(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150305
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】熱電発電のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20170612BHJP
H01L 35/30 20060101ALI20170612BHJP
H01L 35/32 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
H02N11/00 A
H01L35/30
H01L35/32 Z
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-526188(P2014-526188)
(86)(22)【出願日】2012年8月15日
(65)【公表番号】特表2014-529285(P2014-529285A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】US2012051010
(87)【国際公開番号】WO2013025843
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2015年8月13日
(31)【優先権主張番号】61/523,828
(32)【優先日】2011年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513239955
【氏名又は名称】インキューブ ラブズ,リミテッド ライアビリティー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】InCube Labs,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】イムラン,ミル
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン,マシュー
【審査官】
三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−267316(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/089505(WO,A1)
【文献】
特開2003−235158(JP,A)
【文献】
米国特許第07493766(US,B2)
【文献】
K.Qiu, A.C.S.Hayden,Development of a thermoelectic self-powered residential heating system,Journal of Power Sources,2008年 3月 2日,Journal of Power Sources 180(2008),884−889ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
H01L 35/30
H01L 35/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギーを電気的エネルギーに変換するための発電モジュールにおいて、前記モジュールが、
制御可能な熱源と、
内側と外側を有する熱電装置の第1のジャケットであって、前記第1のジャケットの前記内側が前記制御可能な熱源の近くに、前記熱源から発電するために少なくとも部分的に前記熱源を取り囲むように配置されている第1のジャケットと、
前記第1のジャケットの前記外側を取り囲み、かつ、第1の熱伝導流体を封じ込めるため間を置いて配置されている第1の筐体であって、当該第1の筐体が、内側と外側を有する熱電装置の第2のジャケットを含み、前記第2のジャケットの前記内側が前記第1の熱伝導流体を封じ込めるように構成されている第1の筐体と、
前記第2のジャケットの前記外側を取り囲み、かつ、第2の熱伝導流体を封じ込めるために間を置いて配置されている第2の筐体と、
を含むことを特徴とする発電モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の発電モジュールにおいて、前記第1の筐体が熱伝導材料を含み、かつ、内側と外側を有し、前記第1の筐体の前記内側が前記第1の熱伝導流体を封じ込めるように構成されることを特徴とする発電モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の発電モジュールにおいて、前記熱源が天然ガス燃焼器であることを特徴とする発電モジュール。
【請求項4】
発電システムにおいて、
