(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、印字と印刷は同義の用語として用いられる。
[実施例1]
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係る廃トナー回収容器を備えたフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタという)の内部構成を説明する断面図である。
【0017】
図1に示すプリンタ1(以下、装置本体1とも言う)は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着装置6、及び両面印刷用搬送ユニット7で構成されている。
【0018】
上記画像形成部2は、いわゆる背面転写方式で構成され、転写ベルト8の下部走行面8aにトナー画像を転写するために、その下部走行面8aに接して上流側から下流側(同図の右側から左側)へ4個の画像形成ユニット9(9k、9c、9m、9y)が多段式に並設されている。
【0019】
上記4個の画像形成ユニット9のうち上流側の3個の画像形成ユニット9y、9m及び9cは、それぞれ減法混色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色トナーによるモノカラー画像を形成する。
【0020】
また、画像形成ユニット9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。上記の各画像形成ユニット9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下イエロー(Y)のトナー用の画像形成ユニット9yを例にしてその構成を説明する。
【0021】
画像形成ユニット9は、ドラムユニット10と現像ユニット14とが一体に組み付けられて構成されている。画像形成ユニット9は最上部にドラムユニット10の感光体ドラム10aを備えている。
【0022】
この感光体ドラム10aは、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10aの周面に当接し又は近傍を取り巻いて、ドラムユニット10のクリーナ11、帯電ローラ12、装置本体側の光書込ヘッド13、及び現像器ユニット14の現像ローラ15が配置されている。
【0023】
クリーナ11は、内部に搬送スクリューを備えており、感光体ドラム10aの周面から除去して底部に滞留する廃トナーを搬送スクリューで、後述する廃トナー搬送路に送り込み、その廃トナーを廃トナー搬送ユニットが廃トナー回収容器29に搬送するようになっている。
【0024】
尚、
図1では、廃トナー搬送ユニットは、転写ベルトユニット3の背面つまり図面奥行き方向向こう側に配置されているので、転写ベルトユニット3の影になって見えない。
【0025】
現像器ユニット14は、外部を覆うユニット筐体16、内部に設けられた隔壁17、現像ローラ15、第1の攪拌搬送スクリュー18、及び第2の攪拌搬送スクリュー19を備えている。第1及び第2の攪拌搬送スクリュー18及び19は、特には図示しないが、スクリュー軸と、このスクリュー軸と一体に構成されて回転するフィンから成る。
【0026】
この現像器ユニット14には、トナー供給部4のトナー補給容器20(20y、20m、20c、20k)から、同図にはY、M、C、Kで示すようにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のいずれかのトナーが供給される。
【0027】
転写ベルトユニット3は、装置本体のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した転写ベルト8と、この転写ベルト8を掛け渡されて転写ベルト8を図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ21と従動ローラ22を備えている。
【0028】
上記の転写ベルト8には、一次転写ローラ23がユニットと一体に組み込まれている。一次転写ローラ23は転写ベルト8を介して感光体ドラム10aに圧接し、下方を循環移動する転写ベルト8の下部走行面8aにトナー像を直接転写(一次転写)する。
【0029】
