特許第6150385号(P6150385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6150385焼結フィルター、フィルター及び焼結フィルターの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150385
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】焼結フィルター、フィルター及び焼結フィルターの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/39 20060101AFI20170612BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20170612BHJP
   B22F 3/11 20060101ALI20170612BHJP
   B22F 7/06 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   B01D29/34 520B
   B01D29/34 520C
   B01D39/20 A
   B22F3/11 A
   B22F7/06 D
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-85246(P2013-85246)
(22)【出願日】2013年4月15日
(65)【公開番号】特開2014-205124(P2014-205124A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2015年10月8日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513017021
【氏名又は名称】長瀬フィルター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100129137
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 ゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】林 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】前川 隆一
(72)【発明者】
【氏名】備前 雅一
【審査官】 目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−301211(JP,A)
【文献】 特開平04−090808(JP,A)
【文献】 米国特許第04783262(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D29/00−29/96
B01D39/00−39/20
B01D61/00−71/82
B01D53/22
C02F1/44
B22F1/00−8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過部及び支持部を有する2枚の略円板状の濾材を、前記支持部を内側として重ね合わせ、かつ、前記2枚の濾材が互いに接触する箇所の少なくとも一部が接合されることで、前記2枚の濾材の濾過部の間に流路が形成された焼結フィルターであって、
前記焼結フィルターの径方向において、外周側の前記流路の垂直断面積が、中心側の前記流路の垂直断面積より狭くなっており、
前記2枚の濾材以外の部材を含まないことを特徴とする焼結フィルター。
【請求項2】
前記焼結フィルターの径方向において、外周側の前記支持部の高さが、中心側の前記支持部の高さより低くなっていることで、外周側の前記流路の垂直断面積が、中心側の前記流路の垂直断面積より狭くなっている、請求項1記載の焼結フィルター。
【請求項3】
前記焼結フィルターの径方向において、外周側の単位面積当たりの前記支持部の体積が、中心側の単位面積当たりの前記支持部の体積より大きくなっていることで、外周側の前記流路の垂直断面積が、中心側の前記流路の垂直断面積より狭くなっている、請求項1又は2記載の焼結フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結フィルター、フィルター及び焼結フィルターの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融ポリマー濾過用及び粘性流体濾過用のフィルターとして、円板状のフィルター(「リーフディスクフィルター」とも呼ばれる。)が知られている。特許文献1〜3には、不織極細金属線、又は粉末金属の焼結体からなる濾過部と、それを支持する支持部(リテーナ及び多孔体)とで構成されるリーフディスクフィルターが開示されている。また、特許文献4には、濾過部と支持部とを粉末金属の一体焼結で形成したリーフディスクフィルターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−10521号公報
