特許第6150119号(P6150119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150119
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】ラックブッシュ
(51)【国際特許分類】
   B62D 3/12 20060101AFI20170612BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   B62D3/12 503A
   F16C17/02 Z
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-151833(P2013-151833)
(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公開番号】特開2015-20661(P2015-20661A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100183450
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 太知
(72)【発明者】
【氏名】川久保 暁威
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−079023(JP,A)
【文献】 特開2007−040429(JP,A)
【文献】 特開2009−024740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 3/12
F16C 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラックアンドピニオン式のステアリング装置を構成するハウジング内に配置され、周上1箇所にラック歯が形成されたラック軸を支持するラックブッシュであって、
前記ラック軸が挿通される環状のブッシュ本体であって、その周方向において前記ラック歯と同じ側にあるラック歯側部分と、前記ラック歯側部分以外の背面側部分とによって前記周方向に二分されたブッシュ本体と、
前記ラック歯側部分に設けられ、前記ラック歯側部分の剛性を前記背面側部分の剛性よりも低下させる剛性低下部と、
前記ブッシュ本体の外周面に前記周方向の全周に亘って取り付けられた環状の弾性部材とを含むことを特徴とする、ラックブッシュ。
【請求項2】
前記剛性低下部は、前記ブッシュ本体の軸方向に延びる軸方向溝を含むことを特徴とする、請求項1記載のラックブッシュ。
【請求項3】
前記軸方向溝は、前記ブッシュ本体における前記ラック歯側部分と前記背面側部分との周上2箇所の境界と、前記ラック歯側部分における前記境界以外の領域と、に少なくとも設けられており、
それぞれの前記軸方向溝は、前記軸方向における前記ラック歯側部分の一端または他端から前記ラック歯側部分の途中まで延びていることを特徴とする、請求項2記載のラックブッシュ。
【請求項4】
前記周上2箇所の境界は、前記ラック歯に平行になるように前記ブッシュ本体の径方向に対向した位置であることを特徴とする、請求項3記載のラックブッシュ。
【請求項5】
前記周上2箇所の境界に設けられた2つの前記軸方向溝は、互いに同じ方向から前記ラック歯側部分の途中まで延びていることを特徴とする、請求項3または4記載のラックブッシュ。
【請求項6】
前記周上2箇所の境界に設けられた2つの前記軸方向溝は、互いに逆の方向から前記ラック歯側部分の途中まで延びていることを特徴とする、請求項3または4記載のラックブッシュ。
【請求項7】
前記周方向に隣り合う2つの前記軸方向溝は、互いに逆の方向から前記ラック歯側部分の途中まで延びていることを特徴とする、請求項3〜6のいずれかに記載のラックブッシュ。
【請求項8】
前記軸方向溝は、前記周方向において前記ラック歯と同じ位置に1つ設けられ、前記軸方向において前記ラック歯側部分を貫通していることを特徴とする、請求項2記載のラックブッシュ。
【請求項9】
前記背面側部分における前記ブッシュ本体の内周面には、複数の穴が形成されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のラックブッシュ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ラックアンドピニオン式のステアリング装置におけるラックブッシュに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1のステアリング装置は、ステアリングシャフトからの操舵トルクにより操向輪を操舵するためのラックアンドピニオン機構からなる操舵機構を有している。操舵機構は、ピニオン歯を有するピニオン軸と、ピニオン歯に噛み合うラック歯を有するラック軸と、ピニオン軸およびラック軸を支持するラックハウジングと、ラックハウジングの保持孔に保持された筒状のラックブッシュとを有している。ラックブッシュは、ラック軸をその軸方向に摺動自在に支持している。
