(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるトイレ装置を表す模式図である。
なお、
図1(a)は、本実施形態にかかるトイレ装置を斜め上方から眺めた模式的斜視図である。
図1(b)は、
図1(a)に表した切断面A−Aにおける模式的断面図である。但し、
図1(a)は、便蓋が開いた状態のトイレ装置を表している。
図1(b)は、便蓋が閉じた状態のトイレ装置を表している。
【0020】
本実施形態にかかるトイレ装置10は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)810と、その上に設けられた衛生洗浄装置110と、を備える。衛生洗浄装置110は、ケーシング410と、便座210と、便蓋310と、カバー部材330と、光源装置500と、を有する。便座210と便蓋310とは、ケーシング410に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【0021】
但し、ケーシング410は、必ずしも設けられていなくともよい。例えば、便座210と便蓋310とは、便器810に対して開閉自在にそれぞれ軸支されていてもよい。あるいは、本実施形態のトイレ装置10は、便器810を必ずしも備えていなくともよい。
【0022】
便器810は、ボウル部811を有する。便蓋310が閉じている状態では、ボウル部811は、便蓋310により覆われる。ボウル部811の表面には、光触媒層(「光触媒膜」ともいう)813が形成されている。
本願明細書において、「光触媒」とは、光を照射すると、酸化作用および還元作用の少なくともいずれかが促進されるものをいう。その結果、雑菌や細菌や臭気物質などの有機物を分解する分解作用と、表面が水に濡れやすい親水作用と、菌の繁殖を抑制するあるいは菌の活動を停止させる抗菌作用と、を得ることができる。光触媒層813が形成されたボウル部811は、汚物の付着を抑制したり、汚物を分解したり、付着した水垢を容易に除去できるため、便器810の清掃負担を軽減し、きれいな便器810を維持することができる。
【0023】
具体的には、光触媒層813が形成されたボウル部811の表面に紫外線を照射すると、その紫外線および空気中の水や酸素などにより、ボウル部811の表面に活性酸素が発生する。その活性酸素は、ボウル部811の表面に付着した汚れや雑菌や細菌や臭気物質などを分解する。また、その活性酸素は、揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)なども分解する。そのため、光触媒の分解作用により、ボウル部811の表面の抗菌や防汚や防臭を行うことができる。
【0024】
また、光触媒層813が形成されたボウル部811の表面に紫外線を照射すると、その表面には周囲の水との結合による親水基(−OH)が表出する。これにより、ボウル部811の表面は、水になじむようになり、濡れやすくなる(親水作用)。すなわち、ボウル部811の表面には水滴ができず、水が表面に濡れ広がるようになる。そして、予めボウル部811の表面を親水化することにより、汚れは、ボウル部811の表面に濡れ広がった水の表面に付着することになる。さらに、ボウル部811の洗浄に用いる洗浄水がボウル部811の表面とその表面に付着した汚れとの間に入り込み、汚れを浮かして流す。そのため、光触媒の親水作用により、ボウル部811の表面の防汚や防曇が可能となる。
【0025】
これらによれば、紫外線の照射と、光触媒の分解作用、親水作用および抗菌作用と、の相乗効果により効果的にボウル部811の抗菌や防汚や防臭を行うことができる。このような「光触媒」の材料としては、例えば、金属の酸化物を用いることができる。そのような酸化物としては、例えば、酸化チタン(TiOx)、酸化亜鉛(ZnOx)、酸化スズ(SnOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)などを挙げることができる。これらのうちでも、特に、酸化チタンは、光触媒として活性であり、また、安定性や安全性などの点でも優れる。
【0026】
本願明細書において、「紫外線」とは、400ナノメートル(nm)以下の波長に極大を有する光をいう。具体的には、紫外線とは、300nm以上、360nm以下の波長に極大を有する光をいう。なお、光触媒層813の詳細については、後に詳述する。
【0027】
光源装置500は、便蓋310とカバー部材330との間に設けられ、便蓋310が閉じた状態で便座210の着座面211と対面する便蓋310の面(裏面)313に取り付けられている。あるいは、光源装置500は、便蓋310とカバー部材330との間に設けられ、カバー部材330に固定されている。
【0028】