【特許文献2】特開平11−76721号公報
【特許文献3】特開2001−9213号公報
【特許文献4】特開2003−24727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の特許文献4に記載のリーフディスクフィルターによれば、フィルターを構成する部品点数を少なくでき、また、支持部の粉末密度を密にすることで、強度を確保することが可能である。しかしながら、特許文献4に記載のリーフディスクフィルターには、径方向外周側の濾過流体の速度が遅くなり、濾過流体の滞留が生じるという問題がある。
【0005】
また、特許文献4に記載のリーフディスクフィルターは、複数枚積層して用いることが一般的であるが、積層する際にスペーサを必要とし、各フィルターの更なる強度の向上も求められている。
【0006】
そして、特許文献4に記載のリーフディスクフィルターは、粉末金属の焼結により作製した2枚の濾材を重ね合わせた後、外周部又は内周部のいずれか一方を閉塞することによって製造されており、製造に手間がかかる。
【0007】
さらに、特許文献4に記載のリーフディスクフィルターは、フィルター全体を高価な粉末金属で形成するため、材料コストが高い。
【0008】
そこで、本発明の目的は、濾過流体の滞留を抑制可能な焼結フィルター、機械強度が高く、複数枚積層する際にスペーサを必要としないフィルター、製造が容易な焼結フィルターの製造方法、及び、材料コストを削減可能な焼結フィルターの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の第一のフィルターは、
濾過部及び支持部を有する2枚の略円板状の濾材を、前記支持部を内側として重ね合わせ、かつ、前記2枚の濾材が互いに接触する箇所の少なくとも一部が接合されることで、前記2枚の濾材の濾過部の間に流路が形成された焼結フィルターであって、
前記焼結フィルターの径方向において、外周側の前記流路の垂直断面積が、中心側の前記流路の垂直断面積より狭くなっていることを特徴とする。
なお、本発明の第一のフィルターは、焼結フィルターである。
【0010】
本発明の第二のフィルターは、
濾過部及び支持部を有する2枚の略円板状の濾材を、前記支持部を内側として重ね合わせ、かつ、前記2枚の濾材が互いに接触する箇所の少なくとも一部が接合されることで、前記2枚の濾材の濾過部の間に流路が形成されたフィルターであって、
前記濾材の外側の面に外面支持体が形成されていることを特徴とする。
なお、本発明の第二のフィルターは、焼結フィルターであってもよいし、プレス加工等で製造された焼結フィルター以外のフィルターであってもよい。
【0011】
本発明の第一の焼結フィルターの製造方法は、
粉末金属を押し固めて、2枚の濾材を成形する濾材成形工程と、
成形後の前記2枚の濾材を重ね合わせた後、焼結する焼結工程とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の第二の焼結フィルターの製造方法は、
粉末金属の焼結で濾過部を作製する濾過部作製工程と、
前記濾過部とは別の部材で支持部を作製する支持部作製工程と、
前記濾過部作製工程で作製した前記濾過部と、前記支持部作製工程で作製した前記支持部とを焼結することで濾材を作製する濾材作製工程と、
前記濾材作製工程で作製された2枚の前記濾材を、前記支持部を内側として重ね合わせた後、前記2枚の濾材が互いに接触する箇所の少なくとも一部で接合する接合工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第一のフィルターでは、外周側の流路の垂直断面積が、中心側の流路の垂直断面積より狭くなっているため、外周側における濾過流体の流速が速くなり、濾過流体の滞留が抑制される。また、本発明の第二のフィルターは、濾材の外側の面に外面支持体が形成されているため、機械強度が高く、前記外面支持体は、複数枚のフィルターを積層する際のスペーサとしても機能し得る。そして、本発明の第一の焼結フィルターの製造方法によれば、成形後の2枚の濾材を重ね合わせてから焼結することで、焼結フィルターの製造工程を簡略化できる。さらに、本発明の第二の焼結フィルターの製造方法によれば、支持部を濾過部とは別の部材で作製することで、材料コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態1の焼結フィルターの濾材を示す斜視図である。
