(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子部品が実装され、外部の電子機器と接続するためのコネクタを備えた制御基板を、該コネクタが露出する状態で取り付ける取付部を備え、該取付部により、前記制御基板を取り付けて収容する透明な材料にて形成される基板ケースを備えた遊技機において、
前記基板ケースから露出している前記コネクタを覆う透明な材料にて形成されるコネクタカバーを備え、
前記コネクタカバーには、前記基板ケースの裏面に係止する係止片が設けられ、
該コネクタカバーは、前記係止片を前記裏面に係止するとともに、前記取付部を利用して前記基板ケースに取り付けられていることを特徴とする遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.基板ケース1のパチンコ機96への装着状態
以下に、本発明を実施するための形態を図を用いて説明する。まず、
図1を参照しながら、基板ケース1のパチンコ機96への装着状態について説明する。
図1は、本発明を適用した払出制御基板2を収容した基板ケース1が設けられたパチンコ機96の部分背面図である。
図1に示すように、パチンコ機96は、矩形状の枠部材100に図示しない遊技盤が着脱自在に設けられて形成され、基板ケース1は、パチンコ機96背面の略右下方に適宜手段で枠部材100側に取り付けられている。また、基板ケース1の内部には、遊技球の払出制御を行うためのICや抵抗等の各種電子部品が実装された払出制御基板2が設
けられている。
【0024】
パチンコ機96の背面側には、裏カバー97が設けられており、この裏カバー97は、図示していないが、一対のヒンジと係合片とでパチンコ機96に対して回動可能に、且つ着脱自在に装着されている。裏カバー97は、
図1に示すように、その下端部98が、基板ケース1の後述するコネクタカバー7の上端突片6やリブ18に上から重なるように圧接して設けられており、即ち、基板ケース1(コネクタカバー7)と裏カバー97とは、この領域で当接している。さらに、下端部98の右側に位置する遮蔽部98aが、コネクタカバー7を基板ケース1に取り付けている後述のネジ23を遮蔽するようになっている。従って、基板ケース1からコネクタカバー7を取り外すときには、裏カバー97を開放しなければならず、これにより払出制御基板2の後述するコネクタ4に対する不正行為を困難にしている。なお、裏カバー97は、透明な材料(合成樹脂等)にて形成されているので、重なった基板ケース1の領域は、パチンコ機96背面側から視認可能である。
【0025】
また、裏カバー97には、中央部に略矩形状の窓99が穿設されており、この窓99に、遊技全体のメイン制御を行うためのICや抵抗等の各種電子部品が実装された主制御基板が収容された基板ケース95が臨むように設けられている。この基板ケース95は、遊技盤の背面側に取り付けられ、即ち、払出制御基板2の基板ケース1は枠部材100側に、主制御基板の基板ケース95は遊技盤側に、それぞれ取り付けられている。基板ケース95は、基板ケース1よりも大きく形成されて、基板ケース1の上側に隣接するように設けられており、これら基板ケース1と基板ケース95との間は、殆ど隙間がないようになっている。
【0026】
2.基板ケース1の構成
基板ケース1の構成を
図2〜
図12に基づいて説明する。
図2は、基板ケース1の分解斜視図であり、
図3は、基板ケース1の蓋体5にコネクタカバー7を取り付けるときの斜視図であり、
図4は、基板ケース1の斜視図であり、
図5は、基板ケース1の3面図(正面図、平面図、右側面図)であり、
図6は、基板ケース1のA−A断面における断面図であり、
図7は、コネクタカバー7の全体斜視図であり、
図8は、基板ケース1の蓋体5に払出制御基板2及びコネクタカバー7を取り付けるときの斜視図であり、
図9は、コネクタカバー7を取り付けたときの基板ケース1の正面図であり、
図10は、コネクタカバー7を取り付けたときの基板ケース1のB−B断面における断面図であり、
図11は、基板ケース1の正面図、背面図及び基板ケース1の封止を解除したときの状態を示す説明図であり、
図12は、基板ケース1を封止するときの状態を示す説明図である。なお、基板ケース1は、
図1に示すパチンコ機96の背面側から視た場合を正面として説明する。
【0027】
