特許第6149417号(P6149417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6149417
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】コンベヤベルト用コートゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/32 20060101AFI20170612BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20170612BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20170612BHJP
   C08L 17/00 20060101ALI20170612BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20170612BHJP
   B65G 15/30 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   B65G15/32
   C08K3/04
   C08K3/26
   C08L17/00
   C08L9/00
   B65G15/30 A
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-22298(P2013-22298)
(22)【出願日】2013年2月7日
(65)【公開番号】特開2014-152002(P2014-152002A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066005
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100114351
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 和子
(72)【発明者】
【氏名】鄒 徳慶
(72)【発明者】
【氏名】森本 正泰
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−040815(JP,A)
【文献】 特開2002−322358(JP,A)
【文献】 特開2002−069241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/30− 15/58
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴムにカーボンブラックおよび炭酸カルシウムを充填剤として配合したゴム組成物において、ジエン系ゴム75〜65質量部および再生ゴム中のゴム分25〜35質量部よりなるブレンドゴム(合計100質量部)が用いられ、ブレンドゴム100質量部当りヨウ素吸着量20〜32g/kg、DBP吸収量78〜92ml/100gのカーボンブラック10〜20質量部および炭酸カルシウム80〜100質量部が用いられたコンベヤベルト用コートゴム組成物。
【請求項2】
ジエン系ゴムが20〜30質量部の天然ゴムおよび35〜55質量部のSBRよりなり、その合計量がブレンドゴム中75〜65質量部である請求項1記載のコンベヤベルト用コートゴム組成物。
【請求項3】
再生ゴムが天然ゴム主体の再生ゴムである請求項1または2記載のコンベヤベルト用コートゴム組成物。
【請求項4】
天然ゴム主体の再生ゴムがJIS K6313(1999)に規定された再生ゴムである請求項3記載のコンベヤベルト用コートゴム組成物。
【請求項5】
コンベヤベルトのカバーゴムと帆布との間および/または帆布相互間のコートゴム形成材料として用いられる請求項1記載のコンベヤベルト用コートゴム組成物。
【請求項6】
請求項5記載のコンベヤベルト用コートゴム組成物が、上面カバーゴム層、シート状補強層および下面カバーゴム層からなるコンベヤベルトにおいて、該コートゴム組成物を帆布の両面に圧着させてシート状補強層を形成させる際の補強層コートゴム形成材料として用いられたコンベヤベルト。
【請求項7】
対帆布接着性を示す剥離力(JIS K6256-1準拠)が3.5〜5N/mmである請求項6記載のコンベヤベルト。
【請求項8】
ベルト本体をその端末部同士で接合させたエンドレスベルトとして用いられる請求項6または7記載のコンベヤベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤベルト用コートゴム組成物に関する。さらに詳しくは、コンベヤベルトのカバーゴムと帆布との間および/または帆布相互間の接着に用いられるコートゴム形成材料等として好適に用いられるコンベヤベルト用コートゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エンドレス状のコンベヤベルトは、ヘッドプーリやテールプーリの部分での屈曲のくり返しにより、接着が不十分であるとカバーゴムの端末部がめくり上がり、エンドレス接合部分で剥離するという現象がみられ、特に上面カバーゴムの厚さが厚い場合には剥離が発生しやすい。カバーゴム端末部の剥離が芯体帆布に迄達すると、摩耗や劣化によりコンベヤベルトが切断する場合がある。
