特許第6149412号(P6149412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6149412
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
   H01L23/12 301Z
   H01L23/12 501P
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-20881(P2013-20881)
(22)【出願日】2013年2月5日
(65)【公開番号】特開2014-154605(P2014-154605A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】姉川 修
(72)【発明者】
【氏名】倉知 寛
(72)【発明者】
【氏名】久保田 幹
(72)【発明者】
【氏名】川崎 健
(72)【発明者】
【氏名】馬場 修
(72)【発明者】
【氏名】荻田 省一
【審査官】 麻川 倫広
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−308478(JP,A)
【文献】 特開2012−060056(JP,A)
【文献】 特開2006−245241(JP,A)
【文献】 特開平01−305602(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/058702(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12−23/15
H01P 5/00−5/22
H05K 1/00−1/02
3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子素子を含む基体と、
前記基体上に設けられ、基準電位と接続される基準層と、
前記基準層と対向して設けられ、前記基準層とともに伝送線路を構成する信号配線と、
前記基準層と対向して設けられ、一端が前記基準層と導通して接続され、他端が開放される抑圧導体と、
前記基準層と外部とを接続する複数の端子と、を有し、
複数の前記抑圧導体は、前記複数の端子のそれぞれを囲むように屈曲して設けられ、前記複数の端子の間には前記抑圧導体の前記一端が配置されてなることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
複数の前記抑圧導体が、前記基準層の面内に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
前記複数の端子のうち4つは、それぞれが角に位置する四角形を形成し、
前記4つの端子のうち少なくとも1つの前記端子の近傍に設けられる前記抑圧導体の前記一端は、前記角を結ぶ前記四角形の2つの対角線のうち少なくとも1つの上に設けられてなる請求項1又は2記載の電子装置。
【請求項4】
前記抑圧導体は第1の絶縁膜を介して前記基準層上に配置され、前記複数の端子は前記第1の絶縁膜上に設けられた第2の絶縁膜の上面よりも高い位置にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項5】
前記抑圧導体はλ/4又はλ/2の長さを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項6】
電子素子を含む基体と、
前記基体上に設けられ、基準電位と接続される基準層と、
前記基準層と対向して設けられ、前記基準層とともに伝送線路を構成し、一端が入力端子に接続され他端が出力端子と接続する信号配線と、
前記基準層と対向して設けられ、一端が前記基準層と導通して接続され、他端が開放される抑圧導体と、
前記基準層と外部とを接続する複数の端子と、を有し、
前記抑圧導体は複数設けられ、それぞれの前記抑圧導体は前記基体の前記入力端子側から前記出力端子側に延伸して並列に設けられてなることを特徴とする電子装置。
【請求項7】
前記抑圧導体の前記一端は前記基体の中央部に設けられ、前記他端は前記基体の前記入力端子側または前記基体の前記出力端子側に延伸して設けられてなる請求項6記載の電子装置。
【請求項8】
前記基体は前記電子素子が形成された半導体層を含み、前記基準層、前記抑圧導体及び前記端子は前記半導体層上に設けられてなることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばアンプ及びスイッチなどとして機能する半導体を搭載した半導体装置が利用されている。このような半導体装置においては、基板に、半導体層及び信号を流すための配線を形成する。配線は、例えばストリップライン及びマイクロストリップラインなどのような、半導体装置には高周波信号を伝送するための伝送線路を形成する。特許文献1には、高周波信号を伝送するための高周波伝送線路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−299524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