基板ケース1は、上記したように、パチンコ機96の払出制御基板2を収容して保護するためのケースであって略直方体の形状を有しており、大別すると、ベース体3と、蓋体5とから構成されている。まず、ベース体3は、
図2、
図11に示すように、略平板状に透明な材料(合成樹脂等)にて形成され、その中央には矩形平板状のベース板13が形成されベース体3の大部分を占めている。ベース体3の上下両端にはスライド固定部9が形成されている。このスライド固定部9は、後述する蓋体5のスライド固定部29と係合して、ベース体3と蓋体5とを重合する部材である。なお、スライド固定部9の構成については後述する。
【0028】
ベース体3の左右両端には、ベース体3と蓋体5とを接続固定して基板ケース1を封止するための筒状部材14が、対向状にそれぞれ4個ずつ連設されている。筒状部材14は、
図11(C)、(D)に示すように、四角く区画された収納空間16の略中央に配置され、一対の支持腕15によって、その左右両側部が支持されてベース体3に接続されている。支持腕15は、基板ケース1を組み付けた後の状態では、基板ケース1の背面側から
視ると、その底面が露出するようになっている。また、筒状部材14の内部には、
図2に示すように、後述する固定部材50を構成するカシメピン28を係止するリング17が装着されている。なお、筒状部材14及びリング17の構成については後述する。
【0029】
一方、ベース体3に蓋をする蓋体5は、
図2に示すように、略平板状に透明な材料(合成樹脂等)にて形成され、その上下両端にはスライド固定部29が形成されている。このスライド固定部29は、上記したように、ベース体3のスライド固定部9と係合して、ベース体3と蓋体5とを重合する部材である。なお、スライド固定部29の構成については後述する。
【0030】
蓋体5の中央部には、蓋体5の大部分を占める略矩形箱状の基板装着部24が前記ベース板13と対向するように形成され、払出制御基板2は、
図6、
図8に示すように、基板装着部24に設けられた筒状の取付部材20a、20b、20c、20dに、背面側からネジ21で固定されるようになっており、つまり払出制御基板2は、蓋体5側に取り付けられる。ここで、基板装着部24の右上部に設けられた取付部材20aは、
図6、
図10に示すように、基板装着部24の上面板25を貫通して形成されており、その中央部分には仕切板22が設けられている。これにより、取付部材20aは、2つに分割されて基板装着用取付部材20ahとカバー装着用取付部材20akとが一連対称状に一体的に形成され、基板装着用取付部材20ahには、払出制御基板2がネジ21にて背面側から螺着され、カバー装着用取付部材20akには、後述するコネクタカバー7が正面側からネジ23にて螺着されるようになっている。
【0031】
また、基板装着部24と上方のスライド固定部29との間、及び基板装着部24と下方のスライド固定部29と間の左右には、複数の開口26が穿設されており、この開口26により、蓋体5に払出制御基板2を取り付けたとき、払出制御基板2の実装面に設けられたコネクタ4が蓋体5から露出するようになっている(
図5、
図6参照)。このコネクタ4は、
図8に示すように、払出制御基板2の上下端部の左右に設けられており、他の電子部品、即ち、遊技全体のメイン制御を行う主制御基板及び所定数の遊技球を払い出す球払出装置と払出制御基板2とを電気的に接続するための部品である。なお、
図8では、払出制御基板2の実装面におけるコネクタ4以外の電子部品等は、図示を省略している。
【0032】
払出制御基板2の上側に位置するコネクタ4は、遊技盤側に取り付けられた主制御基板と接続され、下側に位置するコネクタ4は、枠部材100側に取り付けられた球払出装置と接続されるようになっている。上側のコネクタ4は、遊技盤を交換するとき等、頻繁に抜き差しが行われるコネクタであり、一方、下側のコネクタ4は、一度球払出装置と接続されたら、その後はほとんど抜き差しが行われないコネクタである。なお、基板装着部24には、払出制御基板2から発生する熱を逃がすための多数の放熱孔19が穿設されている。
【0033】
蓋体5の左右両端には、ベース体3の筒状部材14に対向するように筒状部材34が設けられており、この筒状部材34は、
図2に示すように、四角く区画された収納空間36の略中央に配置され、
