(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(全体構成)
図1に示す決済システム1は、複数種類の決済媒体を読み取り対象とし、各決済媒体による決済処理が可能なシステムとして構成されている。この決済システム1は、
図1に示すように、上位装置2を備え、この上位装置2に、第1種類の媒体を読み取る装置として機能するクレジットカードリーダ50と、第2種類の媒体を読み取る装置として機能する電子マネー決済端末10と、第3種類の媒体を読み取る装置として機能する磁気カードリーダ40とが接続された構成となっている。更に、電子マネー決済端末10には、後述するピンパッド30が接続されており、このピンパッド30から電子マネー決済端末10に情報を入力することができるようになっている。なお、クレジットカードリーダ50、電子マネー決済端末10、磁気カードリーダ40は、決済媒体に記録される決済用データ(カード番号など)を読み取り可能に構成されており、「読取部」の一例に相当する。
【0014】
上位装置2は、例えばコンピュータなどの情報処理装置(情報処理機能を有する機器)を備えたPOSレジ等として構成されている。この上位装置は、
図2に示すように、CPU等として構成される制御部3と、公知の入力デバイス(操作ボタン、キーボード、テンキー、コードリーダ等)によって商品価格等の情報を入力可能な入力部4と、液晶表示器等の公知の表示装置として構成される表示部5と、公知の記憶媒体(ROM、RAM、不揮発性メモリなどの各種半導体メモリ等)によって構成される記憶部6と、外部装置と無線通信や有線通信を行うための通信インタフェースとして構成される通信部7とを備えている。このように構成される上位装置2は、接続されるクレジットカードリーダ50、電子マネー決済端末10、磁気カードリーダ40で読み取られた情報を取得し得るように構成されており、各端末からの情報に基づいて決済処理を行うようになっている。
【0015】
また、上位装置2は、図略の電子マネーセンタ(決済管理会社等のサーバなど)とインターネットやLANなどの通信網を介して通信するように構成されている。そして、上位装置2は、当該上位装置2に接続された端末(クレジットカードリーダ50、電子マネー決済端末10、磁気カードリーダ40)で読み取られた決済媒体の情報(カード番号などの決済用データ)と、ピンパッド30から入力される情報(例えば、ピン(PIN;personal identification number)など)と、に基づいて決済媒体の決済処理を行うようになっている。さらに、上位装置2は、決済媒体を入力部4などにより選択可能に構成されており、当該上位装置2で選択された決済媒体の種類を特定する情報が電子マネー決済端末10側へ送信されるようになっている。なお、通信部7は、「上位側通信部」の一例に相当する。また、入力部4は、「選択部」の一例に相当し、制御部3は、「決済処理部」の一例に相当する。
【0016】
電子マネー決済端末(以下、単に決済端末ともいう)10は、基本的には公知のICカードリーダライタとして構成されており、例えば、上位装置2から処理開始要求が与えられたときに、通信可能なエリア内に存在するICカードと通信し得る構成をなしている。この決済端末10は、例えば複数種類の電子マネーカード20を読取可能に構成され、それら各種類の電子マネーカード20の決済処理を行うことが可能とされたものである。
【0017】
図2に示すように、決済端末10は、送信回路11、受信回路12、制御回路13、記憶部14、アンテナ16、表示部18等を備えている。なお、決済端末10には図示しない操作部(操作ボタン等)が設けられていてもよい。制御回路13は、決済端末10の全体的な制御を司るものであり、例えばマイクロコンピュータ等で構成されている。この制御回路13は、上位装置2より与えられる指令に応じて、当該決済端末10に記憶されている制御プログラムに従い決済端末10を制御するようになっている。
【0018】
図2に示す決済端末10では、制御回路13によって出力される送信データは送信回路11において符号化されると、更に符号化データによる搬送波の変調が行われ、被変調信号がアンテナ16に出力される。アンテナ16を構成するコイルには共振コンデンサ17が並列に接続されており、被変調信号は、アンテナ16より電波信号として外部に送信される。また、アンテナ16には、受信回路12の入力端子が接続されており、その受信回路12には、アンテナ16によって受信された電波信号が入力される。受信回路12においては、復調処理及び復号化処理が行われ、復号された受信データは制御回路13に出力されるようになっている。
