(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N1/00〜1/44、35/00〜37/00、G10K15/00〜15/06、B01J4/00〜4/04、B65G54/00〜54/02、H02N2/00〜2/18
上記たわみ振動板の下側面と対応する円筒内面を有する半円筒形状に形成された上記反射板の円筒内面と上記たわみ振動板の下側面との間の空間に発生される超音波定在波の発生状態を制御することにより、上記たわみ振動板の下側面と上記反射板の円筒内面との間の空間を非接触搬送路として、上記分注対象の液滴を非接触搬送して分注することを特徴とする請求項3に記載の非接触液滴分注方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、先に提案している超音波定在波により液滴などの微小物体を捕捉し、捕捉した微小物体を直線状の非接触搬送路やリング状の非接触搬送路を介して非接触で搬送する技術を利用して、クロスコンタミネーションの虞のない非接触液滴分注装置及び非接液滴分注方法を提供することにある。
【0007】
本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明
は、長尺な平板状に形成され、水平に配置されたたわみ振動板と、上記たわみ振動板と対向して
設置された反射板と、上記たわみ振動板を加振する超音波振動子と、上記超音波振動子を電気信号により励振する駆動部と、上記駆動部により上記超音波振動子を励振して上記たわみ振動板を超音波振動させることにより上記たわみ振動板と上記反射板で挟まれた空間に発生される超音波定在波の発生状態を制御する制御手段とを備え、上記制御手段で上記超音波定在波の発生状態を制御することにより、上記たわみ振動板と上記反射板で挟まれた空間に発生される超音波定在波の複数の節部に分注対象の液滴を捕捉し、上記超音波定在波の複数の節部に捕捉した上記分注対象の液滴を上記たわみ振動板の長手方向に非接触搬送
する非接触搬送路を用いる非接触液滴分注装置であって、上記非接触搬送路の搬送路入口部分において、上記超音波定在波の複数の節部の上方位置に配置され、たわみ振動板の上側に配された反射板に設けられた複数の開口と、 上記非接触搬送路の搬送路出口部分において、上記分注対象の複数の液滴を落下させる複数の分注位置に配置され、たわみ振動板の下側に配された反射板に設けられた複数の開口とを有し、上記制御手段で上記超音波定在波の発生状態を制御することにより、上記非接触搬送路の搬送路入口部分の上記複数の開口から落下される分注対象の複数の液滴を上記たわみ振動板と上記反射板で挟まれた空間に発生される超音波定在波の複数の
節部に捕捉し、
上記超音波定在波の複数の節部に捕捉した上記分注対象の複数の液滴を上記たわみ振動板の長手方向に非接触搬送し、上記非接触搬送路の搬送路出口部分の複数の開口に対応した分注位置
において、上記分注対象の複数の液滴を静止させて配列し、上記
複数の開口を介して上記分注対象の液滴を落下させることにより液滴を分注することを特徴とする。
【0009】
また、本発明
は、長尺な平板状に形成され、水平に配置されたたわみ振動板と、上記記たわみ振動板と対向して設置
された反射板で挟まれた空間に、上記たわみ振動板を超音波振動させることにより超音波定在波を発生させ、上記超音波定在波の発生状態を制御することにより、上記たわみ振動板と上記反射板で挟まれた空間に発生される超音波定在波の複数の節部に分注対象の液滴を捕捉し、上記超音波定在波の複数の節部に捕捉した上記分注対象の液滴を上記たわみ振動板の長手方向に
非接触搬送する非接触搬送路を用いる非接触液滴分注方法であって、上記非接触搬送路の搬送路入口部分において、上記超音波定在波の複数の節部の上方に設けられた複数の開口から分注対象の複数の液滴を落下させることにより、上記分注対象の複数の液滴を上記超音波定在波の複数の節部に捕捉し、上記超音波定在波の複数の節部に捕捉した上記分注対象の複数の液滴を上記たわみ振動板の長手方向に非接触搬送し、上記非接触搬送路の搬送路出口部分において、上記分注対象の複数の液滴をそれぞれ分注位置に静止させて配列し、
