(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行方向に直列する複数の台車と台車間連結手段を備えた搬送用走行体と、この搬送用走行体を走行経路に沿って走行させるための駆動手段とから成る連結台車利用の搬送装置において、前記台車間連結手段は、前後に隣接する台車の左右両側部どうしを各別に連結する左右一対の連結ユニットから成り、各連結ユニットは、前後に隣接する台車の左右両側部どうしを垂直軸周りの相対水平旋回を許す連結状態と連結解除状態とに切り換え自在に構成され、走行経路中に設けられた各水平ターン経路部の入り口側には、当該水平ターン経路部に進入する搬送用走行体の各台車間の左右一対の連結ユニットの内、少なくとも片側の連結手段を操作する第一連結制御手段が設けられ、この第一連結制御手段の操作により、水平ターン経路部の曲り方向の内側になる連結ユニットは連結状態で、当該水平ターン経路部の曲り方向の外側になる連結手段は連結解除状態で、前記搬送用走行体が水平ターン経路部に進入するように構成された、連結台車利用の搬送装置。
前記走行経路中の直進経路部では、全ての連結ユニットが連結状態で搬送用走行体が走行するように構成され、水平カーブ経路部の入り口側に設けられた前記第一連結制御手段は、前記左右一対の連結ユニットの内、当該水平カーブ経路部の曲り方向とは反対側の連結ユニットを連結状態から連結解除状態に切り換えるものであり、水平カーブ経路部の出口側には、前記左右一対の連結ユニットの内、当該水平カーブ経路部の入り口側で連結解除状態に切り換えられた連結ユニットを連結状態に戻すための第二連結制御手段が設けられている、請求項1に記載の連結台車利用の搬送装置。
前記連結ユニットは、一方の台車に位置固定された前記垂直軸と、この垂直軸に対して嵌合離脱自在に他方の台車に設けられた上下動自在な可動軸受け部材と、この可動軸受け部材に設けられたカム従動部から構成され、前記第一連結制御手段と第二連結制御手段は、前記カム従動部に作用して前記可動軸受け部材を、一定区間だけ前記垂直軸から上方に離脱した連結解除姿勢に保持させておくカムレールによって構成されている、請求項2に記載の連結台車利用の搬送装置。
搬送用走行体には、左右二列のガイドローラー列が設けられ、各ガイドローラー列は、各連結ユニットの前記垂直軸の直下位置で当該垂直軸の軸心周りに回転自在に設けられた中間位置ローラーと、搬送用走行体の前後両端で垂直軸心周りに回転自在に設けられた端部位置ローラーとから構成され、前記走行経路の直進経路部には、前記左右二列のガイドローラー列の内の少なくとも片側のガイドローラー列の各ローラーを介して搬送用走行体を案内する直線状ガイドレールが敷設され、前記走行経路の水平カーブ経路部には、その曲り方向の内側に位置するガイドローラー列の各ローラーのみを介して搬送用走行体を案内する円弧形ガイドレールが敷設されている、請求項1〜3の何れか1項に記載の連結台車利用の搬送装置。
前記駆動手段は、搬送用走行体にその全長にわたって連続するように付設された摩擦駆動用ロードバーと、走行経路側に配設されて前記ロードバーに圧接して回転する摩擦駆動輪を備えた摩擦駆動ユニットから構成され、前記ロードバーは、各台車の左右両側辺の少なくとも一方に、台車ごとに分割されて走行方向に直列する複数本のロードバー単体から構成され、これら各ロードバー単体どうしが前記連結ユニットの垂直軸によって水平旋回自在に連結されている、請求項1,3〜5の何れか1項に記載の連結台車利用の搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載された従来周知の構成では、台車間連結手段のある側の側辺が内側になる向きにのみ搬送用走行体が水平旋回可能であるから、搬送用走行体の走行経路は、同一方向に旋回する水平カーブ経路部と直進経路部とで構成出来る単純なループ状レイアウトに限定されることになり、レイアウトの自由度がなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる連結台車利用の搬送装置を提案するものであって、本発明に係る連結台車利用の搬送装置は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、走行方向に直列する複数の台車(2〜4) と台車間連結手段(13,14)
を備えた搬送用走行体(1)と、この搬送用走行体(1) を走行経路に沿って走行させるための駆動手段(26)とから成る連結台車利用の搬送装置において、前記台車間連結手段(13,14) は、前後に隣接する台車(2,3/3,4) の左右両側部どうしを各別に連結する左右一対の連結ユニット(13a〜14b)から成り、各連結ユニット(13a〜14b)は、前後に隣接する台車(2,3/3,4) の左右両側部どうしを垂直軸(15,18) 周りの相対水平旋回を許す連結状態と連結解除状態とに切り換え自在に構成され、走行経路中に設けられた各水平ターン経路部(5,7) の入り口側には、当該水平ターン経路部(5,7)に進入する搬送用走行体(1)の各台車(2,3/3,4) 間の左右一対の連結ユニット(13a〜14b)の内、少なくとも片側の連結手段を操作する第一連結制御手段(27)が設けられ、この第一連結制御手段(27)の操作により、水平ターン経路部(5,7) の曲り方向の内側になる連結ユニットは連結状態で、当該水平ターン経路部(5,7)
の曲り方向の外側になる連結手段は連結解除状態で、前記搬送用走行体(1)が水平ターン経路部(5,7)に進入する構成になっている。
【発明の効果】
【0006】
上記本発明の構成によれば、直進経路部を走行してきた搬送用走行体が左曲りの水平カーブ経路部に進入するときは、当該左曲りの水平カーブ経路部の入り口側に配設された第一連結制御手段によって、左側の連結ユニットは連結状態で且つ右側の連結ユニットは連結解除状態となり、搬送用走行体が右曲りの水平カーブ経路部に進入するときは、当該右曲りの水平カーブ経路部の入り口に配設された第一連結制御手段によって、右側の連結ユニットは連結状態で且つ左側の連結ユニットは連結解除状態となる。
【0007】
