特許第6150379号(P6150379)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エー・アンド・デイの特許一覧

<>
  • 特許6150379-計量装置 図000003
  • 特許6150379-計量装置 図000004
  • 特許6150379-計量装置 図000005
  • 特許6150379-計量装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150379
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 11/00 20060101AFI20170612BHJP
   G01G 23/01 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   G01G11/00 H
   G01G23/01 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-23974(P2013-23974)
(22)【出願日】2013年2月12日
(65)【公開番号】特開2014-153234(P2014-153234A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000127570
【氏名又は名称】株式会社エー・アンド・デイ
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸久
(72)【発明者】
【氏名】清水 達也
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−145122(JP,A)
【文献】 特開2000−180256(JP,A)
【文献】 特開平8−297044(JP,A)
【文献】 特開昭60−79227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00−11/20
G01G21/00−23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータで駆動することによって被搬送物を搬送する搬送ユニットと、前記搬送ユニットを計量して計量信号を出力する計量ユニットと、前記計量信号から前記被搬送物の計量値を演算する制御ユニットと、を備えた計量装置において、
前記制御ユニットは、予め倍率が記憶されるとともに、
前記モータの回転数信号と前記計量信号が入力されることによって、前記回転数信号を基本周波数として前記倍率を乗算した特定周波数を求め、該特定周波数の振幅を演算し、該演算した振幅によって異常状態の発生を判定することを特徴とする計量装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、複数の前記倍率と、該複数の倍率のそれぞれに対応する複数の振幅の閾値が記憶されるとともに、
前記複数の倍率のそれぞれに対して前記特定周波数の振幅を求めて前記閾値と比較することを特徴とする請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記複数の倍率のそれぞれに対応する異常発生源が記憶されるとともに、
前記振幅が前記閾値を超えた際に前記異常発生源を対応付けることを特徴とする請求項2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記基本周波数の一周期分の計量信号を用いて前記特定周波数の振幅を演算することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の計量装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記被搬送物の計量値の演算処理と並行して、前記異常状態の発生の判定処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計量装置に係り、特にウェイトチェッカーのように異常振動の原因を複数有する計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の良否を判定する装置としてウェイトチェッカーが知られている。ウェイトチェッカーは、製品を搬送するコンベア等の搬送ユニットと、その搬送ユニットに接続されたロードセル等の計量ユニットを備えており、搬送ユニットで製品を搬送しながら計量ユニットで計量を行うように構成される。
【0003】
