(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150253
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】映像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20170612BHJP
G02B 27/48 20060101ALI20170612BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20170612BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B27/48
B60K35/00 A
G03B21/00 E
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-199774(P2013-199774)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-64538(P2015-64538A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 徹
【審査官】
堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−130832(JP,A)
【文献】
特開2010−271554(JP,A)
【文献】
特開2010−39219(JP,A)
【文献】
特開2008−216579(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/132407(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0176190(US,A1)
【文献】
特開2011−180541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
G02B 27/48
B60K 35/00
G03B 21/00
G03H 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コヒーレント光を出射する光源と、
該光源からの前記コヒーレント光を回折させ映像光とするホログラフィック光学素子と、該ホログラフィック光学素子からの前記映像光を導く光学部材と、を備え、
前記映像光による映像を観察者に観察させる映像表示装置であって、
前記映像光の強度を検出する検出部を有するとともに、該検出部の検出結果に基づいて、前記光源の出力を調整する調整部を有し、
前記映像光は、前記ホログラフィック光学素子に位相変調方式で書き込まれたホログラムパターンによって前記コヒーレント光が回折されてから、フーリエレンズを通して出射され、
前記検出部は、前記フーリエレンズから出射された前記映像光の殆どが通過する開口部を有するスリッタの近傍で、前記映像光の照射範囲内に配置され、同じ映像光を検出することを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
前記光源が複数個設けられているとともに、前記複数個の前記光源に対応して、前記検出部が複数個設けられていることを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィック光学素子(HOE、Holographic Optical Element)を用いた映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホログラフィー技術を応用して、三次元ディスプレイやヘッドマウントディスプレイ(HMD、Head Mounted Display)、ヘッドアップディスプレイ(HUD、Head-Up Display)等の映像表示装置が提案されてきた。
【0003】
上述のヘッドマウントディスプレイ(HMD)等に適用される映像表示装置の例として、特許文献1では、
図6に示すように、ホログラフィック光学素子を用いたHOE表示装置(映像表示装置)909が提案されている。
図6は、従来例1のHOE表示装置909を説明する図であって、
図6(a)は、HOE表示装置909の構成図であり、
図6(b)は、LCD(Liquid Crystal Display)913から出力される光に関する説明図である。
図6(a)に示すHOE表示装置909は、光源であるLED(Light Emitting Diode)911や空間変調素子のLCD913及びLCDドライバ912を有した映像表示部901と、表示用HOE914及び検出用HOE915のホログラフィック光学素子と、検出用HOE915からのサンプル光の輝度を検出する輝度センサ(輝度検出部)916と、LEDドライバ918及びLEDドライバ918を制御するDSP917等を有した輝度調整部903と、を備えて構成される。