【0003】
また、下記特許文献2では、がたつきに伴う異音の発生を抑制するために、内周面に複数の突起が形成されたラックブッシュが提案されている。ラックブッシュは、複数の突起を介してラック軸をがたつきなく支持でき、ラック軸を複数の突起に点接触させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−87535号公報
【特許文献2】特開2004−256029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のステアリング装置が含むラックブッシュは、ラックハウジングとラック軸との間に介在されている。そのため、ラックブッシュをラックハウジングに組み付ける際、ラックブッシュを縮径させながら保持孔に挿入する必要がある。そのため、ラックブッシュと保持孔との寸法関係やラックブッシュの剛性によっては、ラックハウジングへの装着が困難となる虞がある。また、特許文献2のラックブッシュでは、ラック軸とラックブッシュとが突起との接触面積が小さいため、突起の摩耗等により、ピニオン軸とラック軸との間にがたが発生し、ピニオン歯とラック歯との噛み合いが弱くなる虞がある。
【0006】
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、ハウジングへの装着性を確保しつつ、ピニオン歯とラック歯とを強固に噛み合わせることが可能なラックブッシュを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、ラックアンドピニオン式のステアリング装置(1)を構成するハウジング内に配置され、周上1箇所にラック歯(15)が形成されたラック軸(8)を支持するラックブッシュ(10)であって、前記ラック軸が挿通される環状のブッシュ本体(16)であって、その周方向(C)において前記ラック歯と同じ側にあるラック歯側部分(22)と、前記ラック歯側部分以外の背面側部分(23)とによって前記周方向に二分されたブッシュ本体と、前記ラック歯側部分に設けられ、前記ラック歯側部分の剛性を前記背面側部分の剛性よりも低下させる剛性低下部(18)と、前記ブッシュ本体の外周面に前記周方向の全周に亘って取り付けられた環状の弾性部材とを含むことを特徴とする、ラックブッシュである。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記剛性低下部は、前記ブッシュ本体の軸方向(X)に延びる軸方向溝(25,31)を含むことを特徴とする、請求項1記載のラックブッシュである。
請求項3記載の発明は、前記軸方向溝は、前記ブッシュ本体における前記ラック歯側部分と前記背面側部分との周上2箇所の境界(26)と、前記ラック歯側部分における前記境界以外の領域(27)と、に少なくとも設けられており、それぞれの前記軸方向溝は、前記軸方向における前記ラック歯側部分の一端(16C)または他端(16D)から前記ラック歯側部分の途中まで延びていることを特徴とする、請求項2記載のラックブッシュである。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記周上2箇所の境界は、前記ラック歯に平行になるように前記ブッシュ本体の径方向(R)に対向した位置であることを特徴とする、請求項3記載のラックブッシュである。
請求項5記載の発明は、前記周上2箇所の境界に設けられた2つの前記軸方向溝は、互いに同じ方向から前記ラック歯側部分の途中まで延びていることを特徴とする、請求項3または4記載のラックブッシュである。
【0010】
請求項6記載の発明は、前記周上2箇所の境界に設けられた2つの前記軸方向溝は、互いに逆の方向から前記ラック歯側部分の途中まで延びていることを特徴とする、請求項3または4記載のラックブッシュである。
請求項7記載の発明は、前記周方向に隣り合う2つの前記軸方向溝は、互いに逆の方向から前記ラック歯側部分の途中まで延びていることを特徴とする、請求項3〜6のいずれかに記載のラックブッシュである。
【0011】
請求項8記載の発明は、前記軸方向溝は、前記周方向において前記ラック歯と同じ位置に1つ設けられ、前記軸方向において前記ラック歯側部分を貫通していることを特徴とする、請求項2記載のラックブッシュである。
請求項9記載の発明は、前記背面側部分における前記ブッシュ本体の内周面(16B)には、複数の穴(24)が形成されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のラックブッシュである。