図11(A)、(B)に示すように、支持腕35によって、その一側部(左に位置する筒状部材34は左側部、右に位置する筒状部材34は右側部)が支持されて蓋体5に接続されている。なお、筒状部材34の構成については後述する。
【0034】
図中、40は、カシメカバーであり、このカシメカバー40は、筒状部材34(筒状部材14)を覆うことが可能なように略矩形蓋状に形成されている。カシメカバー40は、蓋体5に突設されたコ字状のガイド部材41の内側に、その外壁面が当接するように嵌合された後、蓋体5の背面側からネジ42にて蓋体5に螺着される。なお、カシメカバー40を蓋体5に装着した状態では、
図11(A)、(B)に示すように、支持腕35前面の
一部が露出するようになっている。また、カシメカバー40は、透明な材料(合成樹脂等)にて形成されており、カシメカバー40を蓋体5に装着した状態では、筒状部材34(筒状部材14)は外部から視認可能になっている。また、カシメカバー40には、4つの孔43が穿設され、この孔43は、筒状部材34(筒状部材14)の中心に対向するように形成されている。これは、基板ケース1を封止するときに用いる後述する固定部材50を構成するワンウェイビス27を螺入するとき、専用工具をこの孔43に挿入するためのものである(
図12参照)。
【0035】
次に、コネクタカバー7について説明する。コネクタカバー7は、
図7、
図9、
図10に示すように、透明な材料(合成樹脂等)にて肉厚の薄い略L字状に形成され、蓋体5の基板装着部24をほぼ覆うように基板ケース1に取り付けられ、基板ケース1から露出する払出制御基板2のコネクタ4を覆って保護する部材である。基板ケース1は、コネクタカバー7が取り付けられた状態では、コネクタカバー7が取り付けられていない状態と比較しても、その大きさはほとんど変わらないようになっている。
【0036】
コネクタカバー7は、覆板75と底板76とから形成され、覆板75は、略矩形状に形成され、その上端には、前方にやや突出するように形成されたリブ18が設けられている。覆板75の上部中央には、上方に突出する上端突片6が設けられており、この上端突片6とリブ18とは、上記した裏カバー97と係合する箇所であり、上端突片6とリブ18に裏カバー97が上から重なるように係合することで、コネクタカバー7を基板ケース1側に圧接するようになっている。
【0037】
また、覆板75の右上端にはフック73aが設けられており、このフック73aは、
図10に示すように、基板装着部24の右上側に形成された右上板30に当接して係合するようになっている。右上板30は、基板ケース1の上端面から下側に位置しており、従って、上述した主制御基板が収容された基板ケース95が基板ケース1の上側に隣接していても、該基板ケース95が邪魔になってフック73aが右上板30に係合できないことはない。また、覆板75の左上端にはフック73bが設けられており、このフック73bは、
図7に示すように、上記フック73aよりも小さく形成され、フック73aと同様に基板装着部24の左上側に形成された左上板31に当接して係合するようになっている。
【0038】
また、覆板75の上部右端には、上記したカバー装着用取付部材20akにネジ23を螺着するためのネジ孔部77が設けられている。なお、図中、72は、放熱開口であり、この放熱開口72は、上記した放熱孔19に対応して穿設され、払出制御基板2から発生する熱を逃がすようになっている。
【0039】
覆板75は、
図9に示すように、上端突片6を除く左右上端は、蓋体5の開口26よりわずかに下側に位置しており、払出制御基板2の上側に位置するコネクタ4は、露出した状態となっている。つまり、コネクタカバー7は、払出制御基板2の下側に位置するコネクタ4のみを覆うようになっている。
【0040】
一方、コネクタカバー7の底板76は、基板ケース1の下側部分を覆うように略矩形状に形成され、その左右両端には、底板76から左右に延びる一対の係止片79を有している。この係止片79には、その奥側先端に爪80が形成されており、この爪80は、
図10に示すように、ベース体3の下側に形成された下板10の裏面10aに係止するようになっている。即ち、コネクタカバー7は、覆板75に形成された上端突片6、リブ18、フック73a、73b及びネジ孔部77と、底板76に形成された係止片79とによって、基板ケース1に取り付けらけるようになっている。なお、係止片79は、上記したようにベース体3下側の下板10に係止するので、当然ながら、上述した主制御基板が収容された基板ケース95が邪魔になって係止片79が下板10の裏面10aに係止できないこ