転写ベルト8は、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく、用紙を二次転写部24まで搬送する。二次転写部24は、駆動ローラ21に隣接して下流側(図では上方)に配置された転写補助ローラ25と、この転写補助ローラ25に転写ベルト8を介して圧接する二次転写ローラ26とで形成されている。
【0030】
転写ベルト8には、ベルトクリーナ27が配置されている。ベルトクリーナ27は、転写ベルト8の従動ローラ22に掛け渡されている表面に当接するクリーニングブレード28を備えている。また、ベルトクリーナ27の左方から下方にかけて隣接して、廃トナー回収容器29が着脱自在に配置されている。
【0031】
ベルトクリーナ27は、クリーニングブレード28により転写ベルト8の表面に残留する廃トナーを擦り取って除去し、その廃トナーを後述する廃トナー搬送路を介して廃トナー回収容器29に送り込んでいる。
【0032】
トナー供給部4は、転写ベルト8の上部走行部の上方に配置される4個のトナー補給容器20(20y、20m、20c、20k)を着脱自在に備えている。4個のトナー補給容器20には前述したようにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーが収容されている。
【0033】
これら4個のトナー補給容器20は、
図1では転写ベルトユニット3の向う側に隠れて見えないが、それぞれ装着部のトナー供給口に続くトナー供給路を介して、それぞれに対応する画像形成ユニット9の現像器ユニット14と連結されている。
【0034】
このトナー供給部4は、特には図示しないが、
図1に示す印刷実行時位置から、それより上方の保守位置に、昇降可能に装着部を介してプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0035】
給紙部5は、上下2段に配置された2個の給紙カセット30(30a、30b)を備えている。2個の給紙カセット30の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ31、給送ローラ32、捌きローラ33、待機搬送ローラ対34が配置されている。
【0036】
待機搬送ローラ対34の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト8、転写補助ローラ25、二次転写ローラ26による前述した用紙への二次転写部24が形成されている。
【0037】
この二次転写部24の下流(図では上方)側にはベルト式定着装置(以下、単に定着装置という)6が配置され、定着装置6の更に下流側には、定着後の用紙を定着装置6から搬出する搬出ローラ対36、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する排紙ローラ対38が配設されている。
【0038】
両面印刷用搬送ユニット7は、外面(図の右方外側面)がプリンタ1の内部を側面から外部に開放又は遮蔽する開閉部材を兼ねている。
【0039】
この両面印刷用搬送ユニット7は、排紙ローラ対38の直前から図の右横方向に分岐する返送開始路39a、それから下方に曲がる返送中間路39b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる返送終端路39cから成る返送路39を備えている。
【0040】
また、返送路39の途中には、5組の返送ローラ対41(41a、41b、41c、41d、41e)が配置されている。上記返送終端路39cの出口は、給紙部5の下方の給紙カセット30bに対応する待機搬送ローラ対34への搬送路に合流している。
【0041】
次に、上記の構成におけるプリンタ1の基本動作を説明する。なお、以下の基本動作の説明では、カラー印字の状態における動作について説明する。
【0042】
先ず、電源が投入され、使用する用紙の枚数、印字モード、その他の指定がキー入力あるいは接続するホスト機器からの信号として入力されると印字(印刷)が開始される。
【0043】
すなわち、駆動ローラ21が
図1の反時計回り方向に回転して、矢印aで示すように転写ベルト8の循環移動を開始させる。各画像形成ユニット9が順次駆動され感光体ドラム10aが図の時計回り方向に回転する。
【0044】
帯電ローラ12が感光体ドラム10a周面に一様な高マイナス電荷を付与して初期化し、光書込ヘッド13は、感光体ドラム10a周面に画像信号に応じた露光を行って初期化による高マイナス電位部と上記露光による低マイナス電位部からなる静電潜像を形成する。