請求項1に記載の1つまたは複数の発電モジュールと、
DC−AC変換器と、
前記1つまたは複数の発電モジュールの前記制御可能な熱源に結合された制御モジュールであって、前記制御モジュールが、
(i)少なくとも前記システムの負荷需要および地域の送電網の供給状況を監視するように、
(ii)前記監視の前記結果に基づいて、いつ、どれだけの容量で発電するかを決定するように、かつ
(iii)前記決定に基づいて、前記複数の発電モジュールの前記1つまたは複数の熱源を調整するように、
構成される制御モジュールと、
を含むことを特徴とする発電システム。
【請求項5】
請求項4に記載の発電システムにおいて、前記制御モジュールが前記決定をする際に、天然ガスの買入価格および電力の買入価格の監視をさらに行うことを特徴とする発電システム。
【請求項6】
請求項5に記載の発電システムにおいて、前記制御モジュールが、前記決定をする際に、前記送電網に電力を逆に伝送するための売値の監視をさらに行うことを特徴とする発電システム。
【請求項7】
請求項6に記載の発電システムにおいて、
(i)前記システムの前記負荷需要が、前記地域の送電網の前記供給状況より大きい;
(ii)発電のコストが、電力の前記買入価格より低い;または
(iii)発電の前記コストが、前記送電網に電力を逆に伝送するための前記売値より低い;
ときに発電するのに、前記制御モジュールが操作可能であることを特徴とする発電システム。
【請求項8】
請求項4に記載の発電システムにおいて、前記制御モジュールが、遠隔制御コマンドを受け取るための無線通信回路を含むことを特徴とする発電システム。
【請求項9】
請求項4に記載の発電システムにおいて、電池をさらに含み、前記制御モジュールが、
(i)前記複数の発電モジュールからの出力が前記制御モジュールで指定されるものより大きい第1の過渡期期間の間、前記電池内に電力を貯蔵するように、かつ
(ii)前記1つまたは複数の発電モジュールからの前記出力が前記制御モジュールで指定されるものより小さい第2の過渡期期間の間、前記電池から電力を放出するように、さらに構成されることを特徴とする発電システム。
【請求項10】
請求項4に記載の発電システムを用いる発電のための方法において、前記方法が、
少なくとも前記システムの負荷需要および地域の送電網の供給状況を監視するステップと、
前記監視の前記結果に基づいて、いつ、どれだけの容量で発電するかを決定するステップと、
前記システムによる前記発電を制御するように前記決定に基づいて、前記1つまたは複数の発電モジュールの前記1つまたは複数の制御可能な熱源を調整するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の発電のための方法おいて、
前記システムの前記負荷需要が、前記地域の送電網の前記供給状況より大きいとき、
前記決定が実行されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の発電のための方法において、天然ガスの買入価格および電力の買入価格を監視するステップをさらに含み、
発電の前記コストが電力の前記買入価格より低いとき、
前記決定が実行されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10に記載の発電のための方法において、前記送電網に電力を逆に伝送するための売値を監視するステップをさらに含み、
発電の前記コストが、前記送電網に電力を逆に伝送するための前記売値より低いとき、
前記決定が実行されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10に記載の発電のための方法において、
前記1つまたは複数の発電モジュールからの出力が前記制御モジュールで指定されるものより大きい第1の過渡期期間の間、電池内に前記システムにより発電された電力を貯蔵するステップ
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の発電のための方法において、前記1つまたは複数の発電モジュールからの前記出力が前記制御モジュールで指定されるものより小さい第2の過渡期期間の間、前記電池から電力を放出するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された実施形態は熱電発電に関する。さらに詳細には、本明細書に記載された実施形態は熱源から発電するためのシステムおよび装置に関した。さらに詳細には、本明細書に記載された実施形態は熱源からの発電を制御するためのシステムおよび装置に関した。
【背景技術】
【0002】