【0004】
このHOE表示装置909においては、映像を適切に表示するため、
図6に示すように、LCD913から放射される光の内、映像光を表示用HOE914に導き(
図6(b)を参照)、サンプル光を検出用HOE915に導く(
図6(b)を参照)構成としている。これにより、検出用HOE915からのサンプル光を輝度センサ916により検出し、この検出結果に基づいてLED911の出力をLEDドライバ918で調整することができる。このため、映像表示部901から出力された映像光が、観察者905へ届くことにより、その調整された映像が観察者905によって認識されるようになる。
【0005】
ところで、ホログラフィック光学素子を用いていない一般的な映像表示装置について、特許文献1では、従来例2として、
図7(a)のような映像表示装置700を示している。
図7(a)に示す映像表示装置700は、光源を含む映像表示部701と、サンプル光の輝度を検出する輝度検出部702と、映像表示部701の輝度を調整する輝度調整部703と、を備えて構成される。これにより、輝度調整部703は、輝度検出部702によって検出された検出結果に基づいて、光の強さが所定の目標値(最適な色バランスとなる値)へ近づくように、映像表示部701の発光強度を調整することができ、映像表示部701から出力された映像光が、観察者705へ届くことにより、その調整された映像が観察者705によって認識されるようになる。
【0006】
また、ホログラフィック光学素子を用いた一般的な映像表示装置についても、特許文献1では、従来例3として、
図7(b)のような映像表示装置800を示している。
図7(b)に示す映像表示装置800は、光源を含む映像表示部801と、映像表示部801からの映像光が入射するホログラフィック光学素子(ホログラム光学素子)804と、映像表示部801からのサンプル光の輝度を検出する輝度検出部802と、映像表示部801の輝度を調整する輝度調整部803と、を備えて構成される。これにより、輝度調整部803は、輝度検出部802によって検出された検出結果に基づいて、光の強さが所定の目標値(最適な色バランスとなる値)へ近づくように、映像表示部801の発光強度を調整することができ、ホログラフィック光学素子804により回折された映像光が、観察者805へ届くことにより、その調整された映像が観察者805によって認識されるようになる。
【0007】
そして、特許文献1では、
図7(a)に示すホログラフィック光学素子を用いていない映像表示装置700であれば、映像表示部701からの映像光とサンプル光には大きな異差がなく、サンプル光の検出結果に基づいて、映像表示部701の発光強度を調整することは大きな問題となっていなかったと記載されている。しかしながら、
図7(b)に示すホログラフィック光学素子を用いた映像表示装置800では、ホログラフィック光学素子804から放射された映像光は回折されているので、映像光とサンプル光には光の大きな強度差が生じており、サンプル光の検出結果に基づいて、映像表示部801の発光強度を調整することは大きな問題となっていたと記載されている。
【0008】
そこで、特許文献1の従来例1のHOE表示装置909は、サンプル光の光路にも検出用HOE(ホログラフィック光学素子)915を設け、検出用HOE915からのサンプル光に基づいて、映像表示部901の発光強度を調整するようにしている。これにより、映像光及びサンプル光ともにホログラフィック光学素子から放射された光なので、映像光とサンプル光には光の大きな強度差が生じなく、適切な調整が行えるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−271554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、表示画面に表示される表示画像の面積とその表示画像の輝度には、反比例の関係が成り立つので、写し出す映像毎に表示される表示画像の面積が違う場合には、従来例2や従来例3のような発光強度を調整する方法では、表示画像の面積の違いにより、その都度、表示画像の輝度が大きく変化してしまうという問題があった。
【0011】
また、従来例1のHOE表示装置909では、映像光及びサンプル光ともにホログラフィック光学素子から放射された光であるが、
図7(b)に示すように、放射光とサンプル光では出射する方向やその映し出す映像等に明らかな違いがあった。また、特許文献1の明細書中にも、輝度センサ916に届くサンプル光の回折光強度及び回折光の波長は、観察者905に届く映像光とは異なるものになると、明記している。このため、従来例1のHOE表示装置909においても、表示画面に表示される表示画像の面積の違いにより、その都度、表示画像の輝度の違いが顕著になり、視認される映像の輝度バラツキが大きく生じてしまうという課題があった。
