(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
円周(X)、軸(Y)および半径(Z)の3つの主方向を特定し、トレッド(3)を搭載しているクラウン(2)、2つの側壁(4)、2つのビード(5) (各側壁(4)は各ビード(5)をクラウン(2)に連結している)、各ビード(5)内に固定され且つ各側壁(4)およびクラウン(2)内に延びているカーカス補強材(7)、クラウン(2)内で円周方向(X)に延びており且つカーカス補強材(7)とトレッド(3)の間に半径方向に配置されたクラウン補強材またはベルト(10)を含み、前記ベルト(10)は、補強材(110、120、130)の少なくとも3層の重ね合せ層を含む多層複合ラミネート(10a、10b、10c)を含み、前記各補強材は、各層内で一方向性であり且つ所定厚のゴム(それぞれC1、C2、C3)内に埋込まれているラジアルタイヤ(1)であって;
・トレッド側で、ゴム(C1)の第1層(10a)は、円周方向(X)に対して−5度〜+5度の角度アルファで配向された第1列の補強材(110)を含み、第1補強材と称するこれらの補強材(110)は熱収縮性繊維材料から製造されており;
・第1層(10a)と接触し且つこの第1層の下に配置されて、ゴム(C2)の第2層(10b)は、円周方向(X)に対して正または負の10度と30度の間の所定角度ベータで配向された第2列の補強材(120)を含み、第2補強材と称するこれらの補強材(120)は金属補強材であり;
・第2層(10b)と接触し且つこの第2層の下に配置されて、ゴム(C3)の第3層(10c)は、それ自体円周方向(X)に対して10度と30度の間の角度ガンマ(角度ベータの逆)で配向された第3列の補強材(130)を含み、第3補強材と称するこれらの補強材(130)は金属補強材であり;
さらに、下記に特徴を有する:
・第1補強材(110)の熱収縮性繊維材料は、ポリエステルであり;
・第1補強材(110)の平均エンベロープ直径D1は、0.40mmと0.70mmの間からなり;
・ゴム(C1)の第1層内の第1補強材(110)の密度d1は、軸方向(Y)において測定して、70本スレッド数/dmと130本スレッド数/dmの間からなり;
・第2(120)および第3(130)補強材は、それぞれD2およびD3で示す直径が0.20mmと0.50mmの間からなるスチールモノフィラメントからなり;
・それぞれゴムの第2(C2)および第3(C3)層内の第2(120)および第3(130)補強材のそれぞれの密度d2およびd3は、軸方向(Y)において測定して、120本スレッド数/dmと180本スレッド数/dmの間からなる、上記ラジアルタイヤ(1)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
4. 定義
本出願における用語は、以下のとおりに理解しなければならない:
・“ゴム”または“エラストマー”(2つの用語は同義であるとみなす):ジエンまたは非ジエン、例えば、熱可塑性のいずれかのタイプの任意のタイプのエラストマー;
・“ゴム組成物”または“ゴム状組成物”:少なくとも1種のゴムと少なくとも1種の充填剤を含有する組成物;
・“層”:厚さが、他の寸法と比較して、相対的に小さい、好ましくは、厚さ対最大の他の寸法の比が0.5よりも低い、より好ましくは0.1よりも低いシート、ストリップまたは任意の他の要素。
【0015】
・“軸方向”:タイヤの回転軸に実質的に平行な方向;
・“円周方向”:上記軸方向およびタイヤの半径の双方に対して実質的に垂直な方向(換言すれば、中心がタイヤの回転軸上にある円の接線方向);
・“半径方向”:タイヤの半径に沿った方向、即ち、タイヤの回転軸を通り且つこの方向に対して実質的に垂直な任意の方向、即ち、この方向に対する垂直線と5度を超えない角度をなす方向。
【0016】
・補強材のようないずれかの要素を説明しているときの“軸に沿ってまたは1つの方向に配向させる”とは、この軸またはこの方向に対して実質的に平行に配向させている、即ち、この軸またはこの方向と5度よりも大きくない(従って、ゼロまたはせいぜい5度に等しい)角度をなす要素を意味する;
・補強材のようないずれかの要素を説明しているときの“軸または1つの方向に対して垂直に配向させる”とは、この軸またはこの方向に対して実質的に垂直に配向させている、即ち、この軸またはこの方向に対する垂直線と5度よりも大きくない角度をなす要素を意味する;
・“正中円周面”(Mで示す):2つのビードの間の中ほどに位置しクラウン補強材即ちベルトの中央を通るタイヤの回転軸Yに対して垂直の面。
【0017】