便蓋310は、尿素樹脂(ユリア樹脂)を主成分とする材料により形成されている。
図1(b)に表したように、カバー部材330は、便蓋310が閉じた状態において着座面211と対面する便蓋310の裏面313の略全体に設けられている。言い換えれば、カバー部材330は、便蓋310が閉じた状態においてケーシング410と対面する便蓋310の裏面313には設けられていない。カバー部材330の紫外線に対する耐性は、尿素樹脂の紫外線に対する耐性よりも高い。カバー部材330は、例えば、ポリプロピレンを主成分とする材料により形成されている。あるいは、カバー部材330は、アルミニウムなどの金属により形成されている。
【0029】
本願明細書において「耐性」とは、環境条件の変化(本実施形態では紫外線暴露)に耐えうる性質をいう。また、本願明細書において「耐性が高い」とは、物性の劣化や物性の低下が少ないことをいう。
【0030】
図1(b)に表したように、光源装置500は、冷陰極管510を有し、冷陰極管510から紫外線を照射することができる。
図1(a)に表したように、カバー部材330は、開口部331を有する。光源装置500は、便蓋310が閉じた状態において、カバー部材330の開口部331を通して便器810のボウル部811の表面に対して紫外線を照射することができる。
【0031】
本実施形態によれば、尿素樹脂の紫外線に対する耐性よりも高い耐性を有するカバー部材330が紫外線暴露のおそれのある便蓋310の裏面313の略全体に設けられている。具体的には、紫外線暴露による尿素樹脂の安定性の低下の度合いよりも低い度合いを有するカバー部材330が紫外線暴露のおそれのある便蓋310の裏面313の略全体に設けられている。そのため、紫外線暴露による便蓋310の安定性の低下を抑制することができる。これにより、便蓋310の外観や便蓋310の強度が低下することを比較的長い間にわたって抑制できるトイレ装置を提供することができる。
【0032】
図2は、本実施形態のカバー部材の設置形態の一例を例示する模試図である。
図3は、尿素樹脂の収縮を説明するためのグラフ図である。
図2(a)は、カバー部材が便蓋に固定された状態を表す模式的平面図である。
図2(b)は、
図2(a)に表した切断面B−Bにおける模式的断面図である。
図3に表したグラフ図の横軸は、尿素樹脂を成型してから経過した時間を表す。
図3に表したグラフ図の縦軸は、金型成型された尿素樹脂の製品寸法を表す。
【0033】
一般的に、樹脂の製品は、金型成型後から時間が経過すると冷却されるため収縮する。そのため、
図3に表したように、金型成型された尿素樹脂の製品の寸法は、金型成型後から約24時間が経過するまで減少する。このときに寸法が減少する度合いは、成型条件や製品の保管条件などにより変化する。
【0034】
続いて、
図3に表したように、尿素樹脂の寸法は、金型成型後から約24時間が経過するまでの間における勾配よりも緩やかな勾配で約3000時間が経過するまで減少する。このようにして、金型成型された尿素樹脂の製品寸法は、設計狙いの寸法と略同一となる。このときに寸法が減少する度合いは、尿素樹脂の製品の成型後の使用環境(例えば環境温度や時間など)により変化する。このように、尿素樹脂は、比較的長い時間にわたって収縮が進行するという性質を有する。
【0035】
これに対して本実施形態のカバー部材330は、1箇所において便蓋310に固定されている。例えば、
図2(a)および
図2(b)に表したように、カバー部材330は、1つのねじ453により便蓋310に固定されている。この場合には、
図2(b)に表したように、インサートナット451が便蓋310に埋設されている。ねじ453は、カバー部材330が便蓋310に保持された状態でインサートナット451に螺号されることによりカバー部材330を便蓋310に締結する。これによれば、ねじ453の螺号により尿素樹脂を主成分とする便蓋310が破損することを抑制することができる。
図2(b)に表したように、ねじ453の頭を覆い隠すキャップ455が設けられていてもよい。
【0036】
なお、カバー部材330の固定方法は、ねじ453だけに限定されるわけではない。例えば、カバー部材330は、例えばリベットやスナップフィットなどにより1箇所において便蓋310に固定されていてもよい。
【0037】
これによれば、便蓋310を形成する尿素樹脂は、カバー部材330の1箇所の固定位置を基点として収縮する。そのため、収縮を考慮したカバー部材330の形成を容易に行うことができる。また、カバー部材330が1箇所において便蓋310に固定されているため、尿素樹脂の収縮が阻害されることを抑制することができる。例えば、カバー部材330が2箇所以上において便蓋310に固定されている場合における尿素樹脂の亀裂などを抑制することができる。
