特許第6150307号(P6150307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150307
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】電磁波を利用する骨測定構成
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/13 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
   A61B8/13
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-537677(P2014-537677)
(86)(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公表番号】特表2014-532467(P2014-532467A)
(43)【公表日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】FI2012051053
(87)【国際公開番号】WO2013064740
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2015年6月4日
(31)【優先権主張番号】20110378
(32)【優先日】2011年11月1日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】514107152
【氏名又は名称】オーエスケア メディカル オサケユフティオ
【氏名又は名称原語表記】OsCare Medical Oy
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】モイラネン,ペトロ
(72)【発明者】
【氏名】ティモネン,ユッシ
(72)【発明者】
【氏名】キラッパ,ヴァンテ
(72)【発明者】
【氏名】カルッピネン,パシ
(72)【発明者】
【氏名】ハーグストローム,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】カルッピネン,ティモ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,ツオミン
(72)【発明者】
【氏名】ミュッリュラ,リスト
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−125081(JP,A)
【文献】 特開2008−142531(JP,A)
【文献】 MANIK HAPSARA,LAMB WAVES DETECTION IN A BOVINE CORTICAL TIBIA USING SCANNING LASER VIBROMETRY,PROCEEDINGS OF SPIE,2008年 3月 6日,V6920,P69200N-1 - 69200N-12
【文献】 ZUOMIN ZHAO,PHOTO-ACOUSTIC EXCITATION AND DETECTION OF GUIDED ULTRASONIC WAVES IN BONE SAMPLES COVERED BY A SOFT COATING LAYER,PROCEEDINGS OF SPIE,2012年12月11日,V8553,P85531E-1 - 85531E-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
力学的な波の動作、骨診断および骨治療の少なくとも1つにおいて使用される、電磁波を利用する骨測定構成であって、電磁波により柔らかい組織を介する骨からの少なくとも1つの力学的な波の骨振動を検出する生体内検出手段(103)と、少なくとも1つの力学的な波の検出された前記骨振動を少なくとも1つの記録場所において記録して力学的な波の情報を形成する手段(104)であって、前記少なくとも1つの生成場所から前記少なくとも1つの記録場所までの距離は既知であり、かつゼロではない、手段(104)と、少なくとも1つの記録された信号に基づいて骨特性を決定する手段(108)とを含む構成において、前記構成が、覆っている柔らかい組織における吸収を最小化するように条件付けられた骨において最大の電磁波吸収を与える波長を具える電磁波を生成する生体内励起手段(100)であって、柔らかい組織を介して適切な励振を行って少なくとも1つの力学的な前記波を前記骨中に生成するために必要な値として少なくとも波長、音響励振周波数および生成スポットの形態の値を使用することにより、電磁波により少なくとも1つの生成場所において前記骨(107)の中に柔らかい組織(105)を介して少なくとも1つの力学的な波を生成する生体内励振手段(100)を含むことにより特徴付けられる構成。
【請求項2】
請求項1に記載の骨測定構成において、少なくとも1つの力学的な波を励振するために電磁波により少なくとも1つの力学的な波を生成することにおいて多モード軸方向送信を行う手段(100)を含むことにより特徴付けられる構成。
【請求項3】
請求項1に記載の骨測定構成において、電磁波により骨振動を検出するための前記手段(103)が光干渉計(103)、光コヒーレンストモグラフィー装置(103)およびレーザードップラー振動計(103)の少なくとも1つを含むことにより特徴付けられる構成。
【請求項4】
請求項1に記載の骨測定構成において、前記構成が第1到着信号(FAS)モードおよ
びラム超音波モードの少なくとも一方の検出に基づいて骨中の骨振動を検出する手段(103)を含むことにより特徴付けられる構成。