・“補強材”または“補強用スレッド”:任意の長くて細いストランド、即ち、任意の長線状(longilinear)の、その断面に対して長い長さを有する糸状ストランド、特に任意の個々のフィラメント、任意のマルチフィラメント繊維またはそのようなフィラメントの任意のアッセンブリ或いは合撚糸(folded yarn)またはコードのような繊維;このストランドまたはスレッドは、直線状または非直線状、例えば、撚り状もしくは縮れ状であり得る;そのようなストランドまたはスレッドは、ゴムマトリックスを補強する(即ち、ゴムマトリックスの引張特性を改良する)ことができる;
・“一方向補強材”:本質的相互に平行である、即ち、1つの同じ軸にそって配向させている補強材。
【0018】
・“ラミネート”または“多層ラミネート”:国際特許分類によって示されている意味の範囲内において、互いに接触している平坦または非平坦形の少なくとも2つの層を含む任意の生産物を意味し、これらの層は、互いに結合または接合させてもまたはさせなくてもよい;“結合させる”または“接合させる”なる表現は、特に接着結合による結合または組立ての全ての手段を包含するものとして広く解釈すべきである。
【0019】
さらにまた、他で明確に断らない限り、示す百分率(%)は、全て質量%である。
“aとbの間”なる表現によって示される値の範囲は、いずれも、aよりも大きくからbよりも小さいまでに及ぶ値の範囲を示し(即ち、終点aおよびbを除く);存在する場合、“a〜b”なる表現によって示される値の範囲は、いずれも、aからbまでに及ぶ値の範囲を意味する(即ち、厳格な終点aおよびbを含む)。
【0020】
5. 発明の詳細な説明
例えば、
図1は、例えば乗用車またはバンタイプの車両用の本発明に従うタイヤの半径断面を極め略図的に(即ち、一定の縮尺によらないで)示しており、そのベルトは、本発明に従う多層複合ラミネートを含む。
【0021】
本発明に従うこのタイヤ(1)は、円周(X)、軸(Y)および半径(Z)の3つの垂直方向を特定しており、トレッド(3)を搭載しているクラウン(2)、2つの側壁(4)、2つのビード(5) (各側壁(4)は各ビード(5)をクラウン(2)に連結している)、各ビード(5)内に固定され且つ各側壁(4)およびクラウン(2)内に延びているカーカス補強材(7)、クラウン(2)内で円周方向(X)に延びており且つカーカス補強材(7)とトレッド(3)の間に半径方向に配置されたクラウン補強材即ちベルト(10)を含む。カーカス補強材(7)は、知られている通り、“ラジアル”と称する繊維コードによって補強されている少なくとも1枚のゴムプライから構成されており、これらのコードは、実際上、互いに平行に配置されて一方のビードから他方のビードに延びて正中円周面Mと一般に80°と90°の間からなる角度をなしている;この場合、例えば、カーカス補強材(7)は、各ビード(5)内の2本のビードワイヤー(6)の周りに巻付けられており、この補強材(7)の上返し(8)は、例えば、タイヤ(1)の外側に向って位置しており、この場合、そのタイヤリム(9)上に取付けて示している。
【0022】
本発明によれば、また、後で詳述する
図2の略図によれば、上記タイヤ(1)のベルト(10)は、補強材の3層の重ね合せ層(10a、10b、10c) を含む多層複合ラミネートを含み、上記各補強材は、各層内で一方向性であり且つ所定厚のゴム(それぞれC1、C2、C3)内に埋込まれており;
・トレッド面上で、ゴム(C1)の第1層は、円周方向(X)に対して−5度〜+5度の角度アルファ(α)で配向させている第1列の補強材(110)を含み、第1補強材と称するこれらの補強材(110)は熱収縮性繊維材料から製造されており;
・第1層(C1)と接触し且つその下において、ゴム(C2)の第2層は、円周方向(X)に対して正または負の10度と30度の間からなる所定角度ベータ(β)で配向させている第2列の補強材(120)を含み、第2補強材と称するこれらの補強材(120)は金属補強材であり;
・第2層(C2)と接触し且つその下において、ゴム(C3)の第3層は、それ自体円周方向(X)に対して10度と30度の間からなる角度ガンマ(γ) (角度ベータの逆)で配向させている第3列の補強材(130)を含み、第3補強材と称するこれらの補強材(130)は金属補強材である。
【0023】
本発明によれば、反対方向の、共に10°と30°の間からなる角度βおよびγは、同一であってもまたは異なっていてもよい、即ち、第2(120)および第3(130)の各補強材は、上記で定義した正中円周面(M)の各側面上で対称形にまたは非対称形に配置させ得る。
【0024】
図1において略図的に示しているこのタイヤにおいては、勿論、トレッド3、多層ラミネート10およびカーカス補強材7は、互いに接触させてもまたは接触させていなくてもよいことは承知していることであろう;にもかかわらず、これらのパーツは、
図1においては、略図として、簡素化目的で、また、図面をより明白にするために意図的に離している。これらのパーツは、これらパーツの少なくともある種の場合、例えば、当業者にとって周知の、硬化または架橋後の全体の固着力を最適にすることを意図する結合用ゴムによって物理的に隔離し得る。
