特許第6150135号(P6150135)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6150135磁力を利用し回転速度を調整する揚げカス遠心分離装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150135
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】磁力を利用し回転速度を調整する揚げカス遠心分離装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/12 20060101AFI20170612BHJP
   A23D 9/02 20060101ALN20170612BHJP
【FI】
   A47J37/12 391
   !A23D9/02
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-87696(P2014-87696)
(22)【出願日】2014年4月3日
(65)【公開番号】特開2015-198880(P2015-198880A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2016年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】501486660
【氏名又は名称】宮崎 吉明
(73)【特許権者】
【識別番号】501486800
【氏名又は名称】宮崎 彰
(73)【特許権者】
【識別番号】512060600
【氏名又は名称】石川 正義
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 吉明
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 彰
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−150641(JP,A)
【文献】 特開2001−062427(JP,A)
【文献】 特開2012−210295(JP,A)
【文献】 特開平09−254046(JP,A)
【文献】 特開平05−146257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/12
A23D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形回転網カゴ1に上方から熱い油を含んだ揚げカスを投入し、駆動モーター5を用い回転させ、遠心力により揚げカスと揚げカスに含まれた油分を分離する、揚げカス脱油装置において、駆動モーター5に軸継手4を介し接続した磁石円盤3と円筒形回転網カゴ1の底部2を接触させ、起動時には滑りながら回転し、円筒形回転網カゴ1内の揚げカス等内容物が低速回転中に均等に拡散し、円筒形回転網カゴ1の振動がなくなったら、定格回転数まで上昇し、揚げカスと油分を遠心分離させる揚げカス脱油装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットやコンビニ又は総菜屋あるいは弁当屋等で使用する揚げカス遠心分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の揚げカス脱油装置においては、多くは遠心分離の方式をとっているが、回転カゴの駆動方法がプーリーとベルトの組み合わせ、又はモーター直結の場合は終始一定の回転数のため、揚げカスを回転カゴに投入した際、偏りが発生した場合に激しい振動が発生する。その振動を吸収する為に、バネで吊るす、電気的に回転速度を調節する等の防振対策が取られてきた。機構を複雑にすることが、製造コストに影響し、一番必要としている小規模店舗への普及を阻害しているように思われる。また、防災の観点からは、作業終了後の高温の揚げカスは、そのまま大量にゴミ箱等に廃棄すると自然発熱による発煙、発火の恐れがあり、揚げカスの温度を下げてからの廃棄が求められている。また、環境面においては揚げカスに水をかけて冷ましているところもあるが、排水溝からの水質汚染につながる可能性がある。また、揚げカスに含まれる油は揚げカス重量の50%近くになる場合もあり、分離すれば揚げカスの温度を一気に下げることができ、すぐ廃棄処理が可能になり、また油分は再利用できるので、揚げ油の使用期間の延長を通じて残渣の削減にもつながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、回転カゴの駆動方法がプーリーとベルトの組み合わせ、又はモーター直結の場合は終始一定の回転数のため、揚げカスが偏って回転カゴに投入された場合、初速が早いため、激しい振動が発生する。そしてその振動を吸収する為に、バネで吊るす、支える、又は電気的に回転速度を調節する等の防振対策が取られてきた。
【0004】
しかし、運転開始時から高速で回転する為、振動を吸収しきれず遠心分離装置が飛び跳ねる様な事態がある。また回転カゴの内容物が均一な配置になるまで、回転カゴが筐体にぶつかり、大きな打撃音が発生するのを抑制する、また、様々な防振対策での部品点数の増加に伴うコスト、故障率の上昇を抑えるという課題を残している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者はこのような点に鑑み種々試作検討を重ねた結果、本発明に到達したものであって、本発明は回転カゴを回転させる手段として、モーター軸に磁石円盤を配置し、回転カゴ底部を磁石円盤に接触させることにより、モーター軸の回転を回転カゴの回転に伝えるものである。これにより起動時にモーター軸が高速回転しても、回転カゴは内容物の重量に合わせて、又は均一な配置になるまでは、ゆっくり滑りながら回転し、安定した時点でモーターの回転速度と同期させる事に成功した。モーター直結式のため装置が簡素化された。
【発明の効果】
【0006】
上述のように本発明は、揚げカス遠心脱油作業時において、内容物の偏りが原因の突然の振動がなくなり、安全で簡便に脱油作業ができる。また、構造が簡素化され故障も少なくなり、安価に製造でき、小規模事業所にも導入が可能となる。したがって従来の揚げカス脱油装置に比較してきわめて便利に利用でき、環境保全にも有効という卓越した作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】 全体の構成を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付図面により本発明の実施するための形態を説明すると、図1は本発明の揚げカス遠心分離装置の全体を示す実施例図であり、小型であって作業現場その場で処理作業ができる。
【実施例】
【0009】
図において(1)は回転カゴであって、遠心分離用の円筒型の穴あきドラムであり、このドラムの底板(2)は磁石が作用する金属板を使用しており、この底板(2)と磁石円盤(3)が接触配置され、モーター軸に配された磁石円盤接続器(4)によってモーター(5)の回転力が伝達される。
【0010】
揚げカスは図示していないが、回転カゴ(1)の上部より投入された揚げカスは、回転カゴ(1)内に貯留され、モーター(5)の回転力により遠心分離され、温度の下がった揚げカスと、再利用可能な油に分けられる。
【0011】
揚げカスは即座に廃棄処理できる温度まで下がる為、廃棄するか又は再販可能な天かす等はパック詰めにして販売できる。分離された油分は、油受け容器(6)に溜まり油抜き口(7)より排出されフライヤーに戻されて揚げ油として使用される。
【0012】
本発明の揚げカス遠心分離装置の使用においては、構造が簡素であるにより、簡単に分解清掃ができ、機器自体の清潔も保てる。
【0013】
また本発明の揚げカス遠心分離装置は回転カゴ(1)内に袋状の濾紙(8)を配置することができ、単に濾紙を交換するだけで便利に素早く揚げカス廃棄の連続作業も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は食用揚げ油の揚げカス処理が主体であるが、磁石を利用した自動トルクコンバーターは小型機器で幅広く利用できるものと思える。また、食用油濾過装置との一体化により、揚げ物作業における、油の濾過、揚げカスの分離廃棄を一括で行える装置に発展させられる可能性がある。
【符号の説明】
【0015】
(1)…回転カゴ
(2)…底板
(3)…磁石円盤
(4)…磁石円盤接続器
(5)…モーター
(6)…油受け容器
(7)…油抜き口
(8)…袋状濾紙
図1