特許第6150229号(P6150229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150229
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】硫化リチウムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 17/22 20060101AFI20170612BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20170612BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALN20170612BHJP
【FI】
   C01B17/22
   H01B13/00 Z
   !H01M10/0562
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-188981(P2013-188981)
(22)【出願日】2013年9月12日
(65)【公開番号】特開2015-54797(P2015-54797A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000187046
【氏名又は名称】東レ・ファインケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182785
【弁理士】
【氏名又は名称】一條 力
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀利
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−221819(JP,A)
【文献】 米国特許第04126666(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0037535(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/102037(WO,A1)
【文献】 特表2012−505142(JP,A)
【文献】 特表2012−505141(JP,A)
【文献】 英国特許第02464357(GB,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B15/00−23/00
化学書資料館
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化リチウムと硫化水素とを、150℃〜450℃で反応させる硫化リチウムの製造方法。
【請求項2】
固体の酸化リチウムと気体の硫化水素とを気固反応させる請求項1記載の硫化リチウムの製造方法。
【請求項3】
水蒸気を反応装置から除去しながら反応させる請求項1または2に記載の硫化リチウムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用イオン伝導性固体電解質、エンジニアリングプラスチックス、潤滑剤や化学薬品用の中間原料として有用な、硫化リチウムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池用イオン伝導性固体電解質、エンジニアリングプラスチックス、潤滑剤や化学薬品用の中間原料として、硫化リチウムが注目されている。硫化リチウムは、特有の臭気のある白色粉末であり、ポリアリーレンスルフィド樹脂の重合用原料や、電池用イオン伝導性固体電解質の原料として用いられている。
【0003】
硫化リチウムは、その潮解性により、天然鉱産物としては産出しないため、他のリチウム化合物から合成して得られる。従来は、金属リチウム、水酸化リチウムおよび炭酸リチウムから製造する方法が知られている。
【0004】
金属リチウムから硫化リチウムを製造する方法としては、固形の金属リチウムと硫黄蒸気または硫化水素とを300℃から1100℃にて反応させる方法が知られていた(特許文献1)。
【0005】
また、水酸化リチウムから硫化リチウムを製造する方法としては、固体の水酸化リチウムに硫化水素や硫黄蒸気といったガス状硫黄源を、130〜445℃以下の温度で反応させる方法(特許文献2)や、水酸化リチウムを水や有機溶媒に溶解し、硫化水素を吹き込んで反応させ水硫化リチウムを得た後、脱硫化水素する方法(特許文献3〜5)が知られている。
【0006】
さらに、炭酸リチウムから硫化リチウムを製造する方法としては、炭酸リチウムと硫化水素とを450℃から700℃の温度で気固反応させる方法(特許文献6、7)が知られていた。
【0007】
しかしながら、金属リチウムを原料とした場合、固形の金属リチウムは薄膜や粉末と比べ、表面積が少なくガス状の硫黄源と十分に接触させることができず反応に時間がかかるという課題があった。さらに、金属リチウムは、活性が高く、常温で水分や酸素等と反応するため、薄膜や粉末に加工することはコストの面で不利であった。
【0008】