伝送線路は例えば信号配線と、基準電位を有する基準層とを含む。良好な周波数特性を得るためには、基準電位を定めることが重要となる。しかしながら、従来の技術では、適切な基準電位を得ることが困難であった。本願発明は、上記課題に鑑み、適切な基準電位を得ることが可能な電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、電子素子を含む基体と、前記基体上に設けられ、基準電位と接続される基準層と、前記基準層と対向して設けられ、前記基準層とともに伝送線路を構成する信号配線と、前記基準層と対向して設けられ、一端が前記基準層と導通して接続され、他端が開放され、前記信号配線で伝送される信号の波長をλとすると、3λ/16以上、5λ/16以下の長さ、または7λ/16以上、9λ/16以下の長さを有する抑圧導体と、を有する電子装置である。
【0006】
上記構成において、複数の前記抑圧導体が、前基準層の面内に設けられている構成とすることができる。
【0007】
上記構成において、前記基準層には、外部と接続するための複数の端子が配置されてなり、前記抑圧導体は前記複数の端子の間において、前記基準層と導通して接続されてなる構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記抑圧導体は第1の絶縁膜を介して前記基準層上に配置され、前記複数の端子は前記第1の絶縁膜上に設けられた第2の絶縁膜よりも高い位置にある構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記抑圧導体はλ/4又はλ/2の長さを有する構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記複数の抑圧導体は互いに異なる長さを有する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記端子を囲むように屈曲している構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記基体は前記電子素子が形成された半導体層を含み、前記基準層、前記抑圧導体及び前記端子は前記半導体層上に設けられてなる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、適切な基準電位を得ることが可能な電子装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1(a)は実施例1に係る半導体装置を例示する透視断面図である。図1(b)は半導体装置を例示する平面図である。
図2図2(a)は比較例に係る半導体装置を例示する透視断面図である。図2(b)は比較例における基準層を流れる信号を例示する模式図である。
図3図3は実施例2における半導体チップを例示する平面図である。
図4図4は実施例3における半導体チップを例示する平面図である。
図5図5は実施例4における半導体チップを例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0016】
実施例1は、基準電位を有する層にスタブ20を接続する例である。スタブ20は抑圧導体として機能する。図1(a)は実施例1に係る半導体装置100を例示する透視断面図である。図1(b)は半導体チップ10aを例示する平面図であり、半導体チップ10aの下面側から絶縁層14は透視した平面を図示している。
【0017】
図1(a)に示すように、半導体装置100は、半導体チップ10aと基板30とを含む。半導体チップ10aは基板30に実装されている。半導体チップ10aは例えばガリウム砒素(GaAs)又は窒化ガリウム(GaN)系半導体などからなる。半導体基板12上に絶縁層14が形成されている。半導体基板12は例えばGaAs及びインジウムガリウム砒素(InGaAs)などにより形成され、FET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)などのトランジスタが構成されている。
【0018】
絶縁層14の内部にはマイクロストリップライン15及びスタブ20が設けられている。マイクロストリップライン15は、例えば数十GHzのような周波数を有する高周波信号を伝送する。マイクロストリップライン15は信号配線16及び基準層18により形成されている。信号配線16は半導体基板12に設けられたトランジスタ(不図示)と電気的に接続されている。基準層18は、信号配線16と対向するように設けられた、面状の導体層である。基準層18は、基準電位である接地電位を有する。信号配線16及び基準層18はビア配線24により半田ボール26(端子)と電気的に接続されている。半田ボール26のうち、信号配線16の一端と接続されたものは入力端子In、他端と接続されたものは出力端子Outとして機能する。なお、絶縁層14のうち基準層18とスタブ20との間のものを絶縁層14a(第1の絶縁層)、スタブ20と半田ボール26との間のものを絶縁層14b(第2の絶縁層)とする。
【0019】
基準層18と絶縁層14の下面との間にスタブ20が設けられている。スタブ20は、基準層18と対向するように、基準層18の面内に設けられている。スタブ20の一端はビア配線22(接続部)により基準層18と電気的に導通して接続され、他端は開放されている。スタブ20は入力端子Inと出力端子Outとが並ぶ方向(図1(b)の横方向)に延びる。複数のビア配線22は、入力端子Inと出力端子Outとの間であって、半導体チップ10aの中央部に位置し、線Aに沿って配列されている。線Aは半導体チップ10aの中央を通る線分である。
【0020】
