(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150131
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】内容物噴出防止容器
(51)【国際特許分類】
B65D 51/24 20060101AFI20170612BHJP
B65D 47/06 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
B65D51/24 700
B65D47/06
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-17795(P2014-17795)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-145247(P2015-145247A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2016年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 舞
(72)【発明者】
【氏名】古原 裕嗣
【審査官】
佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−30873(JP,A)
【文献】
実公昭48−27483(JP,Y2)
【文献】
特開2004−238045(JP,A)
【文献】
特開2002−179159(JP,A)
【文献】
実開昭60−38242(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0209857(US,A1)
【文献】
特開2011−57250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/24
B65D 47/06
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
比較的粘度の高い内容物を収容する容器(1)と、該容器の口筒部(2)に装着され注出口(11a)を備えた中栓部(10)と、該注出口(11a)を閉栓する閉栓筒(25)を有するキャップ部(20)とを備えた内容物噴出防止容器であって、
前記容器(1)は、前記キャップ部(20)が前記注出口(11a)を閉栓する際に、該キャップ部(20)によって押圧または圧迫され弾性変形する弾性変形部を有し、該弾性変形部は前記注出口(11a)が密封(シール)されるよりも前に弾性変形が開始することを特徴とする内容物噴出防止容器。
【請求項2】
前記キャップ部(20)の天板(21)には前記弾性変形部を押圧または圧迫する押圧片(24、26)が立設されている請求項1に記載の内容物噴出防止容器。
【請求項3】
前記押圧片(24、26)は、前記閉栓筒(25)が前記注出口(11a)に当接する前に前記弾性変形部に当接するように構成されている請求項1又は2記載の内容物噴出防止容器。
【請求項4】
前記弾性変形部は、前記容器(1)の外周面から外側に膨出した中空の突形状を成す請求項1から3の何れかに記載の内容物噴出防止容器。
【請求項5】
前記弾性変形部は、前記容器(1)の肩部(3)に設けられている請求項1から4の何れかに記載の内容物噴出防止容器。
【請求項6】
前記弾性変形部は、前記容器(1)の肩部(3)の長径方向に沿って設けられている請求項1から5の何れかに記載の内容物噴出防止容器。
【請求項7】
前記弾性変形部は、前記容器(1)の口筒部(2)に設けられている請求項1から4の何れかに記載の内容物噴出防止容器。
【請求項8】
口筒部に設けられた前記弾性変形部は、前記容器(1)の肩部(3)の長径方向に沿って設けられている請求項7に記載の内容物噴出防止容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物噴出防止容器、特にキャップ開栓時における比較的粘性の高い内容物の噴出を好適に防止することが出来ると共にシール性に優れた内容物噴出防止容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧水や乳液、日焼け止め、液体状のファンデーションなどを内容物とするスクイズ容器では、環境温度の上昇や、キャップ開放時の意図しない容器の押圧等により容器内部の圧力が上昇して、ユーザーがキャップを開けた際、内容物が飛び散る虞があった。
ところで、内容液注出後、中栓の注出路内に残った残留液を、容器にオーバーキャップを被嵌させ、閉蓋する際に、容器本体内に戻すことのできる注出容器に係る発明が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
