特許第6149732号(P6149732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6149732
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】空気ばね
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/32 20060101AFI20170612BHJP
   F16F 9/05 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   F16F9/32 V
   F16F9/05
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-555702(P2013-555702)
(86)(22)【出願日】2013年4月1日
(86)【国際出願番号】JP2013059920
(87)【国際公開番号】WO2014020942
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2015年11月24日
(31)【優先権主張番号】特願2012-168223(P2012-168223)
(32)【優先日】2012年7月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦 康彦
(72)【発明者】
【氏名】原口 浩一
(72)【発明者】
【氏名】澤 隆之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 淳
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−138905(JP,A)
【文献】 特開平11−351307(JP,A)
【文献】 特開2012−72825(JP,A)
【文献】 特開2007−321936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00−9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1支持部材と、
前記第1支持部材から見て主荷重方向に間隔をおいて配置される第2支持部材と、
前記第1支持部材と前記第2支持部材とを接続することにより閉鎖空間を形成し、弾性変形可能なゴムからなるダイアフラムとを備え、
前記ダイアフラムの一端および他端は、それぞれ前記第1支持部材および前記第2支持部材により支持されており、
前記第1支持部材および前記第2支持部材の少なくとも一の部材において、前記ダイアフラムとの接続部を構成する材料の弾性率は、前記ダイアフラムを構成する前記ゴムの弾性率よりも大きく、アルミニウムの弾性率よりも小さい、空気ばね。
【請求項2】
前記少なくとも一の部材において、前記接続部を構成する材料の弾性率は、1GPa以上40GPa以下となっている、請求項1に記載の空気ばね。
【請求項3】
前記接続部は、FRPから構成されている、請求項2に記載の空気ばね。
【請求項4】
前記接続部を構成するFRPは、プレス成型品である、請求項3に記載の空気ばね。
【請求項5】
前記少なくとも一の部材は、前記接続部と、単位体積当たりの質量が前記接続部よりも小さい軽量化部とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気ばね。
【請求項6】
前記軽量化部は、ハニカム状構造物から構成されている、請求項5に記載の空気ばね。
【請求項7】
前記軽量化部は、発泡体から構成されている、請求項5に記載の空気ばね。
【請求項8】
前記軽量化部は、エンジニアリングプラスチックから構成されている、請求項5に記載の空気ばね。
【請求項9】
前記接続部は、CFRP以外のFRPから構成されており、
前記軽量化部は、CFRPから構成されている、請求項5〜8のいずれか1項に記載の空気ばね。
【請求項10】
前記少なくとも一の部材は、前記接続部と、前記接続部よりも弾性率が大きい材料からなる補強部とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気ばね。
【請求項11】
前記第1支持部材の前記第2支持部材に対向する面および前記第2支持部材の前記第1支持部材に対向する面の少なくとも一の面上には、金属から構成される部材が配置されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の空気ばね。
【請求項12】