従って、搬送用走行体が水平カーブ経路部を走行するとき、その曲り方向に関係なく、当該搬送用走行体を構成している各台車は、左右両側辺の内、常に曲り方向の内側になる側部どうしが連結ユニットによって連結されて、当該連結ユニットの垂直軸の周りに相対水平旋回自在であり、曲り方向の外側になる側部どうしは連結が解かれているので、水平カーブ経路部の円弧中心の周りで扇形に開いた状態で円滑に走行することが出来る。換言すれば、本発明の構成により、左曲りの水平カーブ経路部と右曲りの水平カーブ経路部の両方を組み込んで、搬送用走行体の走行経路を自由にレイアウトすることが出来る。
【0008】
又、搬送用走行体が少なくとも水平カーブ経路部を走行するときは、その曲り方向の内側になる連結ユニットは必ず連結状態にあるから、当該水平カーブ経路部で搬送用走行体を走行させるための駆動手段は、後押し形式と引っ張り形式の何れでも利用出来る。例えば、水平カーブ経路部の入り口側の後押し駆動手段によって搬送用走行体を当該水平カーブ経路部に送り込み、この搬送用走行体が前記後押し駆動手段から前方に離れた直後に、当該水平カーブ経路部の出口側の引き込み駆動手段によって搬送用走行体が引き続き推進力を受けて、当該搬送用走行体の全体が水平カーブ経路部から退出するように構成することが出来る。換言すれば、水平カーブ経路部において搬送用走行体を推進させるための駆動手段の選択肢が増え、容易に実施出来る。
【0009】
尚、本発明を実施する際には、当然ながら、搬送用走行体(各台車)を走行経路に沿って移動させるための走行用案内手段は必要である。例えば、各台車が備える車輪を走行経路側のガイドレールで案内させる従来周知の案内手段も利用出来る。このように搬送用走行体(各台車)は走行経路に沿って移動するように案内されるものであるから、搬送用走行体をその走行経路に沿って走行させるための駆動手段としても、従来周知の種々のものが利用出来る。例えば、搬送用走行体を構成する複数台の台車の内、特定の1台の車輪を回転駆動して自走させる電車方式、搬送用走行体を構成する複数台の台車の内、特定の1台を前記走行経路に沿って移動する駆動用チエンと係合させるチエン駆動方式、搬送用走行体の全長にわたって走行方向と平行に連続するように設けられた摩擦駆動面に地上側の摩擦駆動輪を圧接させる摩擦駆動方式などが利用出来る。又、駆動手段は、走行経路の全域で同一方式のものを使用しなければならないわけではなく、場合によっては、直進経路部と水平カーブ経路部とで異なる方式の駆動手段を使用することも出来る。
【0010】
又、各連結ユニットは、全ての連結ユニットが連結状態になることによって、搬送用走行体の各台車が互いに連続する隣接状態で直進経路部を走行することが出来るものであっても良いが、操作により連結解除状態に切り換えられた連結ユニットが、操作から解放されても連結解除状態を保持出来る構成の連結ユニット、例えば連結解除状態でロックされる連結ユニットや、スプリング力で連結解除状態を保持する連結ユニットなどであるときは、搬送用走行体の各台車が互いに接続する隣接状態で直進経路部を走行するときでも、左右何れか片側の連結ユニット又は全ての連結ユニットが連結解除状態であるように構成することが出来る。
【0011】
上記の本発明に係る連結台車利用の搬送装置を実施する場合、水平カーブ経路部(5,7)
の入り口側に設けられる前記第一連結制御手段(27)は、前記左右一対の連結ユニット(13a〜14b)の内、当該水平カーブ経路部(5,7) の曲り方向とは反対側の連結ユニットを連結解除状態に切り換えるものとし、水平カーブ経路部(5,7) の出口側には、前記左右一対の連結ユニット(13a〜14b)の内、当該水平カーブ経路部(5,7) の入り口側で連結解除状態に切り換えられた連結ユニットを連結状態に戻すための第二連結制御手段(28)を設け、前記走行経路中の直進経路部(6) では、全ての連結ユニット(13a〜14b)が連結状態で搬送用走行体(1) が走行するように構成することが出来る。この場合、前記連結ユニット(13a〜14b)は、一方の台車(3)に位置固定された前記垂直軸(15,18)と、この垂直軸(15,18) に対して嵌合離脱自在に他方の台車(2,4)に設けられた上下動自在な可動軸受け部材(17,20)と、この可動軸受け部材(17,20)に設けられたカム従動部(カム従動ローラー29) から構成し、前記第一連結制御手段(27)と第二連結制御手段(28)は、前記カム従動部(カム従動ローラー29)に作用して前記可動軸受け部材(17,20)を、一定区間だけ前記垂直軸(15,18)から上方に離脱させておくカムレール(30)によって構成することが出来る。この構成によれば、可動軸受け部材を前記垂直軸から上方に離脱した連結解除状態に保持する手段が不要であり、しかも入り口側の第一連結制御手段と出口側の第二連結制御手段は、一定長さの同一のカムレールを使用するだけで安価に実施することが出来る。
【0012】
又、搬送用走行体を走行経路に沿って移動出来るように案内する案内手段としての好適な構成例を示すと、搬送用走行体(1)には、左右二列のガイドローラー列(21,22)を設け、各ガイドローラー列(21,22)は、各連結ユニット(13a〜14b)の垂直軸(15,18)の直下位置で当該垂直軸(15,18)の軸心周りに回転自在に設けられた中間位置ローラー(21b,21c,22b,22c)
と、搬送用走行体(1)の前後両端で垂直軸心周りに回転自在に設けられた端部位置ローラー(21a,21d,22a,22d)とから構成し、前記走行経路の直進経路部(6)には、前記左右二列のガイドローラー列(21,22) の内の少なくとも片側のガイドローラー列(21/22) の各ローラーを介して搬送用走行体(1)を案内するガイドレール(23) を敷設し、前記走行経路の水平カーブ経路部(5,7)には、その曲り方向内側に位置するガイドローラー列(21/22)の各ローラーを介して搬送用走行体(1)を案内する円弧形ガイドレール(25) を敷設することが出来る。この構成によれば、特に水平カーブ経路部で扇形に開いた状態で走行する搬送用走行体の各台車を円滑に案内することが出来る。
【0013】
前記第一連結制御手段(27)又は第一第二両連結制御手段(27,28)と、前記左右二列のガイドローラー列(21,22)を採用する場合、前記連結制御手段には、当該連結制御手段で制御される連結ユニット(13a〜14b)のある側のガイドローラー列(21/22)の各ローラーの移動経路を規制するガイドレール(31)を併設することが出来る。この構成により、第一連結制御手段又は第一第二両連結制御手段で連結状態を制御される連結ユニットの走行方向に対する左右横断方向の位置ずれによる影響を無くして、連結状態の制御を確実良好に行わせることが出来る。