【0025】
本発明のタイヤにおいては、上記第1補強材(110)の熱収縮性繊維材料はポリエステルであり;これらの第1補強材の平均エンベロープ直径D1は、0.40mmと0.70mmの間、好ましくは0.45mmと0.65mmの間からなる。
第2(120)および第3(130)補強材は、スチールモノフィラメントからなり、その直径(それぞれD2およびD3で示す)は、0.20mmと0.50mmの間からなり、好ましくは0.25mmよりも大きく0.40mmよりも小さい。さらに好ましくは、本発明のタイヤの最適な耐久性のために、特に過酷な走行条件下においては、D2およびD3は、0.28〜0.35mmの範囲からなることが好ましい。
【0026】
スチール“モノフィラメント”または“モノスレッド”は、この場合、その断面形状の如何にかかわらない任意の個々のスチールフィラメントを意味し、その直径または厚さDは100μmよりも大きい;Dは、断面が非円形である場合、その断面の最短寸法を示す。従って、この定義は、本質的に円筒形のモノフィラメント(円形断面を有する)および異なる形状を有するモノフィラメント、例えば、楕円形モノフィラメント(平坦化形状を有する)の双方を包含する;後者の場合(非円形断面)、断面の最長寸法対最短寸法の比は、好ましくは50よりも小さく、より好ましくは30よりも小さく、特に20よりも小さい。
【0027】
本発明のこのタイヤは、さらなる本質的な特徴として、下記の特徴を有する:
・第1ゴム層(C1)中の第1補強材(110)の密度d
1は、軸方向(Y)において測定して、70本スレッド数/dmと130本スレッド数/dm (デシメートル、即ち、ゴム層の100mm当り)の間からなる;
・第2(C2)および第3(C3)ゴム層中の第2(120)および第3(130)補強材それぞれのd
2およびd
3で示す密度は、軸方向(Y)において測定して、120本スレッド数/dmと180本スレッド数/dmの間からなる;
これらの特徴は、特に、また、好ましくは、加硫状態のタイヤのベルト中央部分において、4cmの軸幅全体(即ち、正中面Mに対して−2cmと+2cmの間)に亘っての正中面(M)の各側面上で測定する。
【0028】
他方では、さらに、本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、下記の特徴を満たす:
・第1補強材(110) (第1層C1の)をこれに最も近い第2補強材(120) (第2層C2の)から隔てているゴムの平均厚Ez
1は、半径方向(Z)において測定して、0.25mmと0.40mmの間からなる;
・第2補強材(120) (第2層C2の)をこれに最も近い第3補強材(130) (第3層C3の)から隔てているゴムの平均厚Ez
2は、半径方向(Z)において測定して、0.35mmと0.60mmの間からなる;
これらの特徴は、この場合も、加硫状態のタイヤのベルト中央部分において、4cmの軸幅全体(即ち、正中面Mに対して−2cmと+2cmの間)に亘っての正中面(M)の各側面上で測定する。
【0029】
図2は、断面において、
図1の本発明に従うタイヤ(1)においてベルト(10)として使用する多層複合ラミネート(10a、10b、10c)を略図的示している(何ら特定の縮尺によって描いていない)。
図2に示しているように、Ez
1は、第1補強材(110)をこれに最も近い第2補強材(120)から隔てているゴムの厚さ(Ez
1(1)、Ez
1(2)、Ez
1(3、…、Ez
1(i))の平均である;これらの厚さは、各々、半径方向Zにおいて測定し、ベルトの中心に対して−2.0cmと+2.0cmの間からなる軸距離全体に亘って(即ち、例えば、層C1中にcm当り10本の補強材(110)が存在する場合のほぼ40回の測定全部に対して)平均する。
【0030】
異なる形で表現すれば、Ez
1は、各第1補強材(110)をこれに半径方向Zにおいて最も近い第2補強材(120)から“連続”して隔てている最短距離Ez
1(i)の平均である;この平均は、正中面Mに対して−2cmと+2cmとの間に及ぶ軸間隔において、ベルトの中心部分に存在する第1補強材(110)全部に亘って計算する。
【0031】
同様に、Ez
2は、半径方向Zにおいて測定した、第2補強材(120)をこれに最も近い第3補強材(130)から隔てているゴムの厚さ(Ez
2(1)、Ez
2(2)、Ez
2(3、…、Ez
2(i))の平均である;この平均は、ベルトの中心に対して−2.0cmと+2.0cmの間からなる軸距離全体に亘って計算する。別の形で表現すれば、これらの厚さは、第2補強材(120)をこれに半径方向Zにおいて最も近い第3補強材(130)から“連続”して隔てている最短距離を示す。
【0032】
別の形で表現すれば、Ez
2は、各第2補強材(120)をこれに半径方向Zにおいて最も近い第3補強材(130)から“連続”して隔てている最短距離Ez
