(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150310
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】複数個の空所を含むハイコントラストパターンを有するタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20170612BHJP
B60C 13/02 20060101ALI20170612BHJP
B29D 30/72 20060101ALI20170612BHJP
B29C 33/02 20060101ALI20170612BHJP
B29C 35/02 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
B60C13/00 D
B60C13/02
B29D30/72
B29C33/02
B29C35/02
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-531531(P2015-531531)
(86)(22)【出願日】2013年9月10日
(65)【公表番号】特表2015-529170(P2015-529170A)
(43)【公表日】2015年10月5日
(86)【国際出願番号】EP2013068666
(87)【国際公開番号】WO2014040967
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2016年8月4日
(31)【優先権主張番号】1258550
(32)【優先日】2012年9月12日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(73)【特許権者】
【識別番号】508032479
【氏名又は名称】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ミュールホフ オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】デスヴィーニュ ジャン−クロード
(72)【発明者】
【氏名】パテュール アントワーヌ
【審査官】
岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−001249(JP,A)
【文献】
特開2001−239810(JP,A)
【文献】
特開2013−169827(JP,A)
【文献】
特開平05−008612(JP,A)
【文献】
特表2009−512584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 13/00−13/02
B29C 33/02
B29C 35/02
B29D 30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドウォール(3)及び前記サイドウォール上に形成されたパターン(5)を有するゴム状材料で作られたタイヤであって、前記パターンが複数個の開口部(7)及び前記開口部を互いに隔てる中間ゾーン(9)を含む、タイヤにおいて、前記パターンが前記サイドウォールとコントラストをなすようにするため、前記開口部(7)は、前記パターンの少なくとも60%を占め、前記開口部は、少なくとも、1平方ミリメートル(mm2)当たり5個の開口部に等しい密度で前記パターン全体にわたって分布して設けられ、前記開口部は、0.03mm〜0.5mmの名目直径を有する、タイヤ。
【請求項2】
前記開口部は、前記パターンの少なくとも70%を占める、請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記開口部は、前記パターンの少なくとも80%を占める、請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項4】
前記開口部は、前記パターンの少なくとも90%を占める、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記開口部は、前記パターンの少なくとも95%を占める、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記開口部(7)のうちの全て又は幾つかは、多角形形状のものである、請求項1〜5のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記開口部は、空所を形成するよう前記サイドウォールの深さ中に延び、前記空所の全て又は幾つかは、前記サイドウォールの深さ中に減少した断面を有する、請求項1〜6のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記空所(13)の全て又は幾つかは、0.2mm〜0.6mmの深さを有する、請求項7記載のタイヤ。
【請求項9】
前記空所の全て又は幾つかは、少なくとも1つの壁(14)を有し、該壁(14)は、断面で見て、前記パターンに垂直な方向Zに対して10°〜45°の角度αをなしている、請求項7又は8記載のタイヤ。
【請求項10】
タイヤを成形すると共に加硫するモールドであって、前記タイヤは、前記タイヤのサイドウォールを成形するモールド要素及び前記モールド要素上に形成された印(26)を有し、前記印は、前記モールド要素から突き出た複数個の突起(27)及び前記突起を互いに隔てる前記モールド要素の中間部分(29)を含む、モールドにおいて、前記突起(27)は、少なくとも、前記印の少なくとも60%を占め、前記突起は、1平方ミリメートル(mm2)当たり5個の突起に等しい密度で前記印全体にわたって分布して設けられ、前記突起は、それぞれ、前記モールド要素と接触状態にあるベース(31)を有し、前記ベースは、0.03mm〜0.5mmの名目直径を有する、モールド。