この注出容器は、スクイズ変形可能な容器本体Aと、中栓Bと、オーバーキャップCとからなり、容器本体Aは、外周にねじを設けた首部(2)と、首部のねじに対して逆方向のねじを設けた口筒部(3)とを具備し、中栓Bは、外周が容器本体の口筒部内周で摺動する内筒部(12)と、外周に複数の縦溝(20)が設けられ、内周に容器本体の口筒部(3)のねじと螺合するねじが設けられた外筒部(13)とを具備し、オーバーキャップCは、注出路(15)内に嵌挿する栓体(26)と、内周の上部に、中栓の外筒部の縦溝(20)に係合する縦リブ(30)が複数突設され、下部に、首部(2)のねじに螺合するねじが設けられた外筒部(28)とを具備し、容器本体に、オーバーキャップCを被嵌閉蓋したときに中栓を上昇させ、容器内を負圧にするように構成されている。
オーバーキャップCを閉栓する際、オーバーキャップCの外筒部(28)内周下部の右ねじ(31)と容器本体Aの首部(2)外周の右ねじ(4)との螺合によって下降し、容器本体Aおよび中栓Bに装着される一方、中栓Bは、中栓Bの外筒部(13)内周の左ねじ(21)と容器本体Aの口筒部(3)外周の左ねじ(5)との螺合により、中栓Bの内筒部(12)外周が容器本体Aの口筒部(3)内周内で摺動しながらオーバーキャップC内で上昇して容器内の容積を増し、最後は、注出容器が閉蓋状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−257999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記注出容器では、容器の閉蓋時(オーバーキャップCの閉栓時)に中栓Bが上昇することにより、容器内の容積が増し、容器内が負圧になるので、注出路(15)より、外部の空気とともに、中栓B内に付着残留した内容液を容器本体A内に吸い戻すことができる。
しかし、上記注出容器では、オーバーキャップCを開栓する時は逆に、中栓Bの注出口(16)が密封された状態で中栓Bは下降して一時的に容器内の容積を減少させ、容器内圧を増大させることになる。従って、環境温度の上昇、意図しない容器の押圧等により、容器内圧がキャップ閉栓時に比べて上昇している場合、ユーザーがオーバーキャップCを開けた際、中栓Bが下降することにより容器内圧が大気圧以上に上昇して内容物が飛び散ることが考えられる。
そこで、本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたものであって、キャップ開栓時における比較的粘性の高い内容物の噴出を好適に防止することが出来ると共にシール性に優れた内容物噴出防止容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を解決するための本発明に係る第1手段は、比較的粘度の高い内容物を収容する容器と、該容器の口筒部に装着され注出口を備えた中栓部と、該注出口を閉栓する閉栓筒を有するキャップ部とを備えた内容物噴出防止容器であって、
前記キャップ部が前記注出口を閉栓する際に、該キャップ部によって押圧または圧迫され弾性変形する弾性変形部を有し、該弾性変形部は前記注出口が密封(シール)されるよりも前に弾性変形が開始することを特徴とする。
【0006】
上記構成では、キャップ部を開栓するのとほぼ同時に弾性変形部が元の形状に復元し始め、復元変形により容器内部が減圧され内容物が容器内部に吸い込まれるようになる。つまり、キャップ部を閉栓する際、弾性変形部は中栓部の注出口が密封されるよりも前に変形を開始し、変形が完了するのは注出口が密封(シール)されるのと同時か、又は注出口が密封されるよりも若干遅れて或いは若干早く変形が完了する。他方、キャップ部を開栓する際、注出口が開封されるのと同時か、又は注出口が開封されるよりも若干早く或いは若干遅れて弾性変形部は元の形状に復元し始める。これにより、キャップ部を開栓する際、キャップ部を開栓するのとほぼ同時に弾性変形部が元の形状に復元し始め、その結果、容器内部が減圧され、内容物が容器内部に吸い込まれ、キャップ部を開栓する際の内容物の噴出し(飛散)が効果的に抑制されることになる。
【0007】
本発明に係る第2手段は、前記キャップ部の天板には前記弾性変形部を押圧または圧迫する押圧片が立設されている、ことにある。
【0008】
上記構成では、キャップ部の閉栓または開栓動作と同期させて弾性変形部に減容変形または復元変形を起こさせることが可能となる。
【0009】
本発明に係る第3手段は、前記押圧片は、前記閉栓筒が前記注出口に当接する前に前記弾性変形部に当接するように構成されている、ことにある。
【0010】
上記構成では、容器の内圧を上昇させることなく、弾性変形部に減容変形させることが出来るようになる。これにより、キャップ部を開栓する際、弾性変形部が復元変形して容器内部が好適に減圧されることになる。
【0011】
本発明に係る第4手段は、前記弾性変形部は、前記容器の外周面から外側に膨出した中空の突形状を成す、ことにある。
【0012】