たわみ振動板の下側に配された反射板の上記分注位置に対応して設けられたそれぞれ分注対象の液滴よりも大きな径の複数の開口を介して
、上記分注対象の液滴を落下させることにより液滴を分注することを特徴とする。
【0010】
本発明では、例えば、
上記たわみ振動板の下側面と対応する円筒内面を有する半円筒形状に
形成された上記反射板の円筒内面と上記たわみ振動板の下側面との間の空間に発生される超音波定在波の発生状態を制御することにより、
上記たわみ振動板の下側面と上記反射板の円筒内面との間の空間を非接触搬送路として、上記分注対象の液滴を非接触搬送して分注するものとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、長尺な平板状に形成され、水平に配置されたたわみ振動板と、上記記たわみ振動板と対向して設置
された反射板で挟まれた空間に、上記たわみ振動板を超音波振動させることにより超音波定在波を発生させ、上記超音波定在波の発生状態を制御することにより、上記たわみ振動板と上記反射板で挟まれた空間に発生される超音波定在波の複数の節部に分注対象の液滴を捕捉し、上記超音波定在波の複数の節部に捕捉した上記分注対象の液滴を上記たわみ振動板の長手方向に非接触搬送
する非接触搬送路を用いて、上記非接触搬送路の搬送路入口部分において、上記超音波定在波の複数の節部の上方に設けられた複数の開口から分注対象の複数の液滴を落下させることにより、上記分注対象の複数の液滴を上記超音波定在波の複数の節部に捕捉し、上記超音波定在波の複数の節部に捕捉した上記分注対象の複数の液滴を上記たわみ振動板の長手方向に非接触搬送し、上記非接触搬送路の搬送路出口部分において、上記分注対象の複数の液滴をそれぞれ分注位置に静止させて配列し、
たわみ振動板の下側に配された反射板の上記分注位置に対応して設けられた複数の開口を介して
、上記分注対象の液滴を落下させることにより非接触で液滴を分注することができ、クロスコンタミネーションの虞のない非接触液滴分注装置及び非接触液滴分注方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0014】
本発明は、例えば
図1に示すような構成の非接触液滴分注装置100に適用される。
【0015】
この非接触液滴分注装置100は、第1乃至第3の非接触搬送路10,20,30と、マイクロプレート80が載置されたXYステージ40と、これらの動作を制御する制御部50からなる。
【0016】
この非接触液滴分注装置100において、上記第1の非接触搬送路10は、長尺な平板状に形成されたたわみ振動板11と、上記たわみ振動板11と対向して設置された反射板12と、上記たわみ振動板11を長手方向の複数箇所において加振する複数個の超音波振動子13と、上記複数個の超音波振動子13を異なる位相の電気信号により励振する駆動部14からなる。
【0017】
上記たわみ振動板11と反射板12は、これらの間における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に設置されている。
【0018】
この第1の非接触搬送路10は、上記たわみ振動板11と反射板12で挟まれた直線状の空間を分注対象の液滴Pの非接触搬送路としたもので、上記駆動部14により上記複数個の超音波振動子13を励振して上記たわみ振動板11を超音波振動させることにより、上記たわみ振動板11と上記反射板12により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に分注対象の液滴Pを捕捉し、上記駆動部14により上記複数個の超音波振動子13を励振させる電気信号の位相を制御することにより、上記超音波定在波の節部に捕捉した分注対象の液滴Pを上記たわみ振動板11の長手方向に搬送する。
【0019】
この非接触液滴分注装置100において、上記第1の非接触搬送路10は、その具体的な構成例を
図2に示すように、例えばジュラルミン製のたわみ振動板11を備え、たわみ振動板11の長手方向の両端部分にそれぞれ超音波ホーン111A,111Bを介して連結板112に設けられた1対の超音波振動子13A,13Bが接続されている。上記超音波ホーン111A,111Bは、上記たわみ振動板11に対してその長手方向両端部において長手方向と直交する状態で取付けられている。
