特許第6149639号(P6149639)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6149639
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】変圧装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170612BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   H02J7/00 302C
   H02J7/00 302B
   H02J7/00 P
   B60R16/03 A
   B60R16/03 S
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-194571(P2013-194571)
(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2015-61442(P2015-61442A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2015年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】安則 裕通
【審査官】 早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−298240(JP,A)
【文献】 特開2004−320877(JP,A)
【文献】 特開2010−193595(JP,A)
【文献】 特開2008−278564(JP,A)
【文献】 特開2012−240487(JP,A)
【文献】 特開2013−23103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00−7/12
H02J7/34−7/36
H02J7/14
B60R16/00−17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子に印加された印加電圧を変圧し、変圧した電圧を、出力端子から負荷と、該負荷に給電する蓄電装置とに印加する車両用の変圧装置において、
発電機から前記入力端子に電圧が印加されるように構成してあり、
前記負荷は前記車両の走行に関する車載機器であり、
該車両が走行している状態で前記蓄電装置が前記負荷に給電すべきか否かを判定する判定手段と、
前記入力端子に電圧を印加する第2の蓄電装置の残容量を示す残容量情報を取得する取得手段と
備え、
前記判定手段は、前記取得手段が取得した残容量情報が示す残容量が所定容量よりも低く、かつ、前記発電機が発電していない場合に前記蓄電装置が前記負荷に給電すべきと判定し、
前記判定手段が前記負荷に給電すべきと判定した場合に、前記印加電圧を、前記蓄電装置の出力電圧よりも低い電圧に変圧すること
を特徴とする変圧装置。
【請求項2】
前記判定手段が前記負荷に給電すべきと判定した場合に、前記印加電圧を、前記取得手段が取得した残容量情報が示す残容量の大小に応じて高低となる電圧に変圧するように構成してあること
を特徴とする請求項に記載の変圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印加された印加電圧を変圧し、変圧した電圧を負荷及び蓄電装置に印加する変圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両には、外部から印加された印加電圧を変圧し、変圧した電圧を、車載機器である負荷と、第1蓄電装置、例えば鉛蓄電池とに印加する変圧装置(例えば、特許文献1を参照)が搭載されている。
【0003】
特許文献1に記載の変圧装置は入力端子及び出力端子を備え、入力端子には、発電機の一端と、第2蓄電装置、例えば電気二重層キャパシタの正極とが接続されており、出力端子には、負荷の一端と、第1蓄電装置の正極とが接続されている。発電機及び負荷夫々の他端と、第1及び第2蓄電装置夫々の負極とは接地されている。第2蓄電装置は発電機が発生した直流の電圧を印加され、給電される。
【0004】
特許文献1に記載の変圧装置は、入力端子に印加された第2蓄電装置の出力電圧を第1蓄電装置の出力電圧よりも高い電圧に変圧し、変圧した電圧を出力端子から負荷及び第1蓄電装置に印加し、負荷及び第1蓄電装置夫々に給電する。そして、特許文献1に記載の変圧装置は、発電機が発電しておらず、かつ、第2蓄電装置の残容量が所定容量よりも低い場合、変圧を停止する。これにより、第1蓄電装置は負荷に出力電圧を印加し、負荷に給電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−240487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の変圧装置が変圧を停止して第1蓄電装置が負荷に給電している間に、衝撃又は振動等によって第1蓄電装置と負荷との接続が外れた場合、負荷への給電が停止し、負荷が突然に動作しなくなる虞がある。特に、負荷が、車両の走行に関する車載機器、例えばパワーステアリングである場合、負荷への給電の停止によって運転者は車両を安全に運転することができない。このため、第1蓄電装置が負荷に給電している間に第1蓄電装置と負荷とが非接続となって、負荷への給電が停止することは重大な問題である。
【0007】
この問題を解決する変圧装置として、第1蓄電装置が負荷に給電している間、第1蓄電装置と負荷との接続状態を監視し、第1蓄電装置と負荷とが非接続であることを検知した場合に、第2蓄電装置の出力電圧の変圧を開始する変圧装置が考えられる。
【0008】