このようなウェイトチェッカーでは、搬送ユニットの構成部品が損傷したり、搬送ユニットに異物が付着したりすると、計量信号が大きく揺れてしまい、計量精度が大きく低下する。しかし、ウェイトチェッカーは、計量信号がもともと振動しているため、異常発生を判定しにくいという問題がある。また、異常発生を判定できても、搬送ユニットのベルト、ローラ、ギア、モータなどの様々な振動発生源が存在しているために原因を特定できず、対策が採れないという問題がある。
【0004】
そこで、特許文献1は、まず出荷前に空運転を行い、出力信号を周波数分析し、それを正常時のデータとして記憶する。そして、計量測定時に出力信号の振動波形を周波数分析し、それを正常時のものと比較する。その際、ピーク周波数ごとに比較を行い、ピーク値の差異が大きい場合に異常が発生していると判定し、さらに、そのピーク周波数に応じて異常発生源を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4101381号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、搬送速度を変更したり、重量の異なる被搬送物に変更したりした際に、異常の発生を判定できないという問題があった。たとえば搬送速度を変更すると、ピークが現れる周波数も変化するため、正常時のデータと比較できなくなり、異常の発生を判定できなくなる。同様に、重量の異なる被搬送物に変更した場合には、コンベアにかかる負荷が変化し、実際の搬送速度が増減するため、異常の発生を判定できなくなる。
【0007】
また特許文献1は、計量しながらリアルタイムで異常発生源の判定を行うことができないという問題もある。すなわち、特許文献1は、周波数分析した結果同士を比較する構成であるが、周波数分析は周知のように膨大なデータに対して演算処理を行うため、多大な演算処理時間を必要とする。このため、特許文献1は、計量しながらリアルタイムで異常発生源の判定を行うことが困難であり、無理に実施しようとすると搬送速度を低下する必要が生じたり、製品を一つずつ時間間隔をあけて搬送・計量する必要が生じる。特に特許文献1は、空運転時の出力信号を正常値としているため、正確な比較を行うためには計量時にも空運転しなければならず、製品ごとの時間間隔が必要となる。しかし、近年では製品を毎分数十mもの高速で連続して搬送することが求められており、特許文献1では、このような要望に対応することができない。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたものであり、搬送速度や被搬送物の変更にも対応でき、且つ、計量しながら異常状態を判定することのできる計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、モータで駆動することによって被搬送物を搬送する搬送ユニットと、前記搬送ユニットを計量して計量信号を出力する計量ユニットと、前記計量信号から前記被搬送物の計量値を演算する制御ユニットと、を備えた計量装置において、前記制御ユニットは、予め倍率が記憶されるとともに、前記モータの回転数信号と前記計量信号が入力されることによって、前記回転数信号から求まる基本周波数に前記倍率を乗算した特定周波数を求め、該特定周波数の振幅を演算し、該演算した振幅によって異常状態の発生を判定することを特徴とする計量装置を提供する。
【0010】
本発明の発明者は、ウェイトチェッカーで発生する振動は、モータの回転数を基本周波数とした際、装置構成により決定する特定の倍率の周波数でピーク値となることに着目した。そして、基本周波数に倍率をかけた特定周波数のみを対象として演算処理を行えば、演算処理量を大幅に減らすことができるという知見を得た。さらに、その方法であれば、モータの回転数に基づいて演算するので、搬送速度や被搬送物の重量に依らず、常に異常状態の判定を確実に行うことができるという知見を得た。本発明はこのような知見に基づいて成されたものであり、基本周波数に倍率を掛けた特定周波数を対象として振幅を演算処理し、異常状態の判定を行うようにしたので、演算処理量を大幅に減らしてリアルタイム処理を可能にするとともに、搬送速度や被搬送物の変更に影響されない精度の高い異常判定を行うことができる。なお、本発明において、倍率は1を含むものとする。
【0011】