熱エネルギーは、自然界に存在するエネルギーの最も一般的な形態のうちの1つで、燃焼などのプロセスの結果として生じ得る。熱とは、より高温を有するシステムからより低温を有するシステムへの熱エネルギーの移動から生じる熱エネルギーの形態である。熱電発電機(Thermoelectric generators、TEG)、または熱電装置とは、熱を直接電気に変換することができる装置である。TEGモジュールは、細片の形態をとり得るが、電力を補給または代替源として提供するため、ストーブ、暖炉、または炉に取り付け、熱エネルギーを収穫することができる。現在のTEG細片は、廃熱を電力に変換することにより熱の浪費を軽減するのに多少役立ってきた。しかしながら、TEGの現在の利用は初歩的で、十分には効果的でない。それらの効率は様々な環境状況の影響を受けやすい。
【0003】
北米では、家庭用に熱湯および/または熱風を発生させるために天然ガスを使用することは一般的である。実際、一世帯住宅のほぼ70パーセントは加熱目的で天然ガスを使用する。豊富なことに加えて、天然ガスは石油または石炭に対して利点があり、それは二酸化硫黄または窒素酸化物のような有害な化学物質を空気中へ生み出さずに、天然ガスはきれいに燃えるからである。ある一つの地域では天然ガスおよび電力は同じエネルギー会社によって通常は提供されるが、それらは、2つの別個の配送インフラストラクチャー(例えば、送電線対ガスライン)を使用して、2つの別個の製品として世帯へ一般的に販売され配送される。最終顧客が1つの製品を他の製品に容易に変換することができないことは浪費につながる。したがって、利用者が制御可能な熱源から選択的に発電することを可能にすることは有益である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
添付図面の図において実施形態は限定としてではなく実施例として図示され、同様の参照番号は同様の要素を表す。
【0005】
【
図2A】
図2Aは、発電モジュールの一実施形態の側面図を示す。
【
図3A】
図3Aは、発電モジュールの別の実施形態の側面図を示す。
【
図4】
図4は、一実施形態による、発電システムのための複数モジュール構成を示す。
【
図5】
図5は、本明細書に記載された実施形態による、無線遠隔制御能力を備えた発電システムを示す。
【
図6】
図6は、実施形態による、発電システムの移動式の応用を示す。
【
図7】
図7は、実施形態による、発電システムの遠隔操作の応用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の様々な実施形態は、発電するために制御可能な熱源を使用するための方法および装置を提供する。多くの実施形態は、制御可能な熱源、熱電装置の1つまたは複数のジャケット、および熱伝導流体を含む発電モジュールを提供する。流体は、ジャケットから、および/または、ジャケットへ熱を伝導するように構成され配置されており、ならびに、ジャケットの全体または一部を取り囲むように、および/または、ジャケット間に位置するように配置されてもよい。熱電装置のジャケットは流体を封じ込めるように水密に構成することができ、または、1つまたは複数のスリーブ式筐体を流体を封じ込めるように使用することができる。スリーブ式筐体は、高い熱伝導率を有する材料から作製することができ、また、熱電装置のジャケットはスリーブ式筐体へ結合されてもよい。発電モジュールは、例えばガス燃焼室(燃焼器とも言う)からの熱を電力に変換することができる。別の実施形態によれば、1つまたは複数の発電モジュール、直流から交流への(DC−AC)変換器、および制御モジュールを有する発電システムが、地域の送電網の負荷需要および供給状態に少なくともある程度は応じて選択的に発電するために提供される。さらに別の実施形態によれば、制御可能な熱源を備えた複数の発電モジュールを有する発電システムを使用する発電のための方法が、地域の送電網の負荷需要および供給状態に少なくともある程度は応じて選択的に発電するために開示される。
【0007】
本明細書に記載された発明の実施形態は、個々の住宅所有者などの利用者に、制御可能な熱源、例えば天然ガス燃焼器から高効率で発電することを可能にすることができる。以下の説明において実施形態を完全に理解するために多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、実施形態がこれらの具体的な詳細を伴わないで実施され得ることは明白である。他の例では、周知の構造および装置は、本明細書に記載された例示的な実施形態を不必要にわかりにくくしないようにするためにブロック図の形態で示す。
【0008】