【請求項5】
請求項1に記載の骨測定構成において、前記構成が少なくとも1つのラム・モードの骨内への生体内励振を促進するために前記力学的な波の中心周波数およびパターンの少なくとも一方を調整する手段(100)を含むことにより特徴付けられる構成。
【請求項6】
請求項5に記載の骨測定構成において、前記構成が少なくとも1つのラム・モードの骨内への体内励振を促進するために電磁波線源(100)の配列の位相遅延励振を行うことにより前記力学的な波の中心周波数およびパターンの少なくとも一方を調整する手段(100)を含むことにより特徴付けられる構成。
【請求項7】
請求項1に記載の骨測定構成において、前記電磁波センサーの垂直位置付けの調整運動、前記電磁波センサーの軸方向位置付けの運動、前記電磁波センサーの接線方向位置付けの運動、前記電磁波センサーの方位角位置付けの運動および電磁波センサーの軸方向走査運動の少なくとも1つを行うことにより前記手段(100、103)の少なくとも一方を位置付ける手段(106)を含むことにより特徴付けられる構成。
【請求項8】
請求項7に記載の骨測定構成において、前記構成が力学的な波の前記形成情報に基づいて前記骨の骨材料特性をマッピングする手段(108)を含むことにより特徴付けられる構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光音響(PA)励振および/または骨内超音波信号の検出を含む骨定量的超音波法(QUS)に関する。
【背景技術】
【0002】
そもそも、たとえばレーザまたはパルス状レーザ光源により生成されて電磁導波管(たとえば光ファイバ、コリメータ、レンズ、マスクおよび/またはミラー配置)により伝達され、人体組織に照射される電磁波またはインパルス波形のビームにより励振および/または検出を行うことが提案されている。電磁波の人体への入力に続いて電磁機械的変換(たとえば光音響変換)が行われ、それにより組織に熱および機械的振動が導入される。これに対応して、電磁波の出力時に、組織の機械的振動が検出される(たとえば、光干渉法、光コヒーレンストモグラフィーまたはレーザードップラー振動法により)。目的は、それにより骨または骨格中に力学的な波(たとえば超音波)を発生させることおよび/またはそれを検出することである。潜在用途は、骨または骨格の評価および治療に関する。骨の評価は、骨粗しょう症のような骨疾患のスクリーニングまたは診察および骨折治癒機転の監視を含み得る。治療は、たとえば、機械的振動による骨折治癒機転の促進を含み得る。
【0003】
具体的には、本発明は、骨の非侵襲的評価に関する先行米国特許第7601120B2号明細書(Petro Moilanenほか)に密接に関連している。この特許は、橈骨または脛骨のようなヒトの長骨における2つ以上のモードのラム波の同時生体内QUS測定を提案している。かかる測定は、所与の1つの送受距離(または複数の距離)における骨の長軸沿いの励振および検出を指すいわゆる軸方向送信技術に基づいている。具体的には、前記超音波モードの1つは、第1到着信号(FAS)に、かつ、他のモードは基本波屈曲(すなわち非対称)ラム/モード(A0)に関連付けることができる。
【0004】
FASの音速は、基本波対称ラム・モード(S0)および側面圧縮波の速度に従って説明することができる(NicholS0nほか2002年、Bossyほか2002年)。側面圧縮波は、骨の外側(骨膜)境界に沿って体積圧縮波の速度に非常に近い速度で伝播する圧縮波である。具体的には、FASは、過渡モードとして出現し、その見かけ上の伝播速度は、既知送受距離および飛行時間から評価することができる。柔らかい被膜組織通過による飛行時間の遅延を補正するために、多数の送受距離および送受対称構成の2つの反対方向の伝播の測定が必要である。かかる補正は、在来の超音波手段、圧電セラミック接触超音波トランスデューサの配列により可能である。それは、生体内検査において、骨ミネラル濃度および皮質厚の評価について、特に、中央励振周波数が十分に低い値に設定された場合に(好ましくは100〜400kHz)良好な実績を示している(Kilappaほか、2011年)。さらに、この方法は、DXAに匹敵するかまたはそれを超える骨折の優れた予測を与えている(Moilanenほか、subm)。今日、上記の情報のいずれも新しいとは考えられない。
【0005】
骨の中にいくつかのラム・モードを励起し、個別に検出することもできる。最大の特定の関心事の1つは、A0ラム・モードである。その速度は、皮質骨の厚さに強く関連しており、したがって測定された超音波速度から逆算する皮質壁厚の評価を本質的に可能にする(Moilanenほか、UMB 2007年)。しかし、圧電セラミック接触超音波トランスデューサに基づく在来の超音波技術では、柔らかい組織被膜経由のこのA0モードの励振および検出は真に難しい課題であることが示されている(Moilanenほか、2008年)。これは、柔らかい皮質組織が干渉に伝播経路を与えるという事実によるものとして説明される。この干渉は、しばしば、比較的強力である一方、同時にA0モードは、骨から離れた周囲の柔らかい組織内において弱い変位振幅をもつことが知られている。さらに、干渉モードの伝播速度はA0モードの伝播速度に近いので、柔らかい被膜の上で記録された応答信号からA0を抽出することは、真に困難な課題である。したがって、励振および検出を調整してA0モードの体内測定を潜在的に可能にするためには、特別の注意が必要である。A0ラム・モードのほかに、いくつかの他のラム・モードも診断上有益であることが証明されるであろう。