【0038】
また、便蓋310に対するカバー部材330の固定位置は、便蓋310を左右に等分する中心線C1上に存在する。
【0039】
なお、本願明細書においては、便座210に座った使用者からみて上方を「上方」とし、便座210に座った使用者からみて下方を「下方」とする。また、便座210に座った使用者からみて前方を「前方」とし、便座210に座った使用者からみて後方を「後方」とする。あるいは、便器810の方向を向いて便器810の前に立った使用者からみて手前側を「前方」とし、便器810の方向を向いて便器810の前に立った使用者からみて奥側を「後方」とする。また、便器810の方向を向いて便器810の前に立った使用者からみて右側を「右側方」とし、便器810の方向を向いて便器810の前に立った使用者からみて左側を「左側方」とする。
【0040】
これによれば、ボウル部811と光源装置500との間における位置関係の影響を前後方向に略限定することができる。すなわち、光源装置500は、便蓋310あるいはカバー部材330に固定されているため、便蓋310が収縮すると、光源装置500の設置位置が変化する。すると、ボウル部811と光源装置500との間における相対位置が変化する。これに対して、本実施形態では、便蓋310に対するカバー部材330の1箇所の固定位置は、便蓋310を左右に等分する中心線C1上に存在する。そのため、ボウル部811と光源装置500との間における位置関係の影響を前後方向に略限定することができる。これにより、ボウル部811は左右対称の構造を有するため、ボウル部811に対する紫外線の強度のバランスが変化することを抑制することができる。
【0041】
図4は、本実施形態の便蓋を表す模式的平面図である。
図4は、便蓋310を裏面313の側からみたときの模式的平面図である。
【0042】
図4に表したように、便蓋310の裏面313の周囲部には、カバー部材330を受ける受け部315が設けられている。受け部315は、ケーシング410に対して軸支された便蓋310の基端部あるいは基端辺を除き、便蓋310の裏面313の周囲部の略全周にわたって設けられている(
図2参照)。
【0043】
受け部315の先端部には、複数の凸部が設けられている。凸部は、受け部315の先端部から便蓋310の中央部へ向かって突出している。
図4に表した便蓋310では、第1の凸部317a、第2の凸部317b、第3の凸部317c、第4の凸部317d、第5の凸部317e、第6の凸部317f、第7の凸部317g、第8の凸部317h、第9の凸部317i、第10の凸部317j(
図6参照)、第11の凸部317k(
図6参照)、第12の凸部317l(
図6参照)および第13の凸部317m(
図6参照)が設けられている。但し、凸部の設置数は、これにだけに限定されるわけではない。
【0044】
図4に表したように、第1の凸部317a〜第9の凸部317iは、互いに離隔して設けられている。そのため、便蓋310の裏面313の周囲部には、受け部315が存在する一方で凸部が存在しない部分がある。
【0045】
図5は、本実施形態のカバー部材を表す模式的斜視図である。
図5(a)は、本実施形態のカバー部材の全体を表す模式的斜視図であって、便蓋310の裏面313に対面する面の側からみたときの模式的斜視図である。
図5(b)は、
図5(a)に表した領域A1における模試的拡大図である。
【0046】
図5(a)に表したように、カバー部材330の面であって便蓋310の裏面313に対面する面332の周囲部には、便蓋310の凸部に挿入される複数の凹部が設けられている。
図5(a)に表したカバー部材330では、第1の凹部333a、第2の凹部333b、第3の凹部333c、第4の凹部333d、第5の凹部333e、第6の凹部333f、第7の凹部333g、第8の凹部333h、第9の凹部333i、第10の凹部333j、第11の凹部333lおよび第12の凹部333mが設けられている。但し、凹部の設置数は、これにだけに限定されるわけではない。
【0047】
図5(b)に表したように、第1の凹部333aは、便蓋310が閉じた状態における前方に開口する空洞部334aを有する。カバー部材330が便蓋310に保持されるときには、便蓋310の第1の凸部317aが第1の凹部333aの空洞部334aに挿入される。
図5(b)に表したように、第1の凹部333aは、突起部335aを有する。突起部335aは、空洞部334aに挿入された第1の凸部317aと接触可能であり、第1の凸部317aの挿入位置に応じて第1の凸部317aを締め付けるあるいは押し付けることができる。これについては、後に詳述する。
【0048】
第2の凹部333b〜第12の凹部333mの構造は、第1の凹部333aの構造と同様である。第2の凹部333b〜第12の凹部333mは、互いに離隔して設けられている。