前記第1支持部材の前記第2支持部材に対向する面および前記第2支持部材の前記第1支持部材に対向する面の少なくとも一の面上には、樹脂から構成される部材が配置されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の空気ばね。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気ばねに関するものであり、より特定的には、ダイアフラムの空気漏れを抑制することが可能な空気ばねに関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両においては、走行時に車体に負荷される衝撃や振動を軽減するため、車体と台車との間に空気ばねが配置される。空気ばねは、車体側に接続される上面板と、台車側に配置される下面板と、上面板と下面板とを接続するように配置されるゴム製のダイアフラムなどを主に備え、ダイアフラムが弾性変形することにより車両走行時の衝撃や振動を軽減することができる。また、上面板あるいは下面板などの部材を構成する材料としては、これらの部材の耐摩耗性や強度を確保する観点から、たとえばアルミニウムや鉄などの金属が主に採用されている(たとえば、特開2009−138905号公報(特許文献1)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−138905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上面板や下面板を構成する材料としてアルミニウムや鉄などの金属を採用する場合、当該構成材料とダイアフラムを構成するゴムとの弾性率の差が大きくなる(アルミニウム:約70GPa、鉄:約200GPa、ゴム:約0.1GPa)。そのため、たとえばダイアフラムが大きく変形する場合には、当該弾性率の差に起因して上面板とダイアフラムや下面板とダイアフラムとの接触部において隙間が形成され易く、その結果ダイアフラムの空気漏れが生じるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ダイアフラムの空気漏れを抑制することが可能な空気ばねを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の空気ばねは、第1支持部材と、第1支持部材から見て主荷重方向に間隔をおいて配置される第2支持部材と、第1支持部材と第2支持部材とを接続することにより閉鎖空間を形成し、弾性変形可能なゴムからなるダイアフラムとを備えている。第1支持部材および第2支持部材の少なくとも一の部材において、ダイアフラムとの接続部を構成する材料の弾性率は、ダイアフラムを構成するゴムの弾性率よりも大きく、アルミニウムの弾性率よりも小さくなっている。
【0007】
本発明の空気ばねでは、第1支持部材および/または第2支持部材において、ダイアフラムとの接続部を構成する材料の弾性率が上記の通りであるため、当該接続部が鉄やアルミニウムから構成される場合に比べて、当該接続部を構成する材料とダイアフラムを構成するゴムとの弾性率の差がより小さくなっている。そのため、第1支持部材とダイアフラムおよび/または第2支持部材とダイアフラムとの接続部において、当該弾性率の差に起因した隙間の形成を抑制することができる。したがって、本発明の空気ばねによれば、ダイアフラムの空気漏れを抑制することが可能な空気ばねを提供することができる。
【0008】
上記空気ばねでは、上記少なくとも一の部材において、接続部を構成する材料の弾性率は、1GPa以上40GPa以下となっていてもよい。
【0009】
これにより、第1支持部材とダイアフラムおよび/または第2支持部材とダイアフラムとの接続部における隙間の形成をより効果的に抑制することができる。その結果、ダイアフラムの空気漏れをより効果的に抑制することができる。
【0010】
上記空気ばねにおいて、接続部は、FRPから構成されていてもよい。これにより、空気ばねをより軽量化することができる。
【0011】
上記空気ばねにおいて、接続部を構成するFRPは、プレス成形法により形成されていてもよい。これにより、当該接続部を含む第1支持部材および/または第2支持部材の加工性をより向上させることができる。
【0012】
上記空気ばねにおいて、上記少なくとも一の部材は、接続部と、単位体積当たりの質量が接続部よりも小さい軽量化部とを含んでいてもよい。これにより、空気ばねをさらに軽量化することができる。
【0013】
上記空気ばねにおいて、軽量化部は、ハニカム状構造物から構成されていてもよい。また、軽量化部は、発泡体から構成されていてもよい。また、軽量化部は、FRPを除いたエンジニアリングプラスチックから構成されていてもよい。これにより、空気ばねの軽量化がより容易になる。
【0014】
上記空気ばねにおいて、接続部は、CFRP以外のFRPから構成されていてもよい。そして、軽量化部は、CFRPから構成されていてもよい。これにより、空気ばねを一層軽量化することができる。
【0015】
上記空気ばねにおいて、上記少なくとも一の部材は、接続部と、接続部よりも弾性率が大きい材料からなる補強部とを含んでいてもよい。これにより、ダイアフラムの空気漏れを抑制しつつ、空気ばねの強度をより向上させることができる。
【0016】