【0019】
更に、決済端末10には、後述するピンパッド30が接続されており、ピンパッド30で入力された情報を取得し得るように構成されている。また、記憶部14には、後述するプログラム(各媒体に対応するプログラム)が記憶されており、各媒体での決済時に各プログラムを起動させ得るようになっている。なお、ピンパッド30の内容や、各プログラムの内容は後述する。
【0020】
電子マネーカード20は、ハードウェア的には非接触通信可能な公知のICカードとして構成され、
図3に示すように、アンテナ21,電源回路22,復調回路23,制御回路24,メモリ25,変調回路26,負荷変調回路27などによって構成されている。尚、アンテナ21には、コンデンサ28が並列に接続されている。電子マネーカード20は、決済端末10より送信された搬送波をアンテナ21を介して受信すると、電源回路22において搬送波を整流して動作用電源を生成し、マイクロコンピュータで構成される制御回路24及びその他の構成要素に供給する。
【0021】
また、搬送波に重畳されている決済端末10からの送信データは復調回路23によって復調され、制御回路24に出力される。制御回路24は、動作用電源が供給されて起動すると、決済端末10からの送信データを受けてメモリ25に記憶されているデータを読み出し、また、ライトコマンドが送信された場合はデータを書き込む。変調回路26は、受信した搬送波を分周した副搬送波を制御回路24が出力する応答データによって変調する。アンテナ21に対しては、負荷変調回路27を構成する抵抗及びスイッチの直列回路が並列に接続されている。そして、変調回路26より出力される副搬送波の被変調信号により負荷変調回路27のスイッチがオンオフされることで搬送波が負荷変調され、応答(レスポンス)が返信される。
【0022】
決済端末10に接続されるピンパッド30は、例えば、各決済媒体にそれぞれ定められているピン(例えば4桁の数字)の入力を行うための入力装置として構成されている。このピンパッド30は、所定の配列でそれぞれ配置された数字キーや機能キー等の入力キー(図示略)や表示部(図示略)などから構成されている。そして、この入力キーから入力される入力情報は、決済端末10側へ送信されるようになっている。
【0023】
クレジットカードリーダ50は、公知のクレジットカードリーダとして構成されており、
図1に示すように、上位装置2と接続されている。このクレジットカードリーダ50は、公知の磁気式のカードリーダや公知のICカードリーダなどから構成されており、決済媒体に記録される決済用データを読み取り可能となっている。そして、読み取った決済用データを上位装置2へ送信するようになっている。なお、このクレジットカードリーダ50は、上位装置と一体的に設けられていてもよい。
【0024】
磁気カードリーダ40は、公知のデビットカードリーダとして構成されており、
図1に示すように、上位装置2と接続されている。この磁気カードリーダ40は、磁気ヘッド(図示略)を有してなり、磁気カード(決済媒体)が磁気ヘッドに押しつけられつつ移動されたときに、磁気カードに書き込まれた磁気データを読み取るように構成されている。なお、この磁気カードリーダ40は、上位装置と一体的に設けられていてもよい。
【0025】
次に、上述のように構成される決済システム1において実施される決済処理について、
図4、5を用いて説明する。ここでは、店舗などでの商品の購入時に行われる決済処理を想定して説明する。具体的に、店舗側の販売員により、入力部4を介して所定操作がなされたときに、決済端末10側で実行される処理を中心に説明する。