【0045】
現像ローラ15は、静電潜像の低電位部に現像器ユニット14内のトナーを転移させて感光体ドラム10a周面上にトナー像を形成(反転現像)する。用紙搬送方向最上流の画像形成ユニット9yにより感光体ドラム10aの周面上に形成されたイエローのトナー像が転写ベルト8との対向面へと回転搬送される。
【0046】
一次転写ローラ23は、不図示の転写バイアス電源から出力される転写電流を転写ベルト8に印加する。これにより、感光体ドラム10a上のイエローのトナー像が転写ベルト8に一次転写される。
【0047】
転写ベルト8に一次転写されたトナー像に重ねて、この後、画像形成ユニット9mにより感光体ドラム10aの周面上に形成されたマゼンタのトナー像が、画像形成ユニット9mに対応する一次転写ローラ23によって転写される。
【0048】
更に、画像形成ユニット9cにより感光体ドラム10aの周面上に形成されたシアンのトナー像が、画像形成ユニット9cに対応する一次転写ローラ23によって重ね転写され、そして最後に、画像形成ユニット9kにより感光体ドラム10aの周面上に形成されたブラックのトナー像が、画像形成ユニット9kに対応する一次転写ローラ23によって重ね転写される。
【0049】
このように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色のトナー像が順次重ねて一次転写されたフルカラーの画像が、転写ベルト8の下部走行面8aに完成する。
【0050】
4色のトナー像を重ねて一次転写された転写ベルト8の下部走行面8aは、そのまま循環移動を続けて4色のトナー像を、従動ローラ17と二次転写ローラ27とが対向する二次転写位置へと搬送する。
【0051】
他方、用紙への印字タイミングよりやや早めに、用紙取出ローラ31が回転して給紙カセット30に収容されている用紙を取り出す。この給紙カセット30から取り出された用紙の最上部の一枚のみを送り出すべく下方の用紙の連れ送りを禁止するために捌きローラ33が逆方向に回転する。給送ローラ32は、順方向に回転して用紙を待機搬送ローラ対34へ給送する。
【0052】
待機搬送ローラ対34は、回転を一時停止して用紙の進行を制止し、用紙の斜行等の搬送姿勢を補正して、搬送タイミングを待機し、用紙の印字開始位置が、転写ベルト8により二次転写位置へ搬送されてくる4色のトナー像の先端と一致するタイミングに合わせて、用紙の搬送を再開し、用紙を二次転写位置へ給送する。
【0053】
二次転写位置において、二次転写ローラ26は、不図示のバイアス電源から供給されるバイアス電圧を用紙に印加する。これにより、転写ベルト8上の4色のトナー像が用紙に二次転写される。
【0054】
4色のトナー像を転写された用紙は、そのまま定着装置6に搬入される。定着装置6は、発熱ローラ、熱伝導ベルト、定着ローラ、加圧ローラを備えており、定着ローラと加圧ローラにより適宜の圧力で熱伝導ベルトを介して用紙を押圧挟持し、用紙に熱と圧力を加えて4色のトナー像を紙面に定着させ、用紙を上方へ排出する。
【0055】
定着装置6から排出された用紙は、搬送ローラ対36により挟持されて搬送を引き継がれ、排紙ローラ対38によって排紙トレイ37上に、4色のトナー像による画像形成面を下にして排出される。
【0056】
上記はカラー印字について述べたが、モノクロ印字については、転写ベルト8が、画像形成ユニット9kの感光体ドラム10aのみに接触し、他の感光体ドラム10aから離れる位置に移動する点と、画像形成ユニット9kのみが稼動される点を除けば、他の動作は上述したカラー印字の場合とほぼ同一である。
【0057】
また、両面印刷の場合は、上記のようにして、第1面(表面)にトナー像を形成され、定着装置6で紙面にトナー像を定着された用紙は、排紙ローラ対38によって、途中まで排紙トレー37上に排紙される。
【0058】
そして、用紙の後端が、返送開始路39aとの分岐点に来たタイミングで搬送が停止され、続いて、排紙ローラ対38が逆方向に回転する。これにより、用紙はそれまでの後端を先端にして返送開始路39aに搬入される。
【0059】
続いて、用紙は、返送ローラ対41a〜41dにより搬送され、返送終端路39cで表裏を反転させて待機搬送ローラ対34に給送される。これにより、二次転写部において、前後表裏を反転させた用紙の第2面(裏面)にトナー像が二次転写される。以後の動作は上述したカラー印字の場合と同一である。