【0012】
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、ラックブッシュにおける環状のブッシュ本体には、周上1箇所にラック歯が形成されたラック軸が挿通される。ブッシュ本体は、その周方向においてラック歯と同じ側にあるラック歯側部分と、ラック歯側部分以外の背面側部分とによって周方向に二分されている。ラック歯側部分には、ラック歯側部分の剛性を背面側部分の剛性よりも低下させる剛性低下部が設けられている。そのため、相対的に剛性が低いラック歯側部分を撓ませることでラックブッシュをステアリング装置に容易に装着することができる。
【0014】
一方、ラックブッシュがステアリング装置に組み付けられた後において、ラック軸は、相対的に剛性の高い背面側部分から比較的大きな反力を受け、相対的に剛性が低いラック歯側部分から比較的小さな反力を受ける。よって、背面側部分からの反力と、ラック歯側部分からの反力との差によって、ラック軸には、ラック歯を背面側部分からラック歯側部分へ向かう方向(つまり、ラックアンドピニオンを構成するピニオン軸のピニオン歯に近づく方向)に付勢する付勢力(予圧)が作用する。これにより、ラック歯は、ピニオン軸のピニオン歯と強固に噛み合うことができる。
【0015】
以上のように、ラック軸への装着性を確保しつつ、ピニオン歯とラック歯とを強固に噛み合わせることが可能となる。
請求項2記載の発明のように、剛性低下部が、軸方向に延びる軸方向溝であれば、ラックブッシュの成形と同時に、剛性低下部をブッシュ本体に設けることができるため、コスト低減を図れる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、軸方向溝は、ブッシュ本体におけるラック歯側部分と背面側部分との周上2箇所の境界とラック歯側部分における境界以外の領域とに少なくとも設けられている。それぞれの軸方向溝は、軸方向におけるラック歯側部分の一端または他端からラック歯側部分の途中まで延びている。このような軸方向溝のレイアウトにより、ラック歯側部分の剛性を背面側部分の剛性よりも確実に低下させることができる。
【0017】
請求項4記載の発明のように、周上2箇所の境界がラック歯に平行になるようにブッシュ本体の径方向に対向している場合、ラック軸に作用する付勢力は、ラック歯に対して垂直となるので、ピニオン歯とラック歯とを一層強固に噛み合わせることが可能となる。
請求項5記載の発明のように、周上2箇所の境界に設けられた2つの軸方向溝が互いに同じ方向から延びていてもよい。
【0018】
請求項6記載の発明のように、周上2箇所の境界に設けられた2つの軸方向溝が互いに逆の方向から延びていてもよい。
請求項7記載の発明のように、周方向に隣り合う2つの軸方向溝は、互いに逆の方向からラック歯側部分の途中まで延びていてもよい。
請求項8記載の発明のように、軸方向溝は、周方向においてラック歯と同じ位置に1つ設けられ、軸方向においてラック歯側部分を貫通してもよい。この場合、ブッシュ本体は、周上1箇所において途切れた略環状(C字状)となる。1つの軸方向溝を設けるだけで、ラック歯側部分に剛性低下部を容易に設けることができる。
【0019】
請求項9記載の発明のように、背面側部分におけるブッシュ本体の内周面に複数の穴が形成されている場合、ラックブッシュとラック軸との間の摺動抵抗を低減させるための潤滑剤を各穴で保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の一実施形態のステアリング装置1の概略正面図である。
図2図2は、図1のII−II線に沿う方向から見た場合における要部の断面図である。
図3図3は、ラックブッシュ10の斜視図である。
図4図4は、図2におけるV−V線に沿う断面のうち、ラックブッシュ10のみを示した図である。
図5図5は、図2におけるV−V線に沿うステアリング装置1の断面図である。
図6図6は、本発明の第1変形例を図3に適用した図である。
図7図7は、本発明の第2変形例を図4に適用した図である。
図8図8は、本発明の第3実施例を図4に適用した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態のステアリング装置1の概略正面図である。
図1を参照して、ステアリング装置1は、操舵部材2と、ステアリングシャフト3と、自在継手4と、中間軸5と、自在継手6と、ピニオン軸7と、ラック軸8と、ハウジング9とを主に含んでいる。
【0022】
操舵部材2として、たとえば、ステアリングホイールを用いることができる。操舵部材2には、ステアリングシャフト3の一端が連結されている。ステアリングシャフト3の他端と中間軸5の一端とが自在継手4によって連結されている。また、中間軸5の他端とピニオン軸7の一端とが自在継手6によって連結されている。ステアリングシャフト3と、中間軸5と、ピニオン軸7とは、同一直線上に存在しない。