【0014】
更に、搬送用走行体を走行駆動する駆動手段として、搬送用走行体にその全長にわたって連続するように付設された摩擦駆動用ロードバーと、走行経路側に配設されて前記ロードバーに圧接して回転する摩擦駆動輪を備えた摩擦駆動ユニットからなる駆動手段を採用する場合、前記ロードバー(8)は、各台車(2〜4) の左右両側辺の少なくとも一方に、台車ごとに分割されて走行方向に直列する複数本のロードバー単体(8a〜8c)から構成し、これら各ロードバー単体(8a〜8c)どうしが前記連結ユニット(13a,13b)の垂直軸(15) によって水平旋回自在に連結されるように構成することが出来る。尚、前記摩擦駆動用ロードバー(8,9)は、搬送用走行体(1)の左右両側辺に付設するのが望ましい。
【0015】
前記ロードバー(8/9) と前記第二連結制御手段(28)を採用する場合、前記第二連結制御手段(28)には、当該第二連結制御手段(28)で制御される連結ユニット (13a,13b/14a,14b)側の前記ロードバー単体(8a〜8c/9a〜9c) を左右両側から挟んでその移動経路を規制するガイドローラー対(32,33) を併設することが出来る。この構成によれば、連結解除状態にあって、互に離れている連結ユニットが走行方向に対する左右横断方向に位置ずれが生じるのを摩擦駆動用のロードバーを利用して前記ガイドローラー対により防止することが出来、第二連結制御手段による連結状態への復帰動作を確実且つ円滑に行わせることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1において、搬送用走行体1は、走行方向に直列する3台の台車2〜4によって構成されたもので、中央の台車3は、走行方向の長さが他の台車2,4よりも長いもので、自動車車体などのワークWの支持と当該ワークWの左右両側部に対する作業床に使用される中央主台車となっており、前後両端の台車2,4は、長さが同一のもので、主としてワークWの前後両端部に対する作業床に使用される副台車となっている。この搬送用走行体1の走行経路は、左回り水平ターン経路部5、直進経路部6、及び右回り水平ターン経路部7が組み合わさって構成される。
【0018】
図2〜
図4に示すように、搬送用走行体1は、この搬送用走行体1の全長と同一長さで、当該搬送用走行体1の左右両側辺に沿って設けられた左右一対のロードバー8,9を備えている。このロードバー8,9は、各台車2〜4毎に分割されて各台車2〜4の左右両側辺に沿って台車底面に付設されたロードバー単体8a〜8c及び9a〜9cによって構成されている。各台車2〜4には、床面上を転動する左右一対前後二組のそれぞれ4つの自在車輪10〜12が設けられ、前後に隣接する台車2,3間及び台車3,4間には、これら前後2台の台車どうしを連結する台車間連結手段13,14が設けられている。
【0019】
ロードバー8,9を構成する各ロードバー単体8a〜8c及び9a〜9cは、四角柱状のもので、その長さ方向の両端近くの2箇所の上面が各台車2〜4の底面に取付け部材8d〜8f及び9d〜9fを介して取り付けられ、その左右両側面は摩擦駆動面となっている。前記台車間連結手段13,14は、走行方向に直列する各3本のロードバー単体8a〜8c及び9a〜9cを連結してそれぞれ1本のロードバー8,9に組み立てる連結ユニット13a,13b及び14a,14bから構成されている。
【0020】
台車2,3間の台車間連結手段13を構成する左右一対の連結ユニット13a,13bは、台車3に固定されたロードバー単体8b,9bの前端の一段低くなった段面上から上向きに突設された垂直軸15と、台車2に固定されたロードバー単体8a,9aの後端部に水平支軸16の周りで上下揺動自在に連結された可動軸受け部材17とから構成され、台車3,4間の台車間連結手段14を構成する左右一対の連結ユニット14a,14bは、台車3に固定されたロードバー単体8b,9bの後端の一段低くなった段面上から上向きに突設された垂直軸18と、台車4に固定されたロードバー単体8c,9cの前端部に水平支軸19の周りで上下揺動自在に連結された可動軸受け部材20とから構成されている。ロードバー単体8a,9a側の可動軸受け部材17の遊端部には、相手側のロードバー単体8b,9bの前端部上の垂直軸15に対して上下方向に嵌脱自在な連結孔17aが設けられ、ロードバー単体8c,9c側の可動軸受け部材20の遊端部には、相手側のロードバー単体8b,9bの後端部上の垂直軸18に対して上下方向に嵌脱自在な連結孔20aが設けられている。
【0021】
ロードバー単体8a,8c及び9a,9cの端部の可動軸受け部材17,20と、ロードバー単体8b,9bの両端の垂直軸15,18を備えた一段低くなった端部とは、可動軸受け部材17,20の連結孔17a,20aが相手側の垂直軸15,18に嵌合した連結状態にあるとき、直列する3本のロードバー単体8a〜8c及び9a〜9cが、左右両側面(摩擦駆動面)及び上下両側面がほぼ面一に連続する、1本の四角柱状のロードバー8,9を形成するように構成されている。又、各連結ユニット13a,13b及び14a,14bの可動軸受け部材17,20の連結孔17a,20aが相手側の垂直軸15,18に嵌合した連結状態にあるとき、当該可動軸受け部材17,20を有するロードバー単体8a,8c及び9a,9cと、垂直軸15,18を有するロードバー単体8b,9bとは、前記垂直軸15,18の周りで水平に相対揺動自在になる。
【0022】
搬送用走行体1には、ロードバー8,9の長さ方向に沿った中心線上に設けられた左右二列のガイドローラー列21,22が設けられている。各ガイドローラー列21,22は、各連結ユニット13a,13b及び14a,14bの前記垂直軸15,18の直下位置で当該垂直軸15,18の軸心周りに回転自在に設けられた中間位置ローラー21b,21c及び22b,22cと、ロードバー8,9の前後両端、即ち、ロードバー単体8a,9aの前端部とロードバー単体8c,9cの後端部に垂直軸心周りに回転自在に設けられた端部位置ローラー21a,21d及び22a,22dから構成されている。尚、連結ユニット13a,13b及び14a,14bを構成する垂直軸15,18は、中間位置ローラー21b,21c及び22b,22cを支承する垂直支軸を上方に延出させて構成することが出来る。
