(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記構成の車両用灯具200においては、光源220からの光が効率よく入光するように、入光面218が光源220を取り囲むように配置されている(すなわち、光源220と光学部材210とが接近して配置されている)ため、光源220の熱の影響により光学部材210が黄変及び/又は変形するという問題がある(特に、光学部材210が樹脂レンズである場合)。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、半導体発光素子を含む光源と光学部材とを組み合わせた構造の車両用灯具において、光源の熱の影響により光学部材が黄変及び/又は変形するのを抑制することができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、半導体発光素子を含む光源と、光学部材と、前記光源と前記光学部材とを支持する支持部材と、を含む少なくとも一つの光学モジュールを備えた車両用灯具において、前記光源は、前記光学部材と前記支持部材との間に配置されており、前記光学部材は、後面、前面を含んでおり、前記光学部材の後面は、前記光源が対向する箇所に入光面を含んでおり、前記光学部材は、前記入光面から入光する前記光源からの光が前記前面の少なくとも一部で反射し、さらに、前記後面の少なくとも一部で反射した後、前記前面の少なくとも一部から出射して前方に照射されるように構成されており、前記光学部材は、前記光学部材と前記支持部材との間に、空気が対流する空間が構成された状態で、前記支持部材に支持されて
おり、前記支持部材は、ベース部と、前記ベース部の前面から前方に突出した台座部と、を含んでおり、前記光学部材の後面は、前記台座部が対向する箇所に形成された前記入光面を含む上下方向に延びた溝部を含んでおり、前記光学部材は、前記溝部と前記台座部との間に、前記空気が対流する空間としての筒部が構成された状態で、前記支持部材に支持されており、前記光源は、前記台座部に支持されて前記筒部内に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、光学部材と支持部材との間に空気が対流する空間が構成され、当該空間において空気が対流することで、光源で発生する熱が効率よく放熱される結果、半導体発光素子を含む光源と光学部材とを組み合わせた構造の車両用灯具において、光源の熱の影響により光学部材が黄変及び/又は変形するのを抑制することができる。
【0013】
請求項
1に記載の発明によれば、溝部と台座部との間に空気が対流する空間としての筒部が構成され、当該筒部において空気が対流することで、光源で発生する熱が効率よく放熱される結果、半導体発光素子を含む光源と光学部材とを組み合わせた構造の車両用灯具において、光源の熱の影響により光学部材が黄変及び/又は変形するのを抑制することができる。
【0014】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の発明において、前記光学部材と前記ベース部との間には、前記空気が対流する空間が構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項
2に記載の発明によれば、光学部材とベース部との間に空気が対流する空間が構成され、当該空間において空気が対流することで、光源で発生する熱(特に、光源で発生し、光学部材へ伝わる熱)が「さらに」効率よく放熱される結果、半導体発光素子を含む光源と光学部材とを組み合わせた構造の車両用灯具において、光源の熱の影響により光学部材が黄変及び/又は変形するのを「さらに」抑制することができる。
【0016】
請求項
3に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の発明において、前記光学部材は、光学部材本体と、前記光学部材本体を前記支持部材に固定する固定部と、を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項
3に記載の発明によれば、光学部材が光学部材本体と光学部材本体を支持部材に固定する固定部とを含んでいるため、固定部を単独の部品として構成しなくてもよい。
【0018】