基板30の上面には端子32及び34、下面には接地端子36が設けられている。端子34はビア配線38を介して接地端子36と電気的に接続されている。端子32は不図示のビア配線を介して、下面に設けられた不図示の端子と電気的に接続されている。半導体チップ10aの信号配線16は端子32と、基準層18は端子34と電気的に接続されている。半導体チップ10aと基板30とでGND(グランド)は共通化されている。
【0021】
基板30の下面の端子から入力された高周波信号は、入力端子In及びビア配線24を介して信号配線16に入力される。マイクロストリップライン15は高周波信号を伝送する。高周波信号は半導体基板12に設けられたトランジスタ(不図示)において増幅され、ビア配線24、出力端子Out及び基板30の端子を介して出力される。
【0022】
基準層18とスタブ20との距離Dは例えば3μmであり、絶縁層14aの厚さはDに等しい。絶縁層14bの厚さTは距離Dより大きい。基準層18を基準として、半田ボール26は絶縁層14bよりも高い位置にある。絶縁層14bから突出する半田ボール26を用いて、半導体チップ10aの実装が可能である。スタブ20の幅W1は例えば5μmであり、長さL1は例えば0.6mmである。半田ボール26間のピッチP1は例えば0.3mmである。半導体チップ10aの縦方向の長さL2は例えば1.7mm、横方向の長さL3は例えば2mmである。
【0023】
絶縁層14は例えばポリイミドなどの樹脂により形成されており、比誘電率は6である。信号配線16、基準層18、スタブ20、ビア配線22、24及び38、端子32及び34は例えば銅(Cu)などの金属により形成されている。半田ボール26は例えば錫銀(Sn−Ag)などを主成分とする半田により形成されている。次に実施例1と比較例とを対照し、接地電位について述べる。
【0024】
図2(a)は比較例に係る半導体装置100Rを例示する透視断面図である。図2(b)は比較例における基準層18を流れる信号を例示する模式図である。図2(a)に示すように、半導体装置100Rは半導体装置100からスタブ20及びビア配線22を取り除いた構成を有する。図2(b)に示すアンプ13は、半導体基板12が有するアンプとしての機能を模式的に示したものである。アンプ13は入力端子Inに入力された高周波信号を増幅し、出力端子Outに出力する。
【0025】
信号配線16には例えば周波数60GHzのような高周波信号が流れる。このような高周波信号に対しては、基準層18から接地端子36までを接続するビア配線24及び38、半田ボール26及び端子32のインダクタ成分が無視できない。このため適切な接地電位を得ることが難しい。接地電位が安定しないため、矢印で示すように基準層18に信号が流れる。例えば出力端子Outから基準層18を介して流れた信号が入力端子Inに入力し、フィードバックがかかることがある。フィードバックにより不要な発信が生じるなど、半導体装置100Rの周波数特性が劣化する。また複数の入力端子In及び出力端子Outを備えるマルチポート型の半導体装置においてはポート間で干渉が生じる。干渉により、送信信号と受信信号との混信などが生じる。
【0026】
実施例1によれば、基準層18にスタブ20が接続されているため、基準層18に流れる信号が抑圧される。信号配線16を流れる周波数が60GHzの信号の波長をλとすると、スタブ20の長さL1は約λ/4である。このため、ビア配線22は60GHzの信号に対して短絡する。信号の振幅はビア配線22においてゼロとなる。このようにスタブ20によりGNDが強化されるため、高周波信号を利用する場合でも適切な接地電位を得ることができる。従って、半導体装置100の特性が改善する。
【0027】
基準層18に流れる信号を抑圧するためには、スタブ20の長さL1が例えば3λ/16以上、5λ/16以下であることが好ましく、特にλ/4であることが好ましい。基準層18に流れる信号は、入出力端子に流れる信号の周波数とは異なる場合もある。その場合には、基準層18に流れる信号の周波数に応じてλを定めればよい。スタブ20の長さは7λ/16以上、9λ/16以下としてもよく、特にλ/2であることが好ましい。このような長さを有するスタブ20も抑圧導体として作用する。なお、スタブ20の長さとは、スタブ20と基準層18との間のビア配線22を含めている。ただし、ビア配線22の長さは、スタブ20に対して無視できるほど小さい。
【0028】
スタブ20及びビア配線22をそれぞれ複数設けることにより、より効果的に信号を抑圧することができる。図2(b)に示したように、信号は例えば出力端子Outから広がり、横方向に基準層18を流れる。ビア配線22はIn〜Out間であって、線Bに沿って設けられている。このため、基準層18の横方向に流れる信号を、線Bに沿う領域において効果的に抑圧することができる。複数のビア配線22は、入力端子Inと出力端子Outとが並ぶ方向(図1(b)の横方向)に交叉する方向に配置されてもよい。
【0029】
半導体チップ10aがアンプを含む場合、意図しないフィードバックを抑制することができる。また半導体装置100がマルチポート型である場合、混信が抑制される。半導体チップ10aはアンプ以外に例えばスイッチ及びミキサなどの電子素子を含んでもよい。基準層18に不要な信号が流れると、例えばスイッチの誤作動、及びミキサによる不要な信号とのミキシングなどが起きる。実施例1によればスイッチの誤作動を抑制することができる。またミキサにより所望の信号を得ることができる。絶縁層14は例えばストリップラインなどの伝送線路を備えてもよい。スタブ20がストリップラインの基準層と接続されることで、GNDを強化することができる。
【実施例2】
【0030】
