(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150345
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
F16H 25/20 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
F16H25/20 Z
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-222558(P2014-222558)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-89887(P2016-89887A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2016年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000150800
【氏名又は名称】株式会社ツバキE&M
(74)【代理人】
【識別番号】230101177
【弁護士】
【氏名又は名称】木下 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100180079
【弁理士】
【氏名又は名称】亀卦川 巧
(72)【発明者】
【氏名】奥井 紀匡
(72)【発明者】
【氏名】坂田 英維
【審査官】
瀬川 裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−091093(JP,A)
【文献】
特開2014−031265(JP,A)
【文献】
特開2014−040857(JP,A)
【文献】
実開昭50−119197(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱、該支柱内部に配設され、該支柱の長手方向の一端面と他端面に回転可能に軸支されているねじ軸、モータと減速機を具えるギアモータ、及び前記ねじ軸の回転によりその軸方向に進退動する進退動部材を具えたアクチュエータにおいて、
前記減速機は、最終中空出力軸を有し、
前記ねじ軸は、前記一端面を貫通する第一突出部を具え、
前記一端面は、前記減速機を前記一端面に対して複数の取付角で固定するための一端面側取付部を具え、
前記減速機は、前記最終中空出力軸が前記第一突出部と嵌合した状態で、前記一端面側取付部のいずれかに対して固定されていることを特徴とする、
アクチュエータ。
【請求項2】
前記ねじ軸が前記他端面を貫通する第二突出部を具え、前記他端面が、前記最終中空出力軸が前記第二突出部と嵌合した状態で前記減速機を固定するための他端面側取付部を具える、請求項1のアクチュエータ。
【請求項3】
前記他端面側取付部が前記減速機の前記他端面に対する複数の取付角に応じて設けられている、請求項2のアクチュエータ。
【請求項4】
前記他端面の外面に、前記第二突出部の軸方向寸法と前記減速機の前記最終中空出力軸の軸方向寸法の和以上の前記ねじ軸の軸方向の寸法を有する内部空間を具えた脚部が設けられている、請求項2又は3のアクチュエータ。
【請求項5】
前記取付部が前記ギアモータの取付角に応じた前記減速機を貫通するボルト用の取付孔である、請求項1から4のアクチュエータ。
【請求項6】
前記支柱が横断面H形状であり、
前記支柱の一方の凹部内に前記ねじ軸が、他方の凹部内にガイド機構が配設され、
前記進退動部材に連動し、前記一方の凹部の正面の範囲内に配設される連結部材と、該連結部材と連結され、前記支柱の一方のフランジ部の外方に配設されるベースと、前記他方の凹部の正面の範囲内に配設される、前記ベースとガイド機構とを連結するガイド用連結部材を具える、
請求項1から5のいずれかのアクチュエータ。
【請求項7】
前記両凹部のそれぞれを覆うカバーが前記一方のフランジ部と反対側のフランジ部に取付けられている、請求項6のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ機構を利用したアクチュエータに関し、特に、一般産業用の製造工程、具体的には、半導体、液晶ディスプレイパネル、食品、又は薬品等の製造、自動車組立て、製鉄、及び物流機器に使用されるアクチュエータ(以下、単に「アクチュエータ」という。)に関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータには、支柱と、ねじ機構によって進退動する進退動部材を有し、その進退動を、アクチュエータと支柱の間に設けられたガイド機構によって案内するものが知られている。その例として、特許文献1、2に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−206366号公報
