特許第6149798号(P6149798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6149798
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】接続装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/68 20110101AFI20170612BHJP
   H01H 85/02 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   H01R13/68
   H01H85/02 S
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-100388(P2014-100388)
(22)【出願日】2014年5月14日
(65)【公開番号】特開2015-219968(P2015-219968A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2016年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 詩朗
(72)【発明者】
【氏名】林 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】西島 誠道
(72)【発明者】
【氏名】前川 文隆
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3051997(JP,U)
【文献】 実開昭60−081662(JP,U)
【文献】 特開2011−222398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/68
H01H 85/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸状に延伸するヒューズと、
前記ヒューズの前記延伸する方向の両端部に取り付けられた一対の端子と、
一端部が電気機器と接続され、他端部が電線と接続される第1の機器側接続部と、
一端部が電気機器と接続され、他端部が前記一対の端子の一方と接続されるとともに、その断面積が前記第1の機器側接続部のいずれの部位の断面積よりも大きい第2の機器側接続部と、
を備える接続装置。
【請求項2】
一端部が電線と接続され、他端部が前記一対の端子の他方と接続される電線側接続部を備え、
前記第2の機器側接続部は、その断面積が前記電線側接続部のいずれの部位の断面積よりも大きい、請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記第1の機器側接続部の一端部と前記第2の機器側接続部とがそれぞれ平板状である、請求項1又は請求項2に記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器側の端子と電線との間を接続する接続装置において、電線側に過電流が流れることを防止するため、内部に設けられた収容空間内にヒューズが収容されたものが知られている。このような接続装置の一例として、例えば特許文献1に記載のコネクタが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−222398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような接続装置では、ヒューズが自ら発熱し、この熱に起因して、ヒューズに接続された部材が溶損することがある。特に、接続装置が振動環境下に晒された場合、ヒューズからの熱がヒューズに接続された部材に伝わると、当該部材が溶損し易い。このため、このような接続装置では、ヒューズに接続された部材の放熱性を高めることが要求される。
【0005】
本明細書で開示される技術は、上記の課題に鑑みて創作されたものであって、ヒューズが収容された接続装置において、ヒューズに接続された部材の溶損を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される技術は、軸状に延伸するヒューズと、前記ヒューズの前記延伸する方向の両端部に取り付けられた一対の端子と、一端部が電気機器と接続され、他端部が電線と接続される第1の機器側接続部と、一端部が電気機器と接続され、他端部が前記一対の端子の一方と接続されるとともに、その断面積が前記第1の機器側接続部のいずれの部位の断面積よりも大きい第2の機器側接続部と、を備える接続装置に関する。
【0007】
ヒューズと接続された部材の放熱性は当該部材の断面積に比例する。上記の接続装置では、電気機器と接続される各部材のうち、一方の端子を介してヒューズと接続された第2の機器側接続部の断面積が、ヒューズと接続されない部材、即ち第1の機器側接続部の断面積よりも大きい。このため、ヒューズと接続されない第1の機器側接続部と比べて、端子を介してヒューズと接続された第2の機器側接続部の放熱性を高めることができる。その結果、ヒューズから伝わる熱が第2の機器側接続部から効果的に放熱され、ヒューズに接続された部材である第2の機器側接続部の溶損を抑制することができる。
