(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の突起体は、ピン状または棒状に形成され、前記突起体の突出方向の長さ、前記突起体の半径方向の長さ、前記突起体の先端部の形状の内の少なくとも1つが異なる種類の突起体を含むことを特徴とする、請求項1に記載のペットの足の洗浄具。
前記複数の突起体は、前記突起体の先端部が複数に分岐された扁平状の扁平先端部を有する突起体と、前記突起体の先端部が尖鋭状の尖鋭部を有する突起体とが混在されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のペットの足の洗浄具。
前記本体の上部および前記伸縮胴部の両方またはいずれか一方に線材を取り付けるための留め具を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のペットの足の洗浄具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した小動物用足拭きは、払拭部材を密閉して簡単に持ち運びできるので、散歩や小旅行等に携帯可能となっているものの、小動物の足を、単に、ケース内にある払拭部材の中心孔に出し入れするだけで小動物の足拭きを行っているため、小動物の足を細部まで充分に洗浄することができないものであった。
また、この小動物用足拭きでは、必要に応じて、払拭部材の凹凸面を使って小動物の足裏及び足首以上の汚れを落とすものとなっているが、この場合、小動物の足を一旦ケース内から出した後、片方の手でケースを把持してから、払拭部材の凹凸面で小動物の足裏及び足首以上の汚れを拭き取る必要があり、手間の掛かる面倒なものであった。
【0006】
また、水流を利用した上記のペットの足洗浄器では、ペットの足を足置き台の上に載せることによりペットの足を洗浄することができるので、ペットを抱き抱える必要がなく、洗う人の負担を少なくすることができるものの、電源を必要とし、装置自体も複雑な構造を有するものであった。しかも、この足洗浄器を用いてペットの足に付いた強固な汚れを落とすためには、時間がかかる上、水流も強力なものが必要となる。そのため、内側および外側の整流筒,整流羽根を有する整流部材、スクリューおよびモータ等もより大きなものが必要となって、装置自体が大型で重くなるという問題が生じる。したがって、このペットの足洗浄器では、その使用者が当該足洗浄器を手軽に持ち運ぶことが困難なものとなっていた。さらに、この足洗浄器を使用した場合には、モータ音、スクリュー音および水流音がペットに違和感や恐怖心を与える虞があり、その結果、ペットが足の洗浄を嫌がるという不具合も生じるものとなっていた。
また、このペットの足洗浄器は、水流のみを利用した足洗浄器であるため、たとえば足の指の間および足裏の肉球の間に付いた汚れに対する洗浄効果は殆ど無いものであり、上記した小動物用足拭きと同様に、ペットの足を細部に亘って充分に洗浄することができないものであった。
一方、近年では、ペットの足を洗浄する洗浄具として、単に足を洗浄する機能だけでなく、別の機能を併せ持つ付加価値の高い多機能なものも要望されている。
【0007】
それゆえに、本発明の主たる目的は、簡単な構造で手軽に持ち運ぶことができ、ペットの足を細部に亘って洗浄することができるとともに別の付加価値機能も有する、ペットの足の洗浄具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1にかかる本発明は、その中にペットの足および洗浄水が入れられる有底筒状の本体と、本体の内周面および内底面の内の少なくとも内周面に配設される複数の突起体と、本体の軸方向の
開放口部側に連接され、本体を軸方向に伸縮自在とする筒状の伸縮胴部とを含み、本体および伸縮胴部は、弾性を備え、本体および伸縮胴部の内面と外面を反転させて裏返すことが可能なリバーシブル構造を有することを特徴とする、ペットの足の洗浄具である。