【0006】
骨の強度(または脆弱性)は、弾性スティフネス、骨ミネラル濃度、多孔性および皮質厚などの多数の特性により決定される。具体的には、皮質骨の微細多孔性が、個人間の弾性スティフネスまたは骨ミネラル濃度の差異を記述する主要な決定要素であることが示されている(Grankeほか、2011年)。多孔性は、他方、皮質厚に加えて、皮質骨の脆弱性を記述する重要な因子であることが知られている(Yeniほか、1997年、Zebazeほか、2010年)。したがって、骨の脆弱性は、超音波により最も完全に評価され得る多数の因子により決定される。しかし、この目的のためには、骨脆弱性の完全な特性化を得るために多モード超音波が明らかに必要である。これらの先行技術例も、骨脆弱性のより完全な特性化を与えるために、たとえばFAS(第1到着信号)モードとA0モードを組み合わせる多モードの軸方向送信が明らかに必要であることを示している。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、骨粗しょう症分析の必要に応えて、本質的に正確な測定結果を与える改善された骨粗しょう症評価技術を完成することである。これは、骨動作、骨検出および骨治療の少なくとも1つにおいて使用される、電磁波を利用する骨測定方法により実現される。この方法では、第1および第2の方法ステップの1つが行われる。この場合、第1の方法ステップでは、電磁波により少なくとも1つの生成場所において少なくとも1つの力学的な波が柔らかい組織を介して骨内に生成される。第2の方法ステップでは、少なくとも1つの力学的な波による骨振動が電磁波により検出され、少なくとも1つの記録場所において検出された少なくとも1つの力学的な波が記録されて力学的な波の情報を形成し、そして前記少なくとも1つの生成位置から前記少なくとも1つの記録位置までの距離は既知であり、さらに、第2の方法ステップにおいて、少なくとも1つの記録された信号に基づいて骨特性が決定される。
【0008】
骨動作、骨検出および骨治療の少なくとも1つにおいて使用される、電磁波を利用する骨測定構成も、また、本発明の重点である。この構成は、少なくとも1つの第1および第2の手段(第1手段は、電磁波により少なくとも1つの力学的な波を柔らかい組織を介して骨内に少なくとも1つの生成位置において生成するための手段であり、かつ第2の手段は、電磁波により少なくとも1つの力学的な波による骨振動を検出するための手段である)と、少なくとも1つの記録場所において検出された少なくとも1つの力学的な波を記録して力学的な波の情報を形成するための手段であって、前記少なくとも1つの生成位置から前記少なくとも1つの記録位置までの距離は既知である手段と、少なくとも1つの記録された信号に基づいて骨特性を決定する手段とを含む。
【0009】
本発明は、第1および第2の方法ステップの少なくとも1つの使用に基づいている。この場合、第1方法ステップにおいて、電磁波により少なくとも1つの力学的な波が柔らかい組織を介して骨内に生成され、第2の方法ステップにおいて、少なくとも1つの力学的な波による骨振動が検出され、検出された少なくとも1つの力学的な波が記録されて力学的な波の情報を形成し、また、第2の方法ステップにおいて、少なくとも1つの記録された信号に基づいて骨特性が決定される。
【0010】
本発明の利益は、骨特性の測定結果の品質が改善されて、たとえば骨粗しょう症分析のために使用できることである。また、本質的に小さい寸法の測定センサーが使用できる。それは、弾性波モードの制御励振を改善する小型で制御可能な形式の機械的干渉を用いる低周波たとえば超音波数の使用を可能とし、かつ、たとえば多素子センサーの超小型化を可能にとし、また、センサーの使用における人間工学的利益とセンサーの製造における経済的利益の両方を与える。本発明は、骨中に機械的振動を発生させる治療のために電磁気励振を使用することも可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明による電磁波励振および検出を示す。
図2図2は、本発明による遅延励振および検出の実施形態を示す。
図3A-3D】図3A〜3Dは、電磁波センサーの位置決め運動を行う手段を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明による電磁波励振・検出を示す。参照番号100は、電磁波により少なくとも1つの力学的な波を少なくとも1つの生成場所において柔らかい組織105を介して骨107内に生ずる第1手段100を指す。図1における参照番号120は、第1手段100により実行される電磁波入力機能を指す。図1における参照番号122は、電磁波出力機能を指す。図2は、本発明による位相遅延の励振および検出の実施形態の例を示す。この構成は、電磁波出力を検出する第2手段103を含む。前記検出において、電磁波により少なくとも1つの力学的な波による骨振動が検出される。好ましい位相遅延実施形態において、光束は光ファイバを介して導かれ合、光ファイバ内で光線は骨により吸収され、かつ、たとえば超音波を生成する。時間遅延励振は、たとえばレーザーダイオードのトリガー信号間の時間遅延(t)を使用することにより実現される。
【0013】