【0023】
ピニオン軸7の他端の外周面にはピニオン歯14が一体的に設けられている。ラック軸8は、車両の幅方向(図1の左右方向)に延びる略円柱状である。
ラック軸8の外周面8Aの周上1箇所には、ピニオン歯14と噛み合うラック歯15が形成されている。ピニオン軸7のピニオン歯14およびラック軸8のラック歯15は、互いに噛み合うことでラックアンドピニオン式の転舵機構Aを構成している。ラック軸8は、ハウジング9に収容されており、ラック軸8の両端部は、ハウジング9の両側へ突出し、各端部にはそれぞれ継手11を介してタイロッド12が結合されている。各タイロッド12は、対応するナックルアーム(図示せず)を介して対応する転舵輪13に連結されている。
【0024】
操舵部材2が操作されてステアリングシャフト3が回転されると、この回転がピニオン歯14およびラック歯15によって、軸方向Xに沿ったラック軸8の直線運動に変換される。これにより、転舵輪13の転舵が達成される。このように、ラック軸8は、操舵部材2の操舵に応じて軸方向Xに移動することによって転舵輪13を転舵させることができる。
【0025】
ここで、ラック軸8が延びる方向を軸方向Xとし、軸方向Xに垂直な方向のうち図1の紙面に向かって延びる方向を前後方向Yとし、軸方向Xに垂直な方向のうち図1の上下に延びる方向を上下方向Zとする。軸方向Xは、車両の幅方向(図1の左右方向)と同じである。また、前後方向Yは、車両の前後方向と同じである。また、上下方向Zは、車両の上下方向とほぼ同じである。また、前後方向Yにおける紙面手前側は、車両の前側であり、前後方向Yにおける紙面奥側は、車両の後側である。
【0026】
ハウジング9は、車体に固定される略円筒体である。ハウジング9は、ラック軸8を軸方向Xに沿って直線往復動可能に収容している。ハウジング9は、ラック軸8の径方向に間隔を隔てて配置されている。ハウジング9は、一端部(図1における軸方向Xの左側の端部)9Aと他端部(図1における軸方向Xの右側の端部)9Bとを含んでいる。この実施形態に係るラックブッシュ10は、ハウジング9の一端部9Aとピニオン歯14との間と、他端部9Bとピニオン歯14との間との両方に配置され、ラック軸8を軸方向Xに移動可能に支持している。また、ハウジング9の中空部分は、軸方向Xに延びる円筒状の内周面9Cによって区画されている。ハウジング9に収容されたラック軸8は、ハウジング9の内周面9Cと同軸状になっている。
【0027】
図2は、図1のII−II線に沿う方向から見た断面図である。
図2の紙面と直交する方向は、図1における上下方向Zと一致している。また、図2において上下に延びる方向は、前後方向Yと一致している。また、図2において左右に延びる方向は、軸方向Xと一致している。また、図2は、ハウジング9の一端部9A周辺を示したものであり、以下では、ハウジング9の一端部9A側の部材についてのみ説明するが、他端部9B側の部材については、一端部9A周辺の部材構成と、車両の幅方向(軸方向X)における中心を挟んで対称となるように構成されている。なお、図2では、ラック軸8は、断面を用いずに示している。
【0028】
以下では、図1に加えて図2も参照して説明する。
図2を参照して、ラックブッシュ10は、ブッシュ本体16と、係止部17と、弾性部材20とを含んでいる。
ブッシュ本体16は、軸方向Xに延びる環状である。ブッシュ本体16の中空部分には、ラック軸8が同軸状で挿通されている。また、ブッシュ本体16は、ハウジング9に収容されている。言い換えると、ブッシュ本体16(ラックブッシュ10)は、ラック軸8の外周面8Aとハウジング9の内周面9Cとの間の空間30に配置されている。空間30は、軸方向Xから見て、ハウジング9の内周面9Cによって外から縁取られつつラック軸8を取り囲む円環状である。この状態では、ブッシュ本体16の外周面16Aは、ハウジング9の内周面9Cに対して全周に亘って面接触していて、ブッシュ本体16の内周面16Bは、ラック軸8の外周面8Aに対して全周に亘って面接触している。ここで、ラック軸8においてラック歯15が形成されている部分を、軸方向Xに対する直交方向に沿って切断した断面は、軸方向Xから見て、ラック歯15において周上一箇所が欠けた円形状(D字形状)である。すなわち、ラック軸8の周上1箇所が平坦になっていて、この平坦部分にラック歯15が形成されている。一方、ラックブッシュ10の内周面16Bは、ほぼ真円になっている。よって、ブッシュ本体16の内周面16Bは、ラック軸8の外周面8Aにおいてラック歯15が形成された平坦部分(図2における下側部分)には接触しておらず、径方向の外側へ離間している(後述する図5も参照)。
【0029】