しかしながら、この変圧装置を用いた場合であっても、第1蓄電装置と負荷とが非接続であることを検知してから変圧を開始するまでの間、負荷は給電されておらず、負荷が動作しない期間があるため、前述した問題は十分に解決されない。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、蓄電装置が負荷に給電している間に蓄電装置と負荷とが非接続となった場合であっても負荷に給電し続けることができる変圧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る変圧装置は、入力端子に印加された印加電圧を変圧し、変圧した電圧を、出力端子から負荷と、該負荷に給電する蓄電装置とに印加する車両用の変圧装置において、発電機から前記入力端子に電圧が印加されるように構成してあり、前記負荷は前記車両の走行に関する車載機器であり、該車両が走行している状態で前記蓄電装置が前記負荷に給電すべきか否かを判定する判定手段と、前記入力端子に電圧を印加する第2の蓄電装置の残容量を示す残容量情報を取得する取得手段とを備え、前記判定手段は、前記取得手段が取得した残容量情報が示す残容量が所定容量よりも低く、かつ、前記発電機が発電していない場合に前記蓄電装置が前記負荷に給電すべきと判定し、前記判定手段が前記負荷に給電すべきと判定した場合に、前記印加電圧を、前記蓄電装置の出力電圧よりも低い電圧に変圧することを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、負荷は車両の走行に関する車載機器であり、車両が走行している状態で蓄電装置が負荷に給電すべきか否かを判定する。蓄電装置が負荷に給電すべきと判定した場合、入力端子に印加された印加電圧を、蓄電装置の出力電圧よりも低い電圧に変圧し、変圧した電圧を出力端子から負荷及び蓄電装置に印加する。
このため、例えば、負荷の一端に、変圧した電圧と、蓄電装置の出力電圧とが印加される構成において、蓄電装置と負荷とが接続しているとき、変圧した電圧は蓄電装置の出力電圧よりも低いため、負荷は蓄電装置によって給電される。そして、蓄電装置が負荷に給電している間に蓄電装置と負荷とが非接続となった場合、即時に、変圧された電圧が負荷に印加され、負荷は給電され続ける。
【0015】
また、第2の蓄電装置から入力端子に電圧が印加されるように構成してあると共に、発電機から入力端子に電圧が印加されるようにも構成してある。このため、発電機の出力電圧が第2の蓄電装置の出力電圧よりも高い場合、発電機によって入力端子に電圧が印加され、第2の蓄電装置の出力電圧が発電機の出力電圧よりも高い場合、第2の蓄電装置によって入力端子に電圧が印加される。入力端子に印加された電圧は変圧され、変圧された電圧は出力端子から負荷及び蓄電装置に印加される。そして、取得した残容量情報が示す残容量が所定容量よりも低く、かつ、発電機が発電していない場合に、蓄電装置が負荷に給電すべきと判定する。
【0016】
このため、発電機が発生した電力と第2の蓄電装置が蓄えている電力とが負荷への給電に主に使用され、蓄電装置が蓄えている電力は、発電機が発電しておらず、かつ、第2の蓄電装置が蓄えている電力が一定の電力よりも低い場合に負荷への給電に使用される。
【0019】
本発明に係る変圧装置は、前記判定手段が前記負荷に給電すべきと判定した場合に、前記印加電圧を、前記取得手段が取得した残容量情報が示す残容量の大小に応じて高低となる電圧に変圧するように構成してあることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、蓄電装置が負荷に給電すべきと判定した場合に、印加電圧を、取得した残容量情報が示す残容量の大小に応じて高低となる電圧に変圧する。
このため、第2の蓄電装置が蓄えた電力が効率的に消費される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、蓄電装置が負荷に給電している間に蓄電装置と負荷とが非接続となった場合であっても負荷に給電し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施の形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図2】制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
図3】給電制御装置が奏する効果を説明するためのタイミングチャートである。
図4】実施の形態2における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図5】制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
図6】給電制御装置が奏する効果を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。この電源システム1は好適に車両に搭載されている。電源システム1は、給電制御装置10、発電機11、蓄電装置12,13、スイッチ14、負荷15,16、スタータ17及び制御装置18を備える。実施の形態1において、給電制御装置10は、後述するように変圧装置として機能する。
【0024】
給電制御装置10は、入力端子20,21及び出力端子22,23を有する。入力端子20は、発電機11の一端及び蓄電装置12の正極夫々に接続されており、入力端子21も、入力端子20と同様に、発電機11の一端及び蓄電装置12の正極夫々に接続されている。出力端子22は、蓄電装置13の正極と、スイッチ14、負荷15及びスタータ17夫々の一端とに接続されている。出力端子23は、スイッチ14の他端と負荷16の一端とに接続されている。発電機11、負荷15,16及びスタータ17夫々の他端と、蓄電装置12,13夫々の負極とは接地されている。
【0025】
発電機11は、電源システム1が搭載されている車両が減速する場合に車両の運動エネルギーを電力に変換することによって回生電力を発生する。具体的には、発電機11は、交流電力を生成し、生成した交流電力を直流電力に整流する。発電機11が発生する電力、電圧及び電流夫々は、整流後の電力、電圧及び電流である。発電機11は、発生した直流の電圧を、出力電圧として、蓄電装置12と、給電制御装置10の入力端子20,21とに印加する。
【0026】
発電機11が発生する電圧は、蓄電装置12の出力電圧よりも高い。従って、発電機11が発電している場合、蓄電装置12は発電機11の出力電圧を印加されて蓄電し、給電制御装置10の入力端子20,21には発電機11の出力電圧が印加される。このように、給電制御装置10は、発電機11から入力端子20,21に電圧が印加されるように構成してある。
【0027】
発電機11が発電していない場合、蓄電装置12の出力電圧は発電機11の出力電圧よりも高いので、蓄電装置12は出力電圧を給電制御装置10の入力端子20,21に印加する。このように、給電制御装置10は、蓄電装置12から入力端子20,21に電圧が印加されるように構成してある。蓄電装置12は、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオン電池等であり、蓄電装置12の出力電圧は蓄電装置13の出力電圧よりも高い。蓄電装置12は、実施の形態1において、特許請求の範囲における第2の蓄電装置に該当する。
【0028】
