特許第6149356号(P6149356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6149356
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/74 20060101AFI20170612BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20170612BHJP
   B60R 25/01 20130101ALI20170612BHJP
   H04B 1/707 20110101ALI20170612BHJP
【FI】
   G01S13/74
   E05B49/00 J
   B60R25/01
   H04B1/707
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-146522(P2012-146522)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-10044(P2014-10044A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 宗範
(72)【発明者】
【氏名】高岡 彰
(72)【発明者】
【氏名】若松 俊宏
【審査官】 中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−104429(JP,A)
【文献】 特開2011−021369(JP,A)
【文献】 特開2012−107377(JP,A)
【文献】 特開2009−272874(JP,A)
【文献】 特表2006−506836(JP,A)
【文献】 特表2005−526462(JP,A)
【文献】 特開2003−046474(JP,A)
【文献】 特開2003−298505(JP,A)
【文献】 特開2006−054745(JP,A)
【文献】 特開2000−286823(JP,A)
【文献】 特開2012−138889(JP,A)
【文献】 米国特許第5224120(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0310384(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00− 7/42
G01S13/00−13/95
B60R25/00−99/00
E05B 1/00−85/28
H04B 1/69− 1/719
H04J13/00−13/22
H04L 5/00− 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持する携帯機(20)と、車両に搭載された車載装置(10)と、を備え、前記携帯機(20)と前記車載装置(10)とが通信を行う無線通信システムであって、 前記車載装置(10)は、
予め定められた拡散率で送信データをスペクトラム拡散変調し、スペクトラム拡散変調したLF周波数帯のリクエスト信号を送信する送信部(3)と、
前記拡散率を段階的に変更して前記送信データをスペクトラム拡散変調させ、送信部(3)から到達範囲の異なる複数のリクエスト信号を順次送信させるリクエスト信号送信手
段と、
前記リクエスト信号に応答して前記携帯機(20)より送信されるレスポンス信号の受信判定を行う受信判定手段と、
前記レスポンス信号の受信判定の判定結果に基づいて前記携帯機(20)が位置する領域を特定する携帯機位置特定手段と、を備え、
前記携帯機(20)は、
前記車載装置(10)からの前記リクエスト信号のキャリアが検出されると、当該リクエスト信号の中心周波数帯における第1受信レベルと、前記中心周波数帯から一定周波数離れた周波数帯における第2受信レベルを特定する受信レベル特定手段と、
前記第1、第2受信レベルのレベル差から前記リクエスト信号の拡散率を特定する拡散率特定手段と、
前記拡散率特定手段により特定された前記リクエスト信号の拡散率と同じ拡散率で前記リクエスト信号の逆拡散処理を行い、前記リクエスト信号を復号する復号処理手段と、を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記車載装置(10)は、
送信アンテナ(2)より送信される前記リクエスト信号の送信レベルを調整する送信レベル調整手段(35)を備え、
前記リクエスト信号送信手段は、前記スペクトラム拡散処理の拡散率が大きいほど前記リクエスト信号の送信レベルが大きくなるように前記送信レベル調整手段(35)に指示することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記リクエスト信号送信手段は、前記拡散率を段階的に小さくして前記送信部(3)よりスペクトラム拡散変調させた複数のリクエスト信号を順次送信させ、