【0023】
搬送用走行体1の走行経路中の直進経路部6には、搬送用走行体1を当該直進経路部6に沿って走行させるための走行案内手段として、
図2及び
図4に示すように、搬送用走行体1の左右一対のガイドローラー列21,22の内、少なくとも一方のガイドローラー列の各ローラー21a〜21d又は22a〜22dを左右両側から挟む左右一対のレール部材から成る溝形のガイドレール23や、各台車2〜4の自在車輪10〜12の転動経路を規制する左右一対の車輪ガイドレール24a,24bなどが配設される。又、搬送用走行体1の走行経路中の水平ターン経路部5,7には、搬送用走行体1を当該水平ターン経路部5,7に沿って走行させるための走行案内手段として、左回り水平ターン経路部5を示す
図9〜
図11に示すように、搬送用走行体1の左右一対のガイドローラー列21,22の内、水平ターン経路部5,7の曲り方向側に位置する片側のガイドローラー列21又は22の各ローラー21a〜21d又は22a〜22dを左右両側から挟む左右一対のレール部材から成る溝形の円弧形ガイドレール25が配設される。尚、水平ターン経路部5,7の円弧形ガイドレール25へガイドローラー列21又は22の各ローラー21a〜21d又は22a〜22dが円滑に進入出来るように、少なくとも水平ターン経路部5,7の入り口につながる直進経路部6の終端領域には、当該水平ターン経路部5,7に沿って敷設された前記円弧形ガイドレール25に接続されたガイドレール23が敷設されているのが望ましい。
【0024】
搬送用走行体1を走行経路に沿って走行させるための駆動手段としては、搬送用走行体1が備える左右一対のロードバー8,9を利用する摩擦駆動手段を使用している。
図2及び
図4に示すように、この摩擦駆動手段26は、ロードバー8又は9を左右両側から挟む摩擦駆動輪26aとバックアップローラー26b、及び図示省略しているが摩擦駆動輪26aを回転駆動するモーターから構成されるものであって、摩擦駆動輪26aの回転によりロードバー8又は9を介して搬送用走行体1に推進力を与える従来周知のものである。而して、搬送用走行体1の走行経路中で搬送用走行体1を定速で一定間隔おきに走行駆動する区間には、摩擦駆動手段26は、搬送用走行体1の全長、即ち、ロードバー8又は9の全長より長くない間隔で、ロードバー8又は9の移動経路に配設し、搬送用走行体1を後続の搬送用走行体1により後押しさせて各搬送用走行体1を前後互いに突き合う数珠繋ぎ状態で定速走行させる後押し走行区間において場合は、当該区間の入り口と出口の2箇所に摩擦駆動手段26が配設することが知られている。
【0025】
水平ターン経路部5,7において搬送用走行体1を走行駆動する摩擦駆動手段26は、
図9〜
図11に示すように、搬送用走行体1の左右一対のロードバー8,9の内、水平ターン経路部5,7の曲り方向の内側に位置し且つ台車間連結手段13,14の連結ユニット13a,14a又は13b,14bによって各ロードバー単体8a〜8c又は9a〜9cが連結されている連続状態のロードバー8又は9を介して搬送用走行体1を推進させるように配設されるが、図示のように、水平ターン経路部5,7における円弧形ガイドレール25の経路長さが連続状態のロードバー8又は9の全長とほぼ同じ程度になる曲率の水平ターン経路部5,7では、連続状態のロードバー8又は9の屈曲角度が比較的大きくなるので、水平ターン経路部5,7の入り口と出口とに摩擦駆動手段26A,26Bを配設し、入り口の摩擦駆動手段26Aにより水平ターン経路部5,7に送り込んだ搬送用走行体1のロードバー8又は9が入り口の摩擦駆動手段26Aから離れる前に出口の摩擦駆動手段26Bが当該搬送用走行体1のロードバー8又は9に作用して、この搬送用走行体1を水平ターン経路部5,7から引き出すように構成するのが望ましい。
【0026】
勿論、水平ターン経路部5,7の曲率が大きくて、円弧形ガイドレール25の経路長さが連続状態のロードバー8又は9の全長より十分に大きくなるときは、連続状態のロードバー8又は9の屈曲角度が小さくなるので、水平ターン経路部5,7の中間1箇所又は複数箇所にも摩擦駆動手段26を配設することが出来る。何れの場合も、水平ターン経路部5,7において搬送用走行体1を推進させる摩擦駆動手段26,26A,26Bの摩擦駆動輪26aとバックアップローラー26bは、摩擦駆動手段26の摩擦駆動輪26aとバックアップローラー26bが駆動対象のロードバー8又は9の水平横方向の横動に追従して水平横方向に移動しながら当該駆動対象のロードバー8又は9を必要な圧接力で挟持出来るように構成される。
【0027】
水平ターン経路部5,7には、
図9〜
図11に示すように、その入り口側に第一連結制御手段27が併設され、出口側には第二連結制御手段28が併設される。第一連結制御手段27は、水平ターン経路部5,7に送り込まれる搬送用走行体1の左右一対のロードバー8又は9の内、水平ターン経路部5,7の外側を移動するロードバー8又は9が有する連結ユニット13a,14a又は13b,14bを連結状態から連結解除状態に切り換えるものであり、第二連結制御手段28は、第一連結制御手段27によって連結解除状態に切り換えられた連結ユニット13a,14a又は13b,14bを連結解除状態から連結状態に切り換えるものである。これら連結制御手段27,28による制御を可能にするために、全ての連結ユニット13a〜14bの可動軸受け部材17,20には、
図3〜
図5に示すように、その遊端近傍位置に立設された支持部材の外側に、当該可動軸受け部材17,20を軸支する水平支軸16,19と平行な水平支軸によりカム従動ローラー29が片持ち状に軸支されており、各連結制御手段27,28には、
図5〜
図8に示すように、搬送用走行体1の走行に伴って制御対象の連結ユニット13a〜14bの可動軸受け部材17,20を、前記カム従動ローラー29を介して水平倒伏姿勢から一定区間だけ持ち上げて連結解除姿勢に保持させるためのカムレール30が設けられている。
【0028】