請求項1にかかる本発明では、上記した構成を有するので、簡単な構造で手軽に持ち運ぶことが可能な携帯に簡便なものとなっており、たとえば予め、水,洗剤水等の洗浄水が入れられた本体の中に、土,泥,ゴミ,汚水等の汚れが付いたペットの足を入れ、本体の外面側から手でペットの足を洗浄水とともに揉み洗いすることによって、足に付いた汚れを洗浄することが可能となる。この場合、本体内面の複数の突起体は、ペットの足に付いた汚れを細部に亘って掻き取って洗い出すことが可能となる。
また、本体は、伸縮胴部により当該本体の軸方向に伸縮自在となるため、犬種および犬の年齢によって異なるペットの足の長さに応じて、本体の軸方向の長さ、つまり、ペットの足が入れられる本体の高さ方向の長さを調整することが可能となる。この場合、本体の軸方向の一端側
(開放口部側)および他端側を手で把持し、当該一端側
(開放口部側)および他端側の両方またはいずれか一方を本体の軸方向に押圧ないし引っ張ることにより、伸縮胴部を当該軸方向に伸縮させることで、本体はその軸方向に伸縮自在となる。
さらに、本体および伸縮胴部は、リバーシブル構造を有しているため、本体および伸縮胴部の内面と外面を反転させて裏返すことにより、本体内面に配設された複数の突起体が外部に露出させた状態で、当該洗浄具をペットの毛並みを整える「ブラシ」としても用いることが可能となっている。この場合、反転裏返しされた本体および伸縮胴部の内側に手を差し入れて当該洗浄具が「ブラシ」として用いられる。
すなわち、本発明によれば、ただ単に、ペットの足を洗浄する洗浄具としての機能を有するだけでなく、ブラシとしての機能を併せ持つ付加価値の高い多機能なペットの足の洗浄具が得られるものとなっている。
請求項2にかかる本発明は、請求項1にかかる発明に従属する発明であって、複数の突起体は、ピン状または棒状に形成され、突起体の突出方向の長さ、突起体の半径方向の長さ、突起体の先端部の形状の内の少なくとも1つが異なる種類の突起体を含むことを特徴とする、ペットの足の洗浄具である。
請求項2にかかる本発明では、上記した構成を有するので、本体の中でペットの足を洗浄水とともに揉み洗いするときに、複数の突起体が単一の種類で形成されている場合に比べて、複数の突起体が異なる種類の突起体で形成されている場合、足の汚れを取る洗浄作用が高められると同時に、複数の突起体による足へのマッサージ作用も高められる。つまり、異なる種類の突起体により、足への洗浄作用およびマッサージ作用の両立が効率的に
行われるものとなっている。
請求項3にかかる本発明は、請求項1または請求項2にかかる発明に従属する発明であって、複数の突起体は、突起体の先端部が複数に分岐された扁平状の扁平先端部を有する突起体と、突起体の先端部が尖鋭状の尖鋭部を有する突起体とが混在されていることを特徴とする、ペットの足の洗浄具である。
請求項3にかかる本発明では、上記した構成を有するので、先端部が複数に分岐された扁平状の扁平先端部を有する突起体は、ペットの足の手首(手根関節)から膝の間の外周部、足の指および足の指の間、足裏および足裏の肉球の間に付着した汚れを掻き取る機能とそれらの部位へのマッサージ機能を有する。また、先端部が尖鋭状の尖鋭部を有する突起体は、扁平先端部を有する突起体で掻き取れなかったペットの足の上記部位の狭い隙間に付着した汚れを効果的に掻き出す機能を有している。さらに、たとえば扁平先端部を有する突起体よりも尖鋭部を有する突起体の突出方向の長さ(突起高さ)を短くすることで、尖鋭部の尖った尖端が扁平先端部を有する突起体の後から当接させて刺激を感じ難くすることが可能となる。そのため、足の揉み洗いのときのペットの嫌悪感を抑制する機能を有する。
請求項4にかかる本発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項にかかる発明に従属する発明であって、本体の上部および伸縮胴部の両方またはいずれか一方に線材を取り付けるための留め具を含むことを特徴とする、ペットの足の洗浄具である。