【0012】
本発明は、上述した課題を解決するもので、視認される映像の輝度バラツキが少ない映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために、本発明の映像表示装置は、コヒーレント光を出射する光源と、該光源からのコヒーレント光を回折させ映像光とするホログラフィック光学素子と、該ホログラフィック光学素子からの前記映像光を導く光学部材と、を備え、前記映像光による映像を観察者に観察させる映像表示装置であって、前記映像光の強度を検出する検出部を有するとともに、該検出部の検出結果に基づいて、前記光源の出力を調整する調整部を有
し、前記映像光は前記ホログラフィック光学素子に位相変調方式で書き込まれたホログラムパターンによって前記コヒーレント光が回折されてからフーリエレンズを通して出射され、前記検出部は前記フーリエレンズから出射された前記映像光の殆どが通過する開口部を有するスリッタの近傍で前記映像光の照射範囲内に配置され同じ映像光を検出することを特徴としている。
【0014】
これによれば、本発明の映像表示装置は、映像光の強度に対応して光源の出力を合わせることができる。このことにより、表示される映像の表示画像の面積により表示画像の輝度が変化することに対して、表示される映像の映像光と同じ映像光を検出する検出部で検出した検出結果を用いると、正確に輝度変化に対応することができる。そして、調整部により光源の出力を調整し、表示される映像の表示画像の変化に対して、表示される映像の輝度を一定に保持することができる。したがって、観察者により視認される映像の輝度バラツキが少ない映像表示装置を提供することができる。
【0015】
また、本発明の映像表示装置は、前記光源が複数個設けられているとともに、前記複数個の前記光源に対応して、前記検出部が複数個設けられていることを特徴としている。
【0016】
これによれば、光源が複数個設けられているので、観察者により視認される映像の色を複数にすることができ、映像の表現を豊かにすることができる。更に、複数個の光源に対応して検出部が複数個設けられているので、異なる色で異なる表示画像の面積であっても、それぞれの調整部によりそれぞれの光源の出力を調整し、表示される映像のそれぞれの輝度を一定に保持することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の映像表示装置は、映像光の強度に対応して光源の出力を合わせることができる。このことにより、表示される映像の表示画像の面積により表示画像の輝度が変化することに対して、表示される映像の映像光と同じ映像光を検出する検出部で検出した検出結果を用いると、正確に輝度変化に対応することができる。そして、調整部により光源の出力を調整し、表示される映像の表示画像の変化に対して、表示される映像の輝度を一定に保持することができる。したがって、観察者により視認される映像の輝度バラツキが少ない映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態の映像表示装置を説明する構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態の映像表示装置における表示画像例を示した模式図である。
【
図3】本発明の第1実施形態の映像表示装置を説明する図であって、
図1に示すスリッタの部分の平面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態の映像表示装置の効果を説明する図であって、
図4(a)は、視認用の映像光と検出用の映像光との関係を示したグラフであり、
図4(b)は、従来例1における映像光とサンプル光との関係を示したグラフである。
【
図5】ホログラフィック光学素子を用いた映像表示装置における、表示画像の面積と表示画像の平均輝度との関係を表したグラフである。
【
図6】従来例1のHOE表示装置を説明する図であって、
図6(a)は、HOE表示装置の構成図であり、
図6(b)は、LCDから出力される光に関する説明図である。
【
図7】従来例の映像表示装置を説明する図であって、
図7(a)は、従来例2の映像表示装置の構成図であり、
図7(b)は、従来例3の映像表示装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の映像表示装置101を説明する構成図であって、映像表示装置101が車両に搭載されて、観察者(運転者)STがフロントガラスFGの先に映された映像VMを見る様子を示した図である。
図2は、本発明の第1実施形態の映像表示装置における表示画像例を示した模式図であり、
