(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記放電指令送信部からの前記電源駆動部への放電指令を伝送する光ファイバーからなるファイバー接続部をさらに有する請求項1から3のいずれか一に記載の避雷針システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0015】
なお、実施例1は、主に請求項1,2,3,6について説明する。また、実施例2は、主に請求項4について説明する。また、実施例3は、主に請求項5について説明する。
【0016】
≪実施例1≫
<概要>
図1は、本実施例の避雷針システムによる落雷誘導の一例を説明するための図である。この
図1(a)にあるように、本実施例の避雷針システムは、避雷針や放電電極、電源などからなる避雷針装置と、落雷のタイミングを検知するための電界センサー装置と、によって構成されている。
【0017】
そして
図1(b)に示すように電界センサー装置に雷雲が接近し、空間と雷雲の電位差が広がり空間の絶縁破壊が起こり、落雷が発生しそうであること、あるいは今まさに発生することなどを電界強度の変化パターンの解析により電界センサー装置が検知すると、電界センサー装置から避雷針装置に対して電源の放電指令が出力される。
【0018】
すると、当該放電指令に応じて避雷針装置の電源が駆動され放電電極に電圧が印加される。そして電圧印加に応じて放電電極から避雷針に対する放電が発生し、それによって避雷針先端から電子が放出される。そして避雷針周囲の電子密度が上がり、その空間がイオン化されることで落雷が誘導される、という具合である。
【0019】
このように本実施例の避雷針システムでは、電界センサー装置によって検知した落雷の兆候やはじまりのタイミングで、電源による電圧印加によって避雷針に放電し落雷を誘導することができる。つまり、不必要に落雷を誘導することなく、かつ本当に落ちる落雷のみを誘導することが可能になり、ひいては保護対象物への落雷を防ぐことが可能な避雷針システムとすることができる。
【0020】
<機能的構成>
図2は、本実施例の避雷針システムにおける機能ブロックの一例を表す図である。なお、以下に記載する本避雷針システムを構成する電界センサー装置の各機能ブロック及び避雷針装置の電源駆動部などは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUや主メモリ、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリなど)、情報入力に利用される入力デバイス、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、通信用インターフェース、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザ・インターフェース用アプリケーションプログラムなどの組み合わせによる実現が挙げられる。
【0021】
そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための指令が生成されたりする。あるいは電界センサー装置の各機能ブロックや避雷針装置の電源駆動部などは専用ハードウェアやCPUを用いない電子回路などを含み実現されてもよい。
【0022】
また、本明細書に記載の各実施例はシステムや装置として実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような装置の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を固定した記録媒体も、当然に本明細書に記載の各実施例の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0023】
そして、この
図2にあるように、本実施例の避雷針システムは、「電界センサー装置」(0200)と、「避雷針装置」(0210)と、からなる。なお電界センサー装置と避雷針装置の距離関係や位置関係については特に限定しないが、電界センサー装置によって雷雲の落雷タイミングを検知した際に、その雷雲と避雷針とが離れすぎていると放電による避雷針への落雷の誘導が上手くいかないことを鑑みると、基本的には避雷針装置の避雷針の防護範囲内に電界センサー装置(の電界強度検知部)が設けられていることが望ましい。
【0024】
(電界センサー装置)
図2に示すように、「電界センサー装置」(0200)は、「電界強度検知部」(0201)と、「判断部」(0202)と、「放電指令送信部」(0203)と、からなる。
【0025】