図3は、ラックブッシュ10の斜視図である。図4は、図2におけるV−V線に沿う断面のうち、ラックブッシュ10のみを示した図である。ここで、図3において、軸方向Xは、左手前側から右奥側に向かって延びている。また、図3におけるラックブッシュ10は、図2における左側(図1における車両の左側)の端部16Cを左手前側に向けた姿勢で配置されている。また、図4の紙面に直交する方向は、軸方向Xと一致している。また、図4の紙面において上下に沿う方向は、図3の紙面において上下に沿う方向とほぼ一致している。また、図4におけるラックブッシュ10は、紙面手前側に端部16C(図3参照)を向けた姿勢で配置されている。
【0030】
以下では、図1および図2に加えて、図3および図4も参照して説明する。
図3を参照して、ブッシュ本体16の外周面16Aおよび内周面16Bのそれぞれの周方向に符号「C」を付すことにする。また、外周面16Aおよび内周面16Bのそれぞれの径方向に符号「R」を付すことにする(図4も参照)。
ここで、環状のブッシュ本体16を周方向Cにおいて二分して、2つの部分のそれぞれを定義することにする。具体的には、ラック軸8のラック歯15を基準として、周方向Cにおいてラック歯15と同じ側にある部分(二分されたうちの一方)をラック歯側部分22と呼ぶことにし、ラック歯側部分22以外の部分(二分されたうちの他方)を背面側部分23と呼ぶことにする(図2も参照)。図4を参照して、ラック歯側部分22と背面側部分23とは、ラック歯15(厳密には周方向Cにおける中央位置をいい、以下同じ)に平行になるように径方向Rに対向した位置で分けられている。また、ブッシュ本体16において、周方向Cにおけるラック歯側部分22と背面側部分23とを区切っている位置のことを境界26と呼ぶことにする。境界26は、ブッシュ本体16においてラック歯15に平行になるように径方向Rに対向した周上2箇所の位置である。なお、ラック歯側部分22と背面側部分23とは、観念的な区別の仕方であり、これらは、物理的に分離されているわけではない。図2図4では、ラック歯側部分22は、紙面の下側に位置しており、背面側部分23は、紙面の上側に位置している。
【0031】
図2および図3を参照して、係止部17は、ブッシュ本体16の端部16Cの外周面16Aから径方向Rにおける外側へ突出した爪状の突起である。本実施形態では、係止部17は、背面側部分23において周方向Cの中央に配置されている。ここで、ハウジング9の内周面9Cにおいて、係止部17と一致する部分には、係止穴19が形成されている。係止部17は、係止穴19に対して係合している。これにより、ラックブッシュ10は、ハウジング9内で軸方向Xおよび周方向Cにおいて位置決めされている。
【0032】
弾性部材20は、たとえばOリングなどの環状体である。弾性部材20は、ブッシュ本体16に形成された係合溝21と係合している。係合溝21は、ブッシュ本体16の外周面16Aから径方向Rの内側へ窪んだ溝である。係合溝21は、周方向Cの全周に亘って形成されている。弾性部材20は、係合溝21に対して径方向Rにおける外側から嵌め込まれることで、ブッシュ本体16に対して外嵌された状態となる(図2参照)。弾性部材20および係合溝21は、それぞれ軸方向Xに1個、または間隔を隔てて複数個(本実施形態では2個)設けられている。この状態で、弾性部材20は、ハウジング9の内周面9Cと弾性接触している。つまり、ブッシュ本体16の外周面16Aは、弾性部材20を介してハウジング9の内周面9Cに接触している。もちろん、ブッシュ本体16の外周面16Aは、ハウジング9の内周面9Cに直接接触していてもよい。
【0033】
このようなラックブッシュ10を空間30に配置する際、係止部17が係止穴19に嵌るようにラックブッシュ10全体を径方向Rの内側へ撓ませながらハウジング9に組み付けるのでは大変である。
そこで、図3に示すように、ブッシュ本体16のラック歯側部分22には、軸方向Xに延びる軸方向溝25が周方向Cに等間隔を隔てて複数(本実施形態では、5つ)設けられている。
【0034】
軸方向溝25は、ブッシュ本体16を径方向Rにおいて貫通している。それぞれの軸方向溝25は、軸方向Xにおいてブッシュ本体16を貫通しておらず、ブッシュ本体16(ラック歯側部分22)の途中(軸方向Xにおける途中)まで延びている。なお、各軸方向溝25の先端25A(ブッシュ本体16の途中に位置する部分)は、湾曲状に丸められている。
【0035】
このようにラック歯側部分22に形成された軸方向溝25は、ラック歯側部分22に設けられてラック歯側部分22の剛性を背面側部分23の剛性よりも低下させる剛性低下部18として機能している。そのため、ラックブッシュ10の成形と同時に、剛性低下部18をブッシュ本体16に設けることができるため、コスト低減を図れる。