水酸化リチウムから硫化リチウムを製造する方法は、水酸化リチウムを水や溶媒に溶解し、硫化水素を吹き込んで反応させる気液反応によるものと、固体の水酸化リチウムとガス状硫黄源とを直接反応させる気固反応によるものとに分けられる。気液反応によるものは、溶媒を除去するために多量のエネルギーを必要としたり、除去した溶媒は廃棄物として処理する必要があったりとコストの面で不利であった。一方で、気固反応によるものは、水酸化リチウムに潮解性があるため、粒子が融着してしまい粒子径が0.1mm未満の原料を得るのが困難で、表面積が小さいため反応が進みづらくなることがあった。また、粒子の融着や水分の含有を防ぐため、乾燥雰囲気で取り扱う必要があるなど、原料の取扱いが困難であった。
【0009】
炭酸リチウムを原料とした場合、その反応条件が、硫化水素の存在下、450℃から700℃に加熱し、かつ反応によって水分が発生する、非常に過酷な条件であるため、その条件に耐えうる材質が少なく、製造装置を作製することが困難であるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平09−110404号公報
【特許文献2】特開平09−278423号公報
【特許文献3】特開平07−330312号公報
【特許文献4】国際公開第2005/040039号パンフレット
【特許文献5】特開2011−84438号公報
【特許文献6】米国特許第4,126,666号明細書
【特許文献7】特開2013−75816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の目的は、硫化リチウムを、溶媒の除去をすることなく、比較的温和な条件で製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するに当たり、鋭意検討の結果、酸化リチウムと硫化水素とを反応させることによって、精製や溶媒の除去をすることなく、比較的温和な条件で硫化リチウムが得られることを見出した。
【発明の効果】
【0013】
本発明の硫化リチウムの製造方法は、酸化リチウムと硫化水素含有ガスとを反応させる方法である。この方法により溶媒の除去をすることなく、比較的温和な条件で硫化リチウムが得られる。
【0014】
さらに、比較的温和な条件で反応させるため、設備材質に対する負担が少なく、安価な素材で設備を作製でき経済的に有利である。
【0015】
酸化リチウムを原料として使用するため、水酸化リチウムの様に潮解したり、結晶水や付着水を除去したりする必要が無く取り扱いが容易である。酸化リチウムは潮解しないため、破砕や粉砕が容易で、微粒子が得られる。微粒子は表面積が大きく反応速度が速くなる。短時間で製造できるため経済的に有利である。
【0016】
本発明の硫化リチウムの製造方法によれば、得られる硫化リチウムは粉状で生成する。原料の酸化リチウムの形状をそのまま継承して反応容器から取り出せるので作業性が良い。
【0017】
本発明の硫化リチウム製造方法を用いて得られた金属硫化物は、エンジニアリングプラスチックスの原料や、電池用のイオン伝導性固体電解質、潤滑剤、化学薬品の中間原料としても好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の硫化リチウムの製造方法について詳細に記載する。
【0019】
本発明の硫化リチウムの製造方法では、硫化水素と酸化リチウムとを反応させる。
【0020】
本発明で用いられる硫化水素は、例えば、石油などの燃料油の水素化脱硫反応により得られる硫化水素を含むガスから分離・回収したものや、水素と硫黄蒸気とを加熱反応炉で反応させたもの、硫化鉄、硫化ナトリウムに無機酸を作用させたものなどが用いられる。
【0021】
硫化水素は、ボンベから反応装置へ供給しても良いし、反応系内で発生させても良い。反応系内で発生させた発生期状態の硫化水素を用いると、反応が速やかに進行し好ましい。
【0022】
硫化水素の分圧は、0.1%〜99%が好ましい。好ましくは、1%〜85%であり、さらに好ましくは3%〜70%である。0.1%以上であれば、短時間で反応が進行し、99%以下であれば、未反応で排出される硫化水素が少なく経済的に有利である。
【0023】
本発明で使用する硫化水素の純度は、80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。硫化水素の純度が80%以上であると、十分に反応が完結し、得られる硫化リチウム中の不純物が少なく好ましい。
【0024】
本発明において、酸化リチウムに接触させる硫化水素の供給量は、酸化リチウムの仕込量に対して0.5モル倍から8モル倍が好ましく、より好ましくは、0.8モル倍から6モル倍である。さらに好ましくは1.0モル倍〜4モル倍である。0.5モル倍以上であれば、硫化リチウムが得られ、8モル倍以下であれば、反応時間が短く、かつ硫化水素のロスが少なくなり経済的である。
【0025】
本発明で用いられる酸化リチウムは、リチウムの酸化物である。例えば、金属リチウムの空気中や酸素中での燃焼や、水酸化リチウムの熱分解、炭酸リチウムの脱炭酸などで得られる。
【0026】
酸化リチウムの粒子径は、20メッシュ(篩目開き0.85mm)以下が好ましく、より好ましくは、60メッシュ(篩目開き0.25mm)以下である。20メッシュ以下であれば、表面積が大きいため反応速度が大きく好ましい。
【0027】
酸化リチウムは、通常、異種金属やその他の不純物を含有するが、副反応を抑制するために、できる限り高純度のものが好ましい。
【0028】