【0003】
そのため、カバーゴムで芯体帆布を挟んで積層したベルト本体を、その端末部で接合させてエンドレス状に構成するコンベヤベルトの接合構造において、ベルト本体のそれぞれの端末部の上面カバーゴムを、芯体帆布から外側に向かって階段状に切除して接合面を形成し、ベルト本体のそれぞれの端末部を突き合わせた状態で接合する接合方法がとられている。(特許文献1、2)
【0004】
ところで、コンベヤベルトを構成する帆布とカバーゴムとを接着させるために、カバーゴムと帆布との間または帆布相互間にコートゴム形成材料が用いられている。あるいは、これらの間の両方にコートゴム形成材料が用いられている。コートゴムと帆布との間の接着性が良好な場合には、コンベヤベルトの耐久性はすぐれている一方、コンベヤベルトのエンドレス作業において、芯体である帆布を出すための剥離作業が困難となる場合が多い。また、帆布相互間についても同様のことがいえる。易エンドレス作業性のため、コートゴム形成材料中に含有させる炭酸カルシウムの量を増量させるなどの手法がとられてはいるが、これは耐久性の悪化を招くといった問題がみられる。
【0005】
本出願人は先に、帆布とカバーゴムとを接着させて構成させるコンベヤベルトの端末部同士を接合させてエンドレスベルトを作製するに際し、カバーゴムと帆布との間および/または帆布相互間の接着に用いられるコートゴム形成材料として、その接着力を適度に低下させることによりエンドレス作業を容易なものとし、しかしながら炭酸カルシウム増量によって剥離力を低下させた場合と比べて、カバーゴムと帆布間または帆布相互間の接着耐久性を改善せしめたコンベヤベルト用コートゴム組成物として、ジエン系ゴムにカーボンブラックおよび炭酸カルシウムを充填剤として配合したゴム組成物において、ジエン系ゴム82.5〜52.5質量%および再生ゴム中のゴム分17.5〜47.5質量%よりなるブレンドゴムが用いられ、ブレンドゴム100質量部当り10〜85質量部の炭酸カルシウムが用いられたコンベヤベルト用コートゴム組成物を提案している(特許文献3)。
【0006】
このコンベヤベルト用コートゴム組成物を、コンベヤベルトのカバーゴムと帆布との間、帆布相互間またはこれらの間の両方向けのコートゴム形成材料として補強層形成のために用いられた場合には、その間の接着力が適度に低下し、剥離を伴うエンドレス作業を容易なものとし、しかもその間の接着耐久性は確保されており、長期間にわたりコンベヤベルトとして安定して走行させることを可能とするという所期の目的を十分に達成させる。
【0007】
ここで、カバーゴムと帆布との間、帆布相互間に用いられるコートゴムには、高い剥離力と共に、耐久性の観点から帆布との良好な接着性が要求される。高い剥離力が要求される場合には、一般にはコートゴムに小粒子径のカーボンブラックを配合して高い剥離力とすることも行われるが、この場合には剥離面のゴム付(剥離試験後、帆布表面に付着しているゴムを目視で観察し、剥離による破壊がコートゴム層の全面で起こっている場合を100%とする割合)が低下してしまう。一方、剥離面のゴム付を良くするためには、大粒子径のカーボンブラックや多量の炭酸カルシウムを配合する方法があるが、この場合には剥離力が低下するようになる。このように、接着面における剥離力とゴム付とは二律背反の関係にあり、これらを同時に満足させることはできない。
【0008】
本出願人はさらに、カバーゴムと帆布との間および/または帆布相互間の接着に用いられるコートゴム形成材料として、カバーゴムと帆布間または帆布相互間の剥離力およびゴム付の双方を改善せしめた加硫物を与えうるコンベヤベルト用コートゴム組成物として、ジエン系ゴムにカーボンブラックおよび炭酸カルシウムを充填剤として配合したゴム組成物において、ジエン系ゴム83.0〜97.5質量%および再生ゴム中のゴム分2.5〜17.0質量%よりなるブレンドゴムが用いられ、ブレンドゴム100質量部当たり窒素吸着比表面積30〜50m2/g、DBP吸油量95〜125ml/100gのカーボンブラック45〜75質量部および炭酸カルシウム5〜50質量部が用いられたコンベヤベルト用コートゴム組成物を提案している(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案第2562069号公報
【特許文献2】特開2000−344318号公報
【特許文献3】特開2009−40815号公報
【特許文献4】特開2009−292960号公報