【0060】
図2は、上記構成のプリンタ1における画像形成部2、転写ベルトユニット3、廃トナー回収容器29、及び廃トナー搬送ユニット42の組み付け構成をそのまま取り出して示す正面斜視図である。なお、
図2では、廃トナー搬送ユニット42は装置本体1の後部に配置されているため後述するベルト廃トナー縦搬送路63のみが僅かに見えている。
【0061】
図2に示す各ユニットは、
図1に示した装置本体1の不図示の前扉を開けて、画像形成部2は矢印bで示すように各画像形成ユニット9y、9m、9c、9kごとに単独で前方に取り出すことができる。転写ベルトユニット3も矢印cで示すように前方に取り出すことができ、廃トナー回収容器29も矢印dで示すように前方に取り出すことができる。
【0062】
図3(a)は、
図2に示した各ユニットの組み付け構成を背後から見た斜視図であり、
図3(b)は廃トナー搬送ユニット42の背面カバー43と、ベルトクリーナ27の筐体44と、廃トナー回収容器29の筐体上部45を取り除き、廃トナー回収容器29の筐体底部46を横に引き出して、廃トナー搬送系の内部構成を示す斜視図である。
【0063】
図3(a)(b)に示す廃トナー回収容器29は、前述したように、装置本体1に対し前方向(
図3(a)の斜め右上方向)から着脱自在に組み込まれている。この廃トナー回収容器29は、水平方向に直方形に形成された筐体底部46を有している。
【0064】
更に、廃トナー回収容器29は、筐体底部46に連設され、筐体底部46の短手方向を二分する一方(
図3(a)で右方)の位置に長手方向に形成された本体部47と、筐体底部46の短手方向を二分する他方(
図3(a)で左方)の位置に長手方向に本体部47よりも低く形成された張出部48を有している。
【0065】
本体部47と張出部48は、前述した筐体上部45を形成している。そして、筐体上部45と筐体底部46とで筐体外殻部49を形成している。筐体外殻部49の内部は、
図3(b)に示すように、本体部47と張出部48の内部空間は一体となっている。
【0066】
本体部47の上面は、一端(
図3(a)では手前側)に形成された低位部51と低位部51に連続して上方に延びる傾斜部52を有し、傾斜部52は、その中間までを張出部48と共有されている。
【0067】
本体部47は、上記傾斜部52の張出部48との共有部より更に延び出す傾斜部52と、この傾斜部52に連続する第1の平面部53と、この第1の平面部53から立ち上がる段差部54と、この段差部54から長手方向の他端まで連続する第2の平面部55を有している。
【0068】
上記第2の平面部55には取っ手56が配設されている。上記第1の平面部53は本体部47の長手方向のほぼ1/3の位置となる中間部に形成されており、ここに、トナー被検知部57が配設されている。
【0069】
このトナー被検知部57は、段差部54から筐体外殻部49の内部空間に開口部を有する透明な筒状体からなっている。このトナー被検知部57は、筐体外殻部49が装着部に装着されたとき、装置本体1のフレームに配置された後述する光学センサ50の発光部と受光部との間に筒状体が配置されるようになっている。
【0070】
また、上記の張出部48の低位部51には、廃トナー入口58が形成されている。廃トナー入口58には、図では定かに見えないが、シャッタが配設されており、開閉ピン59に係合し、筐体外殻部49が装着部に着脱される際、着脱動作に開閉ピン59が連動してシャッタを自動的に開閉する。
【0071】
上述した廃トナー回収容器29の形状を更に説明すれば、装着方向の前後に長く、短手方向の断面がL字型をした容器であるということができる。
図3(a)に示すように、L字型(
図3(a)では逆L字型になる)の低位部は、転写ベルトユニット3の図の右方下部と画像形成ユニット9の横配置余白部分に入り込むように形成されている。
【0072】
これにより、プリンタ1内の空間を有効に使用して廃トナーを回収する内容量を可及的に増大させている。また、このように特異な形状でありながら、搬送スクリューを低位置の隅から高位置の隅まで横に斜め且つ縦に斜めに配置したので、廃トナーを無駄なく搬送することができる。
【0073】