請求項4にかかる本発明では、上記した構成を有するので、線材の一端側を留め具に取り付け、線材の他端側を使用者の手首に取り付けて、揉み洗い作業を行えば、つまり、当該線材をハンドストラップ的に用いることで、洗浄具を片方の手首に保持させることが可能となるので、片方の手で洗浄具の本体を把持し、且つ、もう片方の手でペットの足を持った状態でスムーズにペットの足を揉み洗うことができる。また、洗浄した後のペットの足に付いた洗浄水をタオル等で拭き取る場合にも、片方の手でペットの足を持ち、もう片方の手でペットの足を拭くことができる。したがって、このペットの足の洗浄具では、拭き取り作業を迅速に行え、また、他の足を揉み洗う作業もスムーズに行うことができ、作業効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構造で手軽に持ち運ぶことができ、ペットの足を細部に亘って洗浄することができるとともに別の付加価値機能も有する、ペットの足の洗浄具が得られる。
【0010】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明にかかるペットの足の洗浄具の一例を示す斜視図解図である。
【
図2】
図2の(A)は、
図1に示すペットの足の洗浄具の内部構造を示す縦断面図解図であり、
図2の(B)は、
図1に示すペットの足の洗浄具を裏返して内面と外面とを反転させ、開放口部を上に向けた状態を示す正面図解図である。
【
図3】
図1および
図2の(A)に示すペットの足の洗浄具をその開放口部の上方から見た拡大平面図解図である。
【
図4】扁平先端部を有する突起体の一例を示す図解図であって、
図4の(A)は、その正面図解図であり、
図4の(B)は、
図4の(A)の平面図解図であり、
図4の(C)は、
図4の(A)の側面図解図であり、
図4の(D)は、
図4の(C)の平面図解図である。
【
図5】尖鋭部を有する突起体の一例を示す図解図であって、
図5の(A)は、その正面図解図であり、
図5の(B)は、
図5の(A)の平面図解図である。
【
図6】
図6の(A)は、
図1に示す洗浄具を用いてペットの足を揉み洗いしている状態を示す斜視図解図であり、
図6の(B)は、ペットの足を洗浄した後、足に付いた洗浄水をタオル等で拭き取っている状態を示す斜視図解図である。
【
図7】ペットの足の長さに応じて
図1に示す洗浄具を本体の軸方向に伸縮自在とする説明図解図であって、
図7の(A)は、本体の軸方向の長さを伸ばした状態の洗浄具の正面図解図であり、
図7の(B)は、
図7の(A)の状態の洗浄具にペットの足を入れた状態を示す図解図である。
【
図8】ペットの足の長さに応じて
図1に示す洗浄具を本体の軸方向に伸縮自在とする説明図解図であって、
図8の(A)は、本体の軸方向の長さを
図7の(A)の状態よりも縮めた状態の洗浄具の正面図解図であり、
図8の(B)は、
図8の(A)の状態の洗浄具にペットの足を入れた状態を示す図解図である。
【
図9】
図1に示すペットの足の洗浄具を裏返して内面と外面とを反転させたものを「ブラシ」として使用し、当該「ブラシ」でペットをブラッシングしている状態を示す図解図である。
【
図10】
図1および
図2に示す洗浄具の突起体の配列状態の他の例を示す図解図であって、当該洗浄具をその開放口部の上方から見た平面図解図である。
【
図11】
図1および
図2に示す洗浄具の突起体の配列状態のさらに他の例を示す図解図であって、当該突起体をその先端部側から見た状態の要部図解図である。
【
図12】
図1および
図2に示す洗浄具の突起体の配列状態のさらに他の例を示す要部斜視図解図である。
【
図13】本発明にかかるペットの足の洗浄具の他の例を示す分解正面図解図である。
【
図14】
図13に示すペットの足の洗浄具の蓋部材の図解図であって、
図14の(A)は、その斜視図解図であり、
図14の(B)は、
図14の(A)の平面図解図である。
【
図15】
図15の(A)は、
図13に示すペットの足の洗浄具の本体の軸方向の長さを、
図13の状態よりも短くした状態の正面図解図であり、
図15の(B)は、
図13に示すペットの足の洗浄具の蓋部材を外して裏返し、内面と外面とを反転させて開放口部を上に向けた状態を示す正面図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明にかかるペットの足の洗浄具の一例を示す斜視図解図である。
図2の(A)は、
図1に示すペットの足の洗浄具の内部構造を示す縦断面図解図であり、
図2の(B)は、
図1に示すペットの足の洗浄具を裏返して内面と外面とを反転させ、開放口部を上に向けた状態を示す正面図解図である。