【0020】
上記1対の超音波振動子13A,13Bは、例えば、それぞれ図示しないボルトによって締め付け固定されるリング状のピエゾ素子を備えた所謂ボルト締めランジュバン型振動子が使用されており、駆動用の電気信号が駆動部14からピエゾ素子に印加されることにより励振されるようになっている。
【0021】
上記駆動部14は、駆動用の電気信号として、周波数が20〜50kHz程度の2相の高周波信号(第1の駆動信号cos(ωt)、第2の駆動信号cos(ωt+θ))を発生する信号発生器141と、上記第1の駆動信号cos(ωt)と第2の駆動信号cos(ωt+θ)を増幅して上記1対の超音波振動子13A,13Bに供給する2つの電力増幅器142A,142Bと、上記第2の駆動信号cos(ωt+θ)の位相θを可変制御する位相制御部143からなる。
【0022】
この第1の非接触搬送路10では、駆動用の電気信号として、周波数が20〜50kHz程度の高周波信号(第1の駆動信号cos(ωt)、第2の駆動信号cos(ωt+θ))が駆動部40から上記1対の超音波振動子13A,13Bに供給されることにより励振される上記1対の超音波振動子13A,13Bの超音波振動がそれぞれ超音波ホーン111A,111Bにより増幅されて上記たわみ振動板11に印加される。これにより、いくつかの共振周波数で上記たわみ振動板11にたわみ振動を励振することができる。
【0023】
ここで、上記1対の超音波振動子13A,13Bは、上記たわみ振動板11の自由振動における腹の位置を上記たわみ振動板11を長手方向の2箇所において加振するようにすると、効率よく上記たわみ振動板11にたわみ振動を励振することができる。
【0024】
そして、この第1の非接触搬送路10では、上記たわみ振動板11と反射板12が対向して、これらの間における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に反射板12が設置されているので、上記駆動部14により上記1対の超音波振動子を励振して上記たわみ振動板11を超音波振動させることにより、上記たわみ振動板11と上記反射板12により挟まれた空間に超音波定在波が形成され、
図3に示すように、この超音波定在波の節部に分注対象の液滴Pを捕捉することができる。また、上記駆動部14により上記1対の超音波振動子を励振させる電気信号、すなわち、周波数が20〜50kHz程度の高周波信号(第1の駆動信号cos(ωt)、第2の駆動信号cos(ωt+θ))の位相差を制御することにより、上記たわみ振動板11を伝搬するたわみ波の進む方向やその強さを制御することができ、この第1の非接触搬送路10では、上記第2の駆動信号cos(ωt+θ)の位相θを位相制御部43により可変制御することにより、上記たわみ振動板11と上記反射板12により挟まれた空間に形成される超音波定在波の節の位置を上記反射板12の長手方向の一次元上で任意の位置及び方向に変化させ、上記超音波定在波の節部に捕捉されている分注対象の液滴Pの空間位置を制御することができ、上記位相制御部143により上記第2の駆動信号cos(ωt+θ)の位相θを適切に変化させることにより、上記たわみ振動板10を進行波超音波振動させ、上記超音波定在波の節部に捕捉した分注対象の液滴Pを上記たわみ振動板11の長手方向に非接触搬送することができる。上記たわみ振動板11と上記反射板12で挟まれた直線状の空間が上記分注対象の液滴Pの搬送路となっている。
【0025】
この第1の非接触搬送路10では、1対の超音波振動子13A,13Bを電気信号により励振して、長尺な平板状に形成されたたわみ振動板11を長手方向の2箇所において加振することにより超音波振動させ、上記たわみ振動板11と反射板12により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に分注対象の液滴Pを捕捉し、上記1対の超音波振動子13A,13Bを励振させる電気信号の位相を制御することにより、上記たわみ振動板11を進行波超音波振動させ、上記超音波定在波の節部に捕捉した分注対象の液滴Pを上記たわみ振動板11の長手方向に搬送する。
【0026】
ここで、上記反射板12は、音波を十分に反射する材質であればよく、厚さ1mm程度の一般的なアルミニウム板やアクリル板などを使用することができる。