図2を参照する。この構成は、少なくとも1つの記録場所で検出された前記少なくとも1つの力学的な波を記録して力学的な波の情報を形成する手段104を含んでいる。前記少なくとも1つの生成場所から前記少なくとも1つの場所までの距離は、既知である。この構成は、少なくとも1つの記録された信号に基づいて骨特性を決定する手段108を含んでいる。前記手段104、108は、たとえば、必要な場合に計算プログラムを使用するコンピュータ処理装置内に準備される。コンピュータ処理装置104、108は、図2に図式的に示されている。コンピュータ処理装置104、108と第1の100手段および第2の103手段間において相互データ伝送を行うために有線または無線データ伝送を使用する。前記手段103、104、108は、図2の遅延励振・検出の実施形態以外の本発明の他の実施形態においても使用することができる。
【0014】
本発明の1つの方法では、第1および第2の方法ステップの少なくとも1つが実行される。この場合、第1の方法ステップにおいて、電磁波により少なくとも1つの力学的な波が少なくとも1つの生成場所において柔らかい組織105を介して骨107内に生成される。第2の方法ステップにおいて、電磁波により少なくとも1つの力学的な波による骨振動が検出され、検出された少なくとも1つの力学的な波が少なくとも1つの記録場所において記録されて力学的な波の情報を形成し、そして前記少なくとも1つの生成場所から前記少なくとも1つの記録場所までの距離は既知であり、かつ、さらに、第2の方法ステップにおいて少なくとも1つの記録された信号に基づいて骨特性が決定される。第1または第2の方法ステップを行う場合、たとえば、機械的効果および/または圧電機械的効果の手段を以下について使用することができる:すなわち、第1または第2の方法ステップ、および前記第1または第2の方法ステップで使用される第1の手段100または第2の手段103、104、108。この発明による治療法実施形態は、第1の方法ステップによる第1の手段100を使用することにより実現することができる。
【0015】
本発明による1つの好ましい形態は、電磁波による少なくとも1つの力学的な波の生成において多モード軸方向送信を行う手段100を含む。この構成は、少なくとも1つのラム・モードの骨内への体内励振を促進するために力学的な波の中心周波数およびパターンの少なくとも一方を調整する手段100も含む。手段100は、好ましくは、電磁波線源、すなわち、電磁波センサー100および少なくとも1つの処理装置を含む。この処理装置は、図2に示した好ましい実施形態において、少なくとも1つのラム・モードの骨内への体内励振を促進するために電磁波線源100の配列の位相遅延励振を行うことにより力学的な波の中心周波数およびパターンの少なくとも1つを調整するように準備することができる。手段100は、さらに、検出された信号の振幅の最大化および検出された信号の帯域幅の最小化の少なくとも1つに基づいてフィードバックを使用すること、および電磁波線源100の配列における線源間の平均間隔および位相遅延の大きさに基づいて励振されるラム・モードの位相速度を決定する手段108を使用することにより位相遅延の大きさを最適化するように準備することができる。
【0016】
電磁波により骨振動を検出する(図2)第2手段103は、光学干渉計103、光コヒーレンストモグラフィー装置103およびレーザードップラー振動計103の少なくとも1つを含んでおり、これに対応して骨振動の検出は、光学干渉法、光コヒーレンストモグラフィーおよびレーザードップラー振動法の少なくとも1つに基づいている。光学干渉計103、光コヒーレンストモグラフィー装置103およびレーザードップラー振動計103は、電磁波センサー103と呼ばれることもある。第2手段103による骨中の骨振動の好ましい検出は、第1到着信号(FAS)モードおよびラム超音波モードの少なくとも一方の検出に基づいている。1つの好ましい構成は、力学的な波の情報中の少なくとも1つのラム・モードを識別し、かつ、骨の少なくとも1つの特性を評価するために識別された少なくとも1つのラム・モードに基づいて少なくとも1つの力学的な波の速度を決定する手段108を含む。本発明のやはり好ましい1つの構成は、形成された力学的な波の情報に基づいて骨の骨材料特性をマッピングするための手段108を含み得る。
【0017】
図3A〜3Dは、次の運動の少なくとも1つを行う事により電磁波センサー100、103の位置決め運動を行う手段106を示している:電磁波センサーの垂直位置決めを行う調整運動、電磁波センサーの適応軸方向位置決めを行う運動、電磁波センサーの接線方向位置決めを行う運動、電磁波センサーの方位角位置決めを行う運動、および電磁波センサーの軸方向走査運動。図3A〜3Dについて、この明細書において後ほど詳細に説明する。
【0018】
次の説明では、本発明の好ましい方法の1つについて詳細に記述する。光音響(=PA、本明細書において後ほど)手段、すなわち電磁波センサーは、励振および検出の柔軟な調整を本質的に可能にする。この調整は、いくつかの方法により、ヒトの骨の中におけるラム波の生体内励振および検出を促進することができる。この着想は、強力であり、かつ、受信器において認識することが容易なモードを生成することである。このモードは、骨の少なくとも1つの臨床関連特性(皮質骨厚さ、弾性スティフネスまたは骨ミネラル濃度)にも敏感であるべきである。
【0019】
PAによる励振および/または検出の調整は、次の側面から構成され得る:A.周囲の柔らかい組織における吸収を最小化するように条件付けられた骨において最大光吸収を与える光波長(電磁ビームの波長)の調整。超音波(すなわち力学的な波の源泉)は、したがって骨中または可能な限り骨に近い場所で生成される。B.皮膚上に最大許容光強度を与えるようにする照射表面面積の調整。C.受信器上に最強の可能な標的モードを作成するようにする照射表面の形状の調整。最適形状は、たとえば、球、直線または稜とすることができる。D.(a)最適励振性および(2)骨の少なくとも1つの臨床的に有用な特性に対する十分な(または最適な)感度を与えるための励振の力学的(たとえば超音波)中心周波数の調整。E.1つの特定のモードの選択的励振を促進するようにする位相遅延励振の場合における位相遅延の大きさの調整。