前記リクエスト信号送信手段は、前記受信判定手段により前記レスポンス信号が受信異常と判定されると、前記送信部(3)からの前記リクエスト信号の送信を中断することを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが所持する携帯機と、車両に搭載された車載装置を備えた無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される車載装置とユーザーが持つ携帯機とが双方向に通信する無線通信システムにおいて、車両近傍が通信エリアとなるよう、車載装置から携帯機へLF周波数帯を用いて車両側リクエスト信号を送信し、その応答として携帯機から車載装置へ携帯側信号を返信し、この携帯側信号を受信した車載装置が、車両内のアクチュエータ(ドアの解錠装置、ドアの施錠装置、灯具等)を作動させるスマートシステムの技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−104429号公報
【特許文献2】特開2010−001642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなスマートシステムの技術において、車両側リクエスト信号の到達範囲を広げたいというニーズがある。リクエスト信号の到達範囲を拡大するための方法として、車載装置側でLF出力を拡大させる方法があるが、単にLF出力を拡大させると、送信させるリクエスト信号の強度が大きくなるので、リクエスト信号の電波強度を強めたくない場合(例えば、電波法法規によって或る上限を超える強度が禁止されている場合)には適用できない。
【0005】
また、仮に、車両側リクエスト信号の到達範囲を広げた場合、今度は、携帯機が位置する領域も広くなってしうため、携帯機の位置を精度良く特定することができなくなってしまう。このため、商品性を向上させることができなくなってしまう。
【0006】
つまり、商品性を向上させるためには、車両側リクエスト信号の到達範囲を広げるだけでなく、携帯機が位置する領域をより精度良く特定できるようにする必要がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、車載装置から携帯機へのリクエスト信号の電波強度を所望の範囲内に抑えつつ、リクエスト信号の到達範囲を大きくするとともに、携帯機の位置をより精度良く特定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ユーザが所持する携帯機(20)と、車両に搭載された車載装置(10)と、を備え、携帯機(20)と車載装置(10)とが通信を行う無線通信システムであって、車載装置(10)は、予め定められた拡散率で送信データをスペクトラム拡散変調し、スペクトラム拡散変調したLF周波数帯のリクエスト信号を送信する送信部(3)と、拡散率を段階的に変更して送信データをスペクトラム拡散変調させ、送信部(3)から到達範囲の異なる複数のリクエスト信号を順次送信させるリクエスト信号送信手段と、リクエスト信号に応答して携帯機(20)より送信されるレスポンス信号の受信判定を行う受信判定手段と、レスポンス信号の受信判定の判定結果に基づいて携帯機(20)が位置する領域を特定する携帯機位置特定手段と、を備え、携帯機(20)は、車載装置(10)からのリクエスト信号のキャリアが検出されると、当該リクエスト信号の中心周波数帯における第1受信レベルと、中心周波数帯から一定周波数離れた周波数帯における第2受信レベルを特定する受信レベル特定手段と、第1、第2受信レベルのレベル差からリクエスト信号の拡散率を特定する拡散率特定手段と、拡散率特定手段により特定されたリクエスト信号の拡散率と同じ拡散率でリクエスト信号の逆拡散処理を行い、リクエスト信号を復号する復号処理手段と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、車載装置(10)は、予め定められた拡散率で送信データをスペクトラム拡散変調し、スペクトラム拡散変調したLF周波数帯のリクエスト信号を送信するので、車載装置から携帯機へのリクエスト信号の電波強度を所望の範囲内に抑えつつ、リクエスト信号の到達範囲を大きくすることができる。更に、拡散率を段階的に変更して送信データをスペクトラム拡散変調させ、送信部(3)から到達範囲の異なる複数のリクエスト信号を順次送信させ、リクエスト信号に応答して携帯機(20)より送信されるレスポンス信号の受信判定を行い、レスポンス信号の受信判定の判定結果に基づいて携帯機(20)が位置する領域を複数の領域に分けて特定するので、携帯機の位置をより精度良く特定することができる。
【0010】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
図2】LF送信部およびLF受信部の構成を示す図である。
図3】スマートECUの車両側制御部のフローチャートである。
図4】携帯機の携帯側制御部のフローチャートである。
図5】スペクトラム拡散する前の元の信号のスペクトルと、拡散率=15、31、63の場合のスペクトルを示す図である。
図6】拡散率=63、31、15、0にした場合の拡散処理後の電力レベルと逆拡散処理後の電力レベルの関係を示す図である。