図1は、発電システム100の一実施形態を示す。発電システム100は、天然ガス入力110、冷水入力120、出力130、熱湯出力140、および排気出力150を含む。発電システム100は、1つまたは複数の熱電発電モジュール(EGM)160、制御モジュール170、DC−AC変換器180、および冷水器190をさらに含む。1つまたは複数のEGMは、天然ガス入力110および冷水入力120へ結合される。本実施形態によれば、発電システム100は、制御可能な熱源(例えば天然ガス入力110により供給された天然ガスを燃焼させることによる)からの熱を電力へ変換するために、1つまたは複数のEGM160を制御することができる。
【0009】
EGM160は、燃料ガスのために天然ガス入力110へ、および冷却液のために冷水入力120へ結合される。本実施形態によれば、EGM160は、制御可能な熱源、熱電装置(または熱電発電機、「TEG」)の少なくとも第1のジャケット、および熱電装置のジャケットの一部にわたり温度差または温度勾配(ΔΤ)を作り出すために第1のジャケットの外側の全体または一部分に接触する少なくとも第1の熱伝導流体を含む。典型的には、温度勾配はジャケットの内壁(ホット側)と外壁(コールド側)との間にある。しかしながら、勾配(ΔΤ)のための別の構成も考えられる(例えば、内壁はコールド側、外壁はコールド側など)。熱電効果を通じてΔΤはTEGの中に電位差を作り出し、それによってEGM160は熱を電力に変換する。熱伝導流体は、当該技術分野で周知の熱伝導の能力があるいかなる種類の流体、例えば油または水であってもよい。さらに、熱伝導流体(本明細書に記載された熱伝導材料も)は、ジャケットの外壁の全体または一部を取り囲むことができる。熱伝導流体に熱輸送をさせるために、熱伝導性流体(および/または熱伝導性材料)はジャケットと直接的な接触にある場合があり、さもなければ、(例えば、別の熱伝導性材料または構造を介して)間接的な接触を通じてジャケットへ熱的に結合される場合がある。制御可能な熱源は、制御信号に応じて選択的に熱を発生させることができる。そのような制御信号は、エネルギー制御システム100の制御モジュール170から送信され得る。EGM160の実施形態の構造をより詳細に以下に記述する。
【0010】
変換の過程において、冷水入力120により供給された冷水は、少なくともある程度はEGMのための冷却液用として使用される。熱湯が、変換の副産物として生み出され、さらなる利用のために熱湯出力140か、または冷却液として再使用のために冷却しEGM160へ転送するために冷水器190か、のいずれかへ導かれる。冷水器190は、いかなる種類の適切な冷却器であってもよく、例えばコンプレッサ駆動の冷却器が含まれる。排気ガスは、変換の別の副産物として、大気へ放出するために排気出力150へ導かれる。天然ガスを燃焼させるプロセスは、有害な化学物質を通常生み出さないので、大気へ排気ガスを放出することは安全である。いくつかの実施形態において排気ガスは、加熱目的、例えば熱湯に加熱するための熱源として使用することができる。さらに別の実施形態において排気ガスからの二酸化炭素(CO
2)は、水酸化リチウム、または様々なゼオライト材料などの当該技術分野で公知の他の(CO
2)吸着剤材料を用いてろ過することができる。
【0011】
変換の主産物は電力であり、それは、典型的には直流の形態である。電力は交流にするためにEGM160からDC−AC変換器180まで導かれ、次いで、電気出力130へ導かれる。別のいくつかの実施形態において、直流は電気出力130へ導くことができ、DC−AC変換器180は省くことができる。さらに、電気出力130を変更するために他の電気装置180を用いることができる。そのような電気装置は、例えば、地域の送電網(例えば10〜20マイルまで(16.09〜32.19キロメーター)遠方)へ、または遠隔の送電網(例えば、何百マイル遠方)への送電のため、出力130の電圧の昇圧または降圧をする変圧器を含み得る。
【0012】
図2Aは、発電モジュール(EGM)の一実施形態200の側面図を示す。EGM200は、制御可能な熱源210、複数の熱電発電機(TEG)220、および熱伝導層230を含む。制御可能な熱源210は、熱を作り出すために燃料として天然ガスを燃焼させる。制御可能な熱源210からの熱が熱伝導層230へ効率的に移動されるように、熱伝導層230は、少なくとも部分的に熱源210を取り囲むように制御可能な熱源210の近くに配置される。熱伝導層230は、油または水のような熱伝導流体(すなわち、望ましくは層230の内に密閉されている)で充填してもよく、または単に熱伝導材料(例えば銅)であってもよく、または熱伝導性流体と熱伝導材料の組み合わせを含んでいてもよい。