「電界強度検知部」(0201)は、避雷針装置の設置場所近辺における電界強度の変化を検知する機能を有し、例えば電界センサーや電圧センサーをはじめとする各種センサーによって実現することができる。具体的には、電界センサーであれば直接出力される電界強度の検知結果を利用してその変化を検知するとよい。また電圧センサーであれば電界強度の例えばアンテナに配設した電極への帯電電圧を検知し、その帯電電圧と接地電源や基準電源から入力される電圧との差分である電位を電界強度として検出し、その変化を検知する、という具合である。
【0026】
なお、電界強度の検知対象となる「避雷針装置の設置場所近辺」とは、前述の通り当該避雷針装置の避雷針の防護範囲内の領域が挙げられる。
【0027】
「判断部」(0202)は、検知された電界強度の変化が所定パターンを示すか否か判断する機能を有し、CPUや主メモリなどの演算装置と、判断プログラム、あるいは演算装置やプログラムを用いない電子回路などによって実現することができる。
【0028】
なお「電界強度の変化の所定パターン」とは、落雷の兆候やはじまりを示すと想定される電界強度の変化パターンであれば特に限定しないが、具体的には以下のような電界強度の変化によって所定パターンであると判断する例が挙げられる。すなわち
図3(a)に示すように、例えば電界強度検知部で検知された電界強度が時間経過に応じて徐々に上昇するパターンであって、その上昇の結果電界強度が10kV/mなど所定閾値αを超えた場合に電界強度の変化が所定パターンを示すと判断したり、
図3(b)に示すように、前回検知された電界強度と今回検知された電界強度の差分がマイナスであって、かつその絶対値が所定閾値β以上の差分値をとる場合に所定パターンを示すと判断したりする、という具合である。あるいは詳細は後述するように、電界強度の変化が、徐々に増加する変化パターン、かつ急激に減少する変化パターンである場合に所定パターンを示すと判断する例も挙げられる。
【0029】
なお、電界強度の変化パターンによって落雷の兆候やはじまりを検知する場合、その電界強度の変化の発生から落雷が完了するまでの時間は、例えば10〜20マイクロ秒後と極めて短時間であることが多い。そのためCPUと判断プログラムによる判断演算処理では、たとえ落雷の兆候やはじまりを検知したとしても、後述する放電指令の送信が落雷に間に合わない可能性がある。
【0030】
そこで判断部は、CPUを含まない電子回路として構成されても良い。つまり、例えば抵抗器、オペアンプ、論理ゲートなどを利用して、当該電子回路を順次入力された電界強度の変化が所定パターンである場合にのみ信号を出力する回路構成とすることで、電子回路から信号が出力されたことによって「電界強度の変化が所定パターンであること」を判断する構成とする、という具合である。
【0031】
「放電指令送信部」(0203)は、電界強度の変化が所定パターンを示すとの判断結果である場合に、避雷針装置に対して放電指令を送信する機能を有し、例えばCPUや主メモリなどの演算装置、通信回路、放電指令送信プログラム、あるいは演算装置やプログラムを用いない電子回路などによって実現することができる。
【0032】
なお、この放電指令送信部における放電指令の送信方式に関して、無線/有線の別や通信プロトコルの別など特に限定しないが、雷雲が接近し空間の電場が不安定である状態で送信することを鑑みると、無線ではなく有線による送信が好ましく、さらに落雷や放電などによるノイズを受けにくい送信プロトコルであることが望ましい。
【0033】
以上のように、この電界センサー装置の電界強度検知によって、落雷の兆候やはじまりを検出し、その検出タイミングで避雷針装置に対して放電指令を送信することができる。
【0034】
なお、本実施例の避雷針システムでは、上記電界センサー装置に替えて、あるいは加えて磁界センサー装置を利用して落雷の兆候やはじまりを検出し、避雷針装置に対して放電指令を送信する構成としても良い。
【0035】
そしてそのために「磁界センサー装置」は、避雷針装置の設置場所近辺における磁界の変化を検知する「磁界検知部」と、検知された磁界の変化が所定パターンを示すか否か判断する「判断部」と、磁界の変化が所定パターンを示すとの判断結果である場合に、避雷針装置に対して放電指令を送信する「放電指令送信部」と、を有することを特徴とする。
【0036】
具体的には、磁界検知部において磁気センサーなどを利用して磁場の強さや磁束密度を検知し、その検知した値の変化が、電界センサー装置における判断部同様に増加変化によって閾値を超えたり、増加変化から急激なマイナス変化に転じたりした場合に所定のパターンと判断して放電指令を出力する、という具合である。
【0037】
なお、本実施例の避雷針システムにおいて磁界センサー装置と電界センサー装置との双方を利用する場合には、例えば後述する避雷針装置の放電実行条件をAND条件として両センサー装置からの放電指令の受信によって放電を行う構成としても良いし、OR条件として両センサー装置のうちいずれか一の装置からの放電指令の受信によって放電を行う構成としても良い。