【0008】
上記の接続装置において、一端部が電線と接続され、他端部が前記一対の端子の他方と接続される電線側接続部を備え、前記第2の機器側接続部は、その断面積が前記電線側接続部のいずれの部位の断面積よりも大きくてもよい。
【0009】
第2の機器側接続部と電線側接続部は、各端子を介してヒューズと接続されているので、仮に第2の機器側接続部の断面積と電線側接続部の断面積が略等しければ、ヒューズからの熱が第2の機器側接続部と電線側接続部との両者に分散することが想定される。そこで、電線側接続部の断面積を大きくすると、電線側接続部に接続される電線の断面積を大きくすることが必要となる。この場合、電線を引き回すために内部に十分なスペースが必要となるため、接続装置が全体として大型化することが懸念される。
【0010】
これに対し、上記の構成では、第2の機器側接続部の断面積が電線側接続部のいずれの部位の断面積よりも大きいので、ヒューズからの熱が、第2の機器側接続部と電線側接続部のうち、放熱性が高い側の部材、即ち第2の機器側接続部に伝わり易くなり、電線側接続部に伝わり難くなる。このため、電線側接続部の断面積を大きくすることなく、ヒューズからの熱の大部分を第2の機器側接続部において放熱させることができ、接続装置の小型化を図ることができる。
【0011】
上記の接続装置において、前記第1の機器側接続部の一端部と前記第2の機器側接続部とがそれぞれ平板状であってもよい。
【0012】
同じ断面積では、円柱状よりも平板状の方がその表面積が大きい。また、電気機器側に設けられる端子の設計上、電気機器と接続される第1の機器側接続部の一端部と第2の機器側接続部は、いずれも同形状であることが好ましい。上記の構成によると、第2の機器側接続部が円柱状である場合と比べて、ヒューズから伝わる熱の第2の機器側接続部からの放熱性を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本明細書で開示される技術によれば、ヒューズが収容された接続装置において、ヒューズに接続された部材の溶損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係る接続装置の斜視図
図2】接続装置に収容された各部材の端子を示す斜視図
図3】接続装置の正面図
図4図3におけるIV−IV断面の断面構成であって、接続装置の平断面図
図5図4におけるV−V断面の断面構成であって、接続装置のフード部の断面図
図6】実施形態2に係る接続装置の斜視図
図7】接続装置に収容された各部材の端子を示す斜視図
図8】接続装置の正面図
図9図8におけるIX−IX断面の断面構成であって、接続装置の平断面図
図10図9におけるX−X断面の断面構成であって、接続装置のフード部の断面図
図11】実施形態3に係る接続装置の斜視図
図12】接続装置の上側部分の平断面を示す斜視図
図13】接続装置の正面図
図14図13におけるXIV−XIV断面の断面構成であって、接続装置の平断面図
図15図14におけるXV−XV断面の断面構成であって、接続装置の機器側フード部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
図1から図5を参照して実施形態1を説明する。本実施形態では、インバータ等の電気機器(不図示)側に設けられた端子と電線(不図示)との間を接続する接続装置1を例示する。この接続装置1は、その内部に後述するヒューズ40が収容されており、電気機器側から電線側に過電流が流れることを防止する。以下では、電気機器側の端子との接続側、即ち図1図2における図面左下側、及び図4における図面左側を接続装置1の前方とし、電線との接続側、即ち図1図2における図面右上側、及び図4における図面右側を接続装置1の後方とする。また、図1図2における図面右下側、及び図4における下側を接続装置1の右方とし、図1図2における図面左上側、及び図4における上側を接続装置1の左方とする。
【0016】
接続装置1は、図1及び図2に示すように、ハウジング10と、前後方向に伸びる形で配され、その前端部側が電気機器側の端子と接続される金属製の一対の機器側接続部20,21と、前後方向に伸びる形で配され、その後端部側が電線と接続される円柱状(ピン状)の金属製の一対の電線側接続部30,31と、前後方向に沿って軸状に伸びる形で配されたヒューズ40と、ヒューズ40の前後方向における両端部に取り付けられた金属製の一対の端子50とを備えている。
【0017】