【0027】
上記第1の非接触搬送路10には、上記たわみ振動板11と反射板12で挟まれた直線状の非接触搬送路の搬送路入口部分において、分注対象の液滴Pを捕捉する超音波定在波の節部の上方に位置し、分注対象の液滴Pを超音波定在波の節部に落下させて捕捉させるための複数の開口15が上記反射板12に設けられている。上記開口15は、搬送対象が捕捉される位置、すなわち音響定在波節線上に近い位置とすればよい。
【0028】
上記開口15を通って第1の非接触搬送路10に投入された分注対象の液滴Pは、自動的に音響定在波の節の位置に捕捉され、
図3に示すように、直線状の搬送路に沿って非接触搬送される。
【0029】
そして、上記第1の非接触搬送路10は、捕捉した分注対象の液滴Pを非接触搬送して上記第2の非接触搬送路20に渡す。
【0030】
上記第1の非接触搬送路10における分注対象の液滴Pの捕捉及び非接触搬送の動作は、上記制御部50により上記駆動部14の動作を制御することにより、制御される。
【0031】
また、この非接触液滴分注装置100において、上記第2の非接触搬送路20は、リング状のたわみ振動板21と、上記たわみ振動板21と対向してその空間における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に設置された反射板22と、上記たわみ振動板21を円周方向の複数箇所において加振する複数個の超音波振動子23と、上記複数個の超音波振動子23を異なる位相の電気信号により励振する駆動部24とを備える。
【0032】
この第2の非接触搬送路20は、上記たわみ振動板21と反射板22で挟まれたリング状の空間を分注対象の液滴Pの非接触搬送路としたもので、上記駆動部24により上記複数個の超音波振動子を励振して上記たわみ振動板21を超音波振動させることにより、上記たわみ振動板21と上記反射板22により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に分注対象の液滴Pを捕捉し、上記駆動部24により上記複数個の超音波振動子23を励振させる電気信号の位相を制御することにより、上記超音波定在波の節部に捕捉した分注対象の液滴Pを上記たわみ振動板21の円周方向に搬送する。
【0033】
この非接触液滴分注装置100において、上記第2の非接触搬送路20は、その具体的な構成例を
図4に示すように、例えばそれぞれ所謂ボルト締めランジュバン型振動子を使用した二対の超音波振動子23A・23B、123A・123Bを備える。上記駆動部24は、周波数が20〜50kHz程度の4相の高周波信号(第1の駆動信号cos(ωt)、第2の駆動信号cos(ωt+π)、第3の駆動信号sin(ωt)、第4の駆動信号sin(ωt+π))を駆動用の電気信号とし、上記リング形状のたわみ振動板21の円周方向の対向する位置において、超音波振動子23A・23Bを逆位相の高周波信号(第1の駆動信号cos(ωt)、第2の駆動信号cos(ωt+π))にて励振するとともに、超音波振動子123A・123Bを逆位相の高周波信号(第3の駆動信号sin(ωt)、第4の駆動信号sin(ωt+π))にて励振することにより、
図5に示すように、上記たわみ振動板21の進行波超音波振動を周回させ、上記リング状の搬送路に沿って上記分注対象の液滴Pを搬送する。
【0034】
この第2の非接触搬送路20は、上記第1の非接触搬送路10を介して非接触搬送されてきた分注対象の液滴Pを受け取って、円周方向に非接触搬送して、第3の非接触搬送路30に渡す。
【0035】
すなわち、上記第1の非接触搬送路10の直線状の搬送路を通って運ばれてきた分注対象の液滴Pは、上記第2非接触搬送路20に超音波定在波によって捕捉されることにより受け渡され、上記第2非接触搬送路20のリング状の搬送路に沿って非接触搬送され、上記第2非接触搬送路20から第3の非接触搬送路30に受け渡される。
上記第2の非接触搬送路20における分注対象の液滴Pの捕捉及び非接触搬送の動作は、上記制御部50により上記駆動部24の動作を制御することにより、制御される。
【0036】