【0038】
(避雷針装置)
図2に示すように、「避雷針装置」(0210)は、「避雷針」(0211)と、「放電電極」(0212)と、「電源」(0213)と、「電源駆動部」(0214)と、を有する。
【0039】
「避雷針」(0211)は、放電電極からの放電を受け、落雷を自身に誘導するよう構成された構造体をいい、例えば通常の避雷針同様に先端を尖らせた棒状の構造体として、自身への落雷誘導効果を高めるような形状であると良い。また避雷針の素材としては導電性を備える金属などの材料であれば特に限定しないが、その機能上、避雷針は風雨にさらされることを鑑みると、ステンレスやチタン、あるいは防錆加工などを施した銅などの金属材料であることが好ましい。
【0040】
また、この避雷針の先端を、銅タングステン合金部材で構成しても良い。このように避雷針先端を融点が高い銅タングステン合金とすることで、落雷時のアーク放電による避雷針の融解や変形などを抑えることができる。
【0041】
図4は、この避雷針の一例を表す側面図および上面図である。この図にあるように、避雷針(0411A〜D)は複数であり、後述する放電電極(0412)を囲むように配置されていても良い。このように避雷針を複数として放電電極を取り囲むことで、放電電極が外部にむき出しとならないので、落雷時に放電電極に直接雷撃があり放電電極が破壊されてしまうことを防止することができる。
【0042】
また、雷撃からの防護のため放電電極を箱などの密閉構造体で覆う構造と比較して、このように複数の避雷針で放電電極を取り囲む構造は、放電電極からの放電を効率よく避雷針で利用してその周囲空間の電子密度を上げる効果がある。
【0043】
またこの
図4に示すように、複数の避雷針のうち、1〜数本の主避雷針(0411A)の長さを、他の数本の副避雷針(0411B〜D)よりも長い構造としても良い。このような構造とすることで、落雷を直接誘導する対象を主避雷針とした上で、主避雷針で受けた雷撃による大量の電流の遷移を副避雷針に誘導することができ、その内部に配置された放電電極(0412)への遷移電流によるダメージを抑えることができる。
【0044】
「放電電極」(0312)は、避雷針に対して放電する機能を有し、放電性を有するものであればその素材や形状は特に限定しないが、形状に関しては、
図4や
図5に示すように略球状であることが望ましい。このように放電電極の形状を略球状とすることで、
図5に示すように、後述する電源からの電圧印加に応じて放電電極(0512)の表面の電位を均等にすることができ、それによって主避雷針(0511A)などに放電しやすくなる。
【0045】
また、この放電電極は「絶縁部材」(0520)の上に載置される構造であっても良い。このように構成することで、避雷針への落雷時に生じる放電電極への電流遷移を抑えることができる。
【0046】
「電源」(0313)は、放電のための電源であり、放電電極に電圧を印加する機能を有する構造体をいう。そして、この電源は放電電極と電線によって接続され、電線を介して、例えば避雷針と放電電極の隙間が0.5cmであれば、15000Vなどの電圧を印加することで放電電極からの放電を実現することができる。なお、この印加電圧は、放電電極の素材の放電性や放電電極と避雷針との隙間長などに応じて適宜調整されると良い。
【0047】
そして、本実施例の避雷針システムでは、この電源が前記放電指令に応じて処理を実行する電源駆動部によって駆動されることを特徴とする。
【0048】
「電源駆動部」(0314)は、前記放電指令送信部からの放電指令を受信し前記放電をするように電源を駆動する機能を有し、CPUや主メモリなどの演算装置、通信回路、電源駆動プログラム、あるいは演算装置やプログラムを用いない電子回路などによって実現することができる。
【0049】
具体的には、先の電界強度センサー装置から送信された放電指令を通信回路を介して受信したことをトリガーとして、CPUなどの演算装置が電源駆動プログラムを解釈し、その解釈結果にしたがって電源に対する駆動指令を出力する、という具合である。あるいは放電指令が入力されると駆動指令を示す信号が出力されるよう構成した電子回路によって、この電源駆動部を実現しても良い。
【0050】
以上のように、本実施例の避雷針システムによって、電界センサー装置で検知された落雷の兆候やはじまりに合わせて放電指令を避雷針装置に送信し、その放電指令に応じて避雷針装置にて放電電極用の電源を駆動させ避雷針先端の周辺空間の電子密度を上げることができる。
【0051】
<ハードウェア構成>
図6と
図7は、上記機能的な各構成要件をハードウェアとして実現した際の、避雷針システムにおける構成の一例を表す概略図である。この図を利用して落雷誘導のための放電処理におけるそれぞれのハードウェア構成部の働きについて説明する。