まず、商品を購入する予定の利用者が、当該利用者が保持する決済媒体を店舗側の販売員へ渡すと、販売員は、商品の価格(精算金額)を入力部4から入力するとともに、決済媒体の種類を確認し、入力部4で、決済媒体の種類(電子マネーカード、クレジットカード、デビットカードなど)を選択する。そして、この入力部4で選択された決済媒体の種類が決済端末10側へ送信される。また、これと並行して、販売員は、利用者から受け取った決済媒体に対応する読取装置(ここでは、クレジットカードリーダ50、電子マネー決済端末10、磁気カードリーダ40のいずれか)で、この決済媒体に記録される決済用データ(カード番号や残金など)を読み取る。なお、上位装置2の入力部4で選択された決済媒体の種類を取得する受信回路12及び制御回路13は、「種類取得部」の一例に相当する。
【0026】
次に、ステップS2にて、ピン入力が必要か否かの判定がなされる。ここで、例えば、決済される金額が少額の場合などは、ピン入力が不要と判定されるようになっている。また、決済される金額が高額の場合などは、ピン入力が必要と判定されるようになっている。ステップS1にて選択された決済媒体が、例えば、ピン入力を必要としない電子マネーカードである場合には、ステップS2にてNoと判定され、ピンパッド入力がなされることなく、ステップS9にて電子マネー決済処理がなされ、当該決済処理を終了する。この電子マネー決済処理では、例えば、決済媒体がプリペイド型の電子マネーカードである場合には、読み取った決済用データを基に、決済端末10の制御回路13にて、残金から精算金額を差し引いた新たな残金を算出し、電子マネーカードの残金を書き換える処理(いわゆる、オフライン決済)を行うようになっている。
【0027】
一方、ステップS1にて選択された決済媒体が、上記条件を満たす場合(例えば、選択された決済媒体が、クレジットカードやデビットカードもしくはポストペイ型の電子マネーカードなどでピンパッド入力を必要とする場合)、ステップS2にてYesと判定され、続くステップS3にてプログラム起動処理がなされる。このプログラム起動処理では、決済端末10側で取得した決済媒体の種類と対応するプログラムを起動させる。具体的に、ステップS3では、プログラム起動コマンドや決済媒体の種類、会社名の情報などが上位装置2から決済端末10へ与えられる。
【0028】
ここで、決済端末10の記憶部14には、
図1に示すように、決済媒体の各種類と対応するピンパッド入力時のデータ加工処理をそれぞれ実行可能なプログラムが記憶されている。具体的には、例えば、
図1に示すように、クレジットA用ピンパッドソフト、クレジットB用ピンパッドソフト、デビットC用ピンパッドソフト・・・というように、各決済媒体の種類(クレジットカードやデビットカードなど)及び各決済媒体を発行する発行会社(A会社、B会社、C会社・・・など)毎に規定された暗号化処理や通信電文の生成処理を実行可能なプログラムが記憶されている。例えば、
図5に示すように、通信手順やピン暗号機能、セキュリティなどの方式は、各会社が発行する決済媒体の種類毎に規定されている。例えば、A社が発行するクレジットAでは、通信手順は、電文暗号AES(Advanced Encryption Standard)128ビットのA社のセンタ方式で行うことが規定されており、また、ピンの暗号化規格はDES(Data Encryption Standard)、セキュリティ規格はPCI-PED1.0となっている。そして、ステップS3では、例えば、上位端末で選択された決済媒体の種類が「クレジットA(A会社が発行するクレジット)」であった場合は、クレジットA用ピンパッドソフトが起動されるようになっている。
【0029】
続くステップS4では、上位装置で選択された決済媒体に対応するプログラムが起動され、ピンパッド30が利用可能な状態か否かが判定される。ここで、上位装置で選択された決済媒体に対応するプログラムが決済端末10の記憶部14に記憶されていない場合には、ピンパッド30の利用ができないため、ステップS4にてNoと判定される。そして、当該決済処理が中止される(ステップS8)。
【0030】
一方、ステップS4にて、ピンパッド30が利用可能な状態であると判定された場合には(ステップS4でYes)、決済端末10側からピンパッド30側へピン入力の要求信号を送信する(ステップS5)。例えば、この処理では、ピンパッド30の表示部(図示略)などへ、「ピン入力をしてください」などのメッセージなど表示させ、利用者にピン入力操作を促すようになっている。
【0031】