特定の実施形態おいて、層230の表面積を増加し、またそれにより熱輸送の量/速度を増加するために、熱伝導層230は波形か他のテクスチャ付きの表面を有することができる。複数のTEG220は、TEGのジャケットの内側が加熱されるように、熱伝導層230の全体または一部を取り囲むジャケットを形成する。TEGのジャケットの加熱された内側、およびTEGのジャケットの外方のより低温の側部は、温度差または温度勾配(ΔΤ)を結果として生じ、これをTEGを駆動し発電するために用いることができる。さらに、複数のTEG220は、熱伝導層230および/または熱源210のまわりで、例えば、10、5、2、または1度の間隔以内の間隔を有して実質的に対称的に配置することができる。様々な非対称配置も考えられる。さらに様々な実施形態において、より詳しく本明細書において説明するように、TEG220は、あるパターンで、すなわちそれによってTEGが熱的に絶縁する井戸により分離されるパターンで配置することができる。
【0013】
図2Bは、
図2Aに示す実施形態200の断面図を示す。
図2Aに示すように、熱伝導層230、および複数のTEG220のジャケットは、よりよい変換効率のために熱源210を少なくとも部分的に取り囲むように、制御可能な熱源210の近くに配置される。
【0014】
図3Aは、発電モジュール(EGM)の別の実施形態300の側面図を示す。本実施形態および関連する実施形態においてEGM300は、制御可能な熱源310、熱電装置(TEG)320の第1のジャケット、第1の熱伝導流体330、および任意選択的に熱源ハウジング305を含む。いくつかの実施形態においてEGM300は、以下により詳細に説明するように、TEG340の第2のジャケット、および第2の熱伝導流体350をさらに含む。本実施形態によれば、制御可能な熱源310は、
図1の制御モジュール170などの制御モジュールが発生する制御信号に応じて、選択的に熱を発生させる。
【0015】
TEG320の第1のジャケットは内側と外側を有する。第1のジャケット320の内側は、例えば、伝導または熱輸送の他の形態(例えば対流など)により熱を吸収するために、少なくとも部分的に熱源310を取り囲むように制御可能な熱源310の近くに配置される。第1のジャケット320の外側は、第1の熱伝導流体330に取り囲まれる。第1の熱伝導流体330は冷却液または熱消費物として働き、それによってTEG320の第1のジャケットの内部と外側との間で温度差(ΔΤ)を作り出し、これが結果として発電の源になる。一実施形態において、第1の熱伝導流体330は油である。別の実施形態において、第1の熱伝導流体330は水である。また、その熱容量を増加するために様々な溶質(例えば、塩)を水に加えることができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、TEG340の第2のジャケットは、制御可能な熱源310から生じた熱をより完全に吸収するように選択され、配置される。そのような実施形態において、TEG340の第2のジャケットは、第2のジャケット340の内側が第1の熱伝導流体330を取り囲み、流体330から熱を吸収するように第1の導通する流体330用の筐体として配置される。第2の熱伝導流体350も、TEG340の第2のジャケットがさらに電力を発生するように第2のジャケット340の外側を冷却し、ΔΤを作り出すために、第2のジャケット340の外側を取り囲むように配置される。熱電装置のジャケット(例えば、TEG340)は、流体を封じ込めるように水密に構成することができ、または、流体を封じ込めるために1つまたは複数のスリーブ式筐体を用いることができる。スリーブ式筐体は、高い熱伝導率を有する材料から作製することができ、また、熱電装置(例えば、TEG340)のジャケットはスリーブ式筐体に結合されてもよい。
【0017】
TEGの第1および第2のジャケット320と340を用いる様々な実施形態において、ジャケット320と340との間の熱輸送を集中するか、さもなければ強化するように、一連の熱伝導導管(図示せず)が、ジャケット320および340の1つまたは両方に(直接的にまたは間接的に)熱的に結合され得る。熱伝導導管は単独で、または熱輸送流体330と組み合わせて用いることができる。特定の実施形態では、熱伝導導管は当該技術分野で公知の様々な熱伝導金属、および/または、高い熱容量の液体(例えば油、水、または塩水)を含むことができる。様々な実施形態において、発電ジャケット320および340の片方または両方は、下記の熱輸送を強化するように構成された長方形、または円筒状の形状を有することができ、それは、i)熱源310から第1の熱伝導流体330および第1のジャケット320へ;ii)第1の熱伝導流体330および第2のジャケット340から;および、iii)第2のジャケット340と第2の熱伝導流体350との間で;のうちの1つまたは複数からの熱輸送である。別の形状も上記の要素の1つまたは複数の間の熱輸送の強化のために考えられる。さらに、ジャケット320と340の片方または両方は、例えば、第1の熱輸送流体330、または第2の熱輸送流体350への熱輸送の強化のために、波形、リブ付き、または別のテクスチャ付きの表面(内部、外側のいずれか、または両方)を有することができる。そのような形状は、表面積を増加し、熱輸送をさらに向上させるように波形、リブ付き、または別のテクスチャ付きの表面を有することができる。