図7】LF送信アンテナから送信される信号の電力レベルを示すグラフであり、(a)は拡散変調を行わない場合、(b)は拡散率が15の場合、(c)は拡散率が31の場合、(d)は拡散率が63の場合を示す。
図8】拡散率の違いによるリクエスト信号の各地点での出力強度と通信距離の関係を示す図である。
図9】スペクトラム拡散する前の元の信号のスペクトルと、拡散率=15、31、63の場合のスペクトルを重ねて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態に係る無線通信システムの構成を図1に示す。本無線通信システムは、スマートシステムとして構成されている。このスマートシステムは、スマート駆動として、お出迎え制御(ウェルカムライト点灯等)、車両のドアの解錠および車両駆動装置(例えばエンジン)の始動を行うものであり、車両に搭載される車載装置10と、ユーザーが所持する携帯機20とを備えている。
【0013】
このシステムにおいては、車載装置10から携帯機20へは、LF波帯のリクエスト信号が送信され、携帯機20から車載装置10へはRF波帯のレスポンス信号が送信される。
【0014】
ここで、LF帯通信距離について説明する。RF帯における通信の場合は、波長が短いために近距離における通信の場合でも、通信は放射電磁界の領域で通信が行われるが、スマートシステムのような近距離におけるLF帯の無線通信の場合は通信距離に比べて非常に波長が長く、通信は誘導電磁界の領域で行われる。RF帯での距離減衰は距離の2乗に反比例して減衰するが、LF帯での距離減衰は距離の3乗に反比例して減衰する。このためLF帯での通信は特定のエリアに限定した通信が可能になる。
【0015】
車載装置10は、スマートECU1、LF送信アンテナ2、LF送信部3、RF受信アンテナ4、RF復調部5、センサ6、アクチュエータ7を有している。
【0016】
LF送信アンテナ2は、LF波帯の信号(LF電波)を無線送信するためのアンテナである。LF送信部3は、スマートECU1から出力されたLFデータの信号をLF波帯の信号に変調してLF送信アンテナ2に出力する回路である。変調方式としては、スペクトラム拡散方式等を採用する。
【0017】
ここで、スペクトラム拡散方式について説明する。スペクトラム拡散方式は、データ信号に拡散符号を掛け合わせること(拡散処理)により信号を広帯域化し、受信の際は同じ拡散符号を同じタイミングで掛け合わせること(逆拡散)によりデータ信号を復元する通信方式である。本実施形態では、後述するように、車載装置10から携帯機20への信号を広帯域化することにより出力のピークレベルが下がる点に着目して送信出力の補填をおこない通信距離の拡大を実現する。
【0018】
RF受信アンテナ4は、RF波帯の信号(RF電波)を無線受信するためのアンテナである。RF復調部5は、RF受信アンテナ4が受信したRF波帯の信号を復調してRFデータの信号としてスマートECU1に出力する回路である。
【0019】
センサ6は、車両のドアのドアハンドル部分等に取り付けられ、ユーザがドアに手をかける動作を検出し、検出結果をスマートECU1に出力するためのセンサであり、例えば、タッチセンサとして実現可能である。
【0020】
アクチュエータ7は、スマート駆動の対象となるアクチュエータであり、車両に搭載されたウェルカムライトの点灯、消灯、光軸を制御するウェルカムライトアクチュエータ、車両のエンジンのスタータモータ(またはスタータモータを制御するエンジンECU)、車両のドアの施錠および解錠を行うドアロック機構(ドアロック機構を制御するドアECU)等から成る。
【0021】
スマートECU1は、LF送信部3、RF復調部5、センサ6、アクチュエータ7と信号をやり取りすることで、携帯機20との通信に基づいてスマート駆動を行う電子制御ユニットである。このスマートECU1は、車両側制御部13等を備えている。
【0022】
車両側制御部13は、CPU、RAM、ROM、I/O等を備えたマイクロコンピュータとして実現されており、CPUがROMに記録されたプログラムを実行することで、RAMを作業領域として種々の処理を実現する。以下では、CPUが実行する処理を、車両側制御部13の処理として記載する。
【0023】
携帯機20は、LF受信アンテナ21、LF受信部22、RF送信アンテナ24、RF変調部25、および携帯側制御部26を有している。
【0024】
LF受信アンテナ21は、車載装置10から送信されたLF波帯の信号を受信するためのアンテナである。LF受信部22は、LF受信アンテナ21が受信したLF波帯の信号を復調してLFデータの信号として携帯側制御部26に出力する回路である。復調方式としては、スペクトラム拡散方式等を採用する。
【0025】
RF送信アンテナ24は、RF波帯の信号(RF電波)を無線送信するためのアンテナである。RF変調部25は、携帯側制御部26から出力されたRFデータの信号をRF波帯の信号に変調してRF送信アンテナ24に出力する回路である。
【0026】