【0020】
接触超音波トランスデューサの配列は、すでに第1到着信号(FAS)速度の正確な評価を可能にしているが、励振に関する以下の諸点は、FAS測定を強化するであろう。接触超音波源の配列および源配列の各端に存在する2つの接触超音波受信器を考慮する。
1.PA手段(光ファイバまたはレーザーダイオード)による接触US音源の置換は、素子直径が小さくなることから線源個数の増加を可能にする。したがって超音波速度評価の精度が向上し得る。
2.速度決定の精度をさらに上げるために、光音響線源または光音響線源の配列の位置を容易に走査することができる。
3.PA手段は、中心周波数の走査による迅速な繰り返し測定に続くFAS速度の分散の評価を可能にするために、励振の音響中心周波数の迅速な調整を可能にすることができる。かかる分散測定は、A0ラム方法の代替として、FASに基づく皮質厚さ評価のための方法を提供するはずである。
【0021】
線源100および受信器103の適切な調整によりA0モードの励振および検出に対し大幅な影響を及ぼし得る。したがって次の励振の調整方法を考慮し得る。
.柔らかい組織被膜内への干渉モードの励振は最小化し、かつ、骨におけるラムA0モードの励振は最大化するべきである。
柔らかい組織被膜内へ励振するエネルギーを最小化し、かつ、骨におけるラムA0モードへ励振するエネルギーを最大化する方法。
.柔らかい組織における光学的吸収を最小化する光学波長の適切な選択。PA線源が弱いほど光学的吸収は少ない。柔らかい組織におけるPA線源が弱い場合、柔らかい組織において干渉モード中に励振されるエネルギーも小さくなる。
.骨に向かう鋭いビームを可能にするために光学的散乱を最小化する光学波長の適切な選択。
.骨における強力なPA線源を生成するために骨における光学的吸収を最大化する光学波長の適切な選択。
.柔らかい組織被膜経由のA0の励振を促進する音響励振周波数の適切な調整。A0は、非常に低い超音波周波数、好ましくは、20〜120kHzにおいて最も効率的に励振される。しかし、かかる周波数の圧電素子の直径は、所期の目的にそぐわないほど大きい。PA手段は、かかる周波数における点線源を可能にする。
.レーザにより照射される領域の形状および寸法の適切な調整(好ましくは細い線)。その狙いは、人体組織の安全限界内でPAの量を最大化するとともに表面面積を最小化してA0ラム・モードの励振を促進することである。励振出力は、ビーム強度および照射表面面積の関数である。
10.線源の配列による位相遅延励振を使用してA0の励振をさらに促進することができる。
11.柔らかい組織被膜経由の直接伝播経路の妨害の阻止は、初期モデル化および体内実験により、柔らかい被膜における直接干渉モードの強度を低減し、それにより柔らかい被膜上の検出器におけるA0モードの検出を大幅に促進することを示した。この目的のための検出器として在来の接触超音波トランスデューサも使用することができる。
【0022】
A0モードの検出を促進する方法
12.検出器の最適感度を低い超音波周波数(<120kHz)に合わせる。これは、レーザ干渉計などのPA手段により最も適切に行われる。
13.やはり、PA手段により可能となる点または細い線の検出器の実現
14.検出器ビームを骨表面の近くまで透過させるために柔らかい組織被膜の光学的透明化技術を使用する(この技術は、非常に難しく、実現が不可能であるかもしれないことが分かった)。
【0023】
PA(光音響)測定は、前腕または下腿の固定および線源および受信器の測定対象骨との関係における適切な位置への誘導を必要とする。それは、臨床測定に適するそのような装置を設計する作業である。
15.重要な機能は、便利な位置調整および位置の微調整中に測定される超音波信号に基づく適切なフィードバックである。主要な要求条件は、適度に迅速であり、かつ、再現可能な位置決めである。
代案として、PA線源は、手持ちプローブ内の接触US受信器とともに一体化することもできる。このような設計は、線源位置の走査の手段を与える小型移動台とおそらく組み合わされるレーザーダイオードまたはレーザーダイオードの配列として実現することができる。このような組立は、混成装置の可能な実施形態を与える。
16.現在のUS装置の経験によると、手持ちプローブおよびその測定信号からの即時応答は、直感的位置決めを可能にする。
代案として、PA線源は、手持ちプローブ内の1個または2個のPA受信器と一体化することもできる。この場合、線源は、レーザーダイオードまたはレーザーダイオードの配列および受信器(たとえば1対の干渉計検出器による)により実現される。このような設計は、臨床用途に適する全面的PA装置の可能な実施形態を与える。
【0024】
本発明の新しい独創的特徴は、少なくとも以下の数点の事実から生ずると考えることができる:
17.自明でない方法による既知の光音響(PA)方法と既知の骨定量的超音波法(QUS)との組み合わせ。数点のパラメータ(光学波長、ビーム強度および照射される皮膚領域の寸法、最適音響波長を得るためのPA線源の調整、および干渉モードの伝播の潜在的阻止)の慎重な選択が同時に行われることを必要とする。
18.PA手段は、励振(および検出)の柔軟な調整を可能にする。