【請求項11】
タイヤ(35)のサイドウォールとコントラストをなすパターンを作る方法であって、前記方法は、前記タイヤの加硫に続き、レーザビーム(32)を用いて前記タイヤの前記サイドウォール上に、複数個の開口部及び前記開口部を互いに隔てる中間ゾーンを含むパターン(5)を形成するステップを含み、前記開口部は、前記パターンの少なくとも60%を占め、前記開口部は、少なくとも、1平方ミリメートル(mm2)当たり5個の開口部に等しい密度で前記パターン全体にわたって分布して設けられ、前記開口部は、0.03mm〜0.5mmの名目直径を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の空所を含むハイコントラストパターンを有する自動車用のタイヤに関し、本発明は又、かかるパターンを作製する少なくとも1つの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤサイドウォールは、第1に、技術上及び法上の情報を提供し、第2に、消費者が製品の出所を識別することができるようにするようになった多量のパターンを備えている。
【0003】
タイヤサイドウォール上のこれらパターンの視認性及び可読性を向上させる試みが絶えずなされている。
【0004】
特許文献である国際公開第2007/045425号パンフレットは、複数本のストランドを含むハイコントラストパターンを記載しており、これらストランドの断面は、各ストランドのベースからこのストランドの先端部に向かって減少している。パターン中のストランドの密度は、少なくとも、平方ミリメートル(mm
2)で表されたパターンの単位面積当たり5本のストランドに等しい。
【0005】
これらストランドの作用効果は、パターンに当たった多量の入射光線を「捕捉」することにある。これにより、パターンにタイヤのサイドウォールの残部と比較して暗い外観を与えることができる。また、ストランドにより、「ベロア」型の特に心地良い感触を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2007/045425号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、かかるストランドを含むパターンは、或る特定の機械的攻撃、例えば舗装路面との擦れに直面して比較的脆い場合がある。この擦れの影響を受けて、パターンのストランドは、タイヤから脱落状態になる場合がある。
【0008】
したがって、タイヤのサイドウォールとのコントラストに耐久性のあるハイコントラストパターンを提案する要望が存在する。
【0009】
定義
【0010】
「タイヤ」という用語は、タイヤが内圧を受けているにせよそうでないにせよいずれにせよ、弾性トレッドを備えた任意のタイヤを意味している。
【0011】
タイヤの「トレッド」という用語は、側面及び2つの主要表面により画定された或る量のゴム状材料を意味しており、これら2つの主要表面のうちの一方は、タイヤが走行しているときに、路面に接触するようになっている。
【0012】
タイヤの「ビード」という用語は、ホイールリムに着座するようになったタイヤの部分を意味している。
【0013】
タイヤの「サイドウォール」という用語は、タイヤのトレッドとこのタイヤのビードとの間に位置したタイヤの側面を意味している。
【0014】
サイドウォール上の「パターン」という用語は、開口部及びこれら開口部を互いに隔てる中間ゾーンのひとまとまりを意味している。開口部は、サイドウォール中に引っ込められ、中間ゾーンは、ゴム状材料によって形成されている。
【0015】
空所の開口部又は突起のベースのそれぞれの「名目直径」という用語は、この開口部又はこのベースの内側にそれぞれ内接した円の直径を意味している。
【0016】
「モールド」という用語は、別々のモールド要素のひとまとまりを意味しており、これらモールド要素は、相対的に互いに近づけられると、ドーナツ形の成形空間を画定することができる。
【0017】
モールドに設けられた「印」という用語は、このモールドから突き出た複数個の突起及びこれら突起を互いに隔てるモールドの中間部分を意味している。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、サイドウォール及びサイドウォール上に形成されたパターンを有するゴム状材料で作られたタイヤに関する。このパターンは、複数個の開口部及び開口部を互いに隔てる中間ゾーンを含む。パターンがサイドウォールとコントラストをなすようにするため、開口部は、パターンの少なくとも60%を占め、開口部は、少なくとも、1平方ミリメートル(mm
2)当たり5個の開口部に等しい密度でパターン全体にわたって分布して設けられ、開口部は、0.03mm〜0.5mmの名目直径を有する。
【0019】
本発明により、タイヤのサイドウォールとコントラストをなすと同時に耐久性のあるパターンを形成することができる。具体的に説明すると、パターンがサイドウォール中に引っ込められた開口部で構成されているので、パターンに対する舗装路面との擦れの衝撃は、小さい。かくして、このサイドウォール上のパターンの耐久性が向上する。
【0020】
好ましくは、開口部は、パターンの少なくとも70%、パターンの少なくとも80%、パターンの少なくとも90%又はパターンの少なくとも95%を占める。
【0021】