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記制御ユニットは、複数の前記倍率と、該複数の倍率のそれぞれに対応する複数の振幅の閾値が記憶されるとともに、前記複数の倍率のそれぞれに対して前記特定周波数の振幅を求めて前記閾値と比較することを特徴とする。本発明によれば、複数の倍率と閾値を記憶しているので、振動原因が複数ある場合に、その振動原因ごとに判定を行うことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は請求項2の発明において、前記制御ユニットは、前記複数の倍率のそれぞれに対応する異常発生源が記憶されるとともに、前記振幅が前記閾値を超えた際に前記異常発生源を対応付けることを特徴とする。本発明によれば、倍率と異常発生源を対応付けて記憶したので、異常発生源を自動で判定することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は請求項1〜3のいずれか1において、前記制御ユニットは、前記基本周波数の一周期分の計量信号を用いて前記特定周波数の振幅を演算することを特徴とする。本発明によれば、基本周波数の一周期のデータで演算処理を行うので、演算処理量をさらに減少させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は請求項1〜4のいずれか1の発明において、前記制御ユニットは、前記被搬送物の計量値の演算処理と並行して、前記異常状態の発生の判定処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基本周波数に倍率を掛けた特定周波数を対象として振幅を演算処理し、異常状態の判定を行うようにしたので、演算処理量を大幅に減らしてリアルタイム処理を可能にするとともに、搬送速度や被搬送物の変更に影響されない精度の高い異常判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明が適用された計量装置を示す概略構成図
図2】制御ユニットの内部構成を模式的に示すブロック図
図3】閾値の例を説明する図
図4】本発明の効果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面に従って本発明に係る計量装置の好ましい実施形態について説明する。図1は本発明が適用されたウェイトチェッカーの構成を模式的に示している。同図に示すウェイトチェッカーは、上流側のコンベア14から受け渡された被搬送物12を搬送して下流側のコンベア16に受け渡すとともに、その搬送中に被搬送物12の計量を行う装置であり、主として搬送ユニット20、計量ユニット30、制御ユニット40で構成される。
【0018】
搬送ユニット20は、駆動ローラ22A、従動ローラ22B、ベルト22Cから成るコンベア22を備えており、駆動ローラ22Aはギア24を介してモータ26に接続されている。したがって、モータ26を駆動することによって、ギア24を介して駆動ローラ22Aが回転し、無端状のベルト22Cが周回する。これにより、ベルト22C上の被搬送物12を上流側から下流側へ搬送することができる。モータ26は後述の制御ユニット40に接続されており、モータ26の回転数を示す回転数信号が制御ユニット40に出力される。なお、図1ではギア24やモータ26をベルト22Cの内側に配置したが、これに限定するものではなく、ベルト22Cの外側でもよい。また、本実施の形態では、下流側のローラを駆動ローラ22Aとしたが、上流側のローラを駆動ローラ22Aとしてもよい。さらに本実施の形態では駆動力の伝達機構として1個のギア24を用いたが、ギア24の数は複数であってもよいし、ギア24を用いない態様や、ギア24の代わりにタイミングベルトを用いる態様も可能である。
【0019】
搬送ユニット20の構成部品は不図示の筐体に支持されており、筐体は計量ユニット30に連結されている。計量ユニット30は、被搬送物12を計量して信号を出力する構成であればよく、たとえばロードセルが用いられる。ロードセルは、ロバーバル構造の起歪体32を備え、起歪体32には眼鏡状の貫通孔が形成されている。起歪体32の一方の端部には搬送ユニット20の筐体が接続され、他方の端部は装置本体34に固定される。起歪体32の変形部分には不図示の歪ゲージが貼り付けられており、この歪ゲージが接続されてブリッジ回路が形成される。したがって、搬送ユニット20上に被搬送物12が載置されると、被搬送物12の重量に応じて起歪体32が変形し、その変形量に応じた計量信号が出力される。
【0020】
計量ユニット30の歪ゲージは制御ユニット40に接続されており、この制御ユニット40に、計量ユニット30からの計量信号と、前述の搬送ユニット20からの回転数信号が連続的に入力される。制御ユニット40は各種の演算処理を行う装置であり、モニタなどの表示部36と、操作ボタンなどの入力部38を備えている。
【0021】