以下では、一対の機器側接続部20,21のうち、相対的に右側に配される機器側接続部を一方の機器側接続部(第2の機器側接続部の一例)20と称し、相対的に左側に配される機器側接続部を他方の機器側接続部(第1の機器側接続部の一例)21と称する。また、一対の電線側接続部30,31のうち、相対的に右側に配される電線側接続部を一方の電線側接続部(電線側接続部の一例)30と称し、相対的に左側に配される電線側接続部を他方の電線側接続部31と称する。接続装置1では、図2及び図3に示すように、一対の機器側接続部20,21のうち、一方の機器側接続部20が円柱状(ピン状)とされ、他方の機器側接続部21がその板面を左右方向に向けた平板状(タブ状)とされている。また、一対の電線側接続部のうち、他方の電線側接続部31の前端部は、平板状に加工されて板状部31Aとされている。
【0018】
ハウジング10は、図1及び図2に示すように、略円筒状の第1ハウジング部12と、第1ハウジング部12の左隣に設けられ、前後方向の寸法、及び左右方向の寸法が第1ハウジング部12よりも小さな略円筒状の第2ハウジング部14と、第1ハウジング部12及び第2ハウジング部14から前方に向かって横長の筒状に伸びるフード部16と、からなっている。
【0019】
第1ハウジング部12の内部には、図2及び図4に示すように、略円筒状の第1収容空間12Aが設けられている。この第1収容空間12Aには、ヒューズ40及び一対の端子50がそれぞれ収容されている。第2ハウジング部14の内部には、略円筒状の第2収容空間14Aが設けられている。フード部16は、一対の機器側接続部20,21の前側部分を、所定の間隔を空けつつ取り囲む形で設けられている。一対の機器側接続部20,21は、図3に示すように、フード部16の内側に形成される空間内において、上下方向における位置が略等しいものとされる。
【0020】
図2及び図4に示すように、第1ハウジング部12の第1収容空間12Aとフード部16の内側に形成された空間との間には、両空間を連通する矩形状の第1連通孔12Bが設けられている。また、第2ハウジング部14の第2収容空間14Aとフード部16の内側に形成された空間との間には、両空間を連通する矩形状の第2連通孔14Bが設けられている。第1連通孔12Bの開口の形状及び大きさは、一方の機器側接続部20の断面の形状及び大きさと略等しくなっており、第2連通孔14Bの開口の形状及び大きさは、他方の機器側接続部21の断面の形状及び大きさと略等しくなっている。
【0021】
ヒューズ40は、内部に消弧砂が充填された公知のもの(例えば限流ヒューズ)であり、前後方向に沿って軸状に延伸し、全体として略円筒状とされている。ヒューズ40は、その前後方向における両端部が各端子50との接触部とされている。ヒューズ40は、その両端部に一対の端子50が取り付けられることで、一対の端子50の間を電気的に接続している。また、このヒューズ40はいわゆる高圧ヒューズであり、両端部に取り付けられた一対の端子50間が通電することによって発熱する。
【0022】
図2及び図4に示すように、一対の端子50のうち、ヒューズ40の前端部に取り付けられた端子50は、円筒状の円筒部52と、ヒューズ40の端面と対向状に配される円板状の対向部54と、を有している。端子50を構成する円筒部52は、対向部54の外周縁から後方に伸びるとともに、ヒューズ40の前端部の周壁を囲む形で設けられている。円筒部52は、対向部54からその後方に向かうにつれてわずかに縮径しており、ヒューズ40の前端部の周壁とその略全周に亘って接触している。
【0023】
図2及び図4に示すように、一対の端子50のうち、ヒューズ40の後端部に取り付けられた端子50は、円筒状の円筒部52と、ヒューズ40の端面と対向状に配される円板状の対向部54と、対向部154から伸びる嵌合部156と、を有している。このうち円筒部52及び対向部54は、ヒューズ40の前端部に取り付けられた端子50と同様の構成である。従って、端子50を構成する円筒部52は、ヒューズ40の後端部の周壁とその略全周に亘って接触している。端子50を構成する嵌合部56は、対向部54の略中央位置から円筒部52が設けられた側とは反対側に向かって円柱状に伸びるとともに、その内部に凹状の凹部56A(図4参照)を有している。
【0024】
接続装置1では、図2及び図4に示すように、一方の機器側接続部20と一方の電線側接続部30とが、ヒューズ40及び一対の端子50を介して互いに接続されている。具体的には、一方の機器側接続部20は、ヒューズ40の前端部に取り付けられた端子50の対向部54の略中央位置から前方に向かって伸びるとともに、第1連通孔12Bを貫通してその前側部分がフード部16の内側に形成された空間内に位置している。即ち一方の機器側接続部20は、ヒューズ40の前端部に取り付けられた端子50と一体的に形成されている。一方の電線側接続部30は、その前端部がヒューズ40の後端部に取り付けられた端子50の嵌合部56の凹部56Aに挿入されることで、当該端子50と電気的に接続されている。
【0025】