とはない。
【0041】
3.基板ケース1の組立
次に、基板ケース1の組立について説明する。基板ケース1を組み立てるには、まず、
図6、
図8に示すように、払出制御基板2を蓋体5に組み付ける。蓋体5に対する払出制御基板2の組み付けは、蓋体5の基板装着部24に設けられた取付部材20a(基板装着用取付部材20ah)、20b、20c、20dに、背面側からネジ21により螺着することで行う。これにより、払出制御基板2は、ICや抵抗等の各種電子部品が実装された実装面が蓋体5側を向いた状態で、基板装着部24に組み付けられる。この際、払出制御基板2のコネクタ4が蓋体5の開口26を挿通し、払出制御基板2のコネクタ4は、蓋体5から露出した状態になっている。
【0042】
払出制御基板2を蓋体5に組み付けたら、次に、ベース体3と蓋体5とを組み付ける。上述のように払出制御基板2が取り付けられた蓋体5を、ベース体3に組み付けるには、ベース体3に設けられたスライド固定部9と、蓋体5に設けられたスライド固定部29とを係合させることにより行う。ここで、
図11、
図13を参照しながら、ベース体3のスライド固定部9と、蓋体5のスライド固定部29の構成について説明する。なお、
図13は、基板ケース1のC−C断面におけるスライド固定部9とスライド固定部29とを係合するときの状態を示す模式図である。まず、スライド固定部29は、
図13において、段差状に設けられたガイド片81と、ガイド片81の右端に設けられた先端83と、先端83の左側にガイド片81から上方に突出するように設けられたストッパ片82と、ガイド片81とストッパ片82とで形成される溝84とを備えている。スライド固定部29は、これらガイド片81、ストッパ片82、先端83、溝84を一組として蓋体5の上下両端に、
図11に示すように、複数組ずつ形成されている。なお、
図13においては、説明便宜のため、ガイド片81、ストッパ片82、先端83、溝84を三組示し、スライド固定部9は黒に、スライド固定部29は白に表示し、それら以外の構成を省略している。
【0043】
次に、スライド固定部9は、
図13において、段差状に設けられた受板91と、受板91の左側に設けられた覆板92と、覆板92の左端に設けられた先端93と、受板91と覆板92とで形成される溝94とを備えている。スライド固定部9は、これら受板91、覆板92、先端93、溝94を一組としてベース体3の上下両端に、
図11に示すように、スライド固定部29と対応するように複数組ずつ形成されている。なお、
図13においては、説明の便宜のため、受板91、覆板92、先端93、溝94を三組示し、スライド固定部9以外の構成を省略している。
【0044】
このように構成されたスライド固定部9とスライド固定部29とを係合させるには、まず、
図13(A)の矢印Vに示すように、上方からガイド片81を受板91に重合させる。この際、ガイド片81の下段は、受板91の下段よりも若干短く形成されているので、隣接する受板91の覆板92同士で形成される空間にガイド片81の下段を容易に挿入することができる。なお、
図13(B)は、ガイド片81を受板91に重合させたときの状態を示している。
【0045】
そして、この状態から
図13(B)の矢印Hに示すように、右方向に蓋体5をベース体3に対してスライドさせ、スライド固定部9とスライド固定部29とを係合させる。なお、
図13(C)は、スライド固定部9とスライド固定部29とが係合したときの状態を示している。
図13(C)に示すように、スライド固定部29を右方向にスライドさせると、ストッパ片82が先端93に当接しスライド固定部9とスライド固定部29とは係合する。この際、溝84は覆板92により閉塞され、溝94はガイド片81(ストッパ片82の右側部分)により閉塞されるようになっている。
【0046】
スライド固定部9とスライド固定部29とを係合させてベース体3と蓋体5とを重合したら、次に、ベース体3と蓋体5とを固定して基板ケース1を封止する。ここで、ベース体3と蓋体5とを封止する際に使用される固定部材50について
図14を用いて説明する。
図14は、固定部材50を示す説明図である。固定部材50は、