図2は、制御ユニット40の構成を模式的に示しており、主に演算処理の流れを示している。図2の符号42は計量値演算部であり、符号44は異常判定部であり、符号46はメモリである。メモリ46には予め、倍率情報74と、閾値情報76と、異常源情報78が記憶される。これらの情報は、装置構成によって決定される情報である。これを具体的に説明すると、どの構成部材においてどの周波数で振動が生じるかは装置構成によって決まっており、さらにその振動の周波数はモータ26の回転数の周波数を基本周波数とした際に特定の倍率で発生することがわかっている。そこで、振動が発生する構成部材を異常源情報78として記憶するとともに、そこで発生する振動の周波数の倍率を倍率情報74として異常源情報78と関連付けて記憶しておく。たとえば、モータ:1.0、ギア:2.0、ローラ:2.5、などのように異常源情報78と倍率情報74とを対応付けて記憶しておく。また、各構成部材での振動の振幅は正常運転時の値を予め試験等で求めることができるので、その正常運転時の振幅値を基準として、異常状態と判定すべき閾値を決定しておき、これを閾値情報76として記憶しておく。その際、閾値情報76は倍率情報74や異常源情報78と関連付けて記憶する。また、閾値が周波数によって異なる場合には、周波数と閾値との関係を示すマップとして記憶してもよい。
【0022】
図2に示すように、制御ユニット40に入力された計量信号g(t)は、まずAD変換器50によってデジタル信号に変換され、次いで増幅部(アンプ)52によって増幅処理される。増幅処理された計量信号g(t)は、計量値演算部42と異常判定部44に入力される。一方、回転数信号f(t)は、まずAD変換器54によってデジタル信号に変換された後、特定周波数演算部58に出力される。特定周波数演算部58では、モータ26の回転数信号f(t)を基本周波数として、この基本周波数にメモリ46の倍率情報74の倍数を乗算することによって特定周波数f(t)を演算する。この特定周波数f(t)を示す信号は、異常判定部44に出力される。
【0023】
計量値演算部42は、フィルタ部62を備え、このフィルタ部62でノイズ周波数の信号が計量信号g(t)から除去される。その際、特定周波数演算部58で求めた特定周波数の信号に絞ってノイズを除去するようにしてもよい。
【0024】
ノイズが除去された計量信号g´(t)は計量値演算部64で計量値に換算される。そして、表示部36に出力され、表示される。
【0025】
一方、異常判定部44は、計量値信号g(t)と特定周波数信号f(t)が入力されると、まず振幅値演算部68で特定周波数f(t)の振幅Aを算出する。その際、特定周波数f(t)の1周期T[s]の計量信号g(t)に対して、予め設定されたサンプル数Nを抽出する。すなわち、計量信号g(t)をT/N[s]ごとに抽出し、1周期T[s]分のN個のデータを用いて、下式(1)に基づいて振幅Aを演算する。なお、周期Tはf(t)の変化に応じて経時変化するため、振幅Aも経時変化する値である。
【0026】
【数1】
【0027】
なお、上式においてサンプル数Nは、処理前に適宜選択する値であり、たとえば10が選択される。
【0028】
式1は、g(t)波のなかの周期T波だけの振幅を算出する計算式であり、簡素なフーリエ変換を利用したものであり、演算処理量が少ない。特に本実施の形態では、N個というデータ数に限定して演算処理を行っているので、演算処理量を非常に少なくすることができ、リアルタイムでの処理が可能となる。このように振幅値演算部68で算出された振幅Aは、比較判定部70に出力される。
【0029】
比較判定部70は、特定周波数の振幅Aと、メモリ46に記憶された特定周波数の値によって決まるよう予め定められた閾値Bとを比較する。そして、特定周波数の振幅値Aが閾値Bよりも小さい場合には正常運転であると判断し、次の演算処理まで待機する。逆に、特定周波数の振幅値Aが閾値Bを超えた場合には、異常状態が発生していると判断し、異常判定信号を異常個所特定部78に出力する。異常個所特定部78は、異常判断信号が入力されると、その際の特定周波数に対応する異常振動源の情報をメモリ46から読み取り、異常振動源を特定する。そして、それを示す異常特定信号を表示部36に出力し、表示部36に異常状態の発生を示す表示と、異常個所を示す表示が行われる。これにより、作業者は、異常状態の発生と振動源を作業者に認識することができる。なお、表示部36の代わりに不図示のスピーカに異常特定信号を出力し、作業者に報知してもよい。
【0030】
上述した異常判定部44による異常判定処理は、前述の計量値演算部42による計量値演算処理と同時に行われる。すなわち、計量値演算部42で計量値を演算しながら、同じ信号を用いて異常判定が行われる。
【0031】