上記空気ばねにおいて、第1支持部材の第2支持部材に対向する面および第2支持部材の第1支持部材に対向する面の少なくとも一の面上には、金属から構成される部材が配置されていてもよい。これにより、デフレート時やローリング走行時に第1支持部材と第2支持部材とが接触する場合における第1支持部材および/または第2支持部材の耐摩耗性をより向上させることができる。また、第1支持部材および/または第2支持部材の強度をより向上させることができる。なお、デフレートとは、パンク状態のことを意味し、空気ばねのダイアフラムから空気が排気された状態を意味する。
【0017】
上記空気ばねにおいて、第1支持部材の第2支持部材に対向する面および第2支持部材の第1支持部材に対向する面の少なくとも一の面上には、樹脂から構成される部材が配置されていてもよい。これにより、デフレート時に第1支持部材と第2支持部材とが接触する場合における第1支持部材と第2支持部材との摺動特性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明から明らかなように、本発明の空気ばねによれば、ダイアフラムの空気漏れを抑制することが可能な空気ばねを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】空気ばねの構造を示す概略図である。
図2】下面板の構造を示す概略平面図である。
図3】下面板の構造を示す概略断面図である。
図4】他の下面板の構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0021】
まず、本発明の一実施の形態の空気ばねの構造について説明する。図1を参照して、本実施の形態の空気ばね1は、第1支持部材としての上面板10と、第2支持部材としての下面板20と、ゴム下板30と、積層ゴム40と、ダイアフラム50とを主に備えている。
【0022】
上面板10の中心軸を含む領域には、下面板20側とは反対側に突出する車体側スピゴット11が形成されている。車体側スピゴット11の外周部には、Oリング12が取り付けられている。上面板10は、車体側スピゴット11を介して車体側(図示しない)に接続される。
【0023】
下面板20は、上面板10から見て主荷重方向に間隔をおいて配置されている。下面板20の上面板10に対向する面20a上には、たとえば金属あるいは樹脂から構成される摺動部材21が配置されている。また、摺動部材21は、上面板10の下面板20に対向する面10aおよび下面板20の上面板10に対向する面20aの少なくとも一の面上に配置されていればよく、面10a上に配置されていてもよいし、面10aおよび面20aのそれぞれの面上に配置されていてもよい。
【0024】
ダイアフラム50は、弾性変形が可能なゴムから構成され、上面板10と下面板20とを接続することにより閉鎖空間を形成する。より具体的には、ダイアフラム50の両端は、上面板10および下面板20によりそれぞれ支持される。これにより、ダイアフラム50、上面板10および下面板20は閉鎖空間を形成する。
【0025】
上面板10および下面板20の少なくとも一の部材において、ダイアフラム50との接続部を構成する材料の弾性率は、ダイアフラム50を構成するゴムの弾性率よりも大きくアルミニウムの弾性率よりも小さくなっている。より具体的には、当該接続部を構成する材料の弾性率は1GPa以上40GPa以下となっており、当該接続部は弾性率が約10GPaの繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)から構成されている。また、当該接続部を構成するFRPは、たとえばSMC(Sheet Molding Conpound)法またはBMC(Bulk Molding Compound)法により形成されている。本実施の形態では、上面板10および下面板20におけるダイアフラム50との接続部がFRPから構成されている。より具体的には、上面板10においては当該接続部を含む上面板10全体がFRPから構成されており、下面板20においては当該接続部としての本体部22がFRPから構成されている。なお、本実施の形態のように上面板10および下面板20におけるダイアフラム50との接続部がFRPから構成される場合に限られず、上面板10および下面板20のいずれか一の部材におけるダイアフラム50との接続部がFRPから構成されていてもよい。また、上面板10および下面板20のうちダイアフラム50との接続部がFRPから構成される一の部材とは別の部材は、たとえば鉄やアルミニウムなどの金属から構成されていてもよい。また、上面板10および下面板20のダイアフラムとの接続部の構成材料としては、部材の軽量化の観点からはFRPを採用することが好ましく、部材の強度向上の観点からは鉄やアルミニウムなどの金属を採用することが好ましい。
【0026】