パターン中の開口部の比率が高ければ高いほど、サイドウォールに対するこのパターンのコントラストがそれだけ一層良好になる。
【0022】
実施形態の別の一形態では、開口部の全て又は幾つかは、多角形形状のものである。
【0023】
このように、開口部相互間の中間ゾーンの表面積を制限するような仕方で開口部を互いに対して組織することは、容易に可能である。開口部のかかる形状により、開口部の高い比率を達成することが容易に可能である。
【0024】
実施形態の別の形態では、開口部は、空所を形成するようサイドウォールの深さ中に延び、空所の全て又は幾つかは、サイドウォールの深さ中に減少した断面を有する。
このように、入射光線を吸収するパターンの能力が向上する。
【0025】
好ましい一実施形態では、空所の全て又は幾つかは、0.2mm〜0.6mmの深さを有する。
【0026】
このように、パターンに当たった多量の入射光線がこのパターンによって捕捉されるようにすることが可能であり、空所の深さが制限されているので、サイドウォールの機械的強度が過度に損なわれることが回避される。
【0027】
好ましい一実施形態では、空所の全て又は幾つかは、少なくとも1つの壁を有し、かかる壁は、断面で見て、パターンに垂直な方向Zに対して10°〜45°の角度αをなす。
【0028】
光線が空所の壁に当たる度に、この光線は、この壁によって反射される。光線の反射方向は、この光線の最初の方向及び壁の傾斜角度で決まる。かくして、この最初の方向及びこの傾斜角度に応じて、光線を反射させてこれを空所の別の壁に当てることができる。これとは逆に、光線を反射させて空所から出し、例えば直接、観察者に差し向けることができる。前者の場合、光線は、空所内で「失われた状態になり」、もはや観察者には見えないであろう。後者の場合、観察者は、光線を見ることができ、したがって、パターンは、明るく見える場合があり、したがってサイドウォールに対するコントラストの強さが低くなる。10°〜45°の角度αをなす少なくとも1つの壁を有する空所を選択することによって、空所に入った光線の高い比率が空所内における多数回の反射の影響を受けてこの空所によって吸収されるようにすることが可能である。このように、サイドウォールに対するパターンのコントラストが向上すると同時に、このパターン中の空所の同じ比率が維持される。さらに、この壁の勾配により、パターンの強度が、特に舗装路面との擦れの繰り返しに関して、全体として向上する。
【0029】
本発明の別の要旨は、タイヤを成形すると共に加硫するモールドに関する。タイヤは、タイヤのサイドウォールを成形するモールド要素及びモールド要素上に形成された印を有する。この印は、モールド要素から突き出た複数個の突起及び突起を互いに隔てるモールド要素の中間部分を含む。突起は、少なくとも、印の少なくとも60%を占める。これら突起は、1平方ミリメートル(mm
2)当たり5個の突起に等しい密度で印全体にわたって分布して設けられる。これら突起は、それぞれ、モールド要素と接触状態にあるベースを有し、これらベースは、0.03mm〜0.5mmの名目直径を有する。
【0030】
本発明の別の要旨は、タイヤのサイドウォールとコントラストをなすパターンを作る方法に関する。この方法は、タイヤの加硫に続き、レーザビームを用いてタイヤのサイドウォール上に、複数個の開口部及び開口部を互いに隔てる中間ゾーンを含むパターンを形成するステップを含む。開口部は、パターンの少なくとも60%を占める。加うるに、開口部は、少なくとも、1平方ミリメートル(mm
2)当たり5個の開口部に等しい密度でパターン全体にわたって分布して設けられ、開口部は、0.03mm〜0.5mmの名目直径を有する。
【0031】
かかる方法により、タイヤのサイドウォールとコントラストをなす頑丈なパターンを形成し、又、このタイヤを加硫した後にこのようにすることが可能である。それにより、特に、このパターンに適した新たなモールド要素を提供する必要なく、タイヤのカスタマイゼーションの程度を高くすることができ、なお、かかる新たなモールド要素は、製造するのに費用が高くつくのが常である。
【0032】
本発明の別の特徴及び別の利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられる以下の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】タイヤのサイドウォール及びこのサイドウォールとコントラストをなすパターンを概略的に示す図である。
【
図2】
図1のパターンの第1の実施形態を概略的に示す図である。
【
図3】
図1のパターンの第2の実施形態を概略的に示す図である。
【
図4】第3の実施形態としての
図1のパターンの概略断面図である。
【
図6】
図4のパターンを成形することができるモールドの一部の概略斜視図である。
【
図7】
図1のタイヤの加硫後におけるこのタイヤのサイドウォール上に
図4のパターンを形成する装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の説明において、実質的に同一又は類似した要素は、同一の参照符号で示される。
【0035】
図1は、本発明のタイヤ1の部分図である。
図1は、このタイヤのサイドウォール3及びこのサイドウォール3上に形成されたパターン5を示している。サイドウォール3は、全体として滑らかな表面仕上げを有し、かかる表面仕上げは、サイドウォールに入射光線を反射する良好な能力を与えている。かくして、通常の明るさの条件下において、サイドウォールは、観察者によって全体として光沢があるものとして知覚されることになる。
【0036】
とは言うものの、パターン5は、サイドウォール3とコントラストをなす暗く且つ無光沢の外観を有する。