上記構成では、キャップ部に設けられた押圧片による弾性変形部に対する押圧または圧迫が容易となると共に、弾性変形部における変形の程度を大きく確保することが可能となり、弾性変形部が復元変形する際、容器内部が好適に減圧されることになる。
【0013】
本発明に係る第5手段は、前記弾性変形部は、前記容器の肩部に設けられている、ことにある。
【0014】
上記構成では、キャップ部に設けられた押圧片による弾性変形部に対する押圧が容易となる。
【0015】
本発明に係る第6手段は、前記弾性変形部は、前記容器の肩部の長径方向に沿って設けられている、ことにある。
【0016】
上記構成では、弾性変形部の容積を大きく確保することが可能となり、その結果、キャップ部を閉栓する際、弾性変形部における変形の程度を大きく確保することが可能となり、弾性変形部が復元変形する際、容器内部が好適に減圧されることになる。
【0017】
本発明に係る第7手段は、前記弾性変形部は、前記容器の口筒部に設けられている、ことにある。
【0018】
上記構成では、キャップ部に設けられた押圧片による弾性変形部に対する圧迫が容易となる。
【0019】
本発明に係る第8手段は、口筒部に設けられた前記弾性変形部は、前記容器の肩部の長径方向に沿って設けられている、ことにある。
【0020】
上記構成では、弾性変形部の容積を大きく確保することが可能となり、その結果、キャップ部を閉栓する際、弾性変形部における変形の程度を大きく確保することが可能となり、弾性変形部が復元変形する際、容器内部が好適に減圧されることになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の内容物噴出防止容器によれば、減容または復元変形する弾性変形部は容器の外周面から外側に膨出した中空の突形状を成し、さらに、その弾性変形部を押圧または圧迫する押圧片はキャップ部の天板に立設され、弾性変形部の変形が開始するのは前記注出口が密封(シール)されるよりも早く変形が開始するように構成され、その弾性変形部の変形が完了するのは注出口が密封(シール)されるのと同時か、又は注出口が密封されるよりも若干遅れて或いは若干早く変形が完了するように構成されている。その結果、キャップ部を開栓するのとほぼ同時に弾性変形部が元の形状に復元し始め、復元変形により容器内部が減圧され内容物が容器内部に吸い込まれ、キャップ部を開栓する際の内容物の噴出し(飛散)が効果的に抑制されることになる。
また、弾性変形部が容器の肩部または口筒部に設けられている場合は、押圧片による弾性変形部に対する押圧または圧迫が容易となる。さらに、弾性変形部が容器の肩部の長径方向に沿って設けられている場合は、弾性変形部における変形の程度を大きく確保することが可能となり、弾性変形部が復元変形する際、容器内部が好適に減圧され、内容物の噴出し(飛散)がより効果的に抑制されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る容器を示す説明図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るキャップ部を示す説明図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る内容物噴出防止容器を示す要部半断面図である。
【
図4】本発明の実施形態2に係る内容物噴出防止容器を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施形態3に係る内容物噴出防止容器を示す説明図である。
【
図6】本発明の実施形態4に係る内容物噴出防止容器を示す説明図である。
【
図7】本発明の実施形態5に係る内容物噴出防止容器(キャップ部なし)を示す説明図である。
【
図8】本発明の実施形態6に係る内容物噴出防止容器(キャップ部なし)を示す説明図である。
【
図9】本発明の実施形態7に係る内容物噴出防止容器(キャップ部なし)を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る容器1を示す説明図である。なお、
図1(a)は平面図、同(b)は正面図、同(c)は側面図である。また、
図2は、本発明の実施形態に係るキャップ部20を示す説明図である。また、
図3は、本発明の実施形態に係る内容物噴出防止容器を示す要部半断面図である。
本発明の内容物噴出防止容器は、比較的粘度の高い内容物を収容する容器1と、容器1の口筒部2に嵌入して組み付き注出口11aを備えた中栓部10と、注出口11aを閉栓する閉栓筒25を有するキャップ部20とを具備し、ユーザーがキャップ部20を開栓する際、内容物の噴出(飛散)を好適に抑制するように構成されている。以下、各構成について説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態にて使用される容器1は、口筒部2、肩部3、胴部4および底部5から成り、口筒部2の外周面には雄ねじ部2aが形成され、雄ねじ部2aはキャップ部20の装着筒23の雌ねじ部23aと螺合する。