請求項
4に記載の発明は、請求項
1又は
2に記載の発明において、前記ベース部の後面は、複数の放熱フィンを備えており、前記複数の放熱フィンは、前記筒部が開口している方向と平行の方向へ延伸していることを特徴とする。
【0019】
請求項
4に記載の発明によれば、複数の放熱フィンが、筒部が開口している方向と平行の方向へ延伸して、複数の放熱フィン間に空気が対流する空間が構成され、当該空間において空気が対流することで、光源で発生する熱が「さらに」効率よく放熱される結果、半導体発光素子を含む光源と光学部材とを組み合わせた構造の車両用灯具において、光源の熱の影響により光学部材が黄変及び/又は変形するのを「さらに」抑制することができる。
【0020】
請求項
5に記載の発明は、半導体発光素子を含む光源と、光学部材と、前記光源と前記光学部材とを支持する支持部材と、を含む少なくとも一つの光学モジュールを備えた車両用灯具において、前記支持部材は、ベース部を含んでおり、前記ベース部の前面は、当該前面から前方に突出した台座部と、当該台座部の両側に配置された第1領域、第2領域と、を含んでおり、前記光学部材の後面は、前記台座部が対向する箇所に形成された入光面を含む
上下方向に延びた溝部と、当該溝部の両側に配置された第1後面、第2後面と、を含んでおり、前記光学部材の前面は、前記第1後面の前方に配置された第1前面と、前記第2後面の前方に配置された第2前面と、を含んでおり、前記光学部材は、前記入光面から入光する前記光源からの光が前記第1前面及び前記第2前面の少なくとも一部で反射し、さらに、前記第1後面及び前記第2後面の少なくとも一部で反射した後、前記第1前面及び前記第2前面の少なくとも一部から出射して前方に照射されるように構成されており、前記光学部材は、前記溝部と前記台座部との間に、空気が対流する空間としての筒部が構成された状態で、前記支持部材に支持されており、前記光源は、前記台座部に支持されて前記筒部内に配置されていることを特徴とする。
【0021】
請求項
5に記載の発明によれば、溝部と台座部との間に空気が対流する空間としての筒部が構成され、当該筒部において空気が対流することで、光源で発生する熱が効率よく放熱される結果、半導体発光素子を含む光源と光学部材とを組み合わせた構造の車両用灯具において、光源の熱の影響により光学部材が黄変及び/又は変形するのを抑制することができる。
【0022】
請求項
6に記載の発明は、請求項
5に記載の発明において、前記光学部材の第1後面及び第2後面と前記ベース部の前面の第1領域及び第2領域との間には、空気が対流する空間が構成されていることを特徴とする。
【0023】
請求項
6に記載の発明によれば、光学部材の第1後面及び第2後面とベース部の前面の第1領域及び第2領域との間に空気が対流する空間が構成され、当該空間において空気が対流することで、光源で発生する熱(特に、光源で発生し、光学部材へ伝わる熱)が「さらに」効率よく放熱される結果、半導体発光素子を含む光源と光学部材とを組み合わせた構造の車両用灯具において、光源の熱の影響により光学部材が黄変及び/又は変形するのを「さらに」抑制することができる。
【0024】
請求項
7に記載の発明は、請求項
5又は
6に記載の発明において、前記溝部は、V溝であることを特徴とする。
【0025】
請求項
7に記載の発明によれば、V溝を一対の入光面として用いることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、半導体発光素子を含む光源と光学部材とを組み合わせた構造の車両用灯具において、光源の熱の影響により光学部材が黄変及び/又は変形するのを抑制することができる車両用灯具を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態である車両用灯具(車両用前照灯)について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)は自動車等の車両の前部の左右に配置される車両用灯具のうち、左側に配置される車両用灯具10の上面図、
図1(b)は正面図、
図1(c)は斜視図、
図1(d)は側面図である。左側に配置される車両用灯具10と右側に配置される車両用灯具とは、左右対称で実質的に同一の構成である。このため、以下、左側に配置される車両用灯具10を中心に説明し、右側に配置される車両用灯具の説明は省略する。