図2図2(A)は、本発明の実施形態1の焼結フィルターを示す斜視図であり、図2(B)は、図2(A)に示す焼結フィルターのI−I方向に見た断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態2の焼結フィルターの濾材を示す斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態3の焼結フィルターを示す斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態4の焼結フィルター積層体を示す斜視図である。
図6図6は、本発明の実施形態6の焼結フィルターの製造方法の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第一のフィルターでは、前記焼結フィルターの径方向において、外周側の前記支持部の高さが、中心側の前記支持部の高さより低くなっていることで、外周側の前記流路の垂直断面積が、中心側の前記流路の垂直断面積より狭くなっていてもよい。
【0016】
本発明の第一のフィルターでは、前記焼結フィルターの径方向において、外周側の単位面積当たりの前記支持部の体積が、中心側の単位面積当たりの前記支持部の体積より大きくなっていることで、外周側の前記流路の垂直断面積が、中心側の前記流路の垂直断面積より狭くなっていてもよい。
【0017】
本発明の焼結フィルターは、前記本発明の第一又は第二の焼結フィルターの製造方法により製造されてもよい。
【0018】
以下、本発明の第一のフィルター、第二のフィルター、第一の焼結フィルターの製造方法及び第二の焼結フィルターの製造方法について、例を挙げて詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されない。なお、以下の図において、同一部分には、同一符号を付している。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なる場合がある。
【0019】
(実施形態1)
本実施形態は、焼結フィルターの径方向において、外周側の支持部の高さが、中心側の支持部の高さより低くなっていることで、外周側の流路の垂直断面積が、中心側の流路の垂直断面積より狭くなっている第一のフィルターの例である。図1は、本実施形態の焼結フィルターの濾材20を示す斜視図である。図2(A)は、本実施形態の焼結フィルター10を示す斜視図であり、図2(B)は、図2(A)に示す焼結フィルター10のI−I方向に見た断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態の焼結フィルター10は、濾過部21及び支持部22を有する2枚の略円板状の濾材20を、支持部22を内側として重ね合わせ、かつ、2枚の濾材20が互いに接触する、濾過部21の外周側端部及び支持部22の接触部が接合されることで、2枚の濾材20の濾過部21の間に流路が形成されたものである。
【0020】
2枚の濾材20の濾過部21は同じ大きさであり、例えば、直径が50mm〜500mmの範囲、厚みが1mm〜15mmの範囲であり、好ましくは、直径が75mm〜450mmの範囲、厚みが1.5mm〜10mmの範囲であり、より好ましくは、直径が100mm〜400mmの範囲、厚みが2mm〜6mmの範囲である。
【0021】
図1に示すように、支持部22は、濾過部21の直径と略同じ長さの12本の支持部22aと、濾過部21の直径の略半分の長さの12本の支持部22bとで構成されている。12本の支持部22aは、濾過部21の周方向に等間隔に並んでいる。12本の支持部22bは、それぞれ、隣接する支持部22aの外周側の中間の位置に配置されている。濾材20の外周側においては、隣接する支持部22aと支持部22bとの間の空間が、濾過流体の流路となる。濾材20の中心側においては、隣接する支持部22aの間の空間が、濾過流体の流路となる。濾過部21を通過した濾過流体は、前記流路を、外周側から中心側に向かって流れる。本実施形態の焼結フィルター10において、支持部22a及び22bの本数は、図1に示す12本に限定されず、例えば、4本〜50本の範囲である。また、本実施形態の焼結フィルター10は、支持部22bが支持部22aとされ、24本の支持部22aが濾過部21の周方向に等間隔に並べられた構成であってもよい。
【0022】