【0049】
なお、本実施形態では、便蓋310の第2の凸部317bが、第2の凹部333bに挿入される。便蓋310の第3の凸部317cが、第3の凹部333cに挿入される。便蓋310の第4の凸部317dが、第4の凹部333dに挿入される。便蓋310の第5の凸部317eが、第5の凹部333eに挿入される。便蓋310の第6の凸部317fが、第6の凹部333fに挿入される。便蓋310の第7の凸部317gが、第7の凹部333gに挿入される。便蓋310の第8の凸部317hが、第8の凹部333hに挿入される。便蓋310の第9の凸部317iが、第9の凹部333iに挿入される。
【0050】
カバー部材330の略中央部には、開口部331が設けられている。開口部331の周囲には、第1の光源装置固定部339a、第2の光源装置固定部339b、第3の光源装置固定部339c、第4の光源装置固定部339d、第5の光源装置固定部339eおよび第6の光源装置固定部339fが設けられている。光源装置500は、カバー部材330に固定される場合には、第1の光源装置固定部339a、第2の光源装置固定部339b、第3の光源装置固定部339c、第4の光源装置固定部339d、第5の光源装置固定部339eおよび第6の光源装置固定部339fにおいてねじで固定される。
【0051】
図6は、本実施形態のカバー部材が便蓋に固定された状態を表す模式的平面図である。
図7〜
図13は、本実施形態の便蓋およびカバー部材を表す模式的断面図である。
図6〜
図13では、説明の便宜上、光源装置500を省略している。
【0052】
図7(a)は、
図6に表した切断面C−Cにおける模式的断面図である。
図7(b)は、
図7(a)に表した領域A2における模式的拡大図である。
【0053】
図7(a)および
図7(b)に表したように、カバー部材330が便蓋310に固定された状態では、便蓋310の第1の凸部317aは、カバー部材330の第1の凹部333aの空洞部334aに挿入されている。
図7(b)に表したように、第1の凸部317aは、くさび形状を有する。そのため、第1の凸部317aは、第1の凹部333aの空洞部334aの奥の方(
図7(b)では右方向)へ挿入されるにつれて締め付けられるあるいは押し付けられる。
【0054】
図5(b)に関して前述したように、第1の凹部333aの空洞部334aは、便蓋310が閉じた状態における前方に開口している。そのため、便蓋310を形成する尿素樹脂がカバー部材330の1箇所の固定位置を基点として収縮すると、第1の凸部317aは、第1の凹部333aの空洞部334aの中において前後方向に移動することができる。具体的には、カバー部材330の面332(
図5参照)の第1の端部332aと、便蓋310の裏面313(
図4参照)の第1の端部313aと、の間の距離D1は、尿素樹脂がカバー部材330の1箇所の固定位置を基点として収縮すると相対的に短くなる。一方、距離D1は、尿素樹脂がカバー部材330の1箇所の固定位置を基点として膨張すると相対的に長くなる。つまり、第1の凸部317aの構造および第1の凹部333aの構造により、カバー部材330は、便蓋310の収縮に追従することができる。
【0055】
図7(b)に表したように、カバー部材330の面332は、便蓋310の受け部315と接触している。言い換えれば、便蓋310の受け部315は、カバー部材330を受けている。そのため、便蓋310の裏面313の側から便蓋310をみると、カバー部材330の面332の第1の端部332aと、便蓋310の裏面313の第1の端部313aと、の間の隙間(距離D1の部分の隙間)には受け部315が見える。これにより、便蓋310とカバー部材330との間に生ずる隙間の見栄えの悪化を抑制することができる。また、便蓋310とカバー部材330との間に生ずる隙間から水などが進入することを抑制することができる。
【0056】
図8(a)は、
図6に表した切断面D−Dにおける模式的断面図である。
図8(b)は、
図8(a)に表した領域A3における模式的拡大図である。
【0057】
図8(a)および
図8(b)に表したように、第1の凸部317aとは離隔して設けられた第2の凸部317b、および第1の凹部333aとは離隔して設けられた第2の凹部333bにおいても、カバー部材330が便蓋310に固定された状態では、便蓋310の第2の凸部317bは、カバー部材330の第2の凹部333bの空洞部334bに挿入されている。他の保持構造は、
図7(a)および
図7(b)に関して前述した保持構造と同様である。
【0058】
図9(a)は、
図6に表した切断面E−Eにおける模式的断面図である。
図9(b)は、
図9(a)に表した領域A4における模式的拡大図である。
【0059】