【0029】
図1(a)〜
図1(d)に示すように、車両用灯具10は、2つのハイビーム用光学モジュール20、2つのロービーム用光学モジュール30A、30Bの合計4つの光学モジュールを備えている。各光学モジュール20、30A、30Bは、灯具正面から見て、斜め右上がりの方向に一列に並んだ状態で配置され、かつ、車両中心寄りのユニットほど車両前方側に配置されている。各光学モジュール20、30A、30Bは、それぞれの発光領域間の距離が15mm以下となるように、ブラケット(図示せず)に固定されている。これにより、各光学モジュール20、30A、30Bの発光領域を全体で一つの発光領域として視認させることができる。
【0030】
まず、ハイビーム用光学モジュール20について説明する。
【0031】
図2(b)は、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に形成されるハイビーム用配光パターンP
Hiの例である。
【0032】
2つのハイビーム用光学モジュール20は、ハイビーム用配光パターンP
Hi中の集光領域P1(
図2(b)参照)を形成する光学モジュールである。
【0033】
図3は、ハイビーム用光学モジュール20の分解斜視図である。
図4(a)はハイビーム用光学モジュール20の上面図、
図4(b)は正面図、
図4(c)は斜視図、
図4(d)は側面図である。
図5(a)は
図4(b)に示したハイビーム用光学モジュール20のA−A断面図、
図5(b)はB−B断面図である。
【0034】
図3に示すように、ハイビーム用光学モジュール20は、半導体発光素子22bを含む光源22、光学部材24、光源22と光学部材24とを支持する支持部材26を含み、これらが
図4、
図5に示すように組み合わされて、いわゆるダイレクトプロジェクション型(直射型とも称される)の光学モジュール(又は灯具ユニット)を構成している。
【0035】
図6(a)は支持部材26の上面図、
図6(b)は正面図、
図6(c)は斜視図、
図6(d)は側面図である。
【0036】
支持部材26は、アルミダイカスト等の金属製で、
図6(a)〜
図6(d)に示すように、矩形板状のベース部26a、ベース部26aの前面の四隅にそれぞれ配置され、光学部材24が当接する台座部26b、ベース部26aの前面のうち左右方向の略中央に配置され、光源22が固定される台座部26c、ベース部26aの左右両端部に配置され、光学部材24の脚部30の係止穴30aに係合する爪部26d、ベース部26aの後面に水平方向に間隔をおいて配置される複数の放熱フィン26g等を備えている。
【0037】
ベース部26aの前面は、四隅から前方に一段高く突出した、光学部材24が当接する台座部26b、左右方向の略中央部から前方に一段高く突出した、光源22が固定される台座部26c、台座部26cの左右両側に配置された第1領域26e、第2領域26fを含んでいる。
【0038】
下側の2つの台座部26bの先端面は、位置決めピン26b1を含んでいる。位置決めピン26b1は、光学部材24に形成された位置決め穴28dに挿入されるピンで、光学部材24を支持部材26に対して位置決めするために用いられる。
【0039】
台座部26cは、ベース部26aの下端縁からベース部26aの上端縁より所定距離h下方の位置まで延びている(
図5(b)、
図6(b)参照)。台座部26cの先端面は、位置決めピン26c1、ネジ穴26c2、熱伝導部材用溝部26c3を含んでいる。位置決めピン26c1は、光源22(基板22aの裏面)に形成された位置決め穴(図示せず)に挿入されるピンで、光源22を支持部材26に対して位置決めするために用いられる。
【0040】
図3に示すように、光源22は、例えば、金属製の基板22a、当該基板22aの表面に実装された半導体発光素子22b等を備えている。半導体発光素子22bは、例えば、発光色が青系のLEDとこれを覆う黄色系の蛍光体(例えば、YAG蛍光体)とを組み合わせた構造の半導体発光素子(例えば、1mm角の発光面を含む発光ダイオード×4)で、基板22aの表面に所定間隔をおいて一列に実装されて、横長矩形の発光面(発光部)を構成している。
【0041】