上記第3の非接触搬送路30は、長尺な平板状に形成され直線状のたわみ振動板31と、上記たわみ振動板31と対向してその空間における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に設置された反射板32と、上記たわみ振動板31を長手方向の複数箇所において加振する複数個の超音波振動子33と、上記複数個の超音波振動子33を異なる位相の電気信号により励振する駆動部34とを備える。
【0037】
この第3の非接触搬送路30は、上記たわみ振動板31と反射板32で挟まれた直線状の空間を分注対象の液滴Pの非接触搬送路としたもので、上記駆動部34により上記複数個の超音波振動子33を励振して上記たわみ振動板31を超音波振動させることにより、上記たわみ振動板31と上記反射板32により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に分注対象の液滴Pを捕捉し、上記駆動部34により上記複数個の超音波振動子33を励振させる電気信号の位相を制御することにより、上記超音波定在波の節部に捕捉した分注対象の液滴Pを上記たわみ振動板31の長手方向に搬送する。
【0038】
上記第3の非接触搬送路30には、上記たわみ振動板31と反射板32で挟まれた直線状の非接触搬送路の搬送路出口部分において、分注対象の液滴Pを捕捉する超音波定在波の節部の下方に位置し、分注対象の液滴Pを超音波定在波の節部から落下させて取り出すための複数の開口35が上記反射板32設けられている。
【0039】
そして、上記第3の非接触搬送路30を介して非接触搬送された分注対象の液滴Pは、上記第3の非接触搬送路30の搬送路出口部分において、当該分注対象の液滴Pを節部に捕捉している超音波定在波の発生を停止させて捕捉をとくことにより、節部の下方に落下させて上記開口35を介して、マイクロプレート80の2次元配列された複数のウエルに分注される。
【0040】
上記第3の非接触搬送路30における分注対象の液滴Pの捕捉、非接触搬送及び分注の動作は、上記制御部50により上記駆動部34の動作を制御することにより、制御される。
【0041】
すなわち、この非接触液滴分注装置100では、上記制御部50により上記第3の非接触搬送路30の駆動部34の動作を制御することよりに、上記第3の非接触搬送路30において、長尺な平板状に形成されたたわみ振動板31と、上記たわみ振動板31と対向して設置された反射板32で挟まれた空間に、上記たわみ振動板31を超音波振動させることにより超音波定在波を発生させ、上記超音波定在波の発生状態を制御することにより、上記たわみ振動板31と上記反射板32で挟まれた空間に発生される超音波定在波の複数の節部に分注対象の液滴Pを捕捉し、上記超音波定在波の複数の節部に捕捉した上記分注対象の液滴Pを上記たわみ振動板31の長手方向に分注位置まで搬送し、上記分注位置において上記分注対象の液滴Pを落下させることにより液滴を分注する。
【0042】
上記XYステージ40上に載置されたマイクロプレート80は、上記複数の開口35の下方位置に配置され、その2次元配列された複数のウエルが列毎に上記複数の開口35の下方に位置するように、上記XYステージ40により位置が制御される。
上記XYステージ40の動作は上記制御部50により制御される。
【0043】
なお、上記第1の非接触搬送路10から上記第2の非接触搬送路20を介して上記第3の非接触搬送路30に分注対象の液滴Pを確実に受け渡すために、この非接触液滴分注装置100では、上記第1の非接触搬送路10の振動板11及び反射板12と上記第2の非接触搬送路20の振動板21及び反射板22の一部を重ねて配置してある。この場合、上記第1の非接触搬送路10における超音波の周波数と上記第2非接触搬送路20における超音波の周波数とに差を持たせることにより、各々の振動板11,21と反射板12,22間の距離に差が生じ、振動板11,21と反射板12,22を重ね合わせる配置とすることができる。同様に、上記第2の非接触搬送路20の振動板21及び反射板22と上記第3の非接触搬送路30の振動板31及び反射板32の一部を重ねて配置してある。
【0044】