【0052】
(電界センサー装置)
図6は、電界センサー装置におけるハードウェア構成の一例を表す図である。この図にあるように、電界センサー装置は、各種演算処理を実行するための「CPU」(0601)と、「主メモリ」(0602)と、を備えている。また各種情報やプログラムを保持する「フラッシュメモリ」(0603)や、「I/F(インターフェース)」を介して接続された電界強度を検知するための「センサー」(0604)、避雷針装置と通信するための「通信回路」(0605)なども備えている。そしてそれらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0053】
また、「主メモリ」には、電界強度検知プログラムや判断プログラム、放電指令送信プログラムなどが適宜読み出され、「CPU」は読み出された各プログラムを参照解釈し、プログラムで示される手順に従い各種演算処理を実行する。また、この「主メモリ」や「フラッシュメモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」の演算処理においては、そのアドレスを特定し格納されているデータにアクセスすることで、データを用いた演算処理を行うことが可能になっている。
【0054】
まず、電界センサー装置の起動や、図示しない「入力デバイス」を介したユーザによる電界強度検知処理実行の操作入力などをトリガーとして、「CPU」は電界強度検知プログラムを解釈し、その解釈結果にしたがって所定周期で「センサー」から出力される電界強度を「主メモリ」に順次格納する。なお、「センサー」が電界強度を検知し出力するものであれば、その出力値をそのまま電界強度として「主メモリ」に格納すると良い。また「センサー」がアンテナなどの電極を利用して大気中などの電圧を検出するものであれば、別途「I/F」を介して接続された図示しない「接地電源」や「基準電源」から入力される電圧との差分値を「CPU」の演算処理によって算出し、算出した差分値(電位)を電界強度として「主メモリ」に順次格納しても良い。
【0055】
つづいて、「CPU」は判断プログラムを解釈し、その解釈結果にしたがって、「主メモリ」に順次格納されている電界強度の変化パターンが、予め判断プログラムなどで定められている所定パターンと略一致するかの判断処理を実行する。そしてその一致率が例えば80%以上などになれば、雷雲が近づき、その雷雲が落雷の兆候を示している/落雷がはじまっているとして、「CPU」は電界強度の変化が所定パターンを示す旨の判断を出力するする。
【0056】
そして、その判断結果に応じて「CPU」は放電指令送信プログラムを解釈し、その解釈結果にしたがって放電指令を「通信回路」から避雷針装置へと送信する。
【0057】
あるいは上記のようなCPUや各プログラムによる演算処理の替わりに、前述の通り、「センサー」に抵抗器やオペアンプ、論理ゲートなどで構成された「電子回路」を接続し、それによって上記処理を実行しても良い。具体的には、判断部として、第一の電子回路を順次入力された電界強度の変化が所定パターンである場合にのみ信号を出力する回路構成とする。そして、放電指令送信部として、第二の電子回路を第一の電子回路からの出力信号が入力されると放電指令を示す信号が出力されるよう構成する。このようにして、「センサー」で検知された電界強度の変化パターンが所定のパターンである場合に放電指令を送信することができる。
【0058】
(避雷針装置)
図7は、避雷針装置におけるハードウェア構成の一例を表す図である。この図にあるように、避雷針装置は、各種演算処理を実行するための「CPU」(0711)と、「主メモリ」(0712)と、を備えている。また「通信回路」(0713)や、「I/F(インターフェース)」を介して接続された放電電極用の「電源」(0714)なども備えている。そしてそれらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。そして「主メモリ」には、電源駆動プログラムが適宜読み出され、「CPU」は読み出されたプログラムを参照解釈し、プログラムで示される手順に従い、電源駆動のための演算処理を実行する。
【0059】
また上記「電源」は電線などによって「放電電極」(0715)と接続され、またその放電電極の周囲には複数の「避雷針」(0716)が配設されている。
【0060】
ここで「通信回路」を介して電界センサー装置から送信された放電指令を受信すると、「CPU」は電源駆動プログラムを解釈し、その解釈結果にしたがって「電源」に対して駆動指令を出力する。
【0061】
そして駆動指令を受信した「電源」は、それに応じて、例えば自身の発電機能を利用して15000Vの電圧を発生させ、電線を介して「放電電極」に当該電圧を印加する。
【0062】