図2(a)は、あるシーン01の表示画像例S01を示した図であり、
図2(b)は、あるシーン02の表示画像例S02を示した図である。
図3は、本発明の第1実施形態の映像表示装置を説明する図であって、
図1に示すスリッタ52の部分の平面図である。
図4は、本発明の第1実施形態の映像表示装置の効果を説明する図であって、
図4(a)は、視認用の映像光と検出用の映像光との関係を示したグラフであり、
図4(b)は、従来例1における映像光とサンプル光との関係を示したグラフである。
【0021】
本発明の第1実施形態の映像表示装置101は、
図1に示すように、コヒーレント光Lcを出射する光源LSと、光源LSからのコヒーレント光Lcを回折させるホログラフィック光学素子1と、ホログラフィック光学素子1からの映像光Lfを導く光学部材OPと、映像光Lfの強度を検出する検出部5と、光源LSの出力を調整する調整部7と、を備えて構成される。
【0022】
また、本発明の第1実施形態の映像表示装置101は、
図1に示すように、車両に搭載され、ヘッドアップディスプレイ(HUD、Head-Up Display)として、使用される。そして、映像表示装置101は、検出部5で検出した検出結果に基づいて、光源LSの出力を調整部7で調整し、その調整された映像光Lfによる映像VMを観察者STに観察させる(視認させる)ようにしている。
【0023】
車両を操作する観察者STは、例えば
図2に示すような変化する表示画像の表示画面をリアルタイムに視認している。そして、視認する表示画面の表示画像として、例えば、
図2(a)に示すシーン01(表示画像例S01)では、スピードメータのセグメントバーや時速のキロ数が緑色Grで表示された画像と、スピードメータのセグメントバーや時間や温度が赤色Reで表示された画像と、回転数や車間間隔や車両マークやドライブポジションが青色Buで表示された画像と、未使用のドライブポジションや車間間隔が白色で表示された画像と、が、映し出されている。
【0024】
また、例えば、
図2(b)に示すシーン02(表示画像例S02)では、スピードメータのセグメントバーのみが緑色Grで表示された画像と、スピードメータのセグメントバーや時速のキロ数や警告灯が赤色Reで表示された画像と、回転数や車間間隔やドライブポジションが青色Buで表示された画像と、未使用のドライブポジションや車間間隔や車両マークが白色で表示された画像と、が、映し出されている。
【0025】
このようにして、ドライブ状況や観察者STの設定によって、表示画面に映し出される表示画像の形状や配色が常に変化しており、各色の表示画面に占める表示画像の面積の割合がその都度変化している。本発明の映像表示装置101は、このように表示画像の面積が変化しても、視認される映像VM(
図1を参照)の輝度バラツキが少ない映像表示装置を提供することを目的としている。
【0026】
映像表示装置101の光源LSは、
図1に示すように、本発明の第1実施形態では、赤色(Red)、緑色(Green)、青色(Blue)と3色の光源LS(LSR、LSG、LSB)が設けられている。また、詳細に図示はしていないが、赤色(Red)、緑色(Green)、青色(Blue)を発光させるために、3種類の半導体レーザ素子を用いている。これにより、半導体レーザ素子を用いているので、高い可干渉性(コヒーレント)を有したコヒーレント光Lcを光源LSから出射させることができる。また、光源LSが複数個設けられているので(本発明の第1実施形態では3個)、観察者STにより視認される映像VMの色を複数にすることができ、映像VMの表現を豊かにすることができる。そして、半導体レーザ素子として、例えば、赤色の場合は642nmの波長等の光を出射する素子が好適に用いられ、緑色の場合は515nmの波長等の光を出射する素子が好適に用いられ、青色の場合は445nmの波長等の光を出射する素子が好適に用いられている。なお、本発明の第1実施形態では、高い可干渉性(コヒーレント)を有したコヒーレント光Lcを得るために、半導体レーザ素子を好適に用いたが、これに限るものではない。例えば、ナトリウムランプの光のような単色光をピンホールに通すことによってもコヒーレント光を作ることができ、このような光源を用いても良い。
【0027】
ホログラフィック光学素子1は、光源LSからのコヒーレント光Lcを回折させ映像光Lfとする機能を有している。具体的には、本発明の第1実施形態では、位相変調方式LCOS(Liquid crystal on silicon)を用いており、この位相変調方式LCOSに書き込まれた「ホログラムパターン」にコヒーレント光Lcが照射されることによって、回折光が発生し、
図1に示すフーリエレンズFL1を通して、映像光Lfとして出射されている。なお、「ホログラムパターン」には、光の強度と位相が記録されている。