なお、図2及び図4に示すように、第1収容空間12Aの後方側には、それぞれ貫通孔を有する第1シール部材60及び第1蓋体62が順に嵌め込まれており、これにより、第1収容空間12Aの後方側がシールされている。一方の電線側接続部30は、第1シール部材60及び第1蓋体62の貫通孔に挿通されることで、その後側部分がハウジング10の外側に露出している。また、一方の電線側接続部30のうち、端子50と電気的に接続された部位を除く部位は、その表面が絶縁被覆30Aによって被覆されている(図4参照)。
【0026】
また、接続装置1では、図2及び図4に示すように、他方の機器側接続部21の後端部と他方の電線側接続部31の前端部とが直接接続されている。具体的には、他方の機器側接続部21は、第2収容空間14A内において、その後端部が他方の電線側接続部31の前端部に設けられた板状部31Aと抵抗溶接によって電気的に接続されている。他方の機器側接続部21は、第2収容空間14A内から前方に伸びるとともに、第2連通孔14Bを貫通してその前側部分がフード部16の内側に形成された空間内に位置している。
【0027】
なお、図2及び図4に示すように、第2収容空間14Aの後方側には、第1収容空間12Aと同様に、それぞれ貫通孔を有する第2シール部材64及び第2蓋体66が順に嵌め込まれており、これにより、第2収容空間14Aの後方側がシールされている。他方の電線側接続部31は、第2シール部材64及び第2蓋体66の貫通孔に挿通されることで、その後側部分がハウジング10の外側に露出している。また、他方の電線側接続部31のうち、他方の機器側接続部21と接続された板状部31Aを除く部位は、その表面が絶縁被覆31Aによって被覆されている(図4参照)。
【0028】
さて、本実施形態の接続装置1では、上述したように一対の機器側接続部20,21の形状が互いに異なっており、図4及び図5に示すように、一方の機器側接続部20の断面積の大きさと他方の機器側接続部21の断面積の大きさとが異なっている。即ち、一方の機器側接続部20の断面積は、他方の機器側接続部21のいずれの部位の断面積(図4参照)よりも大きくなっている。また、接続装置1では、図4に示すように、一方の機器側接続部20の断面積が、一方の電線側接続部30のいずれの部位の断面積より大きくなっている。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の接続装置1では、電気機器側の端子と接続される一対の機器側接続部20,21のうち、一方の端子50を介してヒューズ40と接続された一方の機器側接続部20の断面積が、ヒューズ40と接続されない部材、即ち他方の機器側接続部21の断面積よりも大きい。ここで、ヒューズ40と接続された部材の放熱性は当該部材の断面積に比例する。このため、ヒューズ40と接続されない他方の機器側接続部21と比べて、端子50を介してヒューズ40と接続された一方の機器側接続部20の放熱性を高めることができる。その結果、通電によってヒューズ40が発熱した場合、ヒューズ40から伝わる熱が一方の機器側接続部20から効果的に放熱され、ヒューズ40に接続された部材である一方の機器側接続部20の溶損を抑制することができる。
【0030】
なお、本実施形態では、一方の機器側接続部20と接続される電気機器側の端子についても、その断面積を大きくすることが好ましい。即ち、当該電気機器側の端子の断面積を一方の機器側接続部20の断面積と等しくすることが好ましい。このようにすることで、ヒューズ40からの熱を一方の機器側接続部20と接続される電気機器側の端子においても効果的に放熱されるので、一方の機器側接続部20だけでなく、電気機器側の端子の溶損を抑制することもできる。
【0031】
ここで、一方の機器側接続部20と一方の電線側接続部30は、各端子50を介してヒューズ40と接続されているので、仮に一方の機器側接続部20の断面積と一方の電線側接続部30の断面積が略等しければ、ヒューズ40からの熱が一方の機器側接続部20と一方の電線側接続部30との両者に分散することが想定される。そこで、一方の電線側接続部30の断面積を大きくすると、一方の電線側接続部30に接続される電線の断面積を大きくすることが必要となる。この場合、電線を引き回すために内部に十分なスペースが必要となるため、接続装置1が全体として大型化することが懸念される。
【0032】
これに対し、本実施形態では、一方の機器側接続部20の断面積が一方の電線側接続部30のいずれの部位の断面積よりも大きいので、ヒューズ40からの熱が、一方の機器側接続部20と一方の電線側接続部30のうち、放熱性が高い側の部材、即ち一方の機器側接続部20に伝わり易くなり、一方の電線側接続部30に伝わり難くなる。このため、一方の電線側接続部30の断面積を大きくすることなく、通電によってヒューズ40が発熱した場合、ヒューズ40からの熱の大部分を一方の機器側接続部20において放熱させることができ、接続装置1の小型化を図ることができる。
【0033】
<実施形態2>