搬送用走行体1が直進経路部6を走行するときは、台車間連結手段13,14の全ての連結ユニット13a〜14bが連結状態にあって、3台の台車2〜4が直列接続状態で一体化されており、この状態の搬送用走行体1が摩擦駆動手段26により直進経路部6を前進走行し、この直進経路部6に接続する水平ターン経路部5,7に進入することになるが、水平ターン経路部5,7の内、右回り水平ターン経路部7を搬送用走行体1が走行するときの作用を、
図9〜
図11に基づいて説明する。
【0029】
搬送用走行体1が、その右側のロードバー9の前端部が右回り水平ターン経路部7の入り口に設けられた摩擦駆動手段26Aによって摩擦駆動力を受ける位置に達すると、それ以降、当該搬送用走行体1が摩擦駆動手段26Aによって右回り水平ターン経路部7内へ送り込まれることになるが、右側のガイドローラー列22の前端に位置する端部位置ローラー21bが円弧形ガイドレール25に進入した以降は、前側副台車2が中央主台車3との間のロードバー9側の連結ユニット13bの垂直軸15を中心に右回り水平ターン経路部7の曲り方向に転向し始めるので、これよりも少し前に、反対側の連結ユニット13aにおける可動軸受け部材17のカム従動ローラー29が第一連結制御手段27のカムレール30に乗り上げるように、当該第一連結制御手段27が設けられている。
【0030】
従って、搬送用走行体1の前側副台車2が右回り水平ターン経路部7内に進入するのに伴って、
図6Aに示すように、当該前側副台車2に固定されている左側のロードバー単体8aの後端の可動軸受け部材17が、カム従動ローラー29と第一連結制御手段27のカムレール30によって持ち上げられて水平支軸16の周りに上動し、中央主台車3に固定されている左側のロードバー単体8bの前端の垂直軸15から上方に離脱して、台車間連結手段13における左側の連結ユニット13aが連結状態から連結解除状態に切り換えられる。この左側の連結ユニット13aが連結解除状態に切り換えられている間、即ち、カム従動ローラー29がカムレール30上を転動している間に、搬送用走行体1の前側副台車2が右回り水平ターン経路部7内に進入し、前側副台車2が中央主台車3との間のロードバー9側の連結ユニット13bの垂直軸15を中心に右回り水平ターン経路部7の曲り方向に転向して、前側副台車2に固定されている左側のロードバー単体8aの後端部(可動軸受け部材17)が中央主台車3に固定されている左側のロードバー単体8bの前端から前方に離れることになる。この後に左側の連結ユニット13aのカム従動ローラー29が第一連結制御手段27のカムレール30から外れて、
図6Bに示すように、当該連結ユニット13aの可動軸受け部材17が前記垂直軸15よりも前方に離れた位置で重力により元の水平倒伏姿勢に復帰することになる。尚、詳細構造の図示は省略したが、連結ユニット13a〜14bの各可動軸受け部材17、20は、少なくともロードバー単体8a,8c及び9a,9cの延長姿勢である水平倒伏姿勢から下方には倒伏しないように構成されている。
【0031】
搬送用走行体1の右回り水平ターン経路部7への進入が進んで、
図9Bに示すように、中央主台車3と後側副台車4との間の台車間連結手段14の外側(左側)の連結ユニット14aが第一連結制御手段27の位置に達した以降、
図6C,Dに示すように、先に説明した前側副台車2と中央主台車3との間の台車間連結手段14の外側(左側)の連結ユニット13aと基本的に同様に、当該連結ユニット14aが搬送用走行体1の走行に伴って連結解除状態に切り換えられる。前側の連結ユニット13aと後ろ側の連結ユニット14aが連結解除状態に切り換えられるときの動作の違いは、可動軸受け部材17のカム従動ローラー29が、当該可動軸受け部材17の上下動の支点である水平支軸16のある側とは反対側から相対的に接近してくるカムレール30上に乗り上げるのに対し、可動軸受け部材20のカム従動ローラー29は、当該可動軸受け部材20の上下動の支点である水平支軸19のある側から相対的に接近してくるカムレール30上に乗り上げる点である。
【0032】
上記の第一連結制御手段27の制御によって、搬送用走行体1が右回り水平ターン経路部7内に進入するとき、当該搬送用走行体1の台車間連結手段13,14の左右一対の連結ユニット13a,13b及び14a,14bの内、搬送用走行体1の曲り方向とは反対の外側の連結ユニット13a,14aのみが順次自動的に連結解除状態に切り換えられるので、各台車2〜4は、
図10に示すように、搬送用走行体1の曲り方向の内側に位置する連結状態の連結ユニット13b,14bの垂直軸15,18を中心に扇形に開いた状態で右回り水平ターン経路部7を走行することになる。このとき搬送用走行体1は、曲り方向の内側に位置するガイドローラー列22における各ローラー、即ち、連結状態の連結ユニット13b,14bの垂直軸15,18と同心状の中間位置ローラー22b,22cと、ロードバー9の前後両端の端部位置ローラー22a,22dが円弧形ガイドレール25によって案内されるので、円滑に右回り水平ターン経路部7に沿って走行することが出来る。
【0033】
右回り水平ターン経路部7に沿って走行する搬送用走行体1のロードバー9の後端が右回り水平ターン経路部7の入り口の摩擦駆動手段26Aから外れると同時に、
図10Bに示すように、当該ロードバー9の前端が水平ターン経路部7の出口の摩擦駆動手段26Bに到達し、引き続きこの摩擦駆動手段26Bから推進力を受けて、水平ターン経路部7から退出する方向に走行を続行する。この結果、
図11Aに示すように、搬送用走行体1の台車間連結手段13の連結ユニット13a,13bの内、連結解除状態にある外側(左側)の連結ユニット13aが、水平ターン経路部7の出口の第二連結制御手段28の位置を通過することになる。このとき搬送用走行体1は、扇形に開いていた前側副台車2と中央主台車3が連結状態にある内側の連結ユニット13bの垂直軸15を中心に閉動しながら走行している。
【0034】
図7A〜