図2および図3を参照して、下面板20の構造について詳細に説明する。図3において、図3中の点線に示す中心線より右側図は、下面板20の図2中線分III−IIIに沿った断面を部分的に示し、当該中心線より左側図は、下面板20の図2中線分III’−III’に沿った断面を部分的に示している。下面板20は、FRPから構成される本体部22と、軽量化部23とを含んでいる。軽量化部23は、下面板20を軽量化するために本体部22を部分的に肉抜きし、さらに補強のためにFRPとは別の材料を入れ込んだ部分であり、単位体積当たりの質量が本体部22よりも小さくなっている。軽量化部23は、たとえばアラミドハニカムまたはペーパーハニカムなどのハニカム材料、プラスチック発泡体またはカーボン発泡体などの発泡材料、あるいはエンジニアリングプラスチックなどから構成されている。また、下面板20においては、本体部22がCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)以外のFRPから構成されていてもよい。そして、軽量化部23がCFRPから構成されていてもよい。また、上面板10および下面板20の少なくとも一の部材が本体部22と軽量化部23とを含んでいればよく、たとえば上面板10が本体部22と軽量化部23とを含んでいてもよく、また上面板10および下面板20が本体部22と軽量化部23とを含んでいてもよい。また、下面板20は、軽量化部23を含まず、下面板20を軽量化するために本体部22を部分的に除去した(肉抜きにした)構造を有していてもよい。
【0027】
図1を参照して、積層ゴム40は、下面板20から見て上面板10とは反対側に配置されている。積層ゴム40は、金属などからなる硬質層41およびゴムなどからなる弾性層42を複数有し、硬質層41と弾性層42とが主荷重方向において交互に積層された構造を有している。積層ゴム40は、複数の弾性層42を有することにより、弾性変形が可能となっている。また、積層ゴム40の中心には中空部が形成されている。
【0028】
ゴム下板30は、下面板20から見て上面板10とは反対側において積層ゴム40と接触して配置されている。ゴム下板30の中心軸を含む領域には、積層ゴム40側とは反対側に突出する台車側スピゴット31が形成されている。すなわち、ゴム下板30には、ゴム下板30の中心軸を含むように突出する小径部としての台車側スピゴット31が取り付けられている。台車側スピゴット31の外周部には、Oリング32が取り付けられている。ゴム下板30は、台車側スピゴット31を介して、台車(図示しない)側に接続される。そして、空気ばね1は、ゴム下板30の支持面30aにおいて、車体(図示しない)を台車(図示しない)に対して支持する。ゴム下板30は、部材の強度向上の観点からは鉄やアルミニウムなどの金属から構成されることが好ましく、また部材の軽量化の観点からはFRPなどから構成されることが好ましい。
【0029】
以上のように、本実施の形態の空気ばね1では、上面板10および下面板20において、ダイアフラム50との接続部を構成する材料の弾性率が、ダイアフラム50を構成するゴムの弾性率よりも大きく、アルミニウムの弾性率よりも小さくなっている。そのため、当該接続部が鉄やアルミニウムから構成される場合に比べて、当該接続部を構成する材料とダイアフラム50を構成するゴムとの弾性率の差がより小さくなっており、上面板10とダイアフラム50および下面板20とダイアフラム50との接続部において、当該弾性率の差に起因した隙間の形成を抑制することができる。したがって、本実施の形態の空気ばね1によれば、ダイアフラム50の空気漏れを抑制することができる。
【0030】
また、上述のように、本実施の形態の空気ばね1では、上面板10および下面板20において、ダイアフラム50との接続部を構成する材料の弾性率が、1GPa以上40GPa以下となっていてもよい。これにより、上面板10とダイアフラム50および下面板20とダイアフラム50との接続部における隙間の形成をより効果的に抑制することができる。その結果、ダイアフラム50の空気漏れをより効果的に抑制することができる。
【0031】
また、上述のように、本実施の形態の空気ばね1では、上面板10および下面板20において、ダイアフラム50との接続部はFRPから構成されていてもよい。空気ばねにおいては、車両の高速化や省エネルギー化のために部品を軽量化する必要があるため、上面板10や下面板20を構成する材料として軽量な材料を採用する必要がある。この構成材料としては、たとえばアルミニウムや鉄よりも比重が小さいマグネシウムを採用することも可能であるが、加工性が悪いために部材の製造コストが増大するという問題がある。これに対して、本実施の形態の空気ばね1では、マグネシウムと同等の比重を有し、より加工性に優れたFRPをダイアフラム50との接続部を構成する材料として採用することにより、部品の加工性を悪化させることなく空気ばねをより軽量化することができる。
【0032】