すると、放電電極では印加電圧に応じて放電が起こり、その周囲に配設された「避雷針」に電荷を与える。すると「避雷針」の先端から電子が放出され、避雷針先端の周辺空間の電子密度が上昇し、当該空間のイオン化が起こる。そして、雷雲と避雷針の間の落雷がそのイオン化された空間を起点又は終点として誘導発生する、という具合である。
【0063】
なお、避雷針装置も電界センサー装置と同様に、CPUや各プログラムによる演算処理の替わりにCPUを有さない「電子回路」によって上記処理を実行しても良い。具体的には、電源駆動部として、電子回路を放電指令を示す信号が入力されると駆動指令を示す信号が出力されるよう構成する。このようにして、放電指令の受信に応じて電源の駆動を行うことができる。
【0064】
<処理の流れ>
図8は、本実施例の避雷針システムにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。また、その一部をアナログ電子回路によって実現する処理ステップであっても構わない。
【0065】
この図にあるように、まず、電界センサー装置にて、避雷針装置の設置場所近辺における電界強度の変化を検知する(電界強度検知ステップ:S0801)。そして、検知された電界強度の変化が所定パターンを示すか否か判断し(判断ステップ:S0802)、その判断結果が、電界強度の変化が所定パターンを示すとの判断結果である場合に、避雷針装置に対して放電指令を送信する(放電指令送信ステップ:S0803)。
【0066】
すると、避雷針装置は、前記放電指令送信ステップS0803からの放電指令を受信し放電をするように電源を駆動する(電源駆動ステップ:S0811)。すると、その電源からの電圧印加によって放電電極にて避雷針に対する放電が発生し、それに応じて避雷針から電子が周囲空間に放出され、落雷が誘導される。
【0067】
<効果の簡単な説明>
以上のように、本実施例の避雷針システムでは、電界センサー装置によって検知した落雷の兆候やはじまりのタイミングで、電源による電圧印加によって避雷針に放電し落雷を誘導することができる。つまり、不必要に落雷を誘導することなく、かつ本当に落ちる落雷のみを誘導することが可能になり、ひいては保護対象物への落雷を防ぐことが可能な避雷針システムとすることができる。
【0068】
≪実施例2≫
<概要>
本実施例の避雷針システムは、上記実施例を基本として、電界センサー装置から避雷針装置への放電指令の送信を、光ファイバーを介して行うことを特徴とする。
【0069】
<機能的構成>
図9は、本実施例の避雷針システムにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の避雷針システムは、実施例1を基本として「電界センサー装置」(0900)と、「避雷針装置」(0910)と、からなる。なお電界センサー装置における「電界強度検知部」(0901)と、「判断部」(0902)と、「放電指令送信部」(0903)、そして避雷針装置における「避雷針」(0911)と、「放電電極」(0912)と、「電源」(0913)と、「電源駆動部」(0914)については、上記実施例1で記載した通りであるので、その説明は省略する。
【0070】
そして、本実施例の避雷針システムの特徴点は、この「電界センサー装置」と「避雷針装置」との間に「ファイバー接続部」(0920)をさらに備える点である。
【0071】
「ファイバー接続部」(0920)は、前記放電指令送信部から前記電源駆動部への放電指令を伝送する光ファイバーからなり、光ファイバーのほか、光ファイバーにて放電指令を伝送するための光電変換機能などを有する光通信回路などによって実現することができる。
【0072】
<効果の簡単な説明>
本実施例の避雷針システムにおける光ファイバーは、主に石英ガラスやゲルマニウムなどの絶縁素材で構成されているため、避雷針装置に落雷があった場合に、その電流が放電指令の伝送線である光ファイバーを介して電界センサー装置に到達し、電界センサー装置を破壊してしまう心配がない。
【0073】
≪実施例3≫
<概要>
本実施例の避雷針システムは、上記実施例を基本として、放電指令を送信する判断基準となる電界強度の変化パターンを、電界強度の漸次的な増加と、電界強度の急激な減少とをともに示すパターンとすることを特徴とする。
【0074】
<機能的構成>
図10は、本実施例の避雷針システムにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の避雷針システムは、実施例1を基本として、「電界センサー装置」(1000)と、「避雷針装置」(1010)と、からなる。なお電界センサー装置における「電界強度検知部」(1001)と、「判断部」(1002)と、「放電指令送信部」(1003)、そして避雷針装置における「避雷針」(1011)と、「放電電極」(1012)と、「電源」(1013)と、「電源駆動部」(1014)については、上記実施例1で記載した通りであるので、その説明は省略する。また、実施例2を基本として、図示しない「ファイバー接続部」をさらに備えていても良い。