半導体発光素子22bは、上記に限られず、RGB三色のLED(又はレーザーダイオード)を組み合わせた構造の半導体発光素子であってもよいし、その他構造の半導体発光素子であってもよい。なお、半導体発光素子22bは、1以上であればよい。
【0042】
光源22は、支持部材26の台座部26cに支持されて、光学部材24と支持部材26との間に配置されている。具体的には、光源22は、基板22aの裏面に形成された位置決め穴(図示せず)に支持部材26の位置決めピン26c1を挿入することで、支持部材26に対して位置決めされている。そして、光源22は、
図5(b)に示すように、基板22aに形成された貫通穴22a1に挿入されたネジN1が、支持部材26(台座部26c)のネジ穴26c2に螺合することで、支持部材26(台座部26c)に固定されている。
【0043】
光源22(基板22aの裏面)と支持部材26(台座部26cの先端面に形成された熱伝導部材用溝部26c3)との間には、光源22と支持部材26との間の伝熱性を高める観点から、熱伝導グリス(サーマルグリス)、熱伝導シート等の熱伝導性部材(図示せず)が配置されている。これにより、光源22(半導体発光素子22b)で発生する熱の放熱経路(すなわち、基板22a→熱伝導性部材→台座部26c→ベース部26a→放熱フィン26g)が構成されている。
【0044】
なお、半導体発光素子22bの駆動電流は、基板22aの下端部に装着されるカプラ(図示せず)から基板22a上の配線パターン(図示せず)を介して供給されるように構成されている。
【0045】
図7(a)は光学部材24の上面図、
図7(b)は正面図、
図7(c)は背面図、
図7(d)は斜視図、
図7(e)は側面図である。
【0046】
光学部材24は、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂製で、
図7(a)〜
図7(e)に示すように、光学部材本体28、光学部材本体28の左右両側から支持部材26に向かって延びる一対の脚部30等を含んでいる。光学部材24は、例えば、射出成形により一体成形されている。
【0047】
図5(a)等に示すように、光学部材本体28は、入光面28a、前面28b、後面28c及び入光面28a側の光学設計上の基準点Fを含む透光部材で、入光面28aから入光する光源22からの光が光学部材本体28の前面28b(第1前面28b1及び第2前面28b2)の少なくとも一部で反射し、さらに、後面28c(第1後面28c1及び第2後面28c2)の少なくとも一部で反射した後、前面28b(第1前面28b1及び第2前面28b2)の少なくとも一部から出射して前方に照射されるように構成されている。
【0048】
図7(b)、
図7(d)に示すように、光学部材本体28の前面28bは、第1後面28c1の前方に配置された第1前面28b1と、第2後面28c2の前方に配置された第2前面28b2と、第1前面28b1と第2前面28b2との間の中間領域28b3を含んでいる。
【0049】
第1前面28b1及び第2前面28b2は、入光面28aから入光する光源22からの光の入射角が臨界角を超える領域で、入光面28aから入光する光源22からの光を後面28c(第1後面28c1及び第2後面28c2)に向けて全反射するとともに、後面28c(第1後面28c1及び第2後面28c2)からの反射光が出射する領域である。
【0050】
中間領域28b3は、入光面28aから入光する光源22からの光の入射角が臨界角未満となる領域で、当該入光面28aから入光する臨界角未満の光を後面28c(第1後面28c1及び第2後面28c2)に向けて反射する領域である。入光面28aから入光する臨界角未満の光を後面28cに向けて反射するため、中間領域28b3には、アルミ蒸着等による鏡面処理が施されて反射膜が形成されている(
図7(b)、
図7(d)中のハッチング領域参照)。
【0051】
図5(a)、
図7(c)に示すように、光学部材本体28の後面28cは、支持部材26の台座部26cが対向する箇所に形成された矩形溝部28c3と、矩形溝部28c3の底面に形成された入光面28aを含むV溝部28c4と、矩形溝部28c3(V溝部28c4)の両側に配置された第1後面28c1、第2後面28c2と、を含んでいる。
【0052】