携帯側制御部26は、CPU、RAM、ROM、I/O等を備えたマイクロコンピュータとして実現されており、CPUがROMに記録されたプログラムを実行することで、RAMを作業領域として種々の処理を実現する。以下では、CPUが実行する処理を、携帯側制御部26の処理として記載する。
【0027】
ここで、車載装置10のLF送信部3および携帯機20のLF受信部22について詳細に説明する。図2に、LF送信部3およびLF受信部22の構成を示す。
【0028】
LF送信部3は、拡散処理部31、バンドパスフィルタ32、1次変調部33、キャリア出力部34、LFドライバ35を有している。拡散処理部31は、車両側制御部13から入力されたデータ信号1a(上述のLFデータに相当する)に対し、車両側制御部13より指定された拡散率で、かつ、予め記憶媒体に記録されている拡散符号3aを用いてスペクトラム拡散方式による拡散変調を行い、拡散変調された信号(拡散データ信号)をバンドパスフィルタ32に入力する。バンドパスフィルタ32は、入力された拡散データ信号のうち所定の周波数帯域の成分のみを抽出して1次変調部33に入力する。
【0029】
1次変調部33は、バンドパスフィルタ32から入力された上記拡散変調信号に対し、キャリア出力部34から出力されたLFキャリア信号(134kHzの正弦波信号)を用いて1次変調する。変調方式としては、例えばPSKを採用する。1次変調部33で1時変調された信号は、LF波帯の信号としてLFドライバ35に入力される。
【0030】
LFドライバ35は、入力されたLF波帯の信号を制御部13より入力される信号に応じた増幅率で増幅し、増幅された入力されたLF波帯の信号をLF送信アンテナ2に出力する。これにより、LF送信アンテナ2からLF波帯の信号が、リクエスト信号として送出される。
【0031】
また、LF受信部22は、バンドパスフィルタ22b、増幅器22c、キャリア出力部22d、1次復調部22e、逆拡散処理部22f、周波数切替バンドパスフィルタ22g、受信レベル検出部22hを有している。LF受信アンテナ21がLF波帯の信号(車載装置10から送信された上記LF波帯の信号)を受信すると、バンドパスフィルタ22bはその信号の所定の周波数帯域の成分のみを抽出して増幅器22cに入力する。増幅器22cは、入力された信号を増幅して1次復調部22eに入力する。
【0032】
また、周波数切替バンドパスフィルタ22gは、車両側制御部13より入力される周波数切替信号に応じて通過させる信号の周波数帯域が変化するようになっている。
【0033】
また、受信レベル検出部22hは、1次復調部22eより出力される信号のキャリア検出と、1次復調部22eより出力される信号の受信レベルを検出する。
【0034】
1次復調部22eは、増幅器22cから入力された信号に対し、キャリア出力部22dから出力されたLFキャリア信号(134kHzの正弦波信号)を用いて1次復調し、1次復調後の信号を逆拡散処理部22fに入力する。復調方式は、1次変調部33と同じ方式(例えばPSK)を採用する。
【0035】
逆拡散処理部22fは、1次復調部22eから入力された信号に対して、あらかじめ記憶媒体に記録されている拡散符号3a(LF送信部3の拡散符号3aと同じもの)を用いて逆拡散復調し、その逆拡散復調の結果得たデータ信号1a(LFデータ)を、携帯側制御部26に出力する。このデータ信号1aは、LF送信部3において拡散変調されたデータ信号1aと同じデータとなる。なお、逆拡散復調のために必要な同期捕捉処理も、この逆拡散処理部22fが行う。
【0036】
また、逆拡散処理部22fは、逆拡散復調する際に、1次復調部22eから入力された信号の中心周波数帯における第1受信レベルと、中心周波数帯から一定周波数離れた周波数帯における第2受信レベルを特定し、第1受信レベルと第2受信レベルのレベル差からリクエスト信号の拡散率を特定し、この拡散率と同じ拡散率で逆拡散処理を行う。
【0037】
以下、本スマートシステムの作動について説明する。図3は、スマートECU1の車両側制御部13が実行する処理のフローチャートであり、図4は、携帯機20の携帯側制御部26が実行するフローチャートである。
【0038】
スマートECU1の車両側制御部13は、図3に示す処理を定期的に実施する。また、携帯機20の携帯側制御部26は、定期的に図4に示す処理を実施する。
【0039】
スマートECU1の車両側制御部13は、まず、LF送信部3の拡散処理部31に対し、スペクトラム拡散変調の拡散率を初期設定値に指定する(S100)。本実施形態では拡散率の初期設定値は63となっており、拡散率を初期設定値の63に指定する。また、LFドライバ35の増幅率を初期設定値に指定する。
【0040】
次に、LFデータをLF変調部3に出力する(S102)。これにより、LFデータがLF送信部3で拡散率=63として拡散変調および1次変調され、LF送信アンテナ2からLF波帯のリクエスト信号が無線送信される。
【0041】
なお、このようにリクエスト信号を無線送信した後、車両側制御部13は、リクエスト信号に応答して携帯機20より送信されるレスポンス信号の待ち受け状態になる。