【0075】
そして本実施例の避雷針システムは、電界センサー装置の電界強度検知部が、さらに「漸増検知手段」(1004)と、「急減検知手段」(1005)と、を有し、また判断部が、さらに「増減判断手段」(1006)を有する点を特徴とする。
【0076】
そして「漸増検知手段」(1004)は、電界強度の漸次的な増加を検知する機能を有する。具体的には、例えば帯域を0.05Hzとして、3秒で1kV/m増加する電界強度の変化を漸次的な増加として検出する、という具合である。
【0077】
また「急減検知手段」(1005)は、電界強度の急激な減少を検知する機能を有する。具体的には、例えば帯域を300kHzとして、0.5マイクロ秒で100V/m減少する電界強度の変化を急激な減少として検出する、という具合である。
【0078】
なお両検知手段は、例えばCPUなどの演算装置や漸増検知プログラム/急減検知プログラムによって実現しても良いし、
図11A,11Bに示すように、上部に示す電子回路1ーAと1―Bを、アンテナからの入力信号の電圧と基準電源の電圧との電位(電界強度)が漸次的に増加する場合にのみ信号を出力する回路構成とし、下部に示す電子回路2―Aと2―Bを、アンテナからの入力信号の電圧と基準電圧との電位が急激に減少する場合にのみ信号を出力する回路構成とすることで実現しても良い。
【0079】
「増減判断手段」(1006)は、漸増検知手段と急減検知手段とが
順に電界強度の漸次的な増加と、電界強度の急激な減少を検知した場合に前記所定の
変化パターンを示すと判断する機能を有し、例えば演算装置と増減判断プログラムによって実現することができる。
【0080】
あるいは「増減判断手段」を、
図11A,Bに示す上部の電子回路1―A及び1―Bと下部の電子回路2―A及び2―Bの双方からの出力信号を受信した場合にのみ信号を出力する電子回路Cとすることで実現することもできる。
【0081】
以上のように、本実施例の避雷針システムでは、電界強度の変化パターンが電界強度の漸次的な増加と、電界強度の急激な減少とをともに示す場合に、雷雲が接近し、かつその雷雲からの落雷がもうすぐ起きる際の変化パターンとして判断し、放電指令を避雷針装置に対して送信することができる。
【0082】
なお、前述の通り、本実施例の避雷針システムでは、電界センサー装置に替えて、あるいは加えて「磁界センサー装置」を有していても良い。その場合、この「磁界センサー装置」も、上記のような「漸増検知手段」と、「急減検知手段」と、「増減判断手段」を有していると良い。なお磁界センサー装置における「漸増検知手段」、「急減検知手段」、「増減判断手段」に関する説明は、その検知対象や判断対象が電界強度ではなく磁界である以外は上記電界センサー装置の構成要件の記載と同様であるので省略する。
【0083】
<処理の流れ>
図12は、本実施例の避雷針システムにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。また、その一部または全部をアナログ電子回路によって実現する処理ステップであっても構わない。
【0084】
なお、本実施例では電界強度の検知及び電界強度の変化パターンの判断に係る処理の流れに焦点を当てて説明する。その他の放電のための電源駆動などに係る処理の流れは、上記実施例1で記載済みであるので、ここでの説明は省略する。
【0085】
この図にあるように、本実施例の避雷針システムでは、電界センサー装置にて、避雷針装置の設置場所近辺における電界強度の漸次的な増加を検知し(漸増検知ステップ:S1201)、かつ電界強度の急激な減少を検知する(急減検知ステップ:S1202)と、電界強度の変化が所定のパターンを示すとして、放電指令を送信する(放電指令送信ステップ:S1203)。
【0086】
なお、上記増減検知ステップと急減検知ステップの順番は逆でも良いし、同時であっても良い。そして、送信された放電指令に応じて避雷針装置にて電源を利用した放電電極の放電及び避雷針への落雷誘導が実行される。
【0087】
<効果の簡単な説明>
以上のように、本実施例の避雷針システムによって、電界強度の変化パターンが電界強度の漸次的な増加と、電界強度の急激な減少とをともに示す場合に、雷雲が接近し、かつその雷雲からの落雷がもうすぐ起きる際の変化パターンとして放電指令を避雷針装置に対して送信することができる。
【0088】
そして、上記の変化パターンは、雷雲から落雷が発生する直前の変化パターンに近いものと考えられ、したがってより正確に落雷の兆候やはじまりを検知し、それに合わせて落雷誘導のための放電を実行することができる。