一方、装置本体1の廃トナー搬送系は、廃トナー搬送ユニット42で構成される。廃トナー搬送ユニット42は、背面カバー43の形状に示すように、横搬送路61とドラム廃トナー縦搬送路62及びベルト廃トナー縦搬送路63とで構成される。
【0074】
ドラム廃トナー縦搬送路62は、4個の画像形成ユニット9に対応して4経路形成されている。各ドラム廃トナー縦搬送路62は、
図3(b)に示すように、ドラムユニット10のクリーな11のドラムクリーナ排出口64から排出される廃トナーを自重で落下させ横搬送路61に排出する。
【0075】
横搬送路61には搬送スクリュー65が内蔵されている。搬送スクリュー65は、そのスクリュー軸の外端部に固設されて装置本体1の駆動系に係合するギア60により回転駆動されて、ドラム廃トナー縦搬送路62から落下してくる廃トナーを矢印eで示すように横搬送路排出口66まで搬送する。
【0076】
この横搬送路排出口66の上流側近傍に、ベルト廃トナー縦搬送路63の下端部が開口している。ベルト廃トナー縦搬送路63は、ベルトクリーナ27のベルトクリーナ排出口67から排出される廃トナーを自重で落下させ横搬送路61に排出する。
【0077】
ベルトクリーナ27は、
図3(b)に示すように、搬送スクリュー68を内蔵している。搬送スクリュー68は、クリーニングブレード28が、転写ベルト8の面から除去した廃トナーをベルトクリーナ排出口67まで矢印fで示すように搬送してベルト廃トナー縦搬送路63に排出する。
【0078】
上記の横搬送路排出口66は、
図3(a)に示す廃トナー回収容器29の廃トナー入口58に係合する。廃トナー回収容器29の内部には、
図3(b)に示すように、
図3(a)の廃トナー入口58の近傍から本体部47の長手方向の他端まで延在する回転シャフト69が配設されている。
【0079】
この回転シャフト69には、廃トナー入口58の近傍に位置する端部から、回転シャフト69の所定の位置まで回転シャフト69に固設された搬送スクリュー71を有している。また、回転シャフト69の廃トナー入口58の近傍から筐体外殻部49を貫通して外部に出る外端部には装置本体1の駆動系に係合するギア72が固設されている。
【0080】
図4(a)は、
図3(a)に示す廃トナー回収容器29のみを取り出して斜め後方側面から一部を透視的に示す外観斜視図であり、
図4(b)は
図4(a)を矢印h方向から見た側断面図である。
【0081】
ただし、
図4(b)は、本発明の内部隔壁が無い場合の不具合を説明する図である。また、
図4(b)には(
図5(a)、
図6(a)〜(d)も同様)、これまでの説明で図示を省略してきた光学センサ50の配置位置を破線で示している。光学センサ50は発光部と受光部が、トナー被検知部57の筒状体を両側か挟むように配置されている。
【0082】
なお、
図4(a),(b)には、
図1ないし
図3と同一の構成部分には
図1ないし
図3と同一の番号を付与して示している。また、
図4(a)については、付与されている番号に基づいて
図3(a),(b)を参照するものとし、ここでの説明は省略する。
【0083】
図4(b)において、ギア72が図を省略した装置本体1の駆動系に係合して回転駆動されることにより、搬送スクリュー71が回転シャフト69と共に回転し、廃トナー入口58に、廃トナー搬送系の横搬送路61から矢印jで示すように送り込まれてくる廃トナーTnを廃トナー回収容器29の内部へと搬送する。
【0084】
廃トナーTnは、筐体外殻部49が形成する内部空間73において、先ず廃トナー入口58に近い方から奥方向中央近傍の底部までの低い領域Aに積層される。搬送スクリュー71による搬送が続いて、次に廃トナーTnは領域Aの上に滞留し搬送スクリュー71を覆う領域Bまで積層される。
【0085】
この廃トナーの積層される範囲は、更に領域Cから領域Dと山形をなして拡大して積層され、内部空間73の廃トナー入口58の反対側端部に大きく空間が空いた状態で、領域Dへの積み重なった廃トナーTnの最上部がトナー被検知部57の内部に入り込む。これにより、外部のセンサにより廃トナーが満杯であるとして検知信号が出力されるという不具合が発生する。
【0086】
図5(a)は本発明の実施例1に係る廃トナー回収容器29の内部構成を示す側断面図であり、同図(b)はその隔壁とトナー送出口とシャフト挿通部の構成を廃トナー入口58側から見た斜視図、同図(c)は同じく隔壁とトナー送出口とシャフト挿通部の構成を筐体外殻部49の長手方向の、廃トナー入口58側の端部を一端側とした場合の他端側から見た斜視図である。