【特許文献2】特開2009−91093号公報
【0004】
特許文献1には、ベースに着脱自在に設けられた支柱と、支柱の自由端に着脱自在に設けられた駆動ベースと、駆動ベースに設けられている駆動部と、駆動部に連動するワイヤによって、支柱に沿って昇降するリフタを具えたアクチュエータ(昇降装置)が開示されている。
特許文献2には、ベースプレート、ペースプレートに取付けられる支柱ベース、支柱ベースに取付けられる支柱、支柱の最上部に取付けられる天板を具え、支柱内に配設されるボールねじと、ボールねじにトルクを伝達する、支柱ベースに内装されている直交軸歯車箱と、直交軸歯車に連結されるモータとを具えたアクチュエータ(昇降装置)が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アクチュエータには、組立ラインの変更等の事情に応じて仕様変更ができるという高いレイアウト性が求められている。
この点、特許文献1の昇降装置では、ベースと支柱、支柱と駆動ベースが、それぞれ、取付け手段で連結されているため、支柱や駆動ベース等をワンタッチで取り換えることができる、とされている。
また、特許文献2の昇降装置では、ベースプレートと支柱ベース、支柱ベースと支柱を、それぞれの向きを互いに90度ずつ回転させて連結させることができるため、装置設置後のレイアウトの自由度を向上させることができる、とされている。
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2の昇降装置では、昇降装置から張出すモータの取付方向のみを変更したい場合に、ベースごと取付け直さなければならないため、その作業に工数が掛かり不便である。また、駆動源であるモータは、支柱の上部又は下部のいずれか一方の位置に限定されているため、この点で、仕様変更の自由が効かないという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、前述した従来技術の問題点に鑑み、モータの取付角を簡便に変更することができ、モータのレイアウトの自由度を一層高めたアクチュエータを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、支柱、該支柱内部に配設され、該支柱の長手方向の一端面と他端面に回転可能に軸支されているねじ軸、モータと減速機を具えるギアモータ、及び前記ねじ軸の回転によりその軸方向に進退動する進退動部材を具えたアクチュエータにおいて、
前記減速機は、最終中空出力軸を有し、
前記ねじ軸は、前記一端面を貫通する第一突出部を具え、
前記一端面は、前記減速機を前記一端面に対して複数の取付角で固定するための一端面側取付部を具え、
前記減速機は、前記最終中空出力軸が前記第一突出部と嵌合した状態で、前記一端面側取付部のいずれかに対して固定されていることを特徴とするアクチュエータによって前記課題を解決した。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ギアモータの最終出力軸が中空であり、ねじ軸が支柱の一端面を貫通する第一突出部を具え、一端面が、減速機を一端面に対して複数の取付角で固定するための一端面側取付部を具えているので、ギアモータを一端面から取外し、角度を変えて再び一端面に取付けるだけで、ギアモータの取付角を簡便に変更することができる。
【0010】
また、ねじ軸が他端面を貫通する第二突出部を具え、他端面が、最終中空出力軸が第二突出部と嵌合した状態で減速機を固定するための他端面側取付部を具える構成とすれば、ギアモータを、支柱の一端面又は他端面のいずれの側であっても簡便に取付けることができる。すなわち、アクチュエータの設置状況に応じて、ギアモータの取付位置を支柱の端部のいずれかに任意に簡便に変更できるため、レイアウトの自由度を一層高めることができる。さらに、ギアモータを別のギアモータに変更することも容易である。
【0011】
また、他端面側取付部が減速機の他端面に対する複数の取付角に応じて設けられていれば、ギアモータを他端面に対しても複数の取付角で固定できるので好適である。
【0012】
また、支柱の他端面の外面に、第二突出部の軸方向寸法と減速機の最終中空出力軸の軸方向寸法の和以上の、ねじ軸の軸方向の寸法を有する内部空間を具えた脚部が設けられている構成とすれば、脚部によってアクチュエータを設置し易く、且つ、ギアモータの減速機部分を第二突出部と脚部の設置面との間に挿入し易いので、ギアモータの最終中空出力軸の第二突出部への着脱を簡便に行うことができる。
【0013】