2(i)の平均である;この平均は、正中面Mに対して−2cmと+2cmとの間に及ぶ軸間隔において、ベルトの中心部分に存在する第2補強材(120)全部に亘って計算する。
【0033】
本発明のタイヤは、好ましくは、下記の不等式を満たす:
0.20 < Ez
1 / (Ez
1 + D1 + D2) < 0.30
0.30 < Ez
2 / (Ez
2 + D2 + D3) < 0.50
【0034】
熱収縮性繊維材料から製造した第1補強材(110)の熱収縮(CTで示す)は、185℃で2分後において、好ましくは、3.5%よりも低く、より好ましくは3%よりも低い;これらの値は、タイヤケーシングの製造および寸法安定性にとって、特に、その硬化および冷却段階において最適であることが判明している。
【0035】
CTは、以下に示す試験条件下におけるこれら第1補強材(110)の相対的収縮である。パラメーターCTは、他で明記しない限り、規格ASTM D1204‐08に従って、例えば、“TESTRITE”タイプの装置において、0.5cN/texの標準プレテンション(従って、試験する試験標本の力価即ち線密度に対して表す)として何が知られているかを考慮して測定する。また、一定の長さにおいては、最高収縮力(Fcで表す)も上記試験、180℃の温度で3%伸び下でのこの時間を使用して測定する。この収縮力Fcは、好ましくは、20N (ニュートン)よりも高い。高収縮力は、タイヤが高走行速度においてヒートアップするときのタイヤのクラウン補強材に対する熱収縮性繊維材料製の第1補強材(110)のフーピング能力にとって特に有益であることが判明している。
【0036】
上記パラメーターCTおよびFcは、ラミネートおよびその後タイヤに組みこむ前の接着剤コーティング初期繊維補強材において非区別的に(indistictly)測定してもよく、或いは、別法として、これらの補強材において、これらの補強材を加硫タイヤの中心領域から引抜き、好ましくは“脱ゴム処理”(即ち、これらの補強材を層C1中でコーティングしているゴムを除去)して時点で測定してもよい。
【0037】
任意のポリエステル製の任意の熱収縮性繊維材料、特に、上記で説明した収縮特性CTを満たす熱収縮性材料が適している。好ましいポリエステルのうちでは、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN (ポリエチレンナフタレート)、PBT (ポリブチレンテレフタレート)、PBN (ポリブチレンナフタレート)、PPT (ポリプロピレンテレフタレート)、PPN (ポリプロピレンナフタレート)を挙げることができる。好ましくは、上記ポリエステルは、PETまたはPEN、特にPETである。さらにより好ましくは、使用するポリエステルは、HMLS (高モジュラス低収縮(High Modulus Low Shrinkage)) PETである。
【0038】
熱収縮性材料から製造した第1補強材は、任意の既知の形状を有し得る;確かに、これらの補強材はモノフィラメントであり得るが、これらの補強材は、より一般的には、布コードの形の一緒に撚り合せたマルチフィラメント繊維から構成されている。そのエンベロープ直径は、通常通り、円形断面を有さないこれらの補強材の一般的な場合(個々のフィラメントの単純な場合と逆)においてそのような第1補強材を取囲んでいる仮想回転柱の直径を意味する。
【0039】
本発明の1つの好ましい実施態様によれば、転がり抵抗性、ドリフトスラストおよび走行耐久性に関する本発明のタイヤの最適性能のためには、下記の特徴の少なくとも1つ、より好ましくは全部を満たす:
・密度d
1は、80本スレッド数/dmと120本スレッド数/dmの間、より好ましくは90本スレッド数/dmと110本スレッド数/dmの間からなる;
・密度d
2およびd
3は、各々、130本スレッド数/dmと170本スレッド数/dmの間からなる:
・厚さEz
1は、0.25mmと0.35mmの間、より好ましくは0.275mmと0.325mmの間からなり;
・厚さEz
2は、0.35mmと0.55mmの間、より好ましくは0.375mmと0.525mmの間からなり;
上記多層複合ラミネート、即ち、その3層の重ね合せ層(C1、C2、C3)の全体厚は、、半径方向Zにおいて測定して、1.8mmと2.7mmの間、より好ましくは2.0mmと2.5mmの間からなる。
【0040】
上記好ましい特徴のいずれか1つまたは全てと組合せてもまたは組合せなくてもよいもう1つの好ましい実施態様によれば、下記の不等式の少なくとも1つ、より好ましくは下記の不等式の全てを満たす:
0.225 < Ez
1 / (Ez
1+D1+D2) < 0.275
0.325 < Ez
2 / (Ez
2+D2+D3) < 0.475
0.325 < (Ez
1+Ez
2) / (Ez
1+Ez
2+D1+D2+ D3) < 0.425.