給電制御装置10は、入力端子21に印加された印加電圧を変圧する。給電制御装置10は、スイッチ14がオンである場合、変圧した電圧を出力端子23から蓄電装置13及び負荷15,16に印加する。給電制御装置10は、スイッチ14がオフである場合、変圧した電圧を出力端子23から負荷16に印加する。
【0029】
給電制御装置10は、出力端子23から流れ出る電流Idcを検出している。給電制御装置10は、検出した電流Idcが所定の基準電流以上である場合、入力端子21に印加された印加電圧の変圧を停止し、入力端子20に印加された電圧を出力端子22から出力する。
【0030】
ここで、スイッチ14がオンである場合、即ち、給電制御装置10が、変圧した電圧を出力端子23から蓄電装置13及び負荷15,16に印加している場合、電流Idcが基準電流以上となる可能性がある。そして、スイッチ14がオフである場合、即ち、給電制御装置10が、変圧した電圧を出力端子23から負荷16のみに印加している場合、電流Idcは、基準電流以上となることはなく、基準電流未満である。
従って、給電制御装置10は、電流Idcが基準電流以上である場合、入力端子20に印加された電圧を出力端子22から蓄電装置13及び負荷15,16に印加する。
【0031】
給電制御装置10は、出力端子22から流れ出る電流Iswも検出している。給電制御装置10は、検出した電流Iswが基準電流以上である場合、入力端子20に印加された電圧を出力端子22から出力する。給電制御装置10は、検出した電流Iswが基準電流未満である場合、出力端子22から電圧を出力することを停止し、入力端子21に印加された印加電圧を変圧し、変圧した電圧を出力端子23から出力する。
【0032】
ここで、スイッチ14がオンである場合、即ち、給電制御装置10が、入力端子20に印加された電圧を出力端子22から蓄電装置13及び負荷15,16に印加している場合、電流Iswが基準電流以上となる可能性がある。そして、スイッチ14がオフである場合、即ち、給電制御装置10が、入力端子20に印加された電圧を出力端子22から蓄電装置13及び負荷15に印加している場合、電流Iswは、基準電流以上となることはなく、基準電流未満である
【0033】
蓄電装置13は、自身の出力電圧、例えば12.8ボルトよりも高い電圧を、給電制御装置10の出力端子22,23のいずれか一方から、印加された場合、蓄電する。蓄電装置13は、スイッチ14がオフである場合、前述したように、給電制御装置10の出力端子22から電圧が出力されていないので、負荷15及びスタータ17に電圧を印加する。
また、蓄電装置13は、スイッチ14がオンであっても、出力端子23から出力される電圧が蓄電装置13の出力電圧よりも低い場合、負荷15,16に電圧を印加する。蓄電装置13は例えば鉛蓄電池である。蓄電装置13は、実施の形態1において、特許請求の範囲における蓄電装置に該当する。
【0034】
スイッチ14は、FET(Field Effect Transistor)又はバイポーラトランジスタ等であり、制御装置18によってオン/オフされる。
負荷15は、パワーステアリング又はABS(Antilock Braking System)等の車載機器であり、作動時に負荷15が必要とする電流が比較的に多い。負荷16は、カーナビゲーションシステム、オーディオ機器、メータ又は照明機器等の車載機器であり、作動時に負荷16が必要とする電流は比較的に少ない。
スタータ17は、図示しない車両のエンジンを始動させるために用いられるモータであり、蓄電装置13によって給電される。
【0035】
制御装置18は、スタータ17が作動することを事前に通知する事前信号が入力される。制御装置18は、事前信号が入力された場合にスイッチ14をオフにする。このとき、前述したように、給電制御装置10は出力端子22から電圧を出力することはないので、スタータ17は、蓄電装置13から供給された電力を用いて作動する。
制御装置18は、スイッチ14をオフにしてから、スタータ17が作動するために必要な十分な時間が経過した後、スイッチ14をオンに戻す。以上のように、スイッチ14は、スタータ17が作動する場合にのみオフとなり、通常、オンに維持されている。
【0036】
給電制御装置10は、入力端子20,21及び出力端子22,23の他に、スイッチ24、DC/DCコンバータ25、電流検出部26、電圧検出部27及び制御部28を有する。給電制御装置10内では、入力端子20はスイッチ24の一端に接続されており、スイッチ24の他端は出力端子22に接続されている。入力端子21は、DC/DCコンバータ25に接続されており、DC/DCコンバータ25は、更に、出力端子23及び制御部28に接続されている。制御部28は、更に、電流検出部26及び電圧検出部27に各別に接続されている。電圧検出部27は、制御部28の他に、DC/DCコンバータ25と出力端子23との接続ノードに接続されている。
【0037】
スイッチ24は、FET又はバイポーラトランジスタ等であり、制御部28によってオン/オフされる。スイッチ24がオンである場合、入力端子20に印加された電圧が出力端子22から出力される。スイッチ24がオフである場合、入力端子20と出力端子22とが非接続となり、入力端子20に印加された電圧が出力端子22から出力することはない。
【0038】
DC/DCコンバータ25は、図示しないコイルと、このコイルに接続される図示しない複数のスイッチとを有する。DC/DCコンバータ25の複数のスイッチ夫々は、制御部28に各別に接続されており、制御部28によってオン/オフされる。DC/DCコンバータ25は、制御部28が複数のスイッチ夫々のオン/オフを周期的に繰り返すことによって、入力端子21に印加された印加電圧の昇圧及び降圧を行う。これにより、DC/DCコンバータ25は、入力端子21に印加された印加電圧を変圧し、変圧した電圧を出力端子22から出力する。
【0039】
制御部28は、DC/DCコンバータ25の複数のスイッチ夫々において繰り返すオン/オフのデューティを調整することによって、昇圧幅及び降圧幅を調整することが可能であり、入力端子21に印加された印加電圧を特定の電圧に変圧することが可能である。
また、制御部28は、DC/DCコンバータ25が有する複数のスイッチ夫々のオン/オフを制御することによって、DC/DCコンバータ25に変圧を停止させることが可能である。
【0040】
電流検出部26は、DC/DCコンバータ25から出力端子23へ流れる電流、即ち、出力端子23から流れ出る電流Idcを検出している。更に、電流検出部26は、スイッチ24から出力端子22へ流れる電流、即ち、出力端子22から流れ出る電流Iswも検出している。電流検出部26は、例えば、電流センサを用いて電流Idc及び電流Isw夫々を検出している。電流検出部26は、検出した電流Idc及び電流Iswを制御部28に通知する。