【0018】
任意選択的に、不完全な、かつ/または、非効率な燃焼、これは天然ガスが完全燃焼しない場合生じることがあるが、それによる炭素蓄積に対して、ジャケット320の内側を保護するために熱源ハウジング305が、TEG320の第1のジャケットと制御可能な熱源310との間に配置される。熱源310から第1のジャケット320までの高い熱輸送効率を確実にするために、ハウジング内の熱源305は、高い熱伝導特性を有する材料、例えば銅で作製されるのが望ましい。
【0019】
図3Bは、
図3Aに示される実施形態300の断面図を示す。
図3Aに示すように、任意選択の熱源ハウジング305、TEG320の第1のジャケット、第1の熱伝導流体330、TEG340の第2のジャケット、および第2の熱伝導流体350はすべて、よりよい熱−電力の変換効率のために熱源310を少なくとも部分的に取り囲むように制御可能な熱源310の近くに配置される。簡潔さのために
図3Aおよび
図3Bから適切な封止が省かれていることが注目される。しかしながら、当業者は、熱伝導流体を適切に封じ込めるために、高い熱伝導率を有するいかなる適切な封止または筐体も用いることができることを理解するであろう。TEGのジャケットおよび熱伝導流体の層の数は、任意であり、同一である必要はないことはさらに注目される。いくつかの実施形態において、ジャケットの数は熱伝導流体の層の数と等しくない。また、
図3Bの実施形態に示されるのは、温度勾配ΔΤが減少する結果になるTEG間の伝導または他の熱的なクロストークを防ぐために、第2のジャケット340内のTEGSが熱的に絶縁された井戸により分離される構成である。
【0020】
図4は、一実施形態による発電システム(EGS)400の複数モジュール構成を示す。EGS400は、天然ガス入力410、冷水入力420、電気出力430、熱湯出力440、および1つまたは複数の排気出力450を含む。発電システム400は、複数の熱電発電モジュール(EGM)460(1)〜460(n)、制御モジュール470、DC−AC変換器480、および冷水器490、ならびに任意選択的に電池405も含む。複数のEGM460は、天然ガス入力410および冷水入力420に結合される。本実施形態によれば、発電システム400は、上述の
図1のEGS100と同様の方式で、例えば天然ガス入力410により供給された天然ガスを燃焼させることによる制御可能な熱源からの熱を電力に変換するために、複数のEGM460を制御することができる。EGM460の動作は
図1のEGM160と同等であり、重複して本明細書には記述しない。しかしながら、制御モジュール470の動作はここでより詳細に説明する。
【0021】
図1および
図4の両方を参照すると、制御モジュール470は、負荷/供給状況を監視するために負荷/供給検知入力475を有し、かつ、制御信号を送信するために複数のEGM460の制御可能な熱源に結合されている。制御モジュール470は、(i)少なくともシステムの負荷需要および地域の送電網の供給状況を監視する;(ii)監視の結果に基づいて、いつ、どれだけの容量で発電するかを決定する;かつ、(iii)その決定に基づいて、複数の発電モジュールの1つまたは複数の熱源を調整する;ように構成される。いくつかの実施形態によれば、発電することが経済的に有利かどうか、さらにそうならば、どれだけの電力を発電すべきかの決定を行う場合、制御モジュール470は、天然ガスと電力の買入価格を監視することがさらにできる。
【0022】
したがって、地域の送電網からの電力供給が十分でない場合(例えば、夏季に、または停電の間に)発電するのに、制御モジュール470が操作可能である。すなわち、EGS400は、システムの負荷需要が地域の送電網の供給状況より大きい場合、発電することができ、それは、EGS400が補助的な動力源として動作しているということを意味する。さらに、地域の電力会社から電力を買うよりむしろ利用者が利用者自身の電力をガスから発電することが経済的に合理的なときがある。したがっていくつかの実施形態で、EGS400を用いる発電のコストが地域の電力会社から電力を直接買うコストより低い場合発電するのに、制御モジュール470が操作可能である。