【0042】
一方、携帯機20の携帯側制御部26は、図4に示す処理を実施する。すなわち、携帯側制御部26は、定期的にLFデータ(リクエスト信号)のキャリアが検出されたか否かを判定する(S200)。具体的には、受信レベル検出部22hによりLFデータ(リクエスト信号)のキャリアが検出されたか否かを判定する。
【0043】
ここで、携帯機20がリクエスト信号の受信可能範囲内に位置せず、LFデータのキャリアが検出されない場合、S200の判定はNOとなり、S200の判定を繰り返す。また、携帯機20がリクエスト信号の受信可能範囲内に位置し、LFデータのキャリアが検出されると、S200の判定はYESとなり、次に、リクエスト信号の中心周波数である134kHzにおける受信レベル(第1受信レベルに相当する)を検出する(S202)。ここで、周波数切替バンドパスフィルタ22gのバンドパス周波数を134kHz帯となっているものとする。134kHzにおける受信レベルは、受信レベル検出部22hにより検出することができる。
【0044】
次に、検出周波数を切り替える(S204)。具体的には、周波数切替バンドパスフィルタ22gのバンドパス周波数を160kHz帯に切り替える。
【0045】
次に、160kHzにおける受信レベル(第2受信レベルに相当する)を検出する(S202)。160kHzにおける受信レベルは、受信レベル検出部22hにより検出することができる。
【0046】
次に、受信レベルのレベル差を特定する(S208)。具体的には、リクエスト信号の中心周波数である134kHzにおける受信レベル(第1受信レベルに相当する)と160kHzにおける受信レベル(第2受信レベルに相当する)の差分を算出する。
【0047】
次に、レベル差から拡散率を特定する(S210)。本実施形態におけるスマートECU1では、後述するように、拡散率を63、31、15の順で段階的に変更してスペクトラム拡散変調したリクエスト信号を順次送信するようになっている。具体的には、レベル差が15デシベル(dB)以上の場合は拡散率=15、レベル差が8デシベル(dB)以上で15デシベル(dB)未満の場合は拡散率=31、レベル差が7デシベル(dB)未満の場合は拡散率=63として特定する。
【0048】
次に、S210にて特定された拡散率を指定して、S210にて特定された拡散率と同じ拡散率でリクエスト信号の逆拡散処理を行って、リクエスト信号を復号するように逆拡散処理部22fに指示する(S212)。なお、逆拡散処理部22fは、同期補足処理を行い、リクエスト信号(LF波帯の周波数を中心周波数とする信号)に含まれるLFデータを出力する。
【0049】
次に、リクエスト信号(LF波帯の周波数を中心周波数とする信号)に含まれるLFデータが正規のものであるか否かに基づいてLFデータの受信が正常終了したか否かを判定する(S214)。
【0050】
ここで、LFデータの受信が正常終了していない場合、S212へ戻り、再度、逆拡散処理部22fに同期補足処理を実施させ、S214の判定を行う。そして、LFデータの受信が正常終了すると、S214の判定はYESとなり、次に、RFデータ(レスポンス信号)を送信させる(S216)。具体的には、RFデータを作成してRF変調部25に出力する。これにより、RFデータがRF変調部25で変調され、RF送信アンテナ24からRF波帯信号として無線送信される。RF波帯の信号は、LF波帯の信号に比べて遠くまで届くようになっている。
【0051】
上記のようにRFデータを含むRF波帯の信号が送信されると、車載装置10のRF受信アンテナ4が当該RF波帯の信号を受信し、RF復調部5が当該RF波帯の信号を復調してRFデータの信号として車両側制御部13に出力する。
【0052】
図3の説明に戻り、スマートECU1の車両側制御部13は、RFデータ(レスポンス信号)を受信したか否かを判定する(S104)。
【0053】
ここで、RFデータ(レスポンス信号)を受信した場合、S104の判定はYESとなり、次に、受信したRFデータが正規のものであるか否かを判定するため、当該RFデータを所定の照合用データと照合する(S106)。
【0054】
次に、S110の照合の結果に基づいて、当該RFデータが正規のものであるか否かを、周知の方法で(例えばRFデータが照合用データと一致するか否かで)判定する(S108)。
【0055】
ここで、RFデータが照合用データと一致している場合、S108の判定はYESとなり、次に、携帯機が位置する領域を特定する(S110)。拡散率が大きいほどリクエスト信号の到達距離は長くなる。本実施形態では、後述するように、スペクトラム拡散変調の拡散率を63、31、15の順に段階的に小さくするようにして、リクエスト信号の到達距離を段階的に短くし、携帯機が位置する領域の絞り込みを行う。ここでは、拡散率=63とするリクエスト信号の到達距離の比較的長い領域に携帯機20が位置するものと特定する。
【0056】