本実施形態では、軸方向溝25は、ラック歯15に平行になるように径方向Rに対向した位置に1つずつ設けられている(図4参照)。つまり、本実施形態で5つあるうちの2つの軸方向溝25は、ブッシュ本体16においてラック歯側部分22と背面側部分23との境界26(周上2箇所)に1つずつ設けられている(図4も参照)。
【0036】
残りの3つの軸方向溝25は、境界26の間、つまり、ラック歯側部分22における境界26以外の領域27に設けられている(図4も参照)。このように、ラック歯側部分22に軸方向溝25を設けることで、背面側部分23とラック歯側部分22との剛性に差を設けることができる。このような軸方向溝25のレイアウトにより、ラック歯側部分22の剛性を背面側部分23の剛性よりも確実に低下させることができる。
【0037】
ここで、ブッシュ本体16において、端部16Cと軸方向Xにおいて反対側の端部には、符号「16D」を付すことにする。軸方向溝25は、ブッシュ本体16の端部16C側から窪むように形成された第1軸方向溝28と、ブッシュ本体16の端部16D側から窪むように形成された第2軸方向溝29とを含んでいる。つまり、それぞれの軸方向溝25は、軸方向Xにおけるラック歯側部分22の端部16C(一端)または端部16D(他端)からラック歯側部分22の途中まで延びている。
【0038】
本実施形態では、第1軸方向溝28と第2軸方向溝29とは、周方向Cにおいて交互に並んでいる。つまり、周方向Cに隣り合う2本の軸方向溝25は、軸方向Xにおいて互いに逆の方向からラック歯側部分22の途中まで延びている。
また、第1軸方向溝28の周方向Cにおける幅wと第2軸方向溝29の周方向Cにおける幅wとは、等しい(図4参照)。また、第1軸方向溝28の軸方向Xにおける寸法である深さdと、第2軸方向溝29の軸方向Xにおける深さdとは、等しい。
【0039】
ここで、ブッシュ本体16において軸方向Xの一方の端部から形成された軸方向溝25の先端25Aは、ブッシュ本体16において軸方向Xの中央よりも他方側に位置している。詳述すると、第1軸方向溝28の先端28Aは、ブッシュ本体16において軸方向Xの中央よりも端部16D側に位置しており、第2軸方向溝29の先端29Aは、ブッシュ本体16において軸方向Xの中央よりも端部16C側に位置している。つまり、深さdおよびdは、それぞれブッシュ本体16の軸方向Xにおける長さLの半分よりも大きい。そのため、ブッシュ本体16は、径方向Rから見て、ジグザグにつながった形状(クランク形状)である。
【0040】
また、本実施形態における軸方向溝25は、周上2箇所の境界26に設けられた2つの軸方向溝25は、互いに同じ方向からラック歯側部分22の途中まで延びている。
図5は、図2におけるV−V線に沿うステアリング装置1の断面図である。ここで、図5において、紙面と直交する方向は、軸方向Xと一致している。また、図5において、紙面の上下に沿う方向は、前後方向Yと一致している。また、図5において、紙面の左右に沿う方向は、上下方向Zと一致している。図5におけるラックブッシュ10の姿勢は、図4と一致している。
【0041】
以下では、図1図4に加えて図5も参照して説明する。
以上のように、ラック歯側部分22には、軸方向溝25は設けられているものの、背面側部分23には、軸方向溝25は設けられていない。よって、ラック歯側部分22の剛性は、背面側部分23の剛性よりも低い。よって、ラック歯側部分22は、径方向Rの内側へ撓むことができる。一方、背面側部分23は、ラック歯側部分22のように簡単には撓まない。そのため、比較的剛性が低いラック歯側部分22を撓ませることで、ラックブッシュ10をハウジング9の中空部分に上手く挿入し、ステアリング装置1に容易に装着することができる。
【0042】
図5を参照して、ラックブッシュ10がステアリング装置1に組み付けられた状態では、ブッシュ本体16の内周面16Bは、ラック軸8の外周面8Aと当接している。この状態で、弾性部材20の弾性変形による復元力は、ラック軸8に対するブッシュ本体16の反力として、ブッシュ本体16の内周面16Bからラック軸8へ伝達される。ラック歯側部分22には、複数の軸方向溝25が設けられているため、ラック歯側部分22においてラック軸8と接触している面積は、背面側部分23においてラック軸8と接触している面積よりも小さい。
【0043】
一方、ラックブッシュ10がステアリング装置1に組み付けられた後において、ラック軸8は、相対的に剛性の高い背面側部分23から比較的大きな反力を受け、相対的に剛性が低いラック歯側部分22から比較的小さな反力を受ける。よって、背面側部分23からの反力と、ラック歯側部分22からの反力との差によって、ラック軸8には、ラック歯15を背面側部分23からラック歯側部分22へ向かう方向(つまり、ラックアンドピニオンを構成するピニオン軸7のピニオン歯14に近づく方向)に付勢する付勢力F(予圧)が作用する。これにより、ラック歯15は、ピニオン軸7のピニオン歯14と強固に噛み合うことができる。