図7Cに示すように、前側副台車2が右回り水平ターン経路部7から直進経路部6に退出するのに伴って、前側副台車2に固定されている外側のロードバー単体8aの後端から後方に水平倒伏姿勢で延出している連結ユニット13aの可動軸受け部材17に対して、中央主台車3に固定の外側のロードバー単体8bの前端が接近移動することになるが、この接近移動の途中で前記連結ユニット13aの可動軸受け部材17のカム従動ローラー29が第二連結制御手段28のカムレール30に乗り上げ、連結解除状態の姿勢に切り換えられる。そしてカム従動ローラー29が第二連結制御手段28のカムレール30上を転動している間に、中央主台車3の前端が前側副台車2の後端に当接する直進姿勢になって、連結ユニット13aのロードバー単体8a側の連結解除状態の姿勢にある可動軸受け部材17の連結孔17aの真下に、当該連結ユニット13aのロードバー単体8bの前端の垂直軸15が位置する状態になる。そして搬送用走行体1の走行が進んで、第二連結制御手段28のカムレール30上から可動軸受け部材17のカム従動ローラー29が外れると、
図7Cに示すように、連結解除状態の姿勢に持ち上げられていた可動軸受け部材17が重力で水平支軸16の周りで下方に揺動し、当該可動軸受け部材17の連結孔17aに垂直軸15が嵌合し、連結ユニット13aが連結状態に戻される。
【0035】
搬送用走行体1の前側副台車2とこれに台車間連結手段13の左右一対の連結ユニット13a,13bによって連結されている中央主台車3とが、
図11Bに示すように、右回り水平ターン経路部7から直進経路部6に送り出され、後側副台車4が右回り水平ターン経路部7から退出する状況になったとき、
図8に示すように、第二連結制御手段28が台車間連結手段14の外側の連結ユニット14aを連結解除状態から連結状態に戻すことになる。この作用は、第二連結制御手段28が前側副台車2と中央主台車3との間の台車間連結手段13の外側の連結ユニット13aを、搬送用走行体1の走行に伴って、連結解除状態から連結状態に戻すときの作用と基本的に同じであり、相違点は、可動軸受け部材17のカム従動ローラー29が、当該可動軸受け部材17の上下動の支点である水平支軸16のある側から相対的に接近してくるカムレール30上に乗り上げるのに対し、可動軸受け部材20のカム従動ローラー29は、当該可動軸受け部材20の上下動の支点である水平支軸19のある側とは反対側から相対的に接近してくるカムレール30上に乗り上げる点である。
【0036】
以上のようにして搬送用走行体1が、右回り水平ターン経路部7を走行することになるが、左回り水平ターン経路部5においても、上記の右回り水平ターン経路部7を走行するときと同様に、当該左回り水平ターン経路部5に進入する搬送用走行体1は、台車間連結手段13,14の左右一対の連結ユニット13a〜14bの内、左回り水平ターン経路部5の曲り方向とは反対の外側(右側)に位置する連結ユニット13b,14bが、当該左回り水平ターン経路部5の入り口の第一連結制御手段27により順次連結状態から連結解除状態に切り換えられるので、左回り水平ターン経路部5の曲り方向の内側に位置する連結状態の連結ユニット13a,14aの垂直軸15,18を中心に各台車2〜4が扇形に開いた状態で左回り水平ターン経路部5を走行することになり、この左回り水平ターン経路部5から直進経路部6に退出するときは、各台車2〜4が扇形に開いた状態から、前後両端が互に隣接する接続状態に連結ユニット13a,14aの垂直軸15,18を中心に閉動し、その後、左回り水平ターン経路部5出口の第二連結制御手段28によって、連結解除状態にあった各連結ユニット13b,14bが順次自動的に元の連結状態に復帰する。
【0037】
尚、中央主台車3の走行方向長さに対して前後両副台車2,4の走行方向長さは短くなっているが、各台車2〜4に分割されて固定されるロードバー単体8a〜8c及び9a〜9cの長さも、各台車2〜4の走行方向長さに合わせて、ロードバー単体8a,8c及び9a,9cの長さを短くすると共にロードバー単体8b及び9bの長さを長くすると、水平ターン経路部5,7を搬送用走行体1が走行するときにガイドレール列21又は22によって案内される内側の各ロードバー単体8a〜8c又は9a〜9cの内、中央主台車3に固定の長尺のロードバー単体8b又は9bが円弧形ガイドレール25より内側に張り出す距離が大きくなる。従って、各台車2〜4が扇形に開いた状態で走行する水平ターン経路部5,7での搬送用走行体1の走行が無理なく円滑に行われるように、長尺のロードバー単体8b又は9bに合わせて、水平ターン経路部5,7の曲率を大きく設定する必要が生じる。このような問題点を解消するために本発明の実施例では、
図2に示すように、ガイドローラー列21の各ローラー21a〜21d間及びガイドローラー列22の各ローラー22a〜22d間の走行方向の間隔がほぼ等しくなるように構成している。
【0038】
即ち、前後両副台車2,4に固定されるロードバー単体8a,8c及び9a,9cの長さを長くし、中央主台車3に固定されるロードバー単体8b,9bの長さを短くして、全てのロードバー単体8a〜9cの長さがほぼ等しくなるように構成すると共に、前後両副台車2,4から中央主台車3のある側に片持ち状に延出することになるロードバー単体8a,8c及び9a,9cの延出端部には、ガイドローラー列21,22を構成する中間位置ローラー21b,21c及び22b,22cではなく、可動軸受け部材17,20を軸支し、長さ方向両端が中央主台車3の長さの範囲内に収まるロードバー単体8b,9bに両端に前記中間位置ローラー21b,21c及び22b,22cと、これら各ローラーと同心状に上向きに突設される垂直軸15,18を設けている。
【0039】
更に、搬送用走行体1の左右両側辺に沿って台車底面側に付設されるロードバー8,9は、各台車2〜4上に流れ落ちた作業用油脂類が各台車2〜4の左右両側辺から滴下したとき、ロードバー8,9の摩擦駆動面に付着して摩擦駆動に悪影響を及ぼすようなことが無いように、ロードバー8,9は、平面視において少しでも各台車2〜4の左右両側辺より内側に入り込んでいるように構成するのが望ましい。勿論、可動軸受け部材17,20上に軸支されるカム従動ローラー29も、出来ることならば、平面視において中央主台車3の左右両側辺より外側に突出しないように設けるのが望ましい。
【0040】