A.非常に低い超音波中心周波数(f=20〜120kHz)においても点または点状(細い線を含む)線源を可能にする。これは、そのような周波数に合わせた場合に物理的直径が大きくなる圧電セラミック素子では不可能である。また、PA手段は、点状検出器の実現も可能にする。点状の線源および受信器は、一般的にA0モードの励振性が周波数の低下とともに増大することを含めて、特にA0ラム・モードの励振および検出を容易にするために最適であることが分かっている(他のモードのためにも有益である)。
B.過渡的超音波モード(FASなど)の分散評価を可能にするための一定のPA線源(レーザーダイオード)による超音波励振の中心周波数の瞬間的調整。中心周波数のこのような調整は、圧電素子では不可能である(短い過渡現象のために)。FASの分散は皮質厚さに敏感であるが、一定の周波数におけるFAS測定は主として弾性スティフネスおよび骨ミネラル濃度に敏感である。
C.超音波モードの励振をさらに促進する位相遅延励振。PAの利点は、短い臨床配列プローブ内に数個のセンサー素子を配置することを可能にする点状センサーの可能性から生ずる。
19.提案する方法の臨床適用の成功にとって非常に重要な装置設計。
1つの好ましい実施形態による構成開発の目的は、特に、厚さ感知SGWモード(ラムA0と調和する)の臨床関連体内測定を可能にすることである。この目的のために、本プロジェクトの明確な目標は:
− 骨における広帯域(低周波)の柔軟な信号生成のためにPA技術を導入すること。
― 覆っている柔らかい組織により引き起こされるモードの歪みを低減する手段としてPAを使用してA0モードを選択的に励振すること。
− 覆っている柔らかい組織の上からPAを使用して骨の表面振動を遠隔撮像すること。
− 臨床適用にとって十分に長い測定距離の正確かつ迅速な走査のための技術を最適化すること
− 骨に関する体内測定の測定設定をモデル化により最適化すること。
− 臨床体内測定を可能にするための信号処理を最適化すること。
− 可搬装置を設計・構築すること。
【0025】
これらの目標は、骨粗しょう症の臨床関連多モード(FAS + SGW)体内特性評価を可能にする。それは、比較的低廉であり、かつ、これまで可能であった評価より完全な骨の評価を与えるものである。
【0026】
PAQUS(光音響骨定量的超音波法)装置の実現に関する種々の選択肢について調査する。
1.超音波軸方向送信スキャナー(図1)の線源および受信器の非接触(光音響;PA)手段による置換。
A.段階1:混成装置 − 接触超音波検出と組み合わされたPA線源。
B.段階2:全面的PA実現 − PA手段による励振および検出。
【0027】
(PA)位相遅延配列プローブの使用による励振の強化。PA手段により実現される鏡面反射による皮質厚さの直接測定(パルスエコー測定)。
【0028】
弾性誘導波(ラム波)の2つの臨床的に有用な特性は、厚さ感度および材料特性に対する感度である。後者は、各特定モードの貫通深さおよび特性的振動プロファイルに依存する。
【0029】
低速誘導波(SGWまたはWave2)は、A0ラム・モードの特性と調和する。高速第1到着信号(FASまたはWave1)は、測定信号中で観察される見掛けのモードであり、かつ、その速度は解釈可能である。FASおよびSGWの最適厚さ感度の範囲は、適切なモデルに従って解釈可能である。
【0030】
覆っている柔らかい組織の影響は、SGW(A0に関連付けられる)の励振および検出にとって特に難題である。その理由は、特に、音響エネルギーの周囲組織への急速な漏れ出し(それは、距離とともに急速な減衰を引き起こす)および特性的変位プロファイルである。このプロファイルに従ってこのモードは、骨内に検出可能な変位振幅をもつのであるが、しかし、この振幅は、骨から離れると柔らかい被膜において急速に減衰し、したがって被膜上ではほとんど検出不能となる(Viktorov、1967年、YapuraおよびKinra、1995年)。さらに、弱いA0モードの被膜妨害識別におけるその他の強力モードによる干渉(Moilanenほか、2008年)。
【0031】
長い波長(低い周波数)の選択により、ある程度、この柔らかい組織の影響を低減することができる。特に長い波長の場合、A0モードは、(薄い)柔らかな被膜の上においても測定可能な変位をもつことができる。この目的のために、たとえば50kHzのように低い周波数が最適であると考えることができる。光音響は、かかる低い周波数の励振および検出を可能にするが、圧電素子では、そのトランスデューサの物理的な寸法が大きくなるために同じことは非常に困難である。A0モードの励振のために、鋭く(すなわち、小さい表面面積上に伝達される)、かつ、強力なインパルス(そして弾性導波管に対して垂直な)が実際に最適であることが分かっている。
【0032】
光信号のエネルギーは、光音響変換により音響信号(すなわち超音波)のエネルギーに受け継がれる。このプロセスは光吸収により生ずるが、光音響変換の効率は、主として吸収係数、各材料の特性および光波長によって決定される。また、光ビームの貫通深さも役割を果たす。
【0033】
皮質骨の場合、これらの光パラメータは、波長に依存する。皮質骨は、1400nmより長い励振波長において最も高い光吸収を示すが、このときの皮質骨への実行貫通深さは約1mmである。これらの波長におけるレーザ励振は、したがって骨における最強の可能な光音響波を生成するために最適である。
【0034】
柔らかい組織被膜を介して信号を伝達するためにさらなる研究が必要である。一般に、柔らかい組織は、光の吸収および散乱に影響を及ぼし、したがって骨に達する光エネルギーの量を効果的に制限する。たとえば、関連吸収スペクトルによると、(皮膚に関する結果として)600〜1100nmにおいて吸収は最小である(従って最適である)。したがって、骨と柔らかい組織の最適値間に直接の一致は存在せず、かつ、効率的な光音響励振は、常に柔らかい被膜と骨における吸収間のトレードオフである。したがって、最適励振波長の選択に注意が必要である。