電圧検出部27は、DC/DCコンバータ25が変圧した電圧を検出しており、検出した電圧を制御部28に通知する。
【0041】
制御部28は、蓄電装置12の残容量、具体的にはSOC(State Of Charge)を示す残容量情報を外部から取得する。SOCの単位はパーセントであり、SOCは、蓄電装置12が満充電である場合に100%を示し、蓄電装置12に電力が蓄えられていない場合にゼロ%を示す。実施の形態1において、制御部28は取得手段として機能する。
【0042】
制御部28は、更に、電源システム1が搭載された車両の走行に関する走行情報を外部から取得する。走行情報は、車両の速度を示す情報、及び、ブレーキペダルが踏まれたか否かを示す情報を含む。制御部28は、外部から取得した走行情報に基づいて、車両の運転者がブレーキペダルを踏んで車両が減速しているか否か判定する。この判定を行うことによって、制御部28は発電機11が発電しているか否かを判定する。
【0043】
制御部28は、電流検出部26が検出した電流Idc及び電流Iswと、電圧検出部27が検出した電圧と、外部から取得した残容量情報及び走行情報とに基づいて、スイッチ24のオン/オフと、DC/DCコンバータ25の動作とを制御する。
【0044】
図2は、制御部28が実行する動作の手順を示すフローチャートである。制御部28は、外部から残容量情報を取得し(ステップS1)、取得した残容量情報が示す蓄電装置12の残容量が所定の基準容量未満であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0045】
制御部28は、残容量が基準容量未満であると判定した場合(S2:YES)、外部から走行情報を取得し(ステップS3)、取得した走行情報に基づいて、発電機11が発電しているか否かを判定する(ステップS4)。発電機11は、運転者がブレーキペダルを踏んで車両を減速させる場合に発電するので、制御部28は、前述したように、走行情報からブレーキペダルが踏まれて車両が減速しているか否かを判定することによって、発電機11が発電しているか否かを判定する。制御部28は、ブレーキペダルが踏まれており、かつ、車両が減速していると判定した場合に発電機11が発電していると判定し、ブレーキペダルが踏まれていないか、又は、車両が減速していないと判定した場合に発電機11は発電していないと判定する。
【0046】
なお、制御部28は、入力端子20又は21に印加されている電圧に基づいて、発電機11が発電しているか否かを判定してもよい。制御部28は、例えば、入力端子20又は21に印加されている電圧が、発電機11の出力電圧以下であって蓄電装置12の出力電圧よりも高い閾値電圧以上である場合に発電機11が発電していると判定し、入力端子20又は21に印加されている電圧が閾値電圧未満である場合に発電機11が発電していないと判定してもよい。
【0047】
制御部28は、残容量が基準容量以上であると判定した場合(S2:NO)、又は、発電機11が発電していると判定した場合(S4:YES)、DC/DCコンバータ25に、入力端子21に印加された印加電圧を、蓄電装置13の出力電圧よりも高い所定の第1電圧に変圧させる(ステップS5)。ここで、制御部28は、電圧検出部27が検出した電圧に基づいて、DC/DCコンバータ25の複数のスイッチ夫々において繰り返されるオン/オフのデューティを調整することによって、DC/DCコンバータ25が出力端子23から出力する電圧を第1電圧に維持する。
【0048】
DC/DCコンバータ25が印加電圧を第1電圧に変圧している状態でスイッチ14がオンである場合、出力端子23から第1電圧が、蓄電装置13及び負荷15,16夫々に印加され、蓄電装置13及び負荷15,16夫々は給電される。DC/DCコンバータ25が印加電圧を第1電圧に変圧している状態でスイッチ14がオフである場合、出力端子23から第1電圧が負荷16に印加され、負荷16は給電される。
【0049】
制御部28は、ステップS5を実行した後、電流検出部26が検出した電流Idcが基準電流、例えば48アンペア以上であるか否かを判定する(ステップS6)。制御部28は、電流Idcが基準電流未満であると判定した場合(S6:NO)、処理を終了し、ステップS1から処理を再開する。従って、蓄電装置12の残容量が基準容量以上であるか、又は、発電機11が発電している場合において、電流Idcが基準電流未満であるとき、DC/DCコンバータ25は、入力端子21に印加された印加電圧を第1電圧に変圧し続ける。
【0050】
制御部28は、電流Idcが基準電流以上であると判定した場合(S6:YES)、スイッチ24をオンにし(ステップS7)、DC/DCコンバータ25が有する複数のスイッチのオン/オフを制御することによって、DC/DCコンバータ25に変圧を停止させる(ステップS8)。発電機11及び蓄電装置12夫々の出力電圧は蓄電装置13の出力電圧よりも高いため、制御部28がステップS7及びS8を実行することによって、入力端子20に印加された電圧が出力端子22から蓄電装置13及び負荷15,16に印加され、蓄電装置13及び負荷15,16は給電される。
【0051】
次に、制御部28は、電流検出部26が検出した電流Iswが基準電流、例えば48アンペア未満であるか否かを判定する(ステップS9)。制御部28は、電流Iswが基準電流以上であると判定した場合(S9:NO)、処理をステップS9に戻し、電流検出部26が基準電流未満の電流Iswを検出するまで、入力端子20に印加された電圧を出力端子22から出力し続ける。
【0052】
制御部28は、電流Iswが基準電流未満であると判定した場合(S9:YES)、スイッチ24をオフにし(ステップS10)、DC/DCコンバータ25に、入力端子21に印加された印加電圧を第1電圧に変圧させる(ステップS11)。その後、制御部28は、処理を終了し、ステップS1から処理を再開する。
【0053】
DC/DCコンバータ25が出力する電流Idcは、一定の電流、例えば、50アンペア以下に制限されている。従って、制御部28が、前述したような処理を行うことによって、前記一定の電流以上の電流を出力端子22から出力し、蓄電装置13及び負荷15,16に給電することができる。
【0054】