【0041】
熱収縮性繊維材料から製造した第1補強材(110)は、任意の既知の形状をとり得、例えば、これらの補強材は、大直径(例えば、50μm以上)の基本モノフィラメント、マルチフィラメント繊維(小直径、典型的には30μmよりも小さい複数の基本フィラメントからなる)、一緒に撚った数本の繊維から形成した織布用合撚糸、ケーブル処理したまたは一緒に撚った数本の繊維またはモノフィラメントから形成した布コードであり得る。
【0042】
定義によれば、第2(120)および第3(130)補強材は、スチールモノフィラメントである。好ましくは、スチールは、タイヤ用の“スチールコード”タイプのコードにおいて使用するスチールのような炭素鋼である;しかしながら、他のスチール、例えば、ステンレススチール、または他の合金を使用することも勿論可能である。
【0043】
1つの好ましい実施態様によれば、炭素鋼を使用する場合、その炭素含有量(スチールの質量%)は、0.8%〜1.2%の範囲からなる;もう1つの好ましい実施態様によれば、上記スチールの炭素含有量は、0.6%〜0.8%の範囲からなる。本発明は、特に、標準張力(NT)または高張力(HT)鋼コードタイプのスチール、その場合好ましくは2000MPaよりも高い、より好ましくは2500MPaよりも高い引張強度(Rm)を有する炭素鋼から製造した上記(第2および第3)補強材に当てはまる。また、本発明は、スチールコードタイプの超(super)高張力(SHT)鋼、超(ultra)高張力(UHT)鋼またはメガ張力(MT)鋼、その場合好ましくは3000MPaよりも高い、より好ましくは3500MPaよりも高い引張強度(Rm)を有する炭素鋼から製造した上記(第2および第3)補強材にも当てはまる。これらの補強材の破断点全体伸び(At)は、弾性伸びと塑性伸びの和であって、好ましくは2.0%よりも大きい。
【0044】
スチールから製造した上記(第2および第3)補強材に関する限り、破断点力、Rmで示す破断点強度(MPaでの)、およびAtで示す破断点伸び(%での全体伸び)の測定は、1984年のISO規格6892に従って張力下に実施する。
【0045】
使用するスチールは、特に炭素鋼またはステンレススチールのいずれであれ、それ自体、例えば、スチールモノフィラメントの加工性または上記補強材および/またはタイヤそれら自体の磨耗特性、例えば、接着特性、耐腐蝕性をまたはエージングに対する耐性でさえも改良する金属層でコーティングし得る。1つの好ましい実施態様によれば、使用するスチールは、黄銅(Zn‐Cu合金)または亜鉛の層でコーティングする;スレッド製造過程においては、スレッドを黄銅または亜鉛でコーティングすることはスレッドが延伸するのをより容易にし且つスレッドがゴムに結合するのを促進することを思い起こされたい。しかしながら、これらの補強材は、例えばこれらスレッドの耐腐蝕性および/またはこれらスレッドのゴムへの接着性を改良する機能を有する黄銅または亜鉛以外の金属の薄層、例えば、Co、Ni、Alの、或いはCu、Zn、Al、Ni、Co、Snの2種以上の配合物の合金の薄層で被覆することができる。
【0046】
上記多層複合ラミネートを製造するゴム組成物の各層(C1、C2、C3) (以下、“ゴムの層”)は、少なくとも1種のエラストマーと少なくとも1種の充填剤をベースとする。
好ましくは、上記ゴムはジエンゴムであって、このジエンゴムは、ジエンモノマー、即ち、2個の炭素−炭素に重結合を担持し、これらの結合が共役型であるかどうかを問わないモノマーに少なくとも1部由来する任意のエラストマー(即ち、ホモポリマーまたはコポリマー) (単一エラストマーまたはエラストマーブレンド)を意味することを思い起こされたい。
【0047】
このジエンエラストマーは、さらに好ましくは、ポリブタジエン(BR)、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーのブレンドからなる群から選ばれる;そのようなコポリマーは、特に、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)およびイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)からなる群から選ばれる。
【0048】
1つの特に好ましい実施態様は、“イソプレン”エラストマー、即ち、イソプレンのホモポリマーまたはコポリマー、或いは、換言すれば、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、イソプレンの各種コポリマーおよびこれらのエラストマーのブレンドからなる群から選ばれるジエンエラストマーを使用することである。
【0049】
イソプレンエラストマーは、好ましくは、天然ゴムまたはシス‐1,4タイプの合成ポリイソプレンである。これらの合成ポリイソプレンのうちでは、好ましくは、90%よりも多い、さらにより好ましくは98%よりも多いシス‐1,4結合含有量(モル%)を有するポリイソプレンを使用する。1つの好ましい実施態様によれば、ゴム組成物の各層は、50〜100phrの天然ゴムを含む。他の好ましい実施態様によれば、上記ジエンエラストマーは、全体的にまたは部分的に、例えば、例えばBRタイプのもう1つのエラストマーと混合してまたは混合しなくて使用するSBRエラストマーのようなもう1つのジエンエラストマーからなる。