酸化リチウムは、硫化水素との反応に先立って乾燥を行っても良い。乾燥を行うと、得られる酸化リチウムが塊状化することなく、また水硫化物の副生が抑制され好ましい。乾燥の終点は、雰囲気ガスの露天を計測することで行うことができる。
【0029】
乾燥温度は100℃以上が好ましく、より好ましくは200℃以上である。温度が100℃以上であれば、十分に、水分が除去され好ましい。
【0030】
乾燥時の雰囲気ガスは、水素や窒素または、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の希ガスが好適に用いられる。中でも窒素、水素含有窒素は安価であり好ましい。乾燥時の雰囲気ガスは2種類以上用いても良い。
【0031】
酸化リチウムと硫化水素とを反応させる際の温度は、150℃〜450℃である。温度が150℃以上であれば、十分に反応が進行する。
【0032】
酸化リチウムと硫化水素とを接触させる時間は、未反応の酸化リチウムが残らない時間であれば、特に制限は無い。
【0033】
本発明の酸化リチウムと硫化水素との反応は、次式の通りである。
【0034】
LiO + HS → LiS + H
従って、水が副生する。本発明では、反応温度が150℃〜450である。反応温度が150℃〜450℃の場合、水は水蒸気となっている。本発明の硫化リチウムの製造方法では、硫化水素等のガスを反応系内に供給しつつ、反応系内の水蒸気を排出しながら反応行うと、設備の腐食と粒子の固着を防ぎ、好ましい。水蒸気は、ガスと共に排出することが、より好ましい。
【0035】
本発明では、溶媒の除去をすることなく比較的温和な条件で硫化リチウムを得るという目的を達成しうる限り、その他のガスを共存させても良い。その他のガスには、還元性ガスを用いると硫化リチウムに含まれる不純物が低減し好ましい。例えば、水素、一酸化炭素、メタン及び他の気体状アルカンが挙げられる。
【0036】
本発明では、好ましくは、固体の酸化リチウムと気体の硫化水素とを気固反応させる。気固反応であると、溶媒の除去をする必要がなく、かつ廃液を生じないため経済的に有利である。
【0037】
本発明における好ましい気固反応の反応装置は、固定層、移動層、転動層、流動層、気流層のいずれかを有する。
【0038】
本発明における固定層とは、原料の固体成分を反応装置に充填し、原料ガスを連続的に供給し反応させる装置である。固定層には、軸方向流式、ラジアルフロー式、パラレルフロー式などが用いられる。固定層反応器の伝熱方式としては、断熱式、多段断熱式、自己熱交換式、多管熱交換式が好適に用いられる。装置としては、固定炉、プッシャーキルン、メッシュベルトキルン、ローラーハースキルンなどが挙げられる。
【0039】
本発明における移動層とは、連続的に塔頂から金属炭酸塩粒子を供給し緩やかに降下させ、向流または並流で気体を接触させて反応する反応装置形態である。装置としては、立型移動層、十字流式縦型移動層などが挙げられる。立型移動層は、金属精錬、セメント製造、石炭ガス化などに、十字流式縦型移動層は排ガス処理にそれぞれ応用されている。
【0040】
本発明における転動層とは、金属炭酸塩粒子を充填した容器や格子を運動させることで、金属炭酸塩を転動させ、気体と接触させて反応する反応装置形態である。装置としては、摺動グレート、ロータリーキルンなどが挙げられる。摺動グレートおよびロータリーキルンは、セメント製造、金属精錬、熱分解などにそれぞれ応用されている。
【0041】
本発明における流動層とは、上向きに気体を噴出させることによって、金属炭酸塩粒子を気体中に懸濁浮遊させた状態で、気体と接触させて反応させる反応装置形態である。固体粒子に働く気体の力と重力とがつりあい、全体が均一な流体のように挙動する。反応装置としては、気泡流動層、噴流層、高速流動層などが挙げられる。気泡流動層は、石炭燃焼、ごみ処理、粒子合成、熱分解に、噴流層は、コーティング、粒子合成などに応用されている。
【0042】
本発明における気流層とは、比表面積を大きくした酸化リチウムを、気体と均一に混合し、両者をほぼ同一速度で反応雰囲気を通過させる反応装置形態である。気流層は、微粉炭燃焼、気相合成、石炭ガス化などに応用されている。
【0043】
本発明における気固反応の反応装置は、移動層、転動層、流動層、気流層が2種類以上複合させた形態としてもよい。
【0044】
本発明における気固反応の反応装置は、固定層、転動層を有する反応装置が好ましい。気体の供給速度や酸化リチウムの運動状態を、酸化リチウム粒子の比重や粒子径等に左右されること無く自由に設定することができ、かつ連続的に反応を行うことが可能で、さらには粒子が固着することが無く好ましい。本発明における気固反応の反応装置は、固定炉、プッシャーキルン、ローラーハースキルン、ロータリーキルンがさらに好適に用いられる。
【0045】
設備の材質には、腐食性の高い水分を含んだ硫化水素に耐えうる材質を用いることが望ましい。具体的には、ニッケル、コバルト、クロム等を主成分とする合金、チタン、ガラス等の金属以外の材質が挙げられる。ニッケル、コバルト、クロム等を主成分とする合金としては例えば、ハステロイC−22、ハステロイC−276、ハステロイB、ハステロイB−2、ハステロイG、ハステロイG−3、インコネル600、インコネル625、インコロイ825、MCアロイ、UMCo50が挙げられる。チタンとしては例えば、TP270、TP340、TP480などが挙げられる。ガラス等の金属以外の材質としては石英ガラスが挙げられる。中でも石英ガラス、チタンは耐食性が良好で好ましい。