【0044】
以上のように、ラック軸8への装着性を確保しつつ、ピニオン歯14とラック歯15とを強固に噛み合わせることが可能となる。
これにより、ラックブッシュ10とラック軸8との接触音(ラトル音)が防止できる。また、転舵輪13の縁石乗り上げ等によってラック軸8に大きな外力が作用しても、ピニオン歯14とラック歯15との噛み合いを維持できる。
【0045】
なお、周上2箇所の境界26がラック歯15に平行になるように径方向Rに対向している場合、ラック軸8に作用する付勢力Fは、ラック歯15に対して垂直となるので、ピニオン歯14とラック歯15とを一層強固に噛み合わせることが可能となる。
このように、ラック歯側部分22の剛性をできるだけ低く、背面側部分23の剛性をできるだけ高くすることで、弾性部材20の反力をラック軸8に伝達しやすいラックブッシュ10を構成することができる。
【0046】
図2を参照して、一方、背面側部分23におけるブッシュ本体16の内周面16Bには、径方向Rの外側に向かって窪む複数の穴24が形成されている。穴24は、径方向Rの内側から見て円形状をなす凹部(いわゆるボールインテンド)であり、径方向Rの外側へ略半球状に窪んでいる。複数の穴24は、周方向Cおよび軸方向Xの全域において千鳥状等の所定のパターンで離散配置されている。本実施形態では、軸方向Xに複数の穴24の列が6つ並んでいるが、全ての穴24が千鳥状に配置されているため、図2における周方向1箇所の断面では、当該列は、3つのみ図示されることになる。
【0047】
ユーザが車両を運転する際には、ラック軸8は、軸方向Xに何度も往復移動する。ここで、ブッシュ本体16の内周面16B(穴24が形成された部分を除く)は、ラック軸8の外周面8Aに面接触している。また、ラックブッシュ10は、前述したラックブッシュ10の係止部17とハウジング9の係止穴19との係合によって、軸方向Xの動きを規制されている。そのため、内周面16Bは、ラック軸8が動くたびに、ラック軸8に摺擦する。そのため、背面側部分23においてブッシュ本体16の内周面16Bにグリースなどの摺動抵抗を低減させるための潤滑剤32(各図におけるドット部分)を設けることで、摺擦による摩擦を低減することができる。さらに、ラックブッシュ10とラック軸8との間の潤滑剤32を各穴24で保持することができる。
【0048】
次に、本発明の第1変形例について説明する。
図6は、本発明の第1変形例を図3に適用した図である。ここで、図6の姿勢は、図3と一致している。なお、上記に説明した部材と同様の部材には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
以下では、図1図5に加えて図6も参照して説明する。
【0049】
第1変形例における軸方向溝25は、ブッシュ本体16において周方向Cの4箇所に設けられており、合計で4つある。第1変形例においても実施形態と同様に、軸方向溝25は、ラック歯15に平行になるように径方向Rに対向した位置に1つずつ設けられている。つまり、2つの軸方向溝25は、ブッシュ本体16においてラック歯側部分22と背面側部分23との境界26(周上2箇所)に1つずつ設けられている。
【0050】
残りの2つの軸方向溝25は、ブッシュ本体16において境界26の間(ラック歯15側の領域27)に設けられている。
第1変形例においても、第1軸方向溝28と第2軸方向溝29とは、周方向Cにおいて交互に並んでいる。つまり、周方向Cに隣り合う2つの軸方向溝25は、軸方向Xにおいて互いに逆の方向からラック歯側部分22の途中まで延びている。
【0051】
また、第1変形例における軸方向溝25は、全部で4つなので、周上2箇所の境界26に設けられた2つの軸方向溝25は、互いに逆の方向からラック歯側部分22の途中まで延びている。
次に、本発明の第2変形例および第3変形例について説明する。
図7は、本発明の第2変形例を図4に適用した図である。図8は、本発明の第3実施例を図4に適用した図である。ここで、図7および図8の姿勢は、図4と一致している。なお、上記に説明した部材と同様の部材には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
以下では、図1図6に加えて図7および図8も参照して説明する。
図7を参照して、第2変形例のブッシュ本体16には、軸方向溝25が周方向Cにおいて3つ設けられている。第1変形例においても実施形態と同様に、軸方向溝25は、ラック歯15に平行になるように径方向Rに対向した位置に一つずつ設けられている。つまり、2つの軸方向溝25は、ブッシュ本体16においてラック歯側部分22と背面側部分23との境界26(周上2箇所)に1つずつ設けられている。また、第2変形例の境界26に設けられた2つの軸方向溝25は、ブッシュ本体16において端部16C側から端部16Dへ延びる第1軸方向溝28である。当該2つの軸方向溝25は、共に端部16D側から端部16Cへ延びる第2軸方向溝29であってもよいし、延びる向きが互いに逆になっていてもよい。