第1後面28c1及び第2後面28c2は、前面28bからの反射光を前面28b(第1前面28b1、第2前面28b2)に向けて反射し、前面28b(第1前面28b1、第2前面28b2)から出射させる領域である。前面28bからの反射光を前面28b(第1前面28b1、第2前面28b2)に向けて反射し、前面28b(第1前面28b1、第2前面28b2)から出射させるため、第1後面28c1及び第2後面28c2には、アルミ蒸着等による鏡面処理が施されて反射膜が形成されている(
図7(c)中のハッチング領域参照)。
【0053】
矩形溝部28c3は、支持部材26の台座部26cの先端部が挿入される溝部で、光学部材本体28の後面28cのうち支持部材26の台座部26cが対向する箇所において上下方向に延びた状態で形成されている。
【0054】
V溝部28c4は、矩形溝部28c3の底面において上下方向に延びた状態で形成されている。V溝部28c4を構成する左右の面(
図7(c)参照)は、一対の入光面28aとして用いられる。なお、V溝部28c4を構成する左右の面(一対の入光面28a)は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
【0055】
光学部材24(光学部材本体28)の基準点Fは、V溝部28c4内に位置していてもよいし、V溝部28c4外に位置していてもよい。本実施形態では、光学部材24への入光効率を高める観点から、光学部材24(光学部材本体28)の基準点Fは、V溝部28c4内に位置している(
図5(a)参照)。
【0056】
光学部材本体28の入光面28a、前面28b及び後面28c(第1後面28c1及び第2後面28c2)のうち少なくとも一つは、入光面28aから光学部材本体28内部に入光し、前面28b及び後面28c(第1後面28c1及び第2後面28c2)で反射された後に、前面28b(第1前面28b1、第2前面28b2)から出射して前方に照射される光源22からの光(半導体発光素子の光源像)が、仮想鉛直スクリーン上に、ハイビーム用配光パターンP
Hi中の集光領域P1(
図2(b)参照)を形成するように、その面形状が設計されている。各面の設計手法については、例えば、米国特許第7460985号に詳しく記載されている。
【0057】
光学部材24は、支持部材26に支持されて、光源22の前方に配置されている。具体的には、光学部材24は、光学部材24に形成された位置決め穴28dに支持部材26の位置決めピン26b1を挿入し、かつ、光学部材24の矩形溝部28c3に光源22が固定された支持部材26の台座部26cの先端部を挿入することで、支持部材26に対して位置決めされている。そして、光学部材24は、脚部30の係止穴30aに支持部材26のベース部26aの爪部26dが係合することで、支持部材26に固定されている(
図4(c)、
図5(a)参照)。光源22(横長矩形の発光面)は、光学部材24(光学部材本体28)の基準点F(又はその近傍)に位置している。なお、光学部材24と支持部材26とは、上記フック構造に代えて、ネジで固定してもよい。
【0058】
図5(a)、
図5(b)に示すように、光学部材24は、V溝部28c4と支持部材26の台座部26cとの間に、空気が対流する空間としての筒部S1(上下方向に貫通している)が構成された状態で、支持部材26に固定されている。そして、光源22は、筒部S1内に配置された状態で支持部材26の台座部26c(先端面)に固定されている。
【0059】
図5(b)に示すように、光学部材本体28の上端部は、上方に向かうに従って支持部材26のベース部26a側へ近づくように延びて、光学部材本体28の上端部とベース部26aの上端部との間に筒部S1が連続する空間S2を構成するとともに、前方斜め上方から筒部S1の上端開口が視認されないように、筒部S1の上端開口を覆っている。
【0060】
図5(a)に示すように、光学部材24の後面(第1後面28c1及び第2後面28c2)とベース部26aの前面(第1領域26e及び第2領域26f)との間には、空気が対流する空間S3、S4が構成されている。
【0061】
上記構成のハイビーム用光学モジュール20においては、光源22(半導体発光素子22b)で発生する熱は、空気が対流する空間としての筒部S1及びこれに連続する空間S2において空気が上下方向に対流する(煙突効果)ことで、効率よく放熱される。なお、筒部S1における空気の対流特性を高める観点から、V溝部28c4を構成する左右の面(一対の入光面28a)は、平面(例えば、鉛直面)であるのが望ましい。