図2(B)に示すように、支持部22aの高さは、径方向において、中心から外側に向かうに従い、低くなっている。図示していないが、支持部22bの高さも、濾過部21の外周側において、支持部22aと同じ高さとなっている。これにより、本実施形態の焼結フィルター10の径方向において、外周側の前記流路の垂直断面積が、中心側の前記流路の垂直断面積より狭くなっている。支持部22aの中心側端部の高さは、例えば、0.5mm〜10mmの範囲であり、好ましくは、1mm〜5mmの範囲であり、より好ましくは、1.5mm〜3mmの範囲である。支持部22aの外側端部の高さは、例えば、0mm〜5mmの範囲であり、好ましくは、0.3mm〜3mmの範囲であり、より好ましくは、0.5mm〜2mmの範囲である。
【0023】
本実施形態の焼結フィルター10は、例えば、後述の本発明の第一及び第二の焼結フィルターの製造方法により製造できる。ただし、本実施形態の焼結フィルター10の製造方法は、後述の二つの例に限定されず、例えば、2枚の濾材20を焼結により作製した後、支持部22を内側にして重ね合わせて接合する等、いかなる方法であってもよい。
【0024】
つぎに、本実施形態の焼結フィルター10の使用方法について説明する。本実施形態の焼結フィルター10は、単独で、又は、間にスペーサを介在させた状態で複数枚積層し、溶融ポリマー濾過用及び粘性流体濾過用のフィルター等として利用できる。本実施形態の焼結フィルター10によれば、濾過流体が集中する中心側に対し、濾過流体が少なく、流速が遅くなりがちな外周側において、前記流路の垂直断面積が狭くなっていることで、外周側における濾過流体の流速を速くし、濾過流体の滞留を抑制することが可能である。
【0025】
(実施形態2)
本実施形態は、焼結フィルターの径方向において、外周側の単位面積当たりの支持部の個数が、中心側の単位面積当たりの支持部の個数より少なくなっていることで、外周側の流路の垂直断面積が、中心側の流路の垂直断面積より狭くなっている第一のフィルターの例である。図3は、本実施形態の焼結フィルターの濾材20を示す斜視図である。図3に示すように、本実施形態の焼結フィルターの濾材20では、支持部22が濾過部21の周方向に複数配列されるとともに、支持部22の列が同心円状に4列の環状列として配置されている。濾材20において、隣接する支持部22の間の空間が、濾過流体の流路となる。濾過部21を通過した濾過流体は、前記流路を、外周側から中心側に向かって流れる。支持部22の環状列は、図3に示す4列に限定されず、例えば、2列〜50列の範囲である。最も中心側の環状列における支持部22の単位面積当たりの個数は、例えば、10000個/m〜50000個/mの範囲であり、好ましくは、20000個/m〜40000個/mの範囲であり、より好ましくは、25000個/m〜30000個/mの範囲である。最も外側の環状列における支持部22の単位面積当たりの個数は、例えば、20000個/m〜100000個/mの範囲であり、好ましくは、40000個/m〜80000個/mの範囲であり、より好ましくは、50000個/m〜60000個/mの範囲である。
【0026】
本実施形態の焼結フィルターは、実施形態1の焼結フィルター10と同様にして製造できる。また、本実施形態の焼結フィルターの使用方法も、実施形態1の焼結フィルター10と同様である。本実施形態の焼結フィルターにおいても、濾過流体が集中する中心側に対し、濾過流体が少なく、流速が遅くなりがちな外周側において、前記流路の垂直断面積が狭くなっていることで、外周側における濾過流体の流速を速くし、濾過流体の滞留を抑制することが可能である。なお、図3においては、実施形態1の焼結フィルター10と同様に、支持部22の高さが、径方向において、中心から外側に向かうに従い、低くなっているが、本実施形態の焼結フィルターは、これに限定されない。前述のとおり、本実施形態の焼結フィルターでは、径方向において、外周側の単位面積当たりの支持部22の個数が、中心側の単位面積当たりの支持部22の個数より多くなっていることで、外周側の流路が、中心側の流路より狭くなっていることから、支持部22の高さは、全て同じとしてもよい。
【0027】
外周側と中心側での支持部の個数の多少に代えて、外周側と中心側で支持部の個数を同じとし、各支持部の体積を、中心から外側に向かうに従い大きくすることでも、外周側の流路の垂直断面積を、中心側の流路の垂直断面積より狭くでき、本実施形態の焼結フィルターと同じ効果を得ることができる。この場合には、最も中心側の環状列における支持部の単位面積当たりの体積は、例えば、250cm/m〜5000cm/mの範囲であり、好ましくは、500cm/m〜2500cm/mの範囲であり、より好ましくは、750cm/m〜1000cm/mの範囲であり、最も外側の環状列における支持部の単位面積当たりの体積は、例えば、0cm/m〜2500cm/mの範囲であり、好ましくは、150cm/m〜1500cm/mの範囲であり、より好ましくは、250cm/m〜500cm/mの範囲である。このような焼結フィルターも、実施形態1の焼結フィルター10と同様にして製造し、使用できる。