次に、未実施の拡散率があるか否かを判定する(S112)。本実施形態では、拡散率を63、31、15の順に段階的に小さくするようになっており、未実施の拡散率がある場合にはYESと判定し、未実施の拡散率がない場合にはNOと判定する。
【0057】
ここでは、拡散率=63でしか実施しておらず、未実施の拡散率があるためS112の判定はYESとなり、拡散率を変更する(S114)。具体的には、拡散率を63の次に小さな31に指定する。また、LFドライバ35の増幅率を初期設定値よりも小さな値に指定し、S102へ戻る。
【0058】
これにより、S102では、LFデータがLF送信部3で拡散率=31として拡散変調および1次変調され、LF送信アンテナ2からLF波帯の周波数を中心周波数とするリクエスト信号として無線送信される。また、LFドライバ35の増幅率が初期設定値よりも小さな値に変更されているので、リクエスト信号の到達範囲も狭くなる。
【0059】
ここで、例えば、携帯機20が拡散率=31として拡散変調されたリクエスト信号の受信可能範囲内に位置する場合、リクエスト信号の受信に応答して携帯機20からRFデータを含むRF波帯の信号(レスポンス信号)が送信される。
【0060】
そして、RFデータが照合用データと一致している場合、S108の判定はYESとなり、次に、再度、S110にて携帯機20が位置する領域を特定する。この場合、拡散率=31とするリクエスト信号の到達距離の領域に携帯機20が位置すると絞り込まれる。
【0061】
そして、S114にて、再度、拡散率を最も小さな15に指定するとともに、LFドライバ35の増幅率を更に小さな値に指定し、S102へ戻る。
【0062】
これにより、S102では、LFデータがLF送信部3で拡散率=15として拡散変調および1次変調され、LF送信アンテナ2からLF波帯の周波数を中心周波数とするリクエスト信号として無線送信される。また、LFドライバ35の増幅率が更に小さな値に変更されているので、リクエスト信号の到達範囲も更に狭くなる。
【0063】
ここで、例えば、携帯機20が拡散率=15として拡散変調されたリクエスト信号の受信可能範囲内に位置する場合、リクエスト信号の受信に応答して携帯機20からRFデータを含むRF波帯の信号(レスポンス信号)が送信される。
【0064】
そして、RFデータが照合用データと一致している場合、S108の判定はYESとなり、次に、S112にて、再度、携帯機20が位置する領域を特定する。この場合、拡散率=15とするリクエスト信号の到達距離の領域に携帯機20が位置すると絞り込まれる。
【0065】
このようにして携帯機20が位置する領域の絞り込みが行われ、未実施の拡散率がなくなると、S112の判定はNOとなり、携帯機が位置する領域を確定する(S116)。
【0066】
ここで、拡散率=63として拡散変調されたリクエスト信号の受信可能範囲を遠距離領域、拡散率=31として拡散変調されたリクエスト信号の受信可能範囲を中距離領域、拡散率=15として拡散変調されたリクエスト信号の受信可能範囲を近距離領域とする。
【0067】
例えば、S110にて、携帯機20が遠距離領域に位置すると特定された後、中距離領域に位置すると特定され、更に、近距離領域に位置すると特定されている場合、携帯機20が近距離領域内に位置すると確定することができる。
【0068】
また、例えば、携帯機20が遠距離領域に位置すると特定された後、中距離領域に位置すると特定されたものの、近距離領域に位置しない特定された場合、携帯機20が中距離領域内で、かつ、近距離領域外に位置すると確定することができる。
【0069】
また、例えば、携帯機20が遠距離領域に位置すると特定された後、中距離領域に位置しないと特定された場合、携帯機20が遠距離領域内で、かつ、中距離領域外に位置すると確定することができる。
【0070】
なお、携帯機20がリクエスト信号の受信可能範囲内に位置しない場合には、S104の判定はNOとなり、S116へ進み、携帯機20が位置する領域を特定する。この場合、携帯機20が少なくとも遠距離領域内には存在しないものとして確定される。
【0071】
また、携帯機20の照合がNGとなった場合には、S108の判定はNOとなり、S116へ進み、携帯機20が位置する領域を特定する。この場合も、携帯機20が少なくとも遠距離領域内には存在しないものとして確定される。
【0072】
次のS118では、携帯機20の位置に応じたスマート制御を行う。具体的には、携帯機20位置する領域に応じたお出迎え制御等を行う。お出迎え制御においては、例えばアクチュエータ7を使用して、車両に搭載されたウェルカムライトの照射範囲を携帯機20位置する領域に合わせて移動させるように車両のドア周辺を照らすようになっていてもよいし、あるいは、ウェルカムライトを点灯させ、更に、ウェルカムライトの光軸を携帯機20位置する領域に合わせるように変化させることで、照射先を、車両から離れた位置(例えば3m離れた位置)から車両に近づけるように移動させるようになっていてもよい。そして、次のイベント(例えば、ドライバがドアに触れるイベント、エンジン始動操作のイベント)があるまでスタンバイ状態に入る。なおドライバがドアに触れるイベントが発生すると、ドアを解錠し、エンジン始動操作のイベントが発生すると、エンジンを始動させる。