【0035】
上記の3つの典型的な例では、532nmにおける励振が柔らかい組織の表面下のみに存在する最強であるが最小のPA線源を生成する。したがって、柔らかい組織上の在来の接触超音波トランスデューサの特徴は、圧電素子では不可能な励振周波数に関係なく、調整可能な表面面積の長所とともに模倣される。圧電素子の場合、その寸法は、常に中心周波数の関数である。具体的には、低い超音波周波数では、圧電素子の物理的寸法が本適用の適切性を制限する。532nmの波長は、特にFASの励振に最適であるが、この波モードの測定は、これまでの接触トランスデューサのために設計され、かつ、最適化されたものである(Kilappaほか、2011年)。第2に、この波長は、その小さな表面寸法のために、薄い柔らかい被膜経由のSGW(A0に関連付けられる)の励振も可能にするであろう。
1064nmの波長における励振は、柔らかい組織と骨の両方における最弱かつ最大のPA線源を生成する。骨への貫通はSGW(A0に関連付けられる)の励振を可能にするが、この線源の大きな寸法は当該目的にとって最適ではない。
【0036】
1680nm波長における励振は、柔らかい組織と骨における強力かつ鋭いPA線源、すなわちA0に関連付けられるSGWの励振のために最適な線源を引き起こす。他方、柔らかい組織における強力な吸収(骨における吸収より強力な)は、柔らかい組織と骨におけるPA線源間の不利な干渉を引き起こすであろう。
【0037】
1250nmにおける励振は、A0に関連付けられる強力なSGWを作成するために最適の波長であると考えることができる。この波長において、骨における吸収ピークが存在し、かつ、柔らかい組織における吸収は骨のレベルに匹敵するレベルに減少した。予備的実験結果は、低い超音波周波数範囲において1250nm波長において励振された振幅スペクトルが1680nmにおいて励振されたスペクトルより強力であるという仮説を支持する。
【0038】
光ビームは皮膚表面に集束させるか、または露光面積は非集束ビームを遮蔽することにより調節できる。ビームの直接集束は、鋭く、かつ、強力な点(または線)線源を生成する。これは、特にSGW(A0に関連付けられる)の励振にとって最適である。しかし、このような集束されたビームの強度は、正確な制御が困難であり、局所的な強度が安全限界を容易に超えるであろう。非集束ビームの遮蔽は、遮蔽により集束を超える最適な点線源を生成することはできないが、このように集束され、よりよく制御される安全な選択肢である。遮蔽により生成される線源は、伝播方向沿いの短い寸法(幅)をもつ線源であった。1〜5mmの値が幅として考えられ、かつ、5〜16mmが線源の長さとして考えられた。より広いビーム領域の長所は、組織に安全に受け継がれるエネルギーの量が多くなり、より強力なレスポンスをもたらすことである。
【0039】
光音響軸方向伝送スキャナーの混成版では、線源は非接触手段により実現されるが、受信器は在来の接触超音波トランスデューサである。柔らかい組織の効果の正確の補正のために両方向測定を可能にするために1対の受信器を使用する。
【0040】
PAQUS混成設定を使用することにより骨内超音波信号を体内において励振・検出する場合、記録された信号中において、たとえばFASモードを明確に識別することができる。
【0041】
個々のラム・モード(たとえばA0またはS0モード)は、位相遅延励振により促進することができる。したがって、ラム・モード(たとえばA0またはS0モード)の効率的な励振を可能とするために、潜在的非接触IDT(インターデジタル・トランスデューサ)状励振が使用されてきた。着想は、強力であり、かつ、受信器において容易に認識できるモードを生成することである。それは、骨の少なくとも1つの臨床関連特性(たとえば皮質骨の厚さ、弾性スティフネスまたは骨ミネラル密度)にも敏感であるべきである。それを行うために、われわれは、送信領域と受信領域間の最短見通し直線上に存在する皮膚上の4つのスポット(たとえば、球、直線または稜)を照射する。これらのスポットの寸法は、皮膚上に最大許容光強度を与えるように選択する。それらの形状は、受信器において最強可能標的モードを与えるように選択する。スポット間距離は、標的波モード(たとえば、50kHzにおける橈骨沿いのA0)の飛行時間要求(空間的位相合致)に合致するように選択する。標的モードの中心周波数は、フィードバックを使用して受信信号の絶対帯域幅を最小化することによりそれが受信信号の振幅を最大化するように選択する。照射レーザの光スペクトルは、覆っている柔らかい組織中の吸収を最小化するように条件付けられた骨中においてそれが最適光吸収プロファイルを与えるように選択する。各照射パルスの時間的プロファイルおよび各照射スポットに対するパルシング・パターンは、骨の中に強力モードを生ずる音波パターンを生ずるように選択する。レーザースポットの照射(時間的および空間的)は、IDTトランスデューサの場合のような位相合致要件(それは、骨中の音速およびスポット間の距離に依存する)を満たすべきである。
【0042】
PA波は、超音波結合液体により人体の四肢中に結合され、種々の組織境界において反射する。エコーは、伝播してPAセンサーに戻り、圧電検出器により受け取られる。皮質骨は、その他の柔らかい組織よりはるかに高い音響インピーダンスをもっているので、骨と柔らかい組織の境界におけるエコーは、柔らかい組織と柔らかい組織の境界から反射されたエコーよりはるかに強力であり、それの区別は容易である。骨と柔らかい組織の境界からの2つのエコーの時間差を測定することにより、骨中の音速が既知であるならば、骨の厚さを評価することができる。