【0050】
各ゴム組成物は、1種または数種のジエンエラストマー;例えば、カーボンブラックまたはシリカのような補強用充填剤、カップリング剤、エージング防止剤、酸化防止剤、可塑剤または増量剤オイル(後者は芳香族性または本質的に非芳香族性(特に、そうであったとしても極めて弱い芳香族性であり、例えば、ナフテンまたはパラフィンタイプの高または好ましくは低粘度を有するオイル、MESまたはTDAEオイル)である)、高ガラス転移温度(30℃よりも高い)を有する可塑化用樹脂、生状態の組成物の加工性改良する薬剤、粘着付与剤、戻り防止剤、例えばHMT (ヘキサメチレンテトラミン)またはH3M (ヘキサメトキシメチルメラミン)のようなメチレン受容体および供与体、補強用樹脂(レゾルシノールまたはビスマレイミドのような)、金属塩タイプ、例えば、特にコバルト、ニッケルまたはランタニドの塩の既知の接着促進剤系、架橋または加硫系のようなタイヤの製造を意図するゴムマトリックス中で通常使用する添加剤の全部または数種を含有し得る。
【0051】
好ましくは、上記ゴム組成物用の架橋系は、加硫系と称される、即ち、イオウ(またはイオウ供与剤)と一時加硫促進剤とをベースとする系である。各種既知の加硫活性化剤または二次促進剤をこの基本加硫系に添加し得る。イオウは、0.5phrと10phrの間の好ましい割合で使用し、一時加硫促進剤、例えば、スルフェンアミドは、0.5phrと10phrの間の好ましい割合で使用する。補強用充填剤、例えば、カーボンブラックおよび/またはシリカの量は、好ましくは30phrよりも多く、特に30phrと100phrの間の量からなる。
【0052】
全てのカーボンブラック、特に、タイヤにおいて通常使用するHAF、ISAF、SAFタイプのブラック類(タイヤ級ブラック類と称するブラック類)がカーボンブラックとして適している。このカテゴリーにおいては、さらに詳細には、(ASTM)級300、600または700のカーボンブラック類(例えば、N326、N330、N347、N375、N683、N772)が挙げられる。450m
2/g未満、好ましくは30〜400m
2/gのBET表面積を有する沈降または焼成シリカは、シリカとして特に適している。
【0053】
当業者であれば、本説明に照らして、上記ゴム組成物の配合を如何に調整して所望レベルの性質(特に弾性モジュラス)を達成し且つ上記配合を意図する特定の用途に合うように適応させるかは承知していることであろう。
【0054】
好ましくは、架橋状態の各ゴム組成物は、4MPaと25MPaの間、より好ましくは4MPaと20MPaの間からなる10%伸びにおける伸長中割線モジュラスを有する;特に5MPaと15MPaの間からなる値は、それ自体で特に適していることが判明している。モジュラス測定は、他で断らない限り、1998年の規格ASTM D 412 (試験標本“C”)従い、張力下に実施する:“真”の割線モジュラス(試験標本の実際の断面に対するモジュラスを意味する)を、10%の伸びでの2回目の伸びにおいて(即ち、順応サイクル後に)、測定し、この場合、これをMsとして示し、MPaで表す(1999年の規格ASTM D 1349に従う標準の温度および相対湿度条件下に)。
【0055】
第1、第2および第3補強材を上述したそれら3つのそれぞれのゴム層(C1、C2、C3)に接着させるためには、任意の適切な接着剤系、例えば、第1の繊維補強材に関する限りは、“RFL”(レゾルシノール‐ホルムアルデヒドラテックス)または等価のタイプの繊維接着剤、或いは、例えば、スチールから製造した第2および第3補強材に関する限りは黄銅または亜鉛のような接着コーティングを使用し得る;しかしながら、普通の、即ち、コーティングしていないスチールを使用することも可能である。
【実施例】
【0056】
6. 発明の典型的な実施態様
以下の試験により、本発明に従う多層複合ラミネートが、その特異な構造によって、タイヤの重量を、ひいては転がり抵抗性を、ケーブル加工していないスチールモノフィラメントを使用する故により低いコストでもって低めることを可能にし、このことの全てを、何よりも先ずこれらタイヤのコーナリング剛性化または全体的耐久性を損なうことなく達成していることを実証する。
【0057】
これらの比較試験は、通常の方法で製造し、多層複合ラミネートの構造を除いては全ての点で同一であるサイズ205/55 R16の乗用車タイヤにおいて実施した。
【0058】
A) 試験するタイヤ
図2の略図に従うこれらの実施例の本発明に従うタイヤにおいては、補強材(110)は、低熱収縮を有するポリエステル(Performance Fibers社からのHMLS PET“1x50”)製の合撚糸である;各合撚糸は、470回折返し/メートルで一緒に撚っている(直接ケーブル加工装置において)、110texの2本の紡糸からなる;これら合撚糸の直径D1は、ほぼ0.54mmに等しく;これらの合撚糸のCTはほぼ2.4%に等しく、そして、これら合撚糸の収縮力Fcはほぼ22Nに等しい。