図6に表したように、第1の凸部317aと第2の凸部317bとの間においては、凸部が設けられていない。そのため、
図9(a)および
図9(b)に表したように、第1の凸部317aと第2の凸部317bとの間においては、便蓋310の凸部は、カバー部材330の凹部には挿入されていない。
【0060】
一方、第1の凸部317aと第2の凸部317bとの間においても、受け部315が設けられている。そのため、便蓋310の凸部がカバー部材330の凹部に挿入されていない箇所であっても、便蓋310の受け部315は、カバー部材330を受けている。これにより、便蓋310のカバー部材330との間に生ずる隙間の見栄えの悪化を抑制することができる。また、便蓋310のカバー部材330との間に生ずる隙間から水などが進入することを抑制することができる。
【0061】
図10(a)は、
図6に表した切断面F−Fにおける模式的断面図である。
図10(b)は、
図10(a)に表した領域A5における模式的拡大図である。
【0062】
図10(a)および
図10(b)に表したように、カバー部材330が便蓋310に固定された状態では、便蓋310の第4の凸部317dは、カバー部材330の第4の凹部333dに挿入され、便蓋310の第5の凸部317eは、カバー部材330の第5の凹部333eに挿入されている。便蓋310の第5の凸部317eにおける保持構造は、便蓋310の第4の凸部317dにおける保持構造と同様であるため、以下、便蓋310の第4の凸部317dにおける保持構造について
図10(b)を参照しつつ説明する。
【0063】
便蓋310の第4の凸部317dは、カバー部材330の第4の凹部333dの空洞部334dに挿入されている。第4の凹部333dの空洞部334dは、便蓋310が閉じた状態における前方および右側方に開口している。そのため、便蓋310を形成する尿素樹脂がカバー部材330の1箇所の固定位置を基点として収縮すると、第4の凸部317dは、第4の凹部333dの空洞部334dの中において前後方向および左右方向に移動することができる。左右方向の移動について、具体的には、カバー部材330の面332の第2の端部332bと、便蓋310の裏面313の第2の端部313bと、の間の距離D2は、尿素樹脂がカバー部材330の1箇所の固定位置を基点として収縮すると相対的に短くなる。一方、距離D2は、尿素樹脂がカバー部材330の1箇所の固定位置を基点として膨張すると相対的に長くなる。つまり、第4の凸部317dの構造および第4の凹部333dの構造により、カバー部材330は、便蓋310の収縮に追従することができる。なお、便蓋310は、左右対称の構造を有するため、便蓋310を形成する尿素樹脂の左右方向の収縮は、略均等である。
【0064】
カバー部材330の面332は、便蓋310の受け部315と接触している。言い換えれば、便蓋310の受け部315は、カバー部材330を受けている。これにより、
図7(a)および
図7(b)に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0065】
図11(a)は、
図6に表した切断面G−Gにおける模式的断面図である。
図11(b)は、
図11(a)に表した領域A6における模式的拡大図である。
【0066】
図11(a)および
図11(b)に表したように、カバー部材330が便蓋310に固定された状態では、便蓋310の第8の凸部317hは、カバー部材330の第8の凹部333hに挿入され、便蓋310の第9の凸部317iは、カバー部材330の第9の凹部333iに挿入されている。便蓋310の第8の凸部317hは、カバー部材330の第8の凹部333hの空洞部334hに挿入されている。便蓋310の第8の凸部317hにおける保持構造は、便蓋310の第8の凸部317hにおける保持構造と同様である。また、他の保持構造は、
図10(a)および
図10(b)に関して前述した保持構造と同様である。
【0067】
図12(a)は、
図6に表した切断面H−Hにおける模式的断面図である。
図12(b)は、
図12(a)に表した領域A7における模式的拡大図である。
【0068】
図6に表したように、第5の凸部317eと第7の凸部317gとの間においては、凸部が設けられていない。そのため、
図12(a)および
図12(b)に表したように、第5の凸部317eと第7の凸部317gとの間においては、便蓋310の凸部は、カバー部材330の凹部には挿入されていない。
【0069】
一方、第5の凸部317eと第7の凸部317gとの間においても、受け部315が設けられている。そのため、便蓋310の凸部がカバー部材330の凹部に挿入されていない箇所であっても、便蓋310の受け部315は、カバー部材330を受けている。これにより、
図9(a)および