【0073】
次に、拡散率とスペクトルの関係について説明する。図5に、スペクトラム拡散する前の元の信号のスペクトルと、拡散率=15、31、63の場合のスペクトルを示す。図に示されるように、拡散率が大きくなるほどスペクトルが広がっている。また、スペクトラム拡散する前の元の信号のピークレベルよりも、スペクトラム拡散した後の信号のピークレベルの方が小さくなっている。なお、元の信号のピークレベルとスペクトラム拡散した後の信号のピークレベルの差分が大きいほど、送信出力の調整可能幅も大きくなる。
【0074】
図6に、拡散率を63、31、15、0にした場合の拡散処理後の電力レベルと逆拡散処理後の電力レベルの関係を示す。図中(a)には、拡散処理後の電力レベルが示されており、図中(b)には、逆拡散処理後の電力レベルが示されている。
【0075】
拡散率=63の場合と、拡散率=0の場合を比較すると、いずれも拡散処理後のピークレベルが同一の出力規格上限に設定されているのにもかかわらず、逆拡散処理後のピークレベルは、拡散率=63の場合の方が、拡散率=0の場合よりも18dBも大きくなっている。
【0076】
次に、携帯機20から送信されるLF波帯の信号の強度について説明する。本実施形態では、既に説明した通り、LF送信部3は、拡散処理部31、バンドパスフィルタ32において、所定のLFデータ(データ信号1a)を所定の拡散符号3aによって拡散変調して拡散データ信号を生成し、拡散データ信号を1次変調部33によってLF波帯の変調信号へ変換し、この変調信号を外部リード35aが増幅してリクエスト信号としてアンテナ2に出力する。
【0077】
この場合、仮に、当該所定のLFデータを、拡散処理部31、バンドパスフィルタ32を迂回させて、直接1次変調部33に入力した場合、それによってLFデータが1次変調部33で1次変調され、LFドライバ35で増幅され、LF送信アンテナ2から送出される。このようにしてLF送信アンテナ2から送出されたLF波帯の信号の周波数スペクトルは、拡散変調されていないので、図7(a)に示したようなものになる。なお、図7の各グラフでは、縦軸がLF送信アンテナ2から送出される信号の電力レベルであり、横軸が周波数(kHz単位)である。
【0078】
これに対し、図7(a)の例と同じLFデータを、本実施形態の通り拡散処理部31で拡散変調する場合、拡散率が15、31、63の拡散符号3aを用いると、それぞれ、図7(b)、(c)、(d)のような周波数スペクトルとなる。これらの場合は、図7(a)の場合に比べ、それぞれ、出力電力のピークレベルが8.76dB、12.3dB、14.47dBだけ下がる。
【0079】
このように、LFデータを拡散変調しなかった場合に比べて、拡散変調した場合の方が出力電力のピークレベルが下がる。したがって、LFデータを拡散変調しなかった場合よりも、電波強度を所望の範囲内に抑えつつも、信号の増幅率を上げることができ、その結果、車載装置から携帯機へのリクエスト信号の電波強度を所望の範囲内に抑えつつ、リクエスト信号の到達範囲を大きくすることが可能となる。
【0080】
図8に、拡散率の違いによるリクエスト信号の各地点での出力強度(電界強度)と通信距離の関係を示す。なお、図8において、横軸は通信距離(単位はm)であり、縦軸は出力強度(単位はdBuV/m)である。また、図中の実線51は拡散率=15の場合の出力強度、実線52は拡散率=31の場合の出力強度、実線53は拡散率=63の場合の出力強度である。
【0081】
受信感度が110dBμV/mの携帯機20を用いる場合、出力強度=110dBμV/mに対応する距離dが通信距離となる。すなわち、拡散率=15の場合の通信距離は1.8メートル、拡散率=31の場合の通信距離は2.5メートル、拡散率=63の場合の通信距離は3.2メートルとなる。なお、図示してないが、拡散変調されていない場合(拡散率=0の場合)の通信距離は1.7メートルとなっている。
【0082】
ところで、本実施形態にける携帯機20は、拡散率によりスペクトルの帯域の広がり方が異なる点に着目し、リクエスト信号の中心周波数から一定周波数離れた周波数帯における第2受信レベルを特定し、この第2受信レベルを用いてリクエスト信号の拡散率を特定し、この拡散率と同じ拡散率でリクエスト信号の逆拡散処理を行うようにしている。
【0083】
図9に、スペクトラム拡散する前の元の信号のスペクトルと、拡散率=15、31、63の場合のスペクトルを重ねたものを示す。本実施形態では、第2受信レベルの周波数を160kHzとしている。このように、第2受信レベルの周波数を160kHzとすることで、第2受信レベル=0の場合は拡散率=15として特定し、第2受信レベルが0よりも大きく、ある基準値未満の場合は拡散率=31として特定し、第2受信レベルがある基準値以上の場合は拡散率=63として特定することが可能となる。
【0084】