搬送用走行体1の台車間連結手段13,14の左右一対の連結ユニット13a〜14bを第一連結制御手段27により連結状態から連結解除状態に切り換えるときは、当該連結ユニット13a〜14bの互に嵌合状態にある垂直軸15,18から可動軸受け部材17,20の連結孔17a,20aを上方に離脱させるのであるから、当該可動軸受け部材17,20のカム従動ローラー29が第一連結制御手段27のカムレール30上に乗り上げさえすれば、所期の連結解除作用を確実に実行させることが出来るが、搬送用走行体1の台車間連結手段13,14の左右一対の連結ユニット13a〜14bを第二連結制御手段28により連結解除状態から連結状態に戻すときは、第二連結制御手段28のカムレール30からカム従動ローラー29が外れるとき、相手側の垂直軸15,18の真上位置に連結解除状態の可動軸受け部材17,20の連結孔17a,20aが位置していないと、当該垂直軸15,18に対して可動軸受け部材17,20の連結孔17a,20aが円滑且つ確実に嵌合出来なくなる恐れがある。この問題点を解決するために、連結解除状態にある連結ユニット13a,14a又は13b,14bの垂直軸15,18と可動軸受け部材17,20が第二連結制御手段28のカムレール30の領域内を移動するとき、ガイドレールにより垂直軸15,18と可動軸受け部材17,20の移動経路を規制することが考えられる。
【0041】
上記手段の具体的実施例に係る第二連結制御手段28を、
図12〜
図17に基づいて説明すると、この第二連結制御手段28は、前記カムレール30の他に、ガイドレール31と前後二組のガイドローラー対32,33、及びカム従動ローラー押下げ用可動体34を備えている。ガイドレール31は、連結ユニット13a,14a又は13b,14bのカム従動ローラー29がカムレール30上に乗り上げる少し前から、当該カム従動ローラー29がカムレール30上から外れて一定距離前進移動する区間において、前記連結ユニット13a,14a又は13b,14bの垂直軸15,18の直下に同心状に位置する中間位置ローラー21b,21c又は22b,22cを左右両側から挟む左右一対のレール部材35a,35bから構成され、その長さ方向の両端近傍位置がそれぞれスライド支持部36によって床面上に支持されている。レール部材35a,35bの入り口側端部は、左右両外側へ広がるように傾斜して、中間位置ローラー21b,21c又は22b,22cを両レール部材35a,35b間に確実に誘導出来るようになっている。
【0042】
ガイドレール31を据え付けるスライド支持部36は、両レール部材35a,35bの底面に固着されて両レール部材35a,35bを一体化する左右方向の帯状可動基板37、床面上に両端のボルト38によって固定される帯状固定基板39、この帯状固定基板39の上面に固着されて前記帯状可動基板37を水平方向にスライド可能に支持する帯状スライド支持板40、及び帯状固定基板39の両端部上にボルト41により固定された位置決め用カバー部材42から構成されたもので、位置決め用カバー部材42によって、帯状スライド支持板40上での帯状可動基板37の水平方向のスライド領域が一定範囲内に規制されている。
【0043】
カムレール30の直下に位置するレール部材35aの外側には、前後両スライド支持部36における帯状可動基板37からそれぞれ柱状部材43a,43bが突設され、これら前後一対の柱状部材42a,42bの上端部間に水平梁部材44が架設されている。前記カムレール30は、その一端側が一方の柱状部材43aの内側面に固着されると共に、他端側が連結板45を介して前記水平梁部材44の中間位置に連結支持されている。ガイドローラー対32,33は、前後2つのスライド支持部36の内側位置でレール部材35a,35bの外側に固着された左右一対の軸受け46a,46bによって垂直軸心の周りに自転可能に軸支された左右一対のローラー32a,32b及び33a,33bによって構成され、ガイドレール31に案内される中間位置ローラー21b,21c又は22b,22cを端部下側に備えたロードバー単体8a〜8c又は9a〜9cを左右両側から挟んで、その移動経路を規制する。
【0044】
カム従動ローラー押下げ用可動体34は、カムレール30より下手側に離れた位置で、平面視ではカムレール30の延長領域内に配置されたもので、そのカムレール30に近い端部側で前記水平梁部材44の側面に左右方向の水平支軸47により一定範囲内上下揺動自在に軸支されたものであり、カムレール30上から外れたカム従動ローラー29の移動経路上に被さる帯状カム板48を備えている。この帯状カム板48は、その上下揺動範囲の下限位置にあるとき、正常動作時の前記カム従動ローラー29の移動軌跡の上側にあって、水平支軸47から下手側に離れた遊端部側には、前記正常動作時の前記カム従動ローラー29の移動軌跡の上側に接近する作用部48aを備えている。
【0045】
上記構成の第二連結制御手段28によれば、先に説明したように、台車間連結手段13,14の連結ユニット13a,14a又は13b,14bを、カム従動ローラー29とカムレール30とで連結解除状態から連結状態に切り換えるとき、そのカム従動ローラー29がカムレール30上を転動移動している段階から当該カム従動ローラー29がカムレール30上から外れて切換え動作が終了する段階まで、当該連結ユニット13a,14a又は13b,14bの可動軸受け部材17,20を有するロードバー単体8a,8c又は9a,9cの移動経路と、垂直軸15,18を有するロードバー単体8b又は9bの移動経路、換言すれば、連結ユニット13a,14a又は13b,14bの垂直軸15,18と可動軸受け部材17,20の移動経路を、走行経路方向に対する左右横断方向に関して精度良く規制することが出来る。勿論、搬送用走行体1の左右2列のガイドローラー列21又は22を構成するローラー21a〜21d又は22a〜22dは、この第二連結制御手段28の位置を通過するとき、当該第二連結制御手段28が備える前記ガイドレール31のレール部材35a,35b間を移動することになって、移動経路が規制される。
【0046】
上記のように、特に、直下にガイドレール31によって移動経路が規制されるローラー21a〜21d又は22a〜22dを持たない可動軸受け部材17,20の移動経路を、第二連結制御手段28が備えるガイドローラー対32,33によって規制出来ることにより、台車間連結手段13,14の連結ユニット13a,14a又は13b,14bを、カム従動ローラー29とカムレール30とで連結解除状態から連結状態に切り換える動作を確実に行わせることが出来る。
【0047】