図14に示すように、ワンウェイビス27とカシメピン28とで構成されており、カシメピン28は、下方にやや縮径した円柱状の本体51の上端部にフランジ状の係止部52が形成され、その中央から下端にかけて軸線に沿った所定幅のスリット53が形成されている。このため、カシメピン28の下部はスリット53の幅方向に所定量弾性変形できるようになっている。
【0047】
また、本体51の下端には、外径方向に突出した逆止片54が一対設けられている。この逆止片54は、カシメピン28の下端側から上方に向かってその断面が大きくなるテーパ状に形成され、その下端部が挿入部54aを、上端部が係止部54bをそれぞれ形成している。
【0048】
また、ワンウェイビス27は、カシメピン28の上端部にワッシャ55を介して螺入されている。このワッシャ55には、その外径が係止部52の上端面の外径と同一のものが使用されているため、カシメピン28の係止部52の表面は、金属部材により覆われるようになっている。なお、このワンウェイビス27は、周知のように、締結方向にのみ回動可能に構成されたネジであり、一旦係止部52に螺入されると、工具を用いてこれをリバースさせることは極めて困難となる。
【0049】
そして、ベース体3と蓋体5とを固定するには、このように構成された固定部材50を筒状部材14、34に固定することにより行う。ここで、基板ケース1の封止構造について
図12、
図15を用いて説明する。なお、
図15は、基板ケース1のD−D断面におけるベース体3と蓋体5とを固定して基板ケース1を封止するときの状態を示す説明図である。なお、
図15においては、説明便宜のため、固定部材50、リング17、筒状部材14、34の構成のみを示し、固定部材50の断面線は省略して表示している。蓋体5に設けられた筒状部材34は、筒状に形成された筒状部56と、筒状部56の内径が小径化された段差部57とを有している。また、ベース体3に設けられた筒状部材14は、蓋体5側を開口部とする有底筒状に形成されている。
【0050】
これら筒状部材14、34の間には、
図15に示すように、リング17が同軸状に装着される。このリング17は、固定部材50の逆止片54を係止するためのものであり、その外径がベース体3の筒状部材14における内径に一致し、その内径が蓋体5の筒状部材34における段差部57の内径にほぼ一致する筒状体からなる。また、このリング17は、この一端に設けられたフランジ部58を備え、このフランジ部58がベース体3の筒状部材14に接着されて固定される。そして、ベース体3に蓋体5が組み付けられた際には、各筒状部材14、34が同軸状に配置されて、筒状部材14、34及びリング17により連通孔59が形成される。
【0051】
固定部材50は、
図15(A)に示すように、その逆止片54が蓋体5の筒状部材34における段差部57に支持され、係止部52が筒状部56の内壁に支持される態様で、筒状部材34内部の連通孔59上方に形成される待機空間60に一時的に保持される。
【0052】
そして、ベース体3と蓋体5とを封止の際には、ベース体3と蓋体5とが組み付けられた重合状態において、
図12(A)、(B)の矢印A、Bに示すように、所定の棒状の専用工具をカシメカバー40の孔43に挿通し、上述した待機空間60にて待機状態にある固定部材50(ワンウェイビス27)を押圧して、これを連通孔59内に挿入する。すると、
図15(B)に示すように、固定部材50が連通孔59内に挿通される。
【0053】
このとき、固定部材50の逆止片54がリング17の端面に、係止部52が蓋体5の筒状部材34における段差部57にそれぞれ係止されることにより、固定部材50がベース体3と蓋体5とを挟持する態様でこれらを互いに固定して基板ケース1を封止する。固定部材50が連通孔59に挿入される際には、挿入部54aがテーパ状になっており、且つスリット53が形成されていることから、固定部材50がその下部で撓みながら連通孔59内にスムーズに挿入される。そして、逆止片54が連通孔59を貫通すると、固定部材50の下端部が弾性復帰して係止部54bが係止されるため、固定部材50を挿入方向とは逆方向に引き抜くことは困難となる。
【0054】
なお、この封止作業においては、左右に四対(計8個)配設された固定部材50のうち、対角線状に配置された一対(カシメカバー40に印字された同じ数字の固定部材50)が使用されるため、本実施形態の場合、遊技機の出荷時を含めて計4回の封止が可能となっている。