【特許文献5】特開平4−180943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ジエン系ゴムにカーボンブラックおよび炭酸カルシウムを充填剤として配合したゴム組成物において、ジエン系ゴム75〜65質量部および再生ゴム中のゴム分25〜35質量部よりなるブレンドゴム(合計100質量部)が用いられ、このブレンドゴムにカーボンブラックおよび炭酸カルシウムを配合したコンベヤベルト用コートゴム組成物において、対帆布接着性の目安となる剥離力を適度に低下させることにより、エンドレス部の作業容易性と接着耐久性とを改善せしめたものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる本発明の目的は、上記コンベヤベルト用コートゴム組成物において、ブレンドゴム100質量部当りヨウ素吸着量20〜32g/kg、DBP吸収量78〜92ml/100gのカーボンブラック10〜20質量部および炭酸カルシウム80〜100質量部が用いられたコートゴム組成物によって達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るコンベヤベルト用コートゴム組成物においては、特許文献3で用いられてはいるものの、その使用割合を低減させたカーボンブラックおよび特許文献4で用いられてはいるものの、その使用割合を増加させた炭酸カルシウムを用いることにより、コンベヤベルトのカバーゴムと帆布との間および/または帆布相互間のコートゴム形成材料として用いられたとき、その間の剥離力を適度に低下させ、より具体的には3.5〜5N/mm、好ましくは3.5〜4.5N/mmという範囲に低下させ、剥離を伴うエンドレス作業を容易なものとし、しかもその間の接着耐久性は確保されており、長期間にわたりコンベヤベルトとして安定に走行させることを可能としている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ジエン系ゴムとしては、再生ゴムとのブレンドゴム100質量部当り75〜65質量部を占める割合のジエン系ゴムが用いられる。ジエン系ゴムは、いずれもゴムとして20〜30質量部の天然ゴムおよび35〜55質量部のSBR(スチレンブタジエンゴム)よりなり、その合計量がブレンドゴム中75〜65質量部となる割合で用いられる。ジエン系ゴムがこれより多い割合で用いられると、フレキシング試験における耐久性にはすぐれるが、対帆布接着試験における剥離力が大きくなり、エンドレス作業が容易ではなくなる。また、ジエン系ゴムがこれより少ない割合で用いられあるいは天然ゴムおよびSBRの使用割合がこの範囲外にあると、対帆布接着性の剥離力は小さくなるものの、フレキシング試験における耐久性に劣るようになる。なお、SBRは、乳化重合SBR、溶液重合SBRまたはこれらの油展品のいずれも用いることが出来る。
【0014】
これらのジエン系ゴムとブレンドされて用いられる再生ゴムは、カーボン分、オイル分等を含有する再生ゴム中のゴム分としてジエン系ゴムとのブレンドゴム100質量部当り25〜35質量部を占める割合で用いられる。再生ゴムのブレンド割合がこれよりも少ないと、フレキシング試験における耐久性は増加するものの、対帆布接着力が大となり、剥離作業が難くなる。なお、剥離力を低下させるために、規定量以上の炭酸カルシウムを用いると、フレキシング試験における耐久性の低下を免れない。
【0015】
再生ゴムとしては、JIS K6313(1999)に規定される下記各種再生ゴムの少くとも一種が用いられ、好ましくは天然ゴム主体の再生ゴム(ゴム分50質量%)、例えばタイヤ再生ゴム(A級)が用いられ、これ以外にも天然ゴム主体の再生ゴムを任意に用いることができる。
種類 略号 材料
チューブ再生ゴム
天然ゴム AN 天然ゴムを主とするタイヤ用チューブのゴム
ブチルゴム AI ブチルゴムを主とするタイヤ用チューブのゴム
タイヤ再生ゴム
A級 BT 大型自動車タイヤのゴムまたは同程度のもの
B級 BP 乗用車タイヤのゴムまたは同程度のもの
その他の再生ゴム
A級 C1 自動車タイヤ、チューブ以外のゴム
B級 C2 自動車タイヤ、チューブ以外のゴム
注) 再生ゴムに含まれている原料ゴムの同定は、JIS K6230、K6231に規定する 方法による
【0016】
その品質についてもJISで規定されており、再生ゴムは均質で粗粒を含まず、かつ金属片、木片、土砂、繊維等の異物混入は痕跡以下であり、ゴムに混用しまたは単独で用いてもゴム製品の製造材料として適切なものでなければならず、密度、ムーニー粘度ML1+4(100℃)、灰分、アセトン抽出物、引張試験(引張強さ、伸び)、生ゴム混用試験(引張強さの保有率)などについても、それぞれ再生ゴムの種類に応じて規定されている。
【0017】
このような再生ゴムを所定割合でブレンドさせたジエン系ゴムには、所定のカーボンブラックおよび炭酸カルシウムが充填剤として所定量配合される。
【0018】
カーボンブラックとしては、ヨウ素吸着量が20〜32g/kg、DBP吸収量が78〜92ml/100gのカーボンブラック、より具体的にはGPF級カーボンブラックが、ブレンドゴム100質量部当たり10〜20質量部の割合で用いられる。ヨウ素吸着量およびDBP吸収量がこれ以外のカーボンブラック、例えばISAF級カーボンブラックを用いると、剥離力が強くなりエンドレス作業性が困難になる。また、カーボンブラックがこれより少ない割合で用いられると、コンベヤベルト用コートゴムに必要とされる機械的強度を満足できず、一方これより多い割合で用いられると機械的強度が高くなりすぎ、ゴム付が低下するようになる。