次に、図6から図10を参照して実施形態2を説明する。本実施形態は、ハウジング110の形状及び構成、円板状接続部123、円柱状接続部124、及び2つの筒状部材170,171をさらに備える点で実施形態1のものと異なっている。その他の構成については、上記実施形態1のものと同様であるため、構造、作用、及び効果の説明は省略する。なお、図6から図10において、それぞれ図1から図5の参照符号にそれぞれ数字100を加えた部位は、実施形態1で説明した部位と同一である。
【0034】
本実施形態では、図7及び図9に示すように、接続装置101のハウジング110におけるフード部116の内側に、略円筒状の空間を有する2つのキャビティ116Aが左右方向に並んで設けられている。2つのキャビティ116Aは、それぞれ機器側接続部120,121の前側部分を、所定の間隔を空けつつ取り囲む形で設けられている。また、ハウジング110における第2ハウジング114の前後方向の寸法が第1ハウジング部112の前後方向の寸法と同等とされており、第2収容空間114Aの前後方向の寸法についても第1収容空間112Aの前後方向の寸法と同等とされている。
【0035】
また、本実施形態では、図7から図9に示すように、他方の機器側接続部121が円柱状(ピン状)とされている。さらに、第2収容空間114A内には、円板状の円板状接続部123と、円板状接続部123の略中央位置から後方に向かって円柱状に伸びる円柱状接続部124とが収容されている。他方の機器側接続部121は、円板状接続部123の略中央位置から前方に向かって伸びており、円板状接続部123及び円柱状接続部124と一体的に形成されている。また、円柱状接続部124は、その内部に凹状の第2凹部124Aを有している。本実施形態では、第2収容空間114A内において、他方の電線側接続部131の前端部がこの第2凹部124Aに挿入されており、これにより、他方の機器側接続部121と他方の電線側接続部131とが円板状接続部123及び円柱状接続部124を介して電気的に接続されている。
【0036】
さらに、本実施形態では、図7及び図9に示すように、第1ハウジング部112の第1収容空間112A内に、ヒューズ140及び一対の端子150に加え、前後に開口する筒状の第1の筒状部材170が収容されている。また、第2ハウジング114の第2収容空間114A内に前後に開口する筒状の第2の筒状部材171が収容されている。第1の筒状部材170及び第2の筒状部材171は、その前後方向の寸法が、互いに等しく、ヒューズ140の前後方向の寸法より大きくなっているとともに、第1収容空間112A及び第2収容空間114Aの前後方向の寸法よりも小さくなっている。
【0037】
第1の筒状部材170のうち後側部分は、厚肉とされており、その内径が他方の端子150の嵌合部156の外径とほぼ等しくなっている。一方、第1の筒状部材170のうち厚肉とされた部位を除く部位は、その内壁が厚肉とされた部位と比べて相対的に薄肉とされており、その内径が各端子150の円筒部152の外径とほぼ等しくなっている。第1の筒状部材170は、その前端部がヒューズ140の前端部に取り付けられた端子150の円筒部152の後面と当接しており、上記厚肉とされた部位の前面がヒューズ140の後端部に取り付けられた端子150の円筒部152の後面と当接している。また、第1の筒状部材170の後端部は、第1シール部材60に当接されることで後方に抜け止めされている。これにより、ヒューズ140及びヒューズ140に取り付けられた各端子150は、第1収容空間112A内において第1の筒状部材170によって保持されている。
【0038】
第2の筒状部材171は、その全体が薄肉とされている。第2の筒状部材171は、その前端部が円板状接続部123の後面と当接しており、その後端部が第2シール部材164に当接されることで後方に抜け止めされている。これにより、円板状接続部123及び円柱状接続部124は、第2収容空間112A内において第2の筒状部材171によって保持されている。
【0039】
さて、本実施形態の接続装置101では、図10に示すように、同一形状とされた一対の機器側接続部120,121の断面積の大きさが互いに異なっている。即ち、一方の機器側接続部120の断面積は、他方の機器側接続部121のいずれの部位の断面積(図9参照)よりも大きくなっている。このため、通電によってヒューズ140が発熱した場合、ヒューズ140から伝わる熱が一方の機器側接続部120から効果的に放熱され、ヒューズ140に接続された部材である一方の機器側接続部120の溶損を抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態の接続装置101では、図9に示すように、一方の機器側接続部120の断面積が、一方の電線側接続部130のいずれの部位の断面積より大きくなっている。このため、ヒューズ140からの熱が、一方の機器側接続部120と一方の電線側接続部130のうち、放熱性が高い側の部材、即ち一方の機器側接続部120に伝わり易くなっている。その結果、一方の電線側接続部130の断面積を大きくすることなく、通電によってヒューズ140が発熱した場合、ヒューズ140からの熱の大部分を一方の機器側接続部120において放熱させることができ、接続装置101の小型化を図ることができる。