【0026】
また、肩部3には、キャップ部20の押圧片24によって押圧または圧迫されて減容変形し、その押圧または圧迫が解除されると元の形状に復元変形することが出来る弾性変形部30が肩部3の長径方向に沿って軸対称に2個設けられている。弾性変形部30は、(減容・復元)変形し易いように、肩部3の外周面から外側に膨出した中空の突形状、例えば半円錐が上下対称に組み合わされた形状(そろばん玉に類似した形状)を成している。
【0027】
胴部4は、ユーザーがスクイズ操作できると共に、押圧を解除した際には弾性的に元の形状に復元できるものである。また、容器1に収容される内容物としては、比較的粘度の高い、例えば化粧水や乳液、日焼け止め、液体状のファンデーションなどの化粧料、液体調味料などの食品、医薬品などの液体が好適であり、定量的には、粘度が3000〜7000cpの液体が好適である。
【0028】
図3に示すように、中栓部10は、注出筒11、嵌入筒12、および環状平坦部13から成る。注出筒11は内容物を注出口11aへ導く流路であり、嵌入筒12はその外周面と口筒部2の内周面が密に接合して、中栓部10と容器1の口筒部2との間のシール性を保持する。また、環状平坦部13は、容器1の口筒部2の先端部に支持され、キャップ部20を閉栓する際、キャップ部20の閉栓筒25の外周面と中栓部10の注出筒11の内周面が密に接合するように作用する。
【0029】
図3に示すように、キャップ本体部20は、天板21、周壁22、装着筒23、押圧片24、および閉栓筒25から成る。閉栓筒25は天板21の裏面に立設され、キャップ部20を閉栓する際、注出筒11の内部に密に嵌入し注出口11aを密封し、中栓部10とキャップ部20との間のシール性を保持する。このように、本発明の内容物噴出防止容器は、中栓部10と容器1との間のシール性に加えて、中栓部10とキャップ部20との間のシール性も確保され、シール性に優れている。
【0030】
周壁22は、ユーザーがキャップ部20を開栓または閉栓する際の操作部として機能する。装着筒23の内周面には雌ねじ部23aが形成され、キャップ部20を閉栓する際、雌ねじ部23aは容器口筒部2の雄ねじ部2aと螺合し、キャップ部20は容器口筒部2に安定して装着される。
【0031】
押圧片24は、キャップ部20を閉栓する際、弾性変形部30を押圧して、弾性変形部30を減容変形させ、弾性変形部30の変形状態を保持する。
【0032】
なお、押圧片24が弾性変形部30を減容変形させる際(キャップ部20を閉栓する際)、弾性変形部30は中栓部10の注出口11aが密封されるよりも前に変形を開始し、変形が完了するのは注出口11aが密封(シール)されるのと同時か、又は注出口11aが密封されるよりも若干遅れて或いは若干早く変形が完了することになる。この遅れは、定量的には、注出口11aが密封された後の容器1の内圧の上昇ΔPが無視できる程度の遅れである。これにより、押圧片24が弾性変形部30を減容変形させる際、容器1の内圧は上昇することはなく、これにより、キャップ部を開栓する際、弾性変形部が復元変形して容器内部が好適に減圧されることになる。
【0033】
他方、押圧片24が弾性変形部30を復元変形させる際(キャップ部20を開栓する際)、弾性変形部30が元の形状に復元し始めるのは、注出口11aが開封されるのと同時か、又は注出口11aが開封されるよりも若干早く又は若干遅くなる。なお、この遅れは、定量的には、注出口11aが開封されて後、静止していた内容物が注出口11aに向かってある流速で動き出し注出口11aに到達するまでに要する時間遅れ(タイムラグ)相当の遅れである。これにより、キャップ部20を開栓するのとほぼ同時に弾性変形部が元の形状に復元し始め、その結果、容器内部が減圧され、内容物が容器内部に吸い込まれ、キャップ部20を開栓する際の内容物の噴出し(飛散)が効果的に抑制されることになる。
【0034】
図4は、本発明の実施形態2に係る内容物噴出防止容器を示す説明図である。なお、
図4(a)は本実施形態2に係る容器の平面図、同(b)は正面図である。また、
図4(c)は、本実施形態2に係る内容物噴出防止容器を示す要部半断面図である。
上記実施形態に係る弾性変形部30は半円錐形が上下対称に組み合わされた形状を成していたが、本実施形態2に係る弾性変形部31は、同じく弾性変形し易いように半球形を成している。なお、弾性変形部31以外の構成については、上記実施形態と同じである。
【0035】
図5は、本発明の実施形態3に係る内容物噴出防止容器を示す説明図である。なお、
図5(a)は本実施形態3に係る容器の平面図、同(b)は側面図、同(c)は弾性変形部32の拡大図である。また、
図5(d)は、本実施形態に係る内容物噴出防止容器を示す要部半断面図である。