【0023】
さらにまた北米のいくつかの地域では、利用者が地域の送電網上に電力を戻そうとする場合利用者に払い戻すという政策がある。したがっていくつかの実施形態で、制御モジュール470は、地域の送電網に電力を逆に伝送するために売値の監視をさらに行い、発電のコストが送電網に電力を逆に伝送するための売値より低い場合発電するのに、制御モジュール470が操作可能である。
【0024】
任意選択的に、電池405をEGS400内に配置することができる。電池405は、バックアップおよび/または電力補充の目的で用いることができる。特定の実施形態で、天然ガスの燃焼から熱の発生のプロセスにおいて、次いで熱の電力への変換において、過渡期遅延が存在するので、この過渡期期間の間利用者がEGS400に求めた電力需要に対応するように、電池405を構成することができる。電池405は、EGM460で発電した電力が負荷需要より大きい場合充電され、負荷需要がEGM460で発電した電力より大きい場合はエネルギーを放出することになる。EGS400が電池405を有する実施形態に対して、制御モジュール470を、複数の発電モジュールからの出力が制御モジュールで指定されるものより大きい第1の過渡期期間の間、電池内に電力を(例えば、充電電流を、特定の電池化学に適合した充電体制にある電池、例えば、鉛酸、リチウムイオンなどに導くことにより)貯蔵するように構成し、また次いで、複数の発電モジュールからの出力が、制御モジュールで指定されるものより小さい第2の過渡期期間の間、電池から電力を放出するように構成することがさらにできる。
【0025】
したがって、制御モジュール470を有するEGS400は、少なくとも負荷/供給の要求475に基づいて動的に発電することができる。制御モジュール470は、負荷状況を検知し、正確に、発電を制御する。制御モジュール470は、天然ガスの燃焼を制御する(例えば、燃焼を止める、始める、およびその速度を制御する)こと、および/または、その発電目標を達成する際に、液体の流量を調整することができる。有利には、EGS400により、利用者は天然ガスを効率的に電力に変換することができる。
【0026】
図5は、本明細書に記載の実施形態による無線遠隔制御能力を備えた発電システム500を示す。EGS500は、その制御モジュール(図示せず)に結合された無線通信回路510を装備しているという点を除いて
図4のEGS400と本質的に同一である。無線通信回路510を用いて、制御モジュールは、発電運転を調節するための遠隔制御コマンドを受け取ることができる。遠隔制御コマンドは、集中化された任務制御から来ることがあり、または、例えば利用者の携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、またはスマートフォンを含む他の適切な送信元から来ることがある。遠隔制御コマンドが1つまたは複数のサーバから来る場合において、サーバは、インターネット(またはクラウド)を介してアクセス可能であり得る。別の実施形態で、EGS500は、ローカルエリアネットワーク(LAN)などの有線の接続を通じて1つまたは複数のサーバと通信することができる。
【0027】
図6は、実施形態による、発電システム600の移動式の応用を示す。EGS600は移動式のプラットフォーム、例えばトラック上に搭載される。EGS600は一時的野外応用に適している。例えば、天然ガスの豊富な供給はあるが電力は不足している天然ガス農場環境で、EGS600は天然ガスを実用の電力に変換することができる。
【0028】
図7は、1つまたは複数の実施形態による、発電システム700の遠隔操作の応用を示す。
図6のEGS600の応用と同様に、1つまたは複数のEGS700は、天然ガスの豊富な供給を見いだすことができる遠隔の場所、例えば天然ガス農場、汚水処理プラント、農場、または石油掘削プラットフォームに設置することができる。使用すると、EGS700は、そのような地域にある天然ガスを消費者の実用の電力へ変換することができる。
【0029】
本発明をその特定の実施形態に関して記述してきたが、本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、そこに様々な修正および変更がなされ得ることは明白であろう。例えば、いずれの実施形態もその特徴または態様は、任意の他の実施形態と組み合わせて、またはその相当物の特徴または態様の代わりとして、少なくとも実行可能な場合適用されてもよい。したがって、本明細書と本図面は限定的ではなく例示の意味で考えられるべきである。