このように本実施の形態によれば、計量信号に含まれる特定周波数の振幅だけを算出し、これを正常時に基づく閾値と比較して異常判定を行うようにしたので、演算処理量を非常に少なくすることができる。したがって、計量しながら異常状態を判定し、且つ、その異常原因を求めることができる。
【0032】
また、本実施の形態によれば、モータ26の回転数を基本周波数として異常状態を判定するので、搬送速度を変更した場合であっても異常状態を正しく判定することができる。さらに、モータ26の回転数、すなわち実際の搬送速度を基準として演算を行うようにしたので、被搬送物12の重量に依らず、常に正しい判定を行うことができる。
【0033】
なお、メモリ46に記憶された倍率情報74、閾値情報76、異常源情報78が複数の組み合わせで記憶されている場合は、複数の倍率(特定周波数)に対して同時に異常判定処理を行うとよい。すなわち、複数の倍率を用いて複数の特定周波数を算出した後、各特定周波数に対して式1を用いて振幅値Aを求め、その振幅値Aをそれぞれ、対応する閾値Bと比較し、異常発生の有無を判定する。そして、異常発生を判定した場合には、対応する異常源の情報を異常が発生した分だけ表示部36に表示する。これにより、異常が発生した箇所を特定することができる。
【0034】
なお、本実施の形態では異常状態の発生を判定した後に異常個所を特定したが、これに限定するものではなく、異常状態の発生のみを判定して報知するようにしてもよい。
【実施例】
【0035】
制御ユニット40のメモリ46には次の情報を入力した。まず、モータ26と、その0.4倍(減速比2.5)で回転するローラ22A(または22B)を異常源情報78として入力し、さらにそれぞれ1倍、0.4倍を倍率情報74として異常源情報78に関連付けて入力した。ここで、モータ26を異常源とする場合の閾値をB1、ローラ22Aを異常源とする場合の閾値をB2とする。異常のない状態で各回転数における振幅をとり、それを基準として警報レベル(倍率)、すなわち閾値B1、B2を設定した。この警報レベルは、被測定物12の種類や環境に応じて適宜設定することができ、今回は基準の3倍程度を目安として設定した。また、警報レベルは回転周波数に応じて適宜設定することが好ましく、今回は図3に示す如くマップ形式で設定した。図3(a)、図3(b)はそれぞれ閾値B1、B2のマップであり、横軸は回転周波数を示し、縦軸は警報を出力する振幅の閾値を示している。なお、この閾値は基準値からの倍率のマップとしてもよい。これらの図に示すように、閾値B1、閾値B2の警報レベルを回転周波数ごとにマップ形式で設定した。
【0036】
このように倍率情報74、閾値情報76、異常源情報78を設定した後、ウェイトチェッカーを稼動した。稼動時、制御ユニット40の特定周波数演算部58は、モータ26に関しては回転数信号f(t)を特定周波数信号f(t)として出力し、ローラ22Aに関しては回転数信号f(t)を0.4倍したものを特定周波数信号f(t)として振幅値演算部68に出力する。振幅値演算部68は、特定周波数信号f(t)から瞬間の周波数を取得し、その1周期Tの間は周波数が一定であるとみなして、1周期ごとに振幅Aの演算処理を行う。すなわち、1周期Tの間にN個のデータを計量信号g(t)から抽出し、式(1)に基づいて振幅Aを算出し、これを1周期Tごとに繰り返す。そして、異常源判定部72は、振幅Aと、図3のマップから得られる瞬間の回転周波数の閾値B1、B2とを比較し、閾値B1、B2を超えた場合に警告を行う。
【0037】
図4は上記の実施例における出力値の経時変化(一例)を示している。図4(a)はモータ26とローラ22の回転数の経時変化を示している。図4(b)は、モータ26の周波数に関して、振幅A(点線)と閾値B1(実線)の経時変化を示している。図4(c)は、ローラ22の周波数に関して、振幅A(点線)と閾値B2(実線)の経時変化を示している。
【0038】
これらの図に示した例では、時刻7において、図4(b)の振幅Aが閾値B1を超えており、異常状態が発生したことを把握することができる。また、図4(b)の振幅Aが閾値B1を超えたのに対して、図4(c)の振幅Aは閾値B2を下回っている。したがって、異常状態が発生したのはモータ26だけであり、ローラ22は正常であることが分かる。このように本発明によれば、異常状態の発生をリアルタイムで把握できるとともに、その異常発生源をすぐに特定することができる。
【符号の説明】
【0039】
12…被搬送物、14…上流側のコンベア、16…下流側のコンベア、20…搬送ユニット、22…コンベア、24…ギア、26…モータ、30…計量ユニット、32…ロードセル、34…装置本体、40…制御ユニット、42…計量値演算部、44…異常判定部、46…メモリ



図1
図2
図3
図4