図3は、
図1および
図2の(A)に示すペットの足の洗浄具をその開放口部の上方から見た拡大平面図解図である。なお、以下の実施の形態の説明で言う「軸方向」とは、高さ方向と同義の意味を有する語として用いる。
【0013】
このペットの足の洗浄具10は、その中にペットの足および洗浄水を入れることが可能な有底筒状の本体12を含む。本体12は、たとえば有底円筒状に形成されている。本体12の軸方向の一端(上端)側には、当該本体12を軸方向に伸縮自在とする筒状の伸縮胴部14が連接されている。伸縮胴部14は、特に、たとえば
図7および
図8に示すように、本体12の軸方向の上端から上にいくに従って漸次外方に拡径されるように、テーパ状に形成された肉厚の折り畳み片胴部16と、本体12および伸縮胴部14の軸方向に見て、折り畳み片胴部16の下端部に配設され、本体12の軸方向の上端部と接合される薄肉の連結部18と、折り畳み片胴部16の上端部に配設される薄肉の連結部20と、連結部20により折り畳み片胴部16の上端部に接合されるリング状胴部22とを含む。このペットの足の洗浄具10では、たとえば
図3に示すように、本体12、折り畳み片胴部16およびリング状胴部22が平面視同心円状に配設され、たとえば
図2の(A)および
図7の(B)に示すように、本体12の軸方向に見て、連通するように一体的に形成されている。そして、最上部に位置するリング状胴部22の上端の開放口部が、当該洗浄具10の開放口部10Aとなっている。
【0014】
また、折り畳み片胴部16は、その内周面に、
図2の(A)および
図7の(B)に示すように、たとえば2つのテーパ状面16Aおよび16Bを有する。テーパ状面16Aは、折り畳み片胴部16の上端内周縁24から連結部18の内周縁の上側位置26に亘って形成されている。テーパ状面16Aは、当該上端内周縁24から当該上側位置26にいくに従って、折り畳み片胴部16の内径が漸次縮径される態様となっている。
【0015】
テーパ状面16Bは、連結部18の内周縁の上側位置26から連結部18の内周縁の下側位置28に亘って形成されている。テーパ状面16Bは、当該上側位置26から連結部18の内周縁にいくに従って、折り畳み片胴部16の内径が漸次僅かに縮径される態様となっており、且つ、テーパ状面16Bは、連結部18の内周縁の下側位置28から連結部18の内周縁にいくに従って、漸次、本体12の上端部が僅かに拡径される態様となっている。
【0016】
このペットの足の洗浄具10では、本体12の軸方向で見て、本体12の上端外周面と折り畳み片胴部16の下端外周面との間に角度θ1を有し、折り畳み片胴部16の上端外周面とリング状胴部22の下端外周面との間に角度θ2を有する。この場合、本体12の軸方向で見て、折り畳み片胴部16の下端と本体12の上端とがなす角度をθ1とし、折り畳み片胴部16の上端とリング状胴部22の下端とがなす角度をθ2としている。連結部18の角度θ1および連結部20の角度θ2は、それぞれ、折り畳み片胴部16の折り畳み位置を保持することが可能となる範囲に設定されている。
そのため、折り畳み片胴部16を本体12の軸方向に折り畳んで本体12の軸方向の高さを低くした状態で、ペットの足を揉み洗いする作業の際に、また、本体12の高さを低くした状態でのこの洗浄具10の保管および運搬などする際に、振動などによって、この折り畳み位置が解除されないようになっている。
【0017】
このペットの足の洗浄具10では、伸縮胴部14を、たとえば1つの折り畳み片胴部16と2つの連結部18,20とで構成された単一の蛇腹形状で1段の蛇腹構造を形成するようにしたが、この段数は、伸縮胴部14の蛇腹形状の数、すなわち、折り畳み片胴部16、連結部18,20の数を変更することによって適宜変更することができる。
【0018】
このペットの足の洗浄具10では、本体12の内周面および内底面略全域に、たとえばピン状または棒状の多数の突起体で構成された突起群が配設されている。突起群は、突起体の突出方向の長さ、突起体の半径方向の長さ、突起体の先端部の形状の内の少なくとも1つが異なる種類の多数の突起体が混在されて配設されている。
すなわち、突起群30は、
図2の(A),
図3,
図7の(B)および