制御部28は、発電機11が発電していないと判定した場合(S4:NO)、DC/DCコンバータ25に、入力端子21に印加された印加電圧を蓄電装置13の出力電圧よりも低い第2電圧に変圧する(ステップS12)。これにより、DC/DCコンバータ25が印加電圧を第2電圧に変圧している状態でスイッチ14がオフである場合、第2電圧が出力端子23から負荷16に印加され、負荷16が給電される。蓄電装置13の出力電圧が12.8ボルトである場合、第2電圧を例えば12ボルト以下の電圧に設定する。
【0055】
DC/DCコンバータ25が印加電圧を第2電圧に変圧している状態でスイッチ14がオンである場合において、蓄電装置13の正極が負荷15,16夫々の一端に接続されているとき、蓄電装置13の出力電圧は第2電圧よりも高いので、負荷15,16夫々は、蓄電装置13によって給電される。このとき、入力端子21に電圧を印加している蓄電装置12が蓄えている電力が消費されることはない。
【0056】
DC/DCコンバータ25が印加電圧を第2電圧に変圧している状態でスイッチ14がオンである場合において、蓄電装置13の正極と負荷15,16夫々の一端とが非接続であるとき、出力端子23から第2電圧が負荷15,16に印加され、負荷15,16は給電される。
【0057】
制御部28は、電圧検出部27が検出した電圧に基づいて、DC/DCコンバータ25の複数のスイッチ夫々において繰り返されるオン/オフのデューティを調整することによって、DC/DCコンバータ25が出力端子23から出力する電圧を第2電圧に調整する。このとき、第2電圧は、ステップS1で取得した残容量情報が示す蓄電装置12の残容量に基づいて決定される。
【0058】
制御部28は、ステップS1で取得した残容量情報が示す蓄電装置12の残容量が大きい場合、DC/DCコンバータ25に、印加電圧を高い第1電圧に変圧させ、ステップS1で取得した残容量情報が示す蓄電装置12の残容量が小さい場合、DC/DCコンバータ25に、印加電圧を低い第2電圧に変圧させる。このため、蓄電装置12が蓄えた電力が効率的に消費される。ただし、第2電圧は、蓄電装置13の出力電圧よりも低い範囲で決定される。
制御部28は、ステップS12を実行した後、処理を終了し、ステップS1から処理を再開する。
【0059】
制御部28は、ステップS2,S4の処理を実行することによって、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきか否かを判定する。スイッチ14は、前述したように、スタータ17が作動する場合にのみオフとなるので、スイッチ14がオフである期間は非常に短い。従って、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきか否かの判定は、スイッチ14がオンであることを前提とした判定である。
【0060】
制御部28は、取得した残容量情報が示す蓄電装置12の残容量が基準容量よりも低く、かつ、発電機11が発電していないと判定した場合、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきであると判定する。
制御部28は、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきであると判定した場合に、DC/DCコンバータ25に、入力端子21に印加された印加電圧を第2電圧に変圧させる。これにより、第2電圧は蓄電装置13の出力電圧よりも低いので、蓄電装置13は、前述したように負荷15,16に給電する。実施の形態1において、制御部28は判定手段としても機能する。
【0061】
制御部28は、取得した残容量情報が示す蓄電装置12の残容量が基準容量よりも高い、又は、発電機11が発電していると判定した場合、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきではないと判定する。
制御部28は、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきではないと判定した場合、DC/DCコンバータ25に、印加電圧を第1電圧に変圧させる。これにより、第1電圧は蓄電装置13の出力電圧よりも高いので、前述したように、負荷15,16は出力端子23から第1電圧を印加され、給電される。
【0062】
従って、発電機11が発生した電力と蓄電装置12が蓄えている電力とが負荷15,16への給電に主に使用され、蓄電装置13が蓄えている電力は、発電機11が発電しておらず、かつ、蓄電装置12が蓄えている電力が一定の電力よりも低い場合に負荷15,16への給電に使用される。
【0063】
図3は、給電制御装置10が奏する効果を説明するためのタイミングチャートである。図3には、スイッチ14がオンであって入力端子21に印加された印加電圧をDC/DCコンバータ25が第2電圧に変圧している場合において、負荷15,16に印加されている電圧の推移が示されている。図3では、蓄電装置13の出力電圧をVbで示し、第2電圧をV2で示している。
【0064】
蓄電装置13が負荷15,16に給電している場合、負荷15,16には、蓄電装置13の出力電圧Vbが印加されている。このとき、DC/DCコンバータ25は、給電制御装置10の入力端子21に印加された印加電圧を第2電圧V2に変圧し、変圧した電圧を給電制御装置10の出力端子23から出力している。
【0065】
そして、蓄電装置13と給電制御装置10の出力端子23との接続が外れて、蓄電装置13と負荷15,16とが非接続となった場合、即時に、DC/DCコンバータ25が変圧した第2電圧V2が負荷15,16に印加され、負荷15,16は印加され続ける。このため、蓄電装置13の接続が外れた場合であっても、負荷15,16の動作が停止することはない。この作用は、負荷15,16が、動作の停止によって運転に支障をきたす車載機器、言い換えると、車両の走行に関する車載機器である場合、車両を安全に運転することができるので、特に有効である。
【0066】
スイッチ14は、前述したように、エンジンを始動させるために用いられるスタータ17を作動する場合にのみ、オフされる。従って、スイッチ14がオフである場合、車両は走行していない。このため、スイッチ14がオフである状態で、蓄電装置13の接続が給電制御装置10の出力端子22から外れた場合であっても、安全性に問題はない。
【0067】
なお、実施の形態1において、制御部28は、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきと判定した場合において、入力端子21に印加された印加電圧を、外部から取得した残容量情報が示す蓄電装置12の残容量の大小に応じて高低となる第2電圧に変圧しなくてもよい。制御部28は、例えば、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきと判定した場合において、印加電圧を、予め設定されている一定の第2電圧に変圧してもよい。