【0043】
最後に図3A〜3Dについて詳しく説明する。超音波プローブを骨の中に正しく位置付けることが超音波測定に成功するためにきわめて重要である。具体的には、骨の長軸との関係における横断方向および円周方向が重要である。手持ち配列プローブの場合、適切な位置付けは、測定された応答信号の特性をフィードバックとして使用してプローブの手動運動により直感的に発見することができる。適切な解剖学的位置は、一般的に30度の範囲内で見出される。
【0044】
PAQUS設定では、外部レーザ装置210、すなわち、電磁照射線源210を光ファイバ216を介して使用する場合、レーザービームを移動する自由度は最小化することが好ましい。特に、レーザービームの回転を調整することは非常に難しい。したがって、適切な位置決めのために必要な自由度は、超音波線源および検出器103を固定したままとして、人体の四肢を適切な位置に移動することにより調整することが好ましい。
【0045】
人体の四肢の回転を調整するために、1つの可能な実施形態は、2つの円、212、214を含む。これらのうちの外側の円212は固定され、内側の円214は自由に回転できる。超音波トランスデューサ(PAと在来型1個ずつ)は、外側の円の中に(またはそれに)固定されている。混成設定では、トランスデューサは、たとえば外部パルス・レーザ装置から注入されるPA線源および在来の2つの接触US受信器を含んでいる。US受信器には、接触圧を監視する力センサーが含まれている。受信器は固定された状態を保つが、一方、PA線源の軸方向位置を走査する手段が準備されている。
【0046】
目的は、骨(たとえば橈骨)の断面の質量中心を円の中心点に置き、次に骨を適切な角度まで回転することである。腕は、直線部分を介して内側の円214に取り付けられている特殊クランプ218により固定される。参照番号200は、基底構造への支持部200を指示し、また、参照番号226は、外側の円との関係において内側の円214を移動するクランク226を指示している。参照番号204は、電磁波コリメータ204を指示している。
【0047】
以下では、人体の前腕を人体の四肢の例として用い、また、測定対象の骨の例として橈骨を用いる。
超音波センサーを移動する手段224
20.前腕を固定した状態で超音波センサー103を引き離し、次にセンサーを戻して測定位置に近づける手段を設けることができる。
21.超音波センサー103の垂直位置(x)を微調整する手段を設けることができる。
適応軸方向位置付け(z方向)
22.前腕を肘クランプおよび手首クランプに固定する。
23.これらの2つのクランプの位置を測定する手段が設けられている。
24.2つのクランプの距離は、骨の長さを示し、かつ、測定位置から決定される。
25.軸方向測定位置は、骨の長さとの関係において決定する。
26.正しい軸方向位置へ前腕を移動する(モーターにより)または前腕の運動を導く(「前進」、「後退」および「保持」を示す標識により)手段124が設けられている。
27.2つのクランプの軸方向位置を固定する。
接線方向(xおよびy)および方位角の位置決め
28.内側の円を回転して方位角を調整する。
29.2つのクランプの接線方向位置は、4つの独立直線部分により調整する。
30.位置測定により、かつ、測定した信号をフィードバックとして使用することにより、引き続き位置決めを調整する。位置決めは、手動または自動とすることができる。
軸方向走査
31.続いて2つの受信器間の限定範囲(たとえば30mm)内で線源ビームを移動する手段224が設けられている。この範囲は、2つのセンサー103に関して対称である。
32.線源の各位置において、センサー103において応答信号を記録する。
別案の構成.
33.混成設定では、線源210は、レーザーダイオードまたはレーザーダイオードの配列により置き換えることができる。この場合、前腕固定システム218を台に固定し、かつ、線源および受信器を回転リングに固定する別案構成が可能である。
第2の別案設計は、手持ち配列プローブを含む。この場合には、前腕クランプおよび位置決め機構は不要である。
34.受信器、すなわちセンサー103はPA受信器(たとえば干渉計)により、また、線源は在来の超音波トランスデューサまたは在来の超音波トランスデューサの配列により置き換えることができる。
35.受信器をPA受信器(たとえば干渉計)により置き換えて全面的PA装置とすることができる。
36.超音波またはPAパルスエコー方法に基づく四肢の(幾何学的)撮像を可能とするために、線源および受信器は、撮像モードで作動することもでき、または特殊撮像センサーを含めることもできる。撮像は、皮質厚さのプルファイルまたはマップなどの追加診断情報を与えることができる。さらに、撮像を使用して骨の向きおよび骨の断面の質量中心の位置を決定できるが、これにより上述の機構における骨の位置付けを自動化することができる。
【0048】
図A〜3Dにコンピュータ処理装置104、108の略図が示されている。コンピュータ処理装置104、108と図3A〜3Dにおいて記述した位置決め手段106の間で有線または無線データ伝送を使用してそれらの間で必要なデータ伝送を行う。
【0049】
添付図面および明細書を参照して本発明を紹介したが、本発明は請求項により与えられる範囲内で変更され得るので、本発明は、これらの参照により決して限定されない。
図1
図2
図3A-3D】