図8の(B)等に示すように、第1の突起群32および第2の突起群34を含む。第1の突起群32は、多数の突起体36を含む。多数の突起体36は、特に、
図4に示すように、それぞれ、その先端部が複数に分岐されてたとえば2つの扁平状の突出片38aを有する扁平先端部38が形成されたものとなっている。
【0019】
第2の突起群34は、多数の突起体40を含む。多数の突起体40は、特に、
図5に示すように、それぞれ、その先端部に尖鋭状の尖鋭部42を有するものとなっている。多数の突起体38は、それぞれ、略円錐状に形成されている。この第2の突起群34の多数の突起体40は、それぞれ、上記した第1の突起群30の多数の突起体36と比べて、その突出方向の長さが、短く形成されている。つまり、突起体40の突出高さは、突起体38のそれよりも低く形成されている。
【0020】
このペットの足の洗浄具10では、第1の突起群32の多数の突起体36と、第2の突起群34の多数の突起体40とが、混在された状態で本体12の内周面および内底面に配設されている。この場合、第1の突起群32の複数の突起体36および第2の突起群34の複数の突起体40は、本体12の内周面において、
図2の(A),
図7の(B)および
図8の(B)等に示すように、それぞれ、別個に、本体12の軸方向に間隔を隔てて縦列され、且つ、本体12の円周方向に間隔を隔てて互い違いとなるように配列されている。第1の突起群32の複数の突起体36および第2の突起群34の複数の突起体40は、それぞれ、本体12の内周面から当該本体の12の軸方向に対して水平に突出し、その先端部が当該本体12の中心軸に向くように配列されている。第1の突起群32の各突起体36は、それぞれ、その扁平先端部38の2つの突出片38aが本体12の軸方向に沿って互いに対向するように配列されている。
【0021】
また、第1の突起群32の複数の突起体36および第2の突起群34の複数の突起体40は、本体12の内底面において、
図3に示すように、碁盤目状に配列され、且つ、間隔を隔てて隣り合う突起体36の扁平先端部38は、その2つの突出片38aの並び方向が互いに異なる方向に向くように配列されている。この場合、互いに隣り合う一方の突起体36の2つの突出片38aは、縦方向(南北方向)に向いて配列され、他の突起体36の2つの突出片38aは、横方向(東西方向)に向いて配列されている。
【0022】
このペットの足の洗浄具10では、上記した本体12、伸縮胴部14および突起体36,40が弾性材料で形成され、本体12および伸縮胴部14の内面と外面を反転させて裏返すことが可能なリバーシブル構造を有するものとなっている。すなわち、本体12、折り畳み片胴部16およびリング状胴部22は、硬度を選択したシリコンゴム、好ましくは、硬度の低いシリコンゴム、より好ましくは、硬度をたとえば5〜30〔度〕(ショアA)から選択したシリコンゴム、さらに好ましくは、硬度をたとえば5〜15〔度〕(ショアA)から選択したシリコンゴムを用いることにより、たとえば
図2の(B)に示すように、当該洗浄具10全体の内面と外面を反転させて裏返すことができる。
【0023】
また、上記した突起体36,40については、上記した本体12、折り畳み片胴部16およびリング状胴部22を形成するシリコンゴムよりも硬度の高いシリコンゴムで形成するのが好ましく、より好ましくは、その硬度をたとえば35〜55〔度〕(ショアA)から選択したシリコンゴムにより、さらに好ましくは、その硬度をたとえば40〜50〔度〕(ショアA)から選択したシリコンゴムにより一体成形することがさらに好ましい。
この場合、突起体36,40でペットの足を揉み洗うときに、ペットの足を傷付けることなの無い範囲で、可能な限り高い洗浄能力を発揮することができ、ゴミ,毛等の汚れや汚物による細菌等も停留し難いものとなっている。そして、突起体36,40の過度な曲がりや変形等による損傷も防止する効果が得られる。
【0024】
このペットの足の洗浄具10では、
図1,
図2の(A),
図7および
図8等に示すように、伸縮胴部14のリング状胴部22に配設される留め具50をさらに含む。この留め具50は、たとえば円環状に形成され、その一端部がリング状胴部22の外周面の一部に固着されている。留め具50は、例えば、本体12および伸縮胴部14と同じ材料により、伸縮胴部14と一体的に形成されている。この留め具50には、たとえば