本実施形態3に係る弾性変形部32は、同じく弾性変形し易いように周方向に傾斜した蛇腹形状を成している。さらに、上記実施形態に係る弾性変形部30,31は、肩部3の長径方向に沿って軸対称で肩部3上に設けられていたが、本実施形態に係る弾性変形部32は、肩部3の長径方向に沿って点対称で肩部3上に設けられている。なお、弾性変形部32以外の構成については、上記実施形態と同じである。
【0036】
図6は、本発明の実施形態4に係る内容物噴出防止容器を示す説明図である。なお、
図6(a)は本実施形態4に係る容器の平面図、同(b)は正面図、同(c)は側面図である。また、
図6(d)は、本実施形態に係る内容物噴出防止容器を示す要部半断面図である。
本実施形態4に係る弾性変形部33は肩部3の長径方向一杯に軸対称に肩部3上に設けられている。弾性変形部33の形状に対応して、本実施形態4に係る押圧片26は、キャップ部20の長径方向に拡大されている。なお、弾性変形部33および押圧片26以外の構成については、上記実施形態と同じである。
【0037】
図7は、本発明の実施形態5に係る内容物噴出防止容器(キャップ部なし)を示す説明図である。
図7(a)は斜視図、同(b)は平面図である。
上記実施形態に係る弾性変形部は何れも容器1の肩部3上に設けられていたが、本実施形態5に係る弾性変形部34は口筒部2上に肩部3の長径方向に沿って設けられている。さらに、弾性変形部34の内部は中空で容器1の内部と連通し、キャップ部20の押圧片によって圧迫され減容変形される。また、変形し易いように切り欠きが肩部3の長径方向に沿って点対称に設けられている。本実施形態5に係る口筒部2は、上記実施形態に係る口筒部2に比べ軸方向の全長が長くなっている。
【0038】
図8は、本発明の実施形態6に係る内容物噴出防止容器(キャップ部なし)を示す説明図である。
図8(a)は斜視図、同(b)は平面図である。
本実施形態6に係る弾性変形部35は、両側面が平面図において歯状または三角波状に形成され、長径方向に沿って弾性変形し易いように構成されている。なお、弾性変形部35以外の構成については、上記実施形態5と同じである。
【0039】
図9は、本発明の実施形態7に係る内容物噴出防止容器(キャップ部なし)を示す説明図である。
図9(a)は斜視図、同(b)は平面図である。
本実施形態6に係る弾性変形部36は、両側面が平面図において連続円弧状に形成され、長径方向に沿って弾性変形し易いように構成されている。なお、弾性変形部以外の構成については、上記実施形態5及び6と同じである。
【0040】
以上、本発明の内容物噴出防止容器によれば、減容または復元変形する弾性変形部は容器1の外周面から外側に膨出した中空の突形状を成し、さらに、その弾性変形部を押圧または圧迫する押圧片24,26はキャップ部20の天板21に立設され、弾性変形部の変形が開始するのは注出口11aが密封(シール)されるよりも早く変形が開始するように構成され、その弾性変形部の変形が完了するのは注出口11aが密封(シール)されるのと同時か、又は注出口11aが密封されるよりも若干遅れて或いは若干早く変形が完了するように構成されている。その結果、キャップ部20を開栓するのとほぼ同時に弾性変形部が元の形状に復元し始め、復元変形により容器内部が減圧され内容物が容器内部に吸い込まれ、キャップ部20を開栓する際の内容物の噴出し(飛散)が効果的に抑制されることになる。
また、弾性変形部が容器1の肩部3または口筒部2に設けられている場合は、押圧片24,26による弾性変形部に対する押圧または圧迫が容易となる。さらに、弾性変形部が容器の肩部3の長径方向に沿って設けられている場合は、弾性変形部における変形の程度を大きく確保することが可能となり、弾性変形部が復元変形する際、容器内部が好適に減圧され、内容物の噴出し(飛散)がより効果的に抑制されることになる。
【0041】
なお、以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、弾性変形部の形状は、弾性変形可能で中空の突形状を成していれば良く、上記形状だけに限定されない。また、弾性変形部の配設についても肩部3の長径方向以外の方向に沿って設けることも可能であり、さらに口筒部2上および肩部3上の双方に設けることも可能であり、或いは口筒部の周壁が蛇腹形状に形成され、上下に弾性変形可能に構成されても良く、上記実施形態だけに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の内容物噴出防止容器は、比較的粘度の高い、例えば化粧水や乳液、日焼け止め、液体状のファンデーションなどの化粧料、液体調味料などの食品、医薬品などの液体、定量的には、粘度が3000〜7000cpの液体を収納する容器に対し好適に適用される。
【符号の説明】
【0043】
1 容器
2 口筒部
3 肩部
4 胴部
5 底部
10 中栓部
11 注出筒
11a 注出口
12 嵌入筒
13 環状平坦部
20 キャップ部
21 天板
22 周壁
23 装着筒
24,26 押圧片
25 閉栓筒
30,31 弾性変形部
32,33 弾性変形部
34,35 弾性変形部
36 弾性変形部