また、取付部がギアモータの取付角に応じた減速機を貫通するボルト用の取付孔であれば、ギアモータを取付部に対して着脱し易い。
【0014】
また、支柱が横断面H形状で、支柱の一方の凹部内にねじ軸が、他方の凹部内にガイド機構が配設され、荷受部を取付けるためのベースを支柱の一方のフランジ部の外方に位置させ、ベースとねじ軸との連結部材を支柱の一方の凹部の正面の範囲内に、ベースとガイド機構とのガイド用連結部材を支柱の他方の凹部の正面の範囲内に配設すれば、ベース、連結部材、ガイド用連結部材の占める範囲を最小限に抑えることができるので、アクチュエータをコンパクトにすることができ、且つ、ガイド機構及びねじ軸のメインテナンスや交換作業をし易いので好適である。
【0015】
また、支柱の両凹部のそれぞれを覆うカバーが、荷受部を取付けるためのベースが位置していない側のフランジ部に取付けられている構成とすれば、支柱内部に異物が侵入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)は、本発明の第1実施形態の正面図、(b)は、その側面図、(c)は、そのカバーを外した状態の側面図。
【
図3】(a)は、本発明の第2実施形態の正面図、(b)は、その側面図、(c)は、そのカバーを外した状態の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例を
図1〜6を参照して説明する。但し、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。特に、以下では、本発明を昇降装置に適用した場合を説明しているが、水平方向に進退動するアクチュエータに適用することも可能である。
【0018】
まず、
図1(a)〜(c)に示すように、本発明の第1実施形態のアクチュエータ10は、垂直方向に延びる支柱12、その一端面13aと他端面13bに回転可能に軸支され、支柱12に沿うように配設されているねじ軸14、及びねじ軸14の回転により、ねじ軸14の軸方向に進退動する進退動部材16を具えている。
【0019】
支柱12の他端面13bの外面(本実施形態の場合、支柱12の下端面の外面。)には、脚部30が取付けられており、脚部30が任意の設置場所に固定されることによって、アクチュエータ10は設置される。
【0020】
ねじ軸14は、一端面13aと他端面13bを貫通し、第一突出部14aと第二突出部14bを形成している。なお、図示しているように、脚部30が取付けられている場合は、ねじ軸14が脚部30の支柱側面34を貫通して、その内部に突出するように設計する必要がある。
【0021】
ギアモータGMは、最終中空出力軸32を有する減速機GとモータMから構成される。ギアモータGMの基本的構成は、既によく知られているため、具体的な説明は省略する。アクチュエータ10では、ギアモータGMの最終中空出力軸32が、第一突出部14aと嵌合している。このため、モータMが駆動すると、減速機Gを通じて第一突出部14a側からねじ軸14にトルクが伝達され、モータMの回転方向により、ねじ軸14は正転又は逆転する。なお、ギアモータGMが取付けられていない第二突出部14bは、剥き出しのままだと、ねじ軸14を軸支しているベアリング(図示省略)への異物混入や、接触による怪我等のリスクが高まるため、第二突出部14bを覆うキャップ24を取付けるのがよい。
【0022】
進退動部材16は、ねじ軸14の回転によって、その軸方向に進退動するナット16a、荷受部(図示省略)を取付けるためのベース16c、ナット16aとベース16cを連結するための連結部材16bを具える。ねじ軸14と進退動部材16としては、ボールねじ機構や、台形ねじ機構等を使用することができる。なお、後述するように、進退動部材16の円滑な進退動を実現するため、その進退動を案内するガイドを設けるのがよい。
【0023】
ここで、
図2に示すように、減速機Gの固定方法としては、例えば、減速機Gを貫通するボルトV(
図4も参照。)を一端面13aに設けられたボルト孔にねじ込む方法がある。一端面13aは、ギアモータGMの一端面13aに対する複数の取付角に応じた一端面側取付部であるボルト用の取付孔(例えば、符号11a〜11d)を有する。これにより、ギアモータGMを他端面13bに対して、最終中空出力軸32の軸を中心とした3パターンの角度(Mb1〜Mb3)で取付けることができるため、レイアウトの自由度を一層高めることができる。なお、取付孔の個数を増やし、ギアモータGMの取付角のバリエーションを増やしてもよい。
【0024】
第一突出部14aから取外したギアモータGMを、第二突出部14b(
図1参照)に取付けることによって、