【0087】
図5(a)に示すように、本例の廃トナー回収容器29は、筐体外殻部49の長手方向の一端から他端までの間で、内部空間73を三分する第1の隔壁75と第2の隔壁76が設けられている。これら第1の隔壁75及び第2の隔壁76によって、内部空間73には、第1の内部空間77、第2の内部空間78、及び第3の内部空間79が形成されている。
【0088】
図5(a),(b),(c)に示すように、第1の隔壁75には格子状の第1のトナー送出口81が設けられている。また第2の隔壁76には、これも格子状の第2のトナー送出口82が設けられている。そして、第1のトナー送出口81には、第1の逆流防止バルブ83が配設されている。
【0089】
また、第2のトナー送出口82には、第2の逆流防止バルブ84が配設されている。また、第1のトナー送出口81には、格子と格子の境目に第1のシャフト挿通部85が形成され、第2のトナー送出口82には、格子と格子の境目に第2のシャフト挿通部86が形成されている。
【0090】
上記2つの隔壁の廃トナー送出口にそれぞれ配設された第1及び第2の逆流防止バルブ83及び84には、トナー送出口の格子状の格子に一致するように切れ目が形成されている。これにより、トナー送出口から送出される廃トナーの圧力に容易に順応して屈曲すると共に、逆流しようとする廃トナーの逆流を防止する。
【0091】
図5(a)に示す回転シャフト69は、上記の第1のシャフト挿通部85と第2のシャフト挿通部86に挿通されて、廃トナー入口58の下部近傍から本体部47の長手方向の他端まで延在して配設されている。
【0092】
図6(a)〜(d)は上記構成の本例の廃トナー回収容器29における廃トナー回収の動作を説明する動作状態図である。なお、
図6(a)〜(d)には、
図5(a)と同一の構成部分には
図5(a)と同一の番号を付与して示している。
【0093】
図6(a)において、前述したように、回転シャフト69は、筐体外殻部49が装着部に装着されたとき外部駆動系に係合して回転駆動される被駆動係合部としてのギア72を外端部に備えている。
【0094】
回転シャフト69が回転駆動されると、回転シャフト69と共に搬送スクリュー71が廃トナーThを搬入(回収)する方向に回転して、廃トナー入口58から入る廃トナーTnを、廃トナー入口58と第1の隔壁75の間の第1の内部空間77の中に搬送する。
【0095】
搬送スクリュー71は、廃トナー入口58方向に第1の内部空間77を形成する第1の隔壁75まで形成されていて、そこから先は回転シャフト69のみである。したがて、最初のうちは、廃トナーTnは搬送スクリュー71に沿って廃トナー入口58から第1の隔壁75までの間、すなわち第1の内部空間77の中に堆積する。
【0096】
そして、第1の内部空間77が廃トナーTnで満杯になると、
図6(b)に示すように、廃トナーTnは、第1の隔壁75の第1のトナー送出口81から第2の内部空間78に送出される。
【0097】
その後、第2の内部空間78における廃トナーTnの高さが、
図6(b)に示すように、第2の隔壁76の第2のトナー送出口82の高さ以上になると、
図6(c)に示すように、廃トナーTnは第2のトナー送出口82から第3の内部空間79に送出される。
【0098】
そして、第3の内部空間79が廃トナーTnで満杯になっても、第2のトナー送出口82には、第2の逆流防止バルブ84があるため第3の内部空間79の廃トナーTnが第2の内部空間78に逆流することはない。
【0099】
その後は、第3の内部空間79が廃トナーTnで満杯であるので、廃トナー入口58から第1の隔壁75の第1のトナー送出口81を介して第2の内部空間78に送り込まれるTnは、
図6(d)に示すように、第2の内部空間78に積み増しされる。
【0100】
この第2の内部空間78への廃トナーTnの積み増しは、
図6(d)に示すように、積み上がった第2の内部空間78内の廃トナーTnが、トナー被検知部57に到達して、トナー被検知部57の開口部からトナー被検知部57の筒状体内部に侵入し、外部のセンサにより筒状体内部の廃トナーTnが検知されるまで、続行される。
【0101】
このように、短手方向の断面がL字型の特異な形状でありながら、廃トナーを満杯になるまで回収することができる。これは、一つには、搬送スクリューの配置を筐体内部の途中までとしたことで、廃トナーの山崩しの構成が出来、廃トナーをボックス内へ均一に馴らすことが可能となったことによる。