図6の(B)に示すように、環状に形成されたストラップ状の線材60が適宜取り付けられる。この場合、線材60の一端側を留め具50に取り付け、線材60の他端側を使用者の手首に取り付けることによって、このペットの足の洗浄具10を使用者の片方の手首に保持させることが可能となり、つまり、線材60をハンドストラップ的に用いることができるので、当該洗浄具10の使い勝手が簡便なものとなる。
なお、留め具50は、伸縮胴部14のリング状胴部22に配設することに限定されるものではなく、本体12の上部および伸縮胴部14の両方またはいずれか一方に配設することも可能である。
【0025】
このペットの足の洗浄具10は、上述した構造を具備するため、簡単な構造で手軽に持ち運ぶことができ、携帯に簡便なものとなっている。
このペットの足の洗浄具10を使用して、犬等のペットの足を洗浄する場合には、開放口部12Aを介して、予め、洗浄水が本体の中に入れられる。洗浄水としては、水やお湯が単独で用いられるか、あるいは、水やお湯に洗剤を混合したものが用いられる。そして、このペットの足の洗浄具10では、たとえば
図6の(A)および
図7の(B)に示すように、土,泥,ゴミ,汚水等の汚れが付いたペットの足を入れ、本体12の外面側から手でペットの足を洗浄水とともに揉み洗いすることによって、足に付いた汚れを洗浄することができる。この場合、本体12内面の複数の突起体36,40は、ペットの足に付いた汚れを細部に亘って掻き取って洗い出すことができる。
【0026】
上述した実施の形態にかかるペットの足の洗浄具10では、特に、
図2,
図3および
図7の(B)に示すように、先端部が複数に分岐された扁平状の扁平先端部38を有する多数の突起体36が、ペットの足の手首(手根関節)から膝の間の外周部、足の指および足の指の間、足裏および足裏の肉球の間に付着した汚れを掻き取ると共に、それらの部位へのマッサージ効果を奏するものとなっている。
【0027】
また、先端部が尖鋭状の尖鋭部42を有する多数の突起体40は、扁平先端部38を有する突起体36で掻き取れなかったペットの足の上記した部位の特に狭い隙間に付着した汚れを効果的に掻き出すことができる。
【0028】
さらに、このペットの足の洗浄具10では、扁平先端部38を有する突起体36よりも尖鋭部42を有する突起体40の突出方向の長さ(突起高さ)を短く形成されているので、尖鋭部42の尖った尖端が扁平先端部38を有する突起体36の後から当接されて刺激を感じ難くすることができる。そのため、足の揉み洗いのときのペットの嫌悪感を抑制することができるものとなっている。
【0029】
上述したペットの足の洗浄具10では、本体12の中でペットの足を洗浄水とともに揉み洗いするときに、多数の突起体36,40が、単一の種類で形成されている場合に比べて、多数の突起体36,40が異なる種類の突起体で形成されているため、足の汚れを取る洗浄作用が高められると同時に、異なる種類の多数の突起体36,40による足へのマッサージ効果も高められる。すなわち、このペットの足の洗浄具10では、異なる種類の多数の突起体36,40によって、足への洗浄作用およびマッサージ作用の両立が効率的に行われるものとなっている。
【0030】
なお、上述したペットの足の洗浄具10において、多数の突起体36,40は、その突出方向の長さ、突起体36,40の半径方向の長さ、突起体36,40の先端部の形状の内の全てが異なる種類の突起体で構成されるようにしてもよい。
【0031】
また、上述したペットの足の洗浄具10では、
図7および
図8に示すように、本体12が、伸縮胴部14により本体12の軸方向に伸縮自在となるため、たとえば犬種および犬の年齢によって異なる犬の足の長さに応じて、本体12の軸方向の長さ、つまり、ペットの足が入れられる本体12の高さを調整することができる。この場合、本体12の軸方向の一端側および他端側を手で把持し、当該一端側および他端側の両方またはいずれか一方を本体12の軸方向に押圧ないし引っ張ることにより、伸縮胴部14を当該軸方向に伸縮させることで、本体12はその軸方向に伸縮自在となる。