【0068】
この場合においても、DC/DCコンバータ25は入力端子21に印加された印加電圧を、蓄電装置13の出力電圧よりも低い第2電圧に変圧している。このため、蓄電装置13が負荷15,16に給電している状態で、蓄電装置13と負荷15,16とが非接続となった場合、即時に給電制御装置10の出力端子23から第2電圧が負荷15,16に印加され、負荷15,16は給電され続ける。
【0069】
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2における電源システムの要部構成を示すブロック図である。この電源システム3は、実施の形態1における電源システム1が備える構成部材の中で、給電制御装置10を除く他の構成部材を備え、給電制御装置10の代わりに給電制御装置30を備えている。電源システム3は、実施の形態1における電源システム1と比較して、給電の制御方法が異なる。実施の形態2においては、給電制御装置30が変圧装置として機能する。
【0070】
以下では、実施の形態2における電源システム3について、実施の形態1における電源システム1と異なる点を説明する。実施の形態1と共通する実施の形態2の構成には同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0071】
給電制御装置30は端子40,41,42を有する。端子40は、発電機11の一端に接続されており、端子41は蓄電装置12の正極に接続されている。端子42は、スイッチ14及び負荷16夫々の一端に接続されており、スイッチ14の他端は、蓄電装置13の正極と、負荷15及びスタータ17夫々の一端とに接続されている。発電機11、負荷15,16及びスタータ17夫々の他端と、蓄電装置12,13夫々の負極とは接地されている。
【0072】
発電機11は、実施の形態1と同様に、電源システム3が搭載されている車両が減速する場合に車両の運動エネルギーを電力に変換することによって回生電力を発生する。発電機11は、発生した直流の電圧を端子40に印加する。発電機11が発生する電圧は蓄電装置13の出力電圧よりも高い。
【0073】
給電制御装置30は、実施の形態1と同様に、電源システム3が搭載された車両の走行に関する走行情報を外部から取得し、実施の形態1と同様に、発電機11が発電しているか否かを判定する。走行情報には、車両の速度を示す情報、及び、ブレーキペダルが踏まれたか否かを示す情報を含む。給電制御装置30は、発電機11が発電していると判定した場合、端子40に印加された電圧を、蓄電装置12の出力電圧よりも高い電圧に変圧し、変圧した電圧を蓄電装置12に印加する。これにより、蓄電装置12は蓄電する。
【0074】
給電制御装置30は、発電機11が発電していると判定した場合、更に、端子40に印加された電圧を、端子42から出力する。ここで、スイッチ14がオフである場合、端子40に印加された電圧が端子42から負荷16に印加され、スイッチ14がオンである場合、端子40に印加された電圧が端子42から蓄電装置13及び負荷15,16に印加される。
【0075】
給電制御装置30は、蓄電装置12から端子41に電圧が印加されるように構成してある。給電制御装置30は、発電機11が発電していないと判定した場合、蓄電装置12から端子41に印加された印加電圧を変圧し、変圧した電圧を端子42から出力する。ここで、給電制御装置30は、スイッチ14がオフである場合、変圧した電圧を端子42から負荷16に印加し、スイッチ14がオンである場合、変圧した電圧を端子42から蓄電装置13及び負荷15,16に印加する。実施の形態2において、端子41は、入力端子として機能し、端子42は出力端子として機能する。蓄電装置12,13夫々は、実施の形態2においても特許請求の範囲における第2の蓄電装置及び蓄電装置に該当する。
【0076】
蓄電装置13は、自身の出力電圧よりも高い電圧を、給電制御装置30の端子42からスイッチ14を介して印加された場合、蓄電する。
制御装置18は、事前信号が入力された場合にスイッチ14をオフにする。このとき、給電制御装置30の端子42から電圧を印加されないので、蓄電装置13は、負荷15及びスタータ17に出力電圧を印加する。スタータ17は、蓄電装置13から供給された電力を用いて作動する。制御装置18は、スイッチ14をオフにしてから、スタータ17が作動するために必要な十分な時間が経過した後、スイッチ14をオンに戻す。スイッチ14は、スタータ17が作動する場合にのみオフとなり、通常、オンに維持される。
【0077】
給電制御装置30は、端子40,41,42の他に、DC/DCコンバータ43、電圧検出部44及び制御部45を有する。給電制御装置30内では、端子40は、端子42と、DC/DCコンバータ43とに接続されている。DC/DCコンバータ43は、更に、端子41と、制御部45とに接続されている。制御部45は、更に、電圧検出部44に接続されている。電圧検出部44は、更に、端子40,41夫々に各別に接続されている。
【0078】
給電制御装置30において、端子40が端子42と接続しているため、負荷16は、発電機11が発生した電力を供給され、負荷15は、スイッチ14がオンである場合、発電機11が発生した電力を供給される。
【0079】
DC/DCコンバータ43は、実施の形態1におけるDC/DCコンバータ25と同様に、図示しないコイルと、このコイルに接続される図示しない複数のスイッチとを有する。DC/DCコンバータ43の複数のスイッチ夫々は、制御部45に各別に接続されており、制御部45によってオン/オフされる。DC/DCコンバータ43は、制御部45が複数のスイッチ夫々のオン/オフを周期的に繰り返すことによって、端子40に印加された電圧を変圧し、変圧した電圧を端子41から蓄電装置12に印加する。また、DC/DCコンバータ43は、制御部45が複数のスイッチ夫々のオン/オフを周期的に繰り返すことによって、端子41に印加された印加電圧を変圧し、変圧した電圧を端子42から出力する。
【0080】
制御部45は、DC/DCコンバータ43の複数のスイッチ夫々において繰り返すオン/オフのデューティを調整することによって、昇圧幅及び降圧幅を調整することが可能である。制御部45は、昇圧幅及び降圧幅を調整することによって、端子40,41夫々に印加された電圧を特定の電圧に変圧することが可能である。
また、制御部45は、DC/DCコンバータ43が有する複数のスイッチ夫々のオン/オフを制御することによって、DC/DCコンバータ43に変圧を停止させることが可能である。