【0062】
また、光源22(半導体発光素子22b)で発生する熱(特に、光源22で発生し、光学部材24へ伝わる熱)は、空気が対流する空間S3、S4において空気が上下方向に対流することで、「さらに」効率よく放熱される。
【0063】
また、上記構成のハイビーム用光学モジュール20においては、光源22(半導体発光素子22b)で発生する熱は、基板22a→熱伝導性部材→台座部26c→ベース部26a→放熱フィン26gの経路を経て、放熱フィン26gから周辺空気へ放出される。その際、
図4(c)に示すように、複数の放熱フィン26gは支持部材26のベース部26aの後面に水平方向に間隔をおいて配置されている(すなわち、複数の放熱フィン26gは、筒部S1が開口している方向(
図4(c)中上下方向)と平行の方向へ延伸している)ため、光源22(半導体発光素子22b)で発生する熱は、複数の放熱フィン26g間の空間において空気が上下方向に対流することで、「さらに」効率よく放熱される。
【0064】
次に、ロービーム用光学モジュール30Aについて説明する。
【0065】
図2(a)は、仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンP
Loの例である。
【0066】
ロービーム用光学モジュール30Aは、ロービーム用配光パターンP
Lo中の集光領域P2(
図2(a)参照)を形成する光学モジュールである。
【0067】
ロービーム用光学モジュール30Aは、ハイビーム用光学モジュール20と同様、半導体発光素子22bを含む光源22、光学部材24、光源22と光学部材24とを支持する支持部材26を含み、これらが
図4、
図5に示すように組み合わされて、いわゆるダイレクトプロジェクション型(直射型とも称される)の光学モジュール(又は灯具ユニット)を構成している。
【0068】
一方、ロービーム用光学モジュール30Aは、ハイビーム用光学モジュール20と比べ、光学部材本体28の入光面28a、前面28b及び後面28c(第1後面28c1及び第2後面28c2)のうち少なくとも一つが、入光面28aから光学部材本体28内部に入光し、前面28b及び後面28c(第1後面28c1及び第2後面28c2)で反射された後に、前面28b(第1前面28b1、第2前面28b2)から出射して前方に照射される光源22からの光(半導体発光素子の光源像)が、仮想鉛直スクリーン上に、ロービーム用配光パターン
Lo中の集光領域P2(
図2(a)参照)を形成するように、その面形状が設計されている点で異なっている。
【0069】
次に、ロービーム用光学モジュール30Bについて説明する。
【0070】
ロービーム用光学モジュール30Bは、ロービーム用配光パターンP
Lo中の拡散領域P3(
図2(a)参照)を形成する光学モジュールである。
【0071】
ロービーム用光学モジュール30Bは、ハイビーム用光学モジュール20と同様、半導体発光素子22bを含む光源22、光学部材24、光源22と光学部材24とを支持する支持部材26を含み、これらが
図4、
図5に示すように組み合わされて、いわゆるダイレクトプロジェクション型(直射型とも称される)の光学モジュール(又は光学モジュール)を構成している。
【0072】
一方、ロービーム用光学モジュール30Bは、ハイビーム用光学モジュール20と比べ、光学部材本体28の入光面28a、前面28b及び後面28c(第1後面28c1及び第2後面28c2)のうち少なくとも一つが、入光面28aから光学部材本体28内部に入光し、前面28b及び後面28c(第1後面28c1及び第2後面28c2)で反射された後に、前面28b(第1前面28b1、第2前面28b2)から出射して前方に照射される光源22からの光(半導体発光素子の光源像)が、仮想鉛直スクリーン上に、ロービーム用配光パターン
Lo中の拡散領域P3(
図2(a)参照)を形成するように、その面形状が設計されている点で異なっている。
【0073】
次に、各光学モジュール20、30A、30Bの動作例(ハイビーム用配光パターンP
Hi又はロービーム用配光パターンP
Loに切り換える動作例)について説明する。
【0074】