【0019】
炭酸カルシウムはブレンドゴム100質量部当り80〜100質量部の割合で用いられる。炭酸カルシウムの配合割合がこれよりも少ないと、剥離力が強くなりエンドレス作業性が困難になり、一方これより多い割合で用いられると、耐久性が著しく低下する。
【0020】
なお、下記特許文献5には、SBR 25〜40質量%、鉱油15〜40質量%およびカーボンブラック33〜47質量%よりなるゴム組成物、いわゆるコールドSBRオイルブラックマスターバッチ1800シリーズであるゴム組成物100質量部に対しゴムまたは再生ゴムを100質量部以下、ならびに前記ゴム組成物とゴムまたは再生ゴムとの合算量100質量部に対して比重2.5以上の無機物質(例えば、炭酸カルシウム)100〜600質量部と微粉状石炭10〜100質量部を配合した柔軟性ゴム組成物が記載されているが、その目的とするところは低周波減衰性能を付与することにあって、炭酸カルシウム等と共に微粉状石炭の配合を必須要件としているばかりではなく、無機物質の配合割合も100〜600質量部と著しく多く用いられていて、このような組成物をコンベヤベルトのコートゴム形成材料として用いた場合には、コンベヤベルトの剥離力は必要以上に著しく低下する(特許文献5)。
【0021】
本発明に係るコンベヤベルト用コートゴム組成物には、以上の各必須成分に加えて、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、加硫遅延剤および本発明の目的を損なわない範囲で、各種配合剤、例えば補強剤(充填剤)、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、防錆剤、接着付与剤、帯電防止剤、フィラー(充填剤)、加工助剤等が適宜配合される。
【0022】
得られたコンベヤベルト用コートゴム組成物は、ロール、ニーダ、バンバリーミキサ等を用いて混練りされた後、コートゴム形成材料として、コンベヤベルトのカバーゴムと帆布との間または帆布相互間(あるいはこれら両方)の接着に用いられる。具体的には、カレンダロール等を用いてコンベヤベルト用コートゴム組成物を帆布の両面と圧着させてシート状補強層とした後、このシート状補強層を少くとも1層以上積層し、その上下にそれぞれ上面および下面カバーゴムを積層する。その後、例えば150〜170℃の温度で10〜60分間加圧することによりカバーゴムと帆布との間の接着が行われ、コンベヤベルトが作製される。帆布は、ナイロン、ポリエステル、ビニロン、アラミド等の有機繊維を帆布状に織成し、芯体補強層として使用される。
【実施例】
【0023】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0024】
実施例1
天然ゴム(RSS#3) 25質量部
SBR(日本ゼオン製品Nipol 1502) 45 〃
タイヤ再生ゴムA級(村岡ゴム工業製品タイヤリク紫線) 60 〃
(再生ゴム分) (30 〃)
GPF級カーボンブラック(ヨウ素吸着量32g/kg、DBP吸収量88ml/100g) 10 〃
炭酸カルシウム 80 〃
酸化亜鉛 2.5 〃
ステアリン酸 2.0 〃
アロマオイル(三共油化工業製品A-OMIX) 20 〃
硫黄 2.6 〃
加硫促進剤CZ(大内新興化学工業製品) 1.0 〃
加硫促進剤M(大内新興化学工業製品) 0.4 〃
以上の各成分をバンバリーミキサ等で混練し、コンベヤベルト用コートゴム組成物を調製した。
【0025】
実施例2
実施例1において、GPF級カーボンブラック量が20質量部に変更されて用いられた。
【0026】
実施例3
実施例1において、炭酸カルシウム量が100質量部に変更されて用いられた。
【0027】
実施例4
実施例2において、炭酸カルシウム量が100質量部に変更されて用いられた。
【0028】
比較例1
実施例1において、GPF級カーボンブラックが用いられなかった。
【0029】
比較例2
実施例3において、GPF級カーボンブラックが用いられなかった。
【0030】
比較例3
実施例1において、炭酸カルシウム量が60質量部に変更されて用いられた。
【0031】
比較例4
実施例1において、炭酸カルシウム量が120質量部に変更されて用いられた。
【0032】
比較例5
実施例1において、GPF級カーボンブラック量が30質量部に変更されて用いられた。
【0033】
比較例6
実施例1において、GPF級カーボンブラック量が40質量部に変更されて用いられた。
【0034】
比較例7
天然ゴム(RSS#3) 25質量部
油展SBR(日本ゼオン製品Nipol 1712;37.5phr油展) 41.25 〃
(SBR分) (30 〃 )
タイヤ再生ゴムA級(村岡ゴム工業製品タイヤリク紫線) 90 〃
(再生ゴム分) (45 〃 )
GPF級カーボンブラック 60 〃
炭酸カルシウム 60 〃
酸化亜鉛 3 〃
ステアリン酸 2 〃
アロマオイル(三共油化工業製品A-OMIX) 30 〃
硫黄 2.6 〃
加硫促進剤CZ(大内新興化学工業製品) 1 〃
以上の各成分をバンバリーミキサ等で混練し、コンベヤベルト用コートゴム組成物を調製した。