実施例2はビア配線22の位置を基準層18の外周部とした例である。図3は実施例2における半導体チップ10bを例示する平面図である。基板30は図1(a)及び図1(b)に示したものと同じである。
【0031】
図3に示すように、ビア配線22は基準層18の外周部に設けられている。スタブ20は基準層18の外周部から内側に延びる。高周波信号は導体の外側を流れやすい。つまり、基準層18のうち外周部に高周波信号は流れやすい。ビア配線22が外周部に配置されているため、外周部を流れる高周波信号を効果的に抑圧することができる。複数のスタブ20及びビア配線22が基準層18の辺に沿って並んでいるため、In〜Out間であって基準層18の外周部を流れる信号を大きく抑圧することができる。
【実施例3】
【0032】
実施例3は異なる長さを有するスタブを設ける例である。図4は実施例3における半導体チップ10cを例示する平面図である。
【0033】
図4に示すように、長さの異なるスタブ20a、20b及び20cが設けられている。スタブ20aの長さL4は1.5mm、スタブ20bの長さL5は0.8mm、スタブ20cの長さL6は0.6mmである。スタブ20a〜20cの幅は5μmである。スタブ20a〜20cはそれぞれビア配線22により基準層18と電気的に接続され、基準層18の外周部から中央部に向けて延びる。ビア配線22は外周部に設けられている。
【0034】
実施例3によれば、周波数の異なる複数の信号を抑圧することができる。具体的に説明する。周波数が25GHzの信号の波長をλとすると、スタブ20aの長さL4はλ/4である。周波数が50GHzの信号の波長をλとすると、スタブ20bの長さL5はλ/4である。周波数が60GHzの信号の波長をλとすると、スタブ20aの長さL6はλ/4である。ビア配線22は周波数が25GHz、50GHz及び60GHzの信号に対して短絡する。このため周波数の異なる複数の信号を抑圧することができる。
【0035】
2つの異なる長さ、又は4つ以上の異なる長さを有するスタブを設けてもよい。抑圧したい信号の周波数に応じてスタブの長さを変更してもよい。長さの変更により、所望の周波数を有する複数の信号を抑圧することができる。スタブ20a〜20cは図3の横方向に伸びてもよい。
【実施例4】
【0036】
実施例4はビア配線22が複数の半田ボール26の間に設けられている例である。図5は実施例4における半導体チップ10dを例示する平面図である。
【0037】
図5に示すように、スタブ20は半田ボール26を囲むように屈曲している。ビア配線22は、4つの半田ボール26に囲まれる領域Rに位置する。4つの半田ボール26が形成する四角形の対角線上に、ビア配線22が1つずつ設けられている。対角線は点線、領域Rは破線の四角で図示した。
【0038】
領域Rは基準層18と基板30の接地端子36との距離が大きくなる領域であるため、適正な基準電位を得ることが難しい。実施例4によれば、ビア配線22が領域Rの各々に設けられているため、GNDは効果的に強化される。
【0039】
実施例4において、ビア配線22は4つの半田ボール26に囲まれる領域Rに位置するとしたが、領域Rの外に設けられてもよい。例えばビア配線22は横方向に隣り合う半田ボール26間に設けられてもよい。この場合においても、スタブ20は半田ボール26を囲むように設けることができ、ビア配線22の数を他の実施例より増やすことができる。よって、信号を効果的に抑圧し、かつスタブ20における信号の干渉が抑制される。干渉をより抑制するためには、図5に示すように、半田ボール26を囲む程度にスタブ20を大きく巻くことが好ましい。また図示していないが、スタブ20を半田ボール26を囲むような円形とすることが好ましい。スタブ20のコーナを滑らかにすることで信号の干渉が発生し難くなるためである。
【0040】
信号配線16と基準層18とは、絶縁層14内の別の平面に形成されている。信号配線16は入力端子Inと出力端子Outとの間を結ぶ直線状の配線でもよいし、引き回された配線でもよい。基準層18は半導体基板12と対向するような板状の導体層である。基準層18は、信号配線16より広い面積を有する。例えば基準層18は半導体基板12の下面全体又は大部分を覆ってもよい。
【0041】
実施例1〜4は半導体チップ以外の電子装置に適用してもよい。基体(半導体基板12に対応)に電子素子が含まれ、基準層と信号配線とが設けられた電子装置にスタブ20を設けてもよい。特に、高周波信号が信号配線を流れるような電子装置にスタブ20を設けることで、適正な基準電位を得ることができる。
【0042】
半導体基板が含む半導体層は、砒素系半導体以外に窒化物半導体からなるとしてもよい。窒化物半導体とは、Nを含む半導体であり、例えば窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化インジウム(InN)、及び窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)などがある。
【0043】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
10a、10b、10c、10d 半導体チップ
12 半導体基板
14 絶縁層
15 ストリップライン
16 信号配線
18 基準層
20 スタブ
22 ビア配線
26 半田ボール
30 基板
36 接地端子
100、100R 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5