尚、第二連結制御手段28が備えるガイドレール31と前後2組のガイドローラー対32,33によって、ロードバー単体8a〜8c又は9a〜9cの移動経路を規制するとき、実際には、ロードバー単体8a〜8c又は9a〜9cは円弧形の水平ターン経路部5,7から直進経路部6に移る過程にあるから、前後2組のガイドローラー対32,33を備えた前記ガイドレール31が対地的に固定された不動のものであると、これらガイドレール31とローラー21a〜21d又は22a〜22dとの間や、前後2組のガイドローラー対32,33とロードバー単体88a〜8c又は9a〜9cとの間で無理な摩擦が生じて円滑な動作が望めない。しかしながらこの実施例では、第二連結制御手段28の全体が前後2箇所においてスライド支持部36により、帯状スライド支持板40上での帯状可動基板37の水平方向のスライド許容範囲内で水平方向のスライド可能な状態に支持されているので、ガイドレール31やガイドローラー対32,33にかかる水平方向の力によって第二連結制御手段28の全体が当該力の作用方向にスライドして、当該力を吸収出来るので、所期の連結解除作用を円滑確実に行わせることが出来る。
【0048】
又、第二連結制御手段28では、カムレール30上からカム従動ローラー29が外れることにより、当該カム従動ローラー29と共に可動軸受け部材17,20が重力により水平支軸16,19の周りで下方に揺動して、連結ユニット13a,14a又は13b,14bが連結状態に復帰するのであるが、このように第二連結制御手段28が正常に動作したときには、
図13に示すように、カム従動ローラー押下げ用可動体34は、カム従動ローラー29の移動軌跡の上側にあって、当該カム従動ローラー29とは干渉しない。しかし、水平支軸16,19の周りの可動軸受け部材17,20の動きが悪くなって、カムレール30上からカム従動ローラー29が外れても可動軸受け部材17,20が連結解除状態のままで前進移動するときや、可動軸受け部材17,20が下限位置である連結状態まで下動しない場合には、
図17に示すように、カム従動ローラー29がカム従動ローラー押下げ用可動体34の作用部48aを押し上げながら通過しようとし、カム従動ローラー29に下向きの反力が作用するので、当該カム従動ローラー29と共に可動軸受け部材17,20が強制的に押し下げられ、確実に連結状態に切り換えられる。勿論、カム従動ローラー押下げ用可動体34から受ける下向きの反力では可動軸受け部材17,20が下限位置である連結状態まで下動しないような状況では、カム従動ローラー29によって逆にカム従動ローラー押下げ用可動体34が押し上げられて、水平支軸47の周りで上方に揺動することになるので、このときのカム従動ローラー押下げ用可動体34の上方への揺動を検出するリミットスイッチなどの検出器を併用すれば、第二連結制御手段28によって連結ユニット13a,14a又は13b,14bが連結状態に戻されなかった異常事態を自動的に検出し、対策を講じることが出来る。
【0049】
上記第二連結制御手段28は、そのまま第一連結制御手段27としても利用出来る。しかしながら第一連結制御手段27では、先に説明したように、連結状態にある連結ユニット13a,14a又は13b,14bの垂直軸15,18と可動軸受け部材17,20は、その直下に位置する中間位置ローラー21b,21c又は22b,22cがガイドレール31に案内されて移動経路が規制されるので、前後2組のガイドローラー対32,33は省くことが出来る。
【0050】
尚、本発明では、基本的は摩擦駆動面を提供するロードバー8,9は必須構成要件のものではなく、搬送用走行体1を走行経路に沿って走行させるための駆動手段によっては、ロードバー8,9は無くとも良い。この場合、左右2列のガイドローラー列21,22の端部位置ローラー21a,21d及び22a,22dは、前後両副台車2,4の底部に適当な軸受けを利用して軸支することが出来、中間位置ローラー21b,21c及び22b,22c、垂直軸15,18、及び可動軸受け部材17,20は、これらを備えたロードバー単体8b,9bの両端部に相当する部材を利用して、中央主台車3の底部に取り付けることが出来る。又、摩擦駆動手段26,26A,26Bを使用する場合でも、搬送用走行体1の左右両側辺にロードバー8,9を付設する構成に限定されない。例えば、搬送用走行体1の各台車2〜4に分割して取り付けられた1本のロードバーを使用することも出来る。この場合の1本のロードバーの取付け位置も、搬送用走行体1の巾方向の中央位置であっても良いし、左右両側辺の何れか一方でも良い。
【0051】
図18は、台車2〜4毎に分割されたロードバー単体49a〜49cから成る1本のロードバー49を各台車2〜4の一側辺(連結ユニット13b,14bのある側)にのみ取り付けた例を示している。
図18Aに示すように、ロードバー49が曲り方向の内側になる向きで搬送用走行体1が走行する左回り水平ターン経路部50では、その左回り水平ターン経路部50における内側のロードバー49の移動経路の入り口と出口に、当該ロードバー49を挟んで摩擦駆動する摩擦駆動手段51Aと摩擦駆動手段51Bを配設し、
図18Bに示すように、ロードバー49が曲り方向の外側になる向きで搬送用走行体1が走行する右回り水平ターン経路部52には、その右回り水平ターン経路部52における外側のロードバー49の移動経路の入り口と出口に、当該ロードバー49を挟んで摩擦駆動する摩擦駆動手段53Aと摩擦駆動手段53Bを配設すれば良い。この実施例においても、図示は省略しているが、台車間連結手段13,14と左右2列のガイドローラー列21,22、及び水平ターン経路部50,52の入り口と出口に配設される第一及び第二連結制御手段27,28が、先の実施例と同じように使用される。ロードバー49が付設されていない側の台車側辺に必要な台車間連結手段13,14の各連結ユニット13a,14aとガイドレール列21の各ローラー21a〜21dは、先に説明した要領で設けることが出来る。
【0052】
尚、
図18Bに示す右回り水平ターン経路部52では、当該右回り水平ターン経路部52の曲りの中心から見て、各台車2〜4の外側辺を摩擦駆動することになるので、その推進力が、円弧形ガイドレール25によって案内される各台車2〜4間の連結ユニット13b,14bの位置に確実に伝わって、各台車2〜4が円滑に右回り水平ターン経路部52を走行出来るように、右回り水平ターン経路部52の曲率を大きくし、必要に応じてその右回り水平ターン経路部52の中間位置にも摩擦駆動手段を配設すれば良い。