【0032】
さらに、上述したペットの足の洗浄具10では、本体12および伸縮胴部14が、リバーシブル構造を有しているため、たとえば
図2の(B)に示すように、本体12および伸縮胴部14の内面と外面を反転させて裏返すことにより、本体12内面に配設された多数の突起体36,40が外部に露出された状態で、特に、
図9に示すように、この洗浄具10をペットの毛並みを整える「ブラシ」としても使用することができる。この場合、反転裏返しされた本体12および伸縮胴部14の内側に手を差し入れて当該洗浄具10が「ブラシ」として使用される。
すなわち、この洗浄具10は、ただ単に、ペットの足を洗浄する「洗浄具」としての機能を有するだけでなく、「ブラシ」としての機能を併せ持つ付加価値の高い多機能なペットの足の洗浄具を提供するものとなっている。
【0033】
さらに、上述したペットの足の洗浄具10では、特に、たとえば
図6の(A)に示すように、ストラップ状の線材60を用いて、当該線材60の一端側を留め具50に取り付け、線材60の他端側を使用者の手首に取り付けて、揉み洗い作業を行うことができる。この場合、線材60をハンドストラップ的に用いることで、洗浄具10を片方の手首に保持させることができるため、片方の手で洗浄具10を把持し、且つ、もう片方の手でペットの足を持った状態でスムーズにペットの足を揉み洗うことができる。
【0034】
また、洗浄した後のペットの足に付いた洗浄水をタオル等で拭き取る場合にも、
図6の(B)に示すように、片方の手でペットの足を持ち、もう片方の手でペットの足を拭くことができる。したがって、このペットの足の洗浄具10では、拭き取り作業を迅速に行えると共に、他の足を揉み洗う作業もスムーズに行うことができ、作業効率を高めることができる。
【0035】
図10は、
図1および
図2に示す洗浄具の突起体の配列状態の他の例を示す図解図であって、当該洗浄具をその開放口部の上方から見た平面図解図である。また、
図11は、
図1および
図2に示す洗浄具の突起体の配列状態のさらに他の例を示す図解図であって、当該突起体をその先端部側から見た状態の要部図解図である。さらに、
図12は、
図1および
図2に示す洗浄具の突起体の配列状態のさらに他の例を示す要部斜視図解図である。
図10に示す突起体の配列状態は、たとえば
図1,
図2および
図3に示す洗浄具10と比べて、特に、本体12の内周面に配設される多数の突起体36において、扁平先端部38の2つの突出片38aが、本体12の円周方向に沿って互いに対向するように配列されている。
また、
図11に示す突起体の配列状態は、たとえば
図1,
図2および
図3に示す洗浄具10と比べて、特に、本体12の内周面および内底面に配設される多数の突起体36において、扁平先端部38の2つの突出片38aが、縦方向(南北方向)に向くものと、横方向(東西方向)に向くものと、斜め方向に向くものとが、混在して配列されている。
さらに、
図12に示す突起体の配列状態は、たとえば
図1,
図2および
図3に示す洗浄具10と比べて、特に、本体12の内底面および内底面に配設される多数の突起体36において、互いに隣り合う突起体36の2つの突出片38aが、互いに異なる斜め方向に向いて配列されている。
【0036】
特に、
図11および
図12に示す配列態様を有する洗浄具10では、多数の突起体36の突出片38aの突出方向が多様であるため、延いては、他の多数の突起体40を組合せたとの多様な配列パターンを構成することができ、当該洗浄具10の中に入れたペットの足を種々の方向から洗浄することが可能となり、より一層、洗浄効果を高めることができるものとなっている。
【0037】
図13は、本発明にかかるペットの足の洗浄具の実施の形態の他の例を示す分解正面図解図である。また、
図14は、
図13に示すペットの足の洗浄具の蓋部材の図解図であって、
図14の(A)は、その斜視図解図であり、
図14の(B)は、
図14の(A)の平面図解図である。さらに、
図15の(A)は、
図13に示すペットの足の洗浄具の本体の軸方向の長さ(高さ)を、
図13の状態よりも短く(低く)した状態の正面図解図であり、
図15の(B)は、