【0102】
また、他の一つとして、廃トナー筐体内に3つの内部空間を設けたことにより効率良く順次廃トナーを搬送する搬送性の効率化を確立することが可能となったことによる。更には、3つの内部空間の隔壁に廃トナー逆流防止バルブを設けたことにより、誤操作による満杯の誤検知を防止できる構成を取ることが出来たことによる。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0104】
廃トナーを廃トナー入り口から内部に回収する筐体本体と、
前記筐体本体の内部の廃トナーが被検知可能な廃トナー被検知部と、
を備え、
前記筐体本体は、
前記筐体本体の内部には内部空間を少なくとも二分して複数の分割内部空間を形成するとともに、互いに隣接する分割内部空間を連通させる廃トナー送出口が設けられている少なくとも1つの隔壁と、
前記内部の廃トナーを搬送する搬送部材と、
を有し、
前記廃トナー被検知部は、前記廃トナー入り口が設けられている側の前記分割内部空間以外の前記分割内部空間と連通する開口部を有する、
ことを特徴とする廃トナー回収容器。
[付記2]
【0105】
前記廃トナー被検知部は、前記開口部を介して前記分割内部空間から搬入された廃トナーが外部から視認可能な透明な部材からなる視認部が設けられていることを特徴とする付記1に記載の廃トナー回収容器。
[付記3]
【0106】
前記搬送部材は、
前記廃トナー入口の近傍から少なくとも1つの前記隔壁まで延在する回転シャフトと、
前記廃トナー入口の近傍に位置する端部から前記回転シャフトの少なくとも1つの前記隔壁の位置まで該回転シャフトに固設された搬送スクリューと、
を有することを特徴とする付記1または2に記載の廃トナー回収容器。
[付記4]
【0107】
前記隔壁は、
前記廃トナー送出口に設けられた逆流防止バルブと、
前記回転シャフトが挿通されるシャフト挿通部と、
を有することを特徴とする付記3に記載の廃トナー回収容器。
[付記5]
【0108】
前記回転シャフトは前記筐体本体の外部の駆動系に係合して回転駆動される被駆動係合部を有し、
前記搬送スクリューは、
前記回転シャフトと共に回転して前記廃トナー入口から入る廃トナーを搬送し、
前記廃トナーが前記分割内部空間内に満杯になると該廃トナーを前記廃トナー送出口から前記隔壁で隔てられた前記廃トナー入り口が設けられている側とは異なる側に隣接する前記分割内部空間に送出し、
前記廃トナーが前記開口部を介して前記廃トナー被検知部に到達するまで前記廃トナーの積み増しを続行する、
ことを特徴とする付記3または4に記載の廃トナー回収容器。
[付記6]
【0109】
前記筐体本体は、画像形成装置の装着部に着脱自在に装着されることを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の廃トナー回収容器。
[付記7]
【0110】
前記筐体本体は、
底面部が直方形であり、
短手方向を二分する一方の位置に長手方向に形成された本体部と前記短手方向を二分する他方の位置に前記長手方向に前記本体部よりも低く形成された張出部とからなり前記内部空間が一体であり、
前記本体部は、前記長手方向の前記廃トナー入り口が設けられている側の一端に形成された低位部と該低位部に連続して上方に延びる傾斜部の中間までを前記張出部と共有し、該共有部より更に延び出す傾斜部と該傾斜部に連続し前記筐体本体の前記廃トナー入り口が設けられている側の前記分割内部空間に対応する上面側に形成された第1の平面部と、該第1の平面部から立ち上がり且つ前記廃トナー被検知部と連通する前記開口部を有する段差部と、前記筐体本体の前記廃トナー入り口が設けられている側の前記分割内部空間に隣接する前記分割内部空間に対応する上面側に形成された第2の平面部と、を有し、
前記廃トナー入口は、前記張出部の領域における前記低位部に形成されていることを特徴とする付記1乃至6のいずれかに記載の廃トナー回収容器。
[付記8]
【0111】
付記1乃至7のいずれか1項に記載の廃トナー回収容器を使用して廃トナーを回収することを特徴とする廃トナー回収方法。
[付記9]
【0112】
付記1乃至7のいずれか1項に記載の廃トナー回収容器を使用して廃トナーを回収することを特徴とする画像形成装置。