そして、利用者によりピン入力がなされると、続くステップS6にて、このピン入力された情報(入力情報)が、ステップS4にて起動されたプログラムにより、当該プログラムで定められた形式で暗号化される。例えば、上位端末で選択された決済媒体の種類が「クレジットA」であった場合は、「DES」の暗号方式で、ピンパッド30から入力されたピンが暗号化される。また、この暗号化されたピンの情報は、電文暗号がAES128ビットのA社センタに対応した通信電文形式A(例えば、入力されたピンの前に、暗号化したカード番号を付けるなど)に変換されて、上位装置2へ送信される。そして、上位装置2では、決済端末10から暗号化されたピンの情報を取得すると、この暗号化されたピンの情報及び読取装置(クレジットカードリーダ50)で読み取ったクレジットAの決済用データ(カード番号など)を電子マネーセンタへ送信する(ステップS7)。そして、電子マネーセンタ側では、上位装置2から送信されたクレジットAのピンと決済用データが有効か否かの判定(ネガ判定)が行われる(オンライン認証処理)。また、上位装置2では、入力部4から入力された精算金額を電子マネーセンタへ送信する。そして、電子マネーセンタにてクレジットAのピンと決済用データが認証されると、上位装置2では、伝票番号や承認番号(電子マネーセンタから送信される番号)、支払区分(一括払いや分割払いなど)、精算金額などを記載した明細(レシート)を発行し、当該決済処理が終了する。なお、ピンパッドにて入力された入力情報(ピン)のデータを加工する制御回路13は、「処理実行部」の一例に相当する。また、制御回路13にて加工されたデータ(暗号化されるとともに、所定の電文形式に変換されたピンのデータ)を上位装置2へ送信する送信回路11は、「通信部」の一例に相当する。
【0032】
また、決済端末10では、上位装置2側へ決済処理の状況を照会するとともに、この決済処理の進行状況を表示部18へ表示するようになっている。具体的には、決済端末10の表示部18では、上位装置2と電子マネーセンタとの間で行われるオンライン認証の結果(例えば、「認証OK」や「認証失敗」などのメッセージ)や入力部4で入力された精算金額、「センタと通信中」や「決済完了」などのメッセージを表示するようになっている。なお、上位装置2へ決済処理の進行状況を照会する制御回路13は、「照会部」の一例に相当する。また、決済処理の進行状況を外部に報知する表示部18は、「報知部」の一例に相当する。
【0033】
以上説明したように、本第1実施形態に係る電子マネー決済端末10では、決済対象の複数種類の決済媒体と対応するピンパッド入力時のデータ加工処理をそれぞれ実行可能なプログラムを記憶部14に予め記憶している。そして、ピンパッド30にて入力情報(例えば、暗証番号など)が入力された場合、決済用端末の処理実行部(制御回路13)で、決済対象の決済媒体の種類に対応したデータ加工処理を当該入力情報に対して行い、この加工したデータを上位装置(例えば、POSレジなど)に送信するようにしている。このように、決済端末10側で、各決済媒体に対応したデータ加工処理を実行するようにしているので、ピンパッド30側では、必要最小限の機能のみ(入力キーなどの入力部)を備えていればよい。また、一台のピンパッド30を各決済媒体にそれぞれ対応した専用ピンパッドのように機能させることができる。このため、ピンパッド30を決済媒体の種類毎に設ける必要がなく、簡易な構成で複数種類の決済媒体の決済取引を行うことが可能となる。また、決済対象の決済媒体の種類が増えても、ピンパッド30の台数を増やすことなく、その決済媒体に対応したプログラムを決済端末10の記憶部14に追加するのみで容易に対応することができる。
【0034】
また、決済端末10の記憶部14には、複数種類の決済媒体の各種類に対応する暗号化処理をそれぞれ実行可能なプログラムがさらに記憶されている。この構成では、各決済媒体に対応する暗号化処理のプログラムを個々に有しているため、処理が閉じており、セキュリティ性を高めることができる。
【0035】
また、データ加工処理で得られたデータに基づいて上位装置2で行われる決済処理の進行状況を照会部(制御回路13)により上位装置2へ照会するようにしている。そして、照会部で照会した決済処理の進行状況を表示部18により外部に報知するようにしている。このように、決済処理の進行状況が報知されるので、使用者は決済処理の状況を確認することができ、例えば、暗証番号の入力を誤った場合などに早期に対応することができる。