【0037】
図2は、
図1のパターンの第1の実施形態を示している。この実施形態では、パターン5は、サイドウォール3の深さ中に複数個の空所を含む。これら空所は、サイドウォール上に開口して直径Dの円形開口部7を形成している。パターンは、開口部7を互いに隔てる中間ゾーン9を更に含む。各開口部7は、正方形10の内側に内接可能であり、この正方形の四辺(この場合、点線で描かれている)は、開口部の直径Dと同一の長さを有している。正方形10の四辺の一部をつなぐ線分WX,XY,YZ,ZWは、パターン5を画定している。この場合、パターン5の形状は正方形である。
【0038】
パターン5中の開口部の比率を求めることが可能である。開口部のこの比率は、これら開口部の占める表面積とパターンの全表面積の比に一致している。
図2の例では、9個の開口部7が9×π×D
2/4に一致する表面積を占め、パターンの表面積は、9×D
2に一致している。したがって、開口部の比率は、π/4、即ち78.5%に等しい。
【0039】
注目されるように、開口部は、少なくとも、1平方ミリメートル(mm
2)当たり5個の開口部に等しい密度でパターン全体にわたって分布して設けられ、これら開口部は、0.03mm〜0.5mmの名目直径を有する。当然のことながら、開口部の密度及び/又はその直径をこれら値の範囲内で選択して開口部の所望の比率、例えば60%以上、70%以上、80%以上、90%以上又はそれどころか95%以上の比率を達成することが可能である。
【0040】
また、注目されるように、開口部7は、この場合、開口部相互間に存在する側壁の表面を最小限に抑えるよう互いに触れ合う。
【0041】
図3は、開口部7が多角形形状のものであるパターン5の実施形態の第2の別の形態を示している。具体的に説明すると、開口部は、この場合、六角形を形成している。
【0042】
開口部のかかる形状により、開口部相互間の中間ゾーンの表面を減少させる目的で開口部を互いに対して組織することが容易に可能である。かくして、パターン中の開口部の高い比率を達成することが容易に可能である。
【0043】
図4は、第3の実施形態としてのパターンの部分断面図である。この変形形態では、空所13は、サイドウォール3の深さ中に円錐台を形成している。このように、サイドウォールに対するパターンのコントラストが向上する。注目されるように、この実施形態では、空所13の開口部7は、互いに触れ合わない。さらに、開口部は、パターン5の各開口部7相互間の距離Dが同一であるようにサイドウォール全体にわたり均等に分布して設けられている。
【0044】
図5は、
図4の空所13の拡大図である。この図では、空所は、壁14を有している。各壁は、パターンに垂直な方向Zに対して10°〜45°の角度αをなしている。かかる形態では、空所による入射光線の吸収度が向上する。
【0045】
また、注目されるように、パターンの空所は、少なくとも0.1mmに等しい深さを有する。好ましくは、空所の深さは、0.2mm以上且つ0.6mm以下である。
【0046】
図6は、モールド要素25及びこのモールド要素上に形成された印26を示している。この印は、
図4のパターンを成形することができる。この印は、モールド要素25から突き出た複数個の突起27及びこれら突起27を互いに隔てる中間部分29を含む。突起27は、少なくとも、1平方ミリメートル当たり5個の突起に等しい密度でパターン全体にわたって分布して設けられ、これら突起は、モールド要素と接触状態にあるベース31を有している。各ベースは、この場合、直径が0.03mm〜0.5mmの全体として円形の形をしている。したがって、突起の密度及び/又はこれらのベースの直径は、突起が印の少なくとも90%を占めるようこれら値の範囲内で選択される。好ましい実施形態では、突起は、印の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又はそれどころか少なくとも95%を占める。
【0047】
図7は、タイヤサイドウォール上にパターン5を形成する装置30を示している。この装置は、タイヤ35を受け入れるようになったプラトー(平坦部)、レーザビーム32を用いて印をタイヤに刻印することができるレーザ手段37、及びこれらレーザ手段を制御する手段39を有する。説明上、レーザ手段は、アイピージー(IPG)製の出力50Wのパルスレーザを含む。
【0048】
装置30は、タイヤのサイドウォールとコントラストをなすパターンを形成する方法の具体化を可能にする。この方法における第1のステップでは、タイヤをプラトー33上に載せる。次に、レーザ手段37をこのタイヤに対して位置決めし、パターンをサイドウォール上に刻印する。具体的に説明すると、レーザ手段は、サイドウォールの深さ中に複数個の空所を形成する。この方法が用いられるので、これら空所は、レーザ手段に向いたサイドウォールの外面上に開口し、そして開口部を形成する。これら開口部は、非刻印中間ゾーンによって互いに隔てられる。開口部は、少なくとも、1平方ミリメートル(mm
2)当たり5個の開口部に等しい密度を有すると共に0.03mm〜0.5mmの名目直径を有する。レーザ手段は、レーザビームにより形成される開口部がパターンの少なくとも60%を占めるよう構成されている。好ましい一実施形態では、開口部は、パターンの少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又はそれどころか少なくとも95%を占める。
【0049】
本発明は、説明すると共に図示した実施例には限定されず、本発明の範囲から逸脱することなくかかる実施例について種々の改造を行うことができる。