【0041】
また、本実施形態の接続装置101では、一対の機器側接続部120,121がいずれも円柱状(ピン状)とされている。このため、一対の機器側接続部120,121のいずれかが板面を左右方向に向けた平板状とされている場合と比べて当該接続部の上下方向の寸法を抑制することができ、当該接続部が配されるスペースについて省スペース化を図ることができる。また、一対の機器側接続部120,121のいずれかが平板状とされている場合と比べて電線と接続し易いものとすることができる。
【0042】
また、本実施形態の接続装置101では、ヒューズ140に取り付けられた各端子150が、第1収容空間112A内において第1の筒状部材170によって保持される。このため、接続装置101が振動環境下に晒された場合であっても、一方の端子150と接続された一方の機器側接続部120が摺動し難くなっている。このため、振動環境下における一方の機器側接続部120の溶損を一層抑制することができる。
【0043】
<実施形態3>
次に、図11から図15を参照して実施形態3を説明する。本実施形態では、その内部に後述するヒューズ240が収容され、インバータ等の電気機器(不図示)側に設けられた端子と電線(不図示)との間を接続する接続装置201を例示する。本実施形態では、電気機器側の端子との接続側、即ち図12の左側下方及び図14の下方を接続装置201の前方とし、電線との接続側、即ち図12図13の下方を接続装置1の下方として説明する。また、接続装置201の前後方向と上下方向との両者に直交する方向(図13図14の左右方向)を接続装置201の左右方向とする。
【0044】
接続装置201は、図11から図13に示すように、ハウジング210と、電気機器側の端子に接続される一対の平板状(タブ状)の機器側接続部220,221と、上下に伸びる形で配され、その下端部が電線に接続される円柱状(ピン状)の一対の電線側接続部230,231と、上下方向に沿って軸状に延伸するヒューズ240(図14参照)と、ヒューズ240の延伸方向における両端部に設けられた一対の端子250とを備えている。なお、以下では、一対の機器側接続部220,221について、その一端部側を電気機器側の端子と接続される側として説明し、一対の電線側接続部230,231について、その下端部側を電線と接続される側として説明する。
【0045】
ハウジング210は、図13に示すように、正面視矩形状の箱型である本体部212と、本体部212の上側前面から前方に向かって横長の筒状に伸びる機器側フード部214と、本体部212の底面から下方に向かって横長の筒状に伸びる電線側フード部216と、からなっている。このうち機器側フード部214は、一対の機器側接続部220,221の一端部側を、所定の間隔を空けつつ取り囲む形で設けられている(図2参照)。電線側フード部216は、本体部212から下方に伸びる一対の電線側接続部230,231の一部を、所定の間隔を空けつつ取り囲む形で設けられている。電線側フード部216の下方側は、電線側フード部216の内側に配された図示しないシール部材によってシールされている。
【0046】
図12及び図14に示すように、本体部212の内部には収容空間212Aが設けられている。また、ハウジング210の本体部212の後方側には、図12及び図14に示すように、後方カバー218が装着されている。この後方カバー218は、接続装置201の組み付け作業を容易にするためのものであり、その外周面に本体部212の内部をシールするためのゴムリング219を備えている。
【0047】
図12及び図14に示すように、本体部212の収容空間212A内には、ヒューズ240が収容されている。ヒューズ240の形状及び構成は、実施形態1及び実施形態2のものと同様である。ヒューズ240の両端部に取り付けられた各端子250は、円筒状であり、ヒューズ240の両端部の周壁にそれぞれ当接されている。また、各端子250は、ヒューズ240の端部に取り付けられた円筒状の部位から左右方向に伸びる板状の端子接続部250Aを有している。なお、ヒューズ240の両端部に取り付けられた各端子250のうち、ヒューズ240の下端部に取り付けられた端子(他方の端子)については、図示を省略する。
【0048】
ハウジング210において、本体部212の収容空間212Aと機器側フード部214の内側に形成された空間との間には、図12及び図14に示すように、両空間を連通するとともに開口が矩形状である2つの連通孔270,271が設けられている。接続装置201では、一方の機器側接続部220と一方の電線側接続部230とが、ヒューズ240及び一対の端子250を介して互いに接続されている。
【0049】