【0028】
また、ホログラフィック光学素子1には、
図1に示すように、LCOSドライバ51が接続されており、このLCOSドライバ51は、中央演算処理装置71により作成された「ホログラムパターン」を位相変調方式LCOSに、随時書き込む機能を有している。
【0029】
光学部材OPは、主に、ホログラフィック光学素子1からの映像光Lfを導く光学部品から構成され、本発明の第1実施形態では、
図1に示すように、光路を変更する平面ミラー(12、22)と光を集光またはコリメートする光学レンズ32と表示画面の表示範囲を規定するスリッタ52と映像光Lfを拡散するディフューザー13とを有している。他に、光源LSからのコヒーレント光Lcを集光またはコリメートする光学レンズ42も有している。
【0030】
また、
図3に示すように、スリッタ52は、映像光Lfの殆どが通過する開口部52kと映像光Lfの一部を遮蔽する黒枠部52wとから構成されている。これにより、映像光Lfの照射範囲(
図3に示す破線部分に囲まれる範囲AR)の内、スリッタ52の開口部52kに相当する範囲が、観察者STにより視認される映像VM(
図1を参照)の表示範囲、つまり表示画像となる。
【0031】
また、ディフューザー13は、
図1に示すように、スリッタ52の光路の後側に配置され、透過する映像光Lfを拡散している。また、ディフューザー13には、ディフューザー13を駆動する駆動部13dが接続されており、ディフューザー13を回転させている。これにより、コヒーレント光Lcである映像光Lfの指向性を低減させている。このことにより、コヒーレント光Lcに起因するスペックルパターンを低減することができ、観察者STにより視認される映像VMの品質を向上させることができる。ここで言うスペックルパターンとは、高い可干渉性(コヒーレント)を有した光が被照射物体にあたって散乱される際に、被照射物体上の各部分で散乱された散乱光同士が干渉することによって生じる微細な干渉縞のことを言う。なお、本発明の第1実施形態では、ディフューザー13を回転させた構成にしたが、これに限るものではなく、例えば振動させて動かしても良い。
【0032】
また、平面ミラー(12、22)や光学レンズ32及び光学レンズ42は、一般に使用されている光学部品を用いており、特別な仕様を有するものではない。また、光学部材OPとして、昼光の悪影響を防止するために、各種フィルタを用い、光路の途中に配置しても良いし、平面ミラー(12、22)の代わりに曲面ミラーを用いても良い。なお、
図1に示す光学部材OPの組合せのみに限るものではない。
【0033】
検出部5は、映像光Lfの強度を検出しており、
図1及び
図3に示すように、スリッタ52の近傍に配置され、3個の光源LSRと光源LSGと光源LSBに対応して、3個の検出部R5と検出部G5と検出部B5が設けられている。そして、それぞれの検出部R5と検出部G5と検出部B5に照射される映像光Lfに対して、赤色(Red)、緑色(Green)及び青色(Blue)の色毎に別個に強度を検出している。この検出部5として、フォトダイオード(PD、Photodiode)を好適に用いている。また、検出部R5、検出部G5及び検出部B5は、映像光Lfの照射範囲(
図3に示す破線部分に囲まれる範囲AR)内に配置されている。
【0034】
また、本発明の第1実施形態では、検出部5の部分に映し出す表示画像と映像光Lfの照射範囲(
図3に示す破線部分に囲まれる範囲AR)の映し出す表示画像とを同じ表示画像にしている。これにより、
図4(a)に示すように、検出用の映像光の表示画像の総面積と視認用の映像光の表示画像の総面積とは、ほぼ比例関係が成り立っている。
【0035】
また、検出用の映像光の表示画像の面積とその表示画像の輝度には、
図5に示すような反比例の関係が成り立っている。これにより、表示される映像VM(
図1を参照)の表示画像の面積により表示画像の輝度が変化することに対して、この検出部5(R5、G5、B5)で検出した検出結果を用いると、表示される映像VMの映像光Lfと同じ映像光Lfを検出部5(R5、G5、B5)で検出しているので、正確に輝度補正ができ、輝度変化に対して正確に対応することができる。
【0036】
一方、従来例1では、放射光とサンプル光では明らかな違いがあったので、検出用のサンプル光の表示画像の総面積と映像光の表示画像の総面積とでは、比例関係が成り立たず、
図4(b)に波線で示すような関係となり、表示画像の面積の違いが表示画像の輝度の変化に顕著に現れてくる。そして、検出用のサンプル光の表示画像の面積とその表示画像の輝度には、
図5に示すような反比例の関係も成り立っていないので、このサンプル光を用いて映像光を補正しても、正確に補正することができない。
【0037】
調整部7は、検出部5の検出結果に基づいて、光源LSの出力を調整しており、