【0059】
上記繊維補強材(110)を被覆する第1のゴム層(C1)は、繊維補強材のカレンダー加工においては一般的であって、天然ゴム、カーボンブラック、加硫系および通常の添加剤をベースとするゴム組成物である;上記ポリアミド合撚糸とゴム層間の接着は、既知の方法で、例えば、“RFL”(レゾルシノール‐ホルムアルデヒドラテックス)タイプの単純な繊維接着剤を使用して確保する。
この第1層(C1)を製造するには、上記織布用合撚糸(110)を、各々ほぼ0.25mmの厚さを有する生(未加硫)状態のゴム組成物の2枚の層間で、当業者にとって周知の方法でカレンダー加工した。
【0060】
金属補強材(120)および(130)は、3650MPa程度の強度Rm (破断力258N)、2.3%の全体伸びAtおよび0.30mmの直径(D2、D3)を有するUHTタイプのマイクロアロイ型炭素鋼モノフィラメント(0.9%の炭素および0.2%のCr)である。
これらのスチールモノフィラメント(120、130)を被覆するゴムの第2(C2)および第3(C3)層は、金属タイヤベルトプライのカレンダー加工においては一般的であって、天然ゴム、シリカ、加硫系、および接着促進剤としてのコバルト塩のような通常の添加剤を典型的にベースとする組成物からなる。
これらの2つの層(C2、C3)を製造するには、モノフィラメント(130)を、各々ほぼ0.32mmの厚さを有する生(未加硫)状態のゴム組成物の2枚の層間で、当業者にとって周知の方法でカレンダー加工した。
【0061】
上記第1層(C1)中の上記織布用合撚糸(110)の密度d
1は、軸方向において測定して、ほぼ100本スレッド数/dmに等しく、第2(120)および第3(130)スチールモノフィラメントの密度(それぞれ、d
2およびd
3)は、ほぼ160本スレッド数/dmに等しい。
従って、正中面Mの各側面上の−2cmと+2cmの間に軸方向に延びる範囲内においては、ほぼ40本(即ち、各側面上に20本)の織布用合撚糸(110)並びにほぼ64本(即ち、各側面上に32本)の第2(120)および第3(130)のスチールモノフィラメントが存在する。
【0062】
これらの織布用合撚糸(110)をスチールモノフィラメント(120)から隔てているゴムの測定平均厚さEz
1は、ほぼ0.28mmであり;一方、スチールモノフィラメント(120)を他のスチールモノフィラメント(130)から隔てているゴムの平均厚さEz
2は、0.45mmの辺りであった。本発明に従うラミネートの全体平均厚さは、半径方向において測定して、ほぼ2.1mmであった。
【0063】
従って、本発明に従うこの実施例においては、特に好ましい下記の3つの不等式が実際に満たされていることに注目されたい:
0.225 < Ez
1 / (Ez
1+D1+D2) < 0.275
0.325 < Ez
2 / (Ez
2+D2+D3) < 0.475
0.325 < (Ez
1+Ez
2) / (Ez
1+Ez
2+D1+D2+ D3) < 0.425.
【0064】
上記の全てのデータ(D1、D2、D3、d
1、d
2、d
3、Ez
1およびEz
2)は、ベルトの中央部分を通して正中面(M)の上述した各側面上の2cmとして撮影したタイヤの半径断面の写真においてオペレーターが実験的に測定した平均値である。
【0065】
使用する対照タイヤは、以下の技術的特徴を除いて本発明のタイヤと同じ構造を有する:金属補強材(120、130)は、14mmのピッチで一緒にケーブル加工した直径0.30mmの2本のスレッドからなるSHTスチールの通常の“2.30”設計コード(ほぼ3170MPaに等しいRm;450Nに等しい破断力)からなる;これらのコードの直径(エンベロープ)は、従って、0.6mmである;これら金属補強材は、およそ85本スレッド数/dmの密度で配置されている;補強材(110)は、ポリアミド 66製の合撚糸である;各合撚糸は、250回折返し/メートルで一緒に撚っており(直接ケーブル加工装置において)、ほぼ0.66mmに等しい直径D1を有する140texの2本の紡糸からなる;これらの合撚糸のCTはほぼ7%に等しく、これら合撚糸の収縮力Fcはほぼ28Nに等しい;ナイロン合撚糸(110)をスチールコード(120)から隔てているゴムの測定平均厚さEz
1はほぼ0.31mmであり、一方、スチールコード(120)を隔てているゴムの測定平均厚さEz
2は0.50mm程度であった。ラミネートの全体平均厚さは、半径方向において測定して、およそ3.0mmであった。
【0066】
上記2つの金属層を製造するには、“2.30”コードを、各々ほぼ0.40mmの厚さを有する生(未加硫)状態のゴム組成物の2枚の層間で、当業者にとって周知の方法でカレンダー加工した。
【0067】
これら対照タイヤの多層複合ラミネートにおいては、本発明の場合と異なり、下記の好ましい不等式のいずれの1つも満たされていないことに特に注目し得る:
0.20 < Ez
1 / (Ez
1 + D1 + D2) < 0.30;
0.30 < Ez
2 / (Ez
2 + D2 + D3) < 0.50.