【0055】
4.コネクタカバー7の取付
ベース体3と蓋体5とを組み付けたら、基板ケース1を適宜手段でパチンコ機96に取り付けてから、上側のコネクタ4に主制御基板のコネクタを、下側のコネクタ4に球払出装置のコネクタをそれぞれ接続した後、コネクタカバー7を基板ケース1に取り付ける。基板ケース1に対するコネクタカバー7の固定は、まず、コネクタカバー7の覆板75を基板装着部24の上面板25に当接するように宛がい、コネクタカバー7のフック73a、73bを基板装着部24の右上板30、左上板31に引っ掛けるように係合する。そして、この状態でコネクタカバー7を基板ケース1側に押圧する。すると、底板76の係止片79が、基板ケース1の外側に弾性変形しながら移動し、係止片79がベース体3の下板10の裏面10aに到達すると、底板76が下板10に当接すると共に、係止片79が弾性復帰して爪80が下板10の裏面10aに係合する。これにより、コネクタカバー7のネジ孔部77が基板装着部24のカバー装着用取付部材20ak(取付部材20a)と同軸状に位置する。そして、ネジ23をカバー装着用取付部材20akに螺入することで、コネクタカバー7を基板ケース1に固定する。
【0056】
この状態では、
図9に示すように、払出制御基板2の下側に位置するコネクタ4は、コネクタカバー7により覆われており、一方、払出制御基板2の上側に位置するコネクタ4は、コネクタカバー7に覆われておらず、基板ケース1から露出した状態となっている。また、
図16に示すように、取付部材20aは、基板装着用取付部材20ahも備えており、この基板装着用取付部材20ahには、払出制御基板2を固定するためのネジ21が螺入されている。なお、
図16は、コネクタカバー7を取り付けたときの基板ケース1のB−B断面における一部拡大断面図である。
【0057】
つまり、取付部材20aは、払出制御基板2を固定するためにもともと蓋体5に設けられていた取付部材であり、本実施形態では、このもともとあった取付部材20aにカバー装着用取付部材20akを一体的に形成することで、コネクタカバー7を固定するようにしている。即ち、取付部材20aは、正面側からカバー装着用取付部材20akによりコネクタカバー7を固定し、背面側から基板装着用取付部材20ahにより払出制御基板2を固定している。なお、その他の取付部材20b、20c、20dは、払出制御基板2のみを固定している。
【0058】
そして、基板ケース1にコネクタカバー7を固定したら、
図17に示すように、裏カバー97をセットする。なお、
図17は、裏カバー97とコネクタカバー7との配置状態を示す説明図であり、(A)は、コネクタカバー7を取り付けたときの基板ケース1と裏カバー97との配置状態を示す正面図であり、(B)は、(A)のE−E断面における断面図である。
【0059】
図に示すように、裏カバー97をパチンコ機96にセットすると、裏カバー97の下端部98がコネクタカバー7の上端突片6を上から覆うようにして、リブ18と当接する。これにより、コネクタカバー7は、裏カバー97により基板ケース1側に圧接された状態となり、基板ケース1に対するコネクタカバー7の固定をより強固にしている。また、この状態では、払出制御基板2の上側に位置するコネクタ4は、裏カバー97により覆われて遮蔽された状態となり、つまり、払出制御基板2のコネクタ4は、下側に位置するコネクタ4がコネクタカバー7により遮蔽され、上側に位置するコネクタ4が裏カバー97により遮蔽されている。さらに、(B)に示すように、払出制御基板2の下側に位置するコネクタ4はコネクタカバー7により、払出制御基板2の上側に位置するコネクタ4は、裏カバー97とリブ18により、ほぼ密閉された状態となっている。これにより、払出制御基板2のコネクタ4に対する不正行為を困難にしている。
【0060】
また、裏カバー97をパチンコ機96にセットすると、下端部98の右側に位置する遮蔽部98aが、カバー装着用取付部材20akに螺入することでコネクタカバー7を基板ケース1に固定しているネジ23を、遮蔽するようになっている。即ち、裏カバー97は、パチンコ機96にもともとある構成であり、このもともとある裏カバー97の下端部98を下方に延設するだけで、新たな構成を付加することなく、容易に払出制御基板2の上側に位置するコネクタ4とコネクタカバー7を基板ケース1に固定しているネジ23とを、遮蔽することができる。そして、裏カバー97を開放しなければコネクタカバー7を取り外すことができないため、これにより、払出制御基板2のコネクタ4に対する不正行為を困難にしている。