ハイビーム用配光パターンP
Hi又はロービーム用配光パターンP
Loの切り換えは、各光学モジュール20、30A、30B(それぞれの光源22)が電気的に接続されたECU等の制御回路(図示せず)によって行われる。
【0075】
制御回路は、各光学モジュール20、30A、30B(それぞれの光源22)の点灯状態(点灯又は消灯)を個別に制御することで、ハイビーム用配光パターンP
Hi又はロービーム用配光パターンP
Loに切り換える。
【0076】
例えば、ハイビーム用配光パターンP
Hiを形成する場合、制御回路は、
図8(c)に示すように、各光学モジュール20、30A、30B(それぞれの光源22)が点灯するように、各光学モジュール20、30A、30B(それぞれの光源22)を制御する。
図8(c)中、ハッチングされていない白色の領域は、各光学モジュール20、30A、30B(それぞれの光源22)が点灯されて発光している発光領域を表している。
【0077】
以上のように、各光学モジュール20、30A、30B(それぞれの光源22)が点灯することで、
図2(b)に示すように、2つのハイビーム用光学ユニット20により形成されるハイビーム用配光パターンP
Hi中の集光領域P1と、ロービーム用光学モジュール30Aにより形成される集光領域P2と、ロービーム用光学モジュール30Bにより形成される拡散領域P3とが重畳されたハイビーム用配光パターンP
Hiが形成される。
【0078】
一方、ロービーム用配光パターンP
Loを形成する場合、制御回路は、
図8(b)に示すように、光学モジュール20(光源22)が消灯し、光学モジュール30A、30B(それぞれの光源22)が点灯するように、各光学モジュール20、30A、30B(それぞれの光源22)を制御する。
図8(b)中、ハッチングされていない白色の領域は、光学モジュール30A、30B(それぞれの光源22)が点灯されて発光している発光領域を表している。
【0079】
以上のように、光学モジュール20(光源22)が消灯し、光学モジュール30A、30B(それぞれの光源22)が点灯することで、
図2(a)に示すように、ロービーム用光学モジュール30Aにより形成される集光領域P2と、ロービーム用光学モジュール30Bにより形成される拡散領域P3とが重畳されたロービーム用配光パターンP
Loが形成される。
【0080】
以上説明したように、本実施形態の車両用灯具10を構成する各光学モジュール20、30A、30Bによれば、V溝部28c4と台座部26cとの間に空気が上下方向に対流する空間としての筒部S1(及びこれに連続する空間S2)が構成され、当該筒部S1(及びこれに連続する空間S2)において空気が上下方向に対流することで、光源22で発生する熱が効率よく放熱される結果、半導体発光素子22bを含む光源22と光学部材24とを組み合わせた構造の車両用灯具10において、光源22の熱の影響により光学部材24が黄変及び/又は変形するのを抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態の車両用灯具10を構成する各光学モジュール20、30A、30Bによれば、光学部材24の第1後面28c1及び第2後面28c2とベース部26aの前面の第1領域26e及び第2領域26fとの間に空気が上下方向に対流する空間S3、S4が構成され、当該空間S3、S4において空気が上下方向に対流することで、光源22で発生する熱(特に、光源22で発生し、光学部材24へ伝わる熱)が「さらに」効率よく放熱される結果、半導体発光素子22bを含む光源22と光学部材24とを組み合わせた構造の車両用灯具10において、光源22の熱の影響により光学部材24が黄変及び/又は変形するのを「さらに」抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態の車両用灯具10を構成する各光学モジュール20、30A、30Bによれば、複数の放熱フィン26gが、筒部S1が開口している方向と平行の方向へ延伸して、複数の放熱フィン26g間に空気が上下方向に対流する空間が構成され、当該空間において空気が上下方向に対流することで、光源22で発生する熱が「さらに」効率よく放熱される結果、半導体発光素子22bを含む光源22と光学部材24とを組み合わせた構造の車両用灯具10において、光源22の熱の影響により光学部材24が黄変及び/又は変形するのを「さらに」抑制することができる。