また、上述のように、本実施の形態の空気ばね1では、上面板10および下面板20において、ダイアフラム50との接続部を構成するFRPは、SMC法またはBMC法により形成されていてもよいが、これに限定されるものではない。すなわち、本実施の形態の空気ばね1では、上面板10および下面板20において、ダイアフラム50との接続部を構成するFRPは、プレス成形法により形成されていればよい。これにより、当該接続部を含む上面板10および下面板20の加工性をより向上させることができる。
【0033】
また、上述のように、本実施の形態の空気ばね1では、下面板20は、FRPから構成されるダイアフラム50との接続部としての本体部22と、単位体積当たりの質量が本体部22よりも小さい軽量化部23とを含んでいてもよい。これにより、空気ばねをさらに軽量化することができる。
【0034】
また、上述のように、本実施の形態の空気ばね1では、下面板20の軽量化部23は、アラミドハニカムまたはペーパーハニカムから構成されていてもよいが、これに限定されるものではない。すなわち、本実施の形態の空気ばね1では、下面板20の軽量化部23は、ハニカム状構造物から構成されていればよい。また、軽量化部23は、プラスチック発泡体またはカーボン発泡体から構成されていてもよいが、これに限定されるものではない。すなわち、本実施の形態の空気ばね1では、軽量化部23は、発泡体から構成されていればよい。また、軽量化部23は、エンジニアリングプラスチックから構成されていてもよい。このような材料を軽量化部23の構成材料として採用することにより、空気ばねの軽量化がより容易になる。
【0035】
また、上述のように、本実施の形態の空気ばね1では、下面板20の本体部22は、CFRP以外のFRPから構成されていてもよい。そして、軽量化部23は、CFRPから構成されていてもよい。これにより、空気ばねを一層軽量化することができる。
【0036】
また、上述のように、本実施の形態の空気ばね1では、下面板20の上面板10に対向する面20a上には、金属から構成される摺動部材21が配置されていてもよい。これにより、デフレート時に上面板10と下面板20とが接触する場合における下面板20の耐摩耗性をより向上させることができる。また、下面板20の強度をより向上させることができる。
【0037】
また、上述のように、本実施の形態の空気ばね1では、下面板20の上面板10に対向する面20a上には、樹脂から構成される摺動部材21が配置されていてもよい。これにより、デフレート時に上面板10と下面板20とが接触する場合における上面板10と下面板20との潤滑特性をより向上させることができる。
【0038】
また、本実施の形態の空気ばね1において、下面板20は、本体部22と軽量化部23とを含む構成(図3参照)であってもよいが、これに限定されない。図4を参照して、下面板20A(第2支持部材)は、接続部としての本体部24と、当該本体部24よりも弾性率が大きい材料からなる補強部25とを含んでいてもよい。本体部24は、下面板20の場合と同様にFRPから構成されており、また補強部25は、たとえば鉄やアルミニウムなどの金属材料から構成されている。また、本体部24および補強部25は、円盤形状を有しており(補強部25の方が径が大きい)、中心軸を共有するように補強部25上に本体部24が配置されている。このように、ダイアフラムとの接続部である本体部24をFRPから構成することによりダイアフラムの空気漏れが抑制され、さらに補強部25を鉄やアルミニウムなどの金属材料から構成することにより下面板20Aの強度をより向上させることができる。
【0039】
また、補強部25は、上述のように鉄やアルミニウムなどの金属単体から構成されていてもよいが、これに限定されるものではない。補強部25は、たとえばFRPの中に鉄やアルミニウムなどの金属が埋め込まれて構成されていてもよい。また、補強部25は、たとえばFRPの表面(上面または下面、あるいは上面および下面)上に鉄やアルミニウムなどからなる薄い金属板(図示しない)が配置されて構成されていてもよい。この場合、当該金属板は、補強部25のFRPからなる部分と本体部24とを接続するように存在する。
【0040】
また、下面板20Aは、補強部25上に本体部24が配置された構成に限定されず、たとえばFRPからなる本体部が中空部を含む円板形状を有し、当該中空部内に金属材料からなる補強部が配置されていてもよい。
【0041】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の空気ばねは、ダイアフラムの空気漏れを抑制することが要求される空気ばねにおいて、特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0043】
1 空気ばね、10 上面板、10a,20a 面、11 車体側スピゴット、12,32 Oリング、20,20A 下面板、21 摺動部材、22,24 本体部、23 軽量化部、25 補強部、30 ゴム下板、30a 支持面、31 台車側スピゴット、40 積層ゴム、41 硬質層、42 弾性層、50 ダイアフラム。
図1
図2
図3
図4