【0081】
電圧検出部44は、端子40,41夫々の電圧を検出し、検出した電圧を制御部45に通知する。
制御部45は、実施の形態1と同様に、蓄電装置12の残容量を示す残容量情報と、走行情報とを取得する。制御部45は、電圧検出部44が検出した電圧と、外部から取得した残容量情報及び走行情報とに基づいて、DC/DCコンバータ43の動作を制御する。制御部45は、実施の形態2において、取得手段として機能する。
【0082】
図5は、制御部45が実行する動作の手順を示すフローチャートである。制御部45は、外部から走行情報を取得し(ステップS21)、取得した走行情報に基づいて、発電機11が発電しているか否かを判定する(ステップS22)。制御部45は、走行情報に基づいて、実施の形態1と同様に、発電機11が発電しているか否かを判定する。
なお、制御部45は、給電制御装置30の端子40に印加されている電圧に基づいて、発電機11が発電しているか否かを判定してもよい。制御部45は、例えば、端子40に印加されている電圧が、発電機11の出力電圧以下であって、DC/DCコンバータ43が蓄電装置12の出力電圧を変圧して端子42から出力する電圧よりも高い閾値電圧以上である場合に発電機11が発電していると判定し、端子40に印加されている電圧が閾値電圧未満である場合に発電機11が発電していないと判定してもよい。
【0083】
制御部45は、発電機11が発電していると判定した場合(S22:YES)、DC/DCコンバータ43に、端子40に印加された発電機11の出力電圧を、蓄電装置12の出力電圧よりも高い電圧に変圧させる(ステップS23)。ここで、制御部45は、電圧検出部44が検出した端子41の電圧に基づいて、DC/DCコンバータ43の複数のスイッチ夫々において繰り返されるオン/オフのデューティを調整することによって、DC/DCコンバータ43が端子41から出力する電圧を、蓄電装置12の出力電圧よりも高い一定の電圧に維持する。これにより、DC/DCコンバータ43が変圧した電圧が、給電制御装置30の端子41から蓄電装置12に印加され、蓄電装置12が蓄電する。
【0084】
制御部45は、ステップS23を実行した後、処理を終了し、ステップS21から処理を再開する。従って、発電機11が発電している間、制御部45は、発電機11の出力電圧を変圧させ続ける。給電制御装置30において、端子40は端子42と接続しているため、発電機11が発電している間、発電機11の出力電圧は端子42から出力されている。
【0085】
制御部45は、発電機11が発電していないと判定した場合(S22:NO)、外部から残容量情報を取得し(ステップS24)、取得した残容量情報が示す蓄電装置12の残容量が所定の基準容量未満であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0086】
制御部45は、残容量が基準容量以上であると判定した場合(S25:NO)、DC/DCコンバータ43に、給電制御装置30の端子41に印加されている蓄電装置12の出力電圧を、蓄電装置13の出力電圧よりも高い一定の第3電圧に変圧する(ステップS26)。DC/DCコンバータ43は第3電圧を端子42から出力する。ここで、制御部45は、電圧検出部44が検出した端子40の電圧に基づいて、DC/DCコンバータ43の複数のスイッチ夫々において繰り返されるオン/オフのデューティを調整することによって、DC/DCコンバータ43が端子42から出力する電圧を一定の第3電圧に維持する。
【0087】
DC/DCコンバータ43が、端子41に印加された印加電圧を第3電圧に変圧している状態でスイッチ14がオンである場合、端子42から第3電圧が、蓄電装置13及び負荷15,16夫々に印加され、蓄電装置13及び負荷15,16夫々は給電される。DC/DCコンバータ43が印加電圧を第3電圧に変圧している状態でスイッチ14がオフである場合、端子42から第3電圧が負荷16に印加され、負荷16は給電される。
【0088】
制御部45は、ステップS26を実行した後、処理を終了し、ステップS21から処理を再開する。従って、発電機11が発電しておらず、蓄電装置12の残容量が基準容量以上である場合、制御部45は、端子41に印加された蓄電装置12の出力電圧を第3電圧に変圧させ続ける。
【0089】
制御部45は、残容量が基準容量未満であると判定した場合(S25:YES)、DC/DCコンバータ43に、給電制御装置30の端子41に印加されている蓄電装置12の出力電圧を、蓄電装置13の出力電圧よりも低い一定の第4電圧に変圧する(ステップS27)。DC/DCコンバータ43は第4電圧を給電制御装置30の端子42から出力する。蓄電装置13の出力電圧が12.8ボルトである場合、第4電圧を例えば12ボルト以下の電圧に設定する。
【0090】
DC/DCコンバータ43が、給電制御装置30の端子41に印加された印加電圧を第4電圧に変圧している状態でスイッチ14がオフである場合、第4電圧が端子42から負荷16に印加され、負荷16が給電される。
【0091】
DC/DCコンバータ43が、端子41に印加されている印加電圧を第4電圧に変圧している状態でスイッチ14がオンである場合において、蓄電装置13の正極が負荷15,16夫々の一端に接続されているとき、蓄電装置13の出力電圧は第4電圧よりも高いので、負荷15,16夫々は、蓄電装置13によって給電される。このとき、端子41に電圧を印加している蓄電装置12が蓄えている電力が消費されることはない。
【0092】
DC/DCコンバータ43が、端子41に印加されている印加電圧を第4電圧に変圧している状態でスイッチ14がオンである場合において、蓄電装置13の正極と負荷15,16夫々の一端とが非接続であるとき、端子42から第4電圧が負荷15,16に印加され、負荷15,16は給電される。
【0093】
制御部45は、電圧検出部44が検出した端子40の電圧に基づいて、DC/DCコンバータ43の複数のスイッチ夫々において繰り返されるオン/オフのデューティを調整することによって、DC/DCコンバータ43が端子42から出力する電圧を第4電圧に調整する。このとき、第4電圧は、ステップS24で取得した残容量情報が示す蓄電装置12の残容量に基づいて決定される。
【0094】
制御部45は、ステップS24で取得した残容量情報が示す蓄電装置12の残容量が大きい場合、DC/DCコンバータ43に、印加電圧を高い第4電圧に変圧させ、ステップS24で取得した残容量情報が示す蓄電装置12の残容量が小さい場合、DC/DCコンバータ43に、印加電圧を低い第4電圧に変圧させる。このため、蓄電装置12が蓄えた電力が効率的に消費される。ただし、第4電圧の高低は、蓄電装置13の出力電圧よりも低い範囲で決定される。