図9(b)に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0070】
図13は、
図6に表した切断面I−Iにおける模式的断面図である。
図13に表したように、カバー部材330が便蓋310に固定された状態では、便蓋310の第12の凸部317lは、カバー部材330の第11の凹部333lの空洞部334lに挿入されている。
【0071】
第11の凹部333lの空洞部334lは、便蓋310が閉じた状態における前方に開口している。そのため、便蓋310を形成する尿素樹脂がカバー部材330の1箇所の固定位置を基点として収縮すると、第12の凸部317lは、第11の凹部333lの空洞部334lの中において前後方向に移動することができる。これにより、
図7(a)および
図7(b)に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0072】
図7〜
図13に関して前述した保持構造により、カバー部材330は、便蓋310に保持される。そして、
図2に関して前述した例えばねじ453などにより、カバー部材330は、1箇所において便蓋310に固定されている。
【0073】
図14は、本実施形態のカバー部材が便蓋に固定された状態を表す模式的斜視図である。
図15は、本実施形態の回転止め部を表す模式図である。
図15(a)は、
図14に表した領域A8における模式的拡大図である。
図15(b)は、
図15(a)に表した切断面I−Iにおける模式的断面図である。
図14では、説明の便宜上、光源装置500を省略している。
【0074】
図14に表したように、便蓋310を左右に等分する中心線上C1に回転止め部340が設けられている。
図15(a)に表したように、回転止め部340は、軸319と、挟設部337と、を有する。
図15(b)に表したように、カバー部材330が便蓋310に固定された状態において、軸319は、便蓋310の裏面313からカバー部材330の面332へ向かって突出している。挟設部337は、第1の壁部337aと、第2の壁部337bと、を有する。
図15(b)に表したように、カバー部材330が便蓋310に固定された状態において、第1の壁部337aおよび第2の壁部337bは、カバー部材330の面332から便蓋310の裏面313へ向かって突出している。
【0075】
図14に表した矢印A11の方向へカバー部材330を移動させ便蓋310に保持させると、軸319は、挟設部337に対して相対的に
図15(a)に表した矢印A12の方向へ移動する。すると、軸319は、第1の壁部337aと第2の壁部337bとの間に挟設される。これにより、軸319の左右方向の移動は抑制される。一方、
図15(a)および
図15(b)に表したように、挟設部337は、便蓋310が閉じた状態における前後方向に開放されている。そのため、軸319の前後方向の移動は抑制されず自由である。
【0076】
これによれば、便蓋310を形成する尿素樹脂がカバー部材330の1箇所の固定位置を基点として収縮すると、軸319は、第1の壁部337aと第2の壁部337bとの間において前後方向に移動することができる。そのため、カバー部材330は、便蓋310の収縮に追従することができ、カバー部材330自身が変形あるいは破損することを抑制することができる。
【0077】
一方、便蓋310を形成する尿素樹脂がカバー部材330の1箇所の固定位置を基点として収縮しても、軸319は、左右方向への移動を抑制される。そのため、便蓋310とカバー部材330との間の左右方向の隙間(例えば距離D2(
図10参照)の部分の隙間)を均等化することができる。これにより、便蓋310のカバー部材330との間に生ずる隙間の見栄えの悪化を抑制することができる。
【0078】
図16は、光触媒層の一例を例示する模式的断面図である。
本実施形態の光触媒層813は、バリア層813aと、機能層813bと、を有する。例えば、光触媒層813としては、TiO
2/ZrO
2系触媒焼成膜が用いられる。例えば、バリア層813aにおけるTiO
2とZrO
2との配合比率は、機能層813bにおけるTiO
2とZrO
2との配合比率とそれぞれ異なる。但し、
図16に表した光触媒層813は、一例である。本実施形態の光触媒層813は、これだけに限定されるわけではない。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便蓋310およびカバー部材330などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などやカバー部材330および光源装置500の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。