図1に示すように、検出部5(R5、G5、B5)と接続されている。また、調整部7は、光源LSの出力を自動に制御する出力制御部(APC、Automatic Power Control)17と、光源LSに接続され光源LSを駆動する光源ドライバ27と、を有して構成される。これにより、調整部7により光源LSの出力を調整し、表示される映像VMの表示画像の変化に対して、表示される映像VMの輝度を一定に保持することができる。また、この出力制御部17は、検出部5の検出結果に基づいて光源LSの出力を調整する機能の他に、光源LSの発熱による温度変化に伴う光源LSの出力変化に対しても調整する機能を有している。
【0038】
以上のように構成された本発明の映像表示装置101における、効果について、以下に説明する。
【0039】
本発明の映像表示装置101は、ホログラフィック光学素子1からの映像光Lfの強度を検出部5(R5、G5、B5)で検出し、検出部5(R5、G5、B5)の検出結果に基づいて、調整部7が光源LSの出力を調整するようにしている。このため、映像光Lfの強度に対応して光源LSの出力を合わせることができる。このことにより、表示される映像VMの表示画像の面積により表示画像の輝度が変化することに対して、表示される映像VMの映像光Lfと同じ映像光Lfを検出する検出部5(R5、G5、B5)で検出した検出結果を用いると、正確に輝度変化に対応することができる。そして、調整部7により光源LSの出力を調整し、表示される映像VMの表示画像の変化に対して、表示される映像VMの輝度を一定に保持することができる。したがって、観察者STにより視認される映像VMの輝度バラツキが少ない映像表示装置101を提供することができる。
【0040】
また、光源LSが複数個設けられているので、観察者STにより視認される映像VMの色を複数にすることができ、映像VMの表現を豊かにすることができる。更に、複数個の光源LSに対応して検出部5が複数個設けられているので、異なる色で異なる表示画像の面積であっても、それぞれの調整部7によりそれぞれの光源LSの出力を調整し、表示される映像VMのそれぞれの輝度を一定に保持することができる。
【0041】
また、光学部材OPには、駆動されているディフューザー13が設けられているので、コヒーレント光Lcである映像光Lfの指向性を低減させている。このことにより、コヒーレント光Lcに起因するスペックルパターンを低減することができ、観察者STにより視認される映像VMの品質を向上させることができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0043】
<変形例1>
上記第1実施形態では、検出部5の受光範囲に映し出す表示画像と映像光Lfの照射範囲(
図3に示す破線部分に囲まれる範囲AR)に映し出す表示画像とを同じ画像にするように好適に構成したが、映像光Lfの照射範囲(
図3に示す破線部分に囲まれる範囲AR)の映し出す表示画像の一部を、検出部5の受光範囲に映し出しても良い。また、照射範囲に映し出す表示画像と違い、検出部5の受光範囲をカバーするようなベタパターンの表示画像であっても良い。この際には、映像光Lfの表示画像の面積とその表示画像の輝度には、
図5に示すような反比例の関係が成り立っているので、検出部5の受光範囲をカバーするベタパターンを用いて映像光Lfの輝度を補正しても、正確に輝度補正を行うことができる。
【0044】
<変形例2>
上記第1実施形態では、光源LSとして、赤色(Red)、緑色(Green)、青色(Blue)と3色の光源LS(LSR、LSG、LSB)を設けるように好適に構成にしたが、更に、黄色(Yellow)を加えた4色の光源を設ける構成であっても良い。また、赤色(Red)及び緑色(Green)といった2色の光源の構成でも、緑色(Green)といった1色の光源の構成であっても良い。
【0045】
<変形例3>
上記第1実施形態では、ディフューザー13をスリッタ52の光路の後側に好適に配置したが、フーリエレンズFL1以降の光路に配置されていれば良い。
【0046】
<変形例4>
上記第1実施形態では、車両に搭載されたヘッドアップディスプレイ(HUD、Head-Up Display)への適用であったが、これに限るものでなく、例えば、三次元ディスプレイやヘッドマウントディスプレイ(HMD、Head Mounted Display)にも適用可能である。
【0047】
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 ホログラフィック光学素子
5、R5、G5、B5 検出部
7 調整部
101 映像表示装置
LS、LSB、LSG、LSR 光源
Lc コヒーレント光
Lf 映像光
OP 光学部材
ST 観察者
VM 映像