【0035】
比較例8
比較例5において、天然ゴム量が55質量部に、油展SBR量が34.80質量部(SBR分25質量部)に、タイヤ再生ゴム量が40質量部(再生ゴム分20質量部)にそれぞれ変更して用いられた。
【0036】
比較例9
比較例5において、天然ゴム量が55質量部に、油展SBR量が20.63質量部(SBR分15質量部)に、タイヤ再生ゴム量が60質量部(再生ゴム分30質量部)にそれぞれ変更して用いられた。
【0037】
得られたコンベヤベルト用コートゴム組成物を用い、次の各項目の測定を行った。
常態物性:この組成物を150℃、30分間プレス加硫した加硫物について、JIS K6251
-2004に準拠して引張強さおよび伸びを、JIS K6253-2006に準拠して硬
さを、JIS K6252-2001に準拠して引裂き強さをそれぞれ測定した
対ポリエステル帆布接着性:
コートゴム組成物シート(厚さ3mm)/帆布/コートゴム組成物シート(厚さ
0.6mm)/帆布/コートゴム組成物シート(厚さ5mm)の順に積層し、長さ450
mm、幅200mmのモールドを用いて、150℃、30分の条件下で加硫を行って得
られた評価用サンプルから長さ方向に25mm幅のサンプルを採取し、剥離力
はJIS K6256-1:2006「布との剥離強さ」に準拠して測定し、ゴム付は剥
離試験後、帆布表面に付着しているゴムを目視にて確認した(剥離による
破壊がコートゴム層の全面で起こっている場合はゴム付が100%となり、
接着が最も良好となる)
フレキシング試験:上記評価用サンプルから25mm幅のサンプルを採取し、25mm径の
プーリにかけ、35kgfの張力をかけた状態で屈曲試験を行ったときに、カ
バーゴム-コートゴム間、コートゴム層内およびコートゴム-帆布間のいず
れかに剥離が発生する迄の回数を測定した
【0038】
得られた結果は、次の表に示される。なお、比較例7〜9は、特許文献3の実施例1〜3に相当する。

実施例 比較例

〔組成物成分〕
天然ゴム 25 25 25 25 25 25 25 25 25 25 25 55 55
SBR1502 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 − − −
SBR1712 − − − − − − − − − − 41.25 34.80 20.63
(SBR分) − − − − − − − − − − (30) (25) (15)
タイヤ再生ゴム 60 60 60 60 60 60 60 60 60 60 90 40 60
(再生ゴム分) (30) (30) (30) (30) (30) (30) (30) (30) (30) (30) (45) (20) (30)
GPF級CB 10 20 10 20 − − 10 10 30 40 60 60 60
CaCO3 80 80 100 100 80 100 60 120 80 80 60 60 60
ZnO 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 3.0 3.0 3.0
ステアリン酸 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0
アロマオイル 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20 30 30 30
硫黄 2.60 2.60 2.60 2.60 2.60 2.60 2.60 2.60 2.60 2.60 2.60 2.60 2.60
加硫促進剤CZ 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00
加硫促進剤M 0.40 0.40 0.40 0.40 0.40 0.40 0.40 0.40 0.40 0.40 − − −

〔測定結果〕
<常態物性>
引張強さ(MPa) 6.2 6.4 6.0 5.5 5.9 5.2 6.8 5.4 7.1 7.2 7.6 10.1 8.8
伸び (%) 440 431 440 402 441 449 450 380 433 433 355 450 420
硬さ 52 54 54 56 50 53 49 57 55 54 62 60 64
引裂き強さ 14 15 14 15 13 13 18 13 20 25 21 26 23
(N/mm)
<対帆布接着性>
剥離力 (N/mm) 3.9 4.4 3.7 4.0 3.4 3.3 5.1 3.0 5.2 5.5 5.3 6.2 5.4
ゴム付 (%)100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100
<フレキシング試験>
耐久回数 80 81 54 58 59 38 95 28 110 110 64 >101 72
(×104回)

注1) 対帆布接着性の剥離力は、3.5〜5.0N/mmのものがエンドレス作業性に
すぐれている
注2) フレキシング試験における耐久回数は600,000回以上では剥離などが
発生せず、耐久性にすぐれている