【0061】
5.基板ケース1の封止解除
パチンコ機96に取り付けられた基板ケース1の封止状態を解除するには、まず、コネクタカバー7を圧接している裏カバー97を回動又は取り外して、基板ケース1全体を露出させる。そして、カバー装着用取付部材20akからネジ23を取り外し、基板ケース1へのコネクタカバー7の係止を解除することで、基板ケース1からコネクタカバー7を離脱する。そして、コネクタ4に接続されている外部装置のコネクタを外し、基板ケース1をパチンコ機96から取り外した後、
図11(A)、(B)に示すように、蓋体5のカシメカバー40から露出している支持腕35(
図11(A)、(B)における斜線部分)を、ニッパ等の工具により切断する。ニッパ等の工具は、蓋体5の収納空間36により、刃先をこの空間に挿入して容易に支持腕35を切断することができる。支持腕35を切断すると、蓋体5から筒状部材34は分離され、この分離された筒状部材34は、固定部材50によってベース体3にのみ取り付けられている状態となる。
【0062】
そして、基板ケース1を裏返し、
図11(C)、(D)に示すように、ベース体3の支持腕15(
図11(C)、(D)における斜線部分)を、ニッパ等の工具により切断する。ニッパ等の工具は、ベース体3の収納空間16により、刃先をこの空間に挿入して容易に支持腕15を切断することができる。支持腕15を切断すると、ベース体3から筒状部材14は分離され、これにより、筒状部材14、筒状部材34、固定部材50は、
図15(B)に示す状態のまま、基板ケース1から完全に分離して取り除かれる。そして、ベース体3に対して蓋体5をスライドさせ、スライド固定部9とスライド固定部29との係合を解除する。これにより、基板ケース1の封止状態は完全に解除される。
【0063】
6.本実施形態の効果
(1)基板ケース1をパチンコ機96に装着した状態では、コネクタカバー7は、裏カバー97で上から覆うようにして基板ケース1側に圧接され、払出制御基板2のコネクタ4は、下側に位置するコネクタ4がコネクタカバー7により遮蔽され、上側に位置するコネクタ4が裏カバー97により遮蔽されている。従って、コネクタ4に不正しようとする
と、まず、裏カバー97を支障のない位置まで開放もしくは裏カバー97を取り外さなければならず、その結果、コネクタカバー7の開放に時間がかかり、コネクタ4に対する不正行為が困難になる。
【0064】
(2)パチンコ機96背面側のスペースに余裕がなく、仮に、コネクタカバー7の係止片79が基板ケース1に係止できないような状態(例えば、基板ケース1の下側に隣接して他の基板ケースが設けられて、係止片79がうまく入らないような状態)、つまり、コネクタカバー7の基板ケース1に対する取り付けが不安定な状態であっても、コネクタカバー7は、裏カバー97で基板ケース1側に圧接されているので、その結果、コネクタカバー7が基板ケース1から容易に外れてしまうことを防止できる。また、裏カバー97はパチンコ機96にもともとある構成であり、これを利用することで、新たな構成を付加することがなく、その結果、パチンコ機96背面側の限られたスペースを有効に活用することができる。
【0065】
(3)コネクタカバー7は、基板ケース1の全体を覆うのではなく、蓋体5の基板装着部24に対応する箇所を覆うようにしたので、つまり、コネクタカバー7は、基板ケース1の左右方向はカシメカバー40を含まない範囲を、基板ケース1の上下方向は上側のコネクタ4(開口26)を含まない範囲を覆うようにしたので、即ち上側のコネクタ4(開口26)は裏カバー97で覆うようにしたので、その分、コネクタカバー7を小さく形成することができ、その結果、コネクタカバー7が基板ケース1から外れやすくなってしまうことを防止できる。
【0066】
(4)コネクタカバー7は、中央部分は基板ケース1に当接させると共に、下側に設けた係止片79により基板ケース1に係止し、この逆側である上側に設けた上端突片6、リブ18のみを裏カバー97で基板ケース1側に圧接するようにしたので、その結果、テコの原理によりコネクタカバー7の基板ケース1に対する固定強度が増し、より安定的に基板ケース1にコネクタカバー7を保持することができる。加えて、このように構成することで、コネクタカバー7をより小さく形成することができる。