【0046】
本発明の硫化リチウムの製造方法では、反応は大気圧下で行っても良いし、高圧下で行っても良い。
【0047】
本発明の硫化リチウムの製造方法により、得られた硫化リチウムは、粒子を均一化させる目的で、破砕処理を行っても良い。破砕処理に用いる装置は、一般的な装置を用いることができる。具体的には、ビーズミル、ボールミル、高速回転式ミル、ジェットミル等である。破砕処理によって得られる粒子の平均粒子径は、0.1μm〜1mmが好ましく、より好ましくは、1μm〜300μmである。さらに好ましくは20μm〜200μmである。平均粒子径が0.1μm以上であれば、表面積が大きいため反応速度が大きく好ましい。また、1mm以下であれば、飛散しづらく、静電気で装置の壁面に付着せず、取扱い易い。さらに、嵩密度が高くなり、一定の容積の装置の中に、仕込める重量が多くなるため生産性が高くなる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例により具体的に説明する。なお、各例において得られる金属硫化物の分析値は、次の方法により測定した。
【0049】
純度測定
酸化還元滴定にて測定した。硫化リチウム0.2gをイオン交換水25mlで溶解し試料溶液を得た。試料溶液10mlに0.1Nヨウ素溶液50mlを加えて硫化リチウムを還元し、残ったヨウ素を0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液で逆滴定し、純度を求めた。
【0050】
イオンクロマトグラフィー測定
装置:ICS−2000(日本ダイオネクス(株)製)
カラム:IonPac AG-11-HC / IonPac AS11-HC
溶離液:下記のKOHグラジエントを用いた。なお、カーブとはグラジエントの濃度変化のパターンであり、カーブ5は直線的に濃度が変化するパターンである。
【0051】
【表1】
【0052】
流量:1.25mL/min
サプレッサ:ASRS−300(130mA/リサイクル)
カラム温度:30℃
導入量:25μL
測定方法
37%ホルマリン液を超純水で1%に希釈後、超音波洗浄機とアスピレーターを用いて10分間脱気することで、1%ホルマリン水溶液を得た。サンプル約0.1gを精秤し、1%ホルマリン溶液で100mlにメスアップした。サンプルは調整後、直ちに測定した。
【0053】
実施例、比較例に記載の転化率とは、イオンクロマトグラフィーにて生成物中の炭酸イオンを定量して、炭酸リチウム換算し、試料全体に対する重量割合を求め、100から引いた値を示す。
【0054】
(実施例1)
内径21mm、長さ500mmの石英ガラス管の中央部に、直径2mmの孔を9箇所あけた目皿を取り付けた反応器に、ガラスウールを詰め、酸化リチウム(純度97%、シグマ−アルドリッチ社製)を1.02g充填した。反応器の上部と下部には、ガスの供給管・排気管が取り付けられており、また、熱電対が目皿付近まで到達するように保護管が取り付けられている。すなわち固定層反応である。反応器下部のガス供給管から、窒素を50ml/min導入し、外部加熱により450℃まで加熱した。450℃になったことを確認した後、硫化水素(ジャパンファインプロダクツ株式会社製)を供給速度2ml/minで、窒素に同伴させて供給し、排気ガスを排出しながら6.5時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却することで、茶色塊状の固形物1.01gを得た。X線回折を測定したところ、硫化リチウムのピークが得られ、硫化リチウムが生成していることを確認した。得られた硫化リチウムの純度は58.3%、イオンクロマトグラフィーで測定した不純物含量は、それぞれ亜硫酸リチウム2.4wt%、硫酸リチウム0.1wt%、チオ硫酸リチウム0.1wt%で、合計2.6wt%であった。
【0055】
(実施例2)
実施例1において、窒素の供給速度を50ml/minから25ml/minに変更した以外は、実施例1と同様に反応させることにより、茶色塊状の固形物1.11gを得た。得られた固形物の硫化リチウムの純度は36.0%、イオンクロマトグラフィーで測定した不純物含量は、それぞれ亜硫酸リチウム0.7wt%、硫酸リチウム0.1wt%、チオ硫酸リチウム0.1wt%で、合計0.9wt%であった。
【0056】
比較例1
実施例1において、窒素の供給速度を50ml/minから25ml/minに、反応温度を450℃から500℃に変更した以外は、実施例1と同様に反応させることにより、茶色塊状の固形物0.81gを得た。得られた硫化リチウムの純度は56.8%、イオンクロマトグラフィーで測定した不純物含量は、それぞれ亜硫酸リチウム2.1wt%、硫酸リチウム1.1wt%、チオ硫酸リチウム0.1wt%で、合計3.3wt%であった。
【0057】
(比較例
実施例1において、酸化リチウムを炭酸リチウム(PLC−4N、パシフィックリチウム株式会社製)に、反応時間を6.5時間から5時間に変更した以外は、実施例1と同様に反応させた。白色の粉末が得られたが、酸化還元滴定において、硫化リチウムが検出されず、硫化リチウムは得られなかった。
【0058】
【表2】