孔72は、前述したトリガー部材A4の押圧棒44を収容する孔であり、底部には、押圧面72aが形成されている。また、収容孔72が形成されている側の前面71がトリガー部材B6の端面64に対向させた状態で中央の中空状のケース本体1Bの中空部10bに設置される。また、ハンマー体7の後面73がばねB8の端部8aに当接するように設置される(図1参照)。
【0034】
図7及び図8は、本発明に係るパチンコ釘の除去工具の使用状態を示す断面図である。尚、図中において断面を示す平行斜線は省略している。図7及び図8に示す符号9は、パチンコ台の盤面であり、符号9aは、表面、符号9bは、裏面、符号9cは、パチンコ釘の穴を示している。また、符号11は、頭部が折れたパチンコ釘であり、11aはパチンコ釘に形成されている雄ネジである。
【0035】
図7に示すように、パチンコ釘の除去工具の釘押し体2の釘押し部21の先端の釘押し面21aを、除去される釘11の先端部に当接する。この状態では、トリガー部材A4の押圧面45が、トリガー部材B6の傾斜面61の一部に接触する状態、即ち係止状態となっている。そして、作業者が、中空状のケース本体1Cを片手で把持して釘穴方向に押圧していくと、釘押し体2の一方の端部が、相対的に、前方の中空状のケース本体1Aの内部に押し込まれていく。すると、釘押し体2の押圧面24aがトリガー部材A4の押圧面41を押圧することとなり、ばねA5が徐々に圧縮されていく。ばねA5が圧縮されていくと、圧縮部52の端部がトリガー部材B6の傾斜面61に当接し、トリガー部材A4の長手方向の軸心が、ばねA5の圧縮部52の長手方向の軸心に対して徐々に平行に近くなっていく。そして、釘押し体2が所定の位置まで押し込まれた状態となると、トリガー部材A4の押圧棒44が、ハンマー体7の収容孔72に収容されて、係止状態が解除される。
【0036】
係止状態が解除されると、図8に示すように、ばねB8に付勢されたハンマー体7がトリガー部材Aを介して釘押し体2を前方の中空状のケース本体1Aから突出させる方向へと押圧する。即ち、ハンマー体7の押圧面72aが、トリガー部材A4の押圧棒44の押圧面45を押圧し、トリガー部材A4の押圧面41が釘押し体2の押圧面24aを押圧する。そして、釘押し体2の円柱状の釘押し部21の先端の釘押し面21aがパチンコ釘の穴9Cの内部に進入して頭部が折れたパチンコ釘11がパチンコ台の盤面9の裏面9b側から放出されることによって、パチンコ台の盤面9から除去される。即ち、ばねA5の弾性力だけでは、パチンコ釘11を盤面から除去することはできないが、ばねB8の弾性力が加わることによって、パチンコ釘11を盤面から除去することができるのである。尚、ばねB8の弾性力は、後方の中空状のケース本体1Cと、中央の中空状のケース本体1Bとの螺合を緩めることによって弱めることができる。
【0037】
係止状態が解除されると、盤面保護体3は、クッション部材31がパチンコ台の盤面9の表面9aに当接することとなるが、クッション部材31の弾性によってパチンコ台の盤面9の表面9aに傷が付くことを防いでいる。また、クッション部材31の後方に配置されたストッパー部材32は、釘押し体2の傾斜面部22で係止する構造となっており、釘押し体2の傾斜面部22がパチンコ釘の穴9Cの内部に進入することがない寸法で、盤面保護体3が釘押し体2に設置されている。
【0038】
そして、頭部が折れたパチンコ釘11の除去が終了すると、パチンコ釘の除去工具10の円柱状の釘押し部21をパチンコ釘の穴9Cから引き抜くこととなる。この時、トリガー手段を構成するばねA5の付勢によって、トリガー部材A4が釘押し体2を前方の中空状のケース本体1Aから突出させる方向へと移動する。このトリガー部材A4のケース本体内での移動によって、トリガー部材A4の押圧棒44は、ハンマー体7の収容孔72から離れ、パチンコ釘の除去工具10は、図7に示す係止状態へと復帰する。
【0039】
したがって、本発明に係るパチンコ釘の除去工具10は、連続して複数の頭部が折れたパチンコ釘11の除去作業を行うことができ、分解等を行って係止状態への設定作業を行う必要がないので、作業効率は高いものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のパチンコ釘の除去工具は、遊技機であるパチンコ台の盤面に配置されている複数のパチンコ釘が折れて交換が必要となった場合に、パチンコ釘をパチンコ台の盤面から除去するための工具として使用される。
【符号の説明】
【0041】
1A、1B、1C ケース本体
2 釘押し体
3 盤面保護体
4 トリガー部材A
5 ばねA
6 トリガー部材B
7 ハンマー体
8 ばねB
9 パチンコ台の盤面
10 パチンコ釘の除去工具
10a、10b、10c 中空部
11 パチンコ釘
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8