即ち、一方の機器側接続部220は、その他端部側が一方の連通孔270を貫通して収容空間212A内まで伸びており、収容空間212A内において一方の端子250の端子接続部250Aと抵抗溶接によって電気的に接続されている(図14参照)。そして、一方の電線側接続部230は、その上側部分が収容空間212A内まで伸びるともに、収容空間212A内において他方の端子の端子接続部と接続されており、その下側部分が電線側フード部216の下端からハウジング210の外側に露出して下方側に伸びている。
【0050】
一方、接続装置201では、他方の機器側接続部221と他方の電線側接続部231とが収容空間212A内において直接接続されている。即ち、他方の機器側接続部221は、その他端部側が他方の連通孔271を貫通して収容空間212A内まで伸びており、収容空間212A内において他方の電線側接続部231の上端部と抵抗溶接によって電気的に接続されている(図14参照)。他方の電線側接続部231は、その下側部分が電線側フード部216の下端からハウジング210の外側に露出して下方側に伸びている。
【0051】
さて、本実施形態の接続装置201では、図15に示すように、同一形状とされた一対の機器側接続部220,221の断面積の大きさが互いに異なっている。即ち、一方の機器側接続部220の断面積は、他方の機器側接続部221のいずれの部位の断面積(図14参照)よりも大きくなっている。このため、通電によってヒューズ240が発熱した場合、ヒューズ140から伝わる熱が一方の機器側接続部220から効果的に放熱され、ヒューズ240に接続された部材である一方の機器側接続部220の溶損を抑制することができる。
【0052】
ここで、同じ断面積である場合、円柱状よりも平板状の方がその表面積が大きい。また、電気機器側に設けられる端子の設計上、電気機器と接続される一対の機器側接続部の一端部は、いずれも同形状であることが好ましい。これに対し、本実施形態では、上述したように、一対の機器側接続部220,221がいずれも平板状(タブ状)とされている。このため、一方の機器側接続部220,221が円柱状である場合と比べて、ヒューズ240から伝わる熱の一方の機器側接続部220からの放熱性を高めることができる。
【0053】
上記の実施形態の他の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の各実施形態では、接続装置の一例として電気機器側の端子と電線との間を接続するための接続装置を例示したが、これに限定されない。本明細書で開示される接続装置は、様々な接続装置として適用することができる。
【0054】
(2)上記の各実施形態では、一方の機器側接続部が円柱状とされ、他方の機器側接続部が平板状とされた構成、一対の機器側接続部がいずれも円柱状とされた構成、一対の機器側接続部がいずれも平板状とされた構成を例示したが、一方の機器側接続部が平板状とされ、他方の機器側接続部が円柱状とされた構成であってもよい。
【0055】
(3)上記の各実施形態では、一対の機器側接続部が平板状又は円柱状とされた構成を例示したが、機器側接続部の形状については限定されない。
【0056】
(4)上記の各実施形態では、ヒューズの両端部に取り付けられた各端子が円筒状の部位を有する構成を例示したが、ヒューズの両端部に取り付けられた各端子の形状及び構成については限定されない。また、ヒューズの一端部に取り付けられた端子と一方の機器側接続部の接続態様についても限定されない。
【0057】
(5)上記の各実施形態では、一方の端子と一方の機器側接続部とが接続され、他方の端子と一方の電線側接続部とが接続された構成を例示したが、両端子にそれぞれ機器側接続部が接続された構成であってもよい。この場合、他方の端子と接続された機器側接続部の断面積をヒューズと接続されない機器側接続部の断面積より大きくすることで、他方の端子と接続された機器側接続部からもヒューズからの熱を効果的に放熱させることができる。
【0058】
(6)上記の各実施形態以外にも、ハウジングの形状、機器側接続部と電線側接続部との接続態様、ヒューズの形状等については、適宜に変更可能である。
【0059】
以上、各実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1,101,201…接続装置
10,110,210…ハウジング
12,112…第1ハウジング
12A,112A…第1収容空間
14,114…第2ハウジング
14A,114A…第2収容空間
16,116…フード部
20,120,220…(一方の)機器側接続部
21,121,221…(他方の)機器側接続部
30,130,230…(一方の)電線側接続部
31,131,231…(他方の)電線側接続部
40,140,240…ヒューズ
50,150,250…端子
52,152…円筒部
54,154…対向部
116A…キャビティ
156…嵌合部
170…第1の筒状部材
171…第2の筒状部材
214…機器側フード部
216…電線側フード部
250A…端子接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15