ここで、上記第1の非接触搬送路10及び第3の非接触搬送路30は、平板状のたわみ振動板11,31と平板状の反射板12、32をこれらの間における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に設置し、平板状のたわみ振動板11,31と平板状の反射板12、32で挟まれた空間に超音波定在波を発生させる構造としたが、平板状のたわみ振動板11,31と半円筒形状の反射板12、32で挟まれた半円筒形状の空間に超音波定在波を発生させる構造とすることもできる。
【0045】
例えば、
図6に示す非接触液滴分注装置200のように、平板状のたわみ振動板131と半円筒形状の反射板132で挟まれた半円筒形状の空間に超音波定在波を発生させる構造とした非接触搬送路130を備えるものとすることができる。
【0046】
この非接触液滴分注装置200は、長尺な平板状に形成されたたわみ振動板131と、上記たわみ振動板131と対向して設置された反射板132と、上記たわみ振動板を加振する超音波振動子133と、上記超音波振動子133を電気信号により励振する駆動部134と、上記駆動部134により上記超音波振動子133を励振して上記たわみ振動板を超音波振動させることにより上記たわみ振動板131と上記反射板132で挟まれた空間に発生される超音波定在波の発生状態を制御する制御部138を備える。
【0047】
この非接触液滴分注装置200において、上記たわみ振動板131は、長さ(L)250mm、幅(W)15mm、厚さ(t)2mmのアルミニウム板からなり、水平に配置されている。そして、このたわみ振動板131は、一端から10mmの位置でキャップボルトにより段付きエクポネンシャルホーン133Aの先端に取り付けられ、他端は自由端となっている。上記段付きエクポネンシャルホーン133Aを上部に設けたボルト締めランジュバン振動子133の縦振動によって、上記振動板131にたわみ振動の定在波が励振される。
【0048】
また、上記反射板132は、内径(D)17.5mmのアクリル製半円管からなる。この反射板132には、分注用の直径3mmの開口135が15mm間隔で形成されている。
【0049】
このような構造の非接触搬送路130において、平板状のたわみ振動板131と半円筒形状の反射板132で挟まれた半円筒形状の空間に発生している音圧を有限要素解析(FEM:Finite Element Method)した結果を
図7(参考図としてカラー図を提出する。)に示す。
【0050】
図7において、赤色領域Rや青色領域Bは音圧の大きい場所であり、緑色領域Gは音圧の小さい場所である。
図7内の赤色領域Rの音圧ピークからA点の間では、液滴に上向きの放射力が働くの、この間に液滴を捕捉することができる。
【0051】
上記非接触搬送路130を備える非接触液滴分注装置200において、上記平板状のたわみ振動板131を27kHzで駆動し、エタノールの液滴Pが安定して浮揚するように振動板131と反射板132の間隔を調整したところ、反射板132の底部が振動板131から18mmの位置にあるときに最も安定した。この状態で、上記たわみ振動板131と反射板132で挟まれた半円筒形状の空間において、エタノールの液滴Pが15mm間隔で水平方向に整列して浮揚している様子を
図8(参考図としてカラー図を提出する。)に示す。
【0052】
上記非接触搬送路130では、上記平板状のたわみ振動板131を27kHzで駆動しているので、励振の容易な管内波長が30mmである音場モードを利用した。
【0053】
また、上記非接触搬送路130において、上記たわみ振動板131と反射板132の間に励振された音場の音圧を1/8インチマイクロホンで測定し、音圧(0−p値)を3.3kPa、4kPa、5kPaと変化させたときに浮揚させ得るエタノールの液滴Pの平均容量を測定した結果を
図9に示す。 液滴Pの平均容量は、1.7μlであった。
【0054】
そして、上記非接触搬送路130において、分注用の直径3mmの開口135の上に液滴Pがある状態でたわみ振動板131の駆動を停止すると、液滴Pは開口135を通してマイクロプレートのウエルに向かって垂直に落下する。この様子を
図10(参考図としてカラー図を提出する。)に示す。
【0055】
図10において、水色の点P1,P2,P3は、0.04秒ごとの液滴Pの位置を示している。また、桃色の円Cは、マイクロプレートのウエルの位置を示している。