図13に示すペットの足の洗浄具の蓋部材を外して裏返し、内面と外面とを反転させて開放口部を上に向けた状態を示す正面図解図である。
図13に示す実施の形態にかかるペットの足の洗浄具10では、
図1〜
図9で説明した上述の実施の形態にかかるペットの足の洗浄具10と比べて、特に、突起体44,46の態様が相違する点、また、蓋部材70を有する点で異なるものとなっている。
【0038】
すなわち、
図13および
図15に示すペットの足の洗浄具10では、突起体44の先端部が、2つの突出片38aを備えた扁平先端部38を有するものではなく、また、突起体46は、その先端部に尖鋭部42を有するものではない。突起体44,46は、それぞれ、その先端部に丸みを帯びた砲弾状部48を有する円柱状に形成されている。この場合、多数の突起体44は、それぞれ、他の多数の突起体46と比べて、その突出方向の長さが、長く形成されている。つまり、突起体44の突出高さは、突起体46のそれよりも高く形成されている。反対に、突起体46の突出高さが突起体44よりも高く形成されてもよく、また、突起体44および46の高さは、同じ高さに形成されてもよい。
【0039】
さらに、
図13および
図15に示すペットの足の洗浄具10には、伸縮胴部14のリング状胴部22に蓋部材70が配設されている。蓋部材70は、
図14に示すように、たとえば平面視円形プレート状の蓋部本体72を含む。蓋部本体72は、たとえば硬度が選択されたシリコンゴム等の軟質の弾性素材で形成されている。蓋部本体72には、当該蓋部本体72の厚み方向の中央で且つ蓋部本体72の外周面に、たとえば断面半円状の溝部74が形成されている。この溝部74には、Oリング等の密封手段76が嵌め込まれる。また、蓋部本体72は、その中央に、円形の貫通孔72Aを有する。さらに、蓋部本体72は、貫通孔72Aから放射状に外側に延びるたとえば6つのスリット78を有する。この6つのスリット78は、蓋部本体72の円周方向に60度毎に設けられている。
【0040】
この蓋部材70は、
図13,
図15に示すように、例えば、洗浄具10のリング状胴部22の上部内周面に設けられた係合凹部79に固着される。蓋部材70の密封手段76が係合凹部79に圧入嵌合されることにより、当該蓋部材70は、リング状胴部22に固着される。蓋部材70の6つのスリット78は、ペットの足を貫通孔72Aに出し入れした場合に、貫通孔72Aの内径がペットの足の太さ、形状等に応じてスムーズに拡がって、ペットに不快感を与えたり、驚かせたりしないものとなっている。
この蓋部材70は、水切り効果および筒状本体から水が飛散するのを防止する飛散防止効果を有するものとなっている。この洗浄具10では、蓋部材70がリング状胴部22に固着されたが、当該し蓋部材70は、着脱自在にリング状胴部22に取り付けられるようにしてもよい。
【0041】
なお、上述した実施の形態では、好適な実施の形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施の形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、弾性材料として、硬度を選定したシリコンゴムを用いたが、他のゴム(合成ゴム,天然ゴム)や合成樹脂等の各種弾性材料を用いることも可能である。
【0042】
また、上述した実施の形態では、本体12をその軸方向に伸縮自在とする構造として、筒状の伸縮胴部14に蛇腹構造を形成するようにしたが、本体12の伸縮構造としては、蛇腹構造のものに限定されるものではなく、例えば、伸縮胴部14を硬度の低い柔軟なシリコンゴム等の軟質ゴムで形成し、当該伸縮胴部14の軸方向の中間部に、谷部および山部等の凹凸部で折り返し可能となる1つ以上の折り返し部を設けることによって、当該折り返し部の部位で伸縮胴部14の軸方向の中間部を外側に折り返すことによって、伸縮胴部14をその軸方向に伸縮自在とすることも可能である。
【0043】
さらに、
図1〜
図3で示した実施の形態において、多数の突起体36の先端部には、複数に分岐された2つの扁平状の突出片38aを有する扁平先端部38が形成されたが、当該突出片38aの数は、2つに限定されるものではなく、3つ以上であってもよい。