制御部45は、ステップS27を実行した後、処理を終了し、ステップS21から処理を再開する。従って、発電機11が発電しておらず、蓄電装置12の残容量が基準容量未満である場合、制御部45は、端子41に印加された蓄電装置12の出力電圧を第4電圧に変圧させ続ける。
【0095】
制御部45は、ステップS22,S25の処理を実行することによって、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきか否かを判定する。スイッチ14は、前述したように、スタータ17が作動する場合にのみオフとなるので、スイッチ14がオフである期間は非常に短い。従って、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきか否かの判定は、スイッチ14がオンであることを前提とした判定である。
【0096】
制御部45は、取得した残容量情報が示す蓄電装置12の残容量が基準容量よりも低く、かつ、発電機11が発電していないと判定した場合、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきであると判定する。
制御部45は、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきであると判定した場合に、DC/DCコンバータ43に、端子41に印加された印加電圧を第4電圧に変圧させる。これにより、第4電圧は蓄電装置13の出力電圧よりも低いので、蓄電装置13は、前述したように負荷15,16に給電する。制御部45は実施の形態2における判定手段としても機能する。
【0097】
制御部45は、取得した残容量情報が示す蓄電装置12の残容量が基準容量よりも高い、又は、発電機11が発電していると判定した場合、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきではないと判定する。
制御部45は、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきではないと判定した場合、DC/DCコンバータ43に、端子41に印加された印加電圧を第3電圧に変圧させる。これにより、第3電圧は蓄電装置13の出力電圧よりも高いので、前述したように、負荷15,16は給電制御装置30の端子42から第3電圧を印加され、給電される。
【0098】
従って、発電機11が発生した電力と蓄電装置12が蓄えている電力とが負荷15,16への給電に主に使用され、蓄電装置13が蓄えている電力は、発電機11が発電しておらず、かつ、蓄電装置12が蓄えている電力が一定の電力よりも低い場合に負荷15,16への給電に使用される。
【0099】
図6は、給電制御装置30が奏する効果を説明するためのタイミングチャートである。図6には、スイッチ14がオンであって端子41に印加された印加電圧をDC/DCコンバータ43が第4電圧に変圧している場合において、負荷15,16に印加されている電圧の推移が示されている。図6では、蓄電装置13の出力電圧をVbで示し、第4電圧をV4で示している。
【0100】
蓄電装置13が負荷15,16に給電している場合、負荷15,16には、蓄電装置13の出力電圧Vbが印加されている。このとき、DC/DCコンバータ43は、給電制御装置30の端子41に印加された印加電圧を第4電圧V4に変圧し、変圧した電圧を給電制御装置30の端子42から出力している。
【0101】
そして、蓄電装置13と給電制御装置10の出力端子23との接続が外れて、蓄電装置13と負荷15,16とが非接続となった場合、即時に、DC/DCコンバータ43が変圧した第4電圧V4が負荷15,16に印加され、負荷15,16は印加され続ける。このため、蓄電装置13の接続が外れた場合であっても、負荷15,16の動作が停止することはない。この作用は、負荷15,16が、動作の停止によって運転に支障をきたす車載機器、言い換えると、車両の走行に関する車載機器である場合、車両を安全に運転することができるので、特に有効である。
【0102】
スイッチ14は、前述したように、エンジンを始動させるために用いられるスタータ17を作動する場合にのみ、オフされる。従って、スイッチ14がオフである場合、車両は走行していない。このため、スイッチ14がオフである状態で、蓄電装置13の接続が給電制御装置30の端子42から外れた場合であっても、安全性に問題はない。
【0103】
なお、実施の形態2において、制御部45は、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきと判定した場合において、端子41に印加された印加電圧を、外部から取得した残容量情報が示す蓄電装置12の残容量の大小に応じて高低となる第4電圧に変圧しなくてもよい。制御部45は、例えば、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきと判定した場合において、印加電圧を、予め設定されている一定の第4電圧に変圧してもよい。
【0104】
この場合においても、DC/DCコンバータ43は端子41に印加された印加電圧を、蓄電装置13の出力電圧よりも低い第4電圧に変圧している。このため、蓄電装置13が負荷15,16に給電している状態で、蓄電装置13と負荷15,16とが非接続となった場合、即時に給電制御装置30の端子42から第4電圧が負荷15,16に印加され、負荷15,16は給電され続ける。
【0105】
また、実施の形態1及び2において、制御部28,45夫々は、残容量情報が示す残容量が基準容量よりも低く、かつ、発電機11が発電していない場合に蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきであると判定しなくてもよい。制御部28,45夫々は、残容量情報が示す残容量が基準容量よりも低い場合に、蓄電装置13が負荷15,16に給電すべきであると判定してもよい。
【0106】
開示された実施の形態1,2は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0107】
10,30 給電制御装置(変圧装置)
11 発電機
12 蓄電装置(第2の蓄電装置)
13 蓄電装置
15,16 負荷
21 入力端子
23 出力端子
28,45 制御部(判定手段、取得手段)
41 端子(入力端子)
42 端子(出力端子)
図1
図2
図3
図4
図5
図6