【0083】
次に、支持部材26及び光学部材24の変形例(支持部材26A及び光学部材24A)について説明する。
【0084】
本変形例の支持部材26A及び光学部材24Aによれば、空気が対流する空間としての筒部S1Aを、上下方向にストレートに延びる筒部(上下方向に貫通している)として構成することができるため、上記実施形態の筒部S1と比べ、空気の対流特性をより高めることができる。その結果、光源22(半導体発光素子22b)で発生する熱をより効率よく放熱することができる。
【0085】
これを実現するため、本変形例の支持部材26A及び光学部材24Aは、次のように構成されている。
【0086】
図9(a)は支持部材26Aの上面図、
図9(b)は正面図、
図9(c)は斜視図、
図9(d)は側面図である。
【0087】
図9(a)〜
図9(d)に示すように、本変形例の支持部材26Aの台座部26cは、ベース部26aの下端縁からベース部26aの上端縁まで延びている。そして、支持部材26Aの台座部26cの先端面は、鉛直面とされている。
【0089】
図10(a)〜
図10(e)に示すように、本変形例の光学部材本体28の後面28cのうち、支持部材26の台座部26cが対向する箇所に形成された矩形溝部28c3及び矩形溝部28c3の底面に形成されたV溝部28c4は、光学部材本体28の後面28cの下端縁から光学部材本体28の後面28cの上端縁までストレートに延びている。そして、V溝部28c4を構成する左右の面(一対の入光面28a)は、鉛直面とされている。
【0090】
本変形例の光学部材24Aは、
図11に示すように、V溝部28c4と支持部材26の台座部26cとの間に、空気が対流する空間としての上下方向にストレートに延びる筒部S1Aが構成された状態で、支持部材26Aに固定されている。
【0091】
以上説明したように、本変形例の支持部材26A及び光学部材24Aを用いた各光学モジュール20、30A、30Bによれば、V溝部28c4と台座部26cとの間に空気が上下方向に対流する空間としての上下方向にストレートに延びる筒部S1Aが構成され、当該筒部S1Aにおいて空気が上下方向に対流することで、光源22で発生する熱が効率よく放熱される結果、半導体発光素子22bを含む光源22と光学部材24Aとを組み合わせた構造の車両用灯具10において、光源22の熱の影響により光学部材24Aが黄変及び/又は変形するのを抑制することができる。
【0092】
また、本変形例の支持部材26A及び光学部材24Aを用いた各光学モジュール20、30A、30Bによれば、光学部材24の第1後面28c1及び第2後面28c2とベース部26aの前面の第1領域26e及び第2領域26fとの間に空気が上下方向に対流する空間S3、S4が構成され、当該空間S3、S4において空気が上下方向に対流することで、光源22で発生する熱(特に、光源22で発生し、光学部材22へ伝わる熱)が「さらに」効率よく放熱される結果、半導体発光素子22bを含む光源22と光学部材24Aとを組み合わせた構造の車両用灯具10において、光源22の熱の影響により光学部材24Aが黄変及び/又は変形するのを「さらに」抑制することができる。
【0093】
また、本変形例の支持部材26A及び光学部材24Aを用いた各光学モジュール20、30A、30Bによれば、複数の放熱フィン26gが、筒部S1Aが開口している方向と平行の方向へ延伸して、複数の放熱フィン26g間に空気が上下方向に対流する空間が構成され、当該空間において空気が上下方向に対流することで、光源22で発生する熱が「さらに」効率よく放熱される結果、半導体発光素子22bを含む光源22と光学部材24Aとを組み合わせた構造の車両用灯具10において、光源22の熱の影響により光学部材24Aが黄変及び/又は変形するのを「さらに」抑制することができる。
【0094】
なお、各光学モジュール20、30A、30Bは、第1前面28b1と第2前面28b2が左右方向に配置された状態だけでなく、第1前面28b1と第2前面28b2が上下方向又は斜め方向に配置された状態で用いることもできる。
【0095】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。