このように、リクエスト信号の中心周波数帯における第1受信レベルと、中心周波数帯から一定周波数離れた周波数帯における第2受信レベルを特定し、この第2受信レベルを用いてリクエスト信号の拡散率を特定することで、逆拡散処理を行うための拡散率を短期間で特定することができる。
【0085】
上記した構成によれば、車載装置10は、予め定められた拡散率で送信データをスペクトラム拡散変調し、スペクトラム拡散変調したLF周波数帯のリクエスト信号を送信するので、リクエスト信号の電力ピークを下げることが可能となり、電力制限値内における電力調整可能幅を大きくすることができ、車載装置から携帯機へのリクエスト信号の電波強度を所望の範囲内に抑えつつ、リクエスト信号の到達範囲を大きくすることができる。更に、拡散率を段階的に変更して送信データをスペクトラム拡散変調させ、送信部3から到達範囲の異なる複数のリクエスト信号を順次送信させ、リクエスト信号に応答して携帯機20より送信されるレスポンス信号の受信判定を行い、レスポンス信号の受信判定の判定結果に基づいて携帯機20が位置する領域を複数の領域に分けて特定するので、携帯機の位置をより精度良く特定することができる。
【0086】
また、LF周波数帯の電波は、高周波帯の電波と比較して送信電波強度が低く規定されているため、通信距離が比較的短くなってしまうという課題があるが、車載装置10は、LF送信アンテナ2より送信されるリクエスト信号の送信レベルを調整するLFドライバ35を備え、スペクトラム拡散処理の拡散率が大きいほどリクエスト信号の送信レベルが大きくなるようにLFドライバ35に指示するようになっている。
【0087】
このように、スペクトラム拡散処理の拡散率が大きいほどリクエスト信号の送信レベルが大きくなるようにLFドライバ35に指示することで、リクエスト信号の電波強度を所望の範囲内で最大限に設定し、リクエスト信号の通信距離を拡大することが可能となる。
【0088】
また、携帯機20は、車載装置10からのリクエスト信号を受信すると、当該リクエスト信号の中心周波数帯における第1受信レベルと、中心周波数帯から一定周波数離れた周波数帯における第2受信レベルを特定し、第1、第2受信レベルのレベル差からリクエスト信号の拡散率を特定し、リクエスト信号の拡散率と同じ拡散率でリクエスト信号の逆拡散処理を行い、リクエスト信号を復号するように構成されているので、逆拡散処理を行うための拡散率を短期間で特定することができ、短期間でリクエスト信号を復号することが可能である。
【0089】
また、車載装置10は、拡散率を段階的に小さくしてLF送信部3よりスペクトラム拡散変調させた複数のリクエスト信号を順次送信させ、レスポンス信号が受信異常と判定されるとLF送信部3からのリクエスト信号の送信を中断するので、無駄なリクエスト信号の送信を防止することが可能である。
【0090】
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0091】
例えば、上記第1実施形態では、拡散率を段階的に小さくしてLF送信部3よりスペクトラム拡散変調させた複数のリクエスト信号を順次送信させ、レスポンス信号が受信異常と判定されると携帯機20が位置する領域の特定を中断するように構成したが、反対に、拡散率を段階的に大きくしてLF送信部3よりスペクトラム拡散変調させた複数のリクエスト信号を順次送信させ、レスポンス信号が受信異常と判定されると携帯機20が位置する領域の特定を中断するように構成してもよい。この場合、無駄なリクエスト信号の送信を防止することが可能である。
【0092】
また、上記第1実施形態では、拡散処理部31の拡散率を小さくするのに伴ってLFドライバ35の増幅率も小さくするようにしたが、LFドライバ35の増幅率を、拡散処理部31の拡散率と関係なく固定値としてもよく、拡散処理部31の拡散率を小さくするのに伴ってLFドライバ35の増幅率を大きくするように構成してもよい。
【0093】
また、上記第1実施形態では、拡散率を3段階で変化させたが、2段階で変化させてもよく、また、4段階以上で変化させるように構成してもよい。また、拡散率についても、上記実施形態に示した63、31、15に限定されるものではない。
【0094】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S100、S102、S114がリクエスト信号送信手段に相当し、S104〜S108が受信判定手段に相当し、S110が携帯機位置特定手段に相当し、LFドライバ35が送信レベル調整手段に相当し、S202〜S206が受信レベル特定手段に相当し、S208〜S210が拡散率特定手段に相当し、S212が復号処理手段に相当する。
【符号の説明】
【0095】
1 スマートECU
2 LF送信アンテナ
3 LF送信部
4 RF受信アンテナ
5 RF復調部
7 アクチュエータ
10 車載装置
13 車両側制御部
20 携帯機
21 LF受信アンテナ
22 LF受信部
24 RF送信アンテナ
25 RF変調部
26 携帯側制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9