【0068】
B) 比較試験の結果
装置において実施した最初の1連の試験においては、先ずは最初に、本発明のタイヤは、対照タイヤと比較したとき、下記を提供していることに注目した:
・多層複合ラミネートにおけるおよそ14%の軽量化、即ち、およそ2.5%のタイヤ自体においての軽量化;
・転がり抵抗性のほぼ3.3%の改良(ほぼ0.250kg/メートルトンを示す);および、
・予期に反して、このかなりのベルトの軽量化にもかかわらず、正確に同じドリフトスラスト。
【0069】
転がり抵抗性は、ISO 87-67 (1992年)方法に従い、動力計において測定した。ドリフトスラストを測定するには、各タイヤを適切な自動機械(MTS社が販売している“フラットトラック”タイプの機械)上で80km/時の一定速度で駆動させ、“Z”で示す荷重を1度のコーナリング角度に対して変動し、コーナリング剛性または“D”で示すドリフトスラスト(スラストをゼロドリフトにおいて補正)を、既知の方法において、センサーを使用して、車輪に対する横荷重をこの荷重Zの関数として記録することによって測定した;ドリフトスラストは、原点におけるD(Z)曲線の勾配である。
【0070】
次に、実際の走行試験を、この場合、上記機械または車両(Volkswagen Golf)のいずれかにおいて実施して、対照タイヤおよび本発明に従うタイヤの耐久性を種々の運転条件下に比較した。
最初に、極めて高速運転における耐久性を、各タイヤを、上記機械上で、予め設定した制限速度(250km/時を超える)までまたは必要に応じての試験タイヤが試験終了前に破壊するまでの所定の段階での漸進的速度上昇に供することによって評価した。
【0071】
次に、極めて酷いコーナリング下での耐久性を、上記車両を極めて曲りくねったサーキットの周りで、過荷重、空気圧減の条件下で且つ極めて高い横加速をもたらす所定速度の各サイクルに従いこれら全てを1000km以上運転することによって評価した;この得に苛酷な試験の後、試験した各タイヤを剥ぎ取り(破壊分析による)、必要に応じて、多層複合ラミネートの関連層(C2、C3)中の金属補強材(120、130)の破壊数を計数した。
【0072】
最後に、極めて過酷な条件下での極めて長時間運転(40 000km)における耐久性も、自動走行機械上で、一定速度での各種所定圧および過荷重サイクルに従い試験した;その後、試験した各タイヤを剥ぎ取り、その多層複合ラミネートの全体的状態を、特に、知られている通り最大の加熱を被るタイヤの肩領域において観察した。
【0073】
この第2の試験群の終了時において、本発明に従うタイヤは、対照タイヤと比較したとき、当業者が驚くことに、下記を示すことが判明した:
・高速走行における等価の耐久性(両例において試験したタイヤの顕著な破壊はない):
・同様に等価であった極めて酷いコーナリング下での耐久性(両例において金属補強材の観察された破断はない);
・最後に、極めて苛酷な走行条件下に改良されていた極めて長時間運転の耐久性(本発明に従う多層複合ラミネートのより良好な外観)。
【0074】
従って、上記で説明した本質的な技術的特徴のすべてが観察されることを条件として、特に、一方では特に低熱収縮性を有するポリエステル製の繊維円周補強材(110)を、他方では小直径モノフィラメントの形の金属補強材(120、130)を、推奨された構築限界内で使用することを条件として、タイヤベルトの全体的厚さをかなり減じることが、加工性並びに第1層の円周補強材によって付与される第1のフーピング機能と他の2つの層の金属補強材によって付与される第2の剛性化機能の区別化を損なうことなくさらに可能であることを見出した。
【0075】
予期に反して、本発明は、乗用車またはバン類タイヤの重量と転がり抵抗性を、コーナリング剛性、従って、道路保持性およびハンドリング性を損なうことなく低下させると同時に、特に苛酷な走行条件下でさえもより良好ではないとしても少なくとも等価である走行耐久性を提供することを可能にしている。