【0067】
(5)コネクタカバー7は、透明な材料にて形成され、さらに、もともと基板ケース1に設けられていた取付部材20aにカバー装着用取付部材20akを一体的に形成し、このカバー装着用取付部材20akにネジ23を螺入することで、基板ケース1に固定するようにしたので、つまり、基板ケース1にもともとある構成を利用し、新たな構成を付加することなくコネクタカバー7を基板ケース1に固定するようにしたので、その結果、従来からある基板ケース1の視認性を損なうことがなく、且つ基板ケース1の構造を複雑化させることを防止できる。即ち、コネクタカバー7を基板ケース1に固定するため、新たにカバー装着用取付部材を設けてしまうと、このカバー装着用取付部材やそれに螺入するネジ等によって、視認性が損なわれると共に、基板ケース1の構造が複雑化し、コストアップとなる。
【0068】
(6)コネクタカバー7は、肉厚が薄く形成され、基板ケース1は、コネクタカバー7が取り付けられた状態とコネクタカバー7が取り付けられていない状態とで、その大きさはほとんど変わらないようになっている。パチンコ機96の背面側は、様々な部品や装置等が密集して設けられ、余分なスペースや隙間はほとんどない。従って、基板ケース1にコネクタカバー7を取り付けて、コネクタ4に対する不正行為を防止するようにしても、パチンコ機96背面側の貴重なスペースを余分にとる必要はなく、その結果、パチンコ機96の設計に支障することがない。
【0069】
(7)裏カバー97は、コネクタカバー7や基板ケース1の全体を覆うのではなく、払出制御基板2の上側のコネクタ4(開口26)及びコネクタカバー7を基板ケース1に固
定しているネジ23までの箇所を覆うようにしたので、その分、裏カバー97を小さく形成することができ、その結果、コストを抑えることができる。しかも、裏カバー97は、パチンコ機96にもともとある構成であり、これを利用することで、新たな構成を付加することがなく、即ち、裏カバー97の下端部98を下方に延設するだけで、容易に上記した上側のコネクタ4とネジ23の箇所を覆うことができる。また、裏カバー97がネジ23の箇所を覆うことにより、ネジ23を不正に取り外そうとすると、まず、裏カバー97を支障のない位置まで開放もしくは裏カバー97を取り外さなければならず、その結果、コネクタカバー7の開放に時間がかかり、コネクタ4に対する不正行為が困難になる。
【0070】
(8)払出制御基板2の上側に位置するコネクタ4は、遊技盤側に取り付けられた主制御基板と接続され、遊技盤を交換するとき等で、頻繁に抜き差しが行われるコネクタであり、従って、この上側のコネクタ4をコネクタカバー7で覆ってしまうと、この配線作業が煩雑になってしまい、好ましくないが、本実施形態では、上側のコネクタ4は裏カバー97のみで覆うようにしたので、これにより、裏カバー97を開放するだけでこのような上側コネクタ4の配線作業を行うことができる。即ち、枠部材100側に取り付けられた球払出装置と接続され、ほとんど抜き差しが行われない払出制御基板2の下側に位置するコネクタ4は、コネクタカバー7で覆って不正対策を強化し、頻繁に抜き差しが行われる払出制御基板2の上側に位置するコネクタ4は、裏カバー97のみで覆って作業性も考慮に入れた不正対策を施しているのである。
【0071】
以上、本発明の実施形態に係わる遊技機を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加などがあっても本発明に含まれる。例えば、上述した実施形態においては、基板ケース1に収容する制御基板は、遊技球の払出制御を行う払出制御基板2で説明したが、これは遊技全体のメイン制御を行う主制御装置の主制御基板や、その他の制御基板を収容するようにしてもよい。また、裏カバー97は、第三者が容易に開放又は着脱できないように、ロック機構を設けるようにしてもよい。このようにすれば、制御基板のコネクタに対する不正行為を、さらに困難にして防止することができる。また、遊技機はパチンコ機96で説明したが、これは限定するものではなく、例えば、スロットマシンやアレパチ、雀球等、制御基板を収容する基板ケースが設置されるような遊技機に本発明を適用できることは、言うまでもない。