【0053】
残りの1つの軸方向溝25は、軸方向Xにおいてラック歯側部分22を貫通する貫通孔31である。貫通孔31は、ブッシュ本体16において周方向Cにおいてラック歯15と同じ位置に設けられている。
また、軸方向Xに貫通しない軸方向溝25は、周方向Cにおいて境界26と貫通孔31との間の部分にさらに複数個設けられていてもよい。この場合、ラック歯側部分22の剛性をより低減することができる。
【0054】
図8を参照して、第3変形例のブッシュ本体16には、軸方向溝25として貫通孔31のみが1つ設けられている。貫通孔31は、ブッシュ本体16において周方向Cにおいてラック歯15と同じ位置に設けられている。
第2変形例および第3変形例のラックブッシュ10のように、軸方向Xにおいて軸方向溝25がラック歯側部分22を貫通している場合、ラック歯側部分22の剛性を低減することができる。
【0055】
さらに、第3変形例のように、ラック歯側部分22に剛性低下部18として1つの貫通孔31のみが設けられている。この場合、ブッシュ本体16は、周上1箇所において途切れた略環状(C字状)となる。1つの軸方向溝25を設けるだけで、ラック歯側部分22に剛性低下部18を容易に設けることができる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0056】
たとえば、ラック歯側部分22に設けられた複数の軸方向溝25は、5つより多くてもよいし、4つより少なくてもよい。要は、複数の軸方向溝25は、全体としてラック歯側部分22の剛性を背面側部分23の剛性よりも低下させる剛性低下部18として機能できればよい。
また、剛性低下部18は、軸方向Xに沿わない溝によって構成されていてもよい。たとえば、剛性低下部18は、周方向Cのどちらかに傾きながら、ブッシュ本体16の端部16Cから端部16Dへ向かって延びていてもよい。
【0057】
また、周方向Cに隣り合う2本の軸方向溝25は、必ずしも軸方向Xにおいて互いに逆の方向から延びている必要はなく、同じ方向から延びていてもよい。具体的には、第1軸方向溝28は、必ずしも第2軸方向溝29と隣り合って設けられている必要はなく、第1軸方向溝28同士が隣り合って設けられていてもよい(第2軸方向溝29の場合も同様)。
【0058】
また、ラック歯側部分22において、第1軸方向溝28が集合している領域と第2軸方向溝29が集合している領域とが周方向Cにおいて分かれて存在してもよい。
また、ブッシュ本体16は必ずしも円筒状である必要はなく、環状であればよい。ブッシュ本体16は、ハウジング9とラック軸8との間に介在され、ラック歯15が形成されたラック軸8を支持できればよい。
【0059】
また、2箇所の境界26は、必ずしもラック歯15に平行になるように径方向Rに対向した位置でなくてもよく、ラック歯側部分22が背面側部分23よりも大きくなる場合もあり得るし、ラック歯側部分22が背面側部分23よりも小さくなる場合もあり得る。
また、実施形態では、ラックブッシュ10は、弾性部材20を含んでいるとしたが、ラックブッシュ10は、弾性部材20を含んでいなくてもよい。この場合、ラックブッシュ10をステアリング装置1に組み付けた状態において、ラックブッシュ10は、ハウジング9に圧入されており、ブッシュ本体16の外周面16Aとハウジング9の内周面9Cとが当接している。
【0060】
また、実施形態では、幅wと幅wとは、等しいとしたが、必ずしも各軸方向溝25の周方向Cにおける幅が等しい必要はなく、位置によって変更することも可能である。
また、深さdと深さdとは、等しく、ブッシュ本体16の長さLの半分よりも大きいとしたが、必ずしも各軸方向溝25の深さは等しい必要はなく、位置によって変更することも可能である。また、各軸方向溝25の深さは、ブッシュ本体16の長さLの半分よりも小さい場合もあり得る。
【0061】
このように、剛性低下部18の形状、位置および大きさによってラック歯側部分22の剛性を調整することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…ステアリング装置、8…ラック軸、10…ラックブッシュ、15…ラック歯、16…ブッシュ本体、16B…内周面、16C…端部、16D…端部、18…剛性低下部、22…ラック歯側部分、23…背面側部分、24…穴、25…軸方向溝、26…境界、27…領域、31…貫通孔、X…軸方向、C…周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8