【0028】
(実施形態3)
つぎに、本発明の第二のフィルターについて、実施形態1の焼結フィルターを用いた場合を例にとって説明する。ただし、本発明の第二のフィルターは、濾材の外側の面に外面支持体が形成されている点が特徴であり、実施形態2の焼結フィルターを用いたものであってもよいし、プレス加工等で製造されたフィルターを用いたものであってもよい。
【0029】
図4は、本実施形態の焼結フィルターを示す斜視図である。本実施形態の焼結フィルター10は、濾材20の外側の面に6本の外面支持体23が形成されている点を除き、図2(A)に示す実施形態1の焼結フィルターと同様である。本実施形態の焼結フィルター10において、外面支持体23の本数は、図4に示す6本に限定されず、例えば、2本〜20本の範囲である。外面支持体23の形成方法は、特に制限されず、例えば、濾材20の濾過部と同じ粉末金属を用いて焼結により形成してもよいし、濾材20の濾過部とは別の部材を用いて形成したものを濾材20に焼結することで形成してもよい。本実施形態の焼結フィルター10は、濾材20の外側の面に外面支持体23が形成されていることで、より高い機械強度を有する。
【0030】
(実施形態4)
図5は、本実施形態の焼結フィルター積層体を示す斜視図である。本実施形態の焼結フィルター積層体11は、10個の実施形態3の焼結フィルター10が、互いの外面支持体23を密着させて積層された構成である。本実施形態の焼結フィルター積層体11において、積層する焼結フィルター10の個数は、図5に示す10個に限定されず、例えば、1個〜300個の範囲である。本実施形態の焼結フィルター積層体11は、互いの外面支持体23を密着させて積層されていることで、外面支持体23が各焼結フィルター10間のスペーサとして機能するとともに、積層体全体での機械強度が高くなっている。図5には、実施形態3の焼結フィルター10を積層した例を示しているが、本実施形態において、積層するフィルターは、本発明の第二のフィルターであればよく、実施形態3の焼結フィルター10に限られない。
【0031】
(実施形態5)
つぎに、本発明の第一の焼結フィルターの製造方法について、実施形態1の焼結フィルター10を製造する場合を例にとって説明する。ただし、本発明の第一の焼結フィルターの製造方法は、実施形態1の焼結フィルター10以外の焼結フィルターの製造にも用い得る。
【0032】
実施形態1の焼結フィルター10は、粉末金属を押し固めて、2枚の濾材20を成形した後、2枚の濾材20を重ね合わせて焼結することで製造できる。このように、成形後の2枚の濾材を重ね合わせてから焼結することで、焼結フィルターの製造工程を簡略化できる。前記粉末金属は、焼結可能なものであればいかなるものであってもよいが、例えば、ステンレス(SUS)鋼アトマイズド粉末等が挙げられる。焼結は、公知の方法で行えばよく、例えば、焼結温度は、800℃〜1200℃の範囲とすればよい。
【0033】
(実施形態6)
つぎに、図6を参照して、本発明の第二の焼結フィルターの製造方法について、実施形態1の焼結フィルター10を製造する場合を例にとって説明する。ただし、本発明の第二の焼結フィルターの製造方法は、実施形態1の焼結フィルター10以外の焼結フィルターの製造にも用い得る。
【0034】
本例では、濾過部21を、前述の粉末金属の焼結で作製する一方、支持部22は、濾過部21とは別部材で作製する。本例における支持部22の形成材料としては、例えば、SUS板、鋳物、鍛造品等の汎用材料が挙げられる。このように、支持部22を汎用材料で作製することで、高価な粉末金属の使用量を減らし、材料コストを削減することが可能である。このようにして作製した濾過部21に、必要数の支持部22を図1に示すように配置し、焼結することで、濾材20を作製する。作製した2枚の濾材20を、支持部22を内側として重ね合わせた後、2枚の濾材20が互いに接触する、濾過部21の外周側端部及び支持部22の接触部で接合することで、実施形態1の焼結フィルター10を得ることができる。接合は、公知の方法で行えばよく、例えば、拡散接合、焼結等により接合すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように、本発明の焼結フィルターは、濾過流体の滞留を抑制可能なものである。本発明の焼結フィルターの用途は、特に限定されず、例えば、溶融ポリマー濾過用及び粘性流体濾過用のフィルター等に幅広く利用できる。
【符号の説明】
【0036】
10 焼結フィルター
11 焼結フィルター積層体
20 濾材
21 濾過部
22 支持部
23 外面支持体
図1
図2
図3
図4
図5
図6