図3に示すように、本発明の第2実施形態のアクチュエータ10aとすることができる。この場合、ギアモータGMは、一端面13aへの固定方法と同様に、例えば、減速機Gを貫通するボルトVを脚部30の支柱側面34に設けられたボルト孔にねじ込むことによって固定すればよい。なお、図示しての説明は省略するが、支柱側面34(脚部30を設けない場合には、他端面13b)には、一端面13aの場合と同様に、且つ、ギアモータGMと脚部30が干渉しない位置に、ギアモータGMの支柱側面34に対する複数の取付角に応じた他端面側取付部であるボルト用の取付孔(
図2の符号11a〜11dを参照。)を設けることもできる。
【0025】
このように、本発明によれば、ギアモータGMの取付位置を支柱12の端部のいずれかに任意に変更することができ、支柱12、ねじ軸14、進退動部材16等の部材をそのまま利用して、ギアモータの位置だけを変更した異なる態様のアクチュエータを簡便に実現することができる。
【0026】
次に、
図4を参照して、ギアモータGMの着脱方法について説明する。アクチュエータ10aでは、ギアモータGMは、最終中空出力軸32と第一突出部14aとが連結されている状態で、脚部30の支柱側面34の内面側に減速機Gが固定される。
【0027】
ここで、脚部30の内部空間のねじ軸14の軸方向寸法Zが、第二突出部14bの軸方向寸法Xと減速機Gの最終中空出力軸32の軸方向寸法Yの和以上であれば、減速機G部分を第二突出部14bと脚部30の設置面36との間に挿入し易いので、最終中空出力軸32の第二突出部14bへの着脱を簡便に行うことができる。
【0028】
なお、本発明は、同一のギアモータGMの取付位置を変更するだけでなく、最終中空出力軸を有する、別のギアモータを適用することで、負荷荷重等の使用環境に合った容量のギアモータを使用したアクチュエータとすることもできる。
【0029】
次に、
図5を用いて、本発明のアクチュエータの支柱12、進退動部材16、及びねじ軸14の好適な構成及び位置関係について説明する。まず、図示しているように、支柱12は、フランジ部12a,12bとウェブ12cを具える、横断面がH形状のものを使用するのがよい。そして、支柱12の一方の凹部内にねじ軸14を、他方の凹部内にガイド機構18を配設する構成が好ましい。本構成により、支柱12の一方の凹部側からは、ねじ軸14に容易にアクセスでき、他方の凹部側からは、ガイド機構18に容易にアクセスできるからである。すなわち、ねじ軸14及び進退動部材16やガイド機構18のメインテナンスや交換作業を簡便に行うことができる。なお、ガイド機構18は、図示しているようなガイドレールの他、ガイドローラ等を使用することができる。
【0030】
また、ベース16cを一方のフランジ部(
図5の場合、フランジ12b)の外方に位置させ、ベース16cとねじ軸14との連結部材16bを支柱12の一方の凹部の正面の範囲内に、ベース16cとガイド機構18とのガイド用連結部材16dを支柱12の他方の凹部の正面の範囲内に配設するのがよい。本構成により、ベース16c、連結部材16b、又はガイド用連結部材16dのいずれもが、他方のフランジ部(
図5の場合、フランジ12a)の外方に位置しておらず、これらが占める範囲を最小限に抑えることができるので、アクチュエータをコンパクトにすることができ、前述した、ねじ軸14及び進退動部材16やガイド機構18のメインテナンスや交換作業をし易いという利点がある。
【0031】
上記の構成によれば、ギアモータGMだけでなく、ねじ軸14及び進退動部材16やガイド機構18の交換も簡便に行うことができるので、保守作業が簡単で、且つ、負荷荷重や進退動速度等、あらゆる使用環境に対応可能なアクチュエータとすることができる。
【0032】
また、ねじ軸14やガイド機構に粉塵等の異物が侵入することを防ぐため、図示しているように、支柱12の両方の凹部をそれぞれ覆う、カバー22a,22bを他方のフランジ部12aに取付けるのがよい。
【0033】
図6に表されているように、ギアモータGMを一端面13aに取付けている場合は、ねじ軸14の軸方向寸法が比較的小さい脚部として、重心の低い、安定したアクチュエータ10bとしてもよい。
【0034】
以上説明したように、本発明によれば、特に、モータの位置に関するレイアウトの自由度が高いアクチュエータを提供することができる。
【符号の説明】
【0035】
10〜10b アクチュエータ
11a〜11d 取付孔(一端面側・他端面側取付部)
12 支柱
13a 一端面
13b 他端面
14 ねじ軸
14a 第一突出部
14b 第二突出部
16 進退動部材
16b 連結部材
16c ベース
16d ガイド用連結部材
18 ガイド部材
30 脚部
32 最終中空出力軸
